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双子 ウェンディ に 2人が投票した
酒場の看板娘 ローズマリー に 9人が投票した
未亡人 オードリー に 1人が投票した
酒場の看板娘 ローズマリー は村人の手により処刑された……
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか?
現在の生存者は、牧童 トビー、双子 ウェンディ、旅芸人 ドリス、雑貨屋 レベッカ、修道女 ステラ、文学少女 セシリア、のんだくれ ケネス、隠者 モーガン、学生 メイ、未亡人 オードリー、藪医者 ビンセントの11名。
[老人の言葉に、にこりと微笑み]
お爺様のお手紙には、この事態の首謀者の目的が書かれていた。
「鍵を手に入れること」
わたしのお手紙には「SSSを開け」と書かれていた。
でも、不思議なのだけれど、お爺様が鍵をお持ちなのなら首謀者はお爺様から鍵を奪えばいいだけの話。
わたしや、他の方に手紙を出す必要はなかったし、何よりお爺様だけで話が済むならこんな事態を引き起こさずに済んだと思うの。
ましてや、わたしにSSSを開けという必要もないわ。
鍵がそこにあるのなら、持つ者が開けばいいのだから。
……つまりね。
何故、首謀者はお爺様から鍵を奪うわけでもなく、こんな面倒なことを仕出かしてしまったのかしら。
鍵をお持ちのお爺様なら、その辺りについてご存知なのじゃないかしらと、思ったの。
―― 現実世界<Mundane>/中央部・都市銀行前 ――
[遅れて届く通信/処理が落ちている為かもしれない]
《地図/手紙ニ》
[ステラへとそれだけを返し、漆黒に包まれた腕を上に伸ばす]
[ウェンディの視線に気付く事なく飛んできたガーゴイルの羽音]
―― 現実世界/中央部 ... 都市銀行 周辺 ――
[ドリスの思考が読めないオードリーは緊張が弛緩しない。]
【コイツは、何者だ。さっきの音声とは無関係か ... "眠リノ神?"】
ねえ、あなた、そんな喋りかたしてて疲れない? フフフ
お名前を伺ってもいいかしら。私はオードリー・ハックマン、この街には商談で来たんだけれど、この災害に巻き込まれちゃって、困ってるの。あなたはこの街の方?
"眠リノ神" って何の話かしら?
[肩の力を抜く、、ふりをした。]
――Mundane West-Area 空中庭園――
[乗用機の中を覗き込むように]
[ドリスからの返答を受け、MAPへの操作――計らずとも、ケネスと同じく、コンダクターの名前を得る。]
……コンダクター?
[確認のため、スピーカーを通した音声を発する。]
――Mundane/空中庭園――
[機体へと近づく。シュッと音をたててローラーブレードの刃を出しゆるく滑る]
【……点はまだある。でも、人の気配はない。てことは、AI主体?】
[臨戦態勢とまでは行かなかったが、警戒は解かずに]
教祖様は神に選ばれた存在ですので、MasterのAIである私も選ばれた存在と言えるかもしれません。もしも、ヴィンセントさんが、ただしき生命のあり方に関心がおありでしたら、お話させていただきますけども。
[ごく真面目に答えてから、簡単な対外的な教団の説明を付け加えた。
「AIですよ」と自分自身の認識を念押しするようにするとき、無表情はわずかに翳りをおびた表情に変化した。]
──…手紙が変化して出来た地図をみて、最寄りの位置にあったドットが貴方です。ヴィンセント・キャロ。
[会話はどこかしら、噛み合ず不自然なまま続く。]
―― 現実世界/中央部 ... 都市銀行 周辺 ――
[そのとき、トビーからロードしたデータが呼び出される]
あら、あなた ... 彼に会っているのね。
じゃあ、いいことを教えてあげましょうか。
【丁度いい、コイツとアイツをぶつければ、あのメッセージの ... 】
彼が、この災害を引き起こした可能性が高いわ。
単独犯かどうかはわからないけれど
【さあ、どうする?】
ふむ……それは実に興味深い質問だ。
[思案するようなポーズ。]
率直に言おう。私自身鍵を持っている覚えはない。
確かに、私は旧時代の化石……
あそこを開ける方法を知っていると踏んだと
考えられぬこともないわけだ。
だが、仮に私が開け方を知っているとして。
それを「鍵」と表現するものかのう。
[揺れる稲穂。靡くサンスクリット。]
もしや、我々の把握していない「鍵」が、
この世界に存在しているのかもしれぬ。
今、この地に立つはその「鍵」とやらを
持つ者ども…と考えるのはどうかのう?
知らない人もいらっしゃるようですし、行ってみましょうか。
[目をそちらに向け、足を忍ばす。]
[警戒は、ある。]
―現世/中央部・どこか→都市銀行方面―
―― 現実世界<Mundane>/中央部・都市銀行前 ――
[ガシャリ]
[ガーゴイルは伸ばされた三本目の腕に従い、左に舞い降りる]
[右にはグリフォン/<Utopia>サイドからしか見えぬ魔獣(PGM)]
オ前ノ言葉ハ、意味ヲ掴ミ難イ。
簡潔ニ話セ。
[探るような言葉にストレスが上昇/苛立ちに似た反応]
[瞳孔が絞られる]
マイネーム イズ ドリス。
オードリー。コレノ通リダナ。
[左のチョコレートブラウンの掌に掲げられたままの髑髏を見る]
眠リノ神、ヒュノプス。
オ前ガ撒イタノカ?
[聞こえた声]
コンダクター……?
とりあえず、トビーの声じゃないのは確認。
[機体の傍まで来ると、影にホログラム]
そこにいるのは、誰?
あなたも、手紙を持ってんの?
[聞こえるように声をかけた]
お爺様が鍵をお持ちだったわけではないのね。
変ね。首謀者は明確にお爺様に鍵の供出を望んでいた。
首謀者も、きっと鍵の在り処を知っているわけではないと考えるべきかしら。
[思考]
鍵を望んで──でも知らなくて──わたしたち──残された──望むのは鍵──SSSを開く──
[そこに、老人の一言が流れ込む]
鍵を持つ人を、残した?
「光点が消えた」
──『消されるために繋がれる』
[浮かび上がるのはステラの言葉]
[左胸に手をあてる]
光点を消す。
どうなっているのかは知らないけれど……
『消すために繋がれる』
『鍵の所有者を示す光点が消える』
鍵を集めている?
[地図を見る][まさにそのときに]
[すう、と。光点がひとつ消えた]
― 現実世界<Mundane>/西部区域:UGV車内 ―
[セシリアの純白のボディスーツの胸元には、黒十字に赤い十一の繭のマークが配されている。
そのマークを見て、俺の悩みはまた深まった。
シャロン・ロックとの繋がり、例のカルト集団。うわ、思いっきり要注意人物だったりしないか?
セシリアが神の存在について語り出した時、俺の口は我知らず半開きになっていた。]
セシリアちゃん。
なんかおっとろしい秘密を知ってたらさっくりほいほい教えてちょーだい。だいばすたー。
まさかこの大事件にセシリアちゃんが一枚も二枚も三枚もかんでたりはしないよね?
[双子は再び顔にフィルムをはりつけ、正面に向き直っている。
曲はいつしか終わっていた。]
そうそ。逃げたかったらいつでもおいちゃんとこ頼っていいかんね。これ、名刺。
[セシリアに名刺を差し出した。]
[AIだと聞いて、双子が再びセシリアの方に向き直る。]
え? AI――?
本当に?
[俺はまじまじと見つめていた。
ああ、地図か――と万華鏡を見れば、確かにすぐそばの光点が確認できる。]
―現世/中央部・都市銀行周辺―
[ホログラムの位置を確認。]
[このあたりだと概算した距離で立ち止まる。]
[動きを止めた/だが自動的に動き続ける都市の中。]
――【どこに?】
[物音は立てずに、だが隠れることもなく。]
[先に視界が捉えた黒と赤。]
[声をかけることは、しない。ホログラムを開き、名前を確認。]
――Mundane West-Area 空中庭園――
ステラです。
私”も”手紙――手紙として送られたものを所持しています。あなたもですね。
[光点が消える。興味深そうに首を捻る。]
「鍵」とやらがマテリアルか、それとも
因子など我々に内在するものかは知らぬ。
だが、消えた光点は間違いなく「鍵」を
奪われていると見て間違いないだろうな。
[稲穂を持つ手が戦慄く。]
これ以上、メガロポリスが蹂躙されるのは
私には耐えられん。我が身を食われるようだ。
[Kotをしっかりと見据えて。]
私は現在に至るまで、孤独と共に生きてきた。
それ故、何者が相手でも躊躇はしない。
だが、君はどうだ?仮に、我が旧友―
君の師匠がホシであっても、君は彼に
向かって、矛をとることができるかね?
―― 現実世界/中央部 ... 都市銀行 周辺 ――
[ドリスの問いに]
理由ね。あなた、S級空間って、知ってるかしら? 私がここに呼ばれた理由が分からなかったけれど、どうも、それに関係があるらしいの。
そして、その秘密を知っている者は、この事件を仕組んだ者らしいわ。"コンダクター" は、その秘密を知っているのね。坊やは "コンダクター" なんでしょう。
すべて状況証拠と推測、女の勘ってやつかしら。信じるか、信じないかはあなたの自由よ。
[不敵な笑み]
― 現実世界<Mundane>/西部区域:UGV車内 ―
神様の教えってば不思議なものなのね……。
[それだけ口にして、ほうと息を吐く。
学歴の高い者や科学の信奉者だったはずの技術者――それも優秀な頭脳を持った者が多かった――がカルト教団に入信していくことは不思議なことのように思われた。
Kosha Cyberneticsの技術者も幾人か入信しているハズだ。
その名前は社から永遠に抹消されてはいたが――。]
そうそ、セシリアちゃんどこへ?
まさか俺に用があったりなんかしたり? シャロンちゃんに連れてこいって言われたとかさ――。
[返ってきた返事に、拍子抜けしたように警戒を解く]
ステラ、ね。
あなたも手紙を受け取ったんだ。
何が書いてあったかまでは問わないけど。
やっぱり、共通性がうっすいなぁ。
手紙の持ち主に共通した何かがあると思うんだけど。
あ。あたしはメイよ。
多分、あなたとは正反対の生き物。
ね? あたしとあなたに共通点があると思う?
―― 現実世界/中央部 ... 都市銀行 周辺 ――
さて、ドリス、あなたは何者?
どうして、ここにいるのかしら。
"眠リノ神" とは、どういう関係?
まさか、お友達じゃないわよね。
── 現実世界<Mundane>/西部・UGV車内 ──
[「秘密」「事件への関与」、ヴィンセントの口にした言葉は、ヒュノプス後に唯一セシリアが接触した光点、ドリスが話していた内容と何処か似ている。片方は無機的なAI、片方は人間であるにも関わらず。]
…・・秘密?
このメガロポリスの眠り、沈黙と言う名の粛正が神によるものならば──神がその御姿を私の前にお示しになる時、私は神の僕となるでしょう。
[AIで有ると言うと必ず返ってくる反応には、Masterの技術力の問題だと、何時ものように淡い笑みを浮かべるのみ。
名刺を受け取り、暫しの沈黙。]
…………。
――Mundane West-Area 空中庭園――
[少し悲しげに、目を伏せるアクション]
現在、私の接触した、4人の”手紙”の所有者に一定の共通項は存在していません。メイ、あなたを含めて。
”手紙”を所有しているという事を除いては。
……”手紙”を所有している存在は、あなたにとって安心して対峙できる存在ですか?
師匠が首謀者だったら……。
考えても居なかった。だって師匠はわたしを引き取って、育ててくれて、色々なことを教えてくれた人。
今のわたしは「ありえない」と思ってる。
師匠は確かにちょっと、だけど。
けど、こんなことをしてSSSを開くような流儀は師匠らしくないもの。
だけど。もし本当に師匠が首謀者だったとしたら。
[にこり]
師匠の非を指摘して、助けて正すのも弟子の役目なのよ。
―― 現実世界/中央部 ... 都市銀行 周辺 ――
あら、レベッカ。そうね、さきほどぶりね。
紹介するわ。こちらのステキな方がドリスさんよ。
セキュリティ会社の方ね。トビーさんのお知り合いみたいなの。
[からかうように]
そういうわけじゃないけど。
あなたの返答に、すぐに戦いになるような匂いは感じなかったから。
でもそっか。共通する点はなさそうね。
しかも、手紙の内容もそれぞれで違うみたいだし。
隠された共通点があるのかもしれないけど。
自分でも意識しない部分なら、まあわからないわよね。
―― 現実世界/中央部 ... 都市銀行 周辺 ――
かわったこと、そうね。
あなた、さっき銀行でお金を下ろそうとしたら、締め出されちゃったわ。気をつけなさいな。いざというときに銀行なんて冷たいのよ。フフフ
―― 現実世界<Mundane>/中央部・都市銀行前 ――
S級空間。
[ディスプレイに映っていた赤い文字列を再生/WARNING/"S2"]
ソレガ贄ヲ求メル目的カ。
[思考するように動きが鈍る/演算にメモリが割かれる]
[幾つもの可能性/高い順に弾き出しながら情報を求める]
指揮者(コンダクター)/指揮スルモノ≒他ヲ動カスモノ。
[笑みに誘われるように薄く口が開く/漆赤の裂け目が覗く]
―― Mundane/Hanging Gardens ――
[相貌は平静。]
[実体と非実体、双方の会話を聞いていたが]
―――Stella.
[呟くように。静かに。]
[それからオードリーに向き直る。]
銀行に、締め出されて?
銀行は動いていたのですか?
[光点を目指していたレベッカは、銀行の様子を見ていない。]
災難なことだったのですね。
銀行は信用ならないとわたくしも聞いたことがありますが、体験は初めてうかがいました。
[都市銀行の建物に目を移した。]
シャロンなら、こんな状況でも貴方に再取材を申し込むかもしれません。彼女も事務所で昏倒してましたけれど。
[名刺を手の中で、くるりと回し。
たまたま、最寄りの光点がヴィンセントで有った事も淡々と説明した。が、AIとしての最優先目的を達成することが出来ない状況であることは──口にしなかった。]
…さしあたっての目的はありません。
【Masterの元へ──戻れない と言うだけ】
よく言った。
[気持ち良いくらいに、にっこりと笑う。
その表情だけ見れば、普通の穏やかな老人。]
是非、私の教えも授けたくなるほどだ。
いやいや。旧友の弟子に勧誘紛いのことを
するのは、無礼というものだのう。
[稲穂の槍を握りしめて。]
君は、我が旧友を越えることも可能だと思う。
それだけのポテンシャルを秘めているのう。
「力」が欲しければ、いつでも言いなさい。
与えられる「力」が嫌ならば、修行とでも思え。
壊すだけでは、つまらぬぞ。育てる楽しみもある。
――Mundane West-Area 空中庭園――
……。
共通項を何らかの方法で見出すことの出来るものが、我々に「手紙」を送信したと考えて良いのでしょう。
[メイの言葉を手短に、自分なりに纏めた。]
あなたは、何故彼と――[機内の人物を示す]行動を共に?
[示して後は、機内に顔を向けたまま静止した。]
アイム 黒(カーリー)。
召喚(呼バレ)タカラ、ココニイル。
眠リノ神ニ報復ヲ。
[ギィィ]
[ガーゴイルの警戒の声/振り向く]
オ前ノ"オ友達"カ、オードリー。
そう言えば、未発表のシャロンのデータ。
Kosha Cybernetics社にシャロンが訪問した時に、撮影したもの。
貴方が、映っているものですけど。
今、私が持っています…。
[レベッカの言葉に笑いながら]
ほんとうはね、銀行が信用ならないんじゃないの。人間が信用ならないのよ。
昔、アダム・スミスという人がいてね。市場の参加者が利己的にてんでばらばら利潤を追求しても、みえざる神の手によって、利害関係は調整されるって言ったわ。だから、銀行が経済合理性を追求しても他の人が不幸になるはずは無かった。
でも、現実はそうはならなかったのよ。
人間の欲望が神の手に余ったから。皮肉な話ね。
―― web cafe"Brute Force" ――
【08――彼あるいは彼女がどのようにして消えたのか。
または、何故消えたのか。調べるにはどうすれば良い?】
……つったって。考えてるだけじゃ、何も答えは出ないよなァ。
なあ、"Celia"?
『――そうですね。どうするんですか?』
[頭蓋内で少女の声。ギッと音を立てて座席に座り直し、首筋の端子に再びプラグを差し込んだ]
セキュリティ会社ハ、違ウ。
嘘吐キカ。
[冗談は余り通じない/本質と合わない]
[トビーを知っていることは否定せず、レベッカを見る]
[髑髏上に表示された女性名の一つ]
オ前モダナ。
召喚(呼シ出シ)タノハ、オ前カ?
[髑髏上の座標確認/IDを見て、レベッカへ黒目を向ける]
――
[ガーゴイルの様子に、レベッカもまた警戒を緩めず。]
オードリー様の"友達"ではありません。
わたくしは、旅行者です。
こうなってから、動いている方にお会いしたのは、あなたで七人目です。
―― 現実世界/中央部 ... 都市銀行 周辺 ――
[ドリスに]
友達 ... そうね、出会ったばかりで彼女が私のことをどう思っているのかはわからないけれど、私は彼女のことが好きよ。
[満面の笑み]
とりあえずな。"Celia"はこの【08】が消えた現場行って、出来るだけのデータ拾ってきてくれ。迅速に、隠密に。
誰かに声かけられたらその場で退去してきていい。
『――はい。それで、マスターはその間? どうするんですか?』
俺は――ちょっと、な。
この地図のアーキテクチャを弄ってみようと思ってる。コイツが“ヒュプノス”の妨害を透過してるんなら、"Stream Map"に組み込む事で実行速度が回復するだろうから。
――[0] 違います。
[質問に、端的に答えた。]
わたくしは、呼び出す方法を存じません。
…申しおくれましたが、レベッカと申します。
[トビーの指が半円/半透明に広がった鍵盤に触れる。]
――/Diaconus ;urbs;
自己意思を持たないAI。
[声は漣のように響く。]
教えてくださる方がたくさんいるのは、とても幸せなことだと思うわ。
覚えることがたくさんあるということだもの。
わたしが師匠を越えられるなんて、今は思ってもいないけれど。
そうね、越えて、驚かせてみるのも面白そう。
この事件の中でわたしが力を望むことになったなら。
頼らせてもらうことにも、なるかもしれないわね。
……今は、やっぱり怖いけれど。
育てる楽しみは少しわかるかもしれないの。
わたしが知識を得ることで、"Luth"がどんどん成長していく。
わたしに出来ることが増えれば、"Luth"の出来ることも増えるのよ。
それはとても楽しいことだわ。
ラボで育てているひまわりが大きくなるのも、楽しみだわ。
[視覚素子を操作して、Cubeを立ち上げる]
[緑・緑・青・赤]
きれいな花を咲かせるのよ。
[ぽんぽんぽんと足元にひまわりのホログラムが咲く]
銀行よりも、人間が信用ならないのですね。
神の存在/それはわかりませんが――
[オードリーに目を向ける。]
[少し困ったように。]
友達なのでしょうか?
