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踊り子 キャロル に 1人が投票した。
学生 メイ に 14人が投票した。
学生 メイ は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、子爵 ウィリアム が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、流れ者 ギルバート、新米記者 ソフィー、のんだくれ ケネス、踊り子 キャロル、酒場の看板娘 ローズマリー、村長の娘 シャーロット、隠者 モーガン、異国人 マンジロー、文学少女 セシリア、見習い看護婦 ニーナ、医師 ヴィンセント、書生 ハーヴェイ、メイド セリア の 13 名。
【吊り・襲撃先宣言】
貴様らにはこれから地獄を味あわせてやろう・・・・・・
【4日目の犠牲者は、ランサーチームだ】
【吊り投票は、本日もセリア委任とする。宣言を頼む】
【襲撃対象はセシリアとする。セット後狼リーダーへのセット完了報告をしておけ】
では、さらばだ雑魚共。
【吊り・襲撃先宣言終了】
【システムメッセージ】
はーい、もうね事後処理が辛くて辛くて大変なセリアちゃんよ!!
ライダーチームのお二人、お疲れ様でした!!
墓下からの投票もお待ちしていますので、最後まで楽しんで下さい!
○現在はdays4朝とします。
○5日目の吊り襲撃投票開始です。いつもどおりの手順でお願いします★
・・・・・・ んで。
誰だよ地形変えた奴。
あのさ、後片付けは出来るよ?
たださ、誰が人口滝作っていいっつったんだよあん?
あーあサツ着たぞサツ。しーらねっと。
・・・・・・ っていえたらいいのにね♪(きゅる〜ん
【システムメッセージ終了】
「こうなる事は解っていたの」
と、オードリーは言った。
酷くやつれた姿で、ベッドに横たわっている。
もう、長くは無いらしい。
「でも駄目だった。
私の得た知識を誰に告げずに消える事も、誰にも看取られずに消える事も、耐えられなかった。」
ケネスは、静かに彼女の言葉を聞いている。
「あなたには……酷い事しちゃったわね……」
オードリーの言葉に、そんな事は無いさ、と答える。
それはケネスの本心。
オードリーはベットの脇にあったバックを、静かに手渡してくる。
バックには、見知らぬ服、見知らぬ財布、そして見知った顔を持つ男の、免許証が入っていた。
― 西ブロック・マンション・早朝 ―
[結局、ケネスは宗冬を見つける事は出来なかった。
もし、急速に魔力を消耗し始めた時には、令呪の使用も覚悟していたのだが、幸いそんな事は無く、穏やかな朝が来る。]
戦闘はしてねぇようだが、あいつ……どこをほっつき歩いてやがるんだ!
[そう苛立だっていると、ガチャリとドアが開き
「やあ、真殿、よい朝でござるな〜」
と、言う間延びした声と共に宗冬が入ってきた。
明らかに酔っている。]
[ケネスは思わず、雑誌を丸めて一発殴り]
おーおー、我がサーヴァン様はマスターほっといて、酔っ払った挙句、朝帰りかよ?
良い度胸だな。
どこで何してたか、詳しく聞かせてもらおうじゃねぇか!
[ケネスは宗冬を引っ張ると、テーブルの前に座らせた。
気分良く喋りだす宗冬の言葉に、耳を傾ける。]
−自宅・寝室・days4早朝−
[目が、覚めない。起きてはいたが、目を開くことが出来なかった。
疲れであったのかのかもしれない]
[けれど]
[じわり、染みこんでくるようなそれは、目を覚ますことを嫌がった]
あ……。
[反動で目を開く。涙が、零れた。
生理的なものではなく、ただ、両の目から一滴ずつ]
あの、銃を使うサーヴァントと飲んでただとぉぉ?!!
[あまりの驚愕に、しばし思考が止まった。
目を泳がせると、付けっ放しにしていたテレビが、「逮捕だあ〜!」と叫びながら乱射するおまわりさんの姿を映し出している。
どうやら古いアニメらしい。]
……どうやったら、バーサーカーのお前と、あのトリガーハッピーが一緒に飲みに行くなんていう、奇跡的シチュエーションが実現するんだよ?
てか、その酒飲んだ店、大丈夫か?
剣劇と銃弾で灰燼に化してないだろうな?
もうちょっと詳しく話してみろ。
[ケネスはさらに宗冬の話を聞く。]
[話は、目隠ししているのに相手の姿が見えたと言うものから始まった。
何故だか解らんが認識できたと言うのだ。
今はどうかと言うと、そうでも無いらしい。
ムラがあるようだ。]
心眼ってやつかねぇ……初めから器用に物避けてたしな。
[次に剣が切れないと言う話を聞く]
ちょ、ちょっと待ってくれ。お前の宝具って使い物にならない時があるのか?
危ねぇだろ、それ。
いざって時、大丈夫なのかよ?
[ケネスは溜息を漏らす。]
……え、マジ?向こうのマスターってあの美人だろ?押し車に乗せて町歩いたの?
そりゃあ、気の毒になあ……
[思わず同情する。]
しかし、良く向こうのサーヴァントが許したね。
え、リチャードって名前か?これは良い情報だ。
……何?お前も名乗った?しかも真名フルネームかよ!
俺が、「バーサーカーと呼べ」とか気を使ってやってんのにお前と来たら……
……あっちが物狂いってどういう事だよ?
初めからまともじゃないだろ、奴は。
2人?ふーむ……穏やかな時があるのかね。
まあ、向こうもお前の訳解らんワールドに押されて、ズルズル行ってしまったんだろうな……
少しは俺の苦労も解っただろう。
[とりあえず、完全な無駄足でもなかったようだ。
少しリチャードと言う名前を調べてみようと、ケネスは思った。]
どうして、涙が出るのだろう。
わからないな。
[起き上がり、涙をふき取る。
キッチンまで行くと、牛乳を冷蔵庫から取り出し、鍋へといれて火にかける。
沸騰しないように温めてマグカップに注ぎ、パン一つと共にリビングへ]
そうだ。確か、お爺様の所に……。
[戸棚の中にからアルバムを一冊取り出してくる。それを開き、一番大きな写真が入っているページを開いた。祖父を中心に、たくさんの人が映っている。
その中に、まだ幼い自分と、余り笑顔とは言えない表情で映る少年を見つけた。その下に名前が書いてある。
祖父が、一人一人の下に卒業アルバムのように名前を入れていたためだ]
久仁、彦。それが、彼の名前。
[自分を見る目つきが、羨望と蔑みの混じったような視線であったことを憶えている。
祖父に告げると、それはお前に対してではなく、「本家」のお前に対するものなのだから、ある程度は仕方がないだろう、と言っていた]
[アルバムを閉じる。その中に両親の写真は一枚もない。抜き取られたような跡がいくつもあり、そこに写真が貼ってあったのだろう事は予測がついた]
[墓前で手を合わせる。顔を上げたとき、今日の目的を見つけていた]
シャルロットに話して、後でお墓参りに行こう。
でも。
どうしてお爺様は話してくれなかったのか。
[飲み終わったグラスを洗い、シャルロットを*探した*]
―朝・自宅―
[昨夜は老人をぎゃふんと言わせる手段に出会えないまま帰宅していた。]
はぁ、……昨日の子、可愛かったなぁ。
うちの子になってくれないかしら……。
…………また、会えるといいなぁ。
「バフ!」
あら、タロったらヤキモチ?
[平和ってなんだろう。]
[シャルロットを部屋で見つけ、事情を話す]
折角、見つけたのだから一度は花でも持っていかないと。
普通なら、どんな表情をするのか良いのでしょうね。
[泣くのだろうか。それとも、「寂しい」顔をすればよいのだろうか。想像しようとしたが、途中でその意味を失う。
「形」としてなら、表情は作れる。幼い頃はそれでも作ろうとしていた。
でも今は、「作る」事の意味が分からない。そう思ってないのだから、作らなくても良いだろう、と認識する]
− 朝 樹那森林公園 テント前 −
[霊媒体質の身体が感じたその英霊の御霊は並の人間とは明らかに違う質量を感じさせ、そして今まで見たどの魂よりも真っ直ぐで穢れなく…そのあり方に自分は嫉妬しているのだと気づく…
自らのあり方を変えようと足掻いていた久仁彦の魂も、清純とは言い難いなれど邪悪な気配は感じられなかった。
久子には彼の細かい事情はわからない。]
別に無理に変わろうとする必要なんかなかったのに。
[誰にともなく呟くと、彼の死によって自分がこの戦争で大金を手に入れることができなくなった憤り…だということにすると決めた感情を押さえ、せまる現実の脅威へ対抗するため頭を働かせる。
彼女には人類を守るなどという使命感はない。
彼女は世界の滅亡、人類の滅亡、自分の死、全て同じように感じている。
自分の思い通りでない自分も含む現実も特に変えることを望まず受け入れ、そしてそれを壊そうとする力には抵抗するだけだ。]
[「あ、それと真殿」
外出の準備をするケネスに、宗冬が声をかける。
振り向くと
「香野露葉殿が、がんばってねと伝えてくれとのことだ。真殿も隅に置けぬな。」
と笑った。実に嫌な笑い方だ。]
……馬鹿、お前、そりゃ完全に同情されてんじゃねぇか……
[とうとう他のマスターにまで同情されるようになったかと、ケネスはがっくりする。]
しかし、それ本名なのかね。だとしたら大胆だな。
まあ、良い人なんだろうな……
全くやり難いぜ。
[ケネスにとって、唯一所在を知っているチャールズ達が一番やり易い相手のはずである。
そのマスターに手をかける選択も当然思い浮かぶ物の、どうも日に日に実行困難になっている気がしてしまう。]
こいつの使えなさを補うには、そんなこと言ってる場合じゃねぇのは解るんだが……
[その思考を今は置き、朝の澄んだ空気の中、ケネスは宗冬と*外に出る事にした。*]
−商店街・days4午前−
[シャルロットと二人、花屋に寄り、供える花を買い求める。白いカーネーションを2本、包んで貰って外へと出た。
両親の記憶はない。けれど、今まで知らなかった分、きっかけが出来たような気がしていた]
― 教会 ―
[朝の厳粛な空気の中、ランサーは長椅子の端に座っていた。霊脈の上に作られた教会。冷たい朝の空気に混じり入り、魔力が流れ込んでくる。
宝具トリシューラ。シヴァの槍として知られていた武具。そして、本来であれば対軍宝具であったそれは、ランサーの知名度により弱体化。かつ、本来の広域破壊など出来なくなってしまっていた。
魔力が足りないのだ。
具現化。完全な形を現さないのも、それが大半の理由だろう。だからこそ、ここでランサーは魔力を集めていた。]
[アド・エデムこと「沖田敬一郎」は*此処にはいない。*]
‐days4 早朝 川原‐
[昨晩、あの出来事があってからキャスターは結局自宅へと戻らなかった。
もはや現時点では睡眠は必要ない。
ならば、彼がすべき事は打てる手を全て打つ事だ。]
ふぅ…。
[彼が今いる場所は昨日"ヤツ"と出会った場所からやや離れた上流。
そこに静かに佇むキャスターの周りには、多量の水が静かに佇んでいた。]
[見るものが見れば解るだろう、その水はただの水ではない、キャスターが一晩中魔力を込め続けた力の塊である。
サーヴァントは魔力があるほど有利になる、それは当然だ。
しかし、マスターからの供給は一定量に達すると止まってしまう。
ならば、その上限を超えるためにはどうすればいいか…それは令呪のブーストや魂食い等による外部からの供給である。
話は変わるが、キャスターの能力は"水の支配"。
これは魔力を通さずとも水を自在に操れるという能力である。
そして、キャスターはそこに"魔力"を"篭める"事によって、更に能力をあげる事もできる。
それは…"流動"と"蓄積"の魔術に他ならない。]
[つまり彼がずっと行っていた事とは、己の魔力が完全に回復する度に魔力を水に移して休み、また回復したら水に移すという行為だった。
一晩で回復する魔力量は約半分…つまり、いま彼の周りに漂っている水は、キャスターの膨大な魔力の最大値の約半分をも蓄積しているの事となる。
そして、水の支配者たるキャスターは…そのままそれを取り込む事を可能とする。]
そろそろいいか。
[その言葉と共にゆっくりと…水に篭められた魔力がキャスターの内へと*還っていった*。]
[昨日うずくまっている間に敬一郎が近づいてきているのには感づいていた。
敬一郎とランサーの会話は全て聞こえたわけではないが、次の攻撃目標をバーサーカーにするかアーチャーにするかという話だったようだ。]
(ということは、バーサーカーとアーチャーは沖田敬一郎のサーヴァントではないってこと…
そもそも…あの時令呪を使ってランサーにヤツを攻撃させておけばよかったんだ…)
[千載一遇のチャンスを逃した悔しさが湧き上がる。]
(どうしたら、もう一度ランサーと沖田敬一郎かヤツのサーヴァントが一緒にいる現場に居合わせられるだろう?
…
ランサーの戦闘現場にいることができればなんとかなりそうな気はするけど…
でも、昨日のように他のサーヴァントが倒されるということになるのは困る。
…
そういえば敬一郎はランサーが"こと"を済ませるとすぐに現われていた。
ランサーが不利になった時援護するために戦闘のの様子を探っていたのかも?
…
次に戦闘が起きた時…ランサーが単独では勝てないような状況になれば…
私の願う状況は実現できるかも…)
[アーチャー、バーサーカーというとランサーが攻撃していた、その目に狂気を宿した銃を使うサーヴァントが眼に浮かぶ。]
(あのサーヴァントはアーチャーとバーサーカーの両方を特性を持っていた。
どちらでもないというのはさすがにないよね。
…コンタクトをとってみたいけど話が通じそうな相手ではなかったなぁ…
うまくマスターに出会えればいいんだけど。)
[目標にアーチャーかバーサーカーのマスターとの接触を設定し公園の外に向かって歩きだした。]
− 朝 川原 −
[何度目の接触になるだろう。
無闇に攻撃してくる相手ではないということはわかっていた、キャスターの気配を発見して歩み寄っていた。]
また会ったね。キャスター。
この前は混乱させちゃったかな?
― 教会 ―
イマサラ… 今更の話だ。
[ランサーは、腕を前の長椅子の背凭れにあて、両手を組み、その上に額を乗せた。]
ぼくに、選択の余地は最初からなく。
如何に、人々が嘆こうと、彼らは、
もうぼくにとっては「敵」でしかないんだ。
ぼくは常にそうやって生きてきた。
神の力を。ただ振るわれるがためだけの器として。
それを、否、と感じた事も、苦痛に感じた事もなかった!
なのに、何故なんだ。
どうして……どうして、人は星を滅ぼす結果を招いてしまう事になるんだ。何故、アド・エデムのような、哀しみを生み出してしまう事になるんだ!
何故……共存すら出来ずに、人は星を滅ぼす?
[ランサーを見下ろす像は、何も答える事はなく。また、彼も、答えを求めてはいなかった。]
ん?ああランサーとこの嬢ちゃんか。
[声をかけられて振り向くと、そこにはランサーのマスター。
なんで単身、敵である俺の所に来たのかは知らないが…なにか理由があるのだろう。
もしかしたら、"ヤツ"にランサーを倒されたのかもしれない。]
あー、確かに混乱はしたけど大体把握したつもりだ。
嬢ちゃんが言ってる奴…セイバーのマスターの事じゃないか?
うん、たぶんここであなたが戦っていた、おそらくセイバーのクラスのサーヴァントが沖田敬一郎のサーヴァントだと思う。
何か彼らについて知っていることがあったら教えて。
交換に私は私のサーヴァントの真名を含む私がしっている全ての情報を伝えるわ。
[敬一郎の息がかかった相手なら、ランサーのことはもう知っているだろう。
もう今更自分のサーヴァントの情報を隠す意味はないだろう。
確実に相手の情報がほしかった。]
― 図書館 ―
[ケネスは開いていた歴史人名辞典をぽんと叩いた。]
あったぞ、こいつか。
「リチャード・ジョーダン・ガトリング」
アメリカ人医師でありながら、ガトリング砲の発明者。
人を救い、同時に兵器の発明者ね……。
よし、調べ物は終わりだ。
[ケネスは本を閉じると、図書館を出ることにした。]
ランサーの真名を含む…?
[その口調から、ランサーがまだ消滅してない事がわかる。
既に消滅しているのなら、そんなものは情報とはいえない…だがそれだと疑問が残る。
自分は何度か戦闘をした相手だ、少なくともランサーから見れば自分は敵以外の何者でもないだろう。
そんな相手と、単身で接触する事を許可するだろうか?]
その前に教えてくれ。
嬢ちゃん…ランサーはどうした?
[キャスターの言葉に少し悲しそうに笑みを浮かべ答える。]
…ランサーと私は今は敵同士なんだ。
彼は沖田敬一郎と同じ、人類の滅亡を聖杯に望むつもりだと言った。
私はランサーと沖田敬一郎をこの令呪で止めなくちゃならない。
…そうだ、見て。
[右腕をまくり欠けることのない三画の令呪を見せる。]
あなた私が令呪を使用していたのをしっているでしょ?
敬一郎は、ランサーを勝たせるために令呪をいくつでも使えといって私の令呪を回復させた。
ヤツがまともな聖杯の管理者でないことはこれでわかるでしょ?
−『魔女の館』・自室・朝−
うぅ……。
[頭ががんがんする。
寝返りを打つのも気持ちが悪い。
逃げることもできずに居酒屋に連れて行かれ、
ほとんど飲めない酒を飲まされてからの記憶がふつりと切れている。
一体いつ頃帰ることができたのかもわからない。
ベッドに寝ているということは自力で帰ったのか
それともつれてもらって帰ってきたのか。
ずるずると芋虫のようにベッドから這い出る。
立ち上がろうと少し力を入れただけで
頭痛がふくれあがった。]
ぅぐ……。
[その場で動きをとめることしかできない。
しばらくそうしてから這ったまま
ベッド脇のテーブルにおいてある
水差しに近づき、緩慢な動作で水を注ぎ、
ポケットに入れたままのハーブをちらして呪文を唱える。]
"癒して"
[集中できないまま発動させたため効果は薄いが一気に飲み干す。
次第に頭の奥で太鼓がなっているような痛みや
気持ちの悪さは収まってきた。]
動けそう……かな。
……でも、今日も臨時休業ね。
[体調は完全に戻っていない。
柳生がそのようなことを考えて誘ったとは思えないが、
これが相手の目的だったのだろうかとかんぐりたくなるほど。]
外に出れば少しは気分よくなるかな……。
昨日買い損ねた買い物もしなきゃ。
[身支度を整え、部屋をでる。
彼の部屋の前で連れて行くかどうかしばし悩み、
連れて行っても役に立たなかったのだから
一人でいっても変らないだろう。
『でかけてきます』と書置きを部屋のドアから滑り込ませ、
商店街へと向かって出かけた。]
−『魔女の館』→商店街−
…そうか。
[気に入らない。
マスターと敵対する…それはありえる事かも知れない。
願いや戦略、考え方の相違等火種は幾らでも考え付く。
だが、よりによって人類滅亡なんてふざけた願いの為に敵対するなんて納得出来る筈がない。
それを阻止する為にすべき事、それはそんな馬鹿みたいな願いを抱いてる大本を止める事だろう。
そしてそれは…。]
やっぱ、ヤツを倒すしかないな。
[小さいが、確かな声でそう呟く。
キャスターには"セイバー"に借りを返す必要もある。]
ああ、まともじゃないってのは大正解だな…。
わかった、俺が知ってる事を教える。
"ヤツ"…嬢ちゃんが沖田敬一郎って呼んでる奴は既に人じゃない。
……いや、もしかしたら最初から人じゃなかったのかもな。
[そう、人の身にサーヴァントの力を吸収するなど普通は無理だ。
精神…そして肉体の両面で確実に"崩壊"する。]
ヤツはな、自分のサーヴァントである"セイバー"を吸収し、その力を得たマスターであり八騎目のサーヴァント。
…それがどれほど馬鹿げているか、魔術師の嬢ちゃんならわかるんじゃないか?
― 教会 ―
[涙に濡れた双眸で眼前を睨みつける。
常に悲劇。報われる事などありえない。
呪詛など、当の昔に放ち尽くした。
英霊になり。彼だけでは、神の力なく、万物に影響すらせずとも。]
分かっています。
デーヴァ。神々よ。
私の全ては貴方がたのもの。
貴方がたの意に背く事などありえましょうか。
貴方がたの力こそ、この星の意思。
この星の意思こそ、宇宙の意思。
私は、クシャトリヤ……否、
英霊として……正しき行いを。
− 図書館 −
うぉぉ、それがしも武士として英霊として正しい行いをしなくては!
