情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 8日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
この村にも恐るべき“人狼”の噂が流れてきた。ひそかに人間と入れ替わり、夜になると人間を襲うという魔物。不安に駆られた村人たちは、集会所へと集まるのだった……。
1人目、悪戯好き イリス がやってきました。
2人目、流れ者 ギルバート がやってきました。
−1999年 1月某日 夜・教会−
またこの夢か。そう誰にも聞こえないことを理解しながらも独り吐き捨てた。
空が、赤い。地は延々と浅黒く広がっている。
視界を邪魔するような建造物はほとんど存在しない。自然の息吹など感じるわけが無い。
だが、それでも生きている者がいる。その何と醜いことか。
この夢の主人公然り、その仲間然り。
人の形をしている者もいれば、まさに化け物のような格好をしている者もいる。
・・・・・・ いや、中には天使のような形状を保っている者もいる。全てを化け物と言いくるめるのは失礼だ。
俺はこれについてだけは心の中で訂正した。
そして今日の夢もまた同じだった。
右手の中に納まっている赤い球根が、何かを貪る。
自分の体を蝕んでいるわけでも、ましてや口が存在し食すわけでもない。
ただ、その鼓動のたびに視界内の大地が”削られていく”。
そして、赤い球根は剣になった。恐ろしく強大で、かつ全てを切り裂く刃。残されたのは剣が食した結果の大断層。
そして、振り下ろす先はただ一つ。
眼前に広がる、さらに巨大な黒い十字架。
それが何か俺は知っている。人間で言うところの”神”みたいなものだ。歯向かう方がどうかしている。
だが戦わなければ死ぬだけなのも知っている。その巨大な神は、俺達・・・・・・いや、この夢の主人公達を滅ぼすためだけに大地に降り立ったのだから。
そう、この夢は始まった時点で”悪夢”なのだ。敗北こそが必然であり、よしんば奇跡が起きてこの神を断ったとして、それが幸運な結末とは思えない。世界に否定された命に価値など微塵も存在しない。少なくとも今この夢を見ている俺はそう考えるだろう。
そしていつも通りなら、このあと間もなく夢は終わる。早く開放されたいものだ。
ああ、分かってるって。お前はまたこう言う。
『何故神に存在を否定されなければならないんだ』
と。
何かを破壊する事だけに特化した存在として生まれ、神を殺すためだけに隔離され、そして開放されたらこれだ。
もしお前が俺なら、きっと気が狂っている事だろう。
そしてまた、俺に問いただすんだろ。
『誰のせいか』
って。
ああ、ようやく夢が終わる。いつもここで、意識が遠のくからな。
じゃあな、悲劇の神殺し。
・・・・・・ どうせ、起きたら忘れる夢だ。いつも。いつも。
−1999年 1月某日 夜・教会の寝室−
[少しずつ覚醒していく意識の中で、彼は自分の名前が沖田敬一郎である、という事をようやく思い出した。いや、既に名前という概念自体を忘れていたのかもしれない。同時に先ほどまでの悪夢は記憶から遠のいていく]
・・・・・・ 。
[完全に覚めた意識で体を起こす。うっすらと汗をかいている事を確認し、いつもの悪夢らしき何かを見ていたのだろう、と推測した。
寝室には窓から日の光が差し込んでいた]
[今日はいつもと一つだけ違っていた。
長年監視を続けていた”聖杯”の準備が完了する予定の日。
だが、予定の日、という表現は正しくない。
本来ならば前回の聖杯の発動から10年足らずで、というのは予想外なのだ。それが発覚してからは順調だったというだけの事。
そして、彼は待つ。今回の聖杯戦争の参加者を]
だけど、何でだ・・・・・・
[既に一人目は到着していた。
沖田敬一郎の胸元には、数日前から3画で描かれた”痣”が現れていた。
彼は、その痣を他の誰かに見られることも無いままそっと衣服で隠した]
3人目、新米記者 ソフィー がやってきました。
−樹那町・住宅街・自宅−
[身を起こすと、時計がなっているのを止めて、サイドテーブルの上に置かれた手紙をちらり、と視界に入れる。
「流 空穂様」
宛名の書かれた封書。それは祖父から一ヶ月ほど前に届いた手紙だった]
聖杯、戦争……か。
[ぽつりと。その表情は無。
祖父の葬儀で帰ってきてから一週間ほど。
着替えて身なりを整えてから位牌の置いてある部屋に向かった。
飾られた写真は三枚。両親の映った一枚と、少し古ぼけた祖母の一枚、そして真新しい祖父の写真。
黙祷を捧げた後、「その場所」に続く階段へと*向かった*]
[見慣れた薄暗い部屋。壁の書棚にはびっしりと魔法や魔術に関する本が並んでいる。
そこは自分にとって勉強部屋だった。
そして祖父にとってはアトリエであり、単なる倉庫であり、孫を躾るための場所でもあった。
奥の机に置かれた勉強道具は幼い頃のもので、「ながれ・ソフィー・うつほ」と仮名が書かれている。その上には別人の筆跡による漢字。祖父の字だ。
懐かしくそれに被った埃を払い、一冊のノートを開くと、そこに書かれた幼い字を目に留め]
そんなこともあったな。
[呟く]
それだけ覚えが悪かったと言うことか。
[何の感慨も含まず。
振り返り、床に描かれた魔法陣を眺めた]
まだ、魔力が足りない、か。
さすがに英霊を呼ぶのは一筋縄ではいかないってこと。
単なる使い魔なら簡単なのに。
[一瞬だけ、一週間前までの学校生活を思い出し]
お爺さま、不甲斐ない孫ではあなたの残した触媒からは呼び出せないようですよ。
[自嘲を含んだ響き。
そして目を閉じて魔法陣の中へと進み、腰を下ろした]
もう一度、試してみるか。
[魔力回路を開き、呼び出すための魔力を蓄える為、*瞑想を始めた*]
4人目、のんだくれ ケネス がやってきました。
−樹那町・神社前−
……日本か……一番訪れたくない国だったんだがな。
[ケネスは、小高い丘の上にある神社へとつながる石段を登りながら、そうつぶやいた。
振り返ると眼下に広がる町の風景が目に映る。
今のケネス自身にこの町の記憶は無い。だが、心の奥底からこみ上げてくる、懐かしさにも似た感情を自覚せざるを得なかった。
自分の心が過去の自分に侵されているような不快感。
気がつくと、手の中にあるマルボロの箱を握りつぶしていた。]
あーあ、買ったばかりだってのに……
[中の煙草を見ると幸いにも折れてはいないが、かなり曲がってしまっているようだ。
小さな溜息をひとつもらした後、曲がった煙草をくわえて火をつける。]
頼むからもう少し、引っ込んでいてくれよ……
近いうちに綺麗さっぱり消し去ってやるからさ。
[ケネスはそう言うと、再び石段を*登り始めた。*]
5人目、踊り子 キャロル がやってきました。
[新条美貴は鼻歌を歌いながら召喚の術式を描いている。]
フッフーンフンフーーーン♪
せいっはいっせんっそー♪
……よし、後は魔力を流すだけね。
素敵な王子様が当たりますようにっ!!!
[術式の描かれた床に右手を添えて魔術回路をアクティブにすると、全身に廻る回路に魔力が流れ、右手に集約される。
――と、その時。]
くしゅん!……あ、術式に鼻水が。
ま、いっか。
[スンと鼻をすすって、さらに右手に意識を集中させた。]
素敵な王子様が当たりますように!素敵な王子様が当たりますように!素敵な王子様が当たりますように!素敵な王子様が当たりますように!素敵な王子様が当たりますように!素敵な王子様が当たりますように!素敵な王子様が当たりますように!素敵な王子様が当たりますように!素敵な王子様が当たりますように!素敵な王子様が当たりますように!素敵な王子様が当たりますように!素敵な王子様が当たりますように!素敵な王子様が当たりますように!素敵な王子様が当たりますように!素敵な王子様が当たりますように!素敵なオジサマにもちょっと惹かれるけど!素敵な王子様が当たりますように!素敵な王子様が当たりますように!素敵な王子様が当たりますように!素敵な王子様が当たりますように!素敵な王子様が当たりますように!
[ブツブツと呟きながら、あらん限りの魔力を流し込んでいる。]
6人目、酒場の看板娘 ローズマリー がやってきました。
−樹那町・住宅街−
ありがとうございました。
[白い外壁に緑の屋根、
ホウキとトンガリ帽子の描かれた看板がかかる
ハーブ専門の喫茶店『魔女の館』、
店主である香野露葉はその日最後の客を見送った。
そして、人通りがなくなったのを確認する。]
……妨げになる人が近づかないように。
[祈りながら店の前に香草を撒く。
店の前を通った人がそこに店があることを認識しにくくなる幻覚作用を招く香りがあたりに漂ったのを確認し、ドアを閉める。]
[店を片付けると自宅となっている2階に上がり、
樫の杖を持ち、裏庭にある小さな温室へと向かう。
温室の中は季節を無視して様々なハーブが葉を茂らせている。
その中央に黒ずんだ大鍋が置かれていた。]
タイム、セージ、マロウ……。
[鍋を火にかけ、ハーブの名を呼びながら加えていく。
ゆっくりと樫の杖でかき混ぜられる鍋の中身は
濁った紫色となり、粘質な泡が浮かんでははじけていた。]
……うまく呼び出せるといいのだけど。
[真剣な表情で最後にローズマリーを一掴み鍋に投げ込み、
目を閉じ、魔力を集中させる。
鍋の中から煙が溢れ、温室中に立ち込めた]
[一番古い記憶。それは黒い顔だった。
それまで何がおきたのか、覚えてはいない。けれど、その顔だけは鮮明に残っている]
そろそろ、かな。
[目を開く。瞑想していた間の記憶はない。ただ、時間が過ぎただけ]
[立ち上がり、右手の指先を小さくナイフで傷つける。流れる紅を魔方陣へと垂らし]
[聖杯戦争は知っていた。以前同じ町であった、ということも。
次がいつになるのかわからなかったが、祖父から何度も言い聞かせられた。
その際使う触媒の事も]
私にどれだけの力があるのか、わからないけど。
[その触媒が、自分に適さないことはわかっていた]
ま、なんとでもなる。
[魔方陣から光が漏れ出す。魔力を注ぎ込んだおかげか、それは開きつつあった。
陣に落ちた赤は、ラインをなぞるように流れ]
[目を閉じ]
[静かに言葉をつむぐ]
Une âme, j'assume mon pouvoir magique une fondation du pouvoir et j'emprunte un pouvoir magique de Graal et s'il vous plaît parais à cette place.
Et je vous donnerai de petits sabbath et des bagarres.
[胸元にかかったペンダントがわずかに力を帯びる。
紅は流れ続け、やがてラインをすべて染め上げて]
[より一層強くなった光が、薄暗い部屋の中を照らす。
どれほどの魔力がそこにあるのか]
Venez.
[やがてまばゆいほどの光とともに、姿を現したのは――]
7人目、村長の娘 シャーロット がやってきました。
[強い光が刹那魔方陣の中央に集結し、やがて小柄な人の姿を形どった。白い帽子に白いショール、白いワンピースを纏った、真っ白な肌の華奢な女性は、目の前のソフィーを真っ直ぐに見つめ、ゆっくりと小さな唇の端を上げ目を細めた。]
......Bonne nuit mademoisellle
ごきげんよう。貴女が私を召喚したのですね?
[姿を確認してから流れる紅をとめて、目の前の女性を見つめた]
そのようですが、どうやら、私の希望した英霊ではないのですね。
失礼ですが、名前を伺ってもよろしいですか?
[一旦息を切り、目の前の女性へ会釈とともに名前を告げる]
私が貴女のマスターで、流・ソフィー・空穂、と申します。
私のことは何とでも。
[あげた顔には微笑]
8人目、隠者 モーガン がやってきました。
[新条美貴がなにやら必死で念じている中、魔方陣が静かに輝きだす。
その輝きは魔力の奔流となり、まるで海流のようにうねり始めた。
魔力で出来た渦が廻り奔り荒れ狂う。
あまりにも大きすぎるその魔力の渦は、周りの物全てを破壊する程の勢いと思われたが…
突然、前触れもなくその魔力の奔流は静かに流れを止めた。
その中心に姿を現すは厳格なる老人。
静かに眼を瞑っていたその老人は、ゆっくりと眼を開くと目の前にいる新条美貴をじっと見つめる。
そして口を開き…]
結婚を前提に付き合ってください!
[突然手をとってそんな事を口走り始めた。]
[突然目の前に現れた老人の顔、そして握られた手を交互に見る。
老人の言葉の意味、老人が現れた意味、様々な思惑が交錯していたが、やがて一つの思考に纏まった。]
……ごめんなさい、チェンジで。
[美貴はぺこりと頭を下げた。]
[空穂の言葉に、ほんの一瞬瞳に失望の色を浮かべたが、すぐに凛とした真っ直ぐな視線に戻り、小さな唇を開いた。]
……シャルロット
シャルロット・コルデ。
この国で私の事を、知る人は少ないですけれど。
[聖杯から貰った知識等を駆使し、新条美貴が言った言葉の意味を理解すると老人は崩れて膝をついた]
うぉぉぉ!現界して速攻振られたぁぁぁ!
やはりこの見た目じゃ愛や恋とは無縁なのか、非道すぎる!
[頭を抱え叫び続ける老人、その様子ははっきり言って滑稽であった。]
[微笑、何度も教えられた仕草。うれしいときに人は笑うのだと初めに教わった。
人に対するときにも笑顔で接するように、と祖父は言っていた。
なぜ笑うのかはわからない。
見る人が見れば、その笑顔が偽物だということはわかるのだろう。
笑い方はいつしか覚えたけれど、それでも今もなお、なぜ人は笑うのか、なぜ嬉しいと思うのか、わからなかった。
そして、わからないことすら、どうでもいいような事に思えた]
そう、シャルロット……。
[記憶を巡らす。どこかで見た名前だと思ったが、彼女の表情にああ、と気づき]
気に障ったのならごめんなさい。
私の希望した英霊、というのも、私自身はおそらく呼べないだろう、とは思ってましたし、あの世で祖父ががっかりするだけですから。
貴女が現れて私がどう、ということはありません。
貴女が何であれ、私の力になってくださることには違いないのですから、感謝しています。
いいえ、気に障った訳ではないですわ。
……マスター。
私はか弱い1人の女性に見えるでしょう。
しかし大いなる神の導きは、どんな存在にであれ、平等に差し伸べられているのです。正しき事を強く願えばなお強く。
[そこまで言うと、静かに魔方陣からソフィーの方へと歩み寄った。]
マスターに今、いかなる望みや苦しみがあるとしても、問題はありません。共に聖杯を、手に入れましょう。
えっと、お爺ちゃん、ご家族は?
住所か電話番号はわかる?
……首に連絡先とか下げてないかしら。
[大仰に騒ぐ老人に話し掛けた。]
[腕に痛みを感じ、左腕を見る、と手首と肘の中間辺りに何かを象ったような痣が見えた]
これが令呪、か。
隠せやすそうな場所でよかった。
[目の前のシャルロットに向き直り、彼女の言葉に頷きかけ]
ああ、そうか。聖杯戦争は聖杯を手に入れるため、でしたね。
聖杯戦争に出るように、が祖父の口癖だったので当然のように思ってたのだけど、願いまでは考えてなかった、ですね。
[望みや苦しみ、そう言われてもそのどちらがあるわけでもなく、内心困ったが、そうとは出さずに同意として笑みを返す]
それじゃ、上へ行きましょうか。
ここに一日いたらさすがにお腹が空いてきました。
食べに出ますけど、町を偵察代わりにでも見て歩きますか?
[老人は声をかけられた事に気付き、ピタリと叫ぶのをやめる。
そして静かに立ち上がると溜息をついた。]
あのな…サーヴァントにそんな物あると思うか?
まぁいいや、いや振られたのはあんまり良くないけど慣れたもんだし。
自分で言ってて悲しくなるけど。
[再び気持ちが沈みかけるのを押しとどめ、自分の前にいる女性に視線を移し…]
んで、魔力の流れからしてアンタが俺のマスターか?
[その容姿に似合わない口調でそう告げた。]
(……願い事を、考えて居なかった?)
[シャルロットは不思議そうな表情を浮かべてソフィーを見つめたが、形作られた笑顔を見て頷き返した]
そうですわね。
マスター、お気づきか判りませんので、教えしておきましょう。
私のクラスは アサシン です。
不必要な魔力を閉じて、並んで歩いている分には、私たちは恐らくありふれた友人同士にしか見えない事でしょう。
……えっ?
[老人の外見にそぐわぬ若々しい口調に面食らった。]
あ、ああ、そう、やっぱりお爺ちゃんがサーヴァントなのね……。
王子様どころか……オジサマどころか……ぶつぶつ。
[ふぅ、と深呼吸をして“魔術師”の顔で返答する。]
新条美貴、それが貴方のマスターの名前よ。
お爺ちゃんは随分お爺ちゃんだけど、大丈夫なの……?
ホントに英霊なの?ご家族は?住所か電話番号はわかる?
[告げられたクラスに、ようやく名前をどこで見たのか思い出したようで]
アサシン、そう、それでシャルロット。
……わかりました。
父が、研究していたらしい書物に貴女の名前があったのを思い出しました。
きっと、父の導きがあったのでしょう。
[先に階段へと向かったシャルロットに続いて、後を追うように地下を出る]
[階段を上がりながら、聖杯にかける願い、を考え始める。
願いたいことは特に思いつかない。そもそも何かに対し心が動く、ということがない。
だから、「事象をそのままに受け入れる」以外のことを知らない。
それは普通のとは違うのだろうということは理解できる。
祖父は幼い私をいろんな病院へと連れて行ったが、どんなにカウンセリングや催眠療法を試しても、結果は同じだった]
願いとは、なんだろう。
[階段を上りきるころ、ぽつりともらした]
はいはい、どうせオジサマどころか"お爺さま"ですよ。
[少し拗ねた口調でそう返す老人。
内心結構傷ついているらしい。]
ほう…この俺に大丈夫ときたか。
言っておくがこの姿は生まれつきだ、
ボケたりはしてないから心配は要らない。
そして力の方を言っているなら…。
[そこまでいった瞬間、老人の体から信じられない程の魔力が噴出す。
現代の魔術師では到底到達できない程の魔力量。
そう、それは正に"魔法使い"の域であった。]
喜べ、いまマスターの前にいるサーヴァントこそ不滅の賢者…過去において最強の"魔法使い"だ。
[そういって、その老人はニヤリと笑った。]
......C'est vrai?
……私を、ご存知なんですか。
[名前を知っている、と言われ足を止めて目を見開く。
そして、頬を上気させてくすり、と笑った。]
それならば、私がどういう史実を作った者なのかを、一々説明する必要はなさそう、ですわね。感謝しますわ、マスター。
町の案内、お願いしてもよろしい?
[そう言いながら振り向いた時、ソフィーの呟きが耳に入りじっとそのまま彼女の顔を見つめた。]
[老人の放つ魔力に圧倒されて後ずさる。]
――――っ!
凄い…………、力……。
……ごめんなさい、侮っていたことを認めるわ。
おいそれとは使えないはずの“魔法使い”、その呼び名に相応しい実力の持ち主なのね。
…………お爺ちゃんなのに。
[老人に頭を下げながら最後の一言はぼそりと呟き、顔を上げて微笑んだ。]
ええ、父は熱心に他国の歴史なんかを調べてたようですから。
私も一通り目は通しましたが、さすがに名前を聞いてすぐ思い出すことは無理だったみたいですね。
――私の記憶回路はどこかおかしいらしいので――
[最後のつぶやきは聞こえずとも構わないのか、口の中で呟く様に]
町の案内、といっても、私も数年離れてましたから、その時と変わってなければいいのですけど。
[そのまま戸締りに向かい]
昔は人がたくさんいたらしいので、家だけは広くて。
町だけじゃなく、この家すら私は良く知らないんです。
あの地下と、奥の私室とリビングだけが、この家の私の居場所だった。
今も、他の部屋に入ってみようという気はあまりしませんけどね。
[窓を閉めて玄関へと向かう。振り返って奥に伸びる長い廊下を見つめた]
−樹那町・神社−
さーてと、始めるかね。
[辺りに誰もいない事を確認すると、ケネスはチョークを使って境内に魔方陣を描き始めた。
この小さな神社には、めったに人が訪れない事は下調べで解っている。]
陣を描ききるには、この灯籠が邪魔になるか……
悪いな、ちょーっとどいててくれや。
[ケネスが石灯籠に触れるとそれは一瞬にして砕け、再び集まりながら形を変えていく。
やがて一つの岩石となってしまった石灯籠は、ケネスの手の動きに従って転がり、草むらの中へ姿を消した。]
[魔方陣を描いた後、チョークを投げ捨てる。]
よーし、出来たな。
一体、誰が出て来てくれるのかな?
なるべく知名度の高い、使える奴を頼むぜ。
[手をこすり合わせながらそう言うと、呪文の詠唱を始め、ほどなくしてそれは完成する。]
やっぱり締めの言葉は必要かね。
今こそ出でよ、我がサーバントよ!……てか?
では、その事も含めて、現在の町のこと、しっかりと調べておいた方がいいかもしれませんわね。
[静かに目を閉じ、深呼吸をした]
……マスター、それほど遠くない場所に魔力を感じますか?
先ほど一瞬、魔力の揺らぎを感じましたわ。
こちらは、当面気配を極力消して動きましょう。
マスター、ひとつだけ、覚えておいて下さい。私の力は非戦闘時が一番有利に働きます。
マスターは、好戦的ですか?
こんちくしょー!!!!!
[最後の言葉を聞くまでウンウンと頷いていた老人だったが、
お爺ちゃん発言を聞くと同時に再び叫び始めた。]
どうせ爺さんだよ!
俺だって好きでこんな姿で生まれたわけじゃねぇぇ!
この姿のおかげでどれだけ今まで苦労したことかっ!
[よっぽど自分の姿が嫌なのか叫びながら暴れ続けている。]
…こうなったら絶対に若返ってやるからな…。
そして女と恋愛をするんだ!
[足元から上る何か。一瞬それが何なのかわからなかったが、シャルロットの声に頷いた]
そのようです、ね。
ただの魔術の行使ではなくて、同じようにどなたかがサーヴァントを呼び出したのかも。
非戦闘時……、アサシンが得意とするのは隠密行動だと聞いています。
そのこととは別に?
私は戦うことに対してそれほど価値を見出してるわけではありません。
もちろん、敵が現れれば戦いますが、自分の分はわかっているつもりですので。
だから好戦的ではない、ということになるのでしょうね。
…………。
[老人の叫びに呆れた。]
お爺ちゃんって、そんなことのために英霊になったの……?
……ぷ、…………ぷぷっ!ちょっと……あんまり……笑わせ……ないで…………ぷぷぷっっ!!
[苦しそうにうずくまって、おなかを抱えている。]
そんなことだとぉぉぉ!
[目の前で笑っている美貴に物凄い勢いで詰め寄る。]
おまっ、あれだぞ?ちょっと考えてみろ!
生まれた時から老人の姿で、そのせいでフラれ続ける人生を。
笑い事で済むかぁぁぁ!
[相手の肩を掴み物凄い勢いで捲くし立てる老人。
その眼は真剣だ。本気と書いてマジと読むほどに。]
だから俺は聖杯に願う!
若返らせて受肉させてくれと!
そこで今度こそ本当の人生を俺は味わうんだ!
それじゃあ、行きましょうか。
他に聖杯戦争に参加する方がどこにいるかわからない以上、私もなるべく回路を閉じておくことにします。
さすがに、貴女ほどは無理ですけどね。
[シャルロットを待って、玄関に鍵をかけ、広がる庭を横目に門へと向かう。人通りはほとんどなく、街灯の灯りと、家々の窓から漏れる明かりだけが灯っている]
ええ、隠密行動はもちろんです。
マスターが好戦的ではない、と聞いて安心しました。
私が当面望むのは、協力者を作る、というものです。
何を行うに於いても、同志と言うのは心強いものです。聖杯戦争のルールに従い、いづれ袂を分かつ事になるとしても、初めから四面楚歌では色々と不利にもなりましょう。
……よろしいかしら。
[確認口調で言いながら、静かにソフィーの後について屋敷を出る。荒れた広い庭が裕福な家であった事を暗黙に伝えてくるようだった。]
静かですわね。
9人目、異国人 マンジロー がやってきました。
[老人の勢いにたじろいだ。]
ぷぷ……え、……あ、……ごめんなさい……。
生まれた時から、……お爺ちゃんなんだ……………。
ぷ、……ぷぷ、……ぷふ、――――ふぅ。
……、それは切実だわね。
笑ったりしてごめんなさい。
そうよね!恋って大切よね!!