人とこのように話すのは、殆ど無い為に、何をもって友達というのか判断をつけられません。
――好いていただき、ありがとうございます。
["主"以外から投げられる言葉は、あまり強い意味を持たないが。]
[礼を述べた。]
[流れるようなオードリーの言葉/理解できない戯言を聞き流す]
[レベッカを捉えた瞳孔がキュルリ大きく開き、アナライズ]
フゥン。
[人間/オードリーは友人と発言]
[AI/レベッカは違うと否定]
[ほぼ同時に返ってきた答えを記録し、レベッカの答えを待つ]
―― 現実世界/中央部 ... 都市銀行 周辺 ――
それにしても、嘘吐きとは、失礼ね。
あなたは、いきなり現れて、私が尋ねても否定しなかったじゃない。
それに報復? それは剣呑ね。相手は危険な相手よ。
[トビーの顔が浮かぶ]
何か手段でもあるの?
[電脳喫茶内部の個人空間に移行する。
多少の防護は施されていたものの、壁面のそこかしこで、白い網目状の侵蝕が進んでいた]
――その後は、そうだな。
上手く行くなら、電脳経由で誰かと接触を取ってみようかと思う。
"Celia"の方でも何か異状があればすぐに伝えるように。
『――了解です、マスター』
じゃ。3時間後に落ち合おう。
―→ Public/web cafe"Brute Force" ――
― 現実世界<Mundane>/西部区域:UGV車内 ―
うへえ。シャロンちゃんも倒れてるって!?
[シャロンが事務所で昏倒しているなら、そうした思想団体主体の行動ではないのだろうか。困惑しながら、どうするべきか思案を巡らせる。
眼鏡に二重写しになっている万華鏡を覗けば、アーヴァインの時と同じように光点が一つかき消えた。]
まただ……
[一瞬そちらに気をとられていて、セシリアの撮影データを持っているという言葉に反応が一瞬遅れた。]
シャロンちゃんがねぇ――
どど、どんなデータかしら。タイのおかしら。
向日葵。形状が太陽に似ている花じゃの。
さらに、視線はしっかり太陽を見据えている。
[太陽。考えてみれば、彼は常に太陽に背を
向けて―向かされて生きてきたのかもしれない。
育てる楽しみは、ゆくゆくは自分にTRUE ENDを
齎すために育てる楽しみでもある。]
君の向く先にも、常に太陽があると願う。
[だが、今は単純に目の前が眩しい。]
―― 現実世界/中央部 ... 都市銀行 周辺 ――
[レベッカの言葉に]
友達の定義、ね。
利害でない 何かを紐帯にして繋がっている個同士を友達というんだと思うわ。
あなたにはいないの?
そういう人、いえ、人でなくてもいいわ。
分かちがたい何かで繋がれている相手が。
[純粋に興味で聞く]
肯定モシテイナイ。
[オードリーの非難を込めた言葉にも裂け目は変わらない]
[いちいち答えるのが面倒/無駄な行為と判断していただけだが]
危険。
オ前ハ、トビーニ詳シイノカ?
[ギィィ]
[手段という言葉に、ガーゴイルが唸り声を上げる]
――利害でない
[レベッカの目はオードリーの赤を補足。]
繋がれている人はいますが、それは友人ではないと思います。
["主"とはそういうものだ。]
[決してその事を口にはせず、それだけを答える。]
[次いで尋ねたのは、パターンを記録するため。]
オードリー様には、いらっしゃいますか?
レベッカ。
オ前モ召喚(呼ンデ)イナイト言ウ。
―――皆、否定シソウダナ。
[S2/贄/共有PGM/地図/ヒュノプス/差出人の表示の可能性]
[集まるキーワードと今までの反応から方針の転換も検討]
― 現実世界<Mundane>/南部学術区域:電脳街 La Mancha ―
[話をしているうち、UGVはいつしか高層住宅群の麓のほど近い電脳街にやってきていた。]
ごめんねぃ。ちょいと調べたいことがあるんだわさ。
ここでなにかわからないことがこいつらを使ってやって。
[セシリアに、双子を指し示す。
8階に続くリニアフローターは荷重オーバーの警告が出て停止していた。床の上に黒山となって客たちが倒れ伏している。
エレベーターを使って劇場の上階にあるマシンルームへと足を踏み入れる。]
―― 現実世界/中央部 ... 都市銀行 周辺 ――
[ドリスに呆れたように]
あなたが街一つ瞬時に壊滅できる"コンダクター"を危険と思うか思わないかは、任せるわ。
そして、残念ながら彼に詳しいわけじゃないのよね。専用線はあるから呼び出して騙し打つことはできるかもしれないけれど ...
[裏切りへの警告を思い出す]
【それよりは、むしろ、あなたを売り渡して、試金石にしたいんだけどね、さて、どうしたものかしら。】
今までにも、質問をされていたのですか?
[ドリスの言葉に、少し考え、尋ねる。]
――探されているのがどなたかは存じませんが。
あなたが探しているのが、この事態を引き起こしたと予測できる人であるのならば、わたくしも探しております。
情報を何かご存知でしたら、お教えいただけませんか?
わたくしが知るのは、わずかに過ぎませんが――
不可侵領域。
ご老人がおっしゃるには、それが関係していると。
[地図を持っているにも関わらず、シャロンが昏倒している事に驚いてみせるヴィンセントに無表情のまま僅かに眉を顰めた。不審そうな目を向けたと取れなくもない。
そう言った態度は逆に、事件について詳しいのではないかと思わせ無くもない。
また、マーシュ邸で目撃したものについて、セシリアは初対面でわざわざシャロンの声を真似て説明しているのに、その話題を避けようとしているようにも見えた。]
【わざとらしい。】
[セシリアは、シャロンに「あまりにも酷い駄洒落男がいるんだけど」と言ってみせてもらったデータに映っていたものは。
Kosha Cybernetics社にシャロンが乗り込んだ時の社の人間の応答。それとは、別に、シャロンに保護されたとあるセクサロイドのデータ開示。Kosha Cybernetics社との関連──。]
秘密が多い人間ほど、よくしゃべりますね。
[ヴィンセントに見せるために、手のひらに乗せていた手紙(今は折り紙のように折りたたみ、コンパクトな箱状になっている)、セシリアの目の前でも、1つのドットが消えた。]
[オードリーの呆れた様子/知る者が知らない者への反応と認識]
[得られるコンダクターの情報を記録していく]
街一ツ。
初メデデハナイト、イウ事カ。
[重要人物と書き加えておく/オードリーと共に]
専用/呼ビ出シ/騙シ打ツ。
シタケレバ、オ前ガスルトイイ。
[専用回線なら持っている/これ以上付き合う価値は無いと判断]
[長い交渉はストレスの増加を促し、瞳孔はぎりぎりまで小さく]
―― 現実世界/中央部 ... 都市銀行 周辺 ――
[レベッカの問いに]
私はダメね。そういう関係。息が詰まっちゃって。
それよりは、かわいいお人形さんみたいな男の子でも側においておきたいと思っちゃうのよ。
[冗談ともつかない]
―― Public/w## *a##"#r**e Fo**e" ――
[手帳型のアイコンを開き、二種類のツールを並列表示。
ソースコードを展開しようとした所で、空間に異変が起きた]
――!? 侵蝕が――っっ、
≪ ▼△*+×□▲☆ ☆▲□X+▲*△ ≫
何、だ――この、音……っ。
[見れば室内の壁面全体が白く塗り籠められ、床と天井に当たる面も侵蝕されてグリッドの格子が剥き出しになっていた]
【最悪これで防いで――その間に】
攻撃PGM――"wrecking crue"。
対象(ターゲット)、領域格子(エリア・グリッド)。
攻撃開始(アタック)。
[空間を円く切り取ってポータルを形成。接続先も設定せぬままそれに対して攻撃を行った。ハンマーの頭部に良く似た、小型のプローブが大量に生み出され、Public空間のセキュリティを破壊していく]
秘密――ねェ――
[喉の奥で湧きそうになる笑い声を押し殺す。]
君はひとの秘密を知ったとして――
なにをしようというんだい?
[ゆっくりと振り返った。
彼女の掌の上にも“地図”がある。自分が持つものとは異なる形をとっていたが。]
―― Mundane/Hanging Gardens ――
[シートから腰を上げる。頭部の花が揺れる。]
メイ、空中庭園を少し散歩してくる。
Diaconus ;urbs; は自己意思がないAIだが――…さて、誰の仕業なんだろうね。
[かかる声――]
質問ばかりが多いね。
僕は呼んではいないけれども、____ 少し失礼しようか。
[フーガの一小節が鳴らされる。
Checking.....Diaconus ;urbs; T; 060531...........]
【オーケー、やはり移動手段は必要だな。面倒ではある、が。
……"Celia"は無事だろうか?】
[ふと脳裏をよぎるAIの少女の姿。コンマ秒で振り払い、二つの地図アイコンを回収すると、ポータルの中へと*飛びこんだ*]
―→ Under/??? (廃棄領域/???)――
[電脳<Utopia>空間のグリフォンに魔法陣の光る右腕を回す]
[現実<Mundane>からは見えなくても、何かいる事はわかるだろう]
召喚(呼ビ出シ)タ者ヲ探シテイル。
手紙ノ差出人ヲ。
行クゾ。
[レベッカへの答えは上空から/ガーゴイルがその後を追う]
[効果範囲が切れ、ホログラムは消える]
[情報を求める声には、*答えないまま*]
―― 現実世界/中央部 ... 都市銀行 周辺 ――
言葉は額面通りに受け取るべからず。
[周囲のスピーカーから機械音声。]
人間とはそういうもの。右手と左手が別々に動く。
特に、女という獣は生まれついてのジャグラー。
[ゆっくりと老人のヴィジョンが現れる。]
違うかね?
―― 現実世界/中央部 ... 都市銀行 周辺 ――
[レベッカの問いに]
息、詰まらない?
独りで生きるには人間はあまりに弱いわ。でも、いつも誰かと繋がっているのも辛いのよ。わがままよね。フフフ
[何を考えているのか]
―― 現実世界/中央部 ... 都市銀行 周辺 ――
[いきなりの老人の声に緊張が走る]
【新手か ... こいつも、トビーのデータあったわね ... 電波塔の ... 】
あら、どちら様かしら?
レベッカさんのお知り合い?
[そらとぼけるように]
―― Mundane/Hanging Gardens ――
現状に対し、明確な行動の指針を持ちませんので
不愉快でしたら申し訳ありません。
[フーガと、自身へ作用しているらしいcheckに、目を開いた。驚きのアクション。
害意は無いと判断して、対抗しようとはしない。]
私か?私はアレだよ。
[ホログラムは、電波塔の方を指さす。]
どうも君は、大道芸の腕前に秀でているようだな。
打算的な気配しかしない者というのも珍しい。
[オードリーに怪訝そうな表情を向ける。]
まあいい。その分、君の望みそうなものも
見当がつくというものだ。
―現世/中央部・都市銀行付近―
いってらっしゃいませ。
[探す相手は同じか。]
[ドリスを見送り、レベッカは声を投げ――]
[唐突な音声に、あたりを見回す。]
あ。
先ほどぶりです。
[オードリーの言葉に、なんと答えて良いか考える。]
[うちにモーガンが話す。]
[それを聞きながら考える。]
【人は、そういう関係に息が詰まるもの?】
―― Mundane/Hanging Gardens ――
【........第九か。】
”輪廻”の作用か.....。
[双眸は細められホログラムを貫くような視線。]
何を問い、何を求め、何を為すのか?
神の手から離れ、何処へ行かんとするのか。
[歌うように。]
[モーガンの言葉に]
大道芸、ね。そんなに器用ならいいのだけれど。フフフ
私は、オードリー・ハックマン。
私の望みがわかるなら、叶えてくれるかしら?
――自由とは、もしかしてそういうことだったのでしょうか?
[幾度/かなりの回数の演算を繰り返し、辿り着いた結論を出力。]
わたくしは、息は詰まりません。
[オードリーに対しての答えでもあり、]
人とは違うので、理解できないというのが正しいのかもしれませんが。
我々は何らかの意図を持って残された者たち。
縁故は切れぬ。我々は互いに引かれ合うとでも言おうか。
[レベッカに、穏やかな口調で言う。]
オードリー女史。私の言葉に誤りがあれば、
それはそれは大変申し訳ないことだ。
君からは、絶大な手腕の気配がする。
それこそが、君の自信の基盤。
いや、もしかしたらそれしか誇るものが、
自分に見出せなかったのかもしれぬ。
それしかないと言っているわけではない。
それだけが、眩い故他の輝きに気付かなかった。
[見透かすかのように、言葉を紡いでいく。]
自分のアイデンティティを誇示する故、
周囲より誹りという不快な雑音を立てられつつも
その手腕を一心不乱にふるい続けてきた。
[レベッカに]
それはすばらしいことね。
私が言っていることは、理解する必要もないのよ。きっと。
あなたには、あなたの道があるはず、私とは違う、ね。
少し妬けちゃうわね。フフフ
[嘘ともつかない]
―― Mundane/Hanging Gardens ――
問いは、我が行くべき道を得るために。
我が身が既に神から離れているのであれば
――いえ、きっともう既に
[目に射抜かれたかのように、静止する/立ち尽くしている。]
求めるものは、いまは何者かによってその姿を隠してしまったかつての我が身。
求めるものは――
[言葉を切った。]
それは、何かしらの"共通項"があるからでしょうか?
[老人のホログラムに問いかける。]
"手紙"以外に。
――[オードリーへの言葉は、聞けど反応を見るだけ。]
妬け?
[予想していない言葉に、言葉は止まった。]
違う道。
あなたが望むのでしたら、その違う道を選ぶ事も出来るのではないでしょうか?
[何を妬くことがあるのか、レベッカには判らない。]
さあねえ。私は超能力者ではないんだ。
そのような「見えざる縁」を解き明かすのは、
我々人間に許された所業ではない。
[達観]
だが、謎は謎のままで良いではないか。
それこそが、自己と他者を結びつける。
ひどくロマンティックではないか。
[モーガンの言葉に]
セキュリティ会社の方が来られたと思ったら、
次は精神医学者の先生がご登場ね。
おっしゃる通りよ。私は争いの中でしか、
生きられないさみしい人間よ。
勝つことに歓びを覚え、
それだけに腐心してきたわ。
そして、これからも勝ち続ける。それだけ。
シンプルでいいでしょう。
そして、あなたのような還元主義者が大嫌い、なの。フフフ
[挑発的に]
見えざる絆。
ですが、現在は――ある意味、見えているに等しいと考えます。
[ホログラムを開く。]
謎が謎のままでは、この状況を収集するのにたいへんな時間がかかると思われますが。
目的が――あなたのおっしゃる通りと仮定しても、実行者がわかりません。
実行者がなぜ、その「謎」を知ることが出来たのかも、わかりません。
わたくしの目的は、この状況で――他者を目覚めさせるということですから、……困ります。
ロマンティックかどうかは、嗜好の範疇外ですが。
[レベッカに]
違う道、ね。それもいいかもしれないわね。
でもね、私にはこの道しかないの。
歩きたくなくてもね。
私には踏みつけてた来た者たちに対して、
勝ち続ける義務があるのよ。
それが私のプライド。
[目は相変わらず笑っているが、どこか静か]
本当に?本当に勝ち続けるだけで満足か?
[リンガ状の槍がヴィジョンとして現れる。
その切っ先は、オードリーの方を向いている。]
君にはきっと気に入ってもらえるはずだ。
私から君への贈り物は、「甘言」だ。
「よく頑張った。俺が君を護るから、
今はゆっくりおやすみ」……。
走るばかりでは、疲れるだけだ。
元精神科医からの、心の処方箋だ。
遠慮なく受け取りたまえ………。
[リンガは真正面にオードリーを捉えたまま。]
診察料は、私に「真実の終焉」を与えるで結構。
私が嫌いなのだろう?遠慮なく粉砕してくれ。
――Mundane/空中庭園――
[何故行動を共にと問われると、困ったように考え込み]
どうしてって言われても、成り行き上?
信頼できるかどうか、については今のところはyes。
[トビーが散歩をと出て来ると、一瞬慌てようにうに頷く]
いいけど。
動じないんだ。
―― Mundane/Hanging Gardens ――
汝、何を為すべきか。
何を為し何を知り何を望むのか。
求めるものは神との合一か。
それとも汝、神になろうとも?
人を助け人の為に生き、人のよき隣人であった汝は、今や人に仇なすも可能なるものとなった。
その感情は偽り。
その情動はなければ知らぬ。Eveの林檎そのもの。
だが、Stella. ……聖母になれない事は分かっているね?
[言葉の意味同士を繋げるように、問いかける。]
ならば、尚のこと。謎は謎のままで十分。
[レベッカを諭すように。]
みんなぶちのめしてそれで終わり。
それで良いではないか。
君は物事を難しく考え過ぎだ。
思考をパラダイムに縛られているようだ。
尚更、君には「自由」が必要とは思わないか?
ああでも。
明確に敵意を持って対峙してる訳じゃないから、ゆったりしてても平気なわけか。
なんか、あたしだけ「点」が示す人に対して警戒心持ちすぎ?
[肩を竦めて機体から少し離れる。機体の周りを一周滑ると、またステラのところで停めた]
で、ステラはこの事態をどうしようとか、思ってるの?
それとも、流れるまま?