[宗冬は泣いていた。小説を読んでいたのだった。読んでいるのは隆慶先生が傑作『死ぬことと見つけたり』である。夢中の余り、宗冬は未だ図書館から動けずにいた。]
−商店街−
[花屋で幾つか種と苗を買い込む。
顔色はいまだ青白く、体調が悪いのは傍目にもよくわかるだろう。]
……荷物持ちにつれてきた方がよかったかな。
[買った荷物を両腕に抱えて少しふらつく。
リチャードを連れてきたら持たせたら持ってくれそうな気もするが
「あっ」などといって落としそうな気がする。
ガトリングのほうだった場合はそもそも鼻で笑って持ってくれないだろう。]
役に立たないわ、あの人たち。
[ため息をつき、荷物を抱えなおして歩く。]
あとは必要なものは……。
[ほかに買うものはあっただろうかと考えながら歩く。
すると、ちりりと令呪が反応した。
周囲を見渡すと、見覚えのある人。]
……真さん?
― 商店街 ―
[気がつくと宗冬がいなかった。]
……あいつ、またかよ?
どうすんだ、他のマスターやサーヴァントと会ったら……。
まあ、ここは人通りが多いし大丈夫か?
うん?
常に心に死あるをもって御奉公つかまつることが士道であるよ。真殿。
ってあれいない!?
まさか奉公の対象に逃げられるとは!この宗冬!一生の不覚なり!
[宗冬は隆慶先生の御本を棚から鷲掴みにすると3階の窓から飛び降りた。着地点には手押し車、飛び降りた反動でそれは走り始めた。]
うわ、あんたは確か……
[周りを見渡すが、リチャードはいないようだ。]
こんな人通りの多いとこで、何をするのも無理か……そう思い、少し悩んだ末]
俺はケネス、真ってのは本名じゃないんだ。
ケネスって呼んでくれ。
昨日はうちの宗冬が迷惑かけちまったな
[と、言った。]
サーヴァントを吸収!?
[突拍子のない言葉に相手の顔を覗き込む。
しかしキャスターが何かの意図があって自分を騙すつもりなら他にいうことはいくらでもあるはずだ。]
確かに馬鹿げてる…冗談としても成り立たないくらいに。
めちゃくちゃな話だけど本当らしいね。
約束通り、ランサーの真名を教えるわ。
彼の真名は、ラーマ・チャンドラ。
神ではないけれどその振るう力は神のもの。
宝具は滅びの槍、トリシューラ。
その威力は直接見たあなたの方が詳しいだろうけど…あの時私の魔力は完全ではなかったわ。
今彼には私以外からの魔力が供給されている。
その威力はさらに上がっている可能性があるわ。
私がランサーの情報を話すのは、あなたを含む他のサーヴァントに彼を止めてほしくて。
次にランサーが戦闘を開始したら、私は令呪で彼の行動を縛るつもり。
ランサーが危機になればヤツはきっと現われる…
昨日私は敬一郎とランサーが話すのを聞いたの、今日バーサーカーかアーチャーを狙ってランサーは現われる。
あなたがバーサーカーかアーチャーの居場所を知るなら、彼らをマークしてほしい。
……おはようございます。
今日は柳生さんとご一緒ではないのですね。
[荷物を持ったまま近づき笑みを浮かべて挨拶をする。
自分のサーヴァントもひどいものだと思っていたが
彼のサーヴァントといっしょにすごしてしまうと
ガトリングのほうがずっとましなのではと思えてしまう。
だからどうしても笑みに同情が混じってしまう。]
ケネスさん、ですか。わかりました。
昨日は……。
[酒宴のことを思い出してさらに顔色が悪くなる。]
えぇと……大変ですね。
[しばらく俯いて具合の悪さをこらえてから顔をあげた。]
[ケネスは香野の表情を見て、大体の状態は察した。
しかもその状態は明らかに宗冬が招いた物に違いなく、何だか申し訳無い気持になる。]
……ああ、なんだ。重そうだなその荷物。
持ってやるよ。
[つい、香野の荷物を持ってしまった。]
[あれ、俺何やってんだろ、と若干現状に不思議さを覚えつつ、ケネスは歩く。]
……まあ、大変ちゃ、大変だな。
あの通りの本当にどうしようもない奴で……
てか、あんたとこも抑えるの大変だろ、またあれも違った意味で。
[どうも、穏やかなリチャードの姿が思い浮かばない。]
ラーマ…ラーマヤーナに出てくるヴィシュヌの化身か。
ハッ、通りでムカつく野郎だと思った。
そりゃマスターとも敵対できるわなぁ。
[名前を聞き、即座に対象を思いつく。
そして、続く言葉を吐き捨てる様に口にした。
あー…本当気に入らない奴が多くて嫌になる。
それでもヤツとランサーだけは格別だ。]
残念ながら居場所までは知らないな。
いや…アーチャーならわかるか…?
[ふと、己のマスターやアサシン達の言葉を思い出す。
本拠地とやらまで行けば接触は出来るかもしれない。]
バーサーカーに関しては…見た目を一言で言えば"サムライ"だ。
マスターはマトモっぽかったからな、もし見たら接触してもいいかもな。
……サーヴァントはいけ好かねぇけど。
まぁ、嬢ちゃんも気持ちはなんとなく解るが無茶はするなよ?
サーヴァントの吸収なんて事をやるような奴だ。
どんな隠し玉があるかわからないしな。
ほら、俺って女の味方だから、女が傷つくの嫌いなんだよ。
[最後の一言だけ、普段の軽い口調に戻す。
それすらも久々な程、最近の出来事は大きすぎた。]
[抱えていた荷物が腕の中から消える。
それだけでも楽になり、息をつく。]
ありがとうございます。
お優しいんですね。
……そうですね。
彼はこちらの言うことは聞かないから。
[どこまで話ていいものかと思ったが
そういえば昨日リチャードがばらしていたと思い出す。]
柳生さんから聞いていらっしゃるでしょうけど
リチャードのほうはあなたが見た「彼」とは違うんです。
話を聞かないのは「彼」と同じですけど。
お互い呼び出したものに苦労しますね。
ああ、宗冬に聞いた限りじゃ、何かよく解らなかったけど、1つの体に2人いるのね。
そりゃあ良いな、うちの宗冬も2人いればどんなに良かった事か……苦労が半分だもんな。
出てきちまったものは仕方ねぇんだが、どうもうちが一番貧乏くじくさいんだよなー…。
[しかし目の前のこの女性が、あの男を呼び出してまで叶えたい願いがあるのだろうか、ふとケネスは不思議に思う。]
[最後の言葉に少し笑顔を見せる。]
ありがとう、でもそれじゃ女なら誰でもいいって言ってるみたいだよ?
アーチャーの居場所を知っているの?
問題ないなら教えてほしいけど…
そういう訳じゃないんだけどなー。
あ、でも来るものは拒まずだぞ?誰でもウェルカム!
[相手の笑顔に苦笑と冗談で返す。]
あー…なんか"魔女の館"っていうウチのボケ曰く"オシャレな店"だそうだ。
場所までは知らないから、行くつもりならなんとか探してくれ。
二人いたら苦労が二倍になるかもしれないわよ。
……ねぇ、ほかのサーヴァントって
まともなものなの?
彼や柳生さんのようなのが標準かと……。
[何しろ出会ったサーヴァントが少ないので
あの二人が普通、だと思えて仕方がない。]
……。
あの、何か?
[なんだか見られているような気がして首をかしげた。]
なあ、あんたは何のために聖杯がいるんだ?
正直、恵まれた人生に思えるんだがな。
[自分の店まで持っているのだから、充分では無いかとケネスは思う。]
……俺は、なんて言うか…自分として存在するために戦っている。
[そこまで言って、はたと我に帰り]
変な事聞いちまったな。まあ、言い難いこともあるだろうから無理に答えなくて良いけどよ。
[と、付け加えた。]
魔女の館ね。ありがとう。
私はお爺ちゃんのこと少なくとも嫌いじゃないよ。
今後のアプローチ次第だね。ふふ…
ランサーと沖田敬一郎の話はできれば、他の参加者にも伝えられるなら伝えてほしい。
[アーチャーの本拠地であるという魔女の館を探すため川原をあとにする。]
嬉しいねー、そんじゃ期待しておこうかな。
あ、でももう少し嬢ちゃんの成長にも期待できるともっと嬉しい。
[相手の返答に嬉しそうに返事をするキャスター。]
ああ、わかった。
本当に、無理すんなよー?
[そして、去っていく後姿に声をかけた。]
わたしは……。
聖杯戦争に参加するのが望みだったの。
聖杯を……言い方がおかしいかもしれないけれど、
育てたい、と思って……。
[リチャードが理解してくれなかったことが
この男にわかるのだろうか。
与えられる「実り」に願う何かをわかっている人とは
根本的に分かり合えない。
そんな気がして徐々に声が小さくなっていく。]
強い願いはないけれど
関わり続けたいの。
―朝・自宅―
[愛犬の食事を準備しながら悪態をつく。]
お爺ちゃんったら、アタシには煩く言うくせに、自分は外泊だなんて。
やってくれるじゃないの。
「バフ!ワフ!」
ねー、タロもそう思うでしょー?
酷いお爺ちゃんだよねー。
「マフ!モフ!」
もう、お爺ちゃんなんて放っておいて、マリアちゃん達を探しにいこうかしら。
[美味しそうに餌を食べる愛犬を眺めながら、今日の予定を考え中。]
− 川原→商店街 −
[久子はアーチャーの本拠地だという魔女の館というお店が、お洒落なお店と聞いて、商店街に来ていた。]
そういえばあいつと入ったお店もなかなかいい雰囲気だったよね…
[言ってしまい感傷が湧き上がりそうになるのを抑える。
一軒一軒店の名前を確認しながら歩く。]
(キャスターはバーサーカーが侍風の男って言ってた…
ということはあの銃を持ったサーヴァントはアーチャーだってこと。
うまくマスターと接触できるといいけど…。)
聖杯を育てたいか……
[よくは解らんが、育成する事に価値を見出していると言う事か?
なる実ではなく、伸びる茎そのものに意味がある。そう言う事なんだろうか。
ケネスは勝手にそう理解する。
少し考えた後]
そんな、マスターもいるんだな。
[そう答える事にした。
それから宗冬の話になり]
まあなんだ、あいつらは噛み合い過ぎるってのは、そう思うよ。全く初めて戦った時と来たら――
[ケネスは歩きながら、香野と自分のサーヴァントについての話をし続けていた。]
……。
ありがとう。
[なんとなく納得してもらえたようで
ほんのり嬉しそうになった。]
そうね、ほんとあの人たちは……。
[ケネスの言葉に相槌を打ちながら話し続けている。]
いた!!
[サーバントではなく魔術師らしき魔力が二つ感じる。]
(二人?)
[気配を辿って近づくと令呪が二回反応を示す。
人ごみで誰に反応を示したかわからない。]
(両方ともサーヴァントのマスターなんて…どういうこと?)
[詳しい事情はわからないが願ってもないチャンス。]
ええー!!商売敵の店のマスター同士が一緒に歩いてるってどういうこと!?
[少し人目を浴びるのを構わず叫び周囲の人間の反応を伺う。]
[突然聞こえた叫び声に驚き、周りを見回す。
すぐそばにいるケネス以外にも
令呪が反応をしているのがわかった。
人が何人もいるから誰かまではわからない。]
……ケネスさん、どこかのお店のマスターなんですか?
[尋ねてから声がしたほうに目を凝らした。]
[令呪が反応し、ケネスはセシリアの方に身構える。]
始めて見るマスターだ。
どこかにサーヴァントがいるのか?
[ケネスは買い物袋を下に置き、令呪に手をやりながらわずかに身構えた。辺りに気を配りつつ聞く。]
誰だい?あんたは?
[マリア達の居場所がわからないので、とりあえず人の多そうな場所に行く事にした。]
タロ、お留守番よろしくね。
お爺ちゃんが帰ってきたら、お尻に噛み付いてあげちゃって!
「ワフ!」
[命を救ってもらった恩もすっかり忘れて主人の言葉に応える愛犬を頼もしく思いながら、自宅からもっとも近場の商店街に向かう。]
[香野の反応に自らの愚かさを舌打ちする。]
チッ、そうだな。身を潜めるのが正解じゃねぇか、俺とした事が解り易い反応しちまったぜ。
[どうも調子が狂っているようだ。
ケネスは仕方なく相手の出方を見る。]
[ケネスの反応を見てようやく少女に気付く。]
……。
身を潜めたつもりじゃなかったんだけど。
[ただ単に、露葉にとってあの叫びの内容では
「店のマスター」と「魔術師としてのマスター」
どちらの意味にもとれただけだったのだが。]
注目を集めたということは
戦う以外に何か用があるってことかな?
[自分の声に反応に必要以上な大きな反応を示した男女を発見する。
男の方はこちらに警戒の声を発している。
逃げられたらまずい。]
私はそっちのマスターの店の従業員なの。
だいじょぶ!だいじょぶ!私の方は深い詮索しないから。
ただ私の方が話しをしたいだけ…
[一瞬考える。]
私の飼っているレッサーヴァントについて私が一方的に話したいだけだから。
(…苦しい。通じるかな?)
[少女のいってることがいまいちよくわからなかった。
だが、必死さはなんとなく通じる。]
……いいわ。お話聞きましょう。
どこかのお店に入りましょうか。
[香野の方に目をやり]
呑気な奴だなあ……あいつがサーヴァント連れてたら俺達は危ないぜ。
とは言え、様子が少し変か?
……話してみろよ!
[ケネスは辺りを見渡しながらそう言ってみる。]
え、お店はいるの?
まあ、サーヴァントいないなら良いけどよ。
しかし、何だこの状況。マスターだけが3人も単独行動ってどういう事だよ。
まさかこれ以上増えるんじゃあるまいな。
[ケネスはそうつぶやいた。]
ここで立ち話じゃ注目集まりすぎてて
誰に聞かれるともわからないでしょう。
お店で落ち着いて話をしたほうが
彼女も話しやすいと思うんだけど。
[女性の声に頷き後に続きながら話しかける。]
私はたぶんあなた達の敵じゃない。
私はこの聖杯戦争に自分達の勝利を求めていない。
あなた達には一方的に情報を提供するだけでかまわない。
とりあえず、私の話を聞いてほしいの。
−教会墓地−
[墓標に花を添える]
お父様、お母様。お久しぶりです、と言うべきなのでしょうか。
娘の、ソフィーです。
[表情は無。淡々と、言葉にしていく]
お爺様は、このお墓のことを教えてはくれませんでしたから、来るのがずいぶんと遅くなってしまいました。
今、お爺様の願いであった、聖杯戦争に参加しています。後ろにいるのは、マリアと言って、サーヴァントなのですけど、お父様ならその名前だけでわかるでしょうか。
―商店街―
[人ごみの中で知った顔を探して歩き回っていると、右手首がちくりと痛む。]
……腱鞘炎のようなこの痛み。ソフィーさん?
[周囲を見回してみる。と、ソフィーとは違う“知った顔”を見つけた。]
あれは、……露葉さん……?
[一緒にいるのは風体の上がらぬ男と眼鏡ッ子。
なにやらただならぬ気配を感じる。
これまでに得られた露葉の情報、現在の状況、全てを総合して推理。――――そして一つの結論に至った。]
露葉さん……、あれとは別にもう一人ヒモ、……と、……隠し子!?
[反射的に叫びながら駆け寄る。]
露葉さんっ!貴女にいったい何がっっ!?
お爺様は、始めナポレオンにいわれのある物を用意してたんです。私の力では、呼び出せなかったけど。
結局触媒になったものが見当たらないのですが、お父様が用意されていたもののように思います。
……でも。
[わずかに眉を寄せた]
私には、聖杯に願うものがありません。
何を願えばいいのかもわからない。
願いとは、自ら欲するもの。そうありたいと願うもの。
お父様がもし参加していらしたら、なんと願っていたのでしょうか。
[ふいに、死者を甦らせる事が出来るのだろうか、と疑問に思う。けれど、そうする事に意味はないような気がした。
過去は過去、今は今で、未来は見ない。過ぎ去ったものに興味はなく、これから来るものにも、同様に興味などなかった]
解ったよ、ここで派手にドンパチやる訳にも行かないからな。
店で話を聞かせてもらおうか。
それにしてもマスターってのは男子禁制だったかね。
俺の会うマスター全員女だぜ。
こちらの店ならテラス席があるから
何かが近づいてきたらわかると思うの。
[適当な店にはいろうとしたら
なぜかまた叫び声が。
自分の名前が呼ばれていたので思わず振り返る。]
美貴さん?
何って……何もありませんよ。
[近寄ってきた美貴に微笑み。]
ちょうどいいわ。
あなたもごいっしょにお話を聞きませんか?
[令呪が反応し、ケネスは美貴の方を見る。]
何?誰?また女マスターが増えたの?
やり難いなあ……
…ん?あんたは確かマリアに声掛けようとしてたよな。やっぱりマスターだったか。
……問うても、返事など、来ないのはわかっています。
いつか、願いが何かわかるのでしょうか。
[口を噤み、暫く墓標を眺め――]
[息を切らせて露葉達に駆け寄る。と、こちらの狼狽などお構いなしに冷静にさらっと返された。]
え、……あ、あの……。
そんな、込み入ったプライベートでデリケートな会話に、ついこないだ出会ったばかりのアタシなんかが同席しても、いいのかしら……。
[モジモジしている。]
[令呪の反応とひどく日常的?な反応。
声のした方に目をやる。
この場違い?な反応へのデジャヴを覚える。
見覚えのある顔だ。
キャスターのマスターらしき女性だ。]
(キャスターにはもう話したからもう必要はないけど、まいっか。)
[特に拒絶はしない。]
[先程まで泣いていた眸に、太陽の光は少し痛かった。]
― 教会墓地 ―
[気晴らしをするように外に出た。
当て所なく向かったのは、先日ライダーが歩いた道。
白い石の群れ並ぶ風景を見るともなしに見ながら、歩みを進める。]
……。
[遠く、墓標を前に佇む二人の女性が見える。
花束の香りが風に乗り、ふいにランサーの鼻腔を擽って驚かせた。]
−噴水前・朝−
[今回の事後処理は時間がかかった。
仮にも監督役としての立場である沖田は、その結果問題がない事をこっそりと確認していた。
世界はもうすぐ滅びる。だが最後の最後まで人間を苦しませるのに抵抗を持つのは、彼が生前人類種として他の亜麗百種と戦いを繰り広げ、結果彼自身が人間に対して強い同属感情を持っているからなのかも知れない。
この時代では国同士でいがみあっている。だが、遠い未来では人類種は外敵に対抗するために手と手を取り合って生きている。神に否定はされても。
それは皮肉めいた事実なのだろう、と彼は感じていた]
どんなお話かわたしも知りませんが
聞いて損をすることはないと思いますよ。
[そういうと店の中に入り、テラス席に着く。
注文をして、水を一口飲む。
先ほどよりずっと顔色はよくなっていた。]
わたしは香野露葉というの。
……まずは、あなたのお名前教えていただける?
[少女に微笑みかけた。]
[男の言葉を聞いてきょとんとする。]
……マリアちゃんを知ってる、アタシがマスターだって知ってる、……?
[小声でぼそりと呟いた。]
……ただのヒモじゃなさそうね。
[改めて、露葉達を見る。]
詳しく聞かせてもらいます。
[露葉に続いてテラスの一席に腰掛けた。]
[ケネスは令呪を使って宗冬を呼んだらどうなるのだろう、とふと考える。
当然他のマスターも黙ってはいまい。
次々サーヴァントが呼ばれて、この界隈は地獄絵図になる事だろう……とケネス自身はそう考えていた。
どうも敵意は無さそうだし、今はとにかく情報を増やすか。
やや揺れる気持を押さえ、そう心を決めた。
新たにやってきた女性は美貴というらしい。
目の前の少女の名前と、2人のクラスがケネスには気になっている。]
……。
…まるで、人形のような女性だ。
否。失礼な言葉だった。
[形式上であれ、花を故人に送る事が出来ているのだ。まさか感情がないという事もないだろう。]
[水を一口飲み話はじめる。]
まず、私のサーヴァントについて話すね。
クラスはランサー、真名はラーマ・チャンドラ、そして彼が聖杯に願うのは、人類の滅亡。
……人形、と言うのは近いようではずれているかもしれません。
ですが、本質は似たようなものですから。
ランサー、ですね。
ひとつ、お聞きしてよいでしょうか。
貴方はマスターだったな。
となると後ろに居る人物はサーヴァントだろうか。
――それにしてはサーヴァントたる気配も感じなければ、反対に私達に対して疑問の表情をも向けてはいないようだが。
まあいい。
問いを聞こう。
ラーマ・チャンドラ……。
チャンドラさん、か。
あのかわいい男の子……ね。
[ということはやはりガトリングが戦ったのは
チャンドラであり、ランサーであったわけだと納得する。
そして水を一口飲み。]
人類の、滅亡……?
