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──昨晩の回想──
[この少女は、他者に知らせぬ事を選んだようだ。]
[命令しなれた声を後に、さつきと杏は階下へ降りてゆく]
[客室は三階である]
[どこへゆくのだろうか]
[夜桜は、しかし由良のために食事を用意すると三階へと持ってあがった。控えめにノックをすると、知った匂いがプゥンと香る。]
珍しい煙草の匂いですね。
[簡単な雑談をし(主人の事も少し話しただろうか)、夜桜は、由良の部屋を後にする。その足で、夜桜は屋敷の外へ向かった]
──昨晩の回想──
[仁科が辿りつけぬという、櫻の元へと歩む。
先の戦争では、ソメイヨシノが慶ばれたが、この古樹は新参者ではないらしい。]
[いけどもいけども]
[歩む事は叶うのに、一向にたどり着かぬ。]
[夜桜は、この屋敷が「場」に落ちた事を知った───。]
[仁科が帰ってくれば、話をしに*迎えにゆくだろう。*]
─3階廊下(昨夜の回想)─
[夜より黒い漆黒のドレスを纏い、影の様に素早く廊下を歩む。
微かな衣擦れの音は、冴えた夜風の如く。
白い貌には如何なる表情も浮かんで居らず、端麗なる仮面のよう。]
─昨夜の回想─
[揺らぎ、軋む何ものかを身の内に感じつつ、彼女は歩む。]
[あの水盆が目に焼き付いている。]
[あれに誰かが触れた時から、何かがおかしい。]
──回想・夜──
[仁科は二階で望月達に話を聞き、暫しの放心の後、「十三に会いたく無い」と言う意識とは裏腹にそれでも十三の部屋へ向かったのだった。]
でも、直ぐに扉を閉じてしまった。
旦那様は、昨夜よりも更に窶れておられた。
あれは、死相──じゃあ無いのか。
[外へ行きたいと思ったのは自分だった。
車へ向かう枚坂を見てそのまま外へ向かうだろう、逃げたのだろうと考えたのも、仁科だ。]
アァ、先生様は、道具を取りに車へ行かれただけか。
…では、逃げたいのは寧ろ自分か。
[クククと喉を鳴らして乾いた笑いを。]
何なのだろう、これは──。
[まるで、
身の内にあるものが際限無く広がっていく様な、]
[或いは
遠く深く落ち込んでいく様な、]
──回想・夜──
[仁科が此れ程までに焦燥に駆られているのには、ひとつ。本人も未だ気が付いて居ない理由があった。ちょうど、昨夜の…──十三に麓で聞いた屍鬼の話を伝えた後の…記憶が無いのだ。]
[それは、人間であれば悪寒や眩暈に似た感覚であったかも知れない。
尤も、彼女がその様な人間的な感覚を味わったのは遠い過去の事、記憶の彼方に消え失せて比較の仕様など無い。
微かな苛立ちを秘めながら、彼女は宛がわれた客室の扉を開ける。]
―自室・朝方の出来事―
[作業を終え、自室に戻っても翠は何となく寝付けず、
うつらうつら幾度か眠りの淵を彷徨っただけに止まった。]
……。
[何となく抱えたままの洋服や友禅の数々。
仄かにあの夫人の纏う香がした。
外は既に白んでいる。]
……屍鬼が遂に出た。
[天賀谷の言葉を繰り返す。
彼は、血走った眼でそう謂った。
天鵞絨の瞳を伏せて思案に沈む。]
――金の亡者の御客様は、喰われてしまえば。
[冗談交じりで謂った言葉、
けれど今はそれが何故かこんなにも不吉だ。
水がひたひたと浸食してくる、冷たい感覚。]
『確りしないと』
[ふるふると首を振り、
眼を覚まそうと水を浴びる為外へと出た。
早朝ならば人も居ないだろう。
翠が気に入っている泉が、森の中にはあった。]
──…。
旦那様は近い内にお亡くなりになる。
[仁科は目を伏せハンドルに凭れている。
強迫観念の様にその言葉が仁科の中でぐるぐると回っている。緊張で身体はガチガチと震えた。
しかし、そのまま浅い眠りに落ちたのだろうか。気付けば、闇の中、誰かの指が、肩に触れた様な感触に何度も目覚め──その度、背筋が凍る様な心地がして小さな悲鳴を上げ、此処が慣れた車内である事に気付いて*息を付く事を繰り返した*。]
──回想・夜→夜明け前──
[そうしてどれ程の時間をハンドルに凭れたままで過ごしただろうか。まだ月──ちょうど行き道でさつきが口にしていた様な赤い月──は浮かんだままだったが、僅かに空が明るくなった様に思えて、仁科は立ち上がった。
…──別荘へ戻る。]
[赤く充血した眼球の様な満月。異様な圧迫感を覚える。
息が苦しい。不気味な月が気に掛かり、山荘へ戻る道すがら、仁科は何度も空を見上げた──。]
──回想・夜明け前──
[未だ] [しらじらとした太陽さえ上らぬ] [山の中の別荘]
[苔生した] [石を一つ踏みしめ] [別荘の扉の前で仁科を迎える]
──仁科さんの仰った通りでした。
[仁科のために、軽く羽織るものを持ってきている。]
眠っていないのでしょう?
少し、今日はお休みしては如何かしら。
これがあの水鏡の所為なら…
天賀谷め、とんでもない事をしてくれたわ……
[彼女は小さく毒づいた。
誰もその聲を聞く者の居ない気安さが独言の習慣を生んでいた。]
[だが、まだ彼女はその“異変”が一体何を意味するのか、気付いていない。]
[夜桜から上着を受けとる。
げっそりとした貌で相手を見つめ、]
…車でも出られなかった。
眠って大丈夫なの──…か?
此れは屍鬼の所為なのだろう…。
否、車内で。
少しだけ──浅い眠りに落ちた様な気がする。
夜桜さんは、落ち着いている様に見える。
屍鬼の事を何か…知っているの……か?
[質問ばかりだ。
口を噤む。]
そう、屍鬼の所為です。
ですが気ばかり張ってしまっては、どうにもなりませんわ。
[浅い眠りをとったと聞くと、夜桜は微笑む]
屍鬼の事は少し──知っております。
──名の通り、人を喰らう黄泉の鬼──
[仁科を扉の中へ迎え入れ、階段裏の使用人用の階段を使い、三階の使用人部屋へと上がる事を勧めた]
─天賀谷邸の庭─
[昨夜は気分が優れないと言って自室に下がってから、天賀谷家の召使が運んで来た食事にも手をつけていない。
横になっては見たものの寝付けぬままに起き出して、そっと屋外に出てみたのだった。
昨夜あの水盤の側で天賀谷が倒れてから後、頭痛にも眩暈にも似た奇妙な感覚にずっと悩まされていた。時間と共に慣れて薄れては来たものの、そこはかとない違和感は漂う。
短い吐息と共に目を閉じる。重苦しい気持ちを吹き飛ばそうとするかの様に頭を振ると、ウェーブを描いた髪が一筋、はらりと白い額に零れた。]
あたし、屍鬼になった方の身内を知っていますの。
[階段を先にすすみながら、夜桜は振りかえらずに告げる]
──回想・夜明け→太陽が昇り始めようとしている…──
[明かりが差し込む窓は曇り、一光の投げかけはぼんやりとしている。この辺り一帯に立ち込める霧の所為であろうか。]
[仁科の部屋の扉を開けると、中に入る事を促した。]
外はまだ寒かったでしょう。
熱い湯を浴びながら、お話しましょうか。
[紅を塗った唇が艶やかに笑んだまま]
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