今、初めてお爺ちゃんと気持ちが通じた気がするわ!!!
あ、――そういえば、まだお爺ちゃんの名前を聞いてなかったわね。
こんなマスターでよかったら、お爺ちゃんの真名を教えてくれるかしら?
[煙の中何か現れる気配をじっと待っている。]
わたしの呼び声に応えて
……でてきてちょうだい。
【呼べなければ……参加できないのだから……】
[胸の前で手を握り締め、煙の向こうにそう*呼びかけた。*]
[ケネスは煌きと、男の力強い名乗りに驚く。
気がつくと社が瓦解していた。]
うわっ、社が!
……えーと、俺のせいじゃないよね。
柳生宗冬……宗冬?
宗冬って……誰?
[ケネスは思わずそう言葉を漏らす。]
協力者ですか。
確かに、それはそうですね。
私もこの町に他にどんな魔術師がいるのかまでわかりませんから、情報を得る手段としても有効だと思います。
[静かだといわれ、改めて気づいたように回りを見渡した]
祖父が、うるさいのを嫌ったのかもしれません。
魔術の鍛錬には集中力が必要だと言ってましたし。
もう少し駅前まで行けばそれなりの人通りがあるとは思いますけど。
うむ、わかってくれればそれでいいんだ。
[美貴の言葉に満足した老人は、ようやく落ち着いて言葉を返した。]
ああ…そういえば名前を言ってなかったな。
前述の通り、この身は魔法使い。
つまりキャスターのサーヴァントだ。
そして肝心の真名だが…もしかしたらマスターは知らないかもしれないな。
どうもこの国では俺は知名度が低いらしい。
[すこし残念そうな顔をして軽く溜息を吐く。]
名前は…ワイナミョイネンだ。
……話が合いましたね、マスター。嬉しいですわ。
それでは暫しの間、協力し合えそうな魔術師探しも視野に入れましょう。交渉は私に任せて下さい。判断は、マスターがして構いませんわ。
……では。
[シャルロットは気配を遮断すると、己のマスターに並んで*歩き出した*]
[シャルロットと並び、否、先導する形でわずか半歩前を歩く]
多分、駅前まで行けばファミリーレストランとかあるでしょう。
シャルロットは何か食事を必要とするのですか?
聖杯とマスターから魔力を供給する、とは聞いてますけど。
ああそれから、後で教会のほうにも行きましょうか。今回の聖杯戦争に参加することを伝えないと。
[しばらく歩くと、街灯の数が増えて。
商店街がもうすぐだということを*知らせていた*]
誰かか……。
[質問に応え宗冬は走り出す。叫び、飛び上がり、その目前には神木。宗冬は腰の刀を一閃。]
最強の剣士だ。
[次の瞬間、音もなく神木が二つに割れ始める。]
キャスターの、サーヴァント……。
[知識があったとは言え、相手の口から宣言されて、改めて自身が聖杯戦争に参加したのだと自覚する。]
……わいな、みょいねん……?
――――うわ、関西弁で愛の告白されてるみたいで、きゅんきゅんする!
「わ、わいな……みょいねん……。」
いやーん!“みょい”って何よーっっ!!
…予想以上の駄目反応だ。
マスターのその思考がなんなんだよ!
[召喚されて早々この状況で肩の力が抜けそうになる。
でもココで挫けてはいけない、若返った後の輝かしい未来の為に。]
知らないようだから簡単に説明するぞ。
人の身で世界を創造した創造神であり、
全ての水を支配し操る水の王。
原初の詩人であり最大の魔法使い、不滅の賢者。
それがこのワイナミョイネンだ。
詳しいことを知りたかったら勝手にフィンランドの伝承でも調べてくれ。
10人目、文学少女 セシリア がやってきました。
-樹那森林公園南部発掘調査現場-
[少女が一人テントを設営している。
名前は「百鬼久子(なきりひさこ)」身長158cm体重は…本人のいうところの乙女の秘密のためここでは語らない。
薄いピンクのブルゾンの下にタートルネックのスウェット、大きく捲り上げたジーンズパンツにデッキシューズといういでたち。
特に早い動作ではないが手際よく作業をしながら独り呟いている。]
思ったよりこの公園の管理いい加減だったなー。
わざわざ貝殻埋めたりとかしなくてよかったじゃん。
[周囲は南北に50m東西に100m程の長方形に近い形に立ち入り禁止を知らせるロープと柵に囲まれている。
長方形の北側の辺の西よりに区域の中に続く小道が中まで続いており、それに合わせて通用口が作られている。]
[目の前で二つに割れる神木を見ながら、こいつは怒ってるのだろうかと、ケネスは考える。]
……あー、まてまて。これ以上、日本の貴重な文化遺産を傷つけるのはよせ。
俺の名はケネス、お前さんのマスターだ。
宗冬は知らんが、柳生ってのは悪くないぜ。
確か剣術で名高い姓だよな?
すると、お前さんはセイバー?それとも別の何かか?
−教会−
[敬一郎は、静かに参加者の意思表明を待つ。
マスターはサーヴァントを召喚した後、マスターのみがこの教会へ意思表明をするために訪れる必要がある。そしてそれを管理するのが彼の役目だ。
だが、胸元の刻印が疼く。既に唯の管理者ではなくなってしまっている]
・・・・・・ 召喚、か。
[聖杯の近くにいるためか、サーヴァントの出現した気配をうっすらと感じる。1つや2つではない。複数の巨大な魔力の胎動を感じる]
勉強不足でごめんなさい、くすん。
でも、関西弁との関係は教えてくれないのね……。
[“みょい”の意味に悩まされながらも、本来の目的を取り戻す。]
ワイなお爺ちゃん……、えっと、お爺ちゃんって呼ぶわね。
お爺ちゃんはフィンランドの魔法使いさんなのね。
魔法使いという呼称がどういう意味を持つかは、自称してるんだから知ってるわよね。……アタシもさっき目の当たりにしたし。
そんな凄い魔法使いのお爺ちゃんは、何でアタシの術式に応えて召喚されたのかしら……?
アタシの願いは王子様だったのに。
こんなお爺ちゃんなんてアウトオブ眼中だったのに。
[不満はぼそぼそと付け加えた。]
11人目、子爵 ウィリアム がやってきました。
[ ――樹那タイガースマンション。
駅前に建つ、大型マンションの6階。
その一番端の部屋の中で揺 久仁彦(ゆらぎ くにひこ)は佇んでいた。]
ふむ。
まあこれだけあれば大丈夫だろう。
[ 床には、大きな魔方陣。その中央に古今東西世界各国の魔除けやら呪符やら名剣、果ては土産物らしき木彫りの熊などまである始末。それらは全て、久仁彦が大学時代に集めていたものだった。]
多少なりとも、なんらかの英霊に縁のあるものばかりだ。どれかはヒットするだろう。
さあおいで、忠実なる僕のサーヴァント………。
[ にやりと歪な笑みを浮かべ、久仁彦はマジナイのコトバを唱え始めた…。]
さぁ、そんなの俺にわかるわけがないだろ。
[美貴の問いに、あっさりとそう答える。]
何か勘違いしているようだが、あくまでも呼ぶのは召喚者だからな。
召喚されるサーヴァントは気がついたら召喚されているにすぎない。
マスターが俺"ワイナミョイネン"を召喚しようとして触媒を使ったりしたというわけじゃないなら…他の要因でたまたま俺が選ばれたんだろうな。
つまり属性や起源、性格…人としての在り方等々だな。
・・・・・・
なんだ、これは。
[サーヴァントが出現するたびに、聖杯から何かが流れ込んでくる。
それだけではない。心の内にあるなにか”どす黒いもの”が。脈を打つ]
くっ・・・・・・。
[何か、いる。確実にいる。そして俺を見ている。
あの、聖杯の中に。
敬一郎は、いつの間にか額から頬を伝っている汗を拭った]
12人目、学生 メイ がやってきました。
[がつ、と岩を雷鳴が穿つよな派手な音が響く。
音に見合った激しい稲妻の光で満たされた後、魔方陣の中央にある跪いた人物は酷く中性的な容貌をしていた。
稲妻が四方八方に吹き飛ばしたものの中から一枚の符を手に立ち上がる姿はひどく小柄。
白銀の甲冑を纏い、その声すら変声前の少年のような声をしていた]
───招命により参上仕った。俺を喚んだのは、貴方か。
[小さな姿は大きな瞳でまっすぐに目の前の男を見た。
その瞳には硬玉のような強い強い、光]
触媒……?お師様はそこまで教えてくれなかったんだよね。
起源かぁ……。
アタシはお師様から「お前は“凍らせる事”に関しては右に出る者がいない。ただし、それ以外は求めるな。」って言われたんだけど。
お爺ちゃんは氷に深く関係してる人?
まあ、とにかくその刀を納めろや。
ここには敵はいないし、そんな物ちらつかせられたら俺も落ち着かないぜ。
[溜息をひとつついた後、ケネスは懐から曲がった煙草を取り出して火をつけ、しばし煙をくゆらせる。
壊れた社と切られた神木に目をやった。]
バーサーカーね……やれやれ、なんだか短気な奴が出ちまったな。
とにかく、この惨状の中で立ち話するのも得策じゃないか。
俺もまだこの国へ来てからそれほど経っちゃいないんだが、住む場所は借りてある。
とりあえず、そこへ移動するがいいかい?
さてと。
[テントの設営が終わらせ一息つく。]
次はいよいよ召還ね。
[荷物から破魔矢を取り出して地面削り円を描き始める。
円を書き終わると外周に沿って経文を書いていき一周すると渦巻きのように内側へ書き続ける。
書き終えるとその前に腰を下ろし深呼吸。読経を始める。]
観自在菩薩行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄
舎利子 色不異空 空不異色 色即是空 空即是色
受想行識亦復如是
舎利子 是諸法空相 不生不滅 不垢不浄 不増不減
…
属性が"氷"ねぇ。
関係ないことはないな…氷も"水"の一種だからな。
水が単に別の形をとっているだけとも解釈できる。
そういう意味では"水の王"である俺と深い関係があると言えなくもない。
[読経により集中力を高まっていく…]
大いなる御霊よ。
其が願い現とすることを望むなら…其のため我が持つ力を糧にせよ。
我が望む願いを現とするため…其が力を我が為に振るえ。
其が望みは我が望み、我が望みは其の望み。
大いなる御霊よ。我らが望みのために…現界せよ!
召還!!
[ 現れた人物の姿を見て、目を丸くする。]
驚いたな、えらく若いじゃないか。英霊っていうのは、もっと威厳ある風貌をしているものじゃないのかい?
まあいいや。そうとも、僕が君を喚び出したマスターだ。
さあ、こちらにきなよ。まずは君がどんなサーヴァントなのか聞かせてもらいたいな…と。
[ 思い出したように、笑みを浮かべる。]
そうそう、君のためにプレゼントを用意しておいたんだった。
ピチピチのご馳走だよ。魔力の足しにでもしてくれたまえ。
[ 指差したのは、部屋の隅。
そこには、10歳ほどの子供が三人、眠らされた様子でころがされていた。]
……………………………………………
[何も起きない…]
ちょっと…なんでなにも出てこないのよ…
[思わず袖をまくり左腕にできた奇妙な痣を見る]
これ聖痕でしょ?サーヴァントが召還できるはずじゃないの?
[見つめているうちにが痣できた日のことを思い出される…]
[確かにこの場に居ても余り良いことはないと宗冬は判断した。
宗冬は周囲を見渡し、手近な鳥居に両断してから刀を納めた。その姿は、行き場を失った刀の扱いに困っているかのようだった。]
よし、案内しろ。
[ワイナミョイネンの返答に、神妙に頷く。]
ふーん、“水の王”かぁー。
氷が溶けたら水だもんね。
……あっ!
【鼻水も水なのかしら……?】
んー、お爺ちゃんの正体はよくわからないけど、一緒に頑張ろうね!
[スン、と鼻の通りを意識して*微笑んだ*。]
…若さは関係ないだろう。
貴方にとって必要なのは何をなし、何を残し、何故英霊となったか。
それだけのはずだ。
[手の中をくしゃりと丸めてしまえば、男の示したほうへと視線を向けてそこにあるものを視線が認める。
ゆるゆると表情に上るのは憤怒。
ガチャリと金属の歌を響かせたかと思えばそのこぶしは男を殴り、倒れたその胸を踏みつけて胸倉掴み]
…貴様、ふざけた真似を……!!
[ぎり、と歯軋りひとつ。
更にその顔を殴ろうと指輪の嵌った拳は持ち上がり]
うむ、まぁ召喚された今となっては、そこに至った理由なんてどうでも良いからな。
あとは聖杯を手に入れるために突っ走るだけだ。
よろしく頼んだぞ?"マスター"。
[最後の言葉を強調し、キャスターは*笑った*]
やれやれ、どっちがマスターだかわからんな。
サーバントはかしずきながら出てくるというイメージがあったんだが、お前みたいなのもいるのね。
では、ご案内いたしましょう。
[恭しくそう言った後、ケネスは苦笑して*歩き始めた。*]
わ、待て、待ちたまえ、オーケイ、話し合おうじゃないか!
[ ばぎ、という衝撃と覚えたときには、床に倒れていた。胸倉を捕まれ、さらに拳が握られたのを見て慌てふためく。]
なんだ、なにがそんなに気に入らなかったんだい? これじゃ足りなかった? それともやっぱり年相応の生娘の方がよかったのか?
何が、だと?
……貴様の腐った考え方の、その総てが、だ!
[がつり、ともう一つ拳は男の顔へと振り下ろされる]
…降りる。冗談じゃない。
俺は貴様を主だなんて認めない。
貴様を殺して、俺は新たな主を求める。
[がしゃり、と再び甲冑を歌わせてその手は近くに転がるおそらくなのあるだろう宝剣の鞘をはらって男の喉下に突き立てようと]
ストップストップストップすとぉぉぉぉーーっぷ!
謝る、僕が悪かった。先の発言は取り下げよう。あの子らを食事だとか魔力の足しにだとか二度と言わない。だからそんな物騒なことはしないでくれ、頼むってば。
[ 顔面蒼白で、叫ぶかのように早口で命乞いをする。]
な、お願いだから、な。
ふん、身の程を知れ。
私がお前のような奴にかしずくものか。
[宗冬は嘲笑い、そしてまた一閃、今度は狛犬を二つに分ける。切れ味に酔うかのように。
その後ケネスの後を*追い出した。*]
……。
[大きな瞳は、眼下の男をきろりと睨む]
…物騒なのはどちらだ。
大体、貴様のような口先三寸のような人間こそこの世から滅してしかるべき。
[柄に添えられた手をわざと握りなおし]
…ああ、手が滑ったらどうしようか?
重たいものはあまり持ちなれないんだ。
[その切っ先は男の喉元皮一枚の距離]
-遡ること5日…インド山岳部 とある遺跡入り口-
[山の中腹に口を開ける穴の中は外界と明らかに異質な雰囲気を漂わせている。
その前に立つ人影は久子のものだ。
頭にはニット帽を被り、その上にはバンドつきライトが巻かれている。
ポケットのたくさんついた厚手の布のジャケットに大きなリュックサックを背負いカーゴパンツ裾からはアウトドア用ブーツが覗いている。]
うわ…えげつない結界…
[並の人間が入ったならなら一分と持たず力尽き絶命するであろう結界がそこには存在している。]
[深呼吸をすると危険な空間に足を踏み入れる。一歩、二歩…5m、10m…
少し顔が険しくなった程度で久子の様子には変化が見られない。
彼女の特異な才能を生かした結界潜り。
通常の魔術行使は出力・効率共に著しく悪いが、外部の魔力に抗して魔力を放出する場合においては非凡な才能を示す。
空間に満ちる凶悪な魔術効果を全身から魔力を放出し無効化し己が存在を変わらず維持し続けている。]
[ 口先三寸、と言われたことで真顔に戻る。まっすぐ相手を見据え、突きつけられた切っ先を右手で掴むと。]
その口先三寸で、自分の存在をなんとか証明できている人間だっているんだ。誰もがご立派だと思わないでほしいね。
[ 身を捻って剣先から身体を逃がし、立ち上がる。そのまま寝ている子供らのところへと歩み寄り。]
じゃ、この子達はどうすればいいんだい?
悪いけど、自宅に帰してはいさよならと言える状態にはしていないんだ。君が僕の手伝いをしてくれないというのなら、この子らに未来なんてものはないよ。
僕を殺すというんだったら、この子達はずっとこのまんまだろうね。
[ 子供のひとりの両足を掴み、持ち上げる。ぶらんと下がるその顔に、しかし目を覚ましそうな雰囲気はまるでなかった。]
[長い通路を抜けると突然結界の効果が消え一つの棺が置かれた部屋に出る]
…あれだけの結界があってこれだけってことはないわよね。
隠し部屋があるのかな。
[一歩踏み出そうとして照らし出された床の以上に気がつく。直径2cmほどの穴が無数に開いた床板が不規則に配置されている。恐らく進入者を殺傷するための罠。]
ガスか針かな?ずいぶん厳重じゃない。
[注意深く足の踏み場を選びながら棺に歩み寄る]
御霊がここに留まってる。
…降ろして大丈夫かな?
[周囲の気配を探り危険がないか確認する。
棺と自分の周りに持ち歩いている粗塩を線上にし円を書くように蒔く、四方に護符を置きしゃがみこむ。]
…かごめかごめ
かごのなかのとりは
いついつでやるよあけのばんに
つる…つる
!
[男が刃から逃げ仰せた様子に期限悪そうに舌打ち一つ。
そのまま子供の方へと向かい、そしてまるで子供が人質とばかりの言いぐさに歯噛みし]
……貴様…!!
[なじるように叫ぶも自分では救えないのも然り。
悔しそうな気配を表情にありありと滲ませて*剣を放った*]
[突然顔つきが変わり普段とは明らかに違う調子でしゃべりだす]
「誰だ!!ワシを呼び出すのは!!
…こんな小童が……
…ここまで無事に辿りついたのは褒めてやる。
だが危険を冒してまでこんな場所まで来る目的など聞かずともわかるわ。
盗人話すことなど何もない!!
…
」
ふふ…口を閉ざしても無駄よ。私の口寄せは意識の奥底まで引き出すわ。
…
そう、それでいいんだ。判ってくれたならいいんだよ。
[ 剣を捨てる姿を見て、満足げにうなづく。そしてもっていた子供をそっと床に置くと。]
さあ、話し合おうじゃないか。お互いのためにも、ね。
[ 両手を広げ、いやらしい笑みを*浮かべてみせた*]
-5日前の回想が続く インド山岳部 遺跡内 隠し部屋-
[特徴的の模様・形状の道具らしきものが並んでいる。
魔術にそれなりに携わっているものならその使い道がある程度想像できる。]
何よこれ?古代の魔術礼装?
こんなかさばる上にさばきにくいもの…
[その顔には軽く失望の表情が浮かんでいる。]
ん?なんだろ、これ?
[一段高いところに置かれた杖のような棒状のものに目が止まる。
他のものと違ってそれは完全な形を成していない。
にも関わらずほんの微かな魔力を帯びているようだ。
手にとると手触りは石だがその割には軽い。]
うーん…
[よく見ようと顔の前に掲げる。
ふとその奥の祭壇らしきものが目に入る]
お宝はあっち!?
[手にもったものをもどかしげにリュックに斜めに突っ込み祭壇に駆け寄る。
祭壇の上には無数の宝石が置かれている]
まあ、すごい!!
しかもこれ魔力が込められているじゃない!!
[眼鏡の下の右目が"¥"左目が"$"になっているように一瞬見えたのはたぶん気のせいだろう。]
[そのまま祭壇に駆け上る。
踏んだ床石が不自然に沈みこむ。]
あ゛
[目の前で祭壇が割れ宝石が全てその割れ目に落ちていく。]
いやあああ!!私の宝石ぃ〜!待って!!
[失意のどん底に落ち込む暇も与えず、宝石の魔力によって何かの仕掛けが起動したらしい。大きな震動が足に伝わる。]
!!
[振り返ると入ってきた入り口がから土砂が流れ込んでくる。
即座に入り口に向かって走り出すが辿りついた時には完全に入り口は塞がっていた。
間をおかず天井も見る間にに崩れ出す。
…]
-さらに続く5日前の回想… インド郊外 山岳部-
[中腹の大きめの石が集まる窪みの一角が崩れ人間の腕が現われる。
続いて左手…やや待って頭が覗き外を確認すると力尽きたようにその動きをを止める。
崩れてゆく部屋の中通気口らしき穴を発見し、潜りこんだものの地表近くが塞がっていたため四苦八苦していたのだった。]
ハァハァ…
[息を整えている間、袖がまくり上がった左腕が視界に入り続けている。
そこには昨日までなかった不自然な痣が浮かんでいる。
息が整うと興味がむき出す。]
これってもしかして、聖痕ってやつじゃないかな?
…もしそうなら…(お金になりそう!!)
…きっと聖痕だわ。恐らく聖痕よ。
[自分に言い聞かせるように繰り返す。]
絶対聖痕ね。こうしちゃいられない。早速調べなくちゃ。
[体を引き抜きそれなりにしっかりした足取りで町のある方角に向かって*歩き出す*]
-現在 樹那森林公園南部 発掘調査現場…とされている区画-
[地面には無数の魔法陣らしきものが書かれたあとが残っている。
なおも諦めずに破魔矢で地面を削る人影…]
はあ…もう!
あっ!
「バキっ!」
[報われない努力に溜まったストレスが破魔矢の耐久性以上の力を加えさせた。]
なんで折れるのよ…この根性なし!!
[代わりになる物を探すうちに遺跡で発見した棒を手にとる。]
これでいいや。
…
これなら簡単に折れないわ。快適快適。
[新しい道具の扱い安さに一時的に気が晴れたものの、情況は変わらず…リバウンドでさらに投げ槍な気分になる。
書き終わると棒を手から離す。
転がった棒の先が今書いた図形の上に重なるのも構わず召還の言葉を早口でまくし立てる。]
御霊よ。
其が願い現とすることを望むなら…私の力を使いなさい。
私が望む願いを叶えるため…私のために働きなさい。
其が望みは我が望み、我が望みは其の望み。
大いなる御霊よ。我らが望みのために…現界せよ!
超召還!!
[今までにない手応えを感じる。
体内の魔力が激しく消費されていく。]
13人目、見習い看護婦 ニーナ がやってきました。
[光] [薄きヴェールの奥より出でるかのように]
[光] [一帯に閉じ込める(満ちる)召喚の徴]
[光] [来たり去る] [挟間] [一瞬の異境との邂逅]
[一帯に馥郁(ふくいく)たる匂いがたちこめ、
蓮の花のような淡い色合いの花びらが一枚。
蜂蜜色の泡の如き煌きと共に。
――――舞い落ちた。]
[立ち居振る舞いは優雅さとしなやかさを兼ね備え。
気品溢れる顔立ち。黒曜石の眸は半眼。きらりと澄み切る光を放つ。
口元には穏やかに微笑みを。額の中央には赤い粉。
舞う花びらは幾数重。祝福のように降り注ぎ、地に消えゆく。
右足が、ゆると踏み出され、花びらを一枚踏まう。両の足首には、黄金の輪。同様に、首元と両手首にも黄金の装飾。
落ちる中、混じいる一枚の黒き花びら。それもまた、地に消えゆく。
残り香は仄か。清き匂い。]
――私を呼び出したのは、貴方ですね。
[召喚時の光景は全て消え、後には樹那森林公園の普段の音が戻った。]
[自分でもうまく行くと微塵も思っていなかっただけに半ば呆然としていたが、現われた人物に声をかけられ我に返る。]
そう、私が呼び出したのよ。
あなた…聖杯戦争のサーヴァントなの?