[昨日の状況を思い起こす。恐怖感はないが、シャルロットは警戒を解かずにランサーの方を見ている]
何故、昨日ライダーのマスターを刺したのでしょう。彼は戦意を失っていた。
サーヴァントを失ったマスターは、聖杯戦争にはもう参加できない、と言ってもいいでしょう。
それと、マスターの方はどうされたのですか?
[露葉の反応に疑問を持ちながらも、あとで聞こうと思い続ける。]
そしてもう一人、人類の滅亡を望む参加者がいる。
聖堂教会の聖杯の管理者を名乗る男、沖田敬一郎。
そちらの美貴さんのサーヴァントの話を信じるなら、彼は自分のサーヴァントを吸収してその力を自分のものにしているクラスは恐らくセイバー。
再契約をされてはという思いもあったが、
敵を殺しただけだ。敵に容赦はせん。
[ふ、と軽く息をついた。]
私のマスターの事を尋ねてどうするつもりだ?
[アサシンを一瞥し、反対に問う。]
沖田敬一郎とランサーは手を組んでいて、ランサーは沖田からマスターの私以外からの魔力を供給されている。
今の彼は強い、昨日戦いでは令呪によって魔力を強化されたライダーを打ち破っていた。
そして、私は聞いたの、今日のランサーのターゲットはアーチャーかバーサーカーだって。
[ランサーの答えに目を伏せる]
それは確かに危惧するべきことなのかもしれません。
ただ。彼は私の血縁でしたので、気になっただけです。
聖杯戦争に参加する以上、死は覚悟してしかるべきですから。
マスターのことを聞いたのは、貴方が教会にいるからです。
本来ここは中立の場所。それは先日ここの管理者である沖田敬一郎に確認しております。
離脱したマスターを保護するべき場所に、サーヴァントである貴方がいるのは、おかしいと思いませんか?
だから、もしマスターが一緒であるなら、と思い聞いたまでです。
それに、昨日のマスターの様子は自分のサーヴァントが勝ったマスターとは思えませんでした。
貴方を止めようとしていた。けれど、貴方はその手を止めなかった。
合わせて考えられる答えはひとつです。
[いつしか視線はまっすぐランサーを捕らえ]
沖田敬一郎……?
わたし教会に登録に行ったときにお会いした感じでは変な人には思えなかったけど。
彼は中立の立場のはずじゃ……
それなのにマスターで自分のサーヴァントを吸収って。
[どういうことなのだろう。
ありえない、嘘のような話が久子から語られている。
だが、嘘をついているようには見えなかった。]
久子さん、なんだかあなたの言ってるの、
わたしの知ってるチャンドラさんと
まるで別人みたいなんだけど……。
[あの時店に来ていた、マンゴーに心を奪われていた彼と
人類の滅亡を願う姿がどうしても重ならなかった。]
彼が狙われるのはわからなくもないけど……。
[奇襲をかけてしまったことだし、
ボロボロで帰ってきたものの
逃げ切れたということは相手にそれなりの深手を負わせたということであろうし。
恨まれててもおかしくはない。]
[露葉の言葉にうなずく。]
あなたランサーにどこかであったの?
そう、ランサーは優しいよ。
最初は私のことを一生懸命まもってくれたんだ…私が死ぬと自分が消えるからだけかもしれないけど。
[少し悲しそうに微笑む。]
マンゴープリンがとっても大好きで、私にそれを強請る姿はとってもかわいかった。
でも人類を滅ぼなければ世界で滅びるって。
ランサーの気持は私にはよくわからないよ…
でも私は人類が滅びるなんていわれたたら黙ってみてられない、彼らの思い通りになんか絶対させない。
(クニヒコの血縁者だったとは…。)
[ランサーの表情は微動だにせず。]
それは知らなかった。
[それは本当だ。]
では、仮に貴方の後ろに居る人物がサーヴァントだとした場合、自分は特別であると貴方は言いはしないな。
貴方の言い分では、マスターが一緒であろうとも、この場にサーヴァントは入ってならないというように聞こえた。
それとも貴方は離脱したか。
何を勘違いしているかは知らないし、
どのような答えを導き出したかも知らないが、
私はどの立場でも、敵は殺す。
[きらりと、ランサーの眸が光った。]
ランサーは、先日こちらに同盟を持ちかけてきたの。
魔術で公園に呼び出しをかけられたのを覚えてる?
その日、店に来てお話したの。
マンゴーのチーズケーキをおいしそうに食べてくれて。
彼は「同盟を結んでいるがライダーは殺してもいい」
っていってたから、
ライダーのマスターは生かしたいんだと思ってたわ。
それって人類を滅亡させたいのとは方向が違っている気がして……。
[水を一口飲む。]
人類が滅びるのは……滅びるのならそれは仕方のないことだけど。
[それが先に待っている結果なら、恐らく露葉は受け容れるだろう。]
滅ぼされるのは、いやだわ。
[それは、芽吹いたばかりの双葉を摘み取る嫌悪感に似ていた。]
貴方の立場などどうでもいいのです。
貴方はサーヴァントで、マスターによって呼び出された。
それは相手のマスターを倒すのに十分な理由でしょう。
ここは教会の外ですから。
[にこりと笑む]
それに私はマスターが一緒でもだめだと言ったわけではありません。
一緒であればまだ納得できる、そう思って聞いたのです。
[ランサーの視線に剣呑なものを感じ、身を引いた]
…同盟の持ちかけ…ランサーがそんな行動をとっていたなんて知らなかった。
最初はライダーとあった時は戦闘を避けて、ライダーに私を守ってくれって言ってたんだ。
…
[露葉の疑念の言葉に顔を伏せる]
やっぱり急には信じられないことだと思うけど…
[自分が同じ立場だったら信じられないにわかには信じられないだろう…]
[露葉の「彼が狙われる」という言葉に彼女がアーチャーのマスターであることにあたりはついた。]
私は次にランサーが戦闘に入ったらランサーを令呪の力で縛る。
あなた達のクラスはわからないけど、ランサーと遭遇したら彼を攻撃して。
ランサーが危機に陥れば沖田敬一郎がきっとやってくる、そしたら私は令呪でランサーに沖田を攻撃させるつもり。
私を嵌めようとした報いは必ず私の手で受けさせるんだ。
…
今ここでクラスを告げる必要はないけど…
あなた達の誰かがアーチャーかバーサーカーのマスターなら、できれば私と行動を共にしてほしい。
ランサーの戦闘現場に居合わせたいんだ。
私は、樹那森林公園の南の方にある発掘調査現場にいるから何かあったら尋ねてきて。
[教会の敷地内。そういう意味で言ったのではないかとランサーは内心考えた。どうも、この女性の言っている範囲というものがよく分からない。]
では私は、今、貴方を殺せるな。
…誤解するな。
私は貴方を今は殺すつもりはない。
何せ、貴方の言う「沖田敬一郎」がお茶を奢りたいようだからな。
[一介のマスターがサーヴァントに抗する術は少ない。身を引く女性と警戒を続ける女性。その方に向かって、歩みを進めた。]
しかし、貴方の話は間怠い。
間怠い話には耐性があるし、話はじっくりと聞くべきではあるが、失礼させてもらう。
[ランサーは、アサシン・アサシンのマスター両名の傍を通り過ぎてゆく。]
そうね。あなたが嘘をいっていない、とは思うのだけど。
あまりにもありえない話なんだもの。
信じてあげたいけど……。
[久子が嘘をついていなくても、
そう思い込まされていることもありえるのだから素直に信じることはできない。
なにしろ露葉はセイバーとまだ出会っていない。
信じるには情報がたりなかった。]
わかったわ。
もし、ランサーを倒しにいくのなら……。
公園に行くわ。
……彼が言うことを聞いてくれれば、だけど。
[小さく付け加えて*頷いた。*]
[返事はせずに、ランサーが通り過ぎるのをそのまま見送る]
沖田、敬一郎がお茶を?
[ランサーが手を出してこなかったことについては多少の疑問も残ったが、ここの管理者にお茶を奢られるようなこともなかったはずだ。
先日、沖田総司に同じことを言われたことは覚えている。
やがて見えなくなるランサーの背を見つめ、*息をひとつ吐いた*]
こいつはまた、えらい話だな……
[次々と新しい情報、それも予想をはるかに上回る情報が現れて、ケネスは眩暈がする思いだ。]
まあ、言っちゃうとバーサーカーのマスターは俺だけどよ……
「人類滅亡」ねぇ……どうにも現実離れしているな。
だが教会の沖田が絡んでるってのは、気になる。
まあ、サーヴァント吸収とか、どう扱って良いか解らん話は置いとくとしても、そもそもこの勝負自体公平かどうか疑問は沸くわな。
[眼鏡ッ子から語られる重い話の数々。脳みその許容量を軽くオーバーしている。]
こっちも、ただの隠し子じゃないのね……。
[項垂れて、小声で呟いた。同時に思い出す。]
そう言えば貴女、以前川原で会ったわよね。
[先日の命の危険を思い出してぞっとする。]
あの時は確かサーヴァントが……そう、インド人のサーヴァントがいたわ。……インド人!!
[昨日の出来事を思い出す。険悪な雰囲気だった、愛らしい少年とインド人。
あの少年を我が物にしたい。
でもインド人に邪魔された。
インド人憎い。]
全面的に協力するわ。
[そう決意した。]
[嘘や罠にしたってもっと無難な話がある、正直ケネスにとって、久子の話はどう処理していいか解らない類の話だった。]
……ならば、飛び込んでみるしかないかね。
OK、話はわかったぜ。
今のところ善処するとしかいえないが、可能ならそうするよ。
[そう言葉を締めくくった。]
[髭面の男のバーサーカーのマスターだという言葉に目を見張りながらも彼の言葉に返す。]
沖田敬一郎については私も詳しいことはよくわからない。
サーヴァントを吸収っていうのも又聞きで自分で確かめたわけじゃない。
フェアかアンフェアかっていう話なら、ヤツにはフェアにことを運ぶ気はさらさらないよ。
最初に私に接触してきた時は、私の一画減った令呪を復活させて、令呪をいくつでも使ったいいからランサーを勝たせろ。って言っていた。
今だってランサーには、私から以外の魔力が供給されている。
あなたがバーサーカーのマスターなら私と行動を共にすること考えてみて。
私は攻撃的な魔術は使えないけど、サーヴァントや魔術師を見つける感知力は高い。
あなたの役にたつかもしれない。
[美貴の言葉に礼を言う。]
ありがとう。
[しかし相手の顔をみると話のほとんどの部分は理解できていない様子がありありと見て取れる。]
えっと…あなたのサーヴァントには既に話してあるからなにかわからないことがあったら彼に聞いてね。
[全員に向けて頭を少し下げる。]
…とりあえず話を聞いてくれてありがとう。
いい忘れてたけど発掘調査現場には入り口から入ってきて。
ほかのところから入ると罠があるから。
それじゃまた。縁があったら会いましょ。
[話を終えると一人先に店を後にする。
いつものように*伝票をその場に残して*]
― 教会→商店街 ―
[ランサーは、教会墓地を出ると行く先を南ブロックに決めた。川原沿いは、キャスターと出会うと分が悪いし、アーチャーの拠点は住宅地にある。
昨晩の話からは、狙う相手はアーチャー、或いはバーサーカーと決まっていた。]
……ヒサコ?
[歩いていくにつれ、久子の魔力が強く感じられてきた。]
− テラス −
店員さん、マンゴープリン下され。
あ、マンゴーチーズケーキもお願い致す。
[そう言いながら宗冬が現れた。目隠しをしているのにも関わらず、一つ空いてる席を速やかに占領する。]
[ヒモと眼鏡ッ子の会話を聞いて愕然とする。]
……そ、そう、貴方もマスターだったのね。
危うく騙されるところだったわ。
[致命的な危険を回避しながらも貴重な情報を得た己の賢明さを誇らしく思った。]
[去っていく久子を見て、ふと伝票に目を通す。]
なんだかんだで、しっかり飲み食いした上、去りやがったな。
[それから美貴の方を見て]
今まで聞いた話から察するに、あんたがキャスターのマスターか。
爺さんのサーヴァントなんだろ?
まあ、よろしく頼むわ。
[停戦協定には触れず、そう言った。]
(……何処に行っていたんだ。まさか。)
[サーヴァントの反応が唐突に現れた。
ランサーは、久子が去っていった方向とは反対方向に駆け出した。]
[隠し子マスターに別れを告げる。ヒモマスターからよろしく頼まれた。]
え、っと、……任せなさい。
[とりあえず、虚勢を張ってみた。
そこに現れるサムライ。
ますます意味がわからない。
が、一つだけ根源的な部分で反応した。]
……素敵な殿方。
図書館で本を読んでいたところ、気付いたら一人でしてな。
急いで真殿を探しに出たわけです。その道のりたるや正に宝暦治水。
ガソリンスタンドで灯油を買ったりビデオを返したり、後は刀に従って走り見つけたるは露葉殿と親しげに話す真殿。
いやいや、これは邪魔したらいかんと今の今まで後ろに潜んでおったわけです。
なのでとりあえずプリンとケーキを食べさせて下され。
[宗冬はまだ席を離れる気はないようだ。]
[マスターには、およそ年頃の女性らしい感情の起伏が少ない…それは常々感じていた事だ。
しかし、昨日ライダーのマスターに駆け寄ったソフィーに起きた出来事、そして両親の墓を見つけたという言葉。
普通であれば、泣いたり感傷的になったり、心は相当に揺れ動くのではないか。
シャルロットは、キャスターがバーサーカーとの同盟の話に乗り気でなかった事を聞いても、墓に同行して欲しいといわれた時も、ただ、黙ってソフィーを見つめるだけだった。]
(……感情を表に出さないでいるのか、それとも。)
【何よこの人?何で目隠ししてるの?何で突然こちらの席に掛けるの?――っていうかこの服装とか小物とか何??挙句の果てにガソリン談義???】
[サムライの全てが美貴を魅了する。
サムライとみすぼらしい男との親しげな会話を目の当たりにして、一つの結論を導きだした。
目の前の男マスターを可哀想な目で見る。]
……そう、……そういう関係なのね。
[宗冬の姿をうっとりと見つめる美貴を見て、今の自分に危機感を覚える。
もしかしてこいつら同類か?だとしたら何てとこに居合わせちまったんだと、やや後悔する。
そして宗冬に立つ気は無いようだった。]
素敵ってこいつが?
[思わず美貴に問う。常人から見たらどう見たって、侍姿の変態なはずだ。]
―― サーヴァントか。
[店の向かい側にある建物の上から様子を伺う。]
問題は……何故、目隠しをしているのかだが。
あの状態で、プリンとケーキを…(しかも、マンゴーの)…食べるというのか。
[残るは、アサシン、バーサーカーのみ出会っていないので、必然的に気配を断てないサーヴァント=バーサーカーとなる。
しかし。何だか和気藹々として見えるのは気のせいだろうか。想像していたバーサーカーと、全く違う。]
……そういう関係ってどう言う関係だよ。
こっちは、何なら「お二人でごゆっくり」って立ち去っても良いくらいだぜ。
[今のところ宗冬に立つ気配はなく、渋々席に座った。]
−教会→川原−
[ランサーを見送った後、少しの時を置いて教会を去る。そして足は川原へと向かった]
……マリア? どうかしましたか?
[シャルロットの様子に視線を向け]
キャスターがいるようですね。
[すぐに川原の方へと向き直った。川の姿はずいぶんと違って見えたが、目にはキャスターのみを映している]
[宗冬は、おもむろに手でケーキを掴み、向かいの店の屋上に投げつけた。]
曲者なり!
[今、宗冬は鋭い視線を感じた。視覚を閉じれば、その分他の感覚が鋭くなるという。心眼を持つ宗冬なら尚更である。目隠しをした宗冬だからこそ感じることが出来たのだろう。]
気のせいであろうか……。
アドは、あの男と相性が悪い……?
[「柳生宗冬」と早速名前を名乗っている。
……。
確かに、判断に困る。
それにどうやら。
あそこに居る面々は、マスター達のようだ。
悪い予感は当たったように思える。否、久子がこういう行動をとる可能性など、手に取るように分かっていたではないか。
…。今なら、一挙にマスターに致命傷を与えられる。
ランサーの双眸は、獲物を狙う鷹の目のような輝きを帯びた。]
[サムライの褒め言葉に浮かれて、ヒモの言葉は届かない。]
う、美しいだなんて……そんな、……見かけ通り、正直な方なのね……。
[そして姿を現したランサー。昨夜見た戦闘ぶりから、自分がサーヴァントと知れてタイマンになるのは、どう考えても不利。マスターを連れて逃げ遂せるだけが関の山と考え気配遮断は解除しなかった。
ソフィーとランサーの会話も、ソフィーの感情の動きに気をとられて上の空で聞いていた。ランサーが攻撃を仕掛けてくれば速やかに撤退しよう、そんな事だけを考えて居るとランサーは何事か言いながら立ち去った様子だった。]
お前、せっかく来たマンゴーチーズケーキを……
誰が金出すと思ってんだ。
何?なんかいるの?
[外を見てみるが特に変わったものは無いようだ。]
それにケーキじゃ、当たってもダメージ無いだろ。無駄な物、投げるなよ。
[ケネスは溜息をつき、もうひとつケーキを頼んだ。]
[マスターが移動するというのでその後をついてきた。今日、シャルロットはソフィーから投げかけられる言葉に対しても、満足に口をきいてすら居なかった。]
(聖杯に願う事もない、感情を出さない、私からはマスターの考えていることが、どうしても、掴めない……。)
[ふと見るとキャスターの姿が視界に入った。
バーサーカーとの停戦協定の件について、どうしても気になっていたシャルロットは、それまで閉ざしていた口を開いた。]
マスター、少しヴァイナさんと話がしたいです。少し、単独行動してもよろしいでしょうか。
危険になったら即令呪で呼んで下さい。
[そう言うなり、返事も待たずに走り出した。]
いや、今、確かにサーヴァントらしき存在とその視線が……。
サーヴァントの気配はまだ消えておりませぬな。
ならばこれを!
[宗冬は、振りかぶってフォークを投げつけた。屋上にフォークが突き刺さる。]
コントロールに失敗したようですな。
ま、たとえもし攻めて来ましても、美貴さんはこの宗冬命に替えてお守り申しましょうぞ。
[宗冬はプリンを掬い上げながら宣言する。]
…なかなかの味。
[口元が緩んでしまいそうなのを抑える。]
あの男…強い。
[投げたマンゴーチーズケーキは、ランサーの元に来るまで崩れすらしなかった。
余談だが、香野の元で食べたケーキよりも、チーズの味が濃かったが、マンゴーの味も濃かった。]
……。
[ランサーは腕輪をチャクラ(戦輪)にさせると、SAMURAI目がけて投げてみた。]
宗冬様……、お名前も素敵……。
[突然ケーキを放る宗冬に驚いた。
が、その先の殺気を感じ取ると同時に、目の前のサムライに対する陶酔。]
ああ、宗冬様……、何事にも敏感なそのお姿も素敵……。
[キャスターの元へと走っていくシャルロットを見送る。何か考えがあってのことだろう、と思い自身は駅の方へと向かって歩き出した]
[自分の魔力の流れを確かめつつも、頭の中は別のことを考える。
ランサー…彼の物語もキャスターは知っていた。
そして、その内容が自分の中で嫌悪感を抱く内容だという事も。]
【チッ】
[そんな彼が今回とった行動も、キャスターにとって全く納得が出来ない。
思わず舌打ちをしていた。]
ってうお!?