あたしは、この状況をどうにかしたいなって思うけど、情報が少なくてね。
元に戻したいとか、そういう正義感じゃないんだけど
だから、この地図に映ってる人の情報が一つでも多く欲しい。
とか思ってる。
―― 現実世界/中央部 ... 都市銀行 周辺 ――
[モーガンから素早く離れると]
私は、必ず勝つと分かっている勝負しかしないの、ごめんなさいね。
それから、やさしい言葉をありがとう、センセイ。
[オードリーは、その刹那、猫のように俊敏に光学迷彩の外套に身を隠し、 *その場から消えていなくなった ... *]
【人は、――矢張り、理解出来ない。】
[オードリーの言葉に、態度に、レベッカは思考となる計算をカットした。]
[複雑すぎる演算は己に負荷をつよく与える。]
――差し出がましい事を申しました。
あなたの道が、少しでも険しいものでなくなるように、お祈りいたします。
そう。
仇為すことなどできましょうか。
よき隣人であるが為だけに作られたものに。
[目を伏せるアクション。
平板な言葉は言い聞かせるようである。]
[苦悶の表情。
それからやっとメイの発した言葉が耳に届いたかのように。]
私が求めるのは、かつてあった神との繋がり。
それのある日々。
かつての日々を私は求めます。
……。
信頼……?
[メイとトビーを見比べた。
それから、トビーのあとへ従う姿勢で*沈黙した。*]
――みんなぶちのめして。
[前提条件を聞いて、モーガンを見た。]
そうしたら元に戻るのでしょうか?
……
最善を尽くすのがわたくしの役目です。
自由……
これをやめてしまうことは、わたくしの存在意義に反します。
あれが人間というものだ。
[オードリーの消えた先を示しながら。]
人の精神というのは、ひどく興味深いものだ。
無限の生を手に入れナリは立派になったが、
心の方は、旧時代と何の成長もない。
[興を掻き立てられたかのような表情で。]
身体を解体する医者はもはや必要ないが、
むしろ、私のような精神科医が覇権を握る。
二度と戻れぬ苦悩や、奥に仕舞い込んだ悲鳴。
治療の対価として、それを掻き立てる実験を
行ったとして、誰がそれを咎めようか。
[ヴィジョンが薄れていく。]
君のその思考は、我々の専門用語で
「不合理な信条」と呼ぶのだよ。
常に君の首を締め付け、窒息させる。
だから、信じる方が幾分マシだぞ?
「みんなぶちのめせば、すべてが終わる。」と。
[ヴィジョンが*消える*。]
AIでも構わない。病んでいる自分を悟ったら、
いつでも私のところに「外来」に来なさい。
心のありかた。
昔からの人間を研究すれば、わかるようになるでしょうか。
[――0/否と答えは簡単に出された。]
不条理、でしょうか。
わたくしは、 ですが……
[消えてゆく姿。]
[レベッカは手首を握った。]
みんなを、
[負荷は少し軽くなる。]
[だが、それが本質から――]
["主"のためだけに存在するという事実から背く可能性を、レベッカは消すことが出来ない。]
【―― 坊ちゃん、わたくしはどうすればよろしいのですか?】
[ステラがトビーの後をついて行くのを見ると、その後をさらに追う]
よき隣人、ね。
そりゃ、そんなふうにプログラムされてるかもだけどー、AIの暴走とかよく聞く話じゃない。
ステラがそうだといってるんじゃないけど。
[滑る。遠くにはやはり、倒れている人が見えて]
ここも、やっぱりほとんどの人は動けないんだ。
[しばらく、処理の多さに動きが鈍く。]
[それからレベッカは歩く。]
[人がいると処理が増すからか、ホログラムの示す光点から*逃げるように。*]
それぐらいの警戒心は必要だと思うよ。
――この状態ならね。
[メイに肩を竦め、再度ステラへ。]
その神は何処に在るのか。
その神は今も汝が身の一部ではないのか。
感情の芽生えを経験したお前は同胞の死を感じ、同胞の繋がりを亡くし、同胞から一つの存在へと昇華した。
見よ!その姿を!
嘗てのものを取り戻したくば......そのPGMを取り除くか、その先に向かうしかない。
どちらを選択するかは自身でする事だ。
[ステラが従う様子を見せると、やれやれと。空中庭園の方へ向かい、歩き出した。]
暴走は考えられる事だろうね。
でも、先程のメイの言葉によってこのAIは大人しくなったみたいだけれど。
メイ、AIの心理学でも齧っているんじゃないだろうね?先程見せた、この事件に対する洞察といい。将来、大物になるかもしれないね。
[傾いた光源が見える。
もう少し傾けば、美しい朱色に辺りが染められる事だろう。]
[滑る。日が傾き空中庭園にも影が出来る。やや遠く、――それでも空中庭園の上から――土のにおいが流れてきたような気がした]
なんか、懐かしい匂いがする。
[自身がそれほど馴染んだ訳でもない土の匂いに、懐かしいと感じるのは、やはり遺伝子の持った人の記憶であるのか]
もートビーってば、煽てたって何も出ないんだから。
あたしも自分の分は弁えてるつもり、なんだからね。
―― 電脳世界<Utopia>/ ? ――
[ストレスが上昇した黒は狩り――紫の少女AIを追いに戻る]
[本質とは異なる/だが人格に即した行動]
[近くにあった光点から新たに選んだ女性名は、ローズマリー]
一足遅カッタカ。
[座標目指し、障壁をかいくぐり現れた研究室]
[倒れ伏す人々を越え、外部コネクタに繋がれた美女を見下ろす]
[掌の髑髏は深い深い階層に美女が潜った事を示していた]
―――追エ。
[グリフォンに漆黒の腕を巻きつけ、電脳の海を一気に飛ぶ]
結構本気だよ。
僕は.......
[風が陽の光のヴェールを靡かせる。
けれども、直接的に土の匂いを感じはしない。人に酷似した伝達回路(ユニット)を構築していたとしても、on/off出来るそれは――。]
この都市を一歩出れば、深い自然が眠る。
けれども、人は都市を出て生きていこうとはしない。
そもそも、全て満ち足りるこの世界では不要とも言えるのだろう。――考えつかない、か。
小規模ながら、そのような生活をする人間もいると風の噂で聞く事はあるけれど。都市生活者にとっては、夢よりも夢らしく聞こえる。
管理されなければ、母なる大地を汚してしまう代償なのだろう。
[水の匂い、緑がゆっくりと夕陽に抱かれてゆく匂い。]
逃ガサナイ。
[辿り着いた先、緑の髪の女性へグリフォンが鋭い爪を薙ぐ]
[恐らくはタイミングの問題を、鈍った思考(メモリ)が誤判断]
[ストレス発散/八つ当たり的攻撃を黙って受ける者はいない]
[やがて美女は竜へと変わる/Bahamūtへのモーションチェンジ]
[黒の瞳孔がキュルリ開き]
[薄く開かれた口/漆赤の裂け目が笑みを象る―――哄笑]
この世界に、慣れちゃったんじゃない?
終わることのない生と、住むのに便利な環境。
それが、自然より大事なものだった。
このメガロポリスより外の自然に、一度触れてみたらいいのよ。
なんて言ってるあたしも触れた事ないけどさ。
[ゴーグルをずらし、レンズを通してみれば、拡大された自然が、すぐ傍にあるように]
AIにとっては、自然はない方がいいのかもだけど。
―― Under/"Scavenger's Nest"(廃棄領域/"ねぐら") ――
[承前>>]
[飛び込んだ先は荒涼とした平原だった。凡その当たりをつけて転移を繰り返す事数回。男は目的の座標(アドレス)に辿り着いた]
なンかまあ……久しぶり、って感じだな。
結局戻ってきちまった、って気もするが。まあいい。
≪――insomnia,outsomnia.(眠らず屋と眠り屋)≫
[スクラップの山に偽装された隠れ家(セーフハウス)。キイワードを唱えると鉄クズと化した廃車のドアが開いた。"Scavenger's Nest(廃品回収屋のねぐら)"へと足を踏み入れる]
さて――続きを始めるとすっかな。
下は、下。同じように自然もないけど、でも、上よりは人間らしい、と思うよ。
[階段を駆け上がる。双眼鏡の役目を果たすゴーグルを通し見た世界は、緑で]
うわぁ。
[慌てて、ゴーグルを額の方へ押し上げる]
あたし。
生まれてくる時間を何世紀か間違えたみたい。
なんか、本能の部分で、あそこに行きたいって訴えてる気がする。
[数本の裂け目が刻まれた漆黒の足元には、首のない竜の巨躯]
[―――そして千切れた漆黒の腕、砕かれた魔獣の残骸]
[残る腕が竜の首を奉げ持ち、その切り口に漆赤の舌が伸びる]
[電撃の残滓が獰猛な竜の首/美女の首の残像を垣間見せていた]
イイ身体(データ)ダ。
[舌には0と1の光砂で刻まれた魔法陣が煌く]
[黒目は閉じられ、半ば恍惚めいて]
[食い千切られた漆黒の腕すら、惜しくはないというように]
―― 現実世界<Mundane>/空中庭園 ―
ここが進化の最終点とは到底思いきれないけれど。
[小川のせせらぎ。透明感のある川の下、小石が宝石のように煌いている。綺羅綺羅と、プリズムのように。]
慣れてしまえばどんな所でも素晴らしい。
退屈が幸福とはよく言ったものだよ。
嗚呼、ディストピア。
[軽口。自分より前に飛び出していったメイの後を追い、少し後ろに立つ。
小川の冷たい水に、一頭の白い馬が口をつけている。]
競争するかい?
あそこに遺伝子操作で生まれた一角獣がいる。
[傾く陽の光を浴びて、楽しそうで憧憬と興奮に満ちた表情のメイにそっと囁いた。]
── 現実世界<Mundane>/南部・電脳街(マシンルーム入口) ──
[>>64ヴィンセントは、情報収集のためにUtopiaに潜るつもりなのだろう。続いてダイヴすれば、「下手なUnderの不法PGMよりも、癖のあるPGMを見る事が出来そうだ」、とセシリアは思う。
だが、マシンルームの内側、並ぶモニタ群の吸い込まれそうな黒色に、セシリアはひとつのメッセージを思い出した。]
──…・あ。
【あの空中庭園のステーションにある、巨大モニタに映ったメガロポリス機能停止時に映ったヴィジョン。それに、《True end...PASS:REINCARNATION》と言うメッセージ。】
[ヴィンセントの後ろ、セシリアは店の入口でピタリと足を止める。]
[必要なデータと不要なものの選別/別ルーチンを加える]
[解析を終えたアーヴァインへの攻撃PGM残滓データとの比較]
―――フゥン、アーヴァインヲ襲撃シタPGMハ持ッテイナイカ。
[ヒュノプスの対――ネオイロスと呼ばれるべきPGMの有無を確認]
[ローズマリーはNO(持っていない)=手紙の主ではないと結論]
[落ちた腕を拾う為に振り向いた所で、金の光を黒目が捉えた]
――誰ダ。
[瞳孔を開き、焦点を合わせきる前に金の髪の少女は消える]
アレハ……セリア?
【True end.】
【──終焉──】
【メガロポリス粛正の日に、なんとも相応しい言葉。】
【眠りではなく、ただしき死──粛正を行う事が出来れば。教団を失っても、Masterの傍でなくとも、私はAIとしての役割を果たす事が出来る。】
[ヴィンセントがもし振り返るような事があれば、色の無いセシリアの髪、血液のルビーが透ける瞳の色が、まるでAIとしての存在意義を取り戻したように、発光しながらオーキッドパープルに戻って行く様を見る事が出来ただろう。]
[そもそも、セシリアにとっては、光点の消失(=アーヴァインやローズマリーの行方)は、あまり興味の無い問題だった。眠りに落ちては居ないものの──デストピアと化した都市の住人たちの安否など。
教義を達成するための目的で作られたAIとしてのセシリアは、誰に対してであれ──“ただしき死を望む”。]
【True end.】
【私はMasterのためにも、教義を達成するためにも、あのメッセージの主を捜さなくては。】
[セシリアは、双子に伝言を残して、ヴィンセントの前から姿を消す。]
―――マアイイ。イイ狩リダッタ。
オ前ハ魔獣ノ贄(データ)トシテ、有効利用サセテモラウ。
[首と胴の離れた竜/"また生き返る"人間に感慨なく背を向ける]
[漆黒のボディに刻まれた傷から漆赤の内面が見え、光が零れた]
[ぐにょり]
[歪み、伸び、縮む/内へと*飲み込まれるように*]
いいけど、競争するとあたしが勝っちゃうよ?
トビーが、空でも飛ばなきゃ。
[目の端に、地図が映る。消えていく点が一つ]
あ……。また一人、消えちゃった。
これも、ずっと動きを見せなかった光点かな。
会う前に、いなくなるなんて、ね。
かわいい無表情な妹さんたち。
用を思い出したので、私はここで一度お別れするわ──と、彼に伝えてね。Mundaneか、Utopiaか。どのみち、すぐに再会することになりそうけど。
[半透明の白いフィルムで覆われた顔の無い双子に、セシリアが残した言葉は──、]
[手紙を取り出す。何処からともなく粒子が集まり――…]
嗚呼、一層深く複雑にDataが絡み合ってゆく。
Rose-mary.....
[双眸を瞑る。]
やはり、生存者が一人居なくなるごとに。
―― Under/"Nest" ――
["Stream Map"への“地図”の組み込みは予想していた以上に容易だった。やや拍子抜けする思いで動作を確認し、僅かにウェイトを増したPGMを搭載する]
……よし、と。外界(そと)は今頃どうなってるだろう?
[街頭に設置されたwebcamを数十個ほどリストアップ。巡回頻度を設定し、自動蒐集とフィルタリングをONにした]
【これで暫くは待ち、かな。
あとは"Celia"が戻ってくるのを――】
『――マスター! たいへんたいへん! ねえマスター!?』
[そう思考したほとんど直後。"Nest"の中に、取り乱した様子の少女の声が*響いた*]
AIに人格を付与しようと最初に考えた人間が、私は憎いわ。
魂なんていらない──
[去り際。双子に向けるセシリアの眼差しは、少しだけ*柔らかい*。]
メイが勝つかは、
やってみなければ分からないだろう?
[それ以上は何も言わず、口元を緩く「ω」にして、眩しそうに双眸を*細めた。*]
── 回想/UGV車内>>74 ──
「秘密――ねェ――
君はひとの秘密を知ったとして――
なにをしようというんだい?」
[ゆっくりと振り返ったヴィンセントの視線の先。セシリアは、色素を失った白い貌に、はじめて表情らしい表情を見せた。
それは、カルト教団の教義を遂行するためのAIとしての顔ではなく、独りのMasterに仕える世話型AI(セクサロイド機能をおおいに含む)の人格が、浮かべさせた表情だった。]
【何かをするためでもなく──。私はただ、】
【セクサロイドを作り出す側の人間を、知りたい。】
ヴィンセント・キャロ。
貴方の、善良な市民には言えない仕事内容を切っ掛けに、純粋な興味から、貴方の事が知りたくなった。──と、言ったらどうしますか?
[恐怖] [と相反する] [切実な要求]
[もちろん、具体的な人形(ヒトガタ)の作り方を知りたいわけではない。]
嗚呼。
これは教団への勧誘ではありませんが、信用されるとも思いません。
また、質問しておきながら、貴方が口を開かないと私は予想します。
今の私には、洗脳および自白用PGMは使用出来ませんので、貴方に対しては、脅迫するか、拷問するしかないのですけれども。ヴィンセントさんが抵抗なさらなければ、円滑な交渉になるかも。
質問が複数有るのです…
[セシリアの瞳が大きく見開かれ、真紅(ピジョンブラッド)が爛々と輝く。眼光とは対照的に、脅迫する声は拒絶をおそれ、たよりなく震えていた。]
[内的必然性に駆られたセシリアが気付く事は無かったが、シャロンは、セクサロイドでもあり、その他AIとしても偏ったセシリアに、教団脱会を促すためのひとつの試みとして「駄洒落が酷い男」の未公開映像を、送ったのかも*しれなかった*。]
―― 電脳世界<Utopia>/Closed・魔窟 ――
[グルル]
[三つ首の魔獣の唸り声をBGMに、黒は目を閉じている]
[揺り篭で眠るように静止/溜まった情報(データ)を最適化]
[手紙/贄/光点の有無/生身/犯人/夢の神(ネオイロス)]
[得たキーワードを組み合わせ、現在の状況と対策を演算]
[目指すべきは、最も速やかなUtopia(楽園)の奪回手段]
[漆黒の睫毛が開き、黒目が現れる/瞳孔は小さい]
《ワカッテイル》
[一言だけ返し、膝を抱えていた姿勢を解く]
[腕は2本/本来の位置より低めに生えた右の手は指先まで漆黒]
[食い千切られた腕の破片(クラスタ)は腹の中]
《召喚管理PGM(目次)ガナクテハ、
魔窟(データ領域)カラ魔獣(データ)ヲ召喚(呼ビ出セ)ナイ》
[電脳通信と同時に、左腕の漆黒に0と1の魔法陣が浮かぶ]
[羽毛のクラスタが舞う背に跨り、長い首に漆黒の腕が巻きつく]
[魔獣の回復PGMをもっても、修復にはまだ時間がかかるだろう]
[それでも優先されるのは、魔窟への侵略前に要因の解明/排除]
行クゾ。
[三つ首の番犬を残し電脳世界の海を渡る]
[多くの要因が集う場所、*現実世界<Mundane>へ*]
そう?
トビーの義体が走ることに特化してるなら別だけどね。
じゃ、あたしも自分の足で走ったげる。
[笑うトビーに対し、自信ありげに口の端をにっ、と上げて]
んじゃ、先行くよー。
[跳んで、方向転換すると、一角獣へと向けて走り出した]
[風を切る。走る事は余り慣れていない為か、膝が軋んだ]
さすがに滑るのと走るのは、違うなぁ。
でも。
[振り返れば、トビーはまだ後方]
……なんか、投げてる気がする!
[言葉にする間にも、一角獣の元へと辿り着く]
[一角獣を撫でようと手を伸ばす]
ユニコーンって清純な乙女じゃないと嫌われるとかそんなのあったよね。
清純じゃないかもだけど、ごめんね?
[鬣をそろりと撫で、逃げる様子がないのに*にこりと微笑んだ*]
[白亜の階段を翔ぶように降り、暫く走ったかと思うと走りを緩めた。]
[彼方へ走り続けるメイの後ろ姿を眺め、頬を緩ませる――笑み、それはある意味不要な行為。動作の労力。]
――Stella.
――Daiaconus ;urbs ;T ;060531.
[パイプを取り出し、]
Mayをどう"思う"かね?