[サーヴァント。「彼」の声は低く落ち着いた声をしている。目の前のマスター、「百鬼久子」よりも背は高いようだ。
黄色い薄い衣に下半身は覆われ、上半身は陽に焼けた健康そうな肌を覗かせている。]
その通り。
私はサーヴァントとして貴方に召喚されました。
[―――――シャラン]
[こすれ合う、柔らかな金属の響きは幻想。口元を綻ばせる。]
[目の前の言葉に一気に成功した実感が沸く]
そう、成功したのね!!
ありがとうでてきてくれて!!
えーと…まず自己紹介でもすればいいのかな?
私は百鬼久子。あなたの…まずクラスを聞くべきかしら?
[しゃべりながら相手の出で立ちを観察する。あからさまに態度には出さないが金に見える装飾品に注意が向いているようだ。]
[それを聞いて、彼は声をたてて笑った。]
私を。いや、ぼくを、アーチャーではなくランサーとして召喚したんだから、知っていると思っていたよ。
否。失礼しました。
私のクラスはランサーです。
ナキリヒサコ……ヒサコ。
[名前をしっかりと確かめるように繰り返す。久子の注意を意に介することなく、陣内に転がっていた棒を取り上げる。久子が地面を抉った際には石に酷似していたが、今は蜂蜜色に包まれ(ランサーが手に取ると光は消えて)、当時の色と輝きを取り戻している。]
そうか。これが媒体として?
ああ!それってあなたの持ち物だったのね。
…なるほど。それのおかげで召還が成功したってことね。
とくに媒体にするつもりもなかったし、槍だとも思ってなかんだけど。
本来のクラスじゃないと力が弱くなるのかな?
ちょっとわるいことしちゃったわね。ごめんね。
[軽くすまなそうな素振りを見せるが、戦力ダウンの落胆の態度の方が表に出る]
ランサー…正統派の接近戦用のクラスって理解でいいのかな?
クラス以外にも聞きたいことはたくさんあるわ。
それとその格好は早めになんとかしなくちゃならないかな?
[純粋に目立ち過ぎることへの危惧だが、あわよくば高価そうな装飾品を自分のものにできないかという期待も否定することはできない。
とりあえず、自分の服のなかでできるだけ大きなもの数着と、百円均一ショップで買った小さな椅子二脚を荷物から取り出す。]
座って話しましょ。
[ランサーに椅子を手渡し自分も*椅子に腰掛ける*]
ヒサコ。私も貴方に出会えた事を神に感謝したい。
[続く言葉に、耳を傾けていたが、媒体にするつもりがなかった事にも、落胆の素振りにも動じず、表情は崩れない。]
私の存命中、与えられた武器の一つです。
私は、キャスター、アサシン以外に適性がありますが、一番の適性はアーチャーでしょう。
それよりも、私がよく知られている国かどうかで力の強弱は変化します。他のサーヴァントも同様に。
[上に服を乗せた椅子を、受け取る。]
確かにこの国では目立ちますね。
しかし、マスターが召喚した魔力の消費からも、どこか休める場所があるならそこへ向かいませんか。
[久子に、輝きを取り戻した*槍の欠片を返した*。]
そうそう、アタシの方も聖杯を求める目的を教えておくわね。
アタシだけ聞いたんじゃ不公平だし。
アタシの目的は、タロを生き返らせること。
……“生き返らせる”というのは正確じゃないわね。
仮死状態から無事に蘇生させること、って言えば良いかしら。
タロってのはアタシの大切なワンちゃんなんだけど。
ちょっと酔っ払って魔力が暴走したときに、間違って凍らせちゃったの。
迂闊に溶かすとそのまま死んじゃうってお師様に言われたから、聖杯の力に頼ろうかな、って。
そういうわけだから、絶対に聖杯が必要なのっ!
お互い切実な願いだねっ!!
[ワイナミョイネンの手を握り、ブンブンと上下させた。]
[ソフィー、と言う名前は、両親のつけた名前だった。フランス人の母と、日本人の父。そのせいか、髪の毛の色は明るい茶色で、光の当たり具合によっては、金色にも見える。
対して空穂、は祖父が付けた名前だった。
「ソフィー」を嫌った祖父は、その名前で呼ぶことはなかったし、宛てた手紙もすべて、「流 空穂」宛。
物事に対して執着心を見せなかった自分が、唯一忘れたくなかったこと。それが、自分の名前だったのだろう、と今は「理解」している]
[夢など見ないはずで、睡眠は「意識が飛ぶ」という感覚しかなかったが、それも小学生になる頃にはそれが「睡眠」なのだと憶えた。
けれど、聖杯が現れた頃から、何かを思い出すようになった。それは深層心理からの訴えなのか、魔力がざわつくだけなのかわからない。
以前起きたという聖杯戦争、その時にも同じ感覚があって、うっすらと自分が何かをしていたことを「思い出し」その記憶は今も憶えている]
ー自宅・寝室ー
[「大丈夫だから」
不意に響いた声で目を覚ました。
辺りを見回してみても人がいるわけでもなく、シャルロットかとも思ったが、声が違うことを思い出し]
今のが、夢?
でも、あの声は誰の?
[自問してみたが、答えを思いつくはずもなく、ただ、どうしようもない焦燥感に捕らわれた]
……。そうだ、聞いてもしかたない、か。
弔問者に礼状を、出さないと。
[ベッドからでてゆらりと立ち上がり、服を着替えてリビングへと向かう。
キッチンの冷蔵庫から牛乳を取り出すと、グラスに注ぎ、それを持ってリビングのソファに腰を下ろす]
[開いた弔問者リストを見ながらも、巡る思考は「夢」のこと]
こんな事、無かったのに。
[呟きを漏らして窓の外へと目をやる。既に日は高く、カーテンのすき間から*日が射し込んでいた*]
−住宅街・『魔女の館』・店内−
[昨日の召喚は失敗だった。
煙が消えてもその場には何も現れなかったのだ。
手順を間違えてはいない。
煙の向こう側に何かがいる。
それを掴み損ねただけ。
何かが足りなかったのだろう。
露葉は考えながら昨夜の調合の産物を
魔女のシチューとして提供するために味を調えていた。]
魔力が足りなかったのかな。
でも……。
【これいじょうは、だめ】
[脳裏に響く幼い自分の声。これは警鐘。]
わたしが出せる力はあれだけだもの。
[母の怒鳴り声、祖母のため息が聞こえた気がして首を振る。
倒れる自分を見つめる蔑みと呆れの混じった視線が
向かってくるようで顔を背ける。
そんなことで逃げられるわけもないのに。]
おばあさまはもういない。
お母さまもここにはいない。
気のせい、なの。
[しかし体が震えるのは止まらず、
露葉は調理の手を止めて首にかかった小さな守り袋を握り締めた。]
[少しずつ気持ちが静まっていく。
守り袋から手を離して調理を再開する。]
……調合かもしれない。
昨日の作り方は間違っていたのね。
他の草を使ってみましょう。
今度はきっとうまく行く。
[震えが収まったのを見計らったかのように
からん、と入り口にかけてある木鈴が客の到来を知らせた。]
いらっしゃいませ。
[露葉は静かな笑みを浮かべて*客を迎えた。*]
あ、いっけない。
今日は大掛かりな顔面工事の予約が入ってたんだったわ。
美の追求は女にとって最大の関心事よね。
アタシは出かけるけど、お爺ちゃんはあまり歩き回らないでね。
住所と電話番号を書いておくから、ちゃんと首にかけておくこと。
それじゃ、行ってくるわね。
フッフーンフンフーーーン♪
せいっはいっせんっそー♪
[鼻歌を歌いながら樹那病院に向かった。]
パパー、パパー……
そう言いながら、子供がズボンのすそを掴んでくる。
誰だっけ……?
ひどく顔がぼやけていて、よくわからない。
茫然とされるがままにしていると、ゆらりと女性らしき輪郭が現れる。
……こら、パパを困らせないの。パパはこれから出張……
ゆらめく輪郭は途切れ途切れに、言葉を発する。
誰だ……これは……?
(コレハ……ボクノツマダ……)
周りの色彩が印象絵画のようにぼやけ、色の粒子が体の中を流れていく。
暖かく、胸に満ちる幸福感。
突如、体の奥からどろりと溶かされる感覚が湧き上がり、ケネスは戦慄する。
パパー……パパー……
(コレハ……ボクノ…ムスメダ……)
いや…いや……俺には、娘なんていない!!
― 自室 ―
[カラァンと言う甲高い音と共にケネスは目を覚ました。
見ると自分が蹴飛ばしたらしい、酒の空瓶が壁の傍でクルクルと回っている。
気温が高いわけでも無いのに、汗が酷い。
ケネスはかすかに震える手で煙草を掴み、火を灯した。]
恐ろしい夢だった……
[夢自体は悪夢と呼べる内容では無い。
だが、夢に満ちていた幸福の奔流に自分が根本から溶かされて行く様な感覚、それがケネスには恐ろしかった。]
時間がねえって事か……
[曲がった煙草から伝う煙の筋を見つめながら、ケネスはつぶやく。
かすかな震えも治まったようだ。]
どうやら、飲んでたら疲れで寝ちまってたみたいだな。
[召還にも魔術にも疲労を伴う。元々ケネス自身はそれを強く自覚する事は少ないが、やはり疲れていたようだ。
部屋を見渡すと、酒の空瓶と、壁にもたれかかりながら眠っている侍の姿が目に止まる。]
柳生宗冬か……
神社の様子じゃ、あまり知的にゃ見えなかったが、あれはバーサーカーとしての特質なのかね。
ふーむ、ちょいと現代じゃ目立つ格好だが、アレンジすれば着流しに見えなくも無いか?
……まあ、出歩く時には刀は隠してもらわなきゃまずいだろうが……。
しかし、チョンマゲじゃ無くて良かったぜ。
さすがにそれだったらフォロー出来ないしな。
[ケネスは、宗冬を見ながらしばし考え事をした後、シャワーを浴びて*外出する事にした。*]
−『魔女の館』・温室−
ヒヨス、エニシダ、ヘレボルス、ハシバミ、ベラドンナ…
[火にかけた大鍋に次々と投入していく。
煮え立つ鍋の中に露葉は守り袋から取り出した鈍色の弾を落とす。
それは数代前からお守りとして伝わっていたものだった。]
わたしの呼び声に応えて、今度こそ。
[祈りながら樫の杖で鍋をかき混ぜる。
昨夜と同じく温室内に煙が立ち込めた。
そしてその煙は露葉の前に集まり形を持ち始める。]
[かき混ぜる手を止め、集まっていく煙を見つめる。]
これは、なに?
……てっぽう?
[ゆらゆらと揺れる煙が形作るのはまぎれもない『銃』の形。
露葉は惹かれるように手を伸ばし、それに指をかける。
そのようなものを手にしたことはない。
ましてや撃ったことなど。
だが、それは妙に手になじむ。
空へと向けて構えるとゆっくり引き金を引いた。]
14人目、医師 ヴィンセント がやってきました。
くふっ…。
[煙の銃口の先に、うっすらと人の姿が映る。
それとともに、酷薄げな薄ら笑いが響く。]
そう、それでいい。
幸せだろ?
トリガーを引く感覚…。
[煙が徐々に晴れ、その姿が明確になっていく。
しかし、眼鏡に隠され、目の奥は見えない。]
その感覚を知らない者に、俺を楽しませる事はできない…。
[思い出したように、目の前にある姿に…
彼のマスターになるべき人物に、目を向ける。]
こんばんは…お嬢さん。
[指に引き金を引いた感触が、
身体にそのときの衝撃が残っている。
そして薄紫を帯びた煙の向こうに現れる人影を見つめる。]
ええ、こんばんは……。
でてきてくれて嬉しいわ。
[視線は目の前の男を通り過ぎ、地面へと向いた。]
[煙の中に在るかないかも曖昧だった姿が、はっきりと形を成す。
黒い服、分厚い眼鏡、申し訳程度に整えられただけの髪…。
その姿が細部まで明確になると、ふわふわと煙の中に漂っていたその姿が、急激に重力に引き付けられた。
がたん、という音とともに、彼を呼び出した人物の目の前にあった鍋の両端に足をかけると、そのまましっかりと立った。]
…くふ、ふ。
そう言ってもらえると、俺も嬉しいよ。
[目の前にある人影を見下ろし、左手の中指で眼鏡をつり上げる。
少し、目の奥が映った。
淀み、昏く、しかし子供のような楽しげな感情を宿した目だ。]
[つ、と自然な動作で、まだ虚空に残っていた煙の方に手をやる。
煙が再び、拳銃の形をとる。
その銃口を、そのまま目の前にたたずむ人影につきつけた。
恍惚とした、表情。]
さぁ…俺に力を与えろ。
俺が楽しむに十分な力を。
俺にはそれだけがあればいい。
他には何もいらない。
俺を楽しませ続ける限り、俺はお前の味方だ。
[落ちてくるかと思ったが、地面に衝撃は伝わらない。
少し視線を上げると鍋に立ってるのが見えた。]
……それ、明日の商品にするの。
降りてちょうだい。
[目の前の男よりも鍋の中身を気にして
手で追い払う仕草をする。]
埃が入ったら売り物にならなくなるでしょう。
気をつけてね。
[鍋の中身を覗きこもうとしたが、
そういって男のほうを睨む。
と、目の前に銃が突きつけられていた。]
[魔術学校の寮で、ルームメイトに自分の話をしたことがある。それは幼いときのことで、自分の容姿と、性格などが原因でクラスメートの反応が悪い、という内容だった。
彼女は悔しくなかったのか、怒らなかったのか、悲しくなかったのか、と問うた。答えは否。自分にはそのような感情が欠けているらしいから、と話すと、彼女は驚いたが、納得したような表情を見せた]
学校、は、しばらく戻れないな。
……
Is it vigour?
I am energetic.
Will when it return, will it not return, and how about you?
[その彼女から送られてきたエアメールをぽそりと読み、途中で息を切る]
聖杯戦争に参加したことも返事に書いておいたほうがいいかな。
戻ってこなければ、それはそれで納得してもらえるだろうから。
[自分がこの戦いで命を落としたとして、相手がどう思うのかまでは考えが及ばない。
当然のように、祖父の死にも涙ひとつ出ることはなかったのだから]
力……?
いいわ。
あなたがこの戦いに加わる限り、
わたしに与えられる範囲なら与えてあげる。
でも、それ以上はだめ。
あなたの望むに価する力があるかはわからないけれど、
わたしはわたしの範囲でしか協力できない。
[力が全て奪われる、それを想像して身震いしながらも
向けられている銃口をひたと見据えた。]
それでいいでしょう。
[すべて読み終え、返事は明日書こうとテーブルの上におき、辺りを見回した]
シャルロット、いますか?
外に、出掛けようと思うのですけど。
[自分のサーヴァントへと呼びかけた]
といっても散歩ではなく、偵察、見たいなものです。
今現在でどれだけサーヴァントが現れているのか、偵察することでわかるも知れませんし。
―住宅街・自宅前―
ふぅ、今日もいい仕事したわ。
美しいって素敵よね。
[うっとりしながら玄関の扉を開く。]
たっだいまーっ!
お爺ちゃん、大人しくお留守番してた?
トイレはちゃんと一人でできた?
[きょろきょろとキャスターの姿を探している。]
[美貴がキョロキョロと部屋を見渡すと…居た。
部屋の隅で物凄い負のオーラを纏った爺が不気味に佇んでいる。]
どうせ・・・どうせ・・・。
[キャスターの姿を見て驚く。]
ちょ、ちょっとお爺ちゃんどうしたの?
トイレ、粗相しちゃった?
怒らないで聞いてあげるから、正直に話して?ね?
そういえば。
普通にシャルロットと呼んでいたけど、アサシンと外では呼んだほうがいいかもしれませんね。
真名は知られないほうがいいですから。
[いるはずのシャルロットに向かい、言葉を重ねる]
[マスターの呼びかけに答えるかのように、スッとソフィーの傍らに実体化した。]
ああ、ごめんなさいマスター。少し読書に熱中しておりましたの。勝手に書庫を拝見してました。
……そうですわね。
昨日で町の様子は把握しました。早速、聖杯戦争に関する状況を把握した方が良いでしょう。マスターは、教会にも足を運ぶ必要もありそうですし。
ああ…マスター…。
聞いてくれ、聞くも涙、語るも涙の物語を。
[そういうとキャスターは体育座りをして語り始めた。]
そう、あれはマスターが出かけてからだ。
俺は遊び…もとい情報収集をしようと家を出て人が多いほう多いほうへと向かったのさ。
そしたら……。
いるわいるわ若い女の大群!
着飾り化粧をしたもう是非お近づきになりたい世界の芸術品たる女性達が!
[突然立ち上がり叫びだすキャスター。
その眼はいたって真剣である。]
そう、そしたら男としてやる事は一つ!そう俺は声をかけた!
そしたら…
"おじいさん、頭大丈夫?"
"一昨日って言うか80年前にきな"
"救急車呼ぼうか?"
"…キモ"
チクショー!
なんだかとってもチクショーォォォォォ!!!
やってられっかぁぁぁぁ!
[その場で地団駄を踏み、終いにはその場で転がり始めた。]
[く、と唇の端をつり上げる。
面白い奴だ、と思う。
目的意識が感じられないし、目の前の銃よりも自分の言葉への返答にその気が向いているように見えた。
銃を突きつけられた状態で、自らの立場を考え述べられるとは。
だが、惜しい。
これでは、撃ち甲斐がない。]
ふん。それでいいでしょう、だと?
そう…、なかなかいい返答だな…。
ウハッ。
[目を細め、自らを睨む女を睨み返すようにする。
が、やがて堪え切れなくなったように笑う。
そして、ゆっくりとした動作で鍋の淵から跳び降りた。]
ああ、書庫の。
祖父や父が集めた本が主みたいですけど、シャルロットが興味を持つとは思いませんでした。
でも、埃をかぶってるだけだから、いくらでも読んでくださってかまいません。
そのほうが本が喜ぶ、と祖父も言っておりましたから。
それじゃあ、出掛けましょうか。魔力が集まっていそうな場所、がわかるといいのですけど。
[にこりと笑い、シャーロットを外へと促す]
教会、も行かなくてはいけませんね。
[転がるキャスターを可哀想な目で眺める。]
お爺ちゃん……気持ちはわかるけど、そういうのは聖杯で願望が叶えられてからの方がいいんじゃないかしら……。
声をかけるほうも、かけられるほうも、その方がきっと幸せだと思うわ。
そうよ!聖杯よ!!タロのために戦わなきゃ!!!
[キャスターの背中をバンと叩いた。]
マスター。
私が気配を消している間は、そうですわね。
"マリア"とでもお呼び下さい。
その呼び名は殆ど知られておりませんし、その名は余りに一般的過ぎて、そこから私の真名が割れてしまう事もないでしょう。
……今日は昼間に1人で偵察をしてきたのですが、この国のこの時代の殿方も……私をそっとしておいてはくれませんでしたわ。
[シャルロットは、自らが所有する【魅了-対男性には洗脳レベル-】のスキルについては、あまり自覚が無い様子だった]
わかってるけどさー、やっぱり声をかけたくなるわけよ。
あーもう、本当に聖杯を意地でも手に入れてやる…。
大体生まれた時から老人じゃなきゃ、最強の魔法使いで神の子である俺は絶対にモテたはずなのに…。
自分じゃどうにもならない事でも納得できねぇぇ!
[再び暴走しかけたキャスターだったが、背中への衝撃に正気を何とか取り戻す。]
ああ、そういや犬の事だけどなー…。
[その後、しばし顎に手を当てて考える。
そして、キャスターはあっさりと重大な事を告げた。]
恐らく…ってか十中八九だが…。
多分俺なら普通に治せるぞ?その犬。
俺にとっても、お前は貴重な存在だ。
簡単に壊してしまいはしないさ。
お前が力を失ったら、俺も思うまま楽しめないだろう?
くふ、ふふっ。くははッ。
[そう…、俺が満足して、お前を撃ちたくなったら、その時は、きっと、壊してやろう。
それが俺の礼儀だ。
そう心の中で呟き、恍惚とした表情で笑う。]
そう、じゃあマリア、と。
でも、男性がそれだけ近寄ってくるのなら、人が多い時間の外出はやめておいたほうがいいのかもしれませんね。
注目を集めるのは得策ではありませんし、マリア一人ならともかく、二人で、となるとマスターにはばれなくてもサーヴァントには私の魔力漏れがわかってしまいそうですから。
協力できそうな相手ならいいのですが。
[キャスターの話を聞いて、きょとんとしている。]
……治せるの?……お爺ちゃんが?……タロを?
ちょっと!お爺ちゃん!実はすごい人!?
お師様でも無理だって言ってたのに!!
きゃー!タロ待っててねっ!!
お爺ちゃん!早く早く!!!
[キャスターの手を顎鬚ごと引っ張ってタロの元へ向かった。]
[屋敷を出て歩きながら、ソフィーの言葉に悩むように俯く]
そうですわね……マスターに迷惑が及ぶ可能性は極力避けた方が良いのかもしれません。では、日中は私は単独行動もしくは、マスターと共に歩く時は実体化をしない、という選択はどうでしょう。
それにしても、マスターのお父上の書物は大変興味深いですわ。古の英雄についての研究が特に。
[外に出てまずは駅前のほうへ歩き出す]
教会が駅から西に行ったところらありますから、そこを最終目的地として歩きましょうか。
なにか、情報が入るといいのですけど。
当然だろう。
大別すれば同種の属性の魔術によるものを、水の王たる俺がどうにかできないわけがない。
そもそも俺は確かに水の魔法使いではあるが、更に大地・風・鉄・さらには治癒や破呪の魔法も使えるんだぞ?
そりゃまぁマスターが俺の伝説を知らないなら、そこらあたりも知らないのは仕方のない事だが…ってちょっとま…。
いてぇ!いてぇっての!!ヒゲが…ッ!
[キャスターは自分が如何に優れているかを語ろうとしたが、そんなことより犬が治るという事実が何よりも重大なマスターによって、引っ張られていった。]
[シャルロットの動向について同意を頷くことで返し]
その方がいいでしょうね。
まだ、相手が何一つ見えませんから。
[父上の書物、の言葉に笑顔を見せる]
父も、祖父には言われていたようです。聖杯戦争に関することを。始めはそれで研究をしていたようですけど、その内に個人的な欲求から書物を集めるようになった、と。
古い日記に書いてありました。
私は、日記と写真でしか父を知らないのです。
母のことになると、写真が一枚だけしか。
、、、、、ふぅ。
[ 話し合おう、と別の部屋に行き、お互い椅子に腰を下ろすまではよかった。
が、しかし相手はずっとこちらを睨み付けている。どうにも話をする雰囲気とは思えない。]
第一印象が最悪だったのは悪かったと思う。だが僕たちはこれからしばらくの間、協力体制にあるはずだ。そんな仇敵を睨むかのような目で見ないでくれないか?
[ 頬づえをつき。自分なりに歩み寄ろうと試みるも、出てきた言葉はいまいち友好関係を結ぼうという態度にならなかった。
もっといい言い様があっただろうか、と一瞬考えるもすでに言ってしまったのだからと、相手の返答を待つことにした。]
[美貴がキャスターを引っ張って連れてきたのは、大きな冷蔵庫のある部屋だった。
キャスターの手を離して冷蔵庫の扉を開くと、ミニパグが氷漬けにされているのが見える。]
あぁ……タロ……、今助けてあげるからね……。
[涙を浮かべながら犬に語りかけた後、キャスターの方を振り向いた。]
さ!お爺ちゃん!!ババンとやっちゃって!!!
さて?