[そんな時、目の前に突然マリアが現れ、思わず声をあげてしまう。]
って、なんだマリアちゃんか。
―川原―
[キャスターの前に姿を現すと、徐に口を開いた。]
ヴァイナさんごきげんよう、うちのマスターがバーサーカーと同盟を結んだという話はご存知ですわね。
キャスターとバーサーカー間に停戦協定を結ぶ、という条件だったそうですが……貴方は気乗りしていなかったと聞きましたが。
[じっと、キャスターの表情を凝視していた。]
[ケネスは美貴の言葉に外を見る。]
インド人なんていねぇじゃん。
ああ……何なんだ、この訳わからんワールドは。
1人でもたち悪いってのに……
[ケネスはその場にいるのが居たたまれなくなって、*トイレへと逃げ出していた。*]
店員さん、マンゴーチーズケーキもう一つお願い致す!
[宗冬はマンゴーチーズケーキを食べながら殺気を放つ危険なインド人からは注意をそらさず店員に追加注文した。]
ん…ああ、アレか。
[マリアの言葉に、昨日の出来事を思い出す。]
ああ、俺は気乗りしないっていうかあの場で攻撃したいぐらいだったね。
ってそれがどうかした…の?
[じっと見詰められて若干うろたえるキャスター。]
−噴水前−
令呪が反応しているのか。
[どうやら誰かがこちらに来るようだ。そろそろ行動を開始しようとしていた所でもあるし、偵察に行くことにした。
・・・・・・ 無理に戦闘はしない。もし剣を抜くならば一撃必殺。それが大地を蝕まないための条件だった。
だが、もう一つ。彼が積極的に戦闘に参加したくない理由もある。そしてそれこそが彼の最大の弱点でもあった。
彼は、他のサーヴァントと違い、受肉している事。まさにそれだった]
コウノ!
アーチャーと共に、公園に来るがいい!
そこのバーサーカーも共にな。
[キャスターのマスターはガン無視をするつもりはなかった。
…まあ多分、無視をしても、キャスターは来る可能性の方が高い。久子が先程までここに居たのであれば。]
−駅前−
[令呪の反応を確認しながら駅前へ移動する。
視界に入ったのは、空穂だった]
・・・・・・ 彼女、か。
[特に意味はない筈だったが、空穂という女性ともう少し話をしてみたいと思っていた。それはアンリ・マユの記憶を受け継いでいるからだろうか。
そのまま彼女のほうへと近寄っていった]
店員さん、アタシもマンゴーチーズケーキをお願いっ!
[もはやマンゴーチーズケーキが何であるかは問題ではない。
宗冬の後を辿る事こそ我が正義。
美貴はそう感じでいた*]
−中央ブロック・噴水近く−
[噴水が見える辺りまで来ると、令呪がちくり、と痛んだ。
昨日の戦闘の跡はだいぶ消えてはいたが、所々に爪あとを残している。
令呪の反応にしたがって、辺りを見回した]
[一点で、視線がとまった]
沖田、敬一郎……。
[こちらに、歩いてくる。気づいているのがわかり、足を止めてじっと見つめた]
……こんな事を、自ら別行動をしていた私が言うのは筋違いなのでしょうけれど。
私は貴方が気乗りしないと言った話を進めてきたマスターの気持ちが、どうにも理解出来なくて。
情報交換が生じる停戦協定では、私には何のメリットも無いように感じたと言うのもありますし……。
[そこまで言うと口ごもる。
自分のマスターが何を考えているのか、どうにもその気持ちの把握が困難になっている。
信頼関係を保つ事が何より重要な、サーヴァントとマスターの間に。きちんと対話を持ってきた筈なのに溝を感じ、ここ数日不安を覚えて居るのは否定出来ない。
どう、マスターを理解していいのか判らなかった。その不安は口調に現れていたかもしれない。]
[香野の問いに、声を立てて笑う。]
――その通りだよ。
ぼくは、否、私は人類を滅ぼそうと思っている。
ヒサコが公園に招いたか。
私は私の使命を果たすだけだ。
それとも此処で、町が崩壊しても良いというのなら別だ。私は、一向に構いはしない。人が何人死のうとも。
[見据えた双眸は凍える如く。]
では――後程会おう。
[ランサーは身を翻す。
跳躍。向かうは*樹那森林公園。*]
やあ、約束どおり教会の外で会う事になったね。
サーヴァントはいないのか。全く無防備だな。
まあいいさ、ところでもし良かったらどこかでお茶でもどうだい?
確か、君に以前お茶を奢らせてしまった奴がいる筈だ。そのお返しに。
【男には一生女の思考が理解できないって誰かが言ってたなぁ。】
[キャスターはその場に座り考え始めるが、そんな事が浮かんできて苦笑する]
俺にも良く分からないんだよな、ほら俺元々同盟反対だったし。
あー…!今思い出しても腹立つなぁ、マリアちゃんを戦力としてみないとかいいやがって。
[思わず文句を言いそうになるが、ギリギリで踏み止まる。]
まぁ、情報交換って言っても会話を聞いた限りじゃ言いたい事だけ…って話だったしさ。
情報を操作して上手く動かすとか…何か考えがあるんじゃないかな?
[話しかけてきた沖田敬一郎へとにこり、と形だけ微笑む]
そのようです。
マリアは、私に聞かせたくない話があるようです。
ただ、私の身に危険が迫れば、令呪で呼び出すことになっていますから。
お茶、ですか。
私が奢ったのは沖田総司、セイバーに対してですが……やはり、彼と貴方は関係があるのですね。
[警戒を解くことはない。けれど、ここで突っぱねては先に進まないような気がしていた]
では、おいしい紅茶を、奢っていただけるでしょうか?
お茶、か。
僕が知っているのは君たちが行った喫茶店くらいだがそれでもいいかい?
僕自身も紅茶には拘っているほうだが、まあその店は悪くないようだ。他にいい店があれば紹介してもらいたいけどね。
……ええ、そういう風に立ち回るマスターならば、別に構わないのですが、卑怯なことは好まない、と私に告げるようなマスターなのですわ。
[情報操作の考えが、というキャスターの言葉に、緩々と頭を振った。]
まあ、戦力外がどうこうと言うのは私の特性上、直接戦闘に於いては当然の事だと思うのですが、私が理解できないのは、その協定の形なのです。
……私たちは貴方たちと同盟を組んでいます。これは重要な前提条件ですわ。
貴方が反対している以上、こちらがバーサーカーと、例え条件付であれ情報交換を行うのは、適切な行動とは思えないのです。
だって、私たちが掴んでいる情報は、貴方と共有しているものなのですもの……。
私が考えていたのは、あくまで共闘を視野にいれた同盟。
……停戦協定と情報交換は、どう考えても私にメリットが、ない気がするのですもの……。
[話しているうちにどんどん声が小さくなる。
なぜ、一番自分が信頼せねばならないマスターの事について、いずれ敵となるサーヴァントに話しているのか、心に矛盾を抱えてそこで言葉を切った。]
私も、日本は二年ぶりですので、新しい店は存じません。それ以前も、特に店に入ることはありませんでしたから。
この前のお店でも、どこでも好きな場所を。
うーん、確かにそんな感じの人だよなぁ。
[仲間と言ってもたった数日の関係だが、それでも性格や人柄などは把握できているつもりである。確かにそこからはそんな事をする感じには見えない。]
いやさー、マリアちゃんがどう言ったって俺は許せなかったんだよね。
信頼してる仲間をそういう風に言う奴と、手を組むなんて俺には無理だ。
[まぁ、マリアちゃんが俺を信頼してくれるとは限らないんだけどさ、と笑う。
だが、消え入りそうな声で言葉を続けるマリアに対して真剣な顔で顔を覗き込んだ。]
もしかしてマリアちゃん、マスターとの事で何か悩んでるの?
喧嘩したとか…?
そうだなあ・・・・・
[駅前を見渡すと、割とこぎれいな喫茶店が目に入った]
じゃあ、試しにあの店に入ってみよう。
どんなお茶を出すのか楽しみだ。
[少しだけ笑みがこぼれる。
そしてそのまま空穂を誘導するように喫茶店のほうへゆっくり歩いていく]
[信頼している仲間、という言葉がキャスターの口から出るのを聞くと、俯いていた顔を上げて少し顔を綻ばせた。
だが、その後に続いた質問には、少し表情を曇らせる。]
ねえ、ヴァイナさん。
今まで知らなかった両親の墓を知った時、人ってどんな気持ちになるものでしょうか。
幼い頃接した親戚が目の前で死んだ時、人にはどんな感情が沸くのでしょうか。
[私なら……あんな反応にはならない、と思った。]
……いえ、何でもありませんわ。
[まるで自問自答しているかのような言葉の後、一旦言葉を切る。]
マスターに、協定の件で不服を申し立てれば済む事なのでしょうけど……。何故かその話をマスターに聞かされたとき、何も言う事が出来なかったのですわ。
[ゆっくりと、沖田敬一郎の後をついて行く。見せた笑顔は以前、聖杯戦争への参加を言いに行ったときと同じようなものに思えた。
沖田総司とは違う、けれど、もっと異質なもの。そう感じたのがまるで幻だったかのように。
喫茶店へ入ると、窓際の席を選んで座る]
さてと。
[メニューを軽く見て]
ダージリンと、そうだなあ。モンブランを頼もうかな。
君は?もう注文は決まった?
[紅茶の話をしている時は、マスター達が最初に教会を訪れた時の彼の表情と変わらない印象がある]
[マリアの質問を聞いたキャスターは、"うーん"と唸った。
彼には両親がいない。
いや、正確には居るのだが…死と無縁の神である。その質問に対する答えは持ち合わせていなかった。]
ごめんマリアちゃん、俺はその質問には憶測でしか答える事が出来ないや。
……俺って生まれた時は一人でさ、親自身もあったことが無い上に死という事柄とは無縁の存在だった。
唯一の友と言える相手も、俺の方が先に消えちまったからさ。
[軽い口調で自分のことを語るキャスター。
別に彼も自分の人生を悲劇だなんて思っていない、生まれにこそ不満はあったが…それでも楽しい事もあったのだ。それで十分だった。]
[暫くメニューを眺めていたが、]
アップルティーをいただけますか。今は、フレーバーティーの方が落ち着きそうです。
[そういってメニューを閉じる]
……沖田さん、何かお話があってお茶に誘ったわけではないのですか?
[閉じたメニューから顔を上げて、沖田敬一郎を見た]
具体的な話題があるわけじゃない。ただ君に少し興味を持った、という事かな。
君は、この聖杯戦争でどんな願いを叶えるつもりなんだい?
いや単純に僕の興味からの質問だ。答えたくないならそういってくれて構わない。
……まあ。
[予想をしていなかったキャスターの言葉に、一瞬ばつの悪そうな顔をして、申し訳なさそうに口元に手を当てる。努めて軽い口調が却って気を使わせたようで、申し訳ない気分になった。]
そうでしたの、私ったら迂闊な事を聞いてしまってごめんなさい。
……バーサーカーとの現状の協定、私はマスターに反対しようと思ってますの。ヴァイナさんにとっても、それで問題がないようでしたら。
一度結んだ約束を反故にするのも気が引けますが、気乗りもせずメリットもない約束を、引き受けるほどこの聖杯戦争は甘くはない、と思うのですわ。まだ、幸いにも協定の行使はされていませんし、今のうちかと。
[一度した約束を解除するのは気持ちのいいものではない。ましてや自分が己の意思で席を外した後のこと。マスターに判断を任せるといったのも自分なのだ。
解除した瞬間、バーサーカーが怒って襲ってくるかもしれない。でも、どうしても、現状の形が最善とは思えなかった。]
願い、ですか。
[しばし考え込む]
私が聖杯戦争に参加したのは、そもそもが祖父の願いだったからです。それをずっと言われてきました。
最後の手紙まで、そんなことばかり書かれていたほどです。
それでも、私には、願いがどういうものなのか、それすらもわからないのです。
どんなに考えてもわからない。お爺様は「願いは自分が欲しい、と思うものを祈ること」だと言いました。その対象は何でも構わないから、と。
でも、願いを見つけなければ、私にはこの聖杯戦争を戦い抜くことが出来ないと思っています。それだけの、執着がないのですから。
だから、願い事はまだ決めていないのです。
あー、全然気にしないでいいよ。
俺が勝手に語っただけだし。
[謝るマリアを見て、余計な事言ったなーと悔いるキャスター。
そんなつもりが全然無かっただけにバツが悪い。]
そうだ…な。
マリアちゃんが俺の意見に賛成してくれるなら反対する理由は無いよ。
俺もそこまで乗り気な話じゃないわけだし。
っと、そういえば短剣の方…何か収穫はあった?
[思い出したように尋ねるキャスターに、マリアは一本の短剣を差し出した。
キャスターはそれを受け取ると、刃先に指先を当てる。
すると、中に吸い込まれた血が赤い糸となってキャスターの体内へと入っていった。]
・・・・・・ 成る程、魔術師らしい考えだ。
確かにそのままではこの戦争に勝ち抜くことも無理だろうし、たとえ勝ち抜いても全くもって無意味だろうな。
もっとも、聖杯に願いを求めること自体良いことではないのかもしれないな。
[テーブルに紅茶が到着し、軽く香りを嗅いだ後軽く口に含む]
悪くない紅茶だ。
あの聖杯だけではない。この世の中は天秤のようなものであり、誰かが強い力を得れば他の何かが力を失う。君が私利私欲に偏った願いを聖杯に求めれば、きっと聖杯は誰かを不幸にするのだろうな。奇跡とはそういう物だ。
[カップをテーブルに置き、空穂を強い眼力で見つめる]
ならば、願いとは何なんだろうね。きっと誰かを不幸せにするだけの器なのかもしれないな。あれは。
君に聞きたい。
この世界が人間のせいで侵されているとしたら、人間は罪人なのかな。
それとも、地球が滅んだとしても人間は自分の利益を追求し刹那的に行き続けるべきなのか。
僕はもしかしたら、まだ悩んでいるのかもしれない。
この地に来たときには気持ちは固まっていたのに、何故だろうな。
[血とは極端に言えば魔力であり、魂である。
そして知識とは血と共に受け継がれ後世へと受け継がれてゆく。
そう、命の水とも言うべき赤き血には魔力と共に知識が宿る。
そして水の支配者たるワイナミョイネンは…相手の血を体内に取り込む事でその持ち主の"知識"を読み取る事が出来る。
それこそがワイナミョイネンが持つスキル"血識吸収"。
もちろん、少量の血で全てが解る訳でもない。深い所には触れる事などできないし、量によって得られる情報も違ってくる。]
そうか…やっぱりアレはライダーだったか。
[今回の血で得られたのは、相手の持つサーヴァントの姿とクラス。
しかしそれはキャスターにとってありがたい情報であった。
そう、キャスターから見て"ヤツ"以外の7つのクラスが全て埋まったのだ。
これで確信へと至る…ヤツが八騎目のサーヴァントだと言うことに。]
ありがとう、これで確信できたよ。
約束のお礼しようか?
[微笑みながらマリアに短剣を返す。
だが、すぐに真剣な顔に戻りマリアの顔を見詰めた。]
…マリアちゃん、後でも良いからもう一度川原へ来てくれないか?
ちょっと時間はかかると思うけど、どうしても話さなきゃいけないことがあるんだ。
[キャスターはそれだけ*告げた*]
そうなの、でしょうか。
[沖田敬一郎の視線をそのままの強さで返し]
確かに、魔術師の力は等価交換である以上、聖杯に願えば、どこかにその反動が行くのでしょう。
でも、誰かを不幸せにするだけの器が、果たして「聖杯」と呼ばれるのでしょうか。そう呼ばれるからには、それだけの理由があるはずです。
「奇跡」を起こすから「聖杯」ならば、人はもっと簡単に聖杯を作り出せるでしょう。
でもそうではない。
聖杯がなんであるのか、私は見たことがありませんので、知り得ません。ですが、たくさんの魔術師や英霊がそこに願いを求めるのなら、きっと、不幸せにする以上のものがあるのだと、思います。
―朝、自宅―
…さて。
[昨日の夜は、なんだか、楽しかった。
あの宗冬という男は面白かった。
妙な知識も多く持っていたし、結局一度も殺気を見せなかった。
酒を飲むのは久し振りだったし、悩んでも状況は好転しそうもなかっただけに、そのまま楽しみ、満喫してしまった。
この世は楽しい。
好きだ。
だが、僕には望みがある。
そのためになら、この楽しみも捨てよう。
自分が弱いことを嘆くのは、いつでも出来る。
自分があれを作ったことを後悔するのも。]
…さぁ、後始末は終わりだ。
存分にやるがいい。
不幸せにする以上のもの、ね。
聖杯は願いを叶える以外にもう一つ別の顔がある。
死亡したサーヴァントは聖杯に留まり、そして一気に英霊の座へ戻ろうとしたときに生じる”穴”。
その先に起源へと通じる道があると言われているからだ。
起源への到達は魔術師にとっての最終目標だから、不幸以上のものかもな。
[続く言葉には首をかしげる]
世界は移り行くものです。
人も、世界も同じ。
人が罪人だというなら、それはなんて心の狭い世界なのでしょうか。
人はいつか滅び行くものです。ただそれだけの間くらい、「地球」からは微々たる時間だと思います。
それに、人が地球を侵しているのではなくて、人にとって住みやすい世界を自分たちで壊しているだけ、のような気もします。
少なくとも私は、人はそれほど愚かではないと、思っています。そして、愚かなのだとしても、それを決めるのは人ではないのでしょうね。
起源への、到達。
……。
それは、人が到達してよいものなのでしょうか。
魔術学校でも、その辺りのことは言われましたが……。私には、理解しかねる内容でしたから。
ですが、聖杯にはそんな側面があるのですね。
[纏う空気が、一瞬にして変わる。
ごく平凡なものから、常人が見てもそれと分かる剣呑なものへ。
左手の中指で、眼鏡をつり上げる。]
…っち。
勝手に楽しみやがって。
ふざけろよ。
[別に酒が好きとかいうわけでもないが、「彼」が勝手に楽しんでいたこと、そのものが気に入らない。
宗冬…あの、戦闘の申し子と、ただ酒を酌み交わすという状況も、あまりに勿体無かった。]
あの、ド無能が…。
俺だったら、もっとずっと。
あの宗冬って男を、楽しませられたのに。
・・・・・・
じゃあ、その地球が人を愚かだと判断したとしたら、どうするんだい。
地球は近い未来死ぬ。事実だ。
そしてガイアは一度自分の死を受け入れたさ。
ただ人間はそのガイアの死すら犯した。
僕の正体は、2000年後の未来に滅びたこの大地に生まれた反英雄だ。英霊の座から一度だけ、この地に受肉しガイアの意思を遂行するためにこの聖杯戦争に参加した。
そしてそれはガイアの意思だ。
地球は人間に、滅びを命じた。理解できるかな。
今の聖杯の願いについての件もそうだ。
人間は愚かだ。起源に人間が到達してどうするつもりだ。
[紅茶を飲み干し]
君と話せて良かった。またこうしてお茶を飲んでもらいたいな。
地球が、滅びを命じた?
[暫く考え込み、顔を上げた]
貴方がどんな場所から来たのだとしても、どんな存在だとしても。
私には「人類の滅び」に賛成することは出来ません。
賛成してしまったら。
私は本当に人ではなくなってしまう。
[カップに残っていたアップルティーを飲み干し]
沖田さんは、本当に二つの顔を持つのですね。
「沖田敬一郎」は本当に、ただのまじめな青年だったのだと、思います。
[立ち上がり、沖田敬一郎へと会釈した]
次に会う時が戦場なのか、それとも喫茶店なのかはわかりませんが、お茶を飲むだけでしたら。
有難う。ではそろそろ行こうか。
[レシートを取り上げ]
とりあえず、これで貸し借りは無しだ。
[そう言って料金を支払い、店を出る]
[後を追うように店を出る]
それでは、失礼します。
お茶、ごちそうさまでした。
[一言お礼だけ告げて、商店街の方へと*歩いていった*]
・・・・・・
[去っていく彼女の背中を眺めながら]
だが最後には滅びる運命だ。人間も、そして亜麗百種の全ても。
[悩んでいると言葉を発した。だがそれはきっと聖杯の使い道を悩んでいるのではなく、事が済んだ時にどれ位自分の罪を悔いるか、というただそれだけの悩みなのだろう。
だが、それは今まで紅茶を飲んでいた女性の滅びも望んでいるのだとも考え、僅かながら*感慨に耽った*]
[左腕を、ぐるぐると回す。
左手の指を順番に握り込む。
既に、全く違和感はない。]
…これだけは、褒められるな。
[顔をしかめる。
「彼」が温存した分、魔力も充実している。]
これなら。
お前の言う通りに、出来そうだぜ?