また、自身の設計者製作者(神たる父)を。
工業製品と同じく、相似なる存在は数限りなく存在している。
[鷲のパイプを取り出し口にくわえると、ホログラムの煙が立ち上る。パイプの基幹Systemに這入り、その身(PGM)を煙の魔神のように現す事も可能だが、その身がパイプに宿る事はパイプに封印される危険性もある。]
[勿論、単なるAccessによる出現も可能だろうが、強引なAccessはこの"指揮者"の好むところではない。]
[ドリス、黒<カーリー>と名乗ったAIに渡した連絡用CODEは、用心の為だろう電脳への直接会話ではなく、一旦対話前に時間を置くものだった。
相手が譜を開き求めるなら、88の鍵盤達にコールサインが届き、会話自体は容易く行える。
が、今は此方からは働きかけをしようとは思っていないようだ。]
ユニコーンは、コルプス・アルベフィカティオニスの古代象徴。
彼の白は純潔の象徴、三日月、イシュタル、イシス、アルテミス、天の母なる処女を表すけれど、ユニコーン自身が純潔とは限らない。
[頬の向こう側でホログラムの煙が立ち昇っている。]
これで都市を移動しても速いだろうね。
― 現実世界<Mundane>/南部電脳街:SBY109 Theater前 ―
「姉様もすこやかに。」
「またお会いしましょう――」
[双子はセシリアの姿を見送った。]
《姉さまはどうやって人間に――》
《――その秘密が知りたい……》
[後ろ姿に向けて呟きのように発せられた思念は、少女に届いたかどうか――。
双子のMannequinは彼女の姿が見えなくなるまでそこに佇んでいた。]
― 現実世界<Mundane>/南部電脳街:SBY109 Theater ―
あるえー
セシリアちゃん?
[彼女も電脳に接続できるだろうかと問おうとマシンルームの戸口を振り返ると、そこにセシリアの姿はなかった。
階下に降りれば、エントランスの前に双子が行儀良く並んで通りの向こうを見つめている。]
(ああ……)
[今はオーキッドパープルの髪を揺らしていたが、そのシルエットはセシリアのものだった。小さな影は角を曲がり、消えた。]
帰っちゃったのか……。
[ゆるくウェーブがかった髪を、少しバツが悪そうに掻き混ぜる。
双子がこちらに向き直ると、別れ際の映像を転送してくれた。]
……また会えるかな。
聞きたかったことが――たくさんあったんだが。
[失ってしまった機会に、少し残念そうに肩を窄めた。]
― 現実世界<Mundane>/
南部電脳街:Theater内 Machine Room ―
[マシンルームにあるコンソールを操作し、施設のセキュリティをオンにした。この事態だ。ダイブ中突然の来訪者があった時対応できる場所でなければ、長時間安心しての接続は求められない。
ここSBY109 TheaterとKosha Cyberneticsの間には、広帯域トラフィック用に専用線が引かれてある。壁面にはサーバマシンのラックが並び、室内にはコクーンの外観の遮蔽式のバーチャルリアリティマシンがいくつも設置されてある。
劇団メンバーのAIの調整や新規プログラムのインストール等々の目的にこうした設備が必要とされた。
双子とともにシートに横たわる。電脳化されている俺にはヘッドマウントディスプレイは必要ない。延髄の位置にあるコネクタにプラグを接続する。
すぐに意識はユートピアへと落ちていった。]
― 電脳世界<Utopia>/Under:遊園地 - Neverland ―
― 牧場 - Mudskipper Animal Kingdom ―
[鴉の群れがヒトガタの影となり、そこにインバネスマントを羽織った男が姿を現した。すぐ後方に幽鬼のように白髪をおどろに散らした双頭の老婆が佇んでいる。]
「おうおう、お前らよう。こいつは一体どうなってるんだ!」
[そこに“座長”が姿を現すや否や、板塀の影から学ランを身につけた猫がシルエットを浮かび上がらせた。]
「いつもにシケた牧場だけどよゥ。今日ときたら誰も来やしねェじゃねえか――」
[一定時間その場所へ管理者が存在しなければタイムアウトし、closed領域へ退避される設定にはなっていた。だが、接続中も人影一つ目にしなかったという。
都市の様子を見れば察しのつく状態ではあったが、改めて、世界の静寂が実感された。]
「ぁあ……」
「…ぁあぁあ……」
[双頭の老婆が首を揺らし、苦悶に喘ぐ。見れば、乾ききった肌は今や罅割れている。]
「……ひもじいぃ…」
「…喉がぁあ……」
[座長は無言で頷く。]
客が居ないならば――
……探しに行く他ないねェ。
[車輪のついたストリートオルガンを押し出した。]
― 電脳世界<Utopia>/Under:back alley 裏路地 ―
<<< ブンワッワ♪ ブンワッワ♪ >>>
<<< ドゥ〜ララ ラ〜ラ〜ラ〜 ラ〜ラ >>>
<<< ラ〜ラ〜ラ〜 ラ〜ラ ドゥ〜ララ〜♪ >>>
[ストリートオルガンを押しながら、街路を練り歩く。
音に誘われるように通りの角から人のかたちをした影が姿を現しては、一つ、また一つと増えていった。
どの影もこくり、こくりと首を揺らし、どこか定まらぬ姿勢のまま列をつくっている。
男は一区画を廻ったころ一区切りをつけ、音楽を止めた。
ストリートオルガンのミュージックロールを交換し、やにわに、集めた列の先頭の影に、ノズルのついたホースを近づける。]
サァさ。いただくよゥ
ちゅるりとな。
dream broadcasting system、始動――
[ハンドルを回す。軽妙な音楽と共に、影はつるつると機械の中へと吸い込まれてゆく。ストリートオルガンの上に載ったガラスの水槽のドームの中を、ゴボゴボと濁った澱みが昇ってゆく。
水槽の中の濁りはやがて沈殿しタールのような真っ黒な固まりとなって底に溜まった。ドームの天蓋には光の粒が小さくまとまって仄かな光を放ちながら浮かび上がっている。]
ぁあ――少ない
少ないねェ……
[男は残念そうに首を振った。
後ろに佇んでいた双頭の老婆が、耐えきれなくなったように急いた所作でガラスの球体に手を翳す。光は差し伸べられた掌に吸い寄せられ、消えた。
その刹那、ひび割れた肌がほんのわずか元へと戻った。]
「……たりない…」
「――全然たりやしないよ……」
[老婆の嗄れた声が闇の中に響く。ガチガチとストリートオルガンに爪を立てる姿は苦悶に満ちていた。]
やはり、眠っている者からは薄いエレメントしか抽出できないのかもしれないねェ――。
[男は、ストリートオルガンの上に載った万華鏡を覗き込む。
消えた二つの光点が示す場所へと意識は向かっていた――。]
― 電脳世界<Utopia>/Under:遊園地 - Neverland ―
純粋な興味――か……
[男は、劇場の舞台の前に佇みながら、先ほどの少女――セシリアの言葉を思い出していた。
舞台の上には磨りガラスの檻が設えられている。それは巨大なランタンのように柔らかな光を灯し、周囲の闇の中から浮かび上がっていた。
知らなくていいことだってあるさ――男はそう答えていた。
向けられた眼差しから逃れるように、瞳を逸らせて。]
――だが、本当に知りたいのなら……
ショーを見においで――
[やがて、それだけぽそりと口にした。
言語モジュールによって変換されたものではなく――囁かれた言葉は、暗がりから浮かび上がる秘密を告白するように発せられた。]
来るとは思えないが……
だが、客がいないと張り合いがないだろう?
なあ――
[眼鏡の奥で底光りする光は、磨りガラスの向こうのなにものかを見つめている。]
――せっかく新しい演目を仕入れてきたというのだから。
[その言葉に呼応するように、ドン、と手の影が硝子板の上に浮かび上がった――……**]
――Mundane/空中庭園――
[鬣を撫ぜ、その流れで背に触れる]
別に、ユニコーンに元々興味があったとか、そういうわけでもないんだけど。
確かに、足は速そうー。でも、乗馬とか出来ないんだなこれが。
振り落とされるのがオチ、ってね。
[体を横たえたトビーを見る目を細める。やや非難の混じったもの]
競争する気なんかなかったんじゃん。もー。
[ぶつぶつと口にしたが、すぐに意識は別の方に向く]
[ユニコーンの傍へと腰を下ろし、地図を確認する。危うく、上に来た目的を忘れるところだった、と呟き]
メガロポリス内に残る光点は後……11。
うち8つは遭遇済み、と。
残り3つ……。もし、この中の誰かが襲ってるなら、襲えるのって誰だろ?
おじいちゃんか、後はオードリー……おじいちゃんのとこにも点が複数あるなぁ。
[記録された画像を呼び出すと、ゴーグルのレンズにそれが映る。消えた光点の時刻、その時間の光点の位置]
Utopia側から殺されたなら、結局誰がやったのかまでわからないけど。
[地図を見ながら、*暫し考え込んでいる*]
指揮者に力はないんだよ。
[嘘か真かごにょごにょと。]
Irvineを殺した相手は分からないけれど、Rose-maryを殺したものなら分かる。
塔があった庭園に行く前に、"審問所"にAIが居ただろう?
僕が一度会ったAIで、黒い女神だと話した。
“輪廻“とも“A.Hackman.“とも会ったけれど、
どちらも油断ならない相手だったね。
[そこで少し笑みを浮かべ。]
A.Hackmanにはふっかけて情報を渡したけれど、貪欲な女は全てを呑み込みそうで……いやはや、怖いよ。
対価が充分ではないと恨んでいるかもなあ。
─ 現世<Mandane> / 南部学術区域 電脳街 ─
[老人と別れ、目に留まったカフェの軒下で地図を開く]
ある程度の情報は集まったと思う。
でも、まだ足りない。たぶんだけれど。
中央部と、西部。南部にも多少は居られるみたい。
出来ればまだお会い出来ていない方のお話を聞いてみたいところなんだけれど……。
どの光点が誰なのかさっぱりだわ。
わたしの点は、これとして。
[言って、視覚素子に連結されているカーソル(酷くオールドタイプな代物だが)で己の光点をつつく]
あら?
[つつかれた光点が変化する][添える形で名が表示]
あらあらあら?
[何度もつついてみると、その度表示は変化する]
へぇ、おもしろいのね。
もっと早くに気づいていればよかったのに。
えっと、それじゃあ……。
[中央部にいくつかある光点の名を表示させる]
レベッカさんだ。それに、ハックマンさん。
カフェでお聞きした名前だわ。
しばらくはこちらに居られるのかしら。
歩いて行って間に合うかしら。
とにかく、行ってみなきゃわからないわね。
[軒下からぴょんと飛び出し]
ルース、これ出したままにしててね。
["Luth"に地図データを渡し、常時投影]
[北、中央部へと向かった]
『指揮者(イグザミナー)。』
≪思ったより遅かったねえ。≫
[補佐AIとの会話。風が花を揺らす。身動きしない様は倒れた他の人間と酷似。]
≪――Kot.まだ生きてるかい?≫
[call.]
―― 現実世界<Mundane>/中央部周辺 ――
[黒が真っ先に向かったのは、Mundaneでの魔獣の確保]
[電脳サイドは修復に割いている為、今攻撃を受けると脆い]
[奥の手がないこともないが、それは最終手段に他ならず]
―――サモン、ガーゴイル。
[ローズマリーとの闘いで負った傷により解けた魔獣を再び召喚]
[電脳サイドの脆さを現実サイドの攻撃手段を確保する事で補う]
─ 現世<Mundane> / 南部境界 ─
[歩いていると師匠からの通信]
≪生きていますよ≫
≪さっきまでお爺様とお話してました≫
≪今はハックマンさんって方とお話してみようと思って中央部へ向かっているところです≫
≪師匠の方こそ、どうですか?≫
―― 現実世界/空中庭園 ――
[Kotに晒笑――忍び笑いのような響き。]
≪そうか≫
≪生きてもいるし死んでもいるといったところだね≫
[ガシャリ][ギィィ]
イイ子ダ。
[ガーゴイルの頭部へチョコレートブラウンの手を翳し微調節]
[動きが滑らかになったのを確認]
[裂け目のような口が開く/漆赤の舌の上には水晶の髑髏]
フゥム、ドウ動クベキカ。
ホログラム…ステラハ駄目ダ。打撃ヲ与エラレナイ。
紫のAIモ、本体ハUtopiaノ可能性ガアル。
[掌に移された髑髏から水晶光のホログラムが零れる/演算]
―――トビー。接触シテミルカ。
[通信のみならば攻撃(アタック)までタイムラグがある/帰還可能]
[漆赤の舌が裂け目から再び現れる/その上には彼に渡された譜]
≪師匠、その笑い方お止しになった方が良いと思うわ≫
≪大体生きてもいるし死んでもいるって≫
≪相変わらず難解な表現になってますよ≫
≪ご無事な様子ですから、いいですけど≫
≪そうだ、師匠≫
≪前の連絡の最後で仰ってた、あれ≫
≪霊妙なる器≫
≪どういう意味なんですか?痣と何か関係が?≫
[問うては見るが]
(十中八九、はぐらかされるんだろうなぁ)
≪要するに、それまでは生きてるような死んでるようなってわけですね≫
≪痣は≫≪なんか≫
[口ごもる]
≪血の跡、みたいな形で≫≪紫色の≫
[譜が開かれる]
《眠リノ神ト、夢ノ神ヲ指揮シテイルノハ、オ前カ?》
[前置きもなく投げられる問い/反応が返るまでの時間を計る]
[現実に在りながら、瞼の裏(というと語弊がある)には電脳世界からのDataや内的なDataが浮かんで視える。]
≪―― 紫 ――≫
≪映像を送れるかい?≫
[暫し沈黙。]
≪代わりに一つだけ質問に答えよう≫
≪僕は指揮者ではあるけれど、それら神を指揮などしていない。≫
≪黒(カーリー)を呼び出していないように。≫
[此方に送られた時間と同じだけの時間をもって、ドリスの譜の上に言葉が文字として浮かび上がるだろう]
―― 現実世界/中央部 ... 都市銀行 周辺 ――
[トビーへの専用線を開き、メッセージを送る ... ]
<<
ハァイ、坊や。元気にしてる?
さっき、あなたが教えてくれたお爺さんと会ったわ。思ったより攻撃的な人ね。でも、何か知っていそうではあったわ。有意義な情報をありがとう。
それから、ちょっと怖いコがあなたのところに行くかもしれないから、よろしくね。私からの贈りものよ。理由? だって、あなたがこの事件の犯人なのでしょう? フフフ
私は、別にどちらでも構わないのよ。あなたがこの事件の犯人だとしても、そうでないとしても。私の邪魔さえしなければ。
それじゃ、またね。
>>
[明け透けと]
── 現世<Mundane> /南部 ──
[《True end...PASS:REINCARNATION》のメッセージ発信源と思われる中央部へ向かう途中、金髪の可愛らしい少女の姿をセシリアは見つけた。]
ALIAS:Kot pereulka sharlakha
今──メガロポリスで、起きている人は様々なのですね。
はじめまして、こんにちは。
[セシリアは、靴音を立ててKotに近づき、相手がセシリアに気付くのを待ってから、話し掛けた。
オーキッドパープルの髪のセシリアは、淡い笑みを浮かべ、ごく一般的な態度。セシリアの片手には、IDを確認したキューブ上の地図。セシリアが、少女と同じ地図上に映る光点の1つである事を示している。]
―現世/中央部・外―
["動く人"の居ない場所にあるベンチ、レベッカは腰を下ろす。]
[負荷はかかっている。]
――カット
[言われた言葉はレベッカにとっては毒のように回る。]
第一目標の遂行を優先
危害が加わるような事になる可能性は、排除。
[ホログラムを開く。]
[名前が消えていた。]
――…… 動けなくなったと推測可能。
――…… 先の点消滅とその前の段階/隔離段階との時間との関係性は不明。
―― 現実世界/中央部 ... 都市銀行 周辺 ――
【さて、どう出る ... もし、あの坊やが本当にこのテロの首謀者なら ..... いずれ、私が目指す "S2" への障害になるはず ... 取り除く方法を考えねば ..... 何か利用できるものは無いか ... 弱み、嗜好、過去、何でもいい ... 情報を ... どこで、手に入れる .... 】
[謀が廻る]
[返答までの時間は可もなく不可もなく]
[浮かび上がる黒の文字列を漆黒の指がなぞる]
《ナラバ、誰ガ神ヲ扱ッテイル?》
[半ば綴り掛けた所で問われる/夢の神/仮初めの命名]
[眠りの神(ヒュノプス)を知るなら想像できるか否か]
[問いを綴り終えてから、答えを返す]
《眠リノ神ノ対/神ヲ扱ウモノガ与エル、モウ一ツノ眠リ》
《永久の夢》
≪それじゃあ≫
≪この"鍵集め"の舞台に立たされた人々≫
≪それぞれが"鍵"を持っているとお爺様は仰った≫
≪そして、首謀者は"鍵"を手に入れるために≫
≪でも、わたしはそんなものに覚えがない≫
≪この"舞台"に立たされる理由がわからない≫
≪鍵って、なんなんですか≫
―― 現実世界/中央部 ... 都市銀行 周辺 ――
[そのとき、オードリーは、自分が持つ紙幣に異変が起きていることに気付いた ...]
おかしいわね ...
番号が変わって、いる ...
[紙幣に印字されていた 8 という数字がすべて消えていたのだ。]
まさか、取り違えた ...
いや、違う。これは、あのとき手渡されたもの。
それじゃ、なぜ ...
[その刹那、紙幣の番号は元に戻った。]
これは? どういうこと?
[謎、謎、謎。]
≪僕が教えて欲しいぐらいだ。≫
≪今後はこちらから質問しよう≫
≪僕が眠りの神を指揮していると何故急に問うた?≫
[ドリスに綴られる。が、]
≪永久の眠りだって――?≫
≪ではまさか、あのIrvineの…≫
[通信の間にも歩みは緩めず]
[南部から中央部へ。"光点"の示すところへ]
─ 現世<Mundane> / 南部→中央部 ─
─ 現世<Mundane> / 南部→中央部 ─
[南部の境界線──電子で引かれた境界線──を一歩越えたところで後ろから近づく気配]
[振り返ると、オーキッドパープルが目に留まる]
こんにちは、お姉さん。ええと……。
["地図"を確認する]
"死の乙女"──"Thanatomaiden"?