[右腕に、力が込められる。
今にも散ってしまいそうだった煙の拳銃が、明確な形を成す。
鈍く光る銃身。感じる、確かな重み。
ぞくり、と。
体の芯からの快感が全身を奔る。]
クハ…ッ!うふ、うふ。
[笑いを止められない。
あぁ、みっともない。こんな姿を晒すのは。]
あぁ…懐かしい感覚だ。
[す、と右手を上げると、天に向け、一発、二発と発砲した。
がぁん、がぁん、という音が部屋に響く。
ぶるぶる、と体を震わせ、その音と振動を堪能する。]
[夜の商店街は、シンと静まり返って人影もまばらだった。薄暗闇ではシャルロットの、死の間際に"まるで天使のようだ"と謳われた美貌も目立たず、調査をするにはうってつけだと思われた。]
私も生前は、良く本や新聞を読みました。
活字から得られる情報は楽しい。想像力を大いに掻き立ててくれるものですわ。
貴女のお父上は、随分研究されていたのですね。
……ご両親の形見は、大事にするといいですわ。
それにしても、今日は静かですね。
[男がなにをしようとしているのかわからなかった。
霧散しようとしていた煙が形をとり、
それが火を吹くまでは。]
あなたっ、わたしの温室になにをするの。
ここの子たちが育たなくなってしまうでしょう。
[とっさに地に魔力を注ぎ、
開いた穴を急速に伸びた木々に埋めさせる。
そして男の腕を掴み、怒鳴りつけた。]
望んで協力をするわけじゃない。
[男の言葉を一刀両断するかのように、その声はきっぱりと言い放つ]
…それで?何故貴様は俺を喚んだ。
事と理由によっては交渉は決裂だとおもえ。
[あくまで態度は大きく、けれど戸口のほうをちらちらと見やるのは仮死状態に見えた子供たちが気になるからだろう。
寄らば斬るとばかりの視線で男を見返す]
大体こんなもの撃つなんて
店が疑われたらわたしが動きにくくなるの。
わたしが動きにくくなるってことは
あなたも行動が制限されるのよ。
わかるでしょう。
撃つなら騒ぎにならないところでやって。
あなたがやったとわかったら壊れたものの後片付けや
怪我人でも出たらその始末までしなければならないのよ。
そうすればわたしの魔力が削られるの。
敵にも見つかりやすくなるのよ。
わかった?
大事に、ですか。
[何故大事にするのだろう、と一瞬思ったが、それが親子というものなのだろうか、と納得させて曖昧に頷き]
静か、ですね。
商店街は早くに閉まってしまいますから。駅前まで行けばそれなりに人がいるとは思うのですけど。
駅から西に行ったところに森林公園という場所があって、噂ではそこで前回の聖杯戦争の戦いがあった、とか。
祖父に聞いた話ですけど。
本当はご自分で参加したかったと言ってましたけどね。
行ってみますか?
今はもう関係ない場所だとは思うのですけど。
何故、、、って。
[ きょとん、とした顔をして。]
聖杯戦争に勝つために決まっているじゃないか。君はもしかして愚かなのか?
…ああ、あの子たちなら心配しなくていいよ。何らかの触媒にしたりとか贄にしたりとか、そんなことはしない。だが、君との関係を保つのにどうにも都合がいいみたいだから、当分はあのままだよ。聖杯戦争が終わるまで、ね。
[ 視線に気付いて、念を押すように伝える。]
[ぎろり、と。
自らの至上の快楽を邪魔した女を、睨みつけた。]
…何だ?
邪魔するかよ。
その程度の力で、
俺の存在する、
その全ての理由を?
[血が逆流する感覚。
全ての理性が吹き飛ぶ。
女が何かを言っている、という事までは理解できた。
だが、その内容を判断する余裕は、全くなかった。
そのままゆっくりと右腕を掴む手を振りほどき、
再び銃口を、その心臓に向けた。]
死にたい、って、事だよなァ?
おー…痛え…。
今の絶対数本抜けたぞ…。
[散々引っ張られてヒリヒリする顎をさするキャスター。]
焦るのは分かるが…もう少し落ち着いてくれマスター。
聖杯に願おうとするぐらいだからマスターにとって深刻な願いってのはわかるけどな。
さて…と、思ったとおりだ。
無意識での暴走によるものだから極めて単純な術式…むしろ単なる力技みたいなもんだなこれは。
見てろ、すぐ終わるからな。
前回の……?
そうですわね。貴女が行きたいと言うのであれば。
同様に下見に来る者が、いるかもしれませんし。
お爺様は、前回の聖杯戦争の時期にはもう、引退してらしたのかしら。
[駅へと続く道は、住宅街を抜けるに従い人影も増えてきた。時折召喚の影響と思われるような魔力の揺らぎを薄っすらと感じるが、その場所までは感知出来ない。]
意味が違う。馬鹿は貴様だ。
何のために聖杯を欲するのか、それを聞いている。
[がしゃり、と甲冑は僅かに音を立てる。
けれど子供たちがあのままと聞けば舌ひとつ打って、強く男を睨む]
…この卑怯者。]
[そういうと、キャスターは氷に手を当てた。]
"Psalmista"
[キャスターが一言そう呟くと、犬の周りの氷が一瞬で解ける。
そして、淡い光に包まれた犬はゆっくりと地面に倒れこんだ。]
うむ、これで終わりだ。
場合によっては少しづつ解呪する必要もあるかと思ったが、単なる一小節で終わる程度だったな。
同時に簡単な治療魔術も使ったからすぐに眼も覚ますだろう。
引退はしていなかったと。
たぶん、ですけど、私の事があったからだと思います。
まだ全部教えてわけじゃない、といつも口癖のように言っておりましたから。
[駅前まで行くと、分かれた道が四方へ伸びている。開いてる店も多く、人通りも多かった]
あっちが教会と公園…それから霊園のようなものがあったと記憶しています。
[西への進路を取り、辺りに注意を払いながら歩く]
どうしてわからないのかな。
[小さくため息をつく。
自分が大切に育てているものを危険にあわせたこと、
聖杯戦争に関わり続けることを危うくさせたこと、
それを自覚させようとこちらはきちんと述べたはず。
なのにどうしてこの人はわかってくれないのだろう。]
あなたがあなたの願いを危うくしてると教えてあげてるのよ。
[ちりり、と杖をにぎる手のひらが痛む。
刻まれた令呪が熱を持つ。]
[ 相手の言葉に、ああ、と頷いて肩をすくめる。]
だったら最初からそう聞いてくれないか。
僕の望みはたいしたものじゃないよ。親の期待に応えたい…いや、少し違うな。親の期待を取り戻したい。それだけの話。それと、、、
[ ひと呼吸、間を空けて。]
卑怯者と思ってもらっても別に構わない。でも、だからと言って見下したりはしないでくれよ。正道を歩めなかった人間は、それでも成功を収めようと思ったら卑怯者になるしかないんだから。
あ、……ごめんなさい、お爺ちゃん。
タロはとっても大切な子なの、だから、つい……。
[手の中に残った髭をはらはらと落としながら、キャスターの後ろで見守っている。
やがてキャスターの魔術によって氷が溶かされると、倒れこんだ愛犬に駆け寄って抱きしめた。]
タロ……、ごめんね……、南極より寒かったね……。
もう、大丈夫だからね……。
[ぽろぽろと涙を流しながらタロの身体を撫でていると、徐々に体温が上昇してくるのが伝わってくる。]
お爺ちゃん、本当に、ありがとう……。
[愛犬を抱いたままキャスターに頭を下げた。]
と、そうだった。
[ しばらく真顔だったが、ふと思い出したように緊張を緩め、薄っぺらい笑顔を作る。いや、本人なりに微笑みかけているつもりなんだろうが。]
そういえば君の名前もまだ聞いていなかった。よければ教えてくれないか。できるなら、クラスと共にね。
後継者の育成、という事かしら。
貴女は随分、お爺様に期待されて育てられたのでしょうね。
[やんわりと目を細めてソフィーを見た。その瞬間目の前に、駅前の方からやってきた2人の若者が立ちはだかり、"これから一緒に飲みに行こうよ"といい始めた。]
……申し訳ありませんが、お退き下さいませんか?
[シャルロットは、2人の若者にやんわりと言葉をかけた。]
あなたがわかってくれないのなら……。
こうするしかないでしょう。
[杖をにぎる手のひらから光が溢れる。]
"戦いのとき以外に銃を撃たないで。"
[静かな声でそう命じると
手のひらから令呪が一画失われた。]
……撃ちたければ撃つといいわ。
それがあなたの最後の射撃になるだけだから。
あー、別にいいぞ。
サーヴァントがマスターにある程度尽くすのは普通だし…。
なにより、俺は女には優しいからな!
[ウンウンと、自分に頭を下げるマスターに頷くキャスター。]
どうだ、あまりのイイ男さに惚れただろう?
[シャルロットに声をかけてきた二人の若者を見――]
すみません、が、私たちは、貴方方と飲むに行く時間などありません。急いで、おりますので。
[普段であれば「申し訳なさ」を装って声をかけたであろう。けれど、どこかで流れる魔力を感じているのか、それほどの余裕がない。
珍しく緊張しているようだった]
……くだらん。
そんな些細な願いのために聖杯を使おうなどと。
[小さく一言つぶやく。溜息は、細く吐き出される。
出自を問う男に、英霊は逡巡の後に]
…俺の位階はライダー。
名は…そうだな、"ピュセル"とでも呼べばいい。
それとも、求めるのは俺の真名か?
[硬玉の瞳、軽く睨むように詩ながら男を見遣る]
チックショォォォォォ!
…まぁいい、いやよくないけど。
悲しいけど予想範囲内さ…。
[フッっと自嘲気味な笑みを漏らすキャスター。
その背中ははっきり言って哀れだ。]
…んで、どうすんだマスター。
これでマスターの聖杯にする予定だった願いはなくなってしまったわけだが。
まぁ、俺もマスターが男なら放って置いたんだけどなー。
これで万が一聖杯戦争リタイアなんてされたら俺もたまったもんじゃないし。
[腕を組んで考えるような仕草をするキャスター]
でもまぁ、女が困ってるのに助けずに知らない振りってのは俺にはできんしな、運が良かったな。マスター。
[冷水を浴びせられるような感覚。
―――抑止。]
貴様、
[少し遅れて、女の言葉の内容とその意味が、自らの意識に浸透するのを感じた。]
…っち。
[舌打ち。
この時代、この場所。
自分は、何も知らない。
彼女の言う事が、真っ当なのであろうと、理解できてしまう。]
成程、な。
[ぐ、ぐ、と、銃を向ける時とは正反対のぎこちない動きで、銃口が心臓から逸れていく。
やがて右腕はだらりと垂れ、力を失った手から銃が落ちる。
その銃も、床に接する直前に、再び煙となって散ってしまった。]
[酷く事務的なソフィーの物言いに察したように、シャルロットは、尚も食い下がってくる若者達の正面に立ち、ゆっくりと目を細めて小さな唇の端を上げ、凛と微笑んだ。
[――スキル"魅了"発動]
私が最も望むことは、貴方方が私の願いを聞き届けて下さる事なのです。
今は、そっとしておいて下さいませんか?
[小さな鈴を転がすような、その美しい容貌に酷く不釣合いな幼い声。シャルロットの微笑みに魅入られ、その声を聞いた瞬間、若者達はぽうっとなったように放心し、その場に立ち尽くした。]
……お待たせしました、マスター。行きましょう。
[久しぶりの愛犬の手触りにうっとりしながら、キャスターの問いかけに応える。]
そうねぇ、……目的はなくなっちゃったけど、聖杯に頼んで素敵な王子様でも出してもらおうかしら、うふふっ。
――安心して、お爺ちゃん。
お爺ちゃんはアタシの願いを叶えてくれたんだから、今度はアタシがお爺ちゃんの願いのために協力する番よ。
[愛犬を撫でていた手をキャスターに差し出す。]
改めて、この聖杯戦争を一緒に戦いましょう。
よろしくね、お爺ちゃん。
……と言っても、アタシにできるのは魔力の供給くらいだけどね。
…ふん。こうも躊躇いなく、令呪を使うとはな。
面白いじゃないか。
ならば、戦わせるがいい。俺を。
この時代、この場所、その戦い方。
すぐに見極めてやる。
そして俺は俺の存在意義を存分に見せつけてやろう。
…やがて、お前ももっと強く、感じるがいい。
銃が火を吐く、その感覚をな。
[十分に機が熟したところで、きっと、殺してやろう。
その時が来るのを想い、心を鎮める。]
ふむ、ライダーか。乗騎があるようには見えないが、と、すまない。思ったことが口からぽんぽんと出てしまうタチで思わず…て。
[ 見た目について言及し気を悪くされたことを思い出し、謝っているんだか言い訳ているんだかもごもごと喋っていたがふと我に返り。]
ピュセルぅぅ?!
まさかプロケルのことか? ソロモン72柱じゃないか。真名じゃないってことは通り名かなにかか? なかなか大それた御仁のようじゃないか君は。
[ 予想していなかった名前を聞き、思わず身を乗り出してしまった。改めて椅子に深く腰を下ろし。]
で、本当の名前はなんなんだい? やっぱり真名はきちんと聞いておきたいところだね。
まぁ、確かに人の願いってのは幾らでも在る物だからな。
別の願いがあるならそれで良いか。
[納得したように頷くキャスター。
そして、その後に続いた言葉を聞くと愉快そうに笑った。]
うん、そういう義理堅い性格って言うのは俺は好きだな。
それじゃ一つ、俺の輝かしい第二の人生の為に協力してくれよ?
よろしくな!
[そう言って、キャスターは差し出された手を確りと握った]
まぁ、魔力以外にもいざと言う時の令呪のブーストとかも重要だからいいんじゃないか?
はっきり言おう、俺の魔法の応用力は途轍もなく広い。
故に…令呪によるブーストの方向性も多岐に渡るわけだ。
中々判断力が問われるかもしれないぞ?
[二人の男性をちらり、と見て、またシャルロットへ視線を移す]
では、行きましょうか。
[急ぎ足でその場から遠ざかるように足を速める]
公園はそれほど遠くはなかったと思うのですけど。
[川沿いに歩き、見えてくる公園の姿に目を凝らす。
今は何も感じない]
ようやくわかってくれた?
[消えた銃をみて、聞き分けのない子供に言い聞かせるようにいう。]
使い時を誤らないようにすることね。
あなたが望んでいるなら戦わせてあげたいけれど、
昼間は店があって動けないの。
だから行動するなら夜になる。
でも、わたしは今日は部屋に戻るつもり。
あなたを呼ぶので疲れたから。
あなたはどうする?
休むのなら部屋を用意するし
探索に出かけるなら止めないわよ。
…は?
[思い切り眉を潜める。
男が意図した単語と、英霊が意図した単語の食い違いゆえに]
…乗騎を常に現出させていては己の弱点を知らせるようなもの。
…La Pucelle Jehanne.
ジャンヌ・ダルクと発音すれば、その貴様の温ぼったい頭でも理解できるだろう?流石に。
[呆れを通り越して、馬鹿にしたような表情で男を見遣る。再び]
う、……アタシ、そういうプレッシャーに弱いのよね……。
[苦い顔をしていると、愛犬がぴくりと動いた。]
「バフ!」
あっ、タロ!……よしよし、お腹空いた?
「バフ!ワフ!ハッハッハッハッ!」
[タロは美貴の手から離れ、美貴のまわりを走り回っている。]
あら、お散歩に行きたいのかしら……?
[困ったような顔でキャスターに意見を求める。]
お爺ちゃん、どうしよう?
タロがお散歩行きたいみたい。
一緒に行く?
-樹那森林公園南部 発掘調査現場…っぽい区画-
[ランサーから椅子と引き換えのように差し出されたかつて槍であったものの変化に驚く。やがてその驚きはうれしそうな笑顔に変わっていく。]
(これならきっと売れる!)
[帰国後、魔術に関するものも扱うブローカーに持ち込んだのだが、提示された二束三文の買値に納得がいかず持ち続けていたのだった。
そのまま欠片を受け取り会話を続ける。]
知名度ねぇ。その格好はインドの人でしょ?
仏教にヒンズー教にインドカレー。
けっこう日本にはインドの宗教は知られているわよね。
名前を聞けばたぶんわかるんじゃないかなー。
[小走りにソフィーの後に続く。夜半に川辺に吹く風は冷たい。
成る程、川辺や公園の木々の間などに、僅かに前回の戦争の傷痕とも言える歪んだ魔力を感じ、胸の辺りが苦しくなる。]
どうですか、マスター。何か感じますか?
ああ、そっちか。
オルレアンの乙女、ね。思い切り勘違いしたじゃないか、根っこの部分から。
[ なんだかすごく恥ずかしい勘違いをした、と額に手を当てた後、今度はうん? と首を傾げた。]
乙女…乙女? ああ、そういえばジャンヌ・ダルクは男だという説があったが、実は真実だったのか?
[ 腕を組み、まじまじとジャンヌの姿を眺めた。]
んー…散歩か。
[マスターの提案に少し渋るような表情をする]
他のサーヴァントと戦闘になる可能性もあるがいいのか?
それでもいくというなら多少の準備をして欲しいんだが…。
なにか、多量の水が入れられる物とかがあれば十分なんだけどな。
物事を自分の視点でしか見ようとしないからそういうことになる。
[嘲笑うように男見遣れば、重ねて問われるに首をわざと捻る。
わからない、という訳ではなくはなから答えてやる気などない、とばかりに]
さぁ?どうだか。
[男を一瞥すれば、甲冑が微かにかちゃりと鳴る]
−駅前→樹那森林公園入口−
[人通りはない。時折吹く風に、木々が揺らめいている。公園の中にある街灯の明かりだけが、そこを照らしていた]
わずかに、ですけど。
何らかの魔力の干渉があるようですけど……それがどこなのかまでは。
[公園の中へと足を踏み入れる]
感知系はあまり得意ではないのです。
でも、確かにどこからか魔力の波動を感じますね。
…部屋があるのか。
一応、教えておいてもらおう。
[俺はいいが、奴はちゃんとしたところで眠りたいだろう。
…「彼」に対しては、愛憎の混じる、複雑な感情がある。]
その後は好きにするさ。
…俺はちゃんと眠りもするし、食事も摂る。
大して普通の人間と変わらんはずだ。
[それは俺というよりは奴の影響だがな…と、再び「彼」を想う。
…ふん。]
それと、無理に抑止を破ろうとはしない。
勝手にさせておけ…。
[最後の台詞には、右腕が疼いたが、頬の片端が引き攣っただけで済んだ。
あまりみっともない姿を見せたいわけではない。]
水、かぁ……、氷なら空気さえあればどこでも作れるんだけどな……。
[周囲を見回すと、資源ごみが目に付いた。
その中からペットボトルを取り出す。]
これに入れて持っていく?
……あ、でも、使い終わっても捨てちゃダメだからね!
女も地球も、美しくないと!!
どこかに移動と言われても…ここでキャンプするつもりだったんだけど。
疲労の回復なら大丈夫。慣れてるし寝袋もなかなかいいもんだよ。
[公園の入り口の方に魔力の気配を感じる]
!!
ランサー魔術師がこの公園に入ってきてる!!
― 自室 ―
やれやれ、色々買い物をしてるうちに遅くなっちまったな。
あいつはどうしてるんだか。
[ケネスはスーパーの袋に酒や食材を入れて、部屋に戻って来た。]
おーす、戻ったぜ。
[そう声をかけると、冷蔵庫に食材を入れていく。]
― 樹那森林公園 南部 ―
[ランサーは、イスを地に置き、立ったまま話を続ける。両手を合わせ、合掌。]
――真名ですか。
その前に、一度ヒサコの令呪を見せていただいてかまいませんか?
[そう告げた途端。ランサーの目が公園の入り口へ向けられた。]
ヒサコ。貴方はここに。
-樹那森林公園入口−
そうですか。それでも、マスターは私よりはサーヴァントの気配を感知する能力には優れる筈です。
[短くそう告げるシャルロットの声には、だがソフィーの言葉に対する緊張感が伴っていた。]
どんなサーヴァントと今後対峙する事になるのでしょうね。楽しみですわ。
[ つれない態度にふぅとため息をつき、両手を挙げてオテアゲのサインを見せる。]
女なんだろ。流石にあんな奇説を信じちゃいないよ。まあ本当に男だったとしてもどっちだっていいさ。君がこの聖杯戦争で勝ち抜いてくれるんだったらね。
幸い、ジャンヌ・ダルクの名はこの国でもそれなりに広まっている。無名だから実力が発揮できないとか、そんなことはないから思う存分に君の武力を発揮するといいさ。
[ そこまで言って、立ち上がる。]
ついてきなよ。この国じゃそんな鎧を着込んでいる人なんかいやしないんだ。もうちょっと目立たない服に着替えるといい。
クローゼットにはなんだってあるから、気に入った服を選ぶといい。
[ 背中越しに喋りながら、部屋を出て玄関の扉を開いた。]
…マリアは姿を隠したほうがいいのかもしれません。
私一人なら、「マスター」とわからないかもしれませんから。
それとも、わかった上で対峙しますか?
きっと相手には私たちの存在が少なからず伝わってると思いますので。
[シャルロットのほうを見る]
そりゃ俺だってある程度なら空気中の水分を集めることは出来るが…。
きちんと説明しておくとだな、俺の戦闘能力は水が増えるにつれて飛躍的に上がる。
何故なら俺は水ならば"魔力を通さなくても操ることが出来る"からだ。
それが俺が"水の王"たる所以だな。
簡単に言うと、俺は水があればあるだけ強くなる訳だ。
戦う場所や状況もかなり重要になってくるから、そこら辺は地理に詳しいマスターの判断にかかってるぞ?
[だから頼りにしている、とキャスターは微笑んだ。
そして、マスターから手渡されたペットボトルを手に取る。]
うん…これなら数本あれば最低限の水は確保できそうだな。
これに水を入れたものを常に持ち歩いてくれるか?
さぁ、どうだか。
[もうひとつはぐらかす言葉を口にする。
立ち上がる男を睨みつけるように、何を始めるのかと訝しげな表情で立ち上がったその方向を見上げる]
…勝つさ。
負けることなど、俺には必要ない。
こっちよ。
[温室を出、店の中を通り住居にしている2階へと上がる。]
そっちの奥がわたしの部屋。
許可なくはいらないでね。
この部屋を使ってちょうだい。
[そういってドライフラワーのリースがかかったドアを開ける。
中にはパッチワークキルトのカバーのかかったベッドと
花が飾られた小さな机、それにクローゼットがある。
そして、ポプリの香りがただよっていた。]
必要なものがあったらいってくれれば用意する。
そうそう、庭や温室、部屋においてある花も
少しでも損ねたら食事抜きにするわね。
それじゃ、おやすみなさい。
[男にそういうと露葉は*自室へ戻った。*]
…。
……ずいぶん平和な世の中になったものだな。
[小さく一人ごちるように背を向けて紡がれた言葉に返事を。
示されたクローゼット、いくつか探して適当なものを選ぶと適当な部屋に隠れて着替える。
再び現れたときにはロングTシャツに緑のパーカーと細身のジーンズといった姿。
袖や裾が余るせいか、幾分折り返した着方はまるで*中学生*]
……マスターとサーヴァントの気配を感じますか?
私は、相手がサーヴァントだけであれば、己がサーヴァントである事を気付かれる事はないでしょう。
しかし、マスターが居るのであれば話は別です。最も、マスターと接近しなければまず感知される事はないのですが。
......戦闘を避けたいのであれば、私は隠れておきましょう。まずマスターが「協力関係を結べそうかどうか」確認してください。私はマスターをしっかり護衛してますわ。
[キャスターの提案にきっぱりと首を振る。]
アタシは無理。重いし。
お爺ちゃん、頑張ってねっ!
[満面の笑みを向けて数本のペットボトルを差し出した。]
それでね、タロはいつも公園でお散歩してたの。
あそこなら近くに川も流れてるし、水飲み場もあるし、お水に困る事はないんじゃないかな。
だから、公園に行きましょ。
[キャスターの返答も待たずにタロを連れて玄関に向かう。]
[無防備では霊障が出る恐れがあるため常にその体にある程度の抗魔力を持たせているものの、それでも霊媒体質による感知力は並の魔術師より鋭いはずだが、感じた気配は一つ。
いつもの習慣で独り逃げ出そうとするが、声を掛けられてランサーの存在を認識する]
普通の魔術師が一人。
たぶんサーヴァントじゃないと思う。
[ランサーから感じる魔力の気配と比べサーバントでないと判断する。
いつもと違う行動パターンを強いられ戸惑いからとりあえずランサーの言葉に従いその場に留まりそわそわしながらランサーの後姿を見送った。]
[いつだったか、祖父が病院に連れて行くことをやめた。言っても効果がない、ということもあったのだろうが、感情の起伏は魔術師にはあってもいいことなどない、何にも捕らわれなければ、より魔術師として大成するだろうと後で独り言のように言っていたこと。
そして今もそれは。
緊張はあっても焦りがないことで役には立っていた。それ以外、あまり役立ったことはなかったが、そもそも「役に立たない感情の起伏」が何かもわからない以上、どちらがいいことなのかはわからない]
[シャルロットが姿を消したのを確認すると、気配を感じるほうへと歩いていく]
こちら、か。
…まぁいいけどな。
[ブツブツといいながら、ペットボトルの中に水を入れるキャスター。
その姿はどう見ても魔法使いには見えない。]
ほう…川がある場所があるのか。
それは確かにこれ以上ない有利な場所だな…、確認の為にも行ってみるか…って人の話を聞けよ!