クハッ。
[存分に、*やらせてもらおうじゃねぇか。*]
[キャスターに短剣を返すと、取り敢えずその場は解散した。
ヴァイナからじっくり話す時間が欲しいと言われたため、まずバーサーカーの件でマスターと話す事が先決だと判断したからだ。]
ええ、必ずまた、ここに来ますわ。
[そうヴァイナに告げて小さく笑むと、そのまま己のマスターの気配を追いかけた。駅前には、不穏な気配を感じる。]
……これは。
[気配遮断のまま駅前の店が並ぶ付近を通過する。
サーヴァントの気配を僅かに感じる。警戒を怠らず、それでも見た目には令嬢の散歩に見えるようのんびりと歩いてゆく。]
−商店街−
地球は、人間に、滅びを命じた――
[ポツリと、復唱する]
人類の、滅び。
[それがどういうことであるのか、頭では理解した。けれど、納得など出来るはずもなかった。
行き交う人の流れをぼんやりと見つめる]
[商店街には幾つか不穏な気配がする。
サーヴァントが複数居る、と感知し、ソフィーがその付近にいる可能性を考え若干緊張が走る。
小走りに歩いていくと、程なくマスターの姿が見えた。]
マスター、少し……お話が。
振り返ったソフィーに、一旦屋敷に戻りたいと告げる。ソフィーは、重要な話ならばそれが望ましいだろうと同意してくれたので、そのまま屋敷へと足早に戻る。]
[商店街には、小さな頃からよく来ていた。人を観察する場所に最適だった。なにより、色んな表情がここにはあった。
目を閉じ、行く末を思う]
その未来は、変えられないのだろうか。
いつか星が滅ぶのだとしても、人が今滅ぼされるにしても、それは早すぎる。
[未来は、不確定要素なのだと、聞いた。だからこそ「未来」は自分にとって興味がわくものではなかった。決まっていないのであれば、関心を抱くものではない。
その未来を夢見て、努力してる人が多いのも知っている。
けれど、「夢見る」ほどの欲求も何もないのだから、自分から「未来」を気にすることはなかった。
ただ「今」を最善に生きてきただけだった]
[目を開くと、シャルロットの姿があった。その言に従い、屋敷へと戻る]
[リビングのソファへと座り、シャルロットを見つめた]
お話とは、何でしょう。
[沖田敬一郎の話をしなければ、とも思っていたので、屋敷まで戻ることは自分にとっても好都合であった]
マスター、先日聞きましたバーサーカーとの停戦協定の件ですが……。
色々考えてみたのですが、やはり私はどうしても賛成しかねます。共闘を視野におかずにバーサーカー達と停戦をするメリットが私には理解できません。
……マスターには何かお考えがあるのでしょうか。
私の意見は、アサシンとバーサーカーの間に同盟を結ぶなら、同盟関係にあるキャスターに対してバーサーカーは攻撃をするな、と言うものでした。
私たちとバーサーカーたちの間に結ぶのが停戦協定では、こちらは情報を搾取されるだけでなんのメリットもない様な気がしてなりません。
こういう形の協定は、出来れば破棄したいのです。当然バーサーカー側は怒るでしょう。マスターを危険な目にあわせるわけにはいきませんから、破棄の申し出は私がしにいきますが。
[そう言って言葉を切ると、じっとソフィーを見つめた。]
メリット、ですか。
そもそも私たちとバーサーカーたちのみが共闘し、キャスターたちには手を出させない、そして私たちとキャスター間の同盟の維持、これはあまりに、自分たちに都合がよすぎる、と思ったことも原因のひとつです。
バーサーカーのマスターは持ちかけてきた側ですが、私たちが彼らより優位に立つ理由などありません。
こちらが直接戦闘が得意ではない、のはこちらの都合です。同様に、バーサーカー側のサーヴァントの特性が同盟に向かないのもあちらだけの都合でしょう。
それを基準に対等なものを結ぶのならばまだわかるのですけど。
停戦協定にメリットがない、と言われますが、本当にそうでしょうか。彼らは同盟を組める相手を探していた。私たちと相性がいい、と言うのは本当のことでしょう。けれど、私たちと同盟を結ばないのなら、他と組む可能性は高い。
それは同時に、敵を増やす行為でもあります。
シャルロットが正面きって戦うのが得意ではない、と言うのなら、尚更、いまだ相手にしたくないサーヴァントのひとりだと思いますが。あのサーヴァントには、知略など意味をなさないように思います。
最も、いつかは戦う相手なのでしょうけど。
ですが……、シャルロットが、破棄したいと言うのであれば、それに反対するだけの理由もないのも確かです。
貴女の言い分もわかる。
それでも、破棄については私から伝えるようにいたします。私が受けたのですから、それは当然のことです。
破棄を申し出たことで、怒ってこちらに戦いを仕掛けてくるようなマスターには見えませんでしたから。
でも。
[目を伏せる]
この聖杯戦争は、もうそのような次元ではなくなってるのかも知れません。
沖田敬一郎と言う人は、既に沖田敬一郎ではない。
そして彼は、人類に滅びを与えるために、この聖杯戦争へ参加しているようです。
それが、地球の意思なのだと。
話を聞いた限りでは、彼もサーヴァントなのでしょう。受肉した、サーヴァント。でも、マスターがいるような風ではありませんでした。
昨日や今朝の様子からすれば、ランサーと彼にはつながりがあるのだと思います。どういう関係かまではわかりませんけど。
[立ち上がる]
では私は、ケネスさんに会って来ようと思います。シャルロットは見えない位置からついてきてください。彼らはマスター一人であれば手を出さないでしょう。危険であれば、あなたを呼びます。
[シャルロットの返事は待たず、外へと出る]
お爺様。やはり、人の心がないものに、人の心を解するのは難しいようです。
何故、私にはそれがないのでしょう。
[平坦な心。だからこそ理解しようと観察を続けた。何故人は笑うのか、泣くのか、怒るのか、原因はわかっても、そこに至るプロセスがわからない。
今も。人の心を理解できないことにも疑問を追及するだけの感情のぶれはなかった]
[商店街へと向かってまた*歩き出した*]
優位に立つ理由…それは明確ですわ、マスター。
忘れないで下さい。これは聖杯"戦争"なのですから。
[マスターの言葉に、静かに口を挟んだが、こちらの言い分を汲んでくれたマスターに、それ以上何かを言う気にはなれなかった。続く沖田敬一郎に関する言葉を黙って聞いた後、自分がバーサーカーに会いに行くと言うソフィーの言葉に渋々頷いた。]
― 商店街・カフェ ―
[一旦その場から逃げ出していたケネスは、戻った時ランサーのサーヴァントがいた事を教えられると、美貴達の座るテーブルとは、やや離れたカウンター席に腰掛ける。
宗冬と美貴に気を使ったは毛頭無く、ただ落ち着いて考えられる場所が欲しかっただけだ。]
インド人てのはそのランサーの事だったのか……
俺は気づけなかったが、宗冬の様子を察するに、屋根の上にでもいたと言う事か。
[そうしてから、久子に教えられた事を考える。
そもそも聖杯はちゃんと存在していて、機能するのだろうか、まずケネスはそれについて考えた。
それが彼にとって一番重要な事柄だからである。]
聖杯が機能しないとなると、沖田が何やってるのか解らなくなるんだよな……
てことは、聖杯の機能はあり、それを手に入れるため中立を捨て、その管理者特権を一部に使っているって事か。
要するに俺達は、沖田にとっちゃ聖杯のための生贄の羊みたいなもので、そいつの願いが人類滅亡ときている。
人類滅亡ね……その言葉は簡単に口に出来るが、聖杯に向かって願える奴は、完全に狂っているか、人じゃないかのどっちかだよな……
ふーむ、つまりだ、沖田とその仲間達には早期退場願うとして、聖杯争奪を続ける理由はありそうだな。
後は沖田がどの程度強いかってことか。
[ケネスはカウンター席に座りながら考え続けている。]
[人ではない。]
[樹那森林公園に向かいながら、ランサーはそう思う。]
ぼくがこの時代に生きていたら。
…親しきものを守るために、抗っただろうか。
[自問する言葉はむなしい。
ふと、今は罅割れた河川がある筈の土手に上がってみた。
大きく割れた、大地。
比較にならない程、無残な未来の地球。]
[河川を見下ろしながら想起。
あの場に居たのは
キャスターのマスター
アーチャーのマスターである香野
バーサーカーと、そのマスターである髭面の厳しい男。
バーサーカーの強さは意外だった。
固有結界を持っているかのように、あの空間が異質だった事も特筆すべき事だろう。]
目隠しをしているのも、
魔眼などを有しているのかもしれない。
[「柳生宗冬」の事を詳しく知らないランサーは酷い誤解をした。
次に、キャスターの弱点でもある、あの女性を事を思い浮かべる。女性を殺す事は気が進まないが、討つべき対象ともなれば別だった。それは香野と言えども、…同じ事だ。]
[バーサーカーのマスターを探しに行くというソフィーについて歩きながら、自分がサーヴァントになった経緯を思い返していた。]
(未だマスターは、私の"望み"を尋ねない。
私が何を欲してサーヴァントとなるべく世界と契約したのかを。
マスターは、感情を失っていると言っている。
私の事も、都合の良い使い魔という認識でしかないのかもしれないわ……。)
[己のマスターの背中を見ながら、小さな孤独が心を占める。]
(そう、私は独りだった。
暗殺を行使したあの時も。私は常に独りだった。)
[彼女らが、例え久子に何かを言われたとして、この後自らを積極的に危険に晒す事は考えにくい。]
サーヴァント三騎。
完全な形で宝具を具現化させるならば、
使用は一度のみ。
それも、この身を引き換えにして。
全てを葬り去る代償としては構わないが、三騎とも宝具を見てはいない。
何らかの手段で防がれては……。
[特にキャスターには要注意だ。]
むぅ人類滅亡大作戦……。
[さも深刻かのように呟くが、宗冬は何も考えていない。]
パンパン!
[宗冬は手を2回叩いた。]
この音を聞けば真殿は、ご飯の匂いを嗅ぎつけた犬のように喜んび勇んで走ってくるであろう。
―商店街―
[マスターは商店街に向かっている。拠点に赴かないと言う事は、恐らく昨日協定を結んだ店で、また会う約束でもしているのだろうか。
そんな事を考えていたが、ふとキャスターにまた来て欲しいと言われていた事を思い出す。]
マスター、申し訳ありませんが少し外します。
バーサーカーのマスターと接触する前には戻ってきます。
もし危険な時には令呪で呼びつけて下さい。異変を察したら私も飛んできますので。
[小さな気持ちの溝は、共に行動する事への苦痛に繋がっているのか。
それとも、人であった時から単独行動を行ってきたシャルロットにとって、それが一番居心地の良い動き方だったからだろうか。
マスターを置き去りに、雑踏の中をキャスターに会うべく川原へと走り出した。]
―川原手前・土手―
[キャスターの姿をみかける代わりに、そこに佇んで居たのは先日ライダーと戦闘していた槍兵…ランサーの姿だった。]
(もしや、キャスターを倒すための罠でも仕掛けて居るのでは……?)
[気配を遮断したまま、静かに近寄った。]
[そして久子。
令呪の使用を今頃は考えているだろう。
彼女が令呪を使用する前に……。]
――ぼくが、
マスターなしで行動出来るのは、1時間だけだ。
[この瞬間にも、令呪で束縛されてもおかしくはない。
恐らく、使用はサーヴァント達と戦闘が始まってからだろう。何処まで不利な状況に陥るかは、想像もつかない。
戦闘が始まる前に、――てしまうのが最善に思える。]
[注意深く様子を見ていたが、どうも罠を仕掛ける様子はない。
昨日は、自分をサーヴァントと気づいていなかったらしき事もあり、サーヴァントと知られぬ距離まで近寄った所で、情報を引き出せる可能性にかけて声をかける事にした。]
ごきげんよう。
昨日教会裏の墓地でお会いしましたわね。
あそこで、何をなさっておいででしたの?
(この身も聖杯にくべられる身。
アド・エデムの願いが叶うよう動かねば。)
[振り返り、可憐な女性をじっと見つめた。]
…先程の女性か。
教会を訪れていただけだよ。
きみのマスターは、誰かのお墓に訪れていたようだったね。
[サーヴァントと確定してはいないが、目の前の女性をサーヴァントと仮定し、返事をした。どう反応するか。]
貴方は信仰心の高い方なのでしょうか。
とは言え、インドの方とお見受けします。礼拝ではなく、聖杯戦争についての機能を持つ教会への訪問、と解釈してよろしい?
[マスターと投げられた単語には敢えて直接的に言葉を返さず、しかし言葉の裏には相手から投げられた意味合いに等しい意味合いを含めて返す。]
確かに。
ぼくはあの場で礼拝をする事はない。
そもそも、この地でぼくが求める礼拝の場もなければ、儀式も出来はしないだろうね。
解釈はきみに任せる。
[どこか面白そうな光を眸に宿して、女性を見る。
…その女性の眸は誰をも惹きつける、魅了視。人間ならば、その効果に抗う術はなかったろう。]
−商店街・カフェ−
[久子がいなくなってすぐに柳生が目の前に座ったのには驚いた。
昨日のことを思い出し、うっと口元を押さえる。
水を飲んで気分を落ち着かせながら見ていると
やはり柳生の動きはおかしかった。
なにやら美貴の様子もおかしい気がする。]
……これが普通なのかな。
[奇行を目にするのに慣れてしまった気がした。]
[ぼうっとしていると今度はランサーが出てきたようだ。
叫ばれた内容に額を押さえる。]
アーチャーのマスターってばれてる……。
[同盟破棄のこともあるし、恨まれているかもしれないから
このまま隠れてしまおうかと思ったが、
聞いておかなければとランサーに向かって口を開いた。]
人類の滅亡を願っているって……本当なのね?
[返ってきた答えは肯定。
あの時店に来たランサーと重ならない……
いや、ライダーを殺してかまわないといったときと同じ、冷たい瞳。
久子のいっていたことは真実なのだと、信じざるを得なかった。]
[ランサーがいなくなり、ケネスが戻ってくると席を立つ。]
わたし、家に戻ります。
彼に話をしなければならないから。
[柳生と美貴は聞いているかどうか分からないが
一応そういい、ケネスに荷物をもってくれた礼を言ってから
買い物袋を抱えて急いで店へと戻った。]
−商店街→『魔女の館』−
アーチャー、起きてるでしょ。
[家に戻ると苗と種を温室においてから2階へとあがる。
彼の部屋のドアをノックすると同時に開けた。]
[あのまま川原に佇んでいたキャスターだったが、どうも近くからサーヴァントの気配がすることに気付いた。]
…近いな。
もうちょっと下流…戦闘のあった場所辺りか。
[キャスターは立ち上がると、そちらの方へ歩き始めた。]
いろいろと情報が手に入ったのだけど。
正直理解が追いつかないくらいに。
[美貴がキャスターのマスターであったこと、柳生はバーサーカーであること、チャンドラとランサーが同一人物であること、沖田敬一郎が己のサーヴァントであるセイバーを吸収したらしいこと、沖田とランサーが人類の滅亡を願っていること、そしてアーチャーかバーサーカーがランサーに狙われていることを伝えた。]
何か、聖杯戦争が聖杯戦争じゃなくなってしまっているような感じだけど。
難しいことは抜きにして、あなたはランサーと戦いたいでしょう?
知らないところで魔力を使われるのはいやだから、今度はわたしもついていくわ。
久子さんと公園の発掘調査現場で合流してから行動するわよ。入り口からはいらないと罠があるんですって。
バーサーカーも一緒かもしれないけど、なるべく巻き込まないようにね。
ランサーとバーサーカーふたり相手に戦うことになったらわたしの魔力もたないもの。
[行くでしょう? と*確認した。*]
[インドの人物という事は否定されなかった。キャスターから聞いた話を再び思い出す。
このサーヴァントの真名は、一体なんなのだろうか……。]
そうなのですか。
貴方……あぁ、そうですわ。私の事はマリアとお呼び下さい。
私は日々の祈りを、欠かしません。神の御心に沿う事がまた、私の喜び。
貴方の求める礼拝についても、少し、興味がありますわ。
[言いながら、注意深く目の前のサーヴァントを観察した。
隙は見られない。強い瞳の奥になんの揺らぎも見られない。
そして、腕輪には多くの小さな傷がついているように見えた……。]
何故、貴方は召還されたのですか?
[唐突に、そんな言葉が口を突いて出る。]
【あれはマリアちゃんに…ランサー?】
[視界で捕らえるまで近づくと、そこには意外な組み合わせ。
一触即発…という空気ではないようだが、それでもランサーは真正面から退治する相手としては危険だろう。]
【とりあえずもっと近くに行くか…。
ここなら川に飛び込めばなんとでもなるしな。】
[キャスターは堂々と歩いて近寄っていった]
……。
ぼくの事はチャンドラと。
[異教の事に触れるのは、ここでは止めにしたい。]
唐突な質問だね。
おそらく、きみがサーヴァントであるならアサシンと思ったで答えるが…
何故とは?
ぼくが英霊の座から召喚された理由なのか、
それとも、ぼくが持つ願いについてなのか、
何について、マリアは訊きたい?
よぅ、マリアちゃん。
[片手を挙げながらその場に近寄る。
なるべく川の近くへと移動し、その場で立ち止まった。]
それに誰かと思えばランサーか。
マスター裏切ってまでヤツに付いたお前がココで何してんだ?
[俺でも狙いに来たか?おどけた感じで言葉を投げた。]
― 商店街・カフェ ―
[ケネスは香野も帰り、少し時間が経った後、久子の言っていたランサーの真名を調べてみようと思い立つ。]
おい、宗冬。図書館行くんで着いて来てくれや。
[そう声をかけた。]
チャンドラさん。
今回、何故英霊の座から、貴方は召還されたのか、教えていただける?
[アサシンではないか、という相手の推測を否定はしなかった。今戦闘になれば、確実にキャスターとの共闘が組める。
それはアサシンにとって、単独でサーヴァントと対峙するのとは雲泥の差となる。]
あら、ごきげんよう。
[キャスターに声をかけられ、ふわりと微笑を返す。敢えて呼び名は口にしなかった。
続いた"マスターを裏切ってヤツについた"と言う言葉を受け、自然と視線は目の前のチャンドラに戻る。]
……奴?
キャスターか。
最初から、私の使命だっただけの事。
私のマスターと分かり合えずとも、優先するは使命。
それだけの話。
[キャスターに告げ、アサシンの問いに答える。]
これも今、キャスターに話した内容と同様。
「人類の滅び」を聖杯に願うがために。
私は召喚された。
ほー、なるほどなるほど。
いやーご立派だ!
自分の意見関係な使命優先なんて、俺には"絶対"に真似できないね。
[手を叩いて皮肉げに褒めるキャスター。
そして、手を止めると吐き捨てる様に言葉を続けた。]
ハッ…そりゃ自分の妻も追放できるわなぁ?
なぁ、ラーマさんよ?
図書館なら先程行ったではござらんか。
それがしはここでしばらく美貴殿と愛を育むことに致す。
如何にマスターと言えどそれがしと美貴殿の仲は引き裂けませんぞ!
[宗冬は野良犬に対するかのようにしっしっと手を振った。]
[ランサーの言葉、人類の滅び。
そして、キャスターの態度。
彼に該当する存在。
マスターから先ほど聞いた話。
全てのピースが、組み合わさるような、そんな感覚……。
暫く黙って二人のやり取りを見守ろう、そう決めた。]
何いぃ?何だその仕草は?
何を色気づいてやがる!
お前、愛を育むってそいつは……
[キャスターのマスターだぞ、と言いかけてやめる。]
まあ、停戦て話もあったばかりだし、いいか。
とりあえず、いいから来いよ。
[ケネスは宗冬を無理矢理引っ張るが、梃子でも動きそうに無い様子だ。]
ああ、時間の無駄だ!もういい!
[図書館まで人通りも多いし、大丈夫だろうとケネスはたかをくくる。]
じゃあ、後でちゃんと来るんだぞ、いいな?
[伝票分の代金を宗冬に渡すと、*ケネスは外に出ていった。*]
追放?