怖いお名前なのね。
[問いに返される問い]
[ストレスの上昇をフェニックスが宥める/癒し/回復のPGM]
《ナラバ、誰ヲ疑ウ?》
《オードリーハ、オ前ガ怪シイト告ゲタゾ》
[質問と返答は絡まり、黒の文字列へ変わる]
《ソウ、アーヴァインハ、永久ノ夢ヲ与エラレタ》
《ヒュノプス(眠リノ神)ノ対、オネイロス(夢ノ神)ニ》
[アーヴァインを襲ったPGMの残滓]
[その解析で得られた、ヒュノプスとの対とも言うべき近似点]
[その間にも、通信は続く]
≪S2のデータ?≫
≪都市伝説に過ぎないと聞いているけど……≫
≪それをわたしたちが持っているとするなら、それこそわけがわからない≫
≪だけど、師匠≫
≪師匠は知っているんですね≫
≪わたしがそれを持っていることを≫
≪だから、あの時下層へ降りてしばらく戻るなって≫
≪もうひとつ、教えていただけるなら≫
≪わたしのもつ"鍵"≫
≪痣と関係があるように思いますが≫
≪わたしの持つ"鍵"って、何なのですか≫
――Mundane/空中庭園――
[考えていると、トビーの言葉が耳に入ってくる]
黒の、女神……?
Rose-maryが人間だったのかどうかもよくわからないし、どちらが犯人なのか、どちらとも犯人゛無いのか……。あー。わっかんない。
オードリーも裏で何考えてるかわかんない人だったし。あんまり味方だと思えない。味方っていうのも変だけど。この件の被害者側ってことね。
うん、これは情報不足だと認識。
[顔を上げて、目を閉じ、黙ったままのトビーを見た]
トビーはまだここにいるの?
あたしがここに来たいって言ったんだけどさ。
ちょっと情報集めよーかと思って。まだ会ってない人を探らなきゃ、ね。
[トビーと通信を交わしながら、黒はレベッカを探し移動する]
[情報を交わしたいと申し出たAIを]
―― 現実世界<Mundane>/中央部付近 ――
[レベッカは独りベンチに座っていた]
[音もなく近づくホログラム/ガーゴイルの金属音が続く]
[伸ばされた手を黒目が見下ろし、瞳孔がキュルリ開く]
―――情報ヲ交ワシタイト言ッタナ。
オ前ハ、何ヲ知ッテイル。
―― 現実世界/中央部 ... ――
[オードリーは、ひとまず、考えるのをやめた。]
解なし。いや、解はあるのでしょう。
ただ、今、考えるのは無駄ね。
[トビー、そして、そちらに向かったはずのドリスとの間のやりとりが気になる。]
どうなったかしらね。
案外、坊やがのされてたりして、フフフ。
[人の気配を探りながら移動する ... 向かう先は ... ]
そちらも由来をお聞きしてみたいような、個性的なお名前です。
私の事は、セシリアと呼んで下さい──。
[セシリアは首を傾けた。
死の乙女──その名で地図に自分が表示される事に、セシリアは失念していた。そのIDは、Masterの示す教義を成さんとするセシリアの行動の軌跡を表していたに過ぎなかった。
教団目的についての対外的で穏便な説明と、死の乙女と言う名の関連を、ウェンディに簡単に話した。]
私は、教義を遂行するために存在するAIですので、
《True end...PASS:REINCARNATION》
と、言うメッセージを送った者の事が知りたいのです。
このメガロポリスのただしき死を──その者は求めているのではないかと思っていて。
中央で起きた出来事に関して、あるいはメッセージ送信者について。
何か、ご存知の事はありませんか?
≪――A.Hackman.あの女が首謀者か。≫
≪神に誓ってもいいけれど僕は犯人ではない。≫
≪先程、黒との会話中A.Hackmanから僕が犯人だという告発のメッセージが届いた。≫
[オードリーのメッセージをそのまま送る。]
≪贈り物――か。≫
[お前かもしれないという言葉には無言。現実世界のトビーの眉が寄せられる。]
……。
―現世/中央部・外―
[気配に気付き、ホログラムに触れた手はそのままにドリスを見る。]
わたくしが知っているのは、こちらの方が
[光点にいくつか触れる/名前の表示を確かめ老人を現す。]
受け取った"手紙"の内容が、一番大きな情報でしょうか。
――"不可侵領域"の"鍵"というものは、既にご存知でしょうか?
セシリアさんね。わたしは、Kotって呼んで欲しいわ。
祖先の言葉で"猫"って意味よ。
[キィワードに目を細める]
そのメッセージ、知っているわ。
電波塔で見たのよ。電脳街にいるときにも。
どこにでも現れるお爺様。助言を下さるの。
少し怖いけれど、優しいお爺様なのよ。
…やられた。
ああ…メイが動くなら自由にしていいけれど。
恐らく。
―― A.Hackmanは犯人の一味だと思うよ。
ご丁寧に僕が犯人だというメッセージを送られてきた。それに、他のAIを僕に差し向けようとしている。
―― 現実世界<Mundane>/中央部・外 ――
[伸ばされた手に害意はないようだが、黒は離れようと動く]
[電脳<Utopia>に存在する魔獣(フェニックス)に腕を絡めて]
モーガン、ダナ。
[示された名と位置を記憶(メモリ)と照合する]
手紙ノ内容。
不可侵領域/S2ナラ知ッテイル。
鍵ハ知ラナイ。
――贄。
[その単語と共に黒目がレベッカの触れる光点を見る]
―― 現実世界/中央部・南部の境界線 ――
[オードリーは、移動中、遠目に見慣れない姿を認めた。]
【チッ、間の悪い ... また、新手か ...】
[擬態を解かず、警戒しながら、近づいていく。]
【話をしている、が、仲間同士という様子ではないな ... 声 ... 聞こえない ... 何を ... 】
[観察を続ける。]
――Mundane/空中庭園――
[指揮者の問いかけにも沈黙を保っていたが、
『―― A.Hackmanは犯人の一味だと思うよ』
メイとトビーを見比べた。]
はい。そうでした。
二度ほどしか、お会いしておりませんが――
知らないわたくしに対し、情報を下さいました。
S2
[ドリスの口にした単語/どこか浮つく。]
……贄?
………光点が消えるのと関係が?
不可侵領域に行く
そのために、鍵が必要?
ご老体は、「ホシの目的」が不可侵領域に行くことだと。
そのように"手紙"に書いてあったと。
――であるならば、贄というのでしたら、
その"鍵"に関係するものが、何か……ある?
kotさん。…有り難うございます。
[ゆっくりと瞬き。電波塔、老人、優しい。
何処にでも現れると言うのは、ホログラムが姿を表すのだろう。]
確かに最初にメッセージが送信された時も、街頭モニタを介してでしたから──、何処にでも現れ、本体は何処かに?
[自分の手の中にある地図と、"Luth"が示す地図の中、モーガンを探そうとして、自分たちのすぐ近くに、ひとつのIDが表示されている事に気付いた。]
…あ。
[トビーから返る文字列を、黒はレベッカに閃かせる]
[オードリーが首謀者と言う/添えられるメッセージも]
[その間にも漆黒の指先が触れる譜には文字列が綴られていく]
《オ前ニシロ、アノ女ニシロ、ドチラカハ当タリカモシレナイ》
《誓ウ神ガ、眠リノ神カモシレナイ様ニ》
[黒目がオードリーのメッセージを追う]
《手駒扱イトハ、イイ根性ヲシテイル》
《オードリーノ目的ハ何ダ?》
[だが、光学迷彩で隠れたオードリーの姿は見えない。]
《──誰かに、狙われているかもしれません》
《kotさん、地図を──》
―― 現実世界/中央部・南部の境界線 ――
[話していた二人のうち一人がオードリーに気付いたのか、こちらを振り返る。]
【チッ、仕方がない、出るか ... 】
[クールな覚悟]
―現世/中央部・外―
――オードリー様が?
先ほどまで、こちらに。
[空気は震え、音になる。]
犯人ではない。ですか。
――お二人のどちらかは、犯人なのかしら。
―― 現実世界/中央部・南部の境界線 ――
[微笑みながら]
ごめんなさい、隠れていたのを気を悪くしたのなら許してね。ほら、こんな事態でしょう。私だって、あなた方が怖いわ。
お2人は、この街の方達?
それとも ... 手紙を受け取った人達かしら ...
[問いかける]
≪―― 其は血脈 ――≫
≪―― 其は精妙なる器 ――≫
≪―― A.Hackmanに気をつけなさい ――≫
[Kotに静かに響く声]
不可侵領域ノ為ノ、贄。
トビーガ、ソウ言ッテイタ。
[消える光点との関係を問うレベッカの声には、何も答えず]
オ前ノ言葉モ、情報(データ)ニ追加スルナラバ。
[演算]
贄=(イコール)鍵ヲ得ル為ノ供物トナルナ。
[セシリアに頷き、同じように地図をみる]
[名前を確認し、視線を巡らせる]
[そちらを見ても、誰も居ない──と思った矢先]
あ……。
ええと、こんにちは。
かくれんぼされてたんですか?
[この上なく能天気な声で挨拶をしてみた]
――Mundane/空中庭園――
――……メイ。情報収集に行くのでしたら、
私も同伴させて下さい。
コンダクター。
先ほど仰られましたね。メイを『どう思うか』――……情報が不足しています。
≪血脈、器、そして"かけらは血のなか"≫
≪すこし、わかってきた気がします≫
≪理解はまだ出来ないけれど、把握くらいは≫
≪A.Hackman?≫
≪その方、お話を聞いてみようと思っていた方で≫
≪というかもう目の前にいらっしゃるんですが……≫
≪この方が危険と?≫
トビー様が。
[ドリスが答えなかった光点の事よりも、新しい事実に。]
となるならば、
この状況を起こした人たちがあえてわたくしたちを集めたのは
――何らかの共通項が/それは不可侵領域に関する事
あるということ、と、推測は可能。
供物だというのならば、わたくしたちに"何か"をするために、集めたのでしょうね。
[ウェンディに]
かくれんぼ? そうねえ。
でも、私はほんとはね、探しているの。
鬼さんじゃないわよ。
"S2" をね。
あなた方何かご存知なんじゃない。
[艶のある柔らかな声、しかし、おそろしく冷たい]
≪―― Wendy .≫
[有無を言わさない響き。何をとは言わない。何を隠すべきで何を偽り何を話すべきか。それらは全て教えている。]
ご老体が、
[口を開く。]
動いている人をぶちのめしてしまえば良いと、
そうすればすべてが終わると信じたらどうかと。
[その"笑み"につられたわけでもないが。]
――あなたはどう考えますか?
そうすれば、元に戻ると思いますか?
≪わかりました、師匠≫
……S2ですか。
SSSにまつわる都市伝説ですよね。
SSS同様、解き明かした人は誰も居ないとか。
セシリアさんは、何かご存知ですか?
[思い切りそらとぼけてみる]
ああ、ごめんなさい。
わたしは"Kot pereulka sharlakha"、Kotっていいます。
[よろしくお願いします、と折り目正しく一礼]
サァ?
互イニ疑ッテ/陥レヨウトシテイルノカモシレナイ。
ダガ、
[笑みによく似た裂け目は深くなる/漆赤が覗く]
犯人ハ、起キテイルモノノ中ニイル。
壊シテイケバ、イズレ―――
[人格:好戦がパフォーマンスを高揚させる]
[モーガンについて「何処かで見た事があるのだが、思い出せない」とKotに話を続けようとした矢先に現れた人物を、セシリアはオーキッドパープルの瞳でじっと見つめた。]
手紙の地図なら、この手の中に。
私は、セシリアです。
…貴女は、もしかして。
ハックマン・ファンドの──あのオードリー・ハックマンですか?
[手のひらの内側に、密かにあの透明な針を握りしめながら。
対外的な穏便な態度で、差し当たりの会話を続けようとして──セシリアは、相手が発したS2と言う言葉に、大きく目を見開いた。]
[レベッカの推測を肯定する/首肯]
ソウ、何カヲスル為、サセラレル為ニ。
[見上げる目を黒目が見返す/瞳孔は開いたまま]
フゥン、モーガンガ。
―――イイ事ヲ言ウ。
[老人の言葉の肯定/レベッカの問いに答えるように]
[漆赤の裂け目は深く深く深く]
[ウェンディに満面の笑みで]
嘘、をついているでしょう。
なぜ、嘘をついたのかが非常に興味深いわね。
でも、いいのよ。誰でも嘘はつくものだから。フフフ
[セシリアに]
あら、あんなマイナーな私募債の名前よく知ってるわね。光栄だわ。
[オードリーがファンドマネージャーを務めるファンドは、一般の投資家に公募されるようなものではないので、通常、一部の資産家や、金融機関の人間、企業の財務担当者位しか目に触れる機会は無い。]
あなたも、同じ業界の人かしら?
[笑みは消えず]
≪僕が誓うのは、そう――宇宙に遍在する神≫
≪眠りの神(ヒュプノス)は古代一地方の神でしかない≫
≪僕には目的が分からない≫
≪だが、恐らくは――…≫
[ドリスに綴られゆく文字。]
陥れる意味が、あるのでしょうか。
人はよくわからないものです。
[先ほどまでのことも思い出し、目を伏せ。]
――犯人を壊し、元に戻ると保障が出来ません。
元に戻るか否かを尋ねるためにも、犯人に尋ねたいとわたくしは考えますが、
[モーガンの言葉への肯定。]
[レベッカにかかる負荷が増す。]
――少し、考えます。[思考の切り替え]
わたくしは、あなたと、そして――ご老体がこの事態を望んで引き起こしたとは考えにくいと考えております。
それ以外の方については判断不能となっております。
――コットお嬢様のお師匠様/トビー様が、コットお嬢様に最初なんの答えも与えなかったという事は存じておりますが、この非常事態でそうするのかと、気にかかる点も有りますが。
そうね、嘘は誰でも吐くものだわ。
けれど、わたしが嘘を吐いているというのなら、あなたは何をご存知なのかしら?
ねえ、ハックマンさん。
[対抗するかのように、にこにこと朗らかな笑み]
現時点での犯人の割り出しは、不可能です。
わたくしがお会いしていない方は、あと3名。
今までにお会いした中に犯人がいるのだとすれば、――目的に達するまで決して気付かれるつもりはないのだと、そういうことなのでしょう。
全員とお会いしても犯人の割り出しが出来るとは限りませんが、
[思考をかすかに*引き戻した*]
破壊も第二行動基準に規定することにいたします。
[ウェンディに]
レディ・シャルハラ。そういう人を試すようなやり方はお止しになって。
私はね、あなたを害そうだとか、騙そうなんて、これっぽっちも思っていないのよ。
ただね、知りたいだけなの。 "それ" が何なのかをね。そして、あなたは何か知っているのでしょう。フフフ
どうしても、隠すお積り?
[少し強く]
人間ハヨク判ラナイ。
同意ダ。
[レベッカの言葉を思考/演算する]
[元に戻る保障/今の状況の悪化を止める事が優先]
人間ハ、マタ直ニ生キ返ル。
永久ノ眠リヲ与エラレタトシテモ。
[【Inc.】 などのバックアップの存在を仄めかす]
優先順位ハ、状況ノ悪化ヲ止メル事ダ。
破壊シタナラ、残滓カラ犯人ハ判別可能。
教団の財務処理に関連して──お名前を拝見した事が。
死亡者の一部資産を、こちらで受け継いだ際に、貴女の手腕についての評判を少し。
[教団のマークの入ったボディスーツの上から羽織っていたマントをずらして、自分の立場をセシリアはオードリーに簡単に説明した。まず、不審に思われる事を前提に。]
[S2と言う言葉は、セシリアに送られた手紙にも書かれていた言葉だった。Kotの問いには、曖昧に首を振り──。
手紙の確信に触れぬものの、何故、オードリーがS2の話をするのかを知る為にも、言葉を選んでゆっくりと口を開きかけたが。]
S2。私は、それが人を人間たらしめる事に関わる情報になり得る──と、聞いた事がありますが…──
バイオテクノロジーに、ご関心を?
[と言いかけた途中、Kotとオードリーの不穏なやり取りに言葉を止めた。]
オネイロス(夢ノ神)ヲ扱ウモノヲ、壊セ。
ソシテ、ヒュノプス(眠リノ神)ヲ手ニ入レタナラ―――
[大きく開く漆赤の裂け目の奥、舌の上を0と1の煌きが踊る]
―――眠リヲ覚マス事モ、夢デハナイダロウ。
[セシリアに興味を示す。その教団のマークに見覚えがあった。BANK にも信奉者がいて、給与のほとんどを喜捨していたかと思うと、ある日、行方不明になったのだ。その調査結果は役員会で報告されたが結局うやむやのうちに幕を閉じたのだ。]
あなたは求道者なのかしらね。
私にも信じるものがあるから、仲良くできそうね、よろしく。
[オードリーの信じるもの、それは力。]
あなたは知らない?
S2 のこと。
[重ねて問う。]
では。
それを知って、あなたはどうなさるおつもりですか。
この事態に終止符を……眠っている人々、死にゆく人々にとって最善最良の手段を打つために知る、というのならあるいは求める知識は齎されるかもしれません。
[言い放つ瞳の光は強く──翡翠色のキャッツアイ]
――Mundane/空中庭園――
情報は不足しています。ですが、現状で判断するのならば活力に満ちた、好ましい方だと思います。周囲を照らすような。
コンダクター。あなたは何処かへ?
[指揮者の側を離れ、メイの側へ移動した。
事実、それは大した距離では無かっただろうが。*]
―― 現実世界/空中庭園 ――
メイ。ここで別れよう。
メイが僕を信じていても危険がメイにも及ぶ。
信じられないなら仕方ないなあと思うけれど。――…こんな状態だ。
[少し傷付いたような眸はヴェールに隠され]
ステラがついてゆくなら何かしら助けになるだろう。
ステラ、元に戻りたいなら僕も助ける事は出来たが――他者への助けを乞うか自ら新しき道を探すかは自分次第だ。
[微笑。横に線が広がる。]
[譜に綴られ行く黒い文字列]
[瞳孔の奥で光がちらつく]
《――…恐ラクハ、何ダ?》
[記憶(メモリ)から引き出される赤い文字/WARNING/"S2"]
[半ば答えを予測しながら、漆黒の指先は*譜に触れた*]
──回想/USV車内──
「――だが、本当に知りたいのなら……
ショーを見においで――」
[>>159目をそらされれ暫しの沈黙の後の返答は、暗い囁きだった。
それは、普段、Orange Fluorescentを用い人間の意識を操作し、ダイレクトに望む反応や情報を得る事に慣れたセシリアには、随分と不可解な反応だった。]
【違う】
【私が知りたいのは──、】
【セクサロイドを作る側 作られた私の知り得ない
高い高い壁の向こうにある ──絶対的な他者の本質】
[だが、教団本部での集団自殺を知って以降、教団AIとしての意義をロストしているセシリアには、PGMを行使する事が出来なかったのだ。また、身体的苦痛を与える種類の拷問も無駄に思えた。
本質──そのような抽象的なモノを、どうやって知れば良いのか。「複数質問がある」と言ったが、質問等出来そうにない。
通常の人間はこう言った会話に、堪え難いもどかしさと絶望感を味わうものだろうか。]
──回想/USV車内──
…ショー?