[キャスターはペットボトルの蓋をしめると玄関へと走った]
[公園の中を南へと向かって歩く。
ゆっくりと、なるべく自分の魔力は遮断して]
感じる魔力は…二つ?
[確信はもてないが、南へ行くにしたがって魔力の流れを強く感じるようになる]
ヒサコ。
相手がマスター1人なのであれば、おそるるには足りない。私が貴方に手出しはさせません。
[侵入者の元に向かおうとするのを止め、逃げ出しそうな様子の久子に告げる。]
もう、お爺ちゃん遅いっ!
[タロの首輪にハーネスを繋ぎ、ビニール袋とスコップを持って玄関で待っていた。]
「ハッハッハッハッ!」
ほら、タロも待ちくたびれたって言ってるわよ。
それじゃ、行きましょう。
まあ、戦争地域にいってもそうした鎧は逆に命取りな世の中にもなってるんだけどね。
ま、君には関係のない話だからいいか。それに、この国が平和ボケしているのは確かだしね。
[ と、着替えて出てきた姿を見て。]
おやおや、また可愛らしい格好に。
ひとまず食事にでもしようか。落ち着いてから、偵察がてら街にでも出てみよう。
[ 深くは考えていない口調で喋り、キッチンへと*姿を消した*]
人の話は最後まで聞いてから行動しろ!
[玄関で待って文句を言っているマスターに対して文句を言いながら呆れる。
正直先が思いやられるが…なんか無効も同じことを思っていそうなのは気のせいだろうか。]
はぁ…まぁいいか。
それじゃ、案内頼むぞ?
[ランサーの言葉に現状を認識する。]
そ、そうよね。
ランサーがいれば並みの魔術師なんか敵ないのよね。
ここまできてなんかしてくるようなら返り討ちにしてやれるんだから!
[頭では理解しつつも落ち着きを取り戻しつつもやはりどこか落ち着かない。]
案内はタロにお願いしてね。
アタシはタロに引かれるままだから。
[自宅の敷地を出た途端、タロがハーネスを引っ張って歩き出した。]
こっちだってー。
[首だけを後ろに向けてキャスターに告げながら、タロに引っ張られるまま目的地に向かって歩いていく。]
― ケネスの部屋 ―
むむぅ、この映画とやらは凄いものであるな。
[宗冬は、酒を飲みながら一日中TVで映画を見ていた。現在彼が観ているのは『柳生一族の陰謀』である。]
しかし、何故私が出てこないのだ!柳生一族の!陰謀であるのに!!
[叫び、彼は部屋を切り刻む。]
[一定のところまで来ると足を止めた]
[何かがいる]
(この魔力がサーヴァント…?)
[足元から上がってくる魔力の波動。
額に一筋の汗が流れ――けれど恐怖心はなく――]
これ以上、先に進むと危険、か。
…。
[絶句し、立ち尽くす。]
なんだ、
[この、少女趣味の部屋は。
ぐ、と破壊衝動が湧く。
が、抑止が働き、やがて冷めた。
苛立たしい気分だけが残る。]
…ふん。平和な空気だ。
忌まわしい。
[ベッドに腰掛けると、ポプリと花の香りで頭痛を催した。
自分は、殺伐とした空気の中にしか、在ってはならないのだ。
その空気の中以外に在りたいとも思わない。
…「彼」ならば、この平和な空気を喜ぶかもしれない。]
おい…引かれるままとかじゃなくとにかく水のある場所にだな…。
本気で死んでもしらんぞ?
[キャスターは呆れながらついていった。]
―樹那森林公園・入口―
「ハッハッハッハッ」
[キャスターに向かって]
ついたわよ。
さっすが、タロは賢いわねー。
アタシ、ここからタロ無しで帰れる自信がないもの。
[横でのんきにしているマスターと対極に、キャスターは険しい顔をして公園内部を見つめている。]
…おいマスター、公園内部の何処になにがあるか位は分かってるんだろうな?
事態が変わった、今すぐ川に行くぞ。
サーヴァントの気配がする…しかも二騎だ。
[それでも――歩を進めた]
(シャルロットがいるのだから、相手がサーヴァントであろうとも、すぐに負けることはない……はず)
[さらに歩を進めよう、としたときだった。
ドクン、と心の臓が脈打つ]
な、に?
[振り返って、自分が来た方向を見つめた]
[ケネスは買ってきた焼酎とコップを片手にキッチンからリビングに入ると、侍が部屋を切り刻んでいるのに出くわした。
しばし茫然とした後、声をかける。]
……あー待て待て、俺の部屋を刻むのはよせ。
まあ、俺はその映画見たことないけど、出てないのか、そりゃあ気の毒にな。
[気の無い様子で応対する。
グラスを2つ用意すると、芋焼酎をそそぎ水割りを作った。
一瞬、こいつに飲ませて良いのかという不安がよぎるが、宗冬は既に部屋を刻んでいる。
これ以上、状況も悪くならないだろと腹をすえた。]
まあ、落ち着けよ。一杯やろうぜ。
[そう声をかけた。]
…ちっ。ちっ。ちっ。
糞が。糞が。糞が。
出てくるんじゃねぇぞ、
俺に文句を言うんじゃねぇぞ、
俺をコケにするんじゃねぇぞ、
俺を不快な気分にさせるんじゃねぇぞ…!
[今は、俺の存在の方が、お前より、ずっと優位なんだ…!
お前に望みを叶えさせはしない。
俺を、否定させはしない、]
[ある程度接近してきたところで右腕に魔力うずきが生まれ痛みがはしり顔をしかめる]
(霊障?緊張して久々にコントロールミスったかな?)
[ランサーの笑顔に気づき引きつった笑顔をなんとか返してそのまま相手ので気配を伺う。]
[キャスターの突然の変貌に驚く。]
……えっ?
[改めて周囲の魔力を感じて、静かに頷いた。]
ええ、わかったわ。……でも。
……タロが川に行きたくないみたい。
[タロは公園の中心に向かおうと引っ張っている。]
ごめんなさい、お爺ちゃん。
アタシは川がどっちかわからないの。
…クハッ。
何を。
くだらない。
[く、と左手の中指で眼鏡をつり上げる。
…この時代の、様子を見ておくか。
運が良ければ、何かと、戦えるかもしれない。
戦いで銃を撃つ事は、無条件に許されている。
…引き金をひく、あの感覚。
先ほど撃った、感覚を、思い起こすだけで、]
あぁ…っ、く、フフ…っ
[知らず、がくがくと体が震える。
あの感覚があれば、他に何もいらない。
それは、他の何でもない、
至上の愉悦。至上の快楽。]
[ケネスから渡された水割りをぐっと飲み干すと、そのまま瓶ごと飲み尽くした。顔が一気に赤くなる。]
妖術師殿は、私の一族についてどれほど知っておられるかの。
[顔はにやけ、目もとろんとし始めた。だがケネスに向ける視線から鋭さは消えていない。]
[流れる血潮は自らの魔力の源であり、持つ属性を兼ねるモノ。魔力の波動を感じる、どころではなかった]
サーヴァントがもう一人?
しかも……。
[持つ属性が同じであることがわかる。けれど、その力は自分の比ではない。そしてそれは自分の魔術が相手に意味を成さないことを示していた]
― 樹那森林公園 南部 ―
ヒサコ。……サーヴァントの気配がしています。
もう1人、マスターもいるようですね。
[ランサーは久子の傍に近寄る。少し前に出たので、ランサーからは久子の表情を伺えない。
近づく気配とサーヴァント――キャスターだと未だ分かっていない――の動きに集中する。]
[一瞬迷った。協力関係を結ぶのであれば一組。そして今いる二組のうち、どちらが話を理解してくれるかはわからない。
数瞬の後にどちらへ向かうか決め、向かっていたほうとは逆、つまり入口へと向かって歩き始めた]
[己のマスターの気配が動揺を帯びている事に気付き、注意深くソフィーの視線を追う。]
(……もしや。)
[いつでも遮断した気配を解除して、マスターを護れるよう周囲の気配に集中した。]
…ちっ、仕方がない。
[キャスターはペットボトルの蓋を開けると辺りにぶちまける。
ペットボトルから零れ落ちた水は、そのまま地面へと吸収…されず、無数の水玉となってキャスターの周りに漂った。]
【急場凌ぎだが、何かあった場合はとりあえずはこれで何とかするしかないな…。
本格的な戦闘になる前に多量の水を確保した方が良さそうだ。】
…しかもご丁寧に、もう此方側に気付いてるっぽいな。
さて、どうするかね…っと。
[キャスターは軽く呟いてからゆっくりと歩を進めた]
あ!!
[目の前の気配に集中しすぎて感知が遅れる、公園の外の川の方角に大きな魔力の気配…]
げげ!!今度はサーヴァント!!
[慎重に前方を窺いながら歩く。やがて、犬の声が聞こえた]
野犬…ではなさそうだ。
一般人が紛れ込んでるとか?
それとも。マスターも来ていてマスターがつれているのか。
[どうやら、感じ取れているのはサーヴァントの存在だけのようで]
待って、お爺ちゃん。
相手はこちらに気付いて近付いてるのよね……?
ここはタロの気持ちに任せましょう。
[美貴はタロと繋がるハーネスに神経を集中させている。]
一気かよ、大丈夫か?
しかし、妖術師ってのは怪しげだなあ。
まあ、買い物がてら「柳生一族の歴史」とか言う本を読んでみたんだが、兄貴と父親は結構有名だよな。
兄貴はかの柳生十兵衛だし、その父も有名な剣豪政治家と来てる。
[あるいはそのどちらかが出てくれれば、などと言う考えがちらりとよぎった。]
……まあ、それに比べるとお前さんはやや地味で目立たないようだが、それなりに生きて、4代め将軍、徳川家綱の師範とかしてるみたいだし、それなりに良い人生じゃないの。
[家綱の師範ってのがまた地味だがとも思ったが、ケネスはそれには触れないことにした。]
[所々にある街灯の明かり。それに灯されて一瞬見えた姿は女性。犬を、連れているようだった。まだ遠目で、それがマスターであるのかどうか、わからない]
マリア、気をつけて。サーヴァントが、いる。
[小声で話しかけ、そのまま歩き続ける]
犬の気持ちって…一体それに何を任せるんだ…。
[思わず力が抜けそうになる…が、前方から近づいてくる気配がそれを防いだ。]
【あー…、地味にまずいな。
魔力は十分だし手も無数にあるが…やはり水が少ないって言うのは決め手にかける。】
……えっと、どうする?
お爺ちゃんに手があるなら従うけど……っ!
[近寄る魔力の気配を感じ取り、隣に従うサーヴァントに無言で意見を求める。]
(……?)
[先ほどに比べ、己のマスターの様子がおかしい。何か気になる事があるのだろうか。
ソフィーの言葉に小さく頷き、気配を遮断したまま……ソフィーとの距離を更に詰める。]
あれ、引き返していったかな?
[感知している二つの魔力。
魔術師らしきものと、サーヴァントらしきもの。
それらを結びつけた結果、一組の魔術師とサーヴァントのペアだと判断する。
浮かんだ疑問を口にする。]
うーん、なんで魔術師の方が先行して近づいてきてたのかな?
敵意がないっていうアピール?うーん…
[やがて、相手の顔を視認できるくらいに近づき]
……わけがわからない。
[相手はおそらく魔術師。けれど犬を連れている。
戦いになるかもしれない状況で、――恐らくはペットであろうと予想し――犬を連れている女性を不思議そうに見つめ]
!
[突然女性の手を離れて犬が駆けてくる]
様子見でしょうか。
[様子は窺ったままだったが。左手で右の腕環にふれていたが、気配の遠ざかりと共に離した。]
サーヴァントの方へ戻っていくようですね。
どうしますか。
[飛び掛ってくる犬に身構えると、さっと避け、首輪からたれているハーネスを掴んだ]
……大丈夫、怯えないで。危害を加えるつもりはないから。
[なおも暴れようとする犬に向かい話しかけ、飼い主のほうへと歩いていく]
おっ!
[相手の顔が確認できたと同時に、そんな声が漏れる。
理由は当然、見目麗しい女性のペアだったからだ。
これはもう声をかけるしか…と思った時。]
お嬢さ…!
[犬が自分の前を走り去っていった。]
おいマスター…。
そう!そうなのだ!父上や十兵衛は派手だ!ずるい!
いや、父上や十兵衛だけじゃない。
もう一人友矩という兄がいるのだが、あいつなんて三代目の将軍様である家光たぶらかして父上から刺客送られて殺されるという波乱万丈っぷり。『柳生一族の陰謀』でもやられ役とはいえ、良いポジションだしよ。
で、弟に列堂義仙っているんだが、あ、こいつ出家しているのね。こいつも暴れまわるもんだから、寺から追放させようとしたんだが、またまた暴れまくる。仕方ないからそのままにしておいたんだが、あぁくそっむかつく!400年経っても胸糞悪いとはな!
いや、実は今回の召還オファーも始め十兵衛に来て友矩、父上、列堂、石舟斎、軍兵衛と盥回しの上で最終的に私のところに来たんだよ。十兵衛が言うのね、「お前は生前地味だったから、今回の戦で名を挙げてくるのだ。特別に三池典太を貸してやろう。」とかさ。うっさいうっさい、本当にあの兄貴は面倒と思ったのは、全部私に回してくるんだからよ……。
[酔った宗冬の話はまだまだ続くようだった。]
ちょ、……タロ!……待ってよ!
[愛犬に引かれるまま、魔力の渦巻く個所に近寄った。
己がサーヴァントも惹かれてきたことに安堵とも何ともつかない気持ちを抱きつつ、その場に立ちすくむ。]
あ……えと……。
はじめまして、こんばんは。
[精一杯の笑みを浮かべた。]
......Oh! la la!!
[突然、己のマスターが犬に吠え立てられ、驚いて気配遮断を解除しソフィーの傍に立った。]
大丈夫ですか?
[目の前の女性に笑顔を向ける]
こんばんは。犬の散歩、ですか?
犬の散歩は、飼い主が制御するもので、犬が主導権を握るものではないと思います。
[素直な感想を述べて、相手の女性と、そして遅れて現れた老人を交互に見る]
[ランサーの言葉に魔術師らしき気配を確認する]
確かに魔術師の気配が二つ?
サーバント一体に魔術師が二人?
もうわけわかんないわ。
はあ…もう疲れた!!
このまま帰ってくれるなら帰ってほしいわ!
[警戒の姿勢はとり続けるものの、とりあえず身の危険が去ったらしいことに安堵すると、先ほどの右腕の痛みが気になって確認しようと右腕を捲り上げた。
そこには見慣れない三角からなら図形が浮かんでいる。]
このボケマスターァァァァァ!
[キャスターはマスターの頭を思い切り引っぱたいた。]
時と場所を考えろ!
サーヴァントの気配がするって言ったろうが!
そんな小さい犬なら力負けなぞせんだろ!抱き上げるなりなんなりせんかい!
[叫んで捲くし立てるキャスター。
なんかもう色々といっぱいいっぱいに近い様子だ。
というか色々ぶち壊された、主に自分が声をかけるタイミングを。
なんとか自分を落ち着かせ、相手の方へと視線を移し…]
…どうも、見目麗しいお嬢さん!
こんな所で立ち話もなんですしお茶でもどうでしょう?
[いつもの調子に戻っていた。]
[予想以上に多くの言葉が出て来たことに、ケネスはたじろいだ。
こいつには酒乱の気でもあるのだろうかと、ふと思う。]
なんか予想以上に鬱屈と言うかコンプレックスと言うか、いろいろ溜まってんだな、お前さんも……
[そう言うと空になったグラスに酒をついでやる。
とにかく今は*聞き役に徹する事にした。*]
……ヒサコ。
私は先に貴方に言っておかなければならない事があります。
[気配は向こうで停止しているようだ。今から戦うにしろ、話し合いになるにしろ、此方からでは分からない。久子を振り返る。]
令呪。それを見せて欲しかった。
[右腕の痣に微笑む。]
[マスターと、サーファンとなのだということを確信して]
私は流・ソフィー・空穂と申します。
ああ、長いのでソフィーでかまいません。
単刀直入にお聞きしますが……。
[一回言葉を切り、シャルロットのほうを見る]
[老人のお茶でも、という声に]
そうですね、ここで立ち話は体も冷えるでしょう。
私たちも話したいことがありますから。
[笑む。老人の下心などは考えの範疇外のようだ]
ご、ごめんなさいね……。
タロは賢いんだけど、賢すぎて……。
[だらだらと汗を流しながら、ソフィーの右手の先に視線を向けた。]
……。
か。
…………可愛いーーーーーーーーーー!!!!!!
ちょっと貴女!
何この美貌!って言うか美顔!!っていうか美そのもの!!!
[キャスターに叩かれても興奮している。]
[目の前で、パコーンと派手な音を立てて女性の頭を叩く老人の姿に目を丸くする。
この距離まで近寄れば、シャルロットにも相手がマスターとサーヴァントである事は明白であった。
微笑を浮かべたまま、ソフィーの傍に立ち、マスターと思しき女性の言葉、お茶でも、という老人の言葉に優雅に会釈をした。]
ごきげんよう、マドモアゼル、ムッシュ......。
[目の前の二人の様子に、一瞬呆気に取られた、が]
私たちと、共同戦線を張りませんか?
途中まで、という形にはなりそうですけど。
そちらがよければ、ですが。
[すぐに元の表情に戻り、*話を切り出した*]
ぼくの真名はラーマ。
イシュトヴァーク王統につらなる、アヨーディヤの王です。
マスター。
未だ、殆どのものは気づきさえしていませんが、この聖杯戦争は――ある意思の介入を受けています。
[ランサーは*告げた。*]
[ランサーの言葉に右手とランサーの顔を見比べる]
へ?霊呪?これが?
[ランサーに見えないようにこっそりと左腕を確認すると痣はそのままの形で残っている。
自分が何か勘違いをしていたことに気づく。]
そ、そう、これが霊呪よね。
[2人の反応に気を良くするキャスター。
もちろん、油断などはしないがそれでも嬉しいものは嬉しいのだ。
だって一撃で切り捨てられないし。
たとえ、その気が全くなくてもにこやかに反応してくれるだけで大満足である。]
見たところ発見即時戦闘…って雰囲気じゃなさそうだな。
いや、それは此方としてもありがたいんだが。
【女と戦うのっていやだしなー。】
[そんなことを考えていると、目の前の女性から予想外の提案が口にされた。]
そうです。
それが令呪。
私達サーヴァントに3度、どんな命令でも下す事が出来る徴。長期間で曖昧な命令は効き難く、短期間で明確な命令には強く効きます。
どんな事でも。場合によっては不可能な事すら可能に出来ます。
[グラスを瞬く間に空にして宗冬は言葉を続けた。]
でな、この三池典太が曲者でな。ったく兄貴の渡す物に碌な物はありゃしない。わかってたんだけどな、わかっていたんだよ。いや、わかってなかったんだよ。一生わからないんだろうな……。
[いつの間にか満たされいるグラスを再び空にして一息つく。そして刀を抜き放ち掲げる。]
こいつを持っているとどうにも気分が良すぎる。なんでもかんでもすっぱり切ってしまいたくなる。抜いちゃいけないとわかっているのに、抜いてしまう。抜いたら切らずにはいられない。わかっているはずなのに。
いや、しかし兄貴がな……。しかし三池典太が……。
[刀でグラスを持ち上げ飲み続ける宗冬。話はまだまだ続くようだった。だが、同じ話の繰り返しが続くこともケネスには容易に*分かった。*]
−教会−
[あふれ出す。サーヴァントの気配があふれ出す。
他のクラスの召喚に呼応したように、今まさに自分というマスターを必要としているサーヴァントが。
出てこようとしている]
召喚の儀式など、していないぞ。
[厳重に封が施されている聖杯を収めた箱。今は鍵も閉まっている筈。
だが、その隙間からあふれ出るように、魔力が流出し。
そして、人の形へと収束していく]
15人目、書生 ハーヴェイ がやってきました。
[あふれ出した黒い魔力は、次第に一人の幸薄そうな青年の形を取り始めた。
その姿が闇からはっきりと出現した後、彼はまるで自分の体に故障箇所がないか調べるように指を見つめながらゆっくりと動かした]
そういう事か。全く。
[正面にいる人物は、どうやら自分をこの世界に呼び戻した張本人のようだ。彼の体から少しずつ魔力が流れ込んでくるのが分かる]
どうやら貴様が、この私のマスターのようだな。よろしく頼む。
[手を差し伸べる。彼が戸惑っているしぐさを見せている間に、その流れ込む魔力から強く感じる同調]
・・・・・・ 貴様、この私の縁の者か?
−教会−
[戸惑っている彼を一瞥し、近くにある椅子に座る]
全く、本当に困ったものだ。わざわざこんな形で呼び出されるとは。
魔力もかなりそぎ落とされてしまったようだ。まあ、元々聖杯の中に溜まる魔力の吹き溜まりのような状態からこうやって脱出の機会を与えてくれたのだから由としよう。
さて、貴様の願いとやらを尋ねようか。
・・・・・・ 否、貴様はこの私の宝具を所持しているな?
さっさと渡したまえ。
[掌を彼に向かって差し出す。さも当たり前のように]
― 樹那森林公園 ―
大事に使うようにして下さい。
[微笑み。ランサー自身の望みは口にせぬまま、]
少し様子を見てきます。
[マスターの姿が見える範囲で、公園入口方面へ向かう。果たして。]
お、おい。
何がなんだかさっぱり分からないぞ。
[丸腰のサーヴァント。全身を黒のライダースーツで包んだような格好。見た目だけではその正体どころかどの時代の英雄かも分からない。
だが、この圧倒的な魔力。間違いなくサーヴァントだ。それもセイバーのクラスのものだ]
ちょ、ちょっと待ってくれ。
[宝具を要求する彼を無視し、教会の書物庫へと移動する。
彼は聖杯から出現した。ということは可能性としては”以前の聖杯戦争に参加した形跡がある”英霊ではないだろうか。
確か引継ぎ資料には過去数回分の記録が残っているはずだ]
[アサシン。記録消去]
一体前回の戦争で、何が起こったんだ・・・・・・。
[頭が混乱する。イレギュラーが多すぎる]
それは、私の事だ。
[気がつくと、書庫の入り口に彼は立っていた]
前回の戦争でランサーとの最終決戦の結果、消滅させられた。まあ、文献に残っていない理由は他にあるが。
どうした、何故この私の宝具を返却しない。それは元来私の所有物だ。
[敬一郎の右手首を握り込む。最初は小刻みに震え抵抗を見せていた右手だが、次第に力が抜けていく。その直後]
[どこからともなく出現した赤い球根状の異物が、地面に落ちた]
ようやく戻ってきたか。ガーベラ。
[球根をそっと取り上げると、意味も無く握りこんだ]
・・・・・・ 厄介、だな。やはり所有優先権が貴様にあるようだ。これでは貴様程、いや以前ほどの力を誇示出来ないようだな。しかもあり方も全く違う。
さすがは受肉状態の英霊だ、とだけ言っておこう。
英霊・・・・・・ すまない、全く分からない。
とりあえず会話が成立する相手みたいだな。少し落ち着いて話をさせてもらえないか?