ああ――
叙事詩に書かれた話はそうなっているのだったな。
[キャスターを見る。周囲の景色を全て反射する双眸。]
私の妻は、神から与えられたものだった。
妻は、私自身がおかしたある過ちによって投げつけられた呪詛により、私の目の前では決して笑わぬ人形と化した。
そして、もう一度の過ちで、
彼女は神々の元に戻された。殺されてね。
私が、敵の手より助け出した彼女を、
疑いさえしなければ、そんな事にはならなかったろう。
神の意思を疑わなければ。
[久子がキャスターのマスターと接触していた事から、自分の事は知られていると思っていたランサーは驚く事なく、キャスターへ淡々と対応した。]
神の意思ねぇ…。
[詰まらなさそうに呟く。
正直、そんな物に対して意味を見出せない。]
それで?ご大層な言葉を並べてるけどよ。
結局はお前が自分の女を疑って死なせたんだろ?
…気に入らないねー、自分の女を信じる事に"神の意思"なんて大層な御題目掲げる奴は。
伝承では、お前に疑われた事を嘆いて目の前で大地に飲み込まれたんだっけな?
そうだ。
私が疑い、それによって彼女は死んだ。
[ランサーは肯定した。]
…一瞬だったよ。
私が疑った、その一瞬に。
彼女は驚きすらしない。嘆きすらしない。
ただ、地が割れて閉じた。
体を濡らした鮮血の迸りの感触を、今も忘れる事はない。
[目の前で語るランサー。チャンドラと名乗った男。
淡々とした語り口で妻の死を語る様子。
ふと、己のマスターを思い出した。
ランサーの表情に感情が見えないだろうか。そう考えながら*表情を見つめた*]
−教会−
[空穂との会話を追え、教会に戻ってくる。
夜通しの作業だった為、少し横になり休憩と取る]
・・・・・
[そして、例に違わず彼は生前の記憶という名の悪夢にうなされた]
− 教会前 −
[店を出たあと、ランサーの気配に気づき後を追ったが結局戦闘にならなかったのを見届けて公園に向かって歩きだす。
考えながら、沖田敬一郎と昨日教会に行く約束をしていたことを思い出す。
別に約束を守る義理もないし遅すぎると思いながら、人類の滅亡のために動いているランサーの目が時折悲しい色をみせていることを思い出す。
なぜ、彼らは人類の滅亡を望むのか。
お互い妥協することはないように思うがそれを知ることは意義があるような気がして、久子は教会の前に来ていた。]
…やっぱ俺はお前の事嫌いだわ。
[ランサーの言葉に、キャスターも静かに口を開く。]
惚れた女の為に世界を捨てるなら上等だが…
世界の為に惚れた女を捨てるなんてまっぴらご免だ。
己の周りの必要不必要を"神の意思"なんて物に任せるな。
もしお前が俺の創った世界にいたら、顔面殴ってる所だ。
[扉の向こうの人の気配を感じ扉を開く。
沖田の姿をそこに発見し話しかける。]
昨日は約束破ってごめん。
この前の返答する前に、あなたの目的を教えてほしいんだ。
ランサーは人類の滅亡を願い、そしてあなたは自分の願いはランサーと同じと言っていた。
なぜあなたは人類の滅亡を望むの?
・・・・・・
[黙って扉を開ける]
人間はこの世界にとって決して有益ではないからだ。
今風に言えば環境破壊などを繰り返し、地球は既に体力を失っている。
人間などこの地上の覇者になってからたかだか数千年でしかなく、その間にこれほどの地球の破壊をし尽くしたとするならそれはいわば地球にとって癌細胞と何ら変わらん。
母なる大地にも生存本能があってもいいとは思わないかい。その本能の結果僕はここにいる。
[その時に、本当にランサーが殺せるかどうかは別だ。むしろ、神に牙を剥いた可能性が高い。
――が、ランサーはその想いなどを話すつもりはなかった。]
では、背後に広がる水を操り、
私を討ってはどうだ。
"世界"と己を称する
創世の英霊、ワイナミョイネンよ。
水の軍勢を、ただ一人の男に向けて操るがいい。
それとも。
水の傍でしか戦えぬ男と言おうか?
殴りたいのなら、その拳使い、かかってくるといい。
ふん…そうしてやってもいいんだけどな。
ココで俺がお前を殴っても意味ないんだよ。
[キャスターは腕を組み睨んだ。
別に自分の真名が知られている事はどうでもいい。
むしろ"ヤツ"の仲間になったのなら自分の情報など、とうに渡されているだろう。
マリアにも教えていいと考えていたので問題などない。]
お前が殴られるべきのは、お前が裏切ったマスターの前だろ。
それに……俺が殴る相手はもう決めてるんだよ。
借りを返さなきゃいけない奴が居るんでな。
[そう言って川に出来た断層に眼をやる]
…私達人間が地球を苦しめているかもしれないのはわかる。
地球が生存本能のために私達を消そうとするのもわかる。
でも、私達だって望んでこの形に生まれたわけじゃない。
自分を生んだ存在に否定されたって、私には生きる権利があるんだ。
そのガイアの意思が本当だとしても、あなたがそれに従うことは本当に正しいことなの?
…たぶんだけど、私のママなら私が生きるために自分が死ぬことになっても、私が生きることを望むと思う。
私もママが死ぬのは悲しいけど、私はママが死ぬことになっても自分が生きることを望むわ。
そして私が母親になることがあったらきっと…自分が死んでも自分の子供が生きることを望むと思うんだ。
・・・・・・
[すっ、と掌を久子の顔に向けて突き出す。
すると彼の悪夢が、彼女の脳裏に映り始める。
ひび割れた大地。自然どころか視界内に草すら見当たらない。
人間が建設した建造物は全て廃墟となり、空は赤く染まっていた]
これが僕の見た未来だ。
僕も人としてこの世界で生きてきた。数十年間も。
だから分かる。この世界は”今はまだ”美しい。
だが、君は君たちの子孫に僕が見せた世界を生きろというのか?
[掌を下ろす]
君の母はそう言っただろうが、ガイアは違う。
それでもガイアは生み出した人間等を最後まで愛した。
だが、ガイアが死しても醜い戦いは終わらなかった。
・・・・・・ そして。
[普段から感情を顔に出さない男が、ほんの僅かだけ紅潮していた]
そんな大地に生まれ、ガイアのみならず世界の全てに否定された命を持った存在はただ泣けばいいのか。自らの命を守るために戦った結果が神殺しという不名誉な勲章。
そんな我々の様な忌子を生み出した醜い生命が、今更自分達の幸せなどというエゴを!!よく言えたものだ!!
もう一度言おう!お前達は今の自分達の幸せを優先した事で、未来の子孫に生き地獄しか残さないのだ!!
それでもなお自身の幸せを願うのか!!
ガイアは確かに俺をこの地に呼び、そして全ての知的生命の殲滅を命じた。
だが、それ以上にこれは俺自身の強い意志で成り立っている!!
・・・・・・ 何のつもりでこんな話を振ったかは知らない。だが残念ながら君の説得にも似た論述は全くもって無意味だ。
君たちのもつその自分に対しての甘い考えこそが、俺がもっとも忌み嫌うエゴでしかない。僕はもっと広義での平和の為にこの聖杯を使う。
しかし人類滅亡大作戦を発動するとは、確かに危険なインド人でありましたな。
美貴殿の慧眼にはこの宗冬、感服致すところです。
[大きく頷く宗冬。そしてマンゴーチーズケーキを一口。]
美貴殿は人類が滅亡したらどうなされますか。
やはりそれがしも公園に行った方が宜しいでございますかな。
[沖田敬一郎の見せたその未来の景色は、彼女の想像する世界の終わり以上に凄惨で…そこで生き続けること自体が苦痛…
母なる地球に存在を否定され…戦う目的すら定かでなく…]
…でも、それはきっと悲しい誤解なんだ。
どんなに過酷な環境にでも、そこに適応して逞しく生き続けて何が悪いの?
あまりにも異形のその存在にガイアがあなた達を恐怖して誤解しただけ。
そこに生き続けるものがいる限り星は死んでいない。
あなたは何も悪くない!!消える必要もない!!
私だってそんな未来は望まないその力、私達と力をあわせてもっと幸せな未来のためにどうして使えないの!?
・・・・・・ 地球は死んだよ。僕のいた時代では。事実さ。
話はここまでにしよう。きっと君はこれ以上僕の話は理解出来ないだろうし、僕も君の話を受け入れることは出来ない。
君の身に何かあったらランサーに弊害が出る。僕の考えに賛同は出来ないだろうが、体にだけは気をつけてくれ。
[教会の扉を閉めようとする]
あなたの目的はわかった。
あなたが悪意から人類の滅亡を願っていないということも。
…私があなたの意に従うつもりか聞きたければ今日のランサーの戦闘の現場に来なさい。
はっきり聞かせてあげるわ。
[そういうと久子はその場を走り去った。]
[扉を完全に閉め終わり]
挑発のつもりか。若い子だ。
[今の発言から、多分おびき寄せようとしているのだろうと容易に推測は出来た。
だがそれ以上に彼女がランサーを放棄する事を決めているのだという事も推測された。
ならば彼女の手の中にある令呪3画。その使い道にも若干なりとも興味があった]
―自室―
っく、く。
くははっ。
[露葉の目の前に、自らの右手を広げてかざす。
視界を遮るように、
言葉を止めるように。
左手の中指で眼鏡をつり上げ、抑えきれないという風に笑う。
楽しげな目。]
なぁ、おい。
お前の言う通りなのが、気に入らねぇがよ。
そんな情報が俺に、どんな関係があるってんだ?
あるとすれば、どうやら俺に戦いの機会があるらしいってことだけじゃねぇか。
他のことをくっちゃべってる時間が勿体無ぇ。
俺はその沖田って男のことなんざ知らねぇが、
きっと穴だらけにしてやるよ。
あの宗冬って男と戦うのは楽しかったぜ?
一撃、一撃に、相手を完膚なきまでに破壊してやるという強い意思を感じたよ。
次は止めを刺してやる。
あのランサーは強かったよ。
ちょっとつまらねぇ戦い方をする奴だったがな。
だからきっともっと力を出させて、その上で体中ぶち抜いてやる。
次は必ず、殺してやる。
[宗冬の言葉に頷く。]
ええ、まったくもって危険なインド人ですわ。
インド人と言えば暗算。
ここだけの話、アタシ、あのインド人の宝具は“暗算”ではないかと思いますの。
全ての動きを暗算で正確に計算して敵を倒すサーヴァント、……恐ろしいですわ。
[怯える表情を浮かべて宗冬の手を握る。]
人類が滅亡したら……、とても静かになりますわね。
アタシは宗冬様さえ居てくだされば、それだけでいいのですけど。
宗冬様が公園に行くならアタシもご一緒しますわっ。
[きゅっと手に力が入った。]
− 樹那森林公園 テント前 −
[敬一郎の見せた光景、言葉…考えたが、彼女の決心は変わらなかった。
むしろその決意は強くなる。]
あいつとランサーを止めてやらなくちゃ…
[注意深くランサーへ流れる魔力の様子を探りながら状況が動くのを待つ。]
他だって同じだ。
キャスターか。
いいじゃねぇか。
是非、銃でもって穴だらけにしてやりてぇよ。
神と魔法の時代と人が決別するべくして生まれたのが「俺」を含む銃達だ。
愛しいだろ?
…俺は、俺の意思で引き金を引く。
それが、銃を愛し、銃に愛される唯一の条件だ。
意志が弱けりゃ、銃を使えねぇ。
他人の意思で引き金を引けば、銃に喰われるのがオチだ。
[人々は「俺達」を嫌悪するが…
嫌悪する前に、使いこなして見せて欲しいもんだ。]
暗算をするサーヴァントとはまた恐ろしい。
ただ暗算ならば桁数の多い計算は難しいはず。算盤を持ってすれば勝利は間違いないであろう。
[宗冬は両手で美貴の手を優しく包み込む。]
たとえ人類が滅亡しても美貴殿だけは守りましょうぞ。
されば美貴殿を守る為、公園に行きましょうぞ。攻めるが勝ちであります。
[こう言うと宗冬も少し、ほんの少し手に力を込めた。その嫋やかなる美しい指が壊れないように、深く感じ合えるように。]
宗冬様……、相手の弱点を即座に見抜いて対策を思い付くなんて、さすがですわ。
[感心しつつ、続く言葉にうっとりと聞き惚れる。]
宗冬様、アタシ嬉しい……。
ええ、参りましょう。
二人の輝かしい未来のために。
[目をキラキラとさせて立ち上がった。]
いやいや、敵の宝具を暗算と見抜いた美貴殿こそが称賛されるべきもの。その知性たるや金剛石の如く煌めいております。
では、算盤を買ってから参りましょう。二人の栄光の未来のために。
[宗冬もあらん限りの輝きをもって立ち上がった。支払いを済ませ美貴の手を引いて店から出ていった。]
宗冬様、こちらですわ。
[宗冬の手を引いて文房具屋に入る。
気分は新婚の家具選び。
――二人で一つの算盤を弾く甘い一時を夢見る。]
−商店街−
[歩きながら、目的の場所がないことに気づく。伝えに着たけれど、どこにいるのかがわからない]
あのマンションに行けば、会えるのだろうか。
[宗冬は算盤を手に入れた。それは美貴の選んだ算盤である。その事実は宗冬にとっては愛そのものである。つまり今の宗冬の歩みを止められるものは何もないということ。こうして宗冬と美貴は公園に向かったのだった。]
だから、何と言おうと、俺は俺がやりたいようにしかやらない。
さぁ、行こうぜ?
公園に行けば、俺は戦えるのか?
俺に撃たせろよ。
それが俺の存在意義だ。
そのために、俺はここにこうしている。
それさえ貫けるなら、結果がどうなろうと、構わねぇ。
「彼」がどうかは、知らんがな。
クハッ。
[笑う。
俺は俺の、意思を貫き通して見せる。]
− 樹那森林公園 テント前 −
[アーチャーかバーサーカーが尋ねてくるのを待ちながら、少し不安になり始めていた。
バーサーカーというクラスは狂化によって戦闘が始まると敵味方区別つかなく暴れ出すだろう。
さらに自分が目にしたアーチャーも戦闘中正気を保っているように見えなかった。]
アーチャーとバーサーカーが同時にこの場に来たらまずいかも…
― 樹那森林公園 ―
[ランサーは公園内に入ると、レイラインを辿りながら、久子の元に歩いてゆく。もう一度だけ話をしてみるつもり、だった。
程なく、見慣れたテントが視界に入った。]
全くだよ。
アーチャーとバーサーカー。
どちらかといえば、バーサーカーの方が理性はあると思えるのが興味深いというか厄介というか……
此処に未だ居たとはね。
さっさと逃げた方が安全だよ、ヒサコ。
[商店街から駅前、噴水付近までを捜して歩く。都合よく見つかる、と言うわけもなく、やがて噴水傍のベンチへと腰を下ろした]
今の時間、マンションにいるとは考えにくい。彼らは情報を欲していた。なら、情報がつかめるように動くだろう。
他のマスターやサーヴァントに接触するか、それとも……。
来たね。
いわれなくても危なくなったら逃げるよ。
さっき沖田敬一郎と話した。
彼とあなたの望み…気持…理解できないものじゃない。
でも、私はあなた達の望みを実現させるわけにいかない。
―公園へ向かう道―
[気持ちが逸る。]
あぁ、おい。
最高じゃねぇか。
[歩くにつれ、両腕の震えを抑えられなくなっていく。
戦いへ向かう、引き金を引ける場所へ向かう感覚。]
あぁ、もう、おれ、なにもかんがえられねぇよぉ。
[露葉の先導に任せて歩く。
ろくに前も見ていない。
このクソ女までが戦闘を許すなら、きっと存分に楽しめる。
そう思うと、もう、]
望みか……。
[久子を突き抜けて、遥か遠くを見るように。]
良いだろう。ヒサコ。
生きるものとして、それは必然の望みだ。
[ランサーは槍を具現化させると、石突を久子に向けた。]
少しの間、眠っていてもらう。
[ランサーは、久子に向かって疾駆した!
久子が"避けよう"とするには、間に合わない距離。]
あぁあああ。
まだかよ。
まだなのかよ。
はやく、してくれよぉ。
[露葉の言葉は、もう聞こえていない。
脳髄が、引き金を引く快楽への期待感に、支配されている。]
[身をかわすリアクションを取りながら、令呪に意識を集中する。
ランサーの突然の行動にも咄嗟に行動できたのは、あらかじめそのように令呪を使用するつもりだったからだ。
令呪に向かって強く意識を集中して命じた。]
「マスターの許可なく攻撃することを禁じる!」
[令呪が光りその一画が消える。]
―公園、入り口前―
さぁて。
どうすりゃ、いいんだ?
ここなんだろ?
[少し、戦闘の空気を感じる。]
あぁ、もう。
[がまんできそうに、ねぇ。
左手を上げ、中指で眼鏡をつり上げて、降ろす。
次の瞬間には、両手に銃が握られている。]
さぁ、楽しもうぜ。
俺の愛すべき同類達よ。
[ランサーは笑う]
予想通りか――。
それで次は、協力者からの攻撃と言う事かな。
――ヒサコ。
[悔しがる素振りすらなく、爽やかに問う。
繰り出された動きは途中より失速。久子の鳩尾に命中する筈だった石突は、軽やかにかわされた。
体が重くて仕方ない。予想外だったのは、令呪の威力だった。]
[情報を得ようとして彼らは人に頼ろうとした。けれど、自分たちでも調べているはず。その上でわからない部分を聞こうとしていたはずだ]
ということは、人でなければ、書物?
[自分がどうやって情報を得ようとしたか、それを考えると答えは明白だった]
本屋か、図書館、かな。
でも、本屋も覗いてみたけど、姿は見えなかった。
[突然の令呪の拘束により明らかに鈍った槍をギリギリのところでかわす。]
!!
わかってるじゃない!!
[そんなもの居はしないが少しでも自分への意識をそらそう嘯く。
同時に接近するの気配を感じサーヴァント公園の入り口の方向の罠の林に飛び込む。]
(潜在能力か、死を回避したいという強い意思の所為か。)
[公園入り口でサーヴァントの反応がある。
アーチャーかバーサーカーか。
キャスターであれば、もっと魔力反応が大きい。]
討伐すべき敵の到着――。
……。
次は外さない。
[ランサーは久子に向き直る。
次は石突ではなく、穂先を久子に向けた。
罠がある事は既に承知だが、此処で引き下がる訳にはいかない。ランサーは足止めの為に、チャクラ(戦輪)を左手に持つと、ふくらはぎ程の高さで投げた。その後、入り口方面の林に踏み入った。]
あぅ!!
[ふくらはぎを浅く鋭く切り裂かれながらも、何とか自ら仕掛けた罠を起動するのは避けられた。
林を抜けるとリュックから手榴弾を取り出しピンを抜き罠の林に投げ込む。]
ズン!!ズン!!ズズーーン!!
[仕掛けられたいくつかの手榴弾の有爆する。
それらの衝撃により林の中で無数の罠が乱れ飛ぶ。
丸太、鉄の矢、無数の岩石、テレビ、ケロヨン人形、牛乳。]
[立ち上がり、図書館の方へと歩き出す]
聖杯、か。
[沖田敬一郎の言葉を思い出す。地球によって、彼は人類の滅亡を託されたのだと言う。ではもし。本当に滅亡してしまったら。
今、ここに生きている人間はどうなるのであろう。そして、彼自身はどうなるのか。
人類が滅亡するのが、避けられない運命だとするなら、恐らく自分は何も言わない。けれど、避けられるものならば避けなければ、と思った。少なくとも、今は]
[結果を確認することなくサーヴァントの気配に向かって走り出す。]
いた!
[アーチャーの姿を確認して声を上げる。]
ランサーはあっちだよ!!
[自分の背後を指差す。]
っち。
[何故、向かってこない。
戦闘の空気は、ある。
あの愛すべき槍使いは、俺以外の誰かと戦っているのか。
だが、サーヴァント同士にしてはあまりにその空気が希薄だ。]
何を、してやがんだ。
[公園に足を踏み入れる。]
俺に、気付いてねぇのか?
…っは。
「彼」じゃあるまいし。
[付近の林の中で、爆発が起こる。
深く溜息をつく。]
こんなのより、俺の方が、もっとずっと楽しませられるのに。
[ランサーは眉を顰めた。
丸太、鉄の矢、無数の岩石、テレビ……
向かってくる、あの白い液体は何だ。
何よりも、液体に危険を感じ、ランサーは深追いを一旦止める。
両側から襲い来る丸太を、跳躍→倒立して避け、空を切る鉄の矢を槍で弾き、網で一塊となっていた岩石の礫の中を走りぬけ、人形の前で逆方向に跳躍した。
久子は追えなかったが、白い液体は回避出来たようだ。]
何だ、お前。
あいつの、マスターか?