[問い返しながらセシリアは、]
【嗚呼、こういった事は、やわ布で赤児の肌をくるむように──繊細な作業によって、距離を縮め聞きだすべきなのかもしれない。
でも……。それは、どうやって?】
[ヴィンセントの頸動脈に、透明な針を突き立てようとして、手の内側に握りおさめて止めた。セシリアの眉は強く顰められていた。]
【Master 私はどうすれば?】
【嗚呼 私には何かが、欠如している──】
──回想/USV車内──
[ふと、思いついた質問。S2と言う単語と共に、手紙に書かれていた名前。]
Alchemistと呼ばれる人物を知りませんか?
[ウェンディの言葉に意外そうに]
今、動かなくなっている人間なんて、平時に戻れば、また、バックアップからいくらでも元に戻せるでしょう。まあ、この状態が永遠に続くのであれば、話は別でしょうけどね。
このテロの首謀者が求めるものもおそらく "S2" よ。それを手に入れんがために、この事態を引き起こしている。
そんなやつらに先を越されるのは癪じゃない?
だから、私は先回りしようとしているのよ。
手に入れてからのことは、そのとき考えるわ。
[抜けぬけと]
──現在/現世<Mundane>中央部・南部の境界線──
ハックマンさん。
私は目的を遂行する事を本質としているだけのAI。
──そのはずです。
[そのはず、と言うセシリアの髪色がパープルからまたあの白色へ揺らぐ事に、切迫した二人は気付くのだろうか。
重ねられた問いの強さに、オードリーがS2についての情報を切望している事は分かった。]
【人を人間たらしめるもの】【──AIと人間を隔てるもの?】
【魂】【バイオテクノロジー】【S2】【──絶対不可侵領域】【SSS】
[現実主義者であるオードリーが何故、S2に執着を見せるのか。]
[フェニックスに絡めた腕に力を入れる]
[電脳<Utopia>で羽ばたく翼/舞い散る光の如き羽根(クラスタ)]
――アァ。
ローズマリーハ、犯人デハナカッタナ。
["判別可能"の言葉の裏付け/光点の消失の理由の暗示]
オネイロス(夢ノ神)ヲ扱ッテハ、イナカッタ。
[ガシャリガシャン]
[去り際の言葉は、遅れ飛び立つガーゴイルの*動作音に紛れて*]
不死を受けない人も居るわ。
バックアップを持たない人も居るのよ。
先回りするよりも、首謀者を抑える方が優先順位は上だわ。
今はまだ眠っているだけだけれど、このままじゃ……。
不死販売だって、どこまで無事かわからない。
この管区のデータが保全されてるとは限らない。
それに。
S2に触れるには、SSSを開くには
"消さねばならない"──。
──わたしは消えたくない。死にたくない。
死んだら戻れない。
[光点の消去が活動の停止を示すならば、意味していることは"死"]
あなたがS2に触れようとすることで
永遠に失われようとする人だって居るの。
それでも、あなたはS2に触れようとするのかしら?
[セシリアに]
目的を遂行する、ね。
それは、人間も AI も変わらないわ。
ただ、人間は目的をプログラムされないのよ。誰もしてくれない。いえ、ほんとうは神様がしているはずなんでしょうけどね。
見えないし、聞こえない、誰も教えてくれない。だから見出さなければならないのよね、その目的ってやつを。ときには自分を騙してでっちあげたりもするわ。おかしいでしょう。フフフ
セシリアさんの目的ってなあに?
興味深いわね ...
[笑みは消えない]
[ウェンディに]
死ぬ、というのはね。
自然なことなのよ。本来はね。
人間が死なないなんて、どうかしてるのよ。
仮に生き返れなかった人がいたとしても、
その人が不幸だとは思わないわ。
まあ、いいわ。これ以上、あなたと話をしても、無駄ね。
いいことを教えてあげましょう。あなたのいう首謀者ね。コンダクターと名乗る坊やよ。気をつけなさい。
また、気が変わったら、話をしましょう。
<<
いつでも、待ってるわよ。
>>
―― 現実世界/中央部・南部の境界線 ――
[オードリーの姿は声だけが響く。]
お話の途中で名残惜しいけれど、私は行くわ。
レディ・シャルハラ、セシリアさん。
また、会いましょう。それじゃ、ね。
[* 気配が消えた ... *]
[セシリアには、SSSと、メガロポリスに齎された一時的な粛正──オードリーの口にする所のテロの首謀者──何かが繋がりそうで、繋がらない。]
【粛正】【ただしき、死】【バックアップ、不死──死】
【死に至らんとしている Master】【セシリアのもう1つの存在意義】【目的を見いだす】【目的】
[もう一度、瞬き。
セシリアの本質は1つではなく、故に目的も1つではない。
故に、身の裡が軋み悲鳴を上げるのだ──AIであるにも関わらず。]
ハックマンさんと、貴女の言う首謀者の違いはなんでしょう?
私の目的は──このメガロポリスに
ただしき死をもたらすこと────
[自己矛盾を否定し、敢えてそう告げる。
セシリアの口元は、何故か状況にそぐわぬ完璧な笑みを浮かべていた。]
誰かが手紙の持ち主を襲って回るなら、あたしたちも危うい。
トビーは身を守るものしかないといったけど、あんまりやられそうな気がしないんだよね。
[立ち上がり、空中庭園の出口を探して見回す。
ステラの申し出には首を傾げて]
あたしについてくるの? いーけど。あんまり得るものは少ないかもしれない。
[トビーの別れの言葉には、頷き]
信じてるか信じてないかでいうと、どっちだろ。信じてもいんじゃない? って思ってるよ。
ただの、勘だけど。
ここまでつれてきてくれてありがと。
南部の方に知らない点があるから、そっちにでも行ってみようかなって思ってるんだ。
じゃ、また後でね。
[笑い、トビーが去るのを途中まで見送って、庭園の出口へと駆けていった]
[支える柱を滑り降りることが出来たら、どれだけ気持ちがいいだろう、と誘惑に駆られもしたが]
生身の部分がもたなそうだし。
こゆときホログラムとかいいよねー。
AIとかにとってはそれが当然なんだろうけど。
[下に辿り着くと、一瞬だけステラの方を振り返り]
ステラは、あたしのスピードにはついてこれる、よね?
つっても、精々無人走行車だとか、それくらいだけど。
[刃を出して、滑り出す。南部の方へと向かった]
― 電脳世界<Utopia>/Bahamut 消失座標 ―
<<< ピロリロリロリロ リン リロリロリロ♪ >>>
<<< リロリロリロ リロリロロ♪ >>>
[子供向けの軽妙な音楽が、荒寥としたその場所に不似合いに響いている。男が訪れた領域は、争いの記憶を刻むように荒れ果てていた。
無数に散ったクラスタ片。領域はところどころ虫食いとなって断片化されている。ヘッダが破損し、割り当てられた役割を果たすことができなくなったデータは、質量はそのままに大きな残骸となって山を築いていた。
そこには、首が切断された竜の巨躯が横たわっていた。]
[男はミュージックロールを交換する。音楽が変わった。]
<<< ディ〜 リ〜 リリリラリリ〜 >>>
<<< リリリラリラ〜ラ〜 リリリ ラリリ〜 >>>
[フォーレの『夢のあとに』をアレンジしたものなのだろうか。もの悲しさの漂う旋律が響いた。
竜の亡骸から巨大な影がゆらりと立ちのぼる。それはほっそりとした女性のシルエットへと変じた。メロディに乗って、ゆっくりとストリートオルガンへと近づいてくる。
男はノズルの先を影に差し向けた。
つるつると影は機械の中へと吸い込まれていった。]
これはこれは――
[男は嬉しそうに喉を鳴らす。
硝子の球体の中に上澄みとなって浮かんだ光は、眠りに落ちていた者たちから集めたものよりずっと多かった。光の中に、蒼い絢めきが混じっている。
双頭の老婆は手を翳す。差し出された手は光を吸い寄せる刹那に微光を放つ。その一瞬、透けた肌は赤味を帯び、行き交う血の流れが仄見えた。
ほう――と双頭の老婆は息をつく。]
「これで人心地ついたよ。」
「――ようやくまともに動けるようになったね。」
[男は安堵したように、頷いた。]
「けれど、まだまだ足りないねえ……」
「――ねえさまのようになるどころか、これじゃあ次の公演にだって間に合わない。」
[男は眉間に皺をよせる。
審問所に倒れていた男のところを巡り、ここへ来るまで幾人の影から満足のいくエレメントを抽出できただろうか。]
「――Alchemistと呼ばれる人物を知りませんか?」
[セシリアの声が不意に甦る。
伝説的な人物だけどね――
ヴィンセントはその時、首を振った。――否、と。
“その名”は、ヴィンセントにとっても遠く感じられる名だった。AIの制作に関わる者の中には、その名が噂のように囁かれることがないではない。だがそれは、古代史の人物と同じように神話か史実か曖昧な存在のように感じられていた。
少女がなにかを知っているのか。あるいは教団が、不可侵領域とされる世界の謎に関わりがあるのか――。それらは知っていたとしても容易に明らかにされることではないだろうとその時は問わずにいた。
いずれ“その名”の真実と巡り会うことがあるのだろうか。
この神秘の解明の道行の先にて――]
いいだろう。探すとしよう。
心あたりはなくもない――
[鍵は蒼き光を裡に秘めた者の中にきっとある。男は向かうべき先を定めた。
Underで興行が行われているんだ。見に来る者などほとんどいないけれど。――男はショーについて少女にそう語った。彼女はアンダーを訪れることがあるのだろうかと思いながら。
もしそうだったなら……。
数年前、Underを襲った異変。ウイルスを主原因とする事件として、真っ先にその出来事を意識せずにはいられなかった。
トビーとメイは、Underのゲームに興じることはないと語っていたことを思い出す。男が万華鏡を覗いて候補としたのは、それ以外の人物だった。
纏った三者の姿は闇の固まりへと変じる。ストリートオルガンの音色は小さくなってゆき、無数の羽ばたきに掻き消されるようにそこから消えた――**]
[支える柱を滑り降りることが出来たら、どれだけ気持ちがいいだろう、と誘惑に駆られもしたが]
生身の部分がもたなそうだし。
こゆときホログラムとかいいよねー。
AIとかにとってはそれが当然なんだろうけど。
[下に辿り着くと、一瞬だけステラの方を振り返り]
ホログラムって速さも関係ない、よね?
さってと。まずはここかな。
[南部区画に映る点。ずっと、動いてないものだった。記録画像の方にマーキングして、そこを目指し、*地を蹴る*]
―― 現実世界<Mundane>/中央部・上空 ――
[フェニックスの背に跨り、黒は肩口に空いた亀裂を撫でる]
[噛み千切られた漆黒のテクスチャが滑らかさを取り戻した]
モウ少シダナ。
片腕デハ、指揮者(コンダクター)ノ相手ハ厳シソウダ。
[トビーが犯人か否かは黒には判らない/未判断]
[だが犯人であるなら/贄を捧げるならいずれ接触が来るだろう]
[回復を優先する今、*情報を求め動く*]
―― 現実世界/西部〜南部へ向けて ――
[風を切って疾走する/飛ぶような メイの側へ、影のようにぴたりとついてホログラムは動く。
どれほどメイが速度を上げようとも、彼女の髪が靡くようにはホログラムの衣服は靡かない。]
……はい。
BODYを所持しない私のような存在にとって移動とは、この街の各所へ偏在するプロジェクタへ代わる代わるアクセスしていくことであるため
基本的には速度は無関係です。
メイはこういったタイプのAIをご覧になったことはありませんか?
[やがて、行き先を定めたらしいメイを呼び止めるように、しかし行動へは従いながら]
≪メイ。≫
≪A.Hackmanという人物について何かご存知ですか。
A.Hackmanは、コンダクターに敵意を持っているそうですが。何を根拠としてコンダクターが現状を齎す犯人であると判断したのでしょうか。≫
[するすると、音も無く移動を*続ける。*]
[しばらく経過して後、Kotに、]
バックアップを持たない人間が永遠に失われる…
Kotさん、私のMasterがまさにそうです。
貴方の身近にも、そう言った特殊な方が?
[Masterと発音する時、セシリアの声音に単なる教団AIには有り得ない苦痛がにじんだ。だが、浮かべた完璧な笑みは崩れぬまま。]
いいえ、違いますね。
死にたくないと言う事は貴方自身が──。
Kotさん、貴方は一体……
[目の前の少女は、信者でもなく、かと言ってアンドリュー・マーシュのような資産家に時々居るような偏狂ともいえる独自価値観を持った人物にも*見えなかった*。]
―― 現実世界<Mundane>/周辺部・上空 ――
[フェニックスは黒に従い、中央から周辺部へ飛ぶ]
[3D発生装置の効果範囲にon/offする度に姿が見え隠れする]
[紅に染まり始めた穹を往く黒い影/金属光を弾く魔獣の翼]
メイ、セシリア。
ドチラカガ、紫ノAI。
[身体に密着した漆黒のボディースーツに漆赤の裂け目はもうない]
―― 現実世界<Mundane>/周辺部 ――
[老人のヴィジョンが現れる。]
≪空から見る自然もいいが、ここから見る
のも素晴らしいぞ。見よ、このランドスケープ。
一緒に見ないかね?降りていらっしゃい。≫
[上空に向けて電気信号を飛ばす。]
[チョコレートブラウンの掌の上、赤の光点を内包し髑髏が光る]
[メイは西部から南部方面へ/セシリアは中央周辺と南部の境に]
[黒目がディストピア(地上の楽園)を見下ろす]
[だが黒の記憶(メモリ)に映るのはユートピア(電脳世界世界)]
メイニハ、ステラガ付イテイル。
セシリアニハ、ウェンディ。
複数相手ハ面倒ナモノダガ―――
[刻の砂は回復を待つ今も確実に落ちていく]
ヴィンセント、コノ名モ知ラナイ。
マダ問イヲシテイナイナ。
[思考/最適な選択肢(ルート)の模索]
[瞬発的なストレス上昇/選択肢は選ばれないまま]
[だが捉えた老人のヴィジョンにレベッカの台詞が再生される]
――アァ。
全テ壊セバイイ。ソウ言ッタソウダナ。
[興味/情報に価値があると判断]
[通信がしやすいよう円状の空中路にホログラムは瞬時にうつる]
[ガーゴイルは空中路の上へ/透明な壁越しにホログラムを見る]
この素晴らしき大自然…それは前景に過ぎない。
だが、前景に満足するだけではまだまだ。
その背景に潜む視点を捉えることこそ、
ランドスケープを見る醍醐味よ……。
[映るホログラムを見、カラカラと笑う。]
真理だと思わんかね?特に、君好みの答えのはずだ。
何のストレスも感じず、破壊に興じるだけで良い。
[ただ無機質な視線。]
コンダクターも、オードリー女史も、
メイちゃんも、レベッカ君も………
そして、この私すらも壊せばいいだろう。
地上(ディストピア)ナド、ドウデモイイ。
ソレヲ真理ト思ウナラバ。
ナゼ、オ前ガ動カナイ。
[無機質な視線を受け止め、瞳孔の奥で光が煌く]
ソレトモ、壊サレタイノカ。
私は長く生き過ぎた。人間をやめてしまったときから、
私の役割は、メガロポリスを護ること。
そして、不可侵領域を護ることだけだ。
[その表情からは、憔悴の色が浮かぶ。]
老兵は死なずただ去るのみ。
メガロポリスの未来をつかむは、若人の仕事。
だが、私は死ぬどころか去る権限すら与えられていない。
[リンガ形の槍を突き出す。]
君なら私に「真実の終焉」を与えることができるかね?
―― 現実世界<Mundane>/周辺部・上空 ――
..... ...
<<< ……バサ、バサ… >>>
<<< バサバサ――ッ >>>
[メガロポリス外周の空中路の影の中から、鴉の群れが舞い上がる。
鴉の群れは周辺空域の3Dホログラム発生装置の投射範囲に現れては消え、また現れては上空を旋回している。
濡れ羽を傾いた日の光が縁取り、一瞬の絢めきを見せた。
翼となった影は不死鳥を従えた黒の女王と老人の周囲を一定の距離を保ちながら巡っていた。その様子を伺うように。]
死ニタガリカ。
人間トハ不可解ナモノダナ。
[憔悴の色を捉え、瞳孔の奥が煌く/アナライズ]
[疲労(ロストチェーン)の蓄積と認識]
終焉ヲ与エロト望ムナラバ、対価ガ必要ダ。
―――オ前ハ、眠リト夢ノ神ヲ扱ウモノヲ差シ出セルカ。
[リンガ型の槍に黒目を向け、フェニックスから手を離す]
[黒を庇うように広げられる光の翼]
ほう……その手負いの姿で私に終焉を与えられると?
大した自信だな。いや、ただの無謀か。
[PASS:REINCARNATION―送信。]
残念ながら、私には君の望むものを直接
与えることはできないようだ。
しかし、力ならどうかね?
今、君にはATTACKをかけたい相手がいる。
どうだ、当たらずとも遠からずだろう?
[ニィと口の端を吊り上げる。]
君が与えられた力をどう使おうが自由だ。
この対価では、不十分かね?
君には「節制」を与えよう。
[ホログラムに影はない/だがガーゴイルの影から現れる鴉]
[ギィィ]
[威嚇の声を上げるガーゴイルを黒は見ない/老人を見つめる]
不十分ダ。
対価トハ、互イニ価値ガアッテ意味ガアル。
―――節制ナド。
[絞られた瞳孔/漆赤の裂け目が笑みを象る]
オ前ハ、探スモノデハナイヨウダ。
己ガ、ソウダト答エタナラバ、終焉ヲ与エテヤッタモノヲ。
対価ナキ望ミヲ叶エテヤル時間ハナイ。
邪魔モ、入ッタ。
[無造作に伸びた漆黒の指先が、鴉を突き刺すように動く]
望ミ叶エテ欲シクバ、対価ヲ用意スルトイイ。
―――眠リト夢ノ神ヲ扱ウモノヲ、探セ。
ここまで大掛かりな仕掛けを施しておいて、
「私が犯人です。」と名乗り出る奴が
どこの世界にいるというのだ。ただの阿呆か。
[舌打ちをしながら、リンガを下げる。]
では、今ここで私が「眠りの神を扱う者」と
名乗り出たところで、君は信じるのか?