紅茶で良ければ出そう。
[黒ずくめの優男はささやかな笑みで答えると、客間へとおとなしく着いて来た。教会内を歩く様は、まるで過去にここに来たことがあるかのようだった]
[紅茶を入れる合間に呼吸を整える。目の前に座っている男は海の者とも山の者とも分からない存在だ。どう話をつければいいのか考えているうちに溢れさせてしまった。
淹れ直し客間に戻ると、彼は足を組み横柄な態度ではあるものの大人しく粗茶の到着を待っていた]
で、整理だ。君はセイバーのクラスのサーヴァント、でいいのか。
あと真名と宝具の名前、出来れば能力も教えてもらいたい。
あとこれが一番大事な所だ。残念だが俺はこの聖杯戦争に参加するつもりは無い。悪いが状況を見てもし参加者が善意な者ばかりだった場合、即その場で令呪を使い果たし消滅して貰うつもりだ。申し訳ないと思っている。
・・・・・・
実につまらん発言だな。まあ仕方が無い、覚醒していないならその程度だろうな。
仕方が無い、教えてやろう。
クラスはセイバーだ。だが前戦争から完全に座に戻っていない為にアサシンのクラス特性も持っている。気配遮断はあまり特性を見出せなかったが、単独行動は依然健在だ。
まあこの私に全て任せておけば良い。貴様は教会で庶務にいそしんでいろ。
聖杯の中で既に貴様の望みは散々聞かされているのでな。悪いようにはしない。
[何か物を言いたげな彼を無視して話を続ける]
真名は・・・・・・そうだな、覚醒前の貴様には言わないほうが良いだろう。数日経って状況が落ち着いたら教えてやろう。
宝具は、先程貴様から返却されたものそのままだ。
まあ、貴様で言うところの剣種が扱えていなかった所を見ると理解できていないようだから軽く説明してやろう。
[右手の中に静かに眠る球根のようなものを差し出す]
私が所持していれば魔剣ガーベラ、貴様が所持していれば斬撃皇帝。いわばカウンターガーディアンと等しき力を持つ剣だ。現在は貴様が所有者のようだから、斬撃皇帝として存在しているようだがな。扱いに慣れるのに時間がかかりそうだが、この状態も中々面白い。
強い魔力の敵と対峙した時に、その相手に合わせて一瞬で剣としての成長を遂げる。貴様相手に振るったら、数十メートルの刀身になりそうだな。
・・・・・・ さて、早速だが。
少しこの体を慣らしておきたい。サーヴァントも揃ったようだし、悪いが散歩にいかせて貰うぞ。
本来の力ならば雑魚共など一瞬で葬ってやる所だが、魔力も随分失い今はこんな状態だからな。
この茶は中々美味かった。戻ってきたときにまた用意しておけ。
[立ち上がり、そのまま客間を出て行く。敬一郎が慌てて後を追ったが、既に闇にまぎれた後だった]
−教会 → 樹那森林公園−
[体がどうも重い。以前ほどの力は無いようだが、サーヴァントとしては充分な力を誇示出来ているだろう。
闇に紛れて疾走していく。そして魔力が集中している箇所がある事に気がつき、進路を変更する]
前大戦のランサーがまたもや現れているというなら、尚楽しめそうだがな。
どうやらそういう訳にはいかんようだが・・・・・・
少しは骨がある奴がいるようだな。
[一つ。サーヴァントの魔力を感じる。近くに、そして強力なものが。疾走する影はすぐさま進路を変更する]
― 樹那森林公園 ―
[突如現出したサーヴァントの反応。疾駆するスピード。ランサーは未だ誰も居ない空地を見つめる。
そのサーヴァントは此方に向かっているようだ。言葉はない。備えるだけ。]
−樹那森林公園南部−
[影から身を現す。視界内にはまだそれらしき人物はいないが、少し離れたところにも複数の強い魔力を感じる]
いきなりの乱戦か。中々面白い。
良い肩慣らしになりそうだ。
[とりわけ近くにいる気配にゆっくりと近づいていく]
[今の彼に弓はない。弓を顕現はすまい。
代わりに両手首の腕環をシャランと合わせる。
闇より浮かび上がる影。長身の躯。]
[その影を既に視認可能な範囲に捕らえている。どうやら小柄なサーヴァントらしいが、その人物からは無視出来ない魔力を感じる]
・・・・・・ で、貴様がこの私を楽しませてくれるサーヴァントか?
悪いが少し遊びに付き合ってもらうぞ。
何なら、遺言に真名でも聞いてやろう。そういう武士の慈悲は心得ているぞ。
[口から出た言葉とは裏腹に、少しにやけている]
ふん、まさか話し合いなどという言葉が聞けるとはな。
[手にした剣種を強く握る。その右手から薄暗い緑色の光がこぼれ、まるで胎動を繰り返すように脈打っているのが見て取れる]
ならば私も貴様に問おう。この戦いに話し合いのみで最後の生存者になるつもりか?
ここで話し合いなどを提案するならば、それは貴様が近い将来同盟者を裏切り殺害するという意思表明にしか私には聞こえんなあ。
中々良い心がけだ。褒めてやろう。
[突如、セイバーの足元近くの地面が轟音を立てて窪みひび割れる]
―――否。
[告げる声。月光によって出来た前髪の影に双眸は隠されて。]
―――否。
[陥没で弾け飛んだ破片が、足元に飛んでくる。]
悪意たる声で告げるな。
[影の中から覗くランサーの眸は燃えるような色をしていた。轟音が支配する中、ランサーは素手のまま立っている。]
[ 斬撃皇帝。
その剣は相手の魔力を”断つ”ために成長する。故に相手より劣ることはない。それはある意味、敵の強さをそのまま形にすると言っても過言ではない。
轟音が止まり、公園に数メートルもあろうかというクレーターだけを残し、彼の右手には刀身が2メートルを超えようかと思える巨大な剣が現れた。彼はそれを軽々と振り回している]
この程度か。貴様の魔力が足りなかったのか、それとも私が正式な所有者ではないからか。
まあ、貴様を断つには充分だ。
悪意、か。私にとっては善意も悪意も変わらん。
むしろ善意とはいかなる物か聞いてみたいものだな。
それとも、何か聞きたいことでもあるのかね?
きみはセイバーか?
[涙は途切れ。
巨大な刀身は、過去見た事のないもの。過去如何なる時にも存在してはいないと何かが告げる。]
・・・・・・
よくわからん奴だ。まあいい。
[一度は膨れ上がった剣ではあるが、そのままセイバーはその完成した剣を携え、さらに気配があるほうへと目線をやうる]
ならば貴様も、破壊に手を染めてみせろ。それを見るのも一興だ
破壊なら。
[右手を虚空に向ける。空気は凝固するように。]
爛れるほどに。
この身を焦がした。
[完全には定まっていないソレを、ランサーは構えた。]
そう。
[肌が蒼みを帯びた。]
歓喜しながら。
[双眸から感情が抜けてゆく。]
殺戮をした。幾度なく。
[穂先を下に。そして、ランサーの意識は*消えた。*]
― 自室 ―
爆弾みたいな奴だったな……
[「うんうん」とか「そうか」とか「お前も大変だな」と言う相槌のループを幾度繰り返した事だろう。
鬱屈した思いを爆発的に吐き出すと、宗冬はコップを握りながら、テーブルに突っ伏して眠ってしまった。
ケネスはそっとテーブルを片付ける。
洗い物をしていると、右の二の腕の部分にかすかな違和感を感じた。
見ると奇妙な模様が浮かび上がっている。]
見え難い位置だから気づかなかったな……これが令呪って奴か。
それにしても、他のマスター達は今頃どうしてんのかね。
俺みたいにサーバントの愚痴を聞いてやっているんだろうか?
[そう口に出しながらも、そんなの絶対俺だけだ、とケネスは確信する。]
[ふと目を移すと壁に掛けてあるカレンダーが目に入った。]
……まだ、5年……たった5年か……
[小さくそうつぶやく。
蛇口から水の流れ出す音だけがしばらく響いていた。]
出来ればマスター同士が食い合った後、漁夫の利ってのが理想だったんだが……もう少し動いてみるか……。
[ケネスはそう言うと*蛇口を閉めた。*]
−教会・夜−
[窓の外を見つめている。あまりの状況の変化に思考がついていけていない。
あのセイバーが何者なのかもまだ分からず、そして宝具が自分の中から出てくる。覚醒していないと言われ、あまつさえこちらの意思など無関係にセイバーは飛び出していった]
管理者として、いきなりの失態すぎる。何てことだ。
セイバーを制するために市内の調査に出るか、それとも・・・・・・
[胸元の令呪を撫でる]
本当ならばそれでもいいんだが、な。
[令呪。サーヴァントに対して絶対命令の発動を行うマスターの武器。使用可能なのは3回だが、3回使用すると契約が消滅してしまう為に実質2回までである。
だが、心のどこかでこれをまだ使うときではない、と思っている部分がある。聖杯に興味のない人間であるにも関わらずだ。どうやら自分は混乱しているらしい、と独り*苦笑した*]
- 樹那森林公園 南部 (ランサーとセーバーが接触する少し前) -
[ランサーの真名を聞き少し首をかしげる。]
ラーマ?
インド古代叙事詩ラーマーヤナ名前くらいは私も知ってるけど…
内容自体はほとんど知らないな。
知名度はなくないけど高くもないんじゃないかな?
[突然現われた魔力の気配にも気づき、落ち着き始めた意識を再び混乱させるのを抑えて状況を整理しはじめる。
感じられる気配は魔術師らしきものが2つ。先に近づいてきた魔術師が霊呪に反応を示した。
遠くから感知できたサーヴァントの気配。
最後に突然現われた気配。]
うーん、突然現われた気配はサーヴァントのアサシン?
アサシンを含むサーヴァント2組のサーヴァントのペアってこと?
[様子を見てくるというランサーの言葉に頷く。]
確かに視認距離っぽい範囲内にいるのに戦闘が始まった気配がないのは気になるところね。
[先ほど状況をようやく自分なりに整理した久子を嘲笑うかのように非常識なスピードで近づいてくる新たなサーヴァントの気配。
ランサーも気づいたようだ。]
またサーヴァントの気配だわ。速い…
もう、やめてよね…
…
これだけの数の敵が一斉に襲い掛かってきたら、例えいくらランサーが強かったとしても私の身まで守ったりできないわよね…
[状況の整理は諦め、逃走手段を考え始める。
気配はこちらに向かって近づいてくる。
そして、発掘調査現場外少し離れたやや開けた場所にランサーと新たで、現われたサーヴァントらしき気配をもつ男が対峙するのが*確認できた*]
―夜・樹那森林公園―
[美女を前に興奮していたが、ソフィーの提案を聞いて、相手がマスターとサーヴァントだと言う事を思い出す。]
て事は、貴女がマスターで、この可愛い子がサーヴァント……?
[二人を交互に見ながらしばらく考えて、]
ずるいー!お爺ちゃんと交換して!!アタシも可愛い子がいいっ!!!
[駄々をこね始めた。]
[ タイガースマンション615号室。
それは、久仁彦が本を管理するためだけに用意した部屋だった。オムレツとサラダ、それにオニオンスープをジャンヌにあてがった後、自分は何も口にしないままで「調べものがある」としてこちらの部屋へとやってきたのだ。]
…ふん。
神よ、我が神よ、か。ご立派な人生だね。
[ 読んでいたのは、ジャンヌ・ダルクに関するもの。]
神の御告げに従って、信ずる道を突き進んで、挙げ句守っていたはずの奴に罠にハメられ、最後は異端者呼ばわりで火炙りか?
はん、最後の時まで神の名を呼び続けたとか、泣かせるじゃないか。いいように使われて捨てられただけなのにさ。
愚かだよ、ただの愚か者じゃないかそんなもの。人のための生き様だなんて、何の価値があったんだか。
[ 出てくるのは嘲りの言葉ばかり。]
本当に。ばーかな奴だな、こいつも。
[ 声のトーンを落とし呟くと、読んでいた本を棚に戻し、部屋を出ていった。]
さてと。少し寝ておこうかな。
[ もはやいい時間といえる時間じゃない。というか、ジャンヌもとうに食事を終えているのではないだろうか?
少し足早に、ジャンヌを置いてきた608号室へと戻る。]
とりあえず今日は寝ることにするよ。奥の間にベッドがあるから、好きに使いたまえ。
僕は隣の部屋にいるから、なにかあったら来ればいい。
[ それだけ伝え、扉をぱたりと閉めた。]
[ランサーの持つ武器らしきものは、その姿を明瞭に顕してはいない。周囲の景色を歪ませる事で「その場に在る」事だけが分かる。]
[セイバーが放つ斬撃を、悉く弾き ]
[また反対に]
[ランサーが揺らめくように疾く繰り出す攻撃も、相殺された。]
[互いに退かず、膠着――とも見えたが、その幕切れは呆気なく、セイバーからの撤退という形で終わった。]
[並の魔術師相手なら対峙しても隙をついて逃げおおせられるだろうと考えていたが、直接対峙せず魔力の動きを感じただけでわかるサーヴァント達の規格外さはその考えが甘いことを示している。
幸いこの立ち入り禁止区域内には一般の人間が入ってきそうな入り口からの小道周辺・テントの周り以外に、あらかじめ脱出用に【無数の罠を仕掛けておいた】。
一般人が立ち入る可能性も0ではないので殺傷能力があるほどのものは抑えてあるが、サーバントに対しても多少の足止めくらいにはなるはずだ。
いつでも逃げ出させるようにいつも持ち歩いているリュックを背中に背負う。]
問題は逃げた後、どうやってランサーと合流するかよね。
[一瞬の間考え込む。相手のサーヴァントがどこから持ち出したのか巨大な剣を手にしているのが見える。]
く…
[体から魔力が失われていく気配に思わず声が漏れる。
戦闘状態になったようだ、ランサーの気配が変わる。
始まった激しい戦闘の様子に呆気にとられてしばらく見守る…]
こんなの…人間にどうにかできるレベルを超えてるじゃない!!
[呟く間にも久子の体からは魔力が失われていく。
サーヴァントの召還に魔力を使った後である。]
ヤバイかも…
[丁度そう呟くのと同時に戦闘の現場に異変が起こる、そこに佇むのはランサーだけになっていた。]
逃げたの?
―樹那森林公園入り口・夜―
[目の前にはサーヴァントとして、尋常ではない魔力を帯びている老人、そして自分とそれほど歳の変わらない女性…魔術師であると推測されるため、恐らく老人のマスターであろう。
そこまで冷静に状況を確認したものの、目の前で繰り広がるのは、マスターの頭を引っぱたく老人と、そんなのお構い無しに大騒ぎしているマスター。聖杯戦争につきものの殺伐とした殺し合いとは、到底連想付かない様子にシャルロットは、交渉を始めた己のマスターに小さく耳打ちをした。]
……マスター。
マスターはこういう状況が、お好みなのでしょうか?
[公園には、セイバーにより作られた陥没地帯、軋み声を未だあげる傾いだ樹木、散乱した枝。
美しかった公園の調和は崩れていた。]
[ランサーの肌の色は元に戻り、双眸は漆黒に。
ややあって、ランサーは久子に振り返る。]
そのようです、マスター。
[ランサーは折れた枝を拾い、傍らの傾いだ樹の幹に掌をあてた。]
[予想外の同盟提案に何か言おうとしたキャスターだったが、再び横のマスターの暴走で空気が壊される。
その事に、なんかもう色々と面倒くさくなったのか溜息を吐いた。
老人としてもあまり真面目な空気というのは好きではない。
歌を歌い大騒ぎしたりするのが大好きな人間なのだ。
それでもちょっと今の現状では真面目にするべきだろうと思ったところでこれだ。]
…ちょっと黙ってろ、ボケマスター。
[キャスターは指を少し動かすと、周りの水が集まりマスターの顔を覆った。]
苦しくなったら手を叩けよー。
[何気に女性に酷いことをしているのだが、キャスター的に今の処置はそういう範疇ではないらしい。]
…それで、一体何の目的で同盟という提案をしようと思ったんだ?
こちらとしても、諸手をあげて歓迎…いや、本音としてはその見た目だけで大歓迎なんだけど、流石にそうも言ってられないからな。
そこら辺を少し説明してもらいたい。
ヒサコ。私を召喚したばかりの貴方を思いやりきれず、戦いに赴いた私を許して欲しい。
[幹から掌を離し、久子に向き直る。]
やだやだ!アタシも可愛いぼが……!?
[水が突然まとわりついてきた。
呼吸ができない。苦しい。
「美しい空気って大切よね」
薄れ行く意識の中、そう思った。]
はあ…よかったー。
[安堵の溜息が漏れる。ランサーの方に歩みよりながら続ける。]
そうなのよー、私の魔力もう尽きそうで。
あのまま続いてたら危なかったかも。
たぶん、もう一戦交える余裕はたぶんないわね。
このままここに留まり続けるのは危険ね。移動しよう?
[マスターの口を封じた老人の所作を見、ソフィーに目配せをすると一歩だけ前に出た。]
ムッシュ、サーヴァント同士で話をしようと言う事でしたら、私にも異存ございません。
……聖杯戦争は、今始まったばかりですわ。サーヴァントは全てで7名。まだ、どんな英霊が呼び出されているのかすら、私たちに情報はありません。私たちが始めて対峙したのが、貴方方だったのです。
まずは情報収集をし、この度の聖杯戦争の全容を掴み、可能であれば出来るだけサーヴァントの数を減らす事が、私の目指す所なのです。それに最も効率が良いと思われるのが、暫定的な共同戦線を築く事だと、私は考えました。
もちろん、最終的には私たちも対峙する事となりましょう。
けれど、初めから不利な個人戦を行う事が有利な事とは私は考えておりません。
私から貴方方に提供できるのは、優れた情報収集能力です。如何でしょうか。
それがいいと思います。
あちらに居る彼らの意思はどうあれ、今はヒサコが休む方が先決です。
[久子に微笑む。]
ヒサコ。何処へ移動しますか?
[移動の用意を始めているのを自発的に手伝いながら。]
[どうやら気を失ったらしいマスターの顔から水を剥がすと、水を使いその場に寝かせる。]
手を叩くことすらせずに気絶しやがったよ…
ってあれ、耳まで塞いだらもしかして声聞こえなかったか?
まぁいいか。
[その後、目の前のサーヴァントであろう女性からの発言を聞きながら何度か頷いた。]
なるほど、確かにこれ異常ない程わかりやすい理由だ。
勝者は一組といっても、最初から一組だけで戦い抜く必要性はない、むしろ複数で組んで周りを倒した後に…というのが賢いやり方であるというのは同意できる点だな。
【だが…それは同盟中の裏切りと言うリスクも同時に背負うことになる。】
[ふむ…とそのまま少し考えを巡らす、確かに最初から仲間を得るというのはこれ以上ないアドバンテージだ、しかも相手が見目麗しい女性の同盟というのなら断る理由などキャスター的に全く無いといっていい。
なんつーかもう、ばっちこい!である。]
…こちらからも条件がある。
これは互いに言えることだが、流石に互いの情報が0の時点で決定できる事じゃないからな。
流石に真名は問題があるだろうから、互いの"クラス"を教え合う事…そして"力"を見せて欲しい。
……ムッシュ、マスターが気絶したようですけれど。
[流石に眉根を顰めて、倒れたマスターに処置をしている老人に問いかけ口調で言い。]
成る程、共同戦線を張るには、お互いの特性を知り生かす必要がありますから、仰る事ももっともな事。
ひとつ、お話をしておきますと。私は先ほどから貴方が"水を自由に繰っている"という事実を何度も目の当たりにしていますわ。簡単な魔法なら、どのクラスでも使えるのかもしれませんが……私には貴方のクラスの推測が、ついてます。
ですので、私のクラスをお教えする番、と言う事でよろしいですわね?
[その言葉は確認口調だった。
しかし、最後の言葉が彼女の小さな口元から消え失せないうちにシャルロットの姿は、地面を蹴る小さな音と共に忽然とその場から消え……
次の瞬間、キャスターの背後に、僅かな気配が揺いだ。]
[倒れたマスターのほうへと歩み寄り、具合を確かめる]
……気を失っただけのようですが、結構なことをなさるのですね。
[額に手を当てると、わずかに体温が高かったが、それ以外はどうもないようだった]
オッケー。
テントはそのままにしておこう。
オフィス街でビジネスホテルでも探して今日はそこに泊まろう。
でもあっちの方なんだよねえ…
[北の方角を指差す。そちらは他のサーヴァント達の危険が伴う方向だ。]
回り道をしなくちゃかな?
…だと思ったよ"暗殺者"。
[眼前から背後へと動く気配。
キャスターは気配が動く瞬間、足で地面を軽く蹴った。]
"tuutia"
[キャスターがそう呟いた瞬間、キャスターの背後に背丈の2倍ほどの岩山が現れる。]
......Je le comprends!!
[キャスターの背後に忍び寄る刹那――目指す場所の空気が揺れるのを感知した。
素早く地を蹴り間合いを僅かに取る。]
水だけではない、魔術の使い手という事も判りました。
感謝します、キャスター……。
[老人に対しそう言うと、緩やかに微笑み、そのまま視線を己のマスターであるソフィーに向けた。]
いやいや、間違えるぞアサシンのお嬢さん。
[腕を振り岩山を消しながら、キャスターはにこやかに笑った。]
確かに俺は"魔術師(キャスター)"のサーヴァント。
だからと言って"魔術"の使い手じゃないぞ?
……"魔法使い"さ。
[もとより自分の魔術が通用するとはおもっていなかったが、老人、キャスターの動作をじっと見つめている]
ここまでとは。
やはり。敵には回したくないものです。
キャスター、約束しましょう。
協力関係にある間は裏切らないことを。
それが切れた後はどうなるのか定かではありませんが。
それで、いいですか? アサシン。
あなたも、そのように。
もちろん、そちらが裏切られた場合、その時点でこの約束はなかったことになりますけど。
[シャルロットのほうに視線を向ける]
うん、そうだね。じゃあこっちから行こう。
[南の立ち入り禁止区画の林を指指す。]
私の作った罠が仕掛けてあるから、気をつけて私と同じとこを通ってくること。
じゃあ行こうか。
[後をついてくるランサーを気にしながら罠を避けて林の中を慎重に歩く。]
「バフ!ワフ!ハッハッハッハッ!」
[タロが駆け寄って美貴の顔をぺろぺろと舐めた。]
ん……んん…………。
……あれ、タロ、……アタシ、……。
[ゆっくりと瞼を開き、周囲を見回す。
見知った老人の姿を確認すると、先程の出来事が思い出された。]
ちょっと!お爺ちゃん酷いじゃない!!
......Pardon 訂正しますわ、キャスター。
私の事は、そうですわね。
マリア、とお呼び下さい。
……交渉に応じて頂ける、と解釈してよろしい?
[キャスターに微笑みと共にそう告げ、静かに己のマスターの言葉に頷いた。]
ご安心下さいマスター。
私の生涯に、裏切りという単語は存在しませんわ。
契約は契約として、正々堂々と行使致しましょう。
[ソフィーに真っ直ぐな眼差しを向けた。]
[立ち入り区域のロープをくぐり一息つく。]
ふう…もう普通に歩いて大丈夫。
[早足になり公園を抜けて住宅街の方に抜ける。]
[シャルロットの言葉に、目を伏せて頷くと、目を覚ました様子のマスターのほうへ向かい]
キャスターのマスターの方、よろしければお名前を教えていただけますか?
いつまでも「マスター」では味気ないでしょう。
俺としては大歓迎だぞ、アサシンのマスター。
同盟を組むという事に関して、俺としても賛成だ。
それに、同盟相手がアサシンというのも都合が良い。
正直に言うが…俺は"陣地"の作成は不得意でなぁ。
アサシンの襲撃を最初から最後まで常時警戒すると言うのは俺としても避けたい事態だったんだよ。
【"陣地"じゃないなら得意なんだが…それでもこの地では出来て1回か…名が知られてないというのがココまで不利に働くとはな…。】
[内心、自分の能力の弱体化具合に不満を言ってしまう。
もし戦いの地がフィンランドであるなら、6騎を同時に相手をしても負ける気などしないのだが…。]
っと、起きたかマスター。
よく眠れたか?
[キャスターに文句を言おうとしたが、なにやらおかしな雰囲気であることに気付いた。]
……?
[事情を飲み込めずにぽかんとしていると、ソフィーと名乗った女性に話し掛けられる。]
あ、アタシは新条……美貴……だけど……。
[キャスターとソフィーの会話を聞いて、ようやく理解した。]
そっか、手を組みましょうって話だったわね。
アタシが知らない間に話がまとまってるのがちょっと不満だけど、まあいいわ。
改めてよろしくね、ソフィーさんと可愛いアサシンちゃん。
[二人に笑顔で挨拶した。]
キャスター、貴方の同意が得られて何よりです。
後はマスターですが……
[マスター、新条美貴の言葉を聞いて微笑む]
ありがとうございます、美貴さん。
お加減のほうはいかがですか?