喧嘩でもしてんのかよ。
早いとこ、仲直りしてくれよ。
でないと、思う存分楽しめないだろ?
[忌々しげに、呟くように、言う。]
だが、お前も、骨のありそうな奴だな?
いつか機会があったら、穴だらけにしてやるよ。
楽しみに待っとけ。
クハッ。
[自分が、異常だと知ったのはいつのことだったか。人や動植物の生き死にに対し、何の感情の揺れもない。
星がいつか死ぬのだとしても、人がいつかいなくなるのだとしても、そこには何も思わない。
けれど、彼の手によって人類が滅亡してしまうのは、何かがおかしいと、心が告げる。
彼自身は、本当に滅亡を願っているのか。地球や同じ時代に生きたものの考えなど別として、彼自身は。
自分たちの「過去」「今」を葬ることになったとしても、「地球」を救いたいと、彼は願うのか]
よりにもよって……アーチャーに話しかけるなんて。
なんて馬鹿な。
[罠が立て続けに発動する中、ランサーは思わず口にしていた。罠の発動が終わり、無残に荒れ果てた林の中を、ゆっくりと入り口の方へ歩く。]
止めておけ。
ヒサコに手を出しても、
死んだ後の葬式代を請求されるのが落ちだ。アーチャー。
[二丁拳銃の男は、今日も愉しげに笑っている。]
[ランサーの姿を、林の中に認める。
全身が、悦びに震える。]
よぉ。
今日は、前よりももっと、俺を楽しませてくれるんだろう?
く、く。
あぁ、そうだ。
言っとくがな。
[ランサーのマスターらしき少女へ、向き直る。]
俺とあいつの戦いの、邪魔はするんじゃねぇぞ。
そんな真似しやがったら、機会があったらと言わず、すぐに穴だらけにしてやる。
葬式の出席者も、皆殺しだ。
― 図書館前 ―
後から来いって言ったのに、あの野郎、ちっとも来やがらねぇじゃねぇか!
[ランサーの真名を調べ終えたケネスは、図書館の前で不満の声をあげる。
ランサーの真名に関しては、それほど情報を得られたわけでは無い。リチャードの時と違い、酷く曖昧な情報ばかりだった。]
どこで油売ってんのかね。一度カフェに戻って、その後公園行ってみるか。
[そう思い、急ぎ足で歩き出す。]
[アーチャーの問いに言葉を詰まらせる。]
そんなこと…
[既に攻撃を禁止をしていることは言わない。]
逆に死ぬまで楽しめるように協力してあげるのよ。
[再び令呪に意識を集中して命じる。]
「この戦闘からの離脱を禁ずる!!」
さあ、どうだろうな?
それよりも、さっさと私に倒されてはどうだ。
[攻撃にあたっては致命傷となる所を狙うしかない。
攻撃時の速度も威力も、数ランク下がっている。
攻撃する瞬間は、相手が大きな隙を見せた時だけ。
それまでは、回避し続けるしかない。]
的確で良い令だ、ヒサコ。
[ランサーは称賛した。
この戦闘から逃亡出来ないという不可視の束縛。]
くは、あはは!あはははははっ!
[その言葉を聞くと、身体を折るようにして大笑いした。]
そりゃ、いい。
そりゃあいいわ。
あぁ、こういういい仕事するマスターもいるんだな。
おいランサーよ、お前、幸せだぜ?
く、く。
さて。
[右腕を、ゆっくりと上げる。]
面倒臭ぇな。
早く、ここまで来い。
[一発、林の中へ向けて放つ。
当たることを期待しているわけではない。
それは、合図だ。
さぁ、思う存分、楽しもうぜ。
衝撃が、全身に伝わる。
脳髄を、快感が駆け巡る。]
ははは!あはは!ふは、あふ。く、うは、ひ、ひ。
−公園−
・・・・・・
[それにしても残酷な行為だ。ランサーを完全に令呪で束縛し相手のサーヴァントへと差し出すとは。
これはまるで拷問だ。
昼間の押し問答の回答がこれだというのならばナンセンスだが、逆にそこまでの決意をしたというのであればその意思を高く評価すべきだろう]
だがこの行動はあまりに非効率だ。令呪を3つ使い切ればランサーは短時間で消滅する。こんな行動を取る必要はない筈。
ならば、目的は別にあるという事か。
[図書館へ向かって程なくすると、前方から見知った顔が歩いてくるのが見え]
図書館からの、帰り道、だろうか。
ケネスさん、大事なお話があるのですが。
[声が届く範囲まで来てから、声をかける。そして回りを見渡した]
バーサーカーとは、別行動なのですね。
[戦闘の気配を感じ、アーチャーと一緒にいた露葉と手近な木の陰に隠れる。
露葉の心配する言葉に答える。]
大丈夫、さっき令呪でマスターの許可なく攻撃をしないようにって命令してある。
ランサーはまともに攻撃をできやしない。
全くだ。
では、アーチャー。
疾く逝け。
[引き金の合図でアーチャーに接近した。
ランサーの動きを追うように、狙いをつけてくる銃口。
アーチャーから見て、右側からランサーは走りこんで来た。]
− 公園、入り口 −
[歩く速さというものは、歩く人数が多くなる程遅くなるものである。ましてや宗冬と美貴は幸せな二人である。
カフェから公園まで大分時間が掛かったと宗冬は感じたが、一瞬一歩全てが素晴らしいものであったから仕方なかった。]
銃声であるか。アーチャーが来ているということか。
さて、どうしたらいいかのう。
[宗冬は美貴の顔をちらりと見た。]
[蜜より甘く濃い時を経て公園に辿り着いた。]
銃声だけで相手の特性を理解するとは、さすが宗冬様ですわ。
アタシなどでは遠く及ばないその状況判断能力も素敵。
……全ては宗冬様の御心のままに。
[潤んだ瞳で宗冬を見つめる。]
早く?
それじゃ、つまんねぇじゃねぇか。
楽しもうぜ?
お前も…
笑えよ!
[叫ぶと同時に、どこを狙うともなく、相変わらずの圧倒的スピードで走り込もうとするランサーへ向け、左、右と交互に引き金を引く。
あのままのスピードで突っ込まれたら、その言葉の通りにあっという間に逝ってしまいかねない。]
無用心なのですね、割と。
といっても、私も今はマリアを連れていませんから同じようなものですが。
今から何処かに?
本当でしたら、バーサーカーにも聞いて頂きたかったのですが。
[近くに隠れているのだろうか、と思い注意深く探してみたが、やはり見当たらず]
[――チッ]
[少しでも戦意を見せると速度が落ちる。
頬、耳、を掠る銃弾。血の粒が空に跳ぶ。]
笑え?
ハ、――きみは何を言っている。
[そして、ふと双眸を細める。]
殺人狂か?
[「へ」を鏡で反転させた軌道で跳躍、アーチャーの左斜め後ろ側から銃を狙い、槍を払う。その速度は鈍い。]
おう、ソフィーか。いや、用心したいんだけどよ。あいつがどうも言う事を聞きやがらなくてな……。
今日も美貴と愛を育むとか言って、それきりさ。
まあ、今探しているからその辺にいるのかもしれないがな。
今から、公園に行って見ようかと思っている。
ああ、そうだ、この前頼んでたセイバーの情報な、必要なくなったわ。
沖田敬一郎の事と、そいつがいかれてる事は既に聞いた。
今知りたいのは、まだ見たことねぇライダーのマスターの事かな。
[潤んだ瞳に見つめられていると状況なんてどうでも良くなってくるのも事実だった。頭が緩くなっていく。しかし状況判断を怠っては美貴を守れないと知る宗冬であった。]
サーヴァントの気配が3つあるような。インド人やアーチャーの他にもう一人居られるようでござる。
美貴殿のサーヴァントであるなら、ご挨拶に伺わなければなりませぬな。
[公園内に敬一郎の魔力らしきものを感じるが…]
どうして近づいてこないの?
ランサーがこのままやられていいの?
[自分の思惑通り進まないことに焦り、額を汗が伝う。]
美貴さんと、ですか?
[意外な名前を聞いたと思った、が]
……気は、合うのかもしれませんね。
[美貴の性格を思い出し、二人が一緒にいるところを想像した。マスターとサーヴァント、という垣根がなければ、共に、あれたのかもしれないと思い。
そしてライダーのマスター、という言葉に目を伏せる]
ライダーのマスターは……揺久仁彦といって、私の親族でした。
[言葉を切り、彼の最期を思う]
[先日試みた魔力遮断という行為によって、キャスターとの繋がりは多少認識できるようになっていた。
意識を集中させる。
――キャスターはここにはいない。
女の直感がそう告げた。]
お爺ちゃんは居ませんわ。
それになにより、……。
[頬を赤く染めて宗冬に告げる。]
アタシは宗冬様の恋の奴隷ですもの。
[それは情報には違いなかったが、既に意味を持たないと判断し、ケネスのほうを見た]
ライダーと、そのマスターは、昨日、ランサーによって討たれています。ですから、彼らの情報は必要ないでしょう。
それと。
昨日結んでいただいた停戦協定の件ですが、非常に申し訳ないのですが、なかったこととしていただきたいのです。
マリアに反対を受けたのも原因のひとつですが、それを予測できなかったのは私の落ち度です。
・・・・・・
[多分このままだとランサーを失うことになるだろう。この状況では仕方が無い。
もしランサーを救ったとしても、既にマスターから強い令呪の束縛を受けている。もはや使い道は皆無に等しい。
誤算だ。極力戦闘を行わずに事を進めるための駒をこんな早期に失うことになるとは。
失わない方法。あるにはあるがそこまでの危険を払う必然性はあるのだろうか]
[利点があるとすれば、いわば現在戦闘中のアーチャーをこの場で撃つ事。もしくは・・・・・・
久子を殺害し、自分がランサーと再契約する。
令呪の効果は消滅するが、それとは別に魔力の供給をランサーに行うというリスク。それに変えるだけの利点はある。
ならば、この場を好機とするならば、まずアーチャーを断つ事から始めるべきだ]
殺人狂…か。
そりゃ、違う。
俺は生来の、トリガーハッピーさ。
クハッ。
殺したいから、引き金を引くんじゃねぇよ。
引き金を引きたいから、殺すんだ。
お前に向かって引き金を引くのは、心地いい。
しかしお前、動きが鈍いな?
そりゃきっと、楽しんでないからだぜ?
ウフ。
[ぐるりと回転し、槍に向かって左手に持った銃のグリップの底を叩き付ける。
左腕が弾き飛ぶ。
その勢いを利用し、右腕を強引にランサーの目前へ向ける。
そのまま、撃つ。
右肩が軋み、軌道を逸らされた槍が左の脇腹を浅く切り裂くが、意に介さない。]
まだだ。もう少しランサーに意識が行ってからではないと。
[アーチャーの素性は分からない。だが多分彼の攻撃方法からすると遠距離連射系なのだろう。
だとすると他のサーヴァントと違い傷が致命傷になりかねない受肉した自分としてはやはり相性は決して良くは無い。偶然の一撃が致命傷になりかねない。
アーチャーは、ここで断つべきだ。
もう少し。事が進むのを見守る]
[右手を握りこみ、静かに剣種を覚醒させる。
その芽は地面に突き刺さり、その付近が静かに陥没していく。
その手には、太刀と同じ程度の剣が生成されていた]
違いますぞ。それがしこそが美貴殿の恋の奴隷と言えよう。美貴殿に尽くして行くことを違いまする。
[感極まった声を上げ、宗冬は美貴を抱きしめた。]
して美貴殿のサーヴァントでないとするならば、君子は危うきに近寄らずと言う。君子とは正に美貴殿のことでござりましょう。
……そうか、ライダーは討たれたのかい
なんだよ、もう協定破棄か。短いものだったな。
[情報の少なさに焦っていた昨日までのケネスなら、腹を立てたかもしれない。
だがこの1日に得た多数の情報も有り、あまり怒りの感情は湧いては来ない。]
あんた、マリアと上手く行って無いのかい?
……ああ、いや余計な事か。
話は解ったよ。
まあ、マリアにナイフでも突き立てられて「停戦破棄ですわ」とやられるよりよほどましさ。
なかなか律儀だな、お前さんも。
[少しの沈黙の後]
ともかくどうも教会が中立じゃないらしい。
俺達はさしずめ聖杯に捧げられる生贄ってとこさ。
未確認だが沖田は自分のサーヴァントを取り込んだとも聞いた。
奴には充分注意することだ。
[そうソフィーに告げた。]
は……っ
[咄嗟、槍の軌道を変えようと――
身に染みついた戦闘の習性が仇となる]
[肉と血が飛ぶ]
[左脇が、ごっそりと獲られた。]
あぁ…が…ぁあ……
[身を返すのは速い。
左手で、穴だらけの身を抑え、後ろへステップを踏む。]
[なおも敬一郎は近づいてくる気配はない…]
ああ!もう!
[敬一郎の気配の方に向かうことも考えたが、呼んで素直に来る相手なら苦労はない。]
これはこのままランサーがアーチャーにやられて終わりかな…
[このまま事が終わってしまうことも覚悟し始める。]
ケネスさんも、割とあっさり承諾してくださるのですね。
傷のひとつくらいは考えていたのですが。
マリアとは……うまく行っている、とは言いがたいかもしれません。
マスターとサーヴァントには、信頼関係が大切です。けれど、私はこのような性格ですから、マリアは色々不安かと思います。
感情が見えない人間は、付き合いにくいと。友人に言われたことがあります。彼女はそれでも友人でいてくれてますが、マリアと私は、まだ数日の付き合いですから、私が何を考えているのかわからない部分は多いでしょう。
自分で言うのもおかしな話ですが。
ですが、バーサーカーが美貴さんと一緒にいるのなら、心配ではありますね。マリアは私が破棄を伝えにいったことを知っていますが、バーサーカーにそれが伝わってないことは知りません。
美貴さんを人質に取られている、と誤解しなければよいのですが。
教会は、マスターにとっては中立だと、沖田敬一郎は言ってました。それは約束すると。
でも、彼がこの聖杯戦争でやろうとしていることを考えると、マスターの存在などどうでもよいのでしょう。
彼は人類を滅ぼすためにやってきたと、それが地球の意思なのだと、私に言いました。
何故彼が私にそれを教えたのかわかりません。
……ケネスさんも、その情報はどなたかに聞かれたのですか?
ああ……、宗冬様……。
[身体を覆う温もりに酔い、両の手を宗冬に絡める。]
ええ、……君子は危うきものに近寄らず、愛しき者に寄り添います。
[そう言って、宗冬への拘束を強めた*]
[どうやら双方かなりの消耗をしているようだ。
ならばここで一撃のもとに滅ぼすべきだ。
生成された剣を持ち、射程範囲まで移動する。二人からは既に視認出来る位置だが戦闘に集中しているらしくこちらに意識が回ってこない]
・・・・・・ 一瞬で勝負を決める。
[即座に平正眼の構えを取り、光速三段突のモーションに入る]
…なんだ、お前。
今日は随分、つまらなそうじゃねぇか。
俺は十分元気だぜ?
もっと楽しまなきゃ、損だぜ。
痛覚ってのは、甘美だろ?
槍と銃がぶつかって感じた痺れは、お前を奮わせたはずだ。
どうして、笑わない。
お前は俺を殺人狂と言ったが、だったら、お前はそうじゃないとでも言うつもりか?
俺とお前の、何が違う。
言ってみろよ。
[左手で眼鏡をつり上げようとし、痺れが残っていることを認めて、そのまま降ろす。]
[ついに敬一郎の姿を視界に捕らえる。
木の陰から飛出し叫ぶ。]
来たね。
沖田敬一郎!!あなた達の願いは絶対叶えさせない!!
ランサー、攻撃をすることを許可する!!
[令呪に今まで一番強く気持を集中させて命令する。]
「沖田敬一郎を全力で貫きなさい!!!」
・・・・・・ ちい!
[予測はしていた。あからさまな挑発だったのは確かだ。そしてランサーを撒き餌にして効果があるのはこの一点のみ。
だからこそ。
これから放つ3撃のうち、2撃はランサーに照準を取っていた]
悪いなランサー。アーチャーを倒せたのは君の功績だ。
[―――ぎぎぎぎぎぎぎ。ぎこん。]
その言葉を待っていた。
[ランサーは笑った。脇腹を魔力で回復させるつもりなど、毛頭ない。ランサーは、全魔力を一撃に篭め始めた。]
マスターには中立か、まあどの道まとめて滅ぼす存在だからって事かね。
これは、ランサーのマスターから聞いた情報さ。
ランサーは沖田とつながっているらしい。
奴らの願いが願いだし、それに耐えられなくなったんだろう。
……おっと、無駄話が過ぎてるようだな
単身で破棄を告げに来たあんたに免じて、今日は美貴には手を出さない事を約束するよ。
とは言え、「美貴殺せ」なんて命令したら、俺が宗冬にぶっ殺されちまうかもしれないがな。
[ケネスはそう言って笑うと、*その場を立ち去った。*]
[と。
背後に、濃密な殺気を感じる。
同時に、ランサーが、自分と対した時よりもずっと楽しそうに、背後に現れた殺気へ向かうのが見える。]
…なんだよ。
邪魔するんじゃねぇよ!
[髪を逆立たせる。
怒りを感じる。
銃を撃っていて、怒りが快感を上回るなど。
こんな状況、何が楽しいんだ。
どういうつもりで戦っていやがるんだ、こいつら。
完全に、理解の範疇の外。]
…クソが。
所詮、同類のくせに。
[シャクティ(魔力)の凝縮。
ランサーの肌は青く、そして深みを帯び、黒くなる。]
避けろ アド・エデム……
人間界よ 焼けよ 滅せよ 無に還れ
[ランサーが持つ槍が形を変える。
三叉の槍。満ちるは禍々しくも美しい力。]
[槍を遥か上空へ投擲する]
なん・・・・・・だと!?
[業は既に解き放たれた。
だが、そのランサーの攻撃が何を意味するか瞬時に理解した。
彼が放ったのは対軍宝具。軽く避けることなど出来ない。そして一度放たれた必殺の核爆弾はこの攻撃で留まる事は無いだろう]
我らの世界は正しき滅びを迎えん
ト リ シ ュ ー ラ
還れ 我らが世界
[対軍宝具が公園を中心とした樹那町に落ちてくる。炸裂すれば、一瞬にして人も町も焼け爛れる事だろう。ランサーの体は、既に透明に程近く、*地に倒れた。*]
ランサーのマスターが……。
無事だといいのですが。
サーヴァントがマスターの意見に逆らい、その上でマスターを殺すなど、ないとは思いますが、それほどバーサーカーは美貴さんにご執心なのですか。
キャスターが知ったら、美貴さんに半分呆れているのはいえ怒るでしょう。
二人が一緒にいるのを、キャスターには見られない方がよいかもしれません。
[立ち去るケネスを見送る。美貴に今日のところは手を出さない、と言ったのを見て思うところはあったが、何も言わずに会釈で返した]
……それでも、お二人には信頼関係、というものがあるのでしょう。本気でぶつかり合うことは、分かり合うための近道らしいですから。
[遠くなる背中を見つめながら、呟く]
[巨大の魔力が双筋、その交錯は公園に収まるものではない。交錯点から解き放たれる波動が入口へと吹き荒れる。美貴を守る為、宗冬は身を盾にした。]
!!!!!
[川原で、ランサーが立ち去った後もキャスターと話をしていた。
強大なサーヴァント同士の魔力が公園でぶつかり合っていると思った矢先
空から降り注ぐ……それはまるで、ハレー彗星のような不吉な光が……]
[ランサーが立ち去った後、マリアと暫く話しをしていた。
だがその後、突然公園の方から魔力のぶつかり合いが感じられた。]
戦ってるのか…?
[暫くその方角に眼をやっていたキャスターだったが、片方の魔力が突然膨れ上がったかと思うと、空に巨大な流星が現れる。]
あれは…ランサーか!