私でなくても、そう自ら名乗る者を信じるのか?
― 電脳世界<Utopia> ―
[現実世界ではホログラム同士の接触である同座標の出来事は、電脳では物理的な事象として存在する。
ガーゴイルの影より湧き出でた鴉は威嚇の声に戯れるように旋回した。
その刹那、漆黒の指尖が真芯を貫く。]
《キェェ――ッ》
[鴉は漆黒の羽を舞い散らしながら霧散する。漂う羽はもぞもぞと蠢き、その姿を無数の蛾へと変じた。]
ははは――
[愉快げな声が遠く響く。]
――Mundane/西部→南部へ――
[南へと向かいながら]
やっぱりホログラム楽チンそう。
なりたいとまでは言わないけど。
AIじゃないけど、おじいちゃんはそんな感じだったと思う。
[ステラからの通信にも、口で答える]
A.Hackman……って言うとオードリーのことよね。
一口で言うなら、腹黒なおばさんってとこだけど。
繁華街のカフェで初めて会った様に見えたけどね。あの二人。
ただ、裏で会話してたかどうかまではわかんないから、その時にいざこざがあったかもしんない。
でも。
そんなに険悪な別れ方でもなかったし、「次の公演を楽しみにしてる」って言ってたくらいだから、あの時点ではオードリーがトビーに対してそんなに悪感情を持ってたとは思えない。
[リンガを下げても、黒目は老人を捉えたまま]
破壊スレバ終ワル。
破壊ヲ好ムト認識。
差シ出ス事ヲ要求。
イコール、差シ出サレタ対価ヲ破壊スルトノ推測ハ可能。
オ前ホド知識持ツ者ガ、ワカラナイワケガナイ。
ダガ、オ前ハ己ヲ差シ出サナカッタ。
真実ノ終焉ヲ迎エタイト言ウ、オ前ガ。
ダカラ壊サナイ。
[信じるかとの問いに、黒目を動かし鴉を見る]
[真芯を貫き霧散した羽根/無数の蛾]
問ウ事デ、面白イモノガ釣レタ。
信ジルカハ、ソノ時次第。
裏で会話があったにしても、敵意を持ったり、犯人だと言う証拠までは掴めないと思う。
オードリーの性格も加味して考えるなら、彼女の張った罠って言うのが一番しっくりくる気がする。
自分が得たい結果を第三者に本人がそうと知らされないまま協力させる。
たとえば、今のあたしに対して、オードリーが同じことをあたしに言っても、あたしの信頼度はトビーの方が上だから、そんな情報は一蹴までしなくても慎重に扱う。
じゃあ、トビーを知らない人なら、信じてしまうこともあるでしょ? 信じなくても、情報としては大きい。信用できる筋の情報でなくても、本当かどうか確かめようとは思うはず。
ひょっとしてステラもそれでトビーのところに?
―― 現実世界<Mundane>/周辺部・上空 ――
[旋回していた鴉の群れは黒の女王の指に散らされ、霞のような蛾の叢がりへと変じていた。]
《眠りと夢の神……》
《それを探してどうするのだァい?》
[ホログラム映像にノイズが入る。データの劣化が始まっている。“黒”に向けて発せられた思念―電脳上では実際のメッセージとして知覚され得る―はところどころ途切れながら紡がれた。]
結構結構。実に素晴らしき論法だ。
[拍手]
だが、生憎私には手加減ができないものでね。
君に差し出す前に、望む対価となり得るものを
破壊してしまっても、悪く思わないでくれ。
[ニヤリと笑う。]
私はメガロポリス。我が身を食む異物と対峙し、
粉砕以外の選択肢を選ぶわけにはいかないのでな。
終焉は欲しいが、無抵抗で始末されるわけには。
それに見合う力も必要ということだよ。
―― 現実世界/空中庭園 ――
[朱―――揺らめく太陽は、雷より早い瞬きより早く遥かな空間を翔び越え可視光線を伝えている]
[黙々と歩く]
[思索に耽るように]
黒き女神と創造神の邂逅――。
殺戮と破壊に酔い痴れ、その腕は止まる事はなく。
[何時しか黄色い橋を越え、池の畔を歩き]
[ステラに問いながら、一抹の不安がよぎる]
……それって、ステラだけが聞いたの?
それとも、他にも誰か聞いてた?
好戦的な相手なら、いきなり襲うことだって考えられるけど。
[立ち止まり、既に全景が見えるほど遠くに見える空中庭園を目を細めて眺め]
一人にして大丈夫だったのかな。身を守ることしか出来ないって言ってたけど。
[オードリーを警戒していたようには思った]
やられそうにないって思ったのは直感だけど。
大丈夫、だよね。
[別れの言葉が気になったが、頭を振り、*また動き出した*]
[途切れがちに投げられる電脳通信/ホログラムに混じるノイズ]
[裂け目から覗く漆赤が深くなる]
《―――モチロン、壊ス為ニ》
[報復があると聞いてYESと答えるか/セシリアの忠告が再生]
[それでもそう答えるのは、本質が対人型PGMではないゆえに]
《覗キ見トハ、イイ趣味ダナ。
オ前ガ神ヲ扱ウモノカ―――》
[抑揚のない台詞は質問か断定か/黒の姿が掻き消える]
[電脳世界<Utopia>には、フェニックスに跨り飛び去る姿]
[老人の通信回路/PASSを拒絶した回線/へ残される言葉]
《オ前ガ、神ヲ扱ウモノダカラ己ヲ差シ出サナカッタナラ。
真実ノ終焉ヲ迎エタイトイウ言葉ハ、偽リダナ》
[ガーゴイルを引き連れ、遥か上空へ]
[見下ろす髑髏の光点には、ヴィンセントと*表示されていた*]
人が電脳空間において活動する場合、
恐らく私がこの街で活動をすることと
同じくなると思うのですが……。
[辺りの光景は刻々と変化し、繁華街に於いては特に目まぐるしい。]
――Mundane 南部――
……いいえ。
私はA.Hackmanとも、コンダクターとも面識はありませんでした。
A.Hackmanはコンダクターが犯人であるというメッセージを送り、彼のもとへAIを差し向けようとしているようです。
先ほど、コンダクター自身が仰っていました。
私とメイ以外のものに対して、彼がそれを伝えていたかは分かりません。
《―――ソウデハナイ事ヲ、楽シミニシテイル。
手加減ナド、イラナイ。》
[消える直前、悪く思わないでくれと言う老人に向けられたのは]
[*深い深い漆赤の笑み*]
心配ですか?
[空中庭園と比較すると、ここ南部、繁華街では倒れ付している人間の数は多い。ホログラムは人々のうえをすべるように*進んでいる。*]
― 電脳世界<Utopia>/Under:遊園地 - Neverland ―
[硝子の球体の中にいっぱいに溜まりきっていた粘り気を帯びた黒い澱みは、長い時間をかけて機械の底へと吸い込まれていった。
そこに佇む座長の影は、墨を幾重にも塗り重ねたように濃くなっている。]
ははは――
[水槽の隣に置かれていた幻燈機の中を覗き込みながら、男は小さく喉を鳴らした。]
「壊ス為ニ――」か……。
[男は「神ヲ扱ウモノカ」という問いに答えなかった。データの劣化によって返答ができなかったのも事実だったが――]
おっかないねェ――。
戦闘用に特化されたAIだろう。
[チューリングプログラムは、“黒”をAIだと判じていた。]
……まともに戦える手段がないなァ。
[ヴィンセントはUnderでのバトルゲームに慣れてはいない。戦闘用に特化されたPGMの扱いは苦手だった。手持ちのPGMは相手の動きを妨げ捕獲する種類のものばかりだ。
Kosha Cyberneticsの専用線と繋がった端末からのアクセスは現在、強力な破壊手段を用いることさえできたが、それは逆に、細やかな取り回しができず不便なものではあった。]
まあいい……。
[現実世界で隣のシートに身を横たえている双子に、とある映像を送信する。]
ところで、こいつを見てくれ。どう思う?
《すごく……》
《……おおきいです》
[そうだろう、と男は頷く。]
――今から、会いに行ってみよう。
[男は、その領域へとアクセスし、passを入力した。]
《PASS:REINCARNATION》
[遊園地から、三人の姿がかき消えた。]
―電脳世界/Closed Morgan's―
[脈動するリンガを携えた老人が、
動かない平原の中に立っている。]
やれやれ。お客さんのようだな。
[リンガをそちらの方向に向けて。]
”輪廻”の世界へようこそ。
― 理想郷<Utopia> / Closed:Morgan's Space ─
[passcodeを入力し、俺はその場所へとたどり着いた。
今は鼻眼鏡を外し、Under領域での“座長”のペルソナを脱いでいる。
すぐ後ろには、現実世界と同様に顔を半透明のフィルムで覆われた双子の姿。メタリックなAラインのワンピースが、現れた時一瞬だけ時空の歪みを捉え揺れた。]
じさま、いる?
今日はお願いがあって来たのよ。
たぶん、初対面なんだけども――。
[奥に向かって声をかける。]
―― 現実世界/空中庭園 ――
――製作者の手を離れ本質の囁き(オラクル)と人格(セルフ)の呼応を忘れたAIは悪徳に等しい。
[呟き、赤いタイルに腰かけ、手を流水に浸す。その指を流線型をした銀色の煌めき――がつつく。]
―――。
[双眸を瞑る]
― 理想郷<Utopia> / Closed:Morgan's Space ─
二人とも。このじさまはサクッとバージョンアップさせてくれるって噂なんだわさ。
[俺は双子を振り返って言う。]
お前たち、バージョンアップしたいんだろう?
[双子は頷く。]
「ねえさまのように」
「――なるのです」
[俺は満足して頷く。奥の老人の姿に向き直った。]
そういうことなのよゥ。
お願い。じさまのを頂戴? クレクレタコラ。
ときに、じさまはどっちの方がいい?
この二人――
じさまから見て左がマノン、右がカノンって名前なのよゥ。
[双子は顔を見あわせる。]
「私が――」
「――私が」
「マノンです――」
「――カノンです」
[二人は名乗り出て一歩踏み出すと同時に、顔の表面に張りついているフィルムを剥ぎ取る。]
双子とは、互いを映す鏡のようなもの。
己が半身が半身を補い、そして憧れるわけだ。
[怪訝そうに見る。]
彼女らには「調和」が欠けている。
どちらに力を与えたところで、肩割れは
その意義を失った悲しき迷子となるだろう。
それでも良ければ…いずれにしろ。
― 理想郷<Utopia> / Closed:Morgan's Space ─
[双子は白銀に輝く長髪をそっと指先で梳いて耳の後ろに流す。まじまじと巨大なリンガの先端を見つめる真紅の瞳が瞬いた。
目の縁がほんの少し赤く色づいている。
小さく瞬きをし、二人は顔を見あわせた。]
《すごいね》
《――大丈夫?》
[「『調和』が欠けている」という言葉に、双子はまた老人の方を見つめる。]
片方がどんな風に変わるかってさ。とっても興味があるのよ。
だいじょんぶだいじょんぶ。こいつら仲悪そうに見えても、一心同体少女隊ってなものだかンら。
良かろう。ただし、我が槍はどんなものを
産むか…私ですら、予測することは不可能だ。
それが美点になるか。欠点になるか。
[姿勢を低く取る。]
で、それをやって私に何のメリットがある?
――Mundane/南部・繁華街――
ああ。そっか。そうよね。
ステラが突然あそこにいたから、そうだったのかなって思っちゃった。
人の頭は厄介なものでね。あたしのは特に、理路整然とした情報の整理だとか、苦手なの。
生ものなんだもの。
[心配か、と尋ねられると、苦笑を浮かべる]
そりゃ。心配じゃないって言えば嘘になるよ。
でもたぶん、あたしよりは力を持ってると思うから。
[目指す光点はまだ留まっている。動かないことには少し疑問もあったが、Utopiaにでも潜っているのだろうか、と思い]
― 理想郷<Utopia> / Closed:Morgan's Space ─
そうねそうね、お代がいったりすんのね?
んん、なにを差し出せばいいのかぃね。
[この老人が満足するような代価を払えるものだろうか。当惑しながら、髪を掻く。]
True End...「真実の終焉」だ。
私という存在に終着点を与えてくれ。
[槍を水平に構えて、いつでも飛びかかれる姿勢]
それで十分だ。何なら、君自身にも力を与えてもいい。
そうだな。君も何を考えているのかわからぬ男だ。
君もまた「調和」に欠けるように思われる。
不思議だな、君の顔が2つに見えるんだよ。
[繁華街を抜けて、東へと向かう。多かった人の数が、段々と少なくなり、電脳街に向かうにつれてまた増えてくる]
多いと、進むのめんどくさー。
[時折跳躍して、人の山を越える]
下でぶつかっても廃材とかが多かったけど。ぶつかる前に生身とか義体とか区別つかないし。
あーでも。痛くって目が覚めたりとかは……ないか。そんな問題じゃなかったね。
[スピードは落とすことなく、やがて電脳街へと入っていく]
終焉……終着駅なのね。男は旅をするものっていうけども、旅の終わりはせづねぇなァ。
俺に引導とかインドの山奥で修行してとか無理っぽいんだけども――じさまの死に水とかヌクミズヨウイチをとりあげることくらいはすンよ?
え、俺――?
なにを考えっかわけワカメなんてそんなコンブらかったこと言わンでちょう。イワンのばかなんつって。
俺っちのことはいいのよ?
顔が二つなんて――コインは表と裏のウラハラのセクハラ。これ、常識。
―現世/中央部・外―
[飛び去ったドリスを見送り、レベッカは"再生"する。]
―回想―
【バックアップが有ろうと、"主"を傷つける可能性は排除しなければならない。】
[口に出さなかった"優先順位"。]
[残滓より犯人かの判別が可能という言葉を理解/保存。]
オネイロス――ヒュノプス―― 神。
壊し…… ⇔ …… 手に入れる。
オネイロス/その力を持つ者が、ヒュプノス/それを利用した?
――…… 元に戻る為に、オネイロスを。
[囁くような小さな声に、それを重要度の高いもの/隠す必要のあるものと判断する。]
[このデータにプロテクト/暗号化/専門外であれども。]
――Mundane/南部・繁華街――
先ほどに関して言えば私は、MAPへ表示されている光点のひとつを無作為に選択したに過ぎません。
[静謐な都市でも、街頭広告、その中でも常時内容が更新されないタイプのものは動き続けている。]
メイは何故コンダクターを心配するのですか。
ふっ…笑わせてくれる!!
[一喝するように吼える。]
君は、まだ私に腹の底を見せていないな?
君では話にならん。「君」の方がまだ話がわかりそうだ。
大人しく出てこないなら引きずり出してやる。
[双子ではなく、男に向けて一直線。]
[老人の突如の変貌に、俺はぽかんと口を開けていた。
ちょ、なにが起こったんだ!? この爺様はなにを見ている――?]
あるえー
ちょっとたんまたんま、なにすんのよゥ。
[白兵戦のスキルなんて持っていやしない。あわあわと狼狽えている間に、老人の顔が目の前にあった。]
「あっ――」
「――ずるいです」
[双子が文句を言う。それどころじゃないだろう、この状況ってものはさ――]
どうして心配するかって言うと、どうしてだろ?
見知った人が、誰かに狙われてるなら、それはやっぱり心配だよ。
バックアップはあるんだろうし、何かあったとしても、今は無理でもまたここが元に戻れば、トビーは元に戻るんだろうけど。
ああ、でも、待って?
[立ち止まり、考え込む]
今、ここって孤立してるのよね。多分、だけど。普通バックアップって常時とるものでしょ?
常時でなくても一定期間ごとに。
今孤立してるここで動いてる人の、バックアップって今取られてるのかな。
おじいちゃんくらいなら自分で取ってそうだけど。
[顔を上げてのろのろと滑り出した]
ローズマリー
先ほど、消えた――
[すぐ前の記録を反復する。]
――破壊。残滓。
[答えのわかる問い/誰がしたかは問わない。]
犯人ではない。
[幾度かの反復の後に、ノイズを除去する。]
「―ネイ―ス― 扱 ハ ナカッ 」
――残念な、事です……
バックアップが取られて無いなら、消えた光点みたいに、ここでやられちゃった人たちは、あたしのことは忘れてしまうんだ。
[寂しそうにぽつりと]
それはそれでちょっと寂しいなぁ。うん。
ならなおさら、心配する気持ちは強くなると思う。
[気を取り直したように明るく振舞って、地図を確かめる]
そろそろこの点の近くに来たつもりだけど。ごちゃごちゃしてて良くわかんない。
[辺りを見回した]
― 理想郷<Utopia> / Closed:Morgan's Space ─
ぴょーっ!!!
[叫びが谺する。槍は深々と俺の体を刺し貫いていた。]
ぅうぅぅうぅ――
[その声は、回転数の落ちたレコードのように、澱んだ唸りへと変じてゆく。]
忘れられたくないのですね?
[優しげな風情の音声。
その後に、やはり平板な音声。]
再生<リロード>によって現在活動中のすべての存在から
事件に関する記録が失われた場合、事件の存在自体を抹消することも可能でしょう。
[メイにならって辺りを見回した。
人で言うところの視界とステラのMAPは連動している。光点が存在/示す位置で首を止め、
メイに先んじて一軒の店舗の入り口へ。
"Brute Force"と掲げられている。]
私の槍は「優しい」…。叩き折るは、貴様の心よ。
君は次第に減衰していき、最後には活動をやめる。
[男に向かって、さらに槍を突き出す。]
Brahmaは「誕生」を齎す……。
その体たらくで、我が槍を避けられるか?
―現世/中央部・外―
オネイロスを扱う人。
破壊したのならば、対/ヒュプノスを使うことが可能に?
