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[男の言葉に安堵してか一つ息を零し頷き、紡がれる名前に瞬くも其れが男の名と言われても良く判らないまま、続いて男が牧師へと声をかけるのにふるふると首を振り、自身を指差してふわと微笑み]
「ナイジェル」
[男物の名前だとかは気にした様子も無さそうで、大切なものを抱えるように両の手を胸元に添えて、もう一度唇だけが与えられた名を紡ぎ]
「ありがとう、大事に、する」
[牧師がセシリアと言う名を説明するのに静かに目蓋を下ろし、ふるふる首を振って瞳を開け静かに牧師を見詰めて、目の前の人物に対してではないのだろうけれど、紫水晶は何処か冷たく]
「神は、居ない。
聖なる、名前は、要らない。」
[拾い物と言うのに一度瞬き]
「みんな、アーヴァインに、拾われたんじゃ、無いの?」
[男の混乱した様子を見詰め]
「セシリアが、良いなら、セシリアを、探すけど、ナイジェルが、良い」
[説明は全く意味を成さないのかも知れないけれど、其れ以上の言葉を持たぬのか言葉は途切れ、男を見詰め不意に思い当たり瞬く]
「大事な、名前なら、貰えない」
[セシリアの様子に片眉を上げて]
……然様ですか。
[それだけを呟くと、聖書を片手に席を立つ。
何処へ、と告げるわけでもなく、広間を横切りエントランスホールへと出る。]
……さて。
何がしたいのかは知らぬ存ぜぬだが……
屋敷の中くらいは見せてもらおうか。
[人を殺した、そんなことを言った男もいる。
無論殺されるとはさらさら思っていないが、知らないよりは知っていたほうがいいことも多い。]
[肩眉を上げる牧師を見詰め]
「ルーサーは、神を、信じてるの?」
[席を立つ牧師が音の無い言葉を解したかは判らないけれど、得体の知れない牧師の後姿を見送りながら、唇だけは更に後姿に何かを紡ぐも、届くと思っていない言葉は微か唇が動くだけで、誰にも読み取れないだろう]
「名前は、縛れる、から」
[男の声に向き直れば空のカップへと手を伸ばし、微か手の中で弄んで]
「此処は、怖く、無いと、良いね」
…オレも屋敷の中を歩かせてもらうとするか。
結局は厨房しか見なかった。
どこかに一人で横になれるような…客間くらいはありそうなもんだもんな。
見習いメイド ネリー が参加しました。
[豪華な屋敷の扉が開き、ややもすれば人間の陰がするりと現れたかと思うと、少女の姿が現れた。
少女はエントランスを見上げた。
その刹那、後ろから少女のバランスを崩す力が現れ、少女の平衡感覚を奪った。]
っ…!
[少女は足をもたつかせながら、前のめりに倒れた。
倒れたのは背中を強く押されたからであるのは当然であったが、彼女は素足で両足を金属の輪で拘束されていた。さらに鎖が両足首から伸び、そこには鉄球が尻尾の先のように顔を出していた。]
痛…っ。
[少女は衣服を纏っているのか外見からは分からなかった。 首の下から白いポンチョのようなものを被っており、倒れる時に手で身体を全くかばわなかったことから、両手も拘束されているのかもしれない。]
[エントランスから続く扉を開けると、そこは食堂のようで。
厨房があったようだから食堂があるのも自然なことだろう、と
大きなテーブルのある中を見回して。]
……随分大人数向けだな……
屋敷の規模もそうだが……
其の割には生活感が全くないのも気にかかる。
[調度品に触れようと手を伸ばしかけて――
エントランスホールからの物音に振り返った。]
[少女は鼻で、口で呼吸をしてみる。感覚はしっかりしていると自覚する。
だが両腕はやはり後ろで纏められているらしくまともに動くことを許さない。]
「厨房、あっち?
お腹、減った」
[立ち上がろうとすれば物音と新たな人の気配に身を竦め、手元のティセットが小さな音を立てて、男の声に牧師の去った方へと視線を移せば、神を信じているとは思えないとでも言う様に首を振り、男自身を笑う笑みにか僅か緊張を解き其の双眸を覗いて逡巡の後]
「ナイジェルは、どんな子?」
[言いたくなければ聞き流して欲しいとでも言う様にすぃと視線を逸らし、続く相槌に小さくけれど心底其れを願っている様子で頷いて]
[優雅に紅茶を飲みながら、話にケリがついたかとカップを置く。]
――ナイジェル、でいいのかしら。
名前なんて人物の特定が出来ればいいのだから、
深く考える必要もないわ。
悪かったわね、セシリアって呼んじゃって。
[――『ローズマリー』とて本名ではないのだから。
さりとてそれは口には出さず、広間を出るらしいナサニエルとナイジェルに片手を上げて見送り、自分はティータイムの続きを楽しむ。]
[エントランスホールへと戻れば、何やら拘束されている少女の姿]
……流行りなのか、こういうのが。
[思わず呟いてから、どうしようかと。]
[少女のもとにいくらかの人がやってきた。少女は顔を見上げた。]
はやり…皆様、皆様も集められたのですか?
ここは普通のお屋敷とは違う…のでしょうか?
……まぁそんなところですね。
皆様も、ということは貴方も、ですね。
[顔を上げた少女を見つめながら]
見た感じは、普通の屋敷だと思いますが。
[また新しい客人か、と思えどもソファから立ち上がる気配はなく。
ナサニエルに返答するより前に確認が取れたようで、視線を戻す。
自らの膝に肩肘をついて、ぼんやりと。今回の場合は興味がないというよりはけだるげで、次第に*目を閉じられて*]
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