[威力はケタ違いだが、見覚えのある光景。
そこから、ソレを放った主に思い当たる。]
[全身から力が抜けそうになる。
緩慢な動きで、急所から攻撃を逸らそうとしたが、結局、沖田敬一郎の放った神速の一撃が、今度は右の脇腹を深々と抉り取る。
だが、意識はそこに向かず、ランサーの放った攻撃へ向いていた。]
どうして。
どうして、どうして。
こんなに強いのに。
俺を相手にして、これを出さなかった。
[…視界全面に広がる、破壊。]
俺じゃ、役不足かよ。
楽しめねぇかよ。
ふ、ふ。
[強くなりてぇ―――。
「彼」の気持ちを、少し、理解できた気がする。]
−駅前−
[何か、嫌な波動を感じ、空を見上げた。そこにある、たなびく尾。流星の形をした、地獄。
宝具のひとつであることに気づき、咄嗟に呪を唱えようとしたが、それで防ぎきれるとは思えなかった]
なんて、ことを。あれではこの町は――
……ヴァイナさん。
[天から降る光の筋は、落下に従って空気に溶けるように透き通ってゆく。]
光の力が弱まって落ちてきていますわ。
……相殺、出来るかもしれませんわよ。
[ランサーのマスターの悲痛な叫びが届いた訳では無かった。
考えたのは、この町のどこか…それほど遠くない場所にいる、己のマスターの無事を確保する事。
光の筋が落ち行く方向を目で追いながら叫ぶ。]
公園に!
[脳がフルで稼動する。
今ランサーは消滅した。ならば宝具は次第に消滅するだろう。
だがこの一撃は威力こそ弱まるが致命傷になりかねない。避けるには既に遅い。
ならば・・・・・・ やるべき事は一つ]
剣種よ!大地を貪れ!!
[太刀ほどの手元の剣から細い何かが地面に突き刺さる。
次の瞬間。その手元の剣が爆発的に成長を開始する]
星を食うもの
”斬 撃 皇 帝”
[その刀身は、ゆうに100メートルほどまでに成長し、彼は既にその剣の成長に飲み込まれ宙を舞っていた。
そして、この樹那町にまた巨大な断層が出現していく]
[空へ向けて、銃を右、左と撃つ。
そしてその反動に任せ、銃を放り投げる。]
ガ ト リ ン グ 砲
火吐き狂う虐殺機構。
[虚空から、棺桶が現れる。
蹴り飛ばし、中から長大な砲を取り出す。
別に、どうしたかったわけでもない。
ランサーに、自分の――
ガトリング砲の姿を、見せたかったのだ。]
[その、あまりに巨大な剣はそのまま落下してくるトリシューラと正面から激突した。
焔と共に降り注ぐ地面の破片。剣はトリシューラの力を切り裂きながらもその衝撃に耐え切れず、破片を町全体へと降り注がせた。
広域に降り注ぐ火の弾と、大きな地鳴りと共に現れる大断層。空中ではまだ巨大な火の玉と剣らしき物体が激突している。
まさにその風景は地獄のようであった]
光速三段突きにトリシューラ、トリシューラであろうかな。あの星は。
[宗冬は、手押し車を横に倒し、衝撃波に備えて美貴を隠れさせた。手押し車の底は鉄板で防御が施されているのは、子連れ狼ファンの宗冬にとって当然であった。]
く、ふふふっ。
[耐え切れず、震えるように笑う。
こんな大きな力を前にしているのに、全然、面白くねぇ…。]
遠いな…。
[そのまま、立ち尽くす。
とくとく、と、自分から血が流れていく。
このままだと、この戦いが――戦いと呼べるなら、だが――終わったら、「彼」がまた現れるのだろう。
今だけは、それでもいい気がした。]
[ランサーは消えゆく体と意識の中、
アーチャーの動きを見つめている。
黒き棺桶は遥か虚空から
強き意思と共に渦巻き現れ
完璧な形をしていた。
背景の空は、夕暮れでもないのに、朱い。]
…弱まってきている。
つまり…ランサーが倒れた?
[流星は光を失い始めている。
しかし、それでも地上にぶつかるまでに消え去るのには少し遅い。]
【どっちにしろ行くしかないな!】
[そう言ってマリアと共に駆け出そうとした時である。
突如流星の前に巨大な刃が姿を現し、流星を斬り裂いた。]
…ヤツか。
[その様子に思わず足を止めて呟く。
そう、あそこまでの威力の強化…令呪によるブーストによるものだろう。
ならば、あのランサーのマスターがソレを行う相手は誰かと言えば、一人しか居ない。]
[視線の先、流星を下から押し上げるかのような強大な魔力が、公園から展開されている。
降りかかる雹のような異物から身を庇いながら、咄嗟に神経を集中させた。]
マスター……
[ソフィーからの魔力供給は、継続して行われている事が確認された。]
[そのような地獄絵図が続いた後、剣と衝突していた巨大な火の玉は爆散し、同時に剣もその姿を急激に縮めていった。
巨大な剣に巻き込まれて宙に舞っていた沖田は、剣の収縮にあわせて地表に落下してきたが、かろうじて着地の態勢を取った]
はあっ、はあっ、はっ・・・・・・
[力を使いすぎた。生身の肉体が悲鳴を上げる]
[トリシューラに向かって、新たな巨大な魔力が放たれた。斬撃皇帝にガトリング。手押し車に陣取りながら宗冬はその様を感じ記憶することに努めていた。]
−噴水付近−
[地響きを立てて地面が揺れる。流星はその存在を次第に希薄にしていったが、それでも町が無事ですむわけがない。
噴水へと走り、その水の出口を壊し、辺りへと飛散させ]
La chose que toutes les choses retournent, et retourne.
Que soit relie tendrement d'apporter-en haut de la vie, toutes les sources, les temps anciens, et le fait; un tourbillon du pouvoir.
Donnez-moi le pouvoir.
''Devenez le bouclier''
[飛び散った水に手を当て、呪を唱える。辺りに薄く水のカーテンが広がり、噴水周辺へと集まっていた人々を包み込む。
降ってきた破片は、それにはじかれて宙へと舞った]
[ばらばらと、地面が「降って」くる。
強大な力。
沖田敬一郎。
彼の方を向く。
さすがに、消耗しているようだ。]
なぁ、おい。
ちょっと小耳に挟んだんだけどよ。
お前ら、人類を滅ぼしたいそうじゃねぇか。
別に、お前らが世界を滅ぼしたいとして、俺はそれを止めたいとか、別に思わねぇんだよ。
…大いに結構じゃねぇか。
俺が代わりに滅ぼしてやりたいくらいだよ。
[大気の振動が止む……随分長い時間に感じていたそれが止んだ後も魔力は供給されている、マスターには異変が無かったようだ。
周囲を見渡すと、川原には一面におびただしい数の月面のクレーターのような跡が無残に残っていた。]
……ランサーが消滅したのですか?
[先ほどここに立っていた男の姿を思い出し、キャスターの言葉を、確認して呟いた。]
[眼前に現われた巨大な剣、深々とえぐられた大地…巨大な方針、散らばる薬莢。
ランサーの放った一撃は到達せず、彼女は生きていた。
しかし、ランサーはすでに消滅し自分はもう目の前に立つ沖田敬一郎にとってなんの利用価値の人間だった。]
私の負けみたいだね…
くっ・・・・・・
[最悪の状況。ここでアーチャーと対峙するのはあまりに不利。
手元には既に剣種が戻っている。どちらにしろ撤退を行うにも戦闘を全く行わないのは不可能と判断し、再度剣種を成長させる。
体内の魔力が一気に吸い上げられていく。トリシューラの威力をその手に実感した事もあり、この場を自分だけで切り抜けなければいけない状況に対してランサーを失ったことを激しく後悔した]
[流れ続ける水と、自分の魔力。破片にあたった部分から、水は蒸発していく。いつまで体力が持つかわからなかったが、その手を止めるわけにはいかなかった]
この程度で済んだのだから、よかったというべきか。
[どこかで水道管が外れたのか、次第に水の勢いが弱まってくる。そして同じように空から降る破片も収まってきていた]
そろそろ、大丈夫だろうか。噴水もなおさないと。
…ああ。
魔力切れか、もしくは宝具を放つ直前に致命傷を負ったのかは分からないが…。
[流星と巨大な刃が消えた空を見詰めながらマリアの問いに答える。]
……威力が弱まっていたとはいえ、アレを切り裂くか。
面倒な相手だ。
・・・・・・
[アーチャーの動向を気にしつつ、久子の言葉を受けた]
負け、か。これが君の望んだ決着か。
仮にも魂で繋がったマスターであっただろうに、ランサーはさぞ無念だっただろうな。
君はランサーを裏切った。それも最も酷い方法で。
[呼吸を整えながら]
確かに、あまり君の事をいう権利は僕には無いだろう。だが、君は僕の破壊に対してさらなる破壊で報復しようとした。
恥じることは無い、きっと人間はそういう生き方しか出来ない生き物なのだろう。
[ゆっくりと、ガトリング砲が掻き消える。
…なんだ、自分も、消耗しているのか。
それとも、こんなもの戦闘じゃないと、自分が認識しているからか。
何もしていないも同然だと言うのに。]
く、く。
[自嘲する。]
あぁ、ランサーよ。
すまなかった…楽しませられなくて。
お前を、殺せなくて。
ヴァイナさん、今のは……?
[面倒な相手、という言葉に自然にそんな疑問が口から出た。
キャスターは知っているのだろうか。
あの技の主を。]
[全てがおさまった後、魔術を解き、自分で壊した噴水へと歩いていく。周りの人々を見回す。今起こったことをうまく理解していないのか、おさまってから方々へと逃げるように散っていく。
辺りに散らばった破片を見つめ、手をかざした]
Revenez a la place originale.
[破片が消え、噴水が元の姿へと戻る。
辺りをもう一度見回し、公園の方へと歩き始めた]
裏切り?
そんな奇麗事、あなたがいうなんて。
私とランサーは敵同士なんだ。
裏切るも裏切られるもありはしないよ。
私は私の使える力を使って事をなそうとしただけ。
そういえば力のうちの一つはあなたがくれたものだったね。
[久子は避けようのない彼女にとっての世界の終わりが近づいていることを感じつつ話していた。]
…話したい事があるって言ってただろ?
ヤツ…あの刃の持ち主は、この聖杯戦争における"八騎目"のサーヴァント。
セイバーを吸収し、その力を得たマスターでありサーヴァントでもある存在。
世界の滅亡を願う…俺の敵だな。
[マリアに歩み寄りながら、ゆっくりと説明する。]
・・・・・・
[アーチャーはどうやら戦闘継続の意思はないらしい。
彼もライバルを失った感傷に酔っているのだろうか]
悪いが、また改めて挨拶をさせてもらうぞ。アーチャーのサーヴァント。
[久子のほうを振り向き]
君は、この戦争の行方を見守る義務がある。
行くところがないのなら、教会で保護する。ついて来い。
公園の方角だった。
それに、あの一瞬出た剣の形をしたものはいったい。
剣だから、セイバーのもののはず。沖田敬一郎……。
[呟いて今から向かおうとする、*公園の方を見つめた*]
あぁ……"沖田敬一郎"ですわね。
私のマスターが、彼からそういった話を直接聞いているようです。
彼は尋常な存在ではありませんわ。
とても危険な存在ですわよ。
・・・・・・
[その彼女の言葉に、自分の中の逆鱗のようなものに触れたような感覚を覚えた。
その直後、沖田は久子に近寄り、その頬を叩いていた]
・・・・・・
[分かっている。それは矛盾だ。
ランサーは彼女と敵対するように仕向けた。力も与えた。
彼女がその力をどう行使しようが、もとはといえばそれは自身の蒔いた種であり否定する所は何も無い。
だが、脳裏にかすめる生前の自分と重なる。
ただ武器の一つのように扱われ、全てを奪われた自分と]
・・・・・・ すまない。確かに君の言うとおりだ。
殴って悪かった。
ああ、危険だな。
そしてそれ以上に、俺はアイツが気に入らない。
[真剣な顔で静かにそう継げた後、キャスターは思い出した様に苦笑いしながら謝った。]
そういや、ごめんなマリアちゃん。
ランサーとの会話の時…あんな風に俺の真名なんか知りたくなかったろ。
ほら、マリアちゃんそういうところ真面目そうだし。
[気力を振り絞る。
右手にだけ、再び銃を握る。
その銃を見つめる。
…こいつには、嘘はつけない。]
あぁ…、沖田敬一郎よ。
[近付き、しかし、通り過ぎる。]
俺も、この銃で、世界中の人間を撃ってやりたい。
そう思うぜ。
…自分自身で、な。
[左手の中指で、眼鏡をつり上げる。]
気にいらねぇよ。
お前ら、強いんだからさぁ。
やるなら、全部自分の力でやれよ。
聖杯の力を使って望みを叶えようとする、てめぇらの存在自体が、あまりにもくだらねぇよ。
その程度の意思しかねぇ奴が、生きてる意味なんぞ、何一つない。
必ず、お前を、殺してやる。
楽しみにしてろ。
[今の俺じゃ、負け犬の遠吠えだが。]
・・・・・・
[アーチャーの声に振り返る]
中々、見所はあるようだな。
だとしたら今真っ先に撃ち抜きたいのはこの俺という事になりそうだな。
いいんですのよ。
[真面目だから、と言われて苦笑を浮かべた。]
私、忘れっぽいんです。
もう、忘れちゃいましたから。
ね、ヴァイナさん。
私を殺さないの?
義務?
[意外な言葉に言葉を詰まらせると同時に頬を叩かれる。]
!?
[痛みよりその人間くさい反応に驚く。
…湧き上がるよくわからない感情…]
よくわからない…けれど私にその義務があるというなら。
ハハ、そっか。
忘れたなら仕方ないよな。
[マリアの言葉に思わず吹き出す。
なんか久々に、楽しくて笑った気がする。]
ホント昼といい真面目になる事が多かったからなー…。
ったく、俺は真面目とか苦手なのにさ。
[この聖杯戦争でできることはやった。
彼はまだ剣を手にしている、この場で従わなければ殺される可能性が高い。
この場で彼女の世界の滅亡を迎える必要はない…]
[まるで惨状の跡のような、酷い有様の川原で、キャスターとアサシンは、向かい合って笑っていた。
ある意味、聖杯戦争に於ける異様な光景がそこにあった。]
あら、私はいつも真面目で真剣ですわよ。
……うちのマスターほどではありませんけど。
後でセリアを寄こす。
普段俺が居ない離れに連れて行く。
あとは、戦争が終わるまでじっとしていろ。
アーチャー、悪いがこれで今日は失礼する。
また会う日を楽しみにしている。
[そう言うと、公園の木々の中に*消えていった*]
[マリアが最後に言った言葉に、少し考える様子を見せる。]
んー…確かに真面目すぎるのは困るよな。
でもさ、もしかしたらソレしか知らないのかもなぁ…。
そういうのって、俺はスゲー損だと思うんだ。
だから、そういう奴には真っ向からぶつかって、それで手を引っ張って連れ出してやればいいんだよ。
[そうすれば、何か変わるかもしれないぞ?とキャスターは微笑む。]
マリアちゃんが何に悩んでるのか知らないけどさ。
俺から見てもマリアちゃんとマスターはいい奴だと思う。
だから怖がらずにぶつかってもいいと、俺は思うよ。
まー…ウチのボケみたいになられても困るけどな。
[右手に握った銃も、掻き消える。]
おい、ランサーのマスター。
お前もきっと、俺が殺してやる。
その日まで、生きていろよ。
[そう言い残し、
そのまま、歩く。
にげるように。]
マスターは。
感情が、欲しい、と思っているのかしら。
[キャスターの言葉を聞いて、ぽつり、とそう呟いた。]
有難う、ヴァイナさん。
[サーヴァントの魔力のぶつかり合い、そして1人のサーヴァントの消滅が齎した、川原の惨状を見渡しながら]
貴方とは、同盟を組んでこうして話をしてますけど。
情報交換という駆け引きとか、そう言うのを、超越してしまいますわ。
おかしいですわね。
…その欲しいって気持ちにすら気付けないとしたら。
当然過ぎて普通は分からないだろうけど、それは凄く辛い事なんだろうなぁ。
[マリアの言葉に小さい声で答える。]
ん、お礼なんて別にいいよ。
俺が思ってる事を言っただけだし。
[マリアのお礼の言葉に、微笑んで言葉を返した。]
んー、俺としては大歓迎だけどね。
何気ない事を普通に話せて、しかも相手がマリアちゃんときたら…そりゃもう喜び以外でも何物でもないし。
[あとは露葉にも沖田敬一郎が消えた方向にも目をくれず、来た道を、公園の外へ向かって歩く。]
…お前。
[そこに、宗冬の姿を認めた。
目を逸らす。
今の俺の、このみっともない姿を、この男だけには、見られたくなかったのに。]
遅かったじゃねぇか。
クハッ。
もう、終わってるぜ。
戦いはよ…。
[敬一郎とアーチャーが去ると同時その場に座り込む。]
…
[ランサーの御霊の残照を感じる。
それは意外にも邪悪な気配はなく…いやほんとうはわかっていた。その願い悪意からものでないことは。
無色に感じるそれは他のなにかの意思を受けて自分達…人類の存在を否定する意思を放っている。]
…謝らないわよ。
私達は自分の目的のために精一杯戦っただけなんだから。
どちらも謝る必要なんてない。
さよなら、ランサー。
[アーチャーが近付くにつれ刀が震え始めた。刀も武者震いをするのだろうか。刀の鼓動を感じ宗冬は立ち上がる。]
終わっていない。それがしと貴公の二人が居る。それで十分であろう。
[意識が、遠のくのを感じる。
「彼」の、お出ましだ。]
…残念だ。
お前とも、戦いたかったがな。
また、戦ろうぜ。
いつかきっと。
[だらりと、両腕が垂れ下がる。
瞬間、剣呑とは言えず、しかし戦いを渇望して止まなかった空気が、平凡なそれへと変わる。]
…やぁ、宗冬さん。
この間は、楽しかったね。
痛ててて…。
今回の傷も、まったく、酷い。
[顔をしかめる。]
……ヴァイナさんたら、お上手ですわね?
お若い時は、さぞ、沢山の女の子を泣かせたのでしょね。
[くすくすと笑いながら、そう返答する。
シャルロットは、恋を知らない。
生前、政治の思想に囚われ、男性を共闘の相手としてしか見ず、多くの男性に想いを寄せられながらも、断頭台で首を切られた彼女は、恋を知らなかった。]
もう、「彼」は、ここにはいない。
その刀を振り抜けば、僕を殺せる。
それくらい、僕は弱い。
[右手の中指で、眼鏡をつり上げる。]
…ま、そうしようとするなら、全力で逃げるけどね。
[左手を、右の脇腹に当てる。
斬られた傷より、性質が悪い。
これだけ深く、肉を抉り取るとは。]
[刀にやり場のない怒りを感じる。仕方なく宗冬はぼろぼろのアーチャーを峰打ちにした。]
すまぬが、とりあえず打たせてくれ。
まさか。
ずーっと振られ続けた人生だったよ。
[苦笑しながら腕を組むキャスター。]
こんなに普通に話した相手なんて、マリアちゃんが初めてじゃないかなー?
"もし"マリアちゃんが俺の名前を"思い出し"たら、調べてみるといいよ。
[そこまで言って、キャスターはふと気付いたような顔をした後微笑んだ。]
そういう意味では、こうしているだけでも召喚された価値があったね。
いたい!
酷い!無抵抗の僕に!
さぁ、宗冬さん。
「彼」は君とも戦いたがっていた。
その望みをかなえるためにも。
…治療を、開始する。
[安心しろ。
僕が必ず、万全の状態で、戦わせてやる。
そうしなけりゃ、僕の望みは叶わない。
そして今回は、それだけじゃない。
「彼」の悔しさを、*僕も分かるからだ。*]
【システムメッセージ】
3:30にて更新を行います♪
喋りたい人は残り20分ちょいで急いで書き込んでね★
【システムメッセージ終了】
先程は刀の情に押されて「終わっていない。それがしと貴公の二人が居る。それで十分であろう。」とか言ってしまったであるが、それがしは特に戦いたいわけでもござらんでな。
そして今は刀の失望を晴らす為に、打ちたくもないお主を打ち据えているわけでござる。
とりあえず叩き終わったら酒でも飲みにいこうではござらんか。
地上に舞い降りれた天女たる美貴殿も紹介しましょうぞ。
[この後、峰打ちはアーチャーが気絶する迄続いたという。*]
いやいや!
厳しいって!
[あ、お花畑が見える。
あふぅ。]
あ、危ない。
この傷でこのままだと、本格的に逝ってしまう。
[気絶する寸前、応急処置だけを終える。
露葉が家へ連れ帰ってくれるという儚くも淡い期待だけを抱き。
そのままお花畑へと、*ダイブしていった。*]
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