先ほどまで気を失ってらっしゃいましたから……。
どちらにしても場所を、移しましょうか。
ここには先ほどまで別のサーヴァントとマスターがいたようです。
近くまで行ったのですが、こちらに来てしまいましたので、どのサーヴァントか、などはわかりませんけど。
[警戒を解くことなく辺りを見回し、キャスターとそのマスターを*見つめた*]
[ソフィーと美貴の会話を聞き、キャスターのマスターに向けて、柔らかに微笑み丁寧に会釈をした。]
それでは暫しの間、どうぞよろしくお願いします。
私の事は、マリアとでも呼んでください。
「よく眠れたか?」じゃないわよ!
アタシがそのまま起きなかったらどうするのよ!
お爺ちゃんのバカ!ヒゲ!お爺ちゃん!
それにしても……。
[キャスターとアサシンを交互に見る。]
羨ましいわ。
[心の底から羨んだ。]
どうやらウチのボケマスターも同盟に賛成してくれるみたいだな。
それじゃこれからよろしく頼む。
[マスターの様子を見て、呆れるように笑うキャスター。
本当にこのマスターは"軽い"。
まぁ、これがガッチガチに堅苦しいマスターだったら溜まったモノじゃないが。
その上男だったりしたら殺してるかもしれない、冗談じゃなく。
そういう意味では、自分にぴったりのマスターを引き当てたのかもしれない。]
うむ、俺も別のサーヴァントの気配は感じていた。
場所を移すのなら…とりあえず川がこの近くにあるらしいんだが、もし場所を知っているなら案内してもらえないか?
水は俺の力その物だ、有利になる地形は確認しておきたいんだが…。
……川、ですか。公園の入り口を駅の方面に少し歩いた場所に見かけましたわ。
もし、この先共闘する機会があるのなら……川を選ぶのが良いと言う事ですわね……?
(そして……キャスターと戦う時がもし来るのならば、川は避けよ、という事ですわね。)
さて、マスター。私たちも川の下見に同行した後は、マスターを教会まで送り届けましょう。あちこちにサーヴァントが出没しているのでは、早めに教会で手続きを済ませる必要があるのでしょうから。
[周囲へ警戒を怠らないソフィーを護るように背後に立ち、*ゆっくりと歩き始めた*]
お加減はなんとか大丈夫みたいよ。
ありがとう、ソフィーさん。
マリアちゃんって、名前まで可愛いのね。
うちのお爺ちゃんなんて、関西弁みたいな名前なんだから。
川の場所、マリアちゃんわかる?
起きなかったらか…。
[その場合の事を考えてみる…。
うん、結論的には]
静かで良いかもなー。
[と言うことになったのは当然かもしれない。]
公園の中に川がある…と言うわけじゃないんだな。
それじゃちょっと案内してもらえるか?マリア。
【あー…女を普通に名前で呼べるのって…いいなぁ。】
[どうでも良い事に対して若干の感動を覚えるキャスター。
まぁ生前は創世すらした身でありながら振られ続けた男だ、それも仕方がない。
そのままキャスターはマリアの案内で川の方へと*歩き始めた*]
そうね、静かでいいわね……ってそんなわけないでしょっ!
まったくもう。
マリアちゃん、案内お願いね。
[マリア達の後についていった*]
- 樹那町北ブロック オフィス街 ビジネスホテル -
[住宅街からまだ人通りのある商店街と駅前を通りオフィス街のビジネスホテルに辿りついていた。
ランサーの風貌から自分達に向けられる奇異の視線を気にするのはもうとっくにやめていた。]
受付の女性「すみません、あいにくシングルルームは満室でございまして。
ダブルかツインならご用意できますが。」
えぇー!!
[不満の声を上げるが、疲労からもう他の宿泊場所を決める気にはなれない。
ランサーをちらりと眺める]
じゃあ、ツインで…
まあランサーならだいじょぶでしょ。
安いくなるしまあいいか。
受付の女性「508号室になります。エレベーターを降りて右、突き当りの部屋になります。」
[鍵を受け取る。ランサーとエレベーターに*乗り込んだ*]
[…ここで、こうしていても、仕方ないのだが。]
―自室の窓の前―
…高いな。
[周囲を見ると、建築の技術は、進んでいるらしかった。
あぁ、穴だらけにしてやりたい。
―――またも、抑止が働く。
えぇい、鬱陶しい。
この令呪というシステムは。
…ここに、保安機構はあるのだろうか。
あるなら、現れたところを皆殺しにしてやろう。
そう想像して、血を鎮める。]
とにかく、戦いだ。
それがないと、何も始まらん。
[窓の淵に足をかけ、一気に飛び降りた。
どさり、
と音を立て、庭らしき場所、その地面に足の裏が激突した。
――甘い痺れ。
引き金を引く時にも、少し似た。]
あふぅ…ッ。
うふ。
くは、は。
はやく。
[本物の感触に、ありつきたいものだ。]
−住宅街・『魔女の館』・夜−
[休もうと思ったがマスターとして
教会に登録に行かねばならないことを思い出した。
召喚で疲れているのだが手順は大事だ。
やるべきことは早めにしておいた方がいいだろう。
魔除けのポプリをポケットにしのばせ、部屋をでる]
連れて行ったほうがいいのかな。
でも寝てるかもしれないのよね。
やめておきましょう。
[音を立てないように階段を下り、
庭に面した勝手口のドアを開けた。]
……。
あら。
出かけるの?
― 自室・夜 ―
[洗い物を終えたケネスは、どこか遠くでマスターの気配と、大きな魔力の動きを感じている。]
かすかで、位置も距離も解らんが向こうは向こうで忙しいらしいな。
宗冬を起こして、俺も少し動くか。
[ケネスはそうつぶやくと、リビングへと向かう。]
[恍惚としているのには気付かず、目の前にいる男に問い掛け、
どこから出てきたのかと視線を上げる。
開いたままの窓にレースのカーテンがゆれている。]
出入りは玄関からしてほしいわね。
でもちょうどいいわ。
これから教会に行くの。
いっしょに来てちょうだい。
敵がいるかもしれないでしょう。
[男の腕をぐいっと引いた。]
[一通り痺れを味わったところで、外へ一歩を踏み出す。
――と。
後方でがちゃりと音がして、マスターが顔を出す。]
…な。
[少し、鼻白む。]
ふん。
貴様も出かけるのか。
奇遇だな。
…何?
何故俺が神に祈りなどしに行かねばならん?
勝手にするがいい。
敵など、銃を撃っていれば勝手に寄って…
[…と、言いかけて、抑止の存在を思い起こす。]
…っち。
まぁ、お前が近くにいて、戦えるなら、俺にも都合がいい。
だが、流れ弾に当たって死んでも、俺は知らんぞ…?
クハッ。
[がくがくと、右腕を震わせる。]
さぁ、ついていってやろう。
歩くがいい。
俺はこのあたりの地理は知らん。
…しかし貴様、神など信じているのか?
ウハッ。
[嘲るように笑う。]
[キャスターと美貴を川まで送り、しばらくの間、二人を見ていたが]
それでは、今晩はこれで。
今から教会のほうに行かねばなりませんから。
明日また、お会いしましょう。場所は……ここで落ち合いましょうか。
駅前でも良いのですが、この面々では注目を浴びそうな気もしますので。
[二人にそう告げて、その場を離れ、教会のほうへと歩き出す]
うぅ……。頭で、頭の中で大徳寺の鐘が鳴っているようだ!いや、大徳寺というのは、列堂の寺でな。二日酔いのガンガンする頭痛を鐘の音に掛けてでな、さらに日ごろ私の頭痛の種となっていた列堂とも掛けた訳だ。
そんなことより水、水をくれ……。
[酷い顔である。宗冬は、気力を振り絞り立ち上がると、刀を杖に台所に向かい、水道に倒れこんだ。蛇口から出てくる水を顔全体で吸収する。]
しかし何か用事でもあるのか?私はこの通りだから今日は休んでいたいんだが。
……バカなこといわないで。
神を信じてるとか信じてないとかじゃなくて
マスター登録に行くのよ。
手順を踏むのが大事なの。
場所は知ってるけど行くのは初めて。
こっちよ。
[先導して教会へと向かった。]
まあ、様子見ってとこだな。
こいつは半分は俺の勘だが、外の動きがやや派手なようだ。
今なら、競争相手に出くわす可能性も高いってわけさ。
……俺が、あまり悠長にやってる暇も無いってのもある。
余裕があればついでに教会にも挨拶しておきたいとこだが、こいつはおまけだな。
待てば海路の日和ありとも言うがな。
まぁ妖術師殿が言うなら仕方がない。
商店街にも行きたかったし、ついでだから行くか。
よし、案内しろ。
[教会へ向かいながら、キャスターたちのことを考えていた。あの二人を信頼していいものか、今一度考えてみる。少なくとも、二人は悪人には見えない。
雰囲気に騙されているのでは、とも考えたが、それに対して和むような感情など持ち合わせていない]
協力関係……か。
マリア、協力関係を結んだ、といっても、完全に信用しきるか、とは話が別です。
他にどんなサーヴァントがいるかもわかりませんから、警戒はいつでも怠らないようにしましょう。
ああ、教会が見えた。
[目の前に、教会の明かりが見える]
ふん。
いちいち、気に入らない女だ…。
まぁ、俺に力を寄越しさえするならば、外道だろうと、正義の味方だろうと、神だろうと悪魔だろうと、何だって構わんがな…。
[と、一瞥もくれず、女は先に歩き出してしまう。]
…。
[右腕が、酷く疼いた。]
あぁ…ッ、出てきてくれよ。
愛する、「敵」よ…。
[そうぶつぶつと呟きながら、ふらふらと後を追った。]
−樹那川土手→教会−
[シャルロットに教会の外で待つように、と告げて、自身は教会へと向かう。
ドアを開けると、無人の礼拝堂が広がっている]
前にも一度来たけど。
神父はいるのだろうか。
承知しましたわ、マスター。
[控えめに頷き、教会からは大分離れた場所でシャルロットは立ち止まった。]
……私はこれ以上先へ行くのは止めておきます。教会の中は安全な筈ですので、ここでお待ちしています。
[何故だか判らないが、胸騒ぎがした。だが、"教会は安全である"というシャルロットの固定観念が胸騒ぎを否定した。]
ご案内しましょう、お武家様
[ケネスは溜息をつきながらコートを羽織る。]
マスターの気配は俺が探るが、サーバントの気配がしたら教えてくれよ。
[そう言うと宗冬と共に外へと出た。夜道を2人で歩いて行く。]
[何度かの呼びかけの後、神父は現れた。
特に何かを思ったわけでもない。令呪も大人しかったし、聖杯戦争へ参加の意思を告げたときも、何も「感じなかった」]
それでは失礼します。
「どうか、ご武運を」
[神父というにはまだ若い青年に見送られ、礼拝堂を後にする]
……なんだろう、この違和感は。
[疑問を口にしたが、答えを期待できないものに執着心が働くはずもなく。
シャルロットの傍まで来ると、もう一度教会を振り返った]
[しばらく歩くと、ケネスは別のマスターの気配が近づいてくる事に気づく。]
サーバントがいるかはわからないが、俺が先に歩いているのはまずいだろうな……
宗冬先に行ってくれ。サーバントの気配を感じたら行動は任せる。
先に見つけたら刀を抜いていいぞ。
[バーサーカーに細かい命令は出来ないからな…そう思いながらケネスは言った。]
帰りましょう、マリア。
キャスターたちと協力関係は結びましたが、他のマスターやサーヴァントにはまだ会わないほうがよさそうですから。
[教会から視線をシャルロットに戻したときにはもう、違和感のことはどうでも良くなっていた]
ぶつぶつ言ってないで敵がいないかどうか探ってちょうだい。
近くにマスターがいるような気がするのよ。
わたしこういうの得意じゃないんだから。
あなたできない?
[足を止めて男の方へ振り向いた。]
ええ、そうですわね。
……私の特技は"相手に気付かれずに行動する"事ですから、出来ればしっかりと下調べをしてから、他のサーヴァントと相見えたいと思います。
気配は消しておきます。今は情報を集めましょうか。
[チリチリする胸騒ぎを押し殺すように、ソフィーの傍らを歩き注意深く住宅街へと*向かった*]
ー 夜道 ー
[ケネスの後に続いてしばらく歩くと、強大な気配の存在が感じられた。この角を曲がった所に何かがいる。]
妖術師殿、嫌な気配が。相手に気付かれる前に逃げましょう。
[宗冬は弱い。だが、宗冬は現実的であり用心深い。だからこそ幾たびの政争暗闘を生き抜いてこれたのだ。振り向きそろりそろりと足を忍ばせ、来た道を戻る宗冬。しかしまさかそこにバナナの皮が落ちているとはいくら宗冬とて思いも寄らぬものであった。盛大にこける宗冬。商店街で食べたバナナ。おいしかったバナナ。食べたのは宗冬であり、捨てたのも宗冬である。]
自業自得!気付かれたか!?
下調べはしすぎて困ることはないでしょうから。
その方面はマリアにお任せします。
[教会からの帰り道は大通りを避け、裏道を通る。多少遠回りになってしまうのは仕方なかった]
あぁ…?
[息をつく。
はやく。 うたせてくれよ。]
そうか、マスターがいるのか。
じゃあ、サーヴァントもいるかも知れんなぁ?
[右腕が、ひとりでに震える。
やがて、左腕も、震え始めた。
気配を読む、そんな余裕がない。]
…どこだ。
どこにいんだよ。
ウハッ。
[と、空気を感じる。
甘い痛み。その空気。
そして物音。]
‐樹那川‐
[マリア達の案内で川へと到着したキャスターは、2人を見送るとゆっくりと川の近くへと歩いていく。
女性と離れ離れになるのは口惜しいが、今はそれよりも重要なことがある。
それは、この地でどれほど自分の力が"弱体化"しているかだった。]
これぐらいの水量があるなら十分か。
そりゃまぁ、多ければ多いほど有利だが…。
[キャスターはそう言いながら"川の上"を歩き進む。
そして川の中央付近へと辿り着くと両腕をゆっくりと指揮者のように動かした。
その動きに呼応するように、莫大な量の川の水が水柱となって空に打ち上げられる。]
大海の荒波と違い素直な水だな…うん、従え易い。
[天へと打ち上げられた水は、巨大な水の塊となって頭上に浮かんでいる。
キャスターが掌をゆっくりと動かすと、それに従い厚い水の幕となってキャスターを覆った。]
【さて…魔力の酷使は周りに感づかれる可能性もあるが…。
この場所でなら戦闘になっても良いだろ。
女ならこっちからさっさと逃げるしなー、戦いたくないし。
むしろ戦いよりもお近づきに…】
[そんな事を考えながら己の持つ魔力を一気に開放する。
水ならば魔力を流さずとも操れるが、性能と言う点で見るならば当然魔力を使い従える方が断然上である。
キャスターは己の"宝具"の弱体化を把握していた。
もちろん腐っても宝具だ、決して弱いわけではない…が、それでも使用回数と性能と言う点では落胆せざるをえない物となってしまっている。
本来の自分の力のつもりで戦うことは危険だ、一刻も早く正確な"自分の情報"を把握しなければならない。]
それじゃ、試してみるか…。
[キャスターはゆっくりと、指を川下の水面へと向ける。]
"keihastaa"
[その瞬間、キャスターを覆っていた水の幕から、魔力が篭った無数の刃が生まれる。
そして、その全てが一斉に発射された。
着弾点では凄まじい爆音と多大な水飛沫が発生する…が、キャスターは眉を顰める。]
全体的に魔力が下がってる…か、この分だと他の魔法も全てランクダウンしてるなぁ…。
[はっきり言って弱体化も良い所だ、今の命令は大地を割るつもりで命令を下した…だが今のでは精々大地を削り抉るのが良い所だろう。
その後も様々な魔法を試してみたが、どれも彼が知っている自分の実力とは程遠い物となっていた。
特に酷かったのは、召喚と封印の魔法…彼としてはこの戦争で主力に近い魔法と考えていただけに落胆は大きかった。]
ちょっとこりゃ、全てを真っ向から力づく…って訳にはいかなくなったなぁ。
[それでも彼は"魔法使い"な事には変わりがない。
その魔力量、そして魔法の威力は紛れもなく極みの存在である魔法使いだろう。
元々の彼の能力が高すぎたのだ、人の身で世界を創り、全ての水を支配した不滅の賢者。
それからすれば、ただの魔法使いなんて弱者も良い所だった。]
はぁ…どうすっかなー…
…あぁ、いるぜ、いるぜいるぜぇえええええええええええええええええええええええええええ!!!!!
すぐ近くによぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
…待ってたよ。
俺は、お前を、待っていたよぉおおお?
[ふらり、と、しかし足早に、歩く。
――その両手には、既に、鈍い光。]
やっと、やっと、やっと!
愛してるぜぇ?
捜し求めてたぜぇ!
なぁ…、俺の愛する「敵」よ。
[いきなり騒ぎ出した男に驚く。
呆然としていると彼は先ほどなにかの音がした方へ
歩いていってしまっていた。]
ちょっと、あなた。
待ちなさい。
わたしは疲れてるの。
戦いになったら……。
[小走りで追いかけるが追いつけない。]
[やはり気付かれていた。やはり敵だった。この時、宗冬は不思議な感覚を味わっていた。敵を目の前にした瞬間から全身に力が満ちていく。刀を抜くと、今までになく馴染む。宗冬は、大上段に構え、目の前の敵に走り出す。]
ちぇすとぉぉぉ!!!
[一気に間合いを詰め、振り下ろす。]
[キャスターの操る“魔法”をタロと二人で眺めている。]
お爺ちゃん、すごいねー。
「バフ!」
マリアちゃん、可愛かったねー。
「ワフ!」
[ようやく家にたどり着く。ふと振り返り]
……魔力。
ひとつはキャスターか。
後は……。
[キャスターとは別の。けれど、それがいくつなのか、どの場所なのか、何者なのかなどわからない]
結界を強く張りなおさなければ。
[門を閉め、そこに何事か呟き、庭の四方の隅でも同じ事を繰り返す。
そして、家に入り]
シャルロットは上にいてください。私は地下の工房でこの敷地にかけられた結界を強化しますから。
[シャルロットにそう告げて、地下へと向かった]
[角を曲がる。
そこに、この世の全てを合わせたよりも価値のある最大の快楽、
それを味わうための、許可証が、見える。
…振り下ろされる、鈍い光。]
ウハ、ウハ、うはははははははっ、ひゃ、ふぅ。クハッ、は。
[ぐらり、と、よろけるようにして、その刃から体を逸らす。
が、肩口を切り裂かれた。
激痛が走る。]
あはッ?
いいねぇ、いいねぇえええ。
[空へ向けて1発、銃砲を鳴らす。
がぁん、と音がして、スイッチが入る。
痛みも感じなくなる。
…これだ。これなんだよ。
これだけのために、今、ここにいる。
目視する。目の前の男。
ろくにその姿を確かめもせず、両手に持った銃を向けた。
既に、マスターの、魔力を、たしかめてあ、すこしは、もつはず
…銃声が、少し外れて、2回響く。
狙いは心臓と、足元。
距離を取るとか、そういう思考は、既にない。]
[川の上で考え事をしながら、ふと川原に眼をやる。
そこでは犬と戯れている自分のマスターの姿。]
ハァ…。
[その和やかな空気に溜息を吐く。
正直、自分より戦いの中でノー天気になれる奴を見たのは初めてかもしれない。
本当に気が抜ける…。
キャスターは再び溜息を吐くと、マスターのほうへと歩いていった。]
はぁ、はぁ……。
なんで言うこと聞けないのかな。
[息を切らせ、ようやく追いつくとすでに戦いは始まっていた。
状況を確認する前に何かが自分から抜けていく感覚にふらつく。
通りの壁に寄りかかり、座り込みそうになるのをこらえた。]
[宗冬が剣を抜き暴れ始めると同時に、急速に力が抜けていくのを感じる。]
くそっ……こりゃあ、思ったよりきついな……
何とか魔法で支援したいが、下手するとへばっちまう……
[宗冬と対峙している男を見ていると、女性の姿が目に入る。]
……あれが、向こうのマスターか……女でしかも美人かよ、やり難いなあ。
[何かを仕掛けたいが、力の浪費は避けたい。
少し悩んだ後、向こうが何かを仕掛けてきたら応戦する事にする。]
[手応え。しかし浅い。そう判断すると再び大上段に構える。宗冬の腹には穴が開いている。血が流れている。裂迫の気合と共に大上段から剣を振り下ろすとは示現流である。それだけにしとめ切れなかった時の隙はいかんともしがたい。宗冬の未熟さを示す傷である。だが、宗冬は気にしなかった。敵を目の前にしてからどうにもこうにも気持ちよくて仕方がなかったのだ。宗冬は再び刀を振り下ろす。]
うぉぉぉお!!
[己のサーヴァントと刀を持った男が戦っている。
ではその後ろにいる男がマスターなのだろう。
しかし自分が弱った姿をさらしているのに
相手のマスターは何もしてこないようだった。
ほっとして寄りかかった壁から身を離す。
【……これいじょうは】
幼い自分の声はまだ遠い。
もう少しはもつ。
いざというときのためにポケットから種を幾つか手に取った。]
あれ…?
[目の前の男は、なお、刀を振り上げ、殺意を向けていた。
…いや、殺意と言うよりは、破壊、か。
おかしいな? 確実に、急所を狙ったはずなのに。
不審に思い、見下ろすと、心臓を狙った銃の砲身が、見事になくなっていた。
最初の斬撃の時に、無意識に受け止めようとしたらしい。
足元を狙った銃が外れたのは、傷のせいだろう。]
ウフッ。
[眼前に迫る危機、その威力、その大きさに、歓喜を覚える。
…これは、撃ち甲斐がある。
強い力。強い意志。それらを無機質に打ち砕くのが、銃なのだ。
半歩引きながら、両手の銃を交互に連射する。
反対側の肩を、先ほどよりも深く断たれたのを感じる。
狙いが定まらない。
周囲の道路に、塀に、次々と穴が空く。]
あぁ…っ、たまんね、ぇ…。
[のうずいが、とろけるかんかく。
しんからつたわる、かいらく。]
これいじょうの、しあわせは、ないよな…? おい。
[向こうの男の楽しげな姿と、宗冬の我を忘れた戦い振りを見て、これは相性がかみ合いすぎているのでは無いかとケネスは不安になる。]
まだ少し余裕はあるが、延々とお互いを傷つけあって、残ったのは干からびたマスター2人とか笑えねぇ……
あの男の様子じゃ、向こうのマスターも苦労しているのかね。
[ケネスは力無く苦笑する。]
[銃が撃たれるたびに魔力が吸い取られていく。]
だめ……。
[その場に膝を着く。
【これいじょうは、だめ】
警鐘が鳴り響く。]
これ以上、は。
これが、サーバントを使役するって事か……
戦うのも楽じゃねぇな……
[俺は少し焦りすぎていたのだろうか、とケネスは自問する。]
俺に時間がないのは事実だが、今は引く手段を考えるべきか……
[手応え。だがまだだ。三度宗冬は構える。痛みは感じない。だが身体が動かない。全身に穴が開いている。構えられたのが奇跡と言えるだろう。これが狂化のなせる業なのか。動かない身体を動かそうとして歯を食いしばる。口から血が溢れ出す。]
ぐぅぉぉお!やんぬるかな!!
[絶叫し、宗冬は倒れる。倒れるその勢いで構えた刀を敵に*打ち下ろした。*]
あぁ、そろそろ、まずい、な。
[流れ込む魔力が細くなるのを感じる。]
じゃあ…しあげに、かかろうか、な。
[ずるり、と足を引きずる。
いつの間にか、脚も、切り裂かれていた。
ほとんどつながってもいないだろう。]
クハッ。
あぁ、おわっちまう。
残念だ。
ありがとうよ、戦わせてくれて。
お礼に、見せてやるよ。
俺の、姿、を。
いや……。
[最後の一滴まで魔力が流れていく。
全て吸い取られていこうとしているのがわかる。
母の、祖母の顔が目裏に浮かぶ。
体中が震えるのを止められない。
自然と涙がこぼれた。]
[多大な魔力の消費がぷつりと途切れるのを感じ、ケネスは宗冬の様子に気づく。]
やべぇ、あいつ意識を失いやがったか!