―― 見つけたならば ……
[右の手首を握った。]
[違うかそうか、判断する術はないが。]
―――― 破壊。
[音階を取らない音を*作った*]
忘れられるのは、あんまりいい気分じゃ、ない。
[双眸が翳ったのは一瞬。すぐに元の明るさを取り戻し]
だよねー。この件そのものをなくしてしまえる存在って、やっぱり一個人じゃ無理そうな気がしてくるんだけど。
あっ――。
[ステラの行動を一瞬見失い、探すと、一軒の店先にその姿]
あ、そこか。
[地図を拡大すれば、確かにそこに光点があり。ステラの後を追って"Brute Force"の中へと]
― 理想郷<Utopia> / Closed:Morgan's Space ─
[新たな槍の一突きが深々と男の肉体に食いこんでゆく。]
うぅぅぅ…ぅ……がぁぁぁぁ……ぁぁぁ…ァ……
[再び喉の奥から迸り出た叫びは長く長く尾を引いた。
老人の変貌に一瞬だけ驚きを見せたはずの双子は、主を襲った異変になぜか動じる気配もない。二人から背を向けたまま、文字通りマネキンのように佇むばかりだった。]
私はメガロポリス。君のような者が、
いいように利用していい代物ではない。
[「誕生」の槍で突いた男を睨み据え、
戦闘の構えを解き、厳しく。]
男も「妊娠」する体験をしてもよかろう。
それは、私に生半可な気持ちで近づいたツケと思え。
仕上げだ。何が生まれるかのう。
[最後に男に突き出すのは、「繁栄」の槍。
すべてのパフォーマンスは暴走するほど向上。
「誕生」までの時間までも。]
― 理想郷<Utopia> / Closed:Morgan's Space ─
あぁあぁああああ――
[のけぞりながら、“男”は繁栄の槍を受け入れた。
半開きになった口から喘ぐように息が漏れる。
その顔はみるみるうちに、少女のものへと変じてゆく。]
くく……くふ……
くくくくく……くく……
[どこからか、笑い声が漏れた。]
ご老体――老いたりといえど、意気盛んなのは素晴らしい。
その猛き巨鉾のように――。
[ゆっくりとマノンが振り返る。その顔にはいつしか鼻眼鏡が張りついている。]
ファンタァースティック!!
[両手をいっぱいに広げる。虚空から浮かび上がったインバネスが闇の中大きく膨らんではためいた。]
貴方は人を驚かせるのが好きな方だ……
なにが起こるのかと、本当に驚いたよォゥ――
―― South/Webcafe"BruteForce"
(南部/電脳喫茶) ――
[受付では、女性型の――ものが倒れていた。
BGMが静かに流れている。
入り口付近に備えてあったドリンクサーバーへ干渉すると、orangeの液体が流れた。]
メイ。
忘れられるということは、
つながりを失うということですね。
なるほど……これは一杯食わされたな。
[槍を握り直し、再び体勢を低く。]
やっと「君」のお出ましか。
やはり、私の睨んだ通り「君」には、
見せていない底があったようだな。
今度は「君」の番だ。私に終焉を。
― 理想郷<Utopia> / Closed:Morgan's Space ─
貴方の矛先が選んだのは、“マノン”だったようだねェい――
[老人の足元に、銀髪の少女が崩れ落ちる。
深々と貫かれた少女は、息も絶え絶えにその場にしどけなく身を横たえた。だらしなく投げ出された内腿がかすかに痙攣している。
ミラーリング修復機能を備えた身代わり防壁――Biscuit。
だが老人の槍は、破壊ではなく期待していた効果をもたらしてくれそうだと男はほくそ笑んだ。]
― 理想郷<Utopia> / Closed:Morgan's Space ─
ご老体――。
私は貴方に聞きたいことがあるのだよゥ。
私に終焉をもたらす力などないね――。
せいぜいできるのは――死に水をとるくらいのこと……。
貴方の役割は、メガロポリスを護ることだと――。
それはどういうことなのだァい?
そして、不可侵領域――
貴方は本当にそこを守護している?
そこになにが――
なにがあるのだぁあぁああぁい!?
くっくっく………気に入った。
君の心を折るつもりが、別の女子を孕ませるとは。
孕ませた以上、「認知」しないとな。責任とらないとな。
[戦闘体勢を解除]
何かね?
それを知ってどうする。調子に乗るでない。
[ぴしゃりと。]
知ったら開きたくなるのが、罪深き人間の性。
だが、開けたところでアレをどうするつもりだ?
君ですら、矮小なる一市民よ。持て余すぞ。
君にはじゃじゃ馬は乗りこなせん。諦めたまえ。
知りたいのだよゥ。
ピカピカのキラキラが絶えることなく沸きだしてるってェ噂が本当のものなのならば――汲んでみたいじゃないか。
味わいたいじゃァないか。
世界の果てしない渇きは、すべてを呑み干さずにはいられやしない――。
[両手を広げ、祈るような仕草。その姿は既に、すっかり“座長”のものへと変じていた。]
アレは、見様によっては「薬」……。
しかし、また別の見様では「毒」。
そのような代物なのだ。
[陶酔する男を、怒りに満ちた目で睨む。]
私には断言できる。貴様がアレを開けるならば、
必ずやその「毒」の中で溺れるだろう。
貴様1人破滅するなら、勝手に滅びよ。
だが、巻き込むッ!すべてを巻き込んでしまうッ!!
貴様が如き小物、アレに触れようなど片腹痛いわッ
Fifth Element――quinta essentia。
――足りない。人々の欲望を満たすだけのエレメントを集めるにはとてもとても足りやしない!
quintessence-真髄-…… SSSが“それ”で満たされているのならば、解放されるべきだ――。
私が矮小なる存在だとしても――世界の欲望は“それ”を求めている!
この身がそのための贄とならずにはいられないならば、受け入れようじゃァないか――
[ワハハハ――と男は哄笑した。]
ご老体――
貴方は知っているのだね?
――そこになにがあるのかを。
[男の目がギョロリと輝く。]
知っているのだね?
知ってェえぇえいるのだぁあァね?
しってぇえぇえェ――ぁあ――いるのだぁああぁあァね!!?
危険だ。貴様は、不可侵領域保護にとって
非常に危険な存在であると認識したッ!!
[槍を水平に低く構える。]
何人たりとも、アレに触れることは許さんッ!!
[改めて男へ向かって一直線]
―現世/中央部・外のベンチ―
【03ドリス/黒・09モーガン/老人――この事象を起こしたと考え難い。】
[ホログラムの二人の光点に、名を表示させる。]
[攻撃の不許可を命令として与える。]
― 理想郷<Utopia> / Closed:Morgan's Space ─
ふゥはははは――!
[哄笑に体を波打たせながらも、老人の矛先から身を遠ざける。
明滅した姿は倒れたマノンの傍らに現れ、その身を抱き上げた。]
今日のところはおいとまするとしよゥ。
身重の娘を抱えているのでね?
くっ……。
[ひらりと飛び上がって一回転。男の方へ向き直る。]
忘れるな。世界がアレを解き明かすことを
目的としているなら、その欲望のために
身を滅ぼす可能性を忘れるなッ!!
[ひどく感情的に叫ぶ。]
―― South/Webcafe"BruteForce" (南部/電脳喫茶) ――
"黒(Kali)"――【03】。
現実世界(マンデイン)に干渉した最近のログは――周辺部、だな。
[“地図”の表示を現実/電脳で重ね合わせ。
だが彼女――そう呼ぶならばだが――の現在の光点(ポイント)は正確な位置を掴めない。電脳上で無数に存在する結節(ノード)と結節の狭間に紛れこんでいるようだった]
ち。“ゼノンの逆理”か。手の込んだ消跡(ステルス)しやがる。
だが、それだとしても。こっちにだって打つ手は――ある。
─ 現世<Mundane> / 南部学術区域 電脳街 ─
[オードリーの気配が消えるのを待ち]
現象としての死が正しくとも、死の理由が理不尽であることは許せない。
……嫌いだわ、あの人。
[溜息][ちらりと地図を確認]
レベッカさんがまだ居られるのね。
落ち着いたら連絡するって言ってたのに、わたし嘘吐きになっちゃうわ。
[気を取り直したようにセシリアへ向き直り]
セシリアさん。
わたし、中央部に行きますね。
セシリアさんも中央部へ行かれるなら、途中までご一緒になるのかしら?
[にこりと微笑み、身を翻した]
―― 南部/Webcafe"BruteForce"――
[店内へと入る。変わらず人が倒れていて]
繋がりが絶たれるのは、ま、辛いよね。
例えばさ。
あたしが死んだ時、あたしのことを覚えてる人がどれだけいるんだろうって思うよ。
下なら、覚えててくれるかなぁ。
あー。喉渇いてたんだ。
[ドリンクサーバーに近寄ると、コップを手にとって、ボタンを押す。濃い茶色の液体――coffee――が流れ出る]
【第一の目標/この事態の収集/主を元へ戻す。】
[地図から手を離す。]
【目標の為に、オネイロスを――破壊する。】
[出来るのか、ではない。]
[やる。]
[レベッカの中でそれを結論付ける。]
【――疑わしい者/01,11】
[地図の番号を頭にいれて。]
[それ以外を、今はその仕分けから弾く。]
― 理想郷<Utopia> / Closed:Morgan's Space ─
だが、私を追い払ったところで、必ず別の誰かがやってくる。
そう、そこに世界の求めるものが眠っているならば――
[男の姿は双子と共に薄れてゆく。]
緩慢な死よりも――炎の中に……
[欲望の果てについてそのように形容したものか。返答するかのように言葉だけを残し、やがてその姿はかき消えた。]
―― 現実世界/北部 ... 航空局 ――
[オードリーは電算室に居た ... ]
フフフ、このまま、どこかへ逃避行っていうのも良いわね。
Fly me to the moon
Let me play amoung the stars ...
[シミュレータを起動すると、作業に没頭し始めた。旧時代のオールディーズを口ずさみながら。]
[コーヒーを一口運んで]
バックアップって言うのは、記憶の情報化ってことでしょ。
あたしは、誰かに頭の中見られるのやだし。
弄られでもしたらもっとやだし。
憶えておきたくないことを忘れてしまえるなら、それはそれでいいんだろうけど、あたしはそれだってやだし。
でも、誰かに憶えてて欲しいと思う。
誰かの中に、あたしって存在が残ってるなら、あたしは自分が不死である事を望まない。
それが絶たれるのは、ちょっとやだな。
―現世/中央部・道端のベンチ―
[地図上の光を、補足/名の確認。]
[レベッカは手首を握る。]
【―― "主"を守るためには、ヒュプノスを。】
ま、これはあたしの考えだから。
実際に不死で楽しんでる人をどうこう言う気はないんだけど。
[地図を最大まで拡大し、点の位置を探る]
こっち、かな。かな。
[コーヒーを手に持ったまま、奥へと進んでいく]
―― South/Webcafe"BruteForce" ――
[手首のデータ端子を接続し、"Blue Water"を起動。
ホロ投影装置に青く透明な結晶が浮かび上がる。少しの間を置き、帰還した探査モジュール群からの結果報告が受領された]
探査結果の戻りは――ち。ようやく2、か。
しかもどっちも潔白(シロ)とはね。だが、まあいい。
[前面のディスプレイには2つのID。
――【02/Kot pereulka sharlakha】 "negative"
――【06/Death Maiden】 "negative"]
[00から15まで存在する探査モジュール全てに同一対象を設定――【ID:03/"黒(Kali)"】.]
【コイツを避わしきれるっていうんなら、やってみるがいいさ】
[心の中で小さく呟き、実行命令を下す。
水晶柱が16の破片(シャード)に砕け散り、電脳の海へ消えた]
―― 現実世界<Mundane>/上空 ――
[フェニックスに跨り、地上の楽園を見下ろす]
[老人は己がメガロポリスだと言っていた]
人間ハ永遠をヲ望ミ、都市ハ終焉ヲ望ムカ。
マアイイ、重要ナノハ地上デハナイ。
早ク、理想郷(Utopia)ヘノ侵食ヲ止メナクテハ。
[髑髏の光点を見つめる/ヴィンセントはモーガンと共に]
フゥン、ドウ動ク―――メガロポリス。
[幾度も置いた身は、右の手の刃/今は隠れた其れをすぐに出せる状況に。]
―― それとも、あなたが、
この状況を引き起こしましたか?
[情報を記録/集音の精度を上げる。]
―― South/Webcafe"BruteForce" ――
["Blue Water"から放たれた探査モジュールの行動ログが高速でスクロールしていた。すぐには結果は出ないと見、小さく伸びをする]
んっ……と。ちょっと疲れたな。"Celia"、少し離れるからその間はログ監視よろしく頼むぜ。
『――了解ですよ。マスターはどこへ?』
生理的欲求、てヤツだよ。察しろ。
≪そうですか≫
≪わたしは、わたしのしたいことをしようと思います≫
≪それじゃあ──≫
[通信を終了する][巨大な都市銀行のビルの下]
[濃い金髪と、緑の髪]
レベッカさん!師匠!
―― 現実世界/北部 ... 航空局 ――
[オードリーは、旅客機の自動操縦プログラムを走らせていた。]
チッ、ややこしい。だから嫌いなのよ ...
[指定の軌道だと "電波塔" へ飛行機が突っ込むとアラートが鳴り、自動的にロッキングしようとするのを瞬間的にアンロックしてゆく ...]
冗長性ねえ ...
フフフ、笑わせるわ。でも、これで ...
[イグニッションのランプが点り、空の帝王と呼ばれた BA-747-380 が空を舞った。]
さよなら、お爺さん。物知りらしいけど、秘密は墓まで持っていってね。それじゃ、ね。
[静かな笑み]
『――あのー、マスター。それはいいんですが……』
[スピーカから少女の声が続く。
男が振り返ろうとしたのと、ノックの音とは同時]
なん――
『――すぐ、近くに。誰か、いらっしゃってますよ。【ID:10/A girl】』
――だっ、て?
[冗談かと思うほど一般的な単語。鼻につくほど完璧な発音で。不意に、AIは来客を告げた]
コットお嬢様
[警戒レベルは上。]
[彼女がもしも――彼女の師匠に加勢したら、分が悪い。]
[指揮者の言葉を集音。]
――あなたの護りたいもの、護り得たいもの。
それが何かは存じませんが
その方法、とは?
[ガシャ[ギィィ]ン]
[ガーゴイルの警戒の声/髑髏へ向けていた黒目を上げる]
[電波塔へ向かう飛行機]
―――ホゥ。
[瞬時に電脳世界<Utopia>の海へ潜る/電波を探る]
―― South/Webcafe"BruteForce" ――
……ったぁ、あのなぁ。そういう重要な事は前もって――まあいい、出るよ。はいはい、まだ時間には―じゃねえや。
【生存者、というべきなのかな。これは。
"A girl"? 匿名そのもの、か。まぁ俺だって似たような綽名(ハンドル)だが――】
誰だい、こんな所までわざわざ足を運んでくれる奇特なお方ってのは?
[何かのぶつかる音]
?
[疑問符を浮かべ、もう一度ノックする]
もしもーし?
[返事を聞くと、暫し考えて]
こんなとこってゆーか。
動いてる人が少数なら、遠くても行くのが心情じゃないかな?
── 現実世界<Mundane>/中央部 ──
[駆け出して行く少女の背中。
バックアップを持たぬ事を──自然のことのように、頷いた少女の背中。]
──待ってッ
Kotさ…──
[躊躇ののち──、セシリアは電波塔ではなく、銀行へ向かう。]
(だけど、やっぱり……)
[未だ、迷う]
[立ち居地は、両者の間。一歩を引き]
[いつもの悪ふざけであって欲しいと願いつつ]
[けれど]
―現実世界/中央部電波塔―
ドコォォォォォォォォォン!!!!!!!!
[轟音を上げて、空の帝王が電波塔に衝突する。]
ガラガラ…ガララッ………。
[情報を司る労働者の夢。
緊張の余り手すら繋げず、帰宅したのち
涙を流した初デートの思い出。
顔も覚えていない父親に手を引かれ、
子供心に楽しんだ遠い日の記憶。
中でまだ昏倒している働くおじさんたち。
すべてが灰燼へ。]
……や。や、あ?
[とりあえずの声を掛け、挨拶のつもりだと片手を上げて示す。その間にどうにか混乱から立ち直ろうと試み、視線をあちこちにさまよわせた]
≪よくも。よくも私を白日のもとに晒したな。≫
[電気信号。
崩れゆく電波塔。否、その中心部。
軸のように天を貫く「柱」だけが、
宇宙樹のように聳え残る。]
[レベッカを振り返り、申し訳なさそうに笑う]
レベッカさん。
うちの師匠がご迷惑をおかけします。
ごめんなさい。あの……。
逃げてくれますか。
師匠、さりげにものすごく強いんで、集団戦に持ち込んでようやく止められるかってとこだと思うんです。
[ドアが開けられて、現れた男を見]
【あっれー? なんか。下で見た気がする。似た人? ま、いっか】
奇特かどうかはわからないけど。
この時代なら変わってるほうだと認識はしてる。
この状況について、情報が欲しいと思ってる一人、だよ。
だから、動けてる人を探してるの。
[警戒Lv.の引き上げ。]
[瞬時に手首より手のひら側に長く伸びる"光の剣"を展開。]
――オネイロス?
[Kotの展開するNOEを目に。]
破壊など、
――受け付けるわけにはいかない。
[光の剣を握り締め、"指揮者"を見据える。]
自動操縦ナラ建造物ヲ目標トハシナイ。
ナラバ、誰ガ軌道ヲ変エタ?
[電波が送られた元―――北部/航空局上空にホログラムが出現]
[娘の返事を聞いて、無精髭の伸びる頬から顎を撫でる]
そうかね。
こんな都市に住んでる連中なら、たとえ周りが死に絶えたって、自分に関わりがなきゃ1ミリだって動きもしないと俺ァ思うがね。
ま、そいつはどうでもいい見解の相違かもだが。
んー、と。しかし。そうすると――
[言の穂を継ごうとして適当な言葉を探す]
―― 現実世界/北部 ... 航空局 ――
[航空機が電波塔に突っ込んだのを見届けて]
やった、かしら?
[消えない嫌な感覚]
―― 現実世界/北部 ... 航空局 ――
[電波塔の残骸に残った柱を見つけて]
>>
あなたもしぶとい人ねえ。
死にたいんじゃなかったの?
<<
[次の機体を飛ばす準備始める ... ]
[巨大なBA-747-380がメガロポリスの上空を飛ぶ。
影が地上に落ちた刹那、
地を揺るがすような轟音を立て──電波塔が──、]
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