[魔力の消費が軽くなったところで、ケネスは呪文を練り始めた。
道路の脇にあった砂がまとまり、かつての姿であった石と化す。
いくつかの石の固まりは、宗冬の対峙していた男へと空を切って飛んだ。]
これ以上は、だめ……。
だめなの。
[責め立てる声が聞こえるような気がする。
苦しくて、二度と味わいたくないと思ったそれを。]
……いやぁぁぁっ!!
[振り絞るように叫ぶと
無意識のうちに魔力の供給を遮断していた。]
[虚空へ、手を伸ばす。
ごとり、と音がして、真っ黒い棺桶が、ゆっくりと地面に落ちる。]
ふ、ふ。
[笑みが止まない。
棺桶を動く方の足で蹴飛ばすと、残った脚が体重を支えきれず、ぐらりと身体が揺らぐ。
…中から現れた、昏い色の鉄の塊を、両手で抱えあげる。]
さぁ。
これで、死ねるのは、幸せだぜ?
きっとよ…。
[と、体に、鈍い衝撃を感じる。]
…? なんだ、人間。
邪魔を、するなよ。
俺の、唯一の、存在意義…。
お前から、穴だらけにして、やろうか?
[川原へ戻り、さてこれからどうするか…と考えていると、近くから魔力のぶつかり合いを感じる。
近くで戦っている…サーヴァントが。]
どっかで戦ってるなー…。
でも、今って行く必要性もあんまりないよな…水場から離れることになるし。
ってわけで、無視決定でいいよな?マスター。
[がちゃり。
その太く長い砲身が、ケネスの方を向く。
と。]
…?
[引き金を引こうとしたところで、自らの宝具が、
…自分自身が、
ゆっくりと実体を失っていくのを感じた。]
なんだ、と。
あ……あぁ……。
[荒い息をつき、意識があることを、
倒れずにすんだことを理解する。
だが座り込んだまま立ち上がることも
身動きすらできそうになかった。]
ふぁー。
[大きく欠伸して、試し撃ちから戻ったキャスターに応える。]
そうなの?
でも、もう遅いし、そろそろ帰って寝よ。
……ふぁ。
[もう一つ欠伸。]
――あ、帰り道、わかる?
[相手は英霊だ、大して効きはしないだろう。
だが、少しでも男の動きを止めたかった。
相手が立ち止まった隙に、宗冬に駆け寄って担ぎ上げる。
相手の言葉に一瞬最悪の結末を予測したが、直後ケネスは消えていく男の姿を目にしていた。]
…無視って言ったのは俺だけど、ホント緊張感ないな。
[なんかもう、本当に肩の力が抜けて仕方がない。
マスターの欠伸に溜息で返す中、あれ?俺って苦労キャラ?とか思ったりしていた。]
まぁ、帰り道ぐらい来た道を戻れば良いだけだからな。
き…さ、まぁ。
[ぎょろ、と目が動き、自らのマスターの姿を捉える。]
…力を、寄越せ。
俺が存在できるだけの。
奴らを、殺せるだけの…ッ
[力を振り絞り、女の方へ、銃身を向ける。]
は、やく…しろよぉおおおおおおおおお!
俺を、邪魔、するなよ…。
…「奴」が、あらわれない、うちに、
さっすがお爺ちゃん。
伊達にお爺ちゃんじゃないね。
首から下げた住所と電話番号は卒業だね。
タロ、帰るよー!
「ワフ!」
[駆け寄ってきたタロのハーネスを握り、キャスターに道案内を任せて帰宅した*]
爺ちゃん爺ちゃん言うなよ、中身は若いんだって言ってんだろボケマスター。
[マスターの頭を軽く叩いて、キャスターは帰路へと着いた。]
[宗冬を担ぎながら、視線を移すと座り込んでいる女性が目に映る。
…今なら労せずとも…そんな気持ちが胸をよぎった。
サーバントは力を失っている。
ケネスは既に魔力はほとんどつきていたが、それは向こうも同じだ。
男女の体力差ならばあるいは……視線が一瞬泳ぐ。
しばしの沈黙の後―]
あんたも色々大変だな。
[そう言いながらその場を立ち去っていた。]
え……そんなこと……。
[否定しようとしたが、つないだ魔力を絞ってしまっていたことに気付く。]
戦えるほど、あげられない。
言ったでしょう……わたしは、わたしのできる範囲で、と。
[無意識で行ったことなのでなかなか戻せない。
だがゆっくりと、供給を再開させる。]
わたしにできるのは、ここまで、よ。
[言葉を発するのも億劫だったが、じっと相手をにらみつけた。]
こ…っの、クソがぁ…ッ!
もう、俺は、
……。
[だらり、と、両腕が垂れ下がる。
宝具が、完全に消え失せる。
…やがてゆっくりと、その姿が明確なものへ戻っていく。]
…ふぅ。
危ないなぁ。全く。
…あれッ、いってぇ!? 痛ぇ!
なんだよ、これ…。
あー、くっそぉ。
[その纏う空気が、一瞬にして、剣呑なものから、
平凡なそれへと変わる。]
[なんだか目の前の男の雰囲気が変ったような気がした。]
あなた……。
けがのせいでおかしくなった……?
[ぽつりと呟いた。]
[横目に、先程まで殺そうとしていた二人を見送る。]
っふ。
惜しかったなぁ、「彼」。
[少し肩をすくめようとして、やはり激痛を感じた。]
いて、いててて。
無茶やるもんなぁ…。
ね、マスターさん。
大丈夫?
迷惑かけるね。
[疲れたような表情ながら、少しにこりと笑い、語りかける。]
[魔力を振り絞り、薄く光る針と糸を生成する。
それを右手に握ると、左肩の傷口から、縫合を開始する。]
くぅ…いたたた。
うーん、ひどいなぁ。
まぁ、そう見えるのも仕方ないかもしれないけど。
僕は、はじめましてなんだよ、マイマスター。
有体に言えば、二重人格ってことになるんだよね、僕達は。
はじめまして、マイマスター。
僕の事は、リチャードと呼んでほしい。
さっきまでここにいた奴の、名前はない。
強いて言えば、「彼」は、「ガトリング」…だ。
あなたの名前は? マイマスター。
― 回想・樹那森林公園南部からの脱出―
[久子が指し示す通りの「道」を一歩一歩辿りながら続く。
月は空を支配し、公園内は不気味な沈黙があった。
先程の、ランサーとセイバーの激突(近くに居たサーヴァント達が気づかぬ筈はない)
そして今、二騎のサーヴァントが話し合う中で披露される「魔法」――今の世の理の力ではないもの。それらが動植物の聲を静めさせる結果となっているのか。
久子の仕掛けた罠は、起動しなければそうとは分からないもの。致命的な傷こそ勿論「サーヴァントには」与えられないものの、隙を作れるだろうものは仕掛けられているようだった。]
よくこれほど仕掛けられたものですね。
[感嘆の声を上げた。罠の多さは、久子の逃げ足の速さに繋がるものなのだろう。]
あなたがリチャード……
彼、がガトリング……。
[座り込んだまま一応頷く。
疲れのせいか頭に霞がかかったようで
理解できているかは疑わしかった。]
わたしは露葉。香野露葉。
ところで。
がとりんぐ、ってなに?
てっぽうの名前?
ありゃ、知らないか。
まぁ、大して広まった兵器ってわけでもないしなぁ。
そうだよ。「彼」が最後に出した…虐殺機構。
いてて。
[手際よく、するすると傷口を縫合していく。
…まぁ、自分を処置するのは、得意とは言えないが。]
こうのつゆは、か…。
つゆは、って言うのが名前?
不思議な響きの名前だね。
- オフィス街 ビジネスホテル 508号室 -
[ランサーに服を着がえるように指示して自分はバスルームを使う。
さすがにシャワーの最中は眼鏡を外している。
普段は眼鏡と目にかかる髪のためその目は目尻がつりあがっていて大きい。鋭くはないが勝気そうである。
湯気でよく見えないがその体のシルエットは本任曰く大気晩成型…]
はあ、これで町を普通に歩けるよ。
[大分リラックスして今後の行動を考える余裕が生まれる。]
「教会」の登録って必要なのかなー。
[彼女にとって教会は、あまりお近づきなりたくない組織である。
教会に限らず組織に類するものには似たような感情を持っているのだあるが、母の死に関連した組織ということで教会は別格である。]
…聖杯って教会にあるのよね。
うまくいけば盗み出せるかも。
…もうすぐ応急処置が終わる。
そうしたら、魔力の消費も、もっと落ち着くよ。
と言うか、それ以上のことができる魔力はないようだしね…。
そうしたらさ、今日のところは、もう帰らない?
教会に行くのは、明日にしてさ。
僕はあの部屋、気に入ってるんだよ。
いい部屋を用意してくれてありがとう。
[微笑む。]
― 回想・樹那森林公園→オフィス街 ビジネスホテル ―
[久子の荷物を背負っているのはランサーだったが、着替える事についての会話が何故か出なかったために、ランサーはそのままの格好で商店街などを歩く事になる。
パっと見のランサーは、その歩き方も整ったものであり、中性的で綺麗な顔立ちゆえか(というよりは日本では決して見られない格好から)老若男女、自然に人々の注目を集める事になる。
にこりと微笑んでみると、微笑み返され、この国の人々も良き心を持っているとランサーは思った。
ビジネスホテルに辿りつき、マスターが様々な手続きを行っている間に、ロビーの様子を物珍しそうにしている。]
ヒサコ?
同じ部屋の方が貴方に危険が少ないと思います。
[急に視線を向けられ、不思議そうに問う。ランサーの観念からは、久子が心配したような事は起こらないだろう。そして、]
[部屋で寛ぐ事が出来たのは、やっと先程の事。
今、ランサーは、久子が出した衣服を身にあわせている。腕輪類は外す事はしなかったが、首飾りは外してベッド脇の机に置いている。
ネルシャツ。カーゴパンツの組み合わせ。ネルシャツのサイズはややきつかった。]
ふぅん。
それなら知名度はあまりなさそうね……。
[ぐらつく身体を支え、立ち上がろうとする。]
ええ、戻りましょう。
もしほかの敵に会ってももう何もできないもの。
あの部屋の物を作ったのはわたしなの。
気に入ってくれて嬉しいわ。
[ようやく立ち上がり、微笑んだ。]
−教会−
[非常に困っている。それはそうだ。
セイバーの問題もさることながら、どうやら先ほどから教会の付近で大規模な戦闘が発生したようだった。
教会の助手を向かわせたが、既に魔力は散っている。後片付けは大変そうだ]
今回の戦争は、とんでもない事になりそうだな・・・・・・
[未だにこの教会に誰一人としてマスターが到着していない。どうやら同タイミングで召喚が発生しすぎたせいで教会前で早速遭遇してしまったようだ]
しかし、ここから外に出て彼らに接触すれば俺がセイバーである事を知られてしまうな。
教会の人間がマスターだなんて、全く。とんだ不祥事だ。
[出来れば知られずにセイバーを失うべきだろう、彼はそう考えていた。いや、正確にはセイバーを失うかどうかという事は既に自分に対しての体裁でしかないのかも知れない]
[シャワーを止めて服を着る。
着替えを終えバスルームから出ると着替えたランサーの姿が目に入る]
やっぱり似合わないなあ…
[きつめのネルシャツは着られてはいるものやはりみっともな見える。
カーゴパンツも落ち着いたランサーの雰囲気とは異質すぎる。
日本人には見えない風貌と合わせると一目を引いてしまう気がする]
やっぱり服買わないとダメだねえ。
[出費を思い溜息をつく。]
[…少し、目を細める。
このマスターは、不思議な人物だった。
はっきり言えば、不審だ。
まず、自分で呼び出しておいて。
まるでサーヴァントに興味を抱いていなかった。
さらに、聖杯を求める、その意思を感じない。
…まぁ、そのあたりは、おいおい探っていけばいいだろう。
部屋が気に入っているのは、本当のことだし…。
…? おっと。
「僕」には、あまり時間はないんだったな。
今は、僕の存在は、酷く弱い…。
「彼」も、もっとマスターに興味を持てばいいものを。]
…言っていなかったよね。
僕は、アーチャーのサーヴァント…。
真名は、リチャード・ジョーダン・ガトリング。
これから、よろしく。
― ビジネスホテル 508号室 ―
体格が違う事はどうしようもない事です。ヒサコの手を煩わせてしまっているようですね。
[久子の溜息に]
ヒサコ。何か悩み事があるのですか?
ちょっと待て、まさか戦闘はセイバーが起こしたのか?
[まだセイバーは戻ってきていない。彼に何が起きているのか。ただ一つ言える事は健在なのだろう。魔力が彼に向かって流れているのははっきりと感じる]
はあ・・・・・・ ほんと、参ったなあ。
[苦悩の時間が続きそうだ、そう覚悟した]
あなた……アーチャーだったの……。
[銃を使うところを何度も見ていたが
全くその考えに至らなかった。
いまさらながら納得していた。
だが、真名を聞いても全く思い当たるものがない。
やはり知名度がないのだろうと思った。]
えぇ、よろしく……。
……ごめん、もぅ、限界……。
[すぅっと音を立てて血の気が引く。
視界が黒く塗りつぶされていく。
目を開けていられず、体から力が抜けていく。
そのままリチャードのほうへゆっくり倒れこみ、*気を失った。*]
― 自室 ―
ああもう、何が「あんたも色々大変だな」だよ、せっかくのチャンスをアホじゃねぇか俺はよぉぉー!
[手についた宗冬の血を水道で洗い流しながら、ケネスはそう叫ぶ。]
全く、やり難いったらありゃしねぇぜ。
……まあ、だが力を失っていたとは言え、向こうのサーバントはいつ復活するか解らなかった訳だし、撤退するタイミングとしちゃ間違ってないはすだよな。
うん、たぶん間違ってないはずだ。
[そう思い込む事にする。]
しかし、このバーサーカーって奴は思ったよりやっかいだな。
戦い出したら止まらねぇし、魔力消費は激しいし、おまけにそれほど強くも無いと来ている。
バーサーカーを使って聖杯を手にした奴なんているのかね?
いるなら是非ご教授願いたいぜ。
[そんな悪態をついた。]
[そう、今の今まで、僕…いや、「彼」も、この露葉という人も、名前を名乗ることも、どのクラスのサーヴァントであると確認することすら、してこなかったのだ。
どういう人なのだろう。
肩をすくめようとして、またも痛みを感じた。
…全く、懲りないな、自分も。]
…おっと。
うっ…重い、痛い…。
[倒れこんだ露葉をとっさに受け止めたが、ずるずると、一度地面に降ろす。]
はぁはぁ。 僕、非力なんだよなー。
[苦労して、背中に背負うようにして、持ち上げる。]
ふんぬっ…。
い、痛い…。
[涙目で息をつき、足を引きずりながら家に向かう。
*背中には、哀愁…。*]
[ランサーの心配げな瞳に少し戸惑う。]
服を買うのにもお金かかるんだけど、だいじょぶだいじょぶ、そんなに高い買い物じゃないから。
[言いながらランサーの外した首飾りが目に入る]
(あれが売れれば服なんて何何着でも手に入りそうだなあ。)
[隙をついて勝手に売りとばすことも考えたが、ランサーの瞳が悲しそうに曇ることを考えるとなぜか胸が痛む。
首飾りと腕輪を指差し尋ねてみる。]
ちょっと気になったんだけど。その首飾りと腕輪って大事なものなの?
−中央ブロック・噴水前−
[何故か彼は現在噴水の近くのベンチで”エビチュビール”なる表記があるものを口に含みながら休憩している]
くっ、人間というものはこんな泡だらけで苦いだけの拷問具のような飲料を好んで口に入れるのか。なんと野蛮な。
[付近の自動販売機に一部綺麗な斬跡があり、その中から入手したもののようだ。ちなみに実は彼が沖田総司である以上その隣に配置されていた”ワンカップ小錦”を手にしていたらこの結果は違うものであっただろう]
[手の中には球根が眠っている。既に戦闘から離脱した時点でその姿を戻していた。地面は侵食されたままだったが。
敵を断つために大地を犯す。皮肉なことにその剣は人類の在り方そのものとも言えるようだった]
しかし、まさかこんな状況とは。やはり体慣らしをして正解だったな。
[本来の魔力は影を潜め、その戦闘力は沖田という存在にごく近くなっていた。よく考えてみれば宝具も反応が悪く本来の力ほどは発揮できていない。他の力も試してみるべきだとは思ったが、雑魚同然のほかのサーヴァント相手に剥きになるのは見苦しいと考えての撤退であった]
早々にガーベラを真名発動すれば結果は出たかも知れんが。
[少しだけ。ランサーという魔力の色が好ましかったのもあった。もう少しだけ楽しませてくれる存在だろうと、人気の少ない噴水の前でグビっとエビチュを口に含む]
・・・・・・ ええい、苦い!!苦すぎる!!
[噴水の中に放り込んだ]
― ビジネスホテル 508号室 ―
もしや、お金に困っているのでしょうか。私の首飾りをお金に換えれればいいのですが、私がこの時代から去れば、その首飾りも消えてしまう……。
[ランサーは、両手首(両足首のもあるが)に装着している腕輪をさわった。]
どちらも大事なものですが、この腕輪は外せません。何故ならこれは、チャクラという武器だからです。
[右手首の腕輪を久子に見せるようにあげる。と、前触れもなく車輪型の武器へと変化した。]
[しかし、人間というのは面白いものだ。
どう考えても上から下まで真っ黒のライダースーツという男が噴水前でビールを飲んでいるというよく考えれば相当怪しい状況であっても見向きもしない。他人に興味がないのだろうか]
ふむ・・・・・・
[今すぐにでも全てを灰に帰してやりたいところだが、魔力の調子も戻っていない以上つまらない事に力を使うのも愚行でしかない。
いや、どうも召喚されてからというものの破壊衝動が抑えられている気がしてならない。もしかしたら、この風貌に原因があるのかもしれない。現状をわずかに呪った]
まあ、いい。他のサーヴァントと剣を交えていればじきに調子は戻るだろう。
だが、中々面白い防御能力があったな、あのランサー。
だとしたら次は・・・・・・
[形状は違えどガーベラである。ならばその真価は相手の魔力に呼応して生成される刃の大きさだけではない。遠い将来においては空すらも切り裂いた概念武装にも近い力を誇示すれば全ては終わる。ただそれだけだ]
[大事だという言葉に、現界してるうちに売り払えばいい大丈夫!という言葉を飲み込む。
腕輪の変形にも軽く驚きと悔しそうな表情を浮かべる。]
それ礼装だったのね。全然気づかなかった…
私の鑑識眼もまだまだだなあ。
お金は…、困ってるといえば困ってるし、困ってないといえば困ってない。
[確かに生活には困らないほどのお金はあるのだが、彼女の生業のためには法律の網をかいくぐる必要がありそのためには金がかかる。
しかも最近じゃ失敗続きで大分貯金も減っている。
しかし、服の一着や二着など問題にならない額である。
ストレートに心配されると自分ががめついと言われているようで惨めな気分になる。
これ以上言われないように笑顔を見せる。]
いや、ほんとにそれくらいだ大丈夫だよ。
ちょっと聞いてみただけで。
大事と言っても、首飾りは武具とでは比べ物になりません。王の装飾品。それだけの意味です。
[持っていてもらえますか、と首飾りは久子の荷物の中へ。]
気づかないのも無理はありません。
私が持つすべての武器は、神々より与えられたもの。
ヒサコ、確か叙事詩で私の事は知っていると聞きましたが。いえ、内容は知らないのでしたね。
[手と顔を洗った後、リビングに戻るとベットに横たわる宗冬を見る。]
包帯で簡単に応急処置しただけなんだが、さすがに傷の回復が早いみたいだな。
[傷の治りを確認した後、体を引きずるようにソファへと向かう。
ケネス自身に怪我は無いが、激しい疲労を感じていた。]
とにかく今は休もう……
[ソファで毛布をかぶると、ケネスは*深い眠りについた。*]
[さすがに飽きてきた。無理もない。ベンチに座り虚空を眺めているという行為自体が彼にとって魅力的な行動ではない。ただ単にランサー戦で斬撃を流されたのが癪に障り、冷静を取り戻そうとしているだけであった。だがそれも既に終わり、次の刺激を求めている]
さて、そろそろ次の獲物を探しに行くとするか。
[ベンチから立ち上がり、そのまま闇の中へと*溶けていった*]
うん、私が知ってることっていえば、インドの古代二大古代叙事詩って言われるものの一つがラーマーヤナ。
で、その主人公ラーマっていう名前ってことくらいかな。
もちろん。伝わっている物語が、私が体験した事と全て同じという事はありません。
[ランサーは、その続きを言おうか言うまいか。少しの間、沈黙した。]
ヴィシュヌって…インドのシヴァとか並ぶ主神だよね!?
[ヴィシュヌと聞いて大きな衝撃を受ける。
自分の記憶違いかと思い質問口調が口から飛び出す]
そして私は、神々が苦しめられているラーヴァナという羅刹……悪を倒すために、梵仙ヴィシュワーミトラから、神々の武具をたくさん与えられた。
そのように物語では描かれているようです。
[久子の声に、口元が綻ぶ。]
ヒサコ。でもね。
ぼくは、ヴィシュヌの化身なんかではないんだ。
え!?
[相手が主神クラスと聞いて動揺したところで、それを否定され、再び驚きの声を漏らしてしまう。]
はあ…びっくりさせないでよ。
主神なんて聞いてこれからランサーどう接したらいいか考えちゃったよ。
[本人は特に意識はしなかったがそのとき心に浮かんだのは失望ではなく、今ままで変わることなくランサーと接することができるという安堵感だった。]
ぼくが、アヨーディヤ国の王である事は本当だし、確かに悪を討った。だけど、ぼくは人間なんだ。神々が神の力を振るうために、アヨーディヤ国に生まれた赤ん坊に手をくわえた、人々ではなく神々によって望まれた神造の人間。神の力の器。
こんな若い身体であるのも、梵仙ヴィシュワーミトラに器として覚醒させられてから、人間としての身体の成長が止まったからなんだ。
そっか、見た目に合わずずいぶん落ち着いてると思ったらそういうことだったんだね。
…
[ランサーの話のどこか自分や自分の母親の境遇を重ねる。
自分で望んだわけでない力。それによって受ける不利益。
もちろん不利益ばかりではない。
彼女自身それを積極的に使うことにより肯定して受け入れている。]
確かにヴィシュヌはどこにでも居られる。
でも、ぼくは、ヴィシュヌそのものではない。
ヒサコ。驚かせてしまってごめん。
[ランサーは、久子へ穏やかな笑顔を向けた。]
それから言い忘れていたね。
ぼくの望みを。
そしてぼくも、マスターの望みを訊ねたい。
すぅ…すぅ…
[ランサーの話を聞き終わりしばらく考えているうちに、激しい疲労と魔力の激しい消費がもたらす本能的な睡魔によって久子は眠りに落ちていた。
*その寝顔は彼女にはめずらしく安心感に満ちたものだった*]
ヒサコ?
[ふっと微笑した。
深い眠りにつく久子を、背中と膝裏から抱きかかえてベッドにちゃんと横たえると、布団を優しく上からかけた。久子の前髪がやや乱れているのを直す。湿り気を帯びた髪の感触。ランサーはもう一つのベッドに*腰をかけた。*]
16人目、メイド セリア がやってきました。
[彼女は教会における敬一郎の部下である。
彼女がつむぐ物語は、いかにサーヴァントが迷惑な存在であるかといういわば外伝でしかない。その物語からは何も生まれず、その結果何かが代わることはない。ただ単に、何もかも昨日と同じ風景を保つためだけに彼女は活動するのである]
はあ、本当に面倒ね。
まさかアーチャーのサーヴァントの中に重火器系がいるなんて。。。。。。
弾丸は魔力の塊みたいだからもう消えてるけど、これコンクリで埋めるのかしら。
あーもう絶対乾かない。夜明けまでとか無理。ほんとむっかつくわー。
17人目、自警団長 アーヴァイン がやってきました。
[彼は教会における敬一郎の部下。以下セリアと同じ説明なので省略する。ちなみに彼も本当はマスターになることを望んでいた。彼の願い・・・・・・そう、それは明後日の朝生存する事だった]
こちら、アーヴァイン。ミッション終了。
バナナの皮回収、および公園内の地面の窪みも修復。
了解、ではこれから駅前噴水広場の自動販売機の修復に向かう。以上。
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 8日目 エピローグ 終了 / 最新