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「どうにか」なってもらおうとしてやってるんじゃないか。ネリー。
紐はそんなにきつくしてない。だから、頑張れば外れるかもな。
……ちょっとじっとしててな。
[スカートの奥の下着に指を掛け、腰から抜いたナイフを宛がいサイドを切り裂くと、破れた下着を取り去った。]
[ああっ、またこんな……とネリーは息をのんだ。
刃物が動いている以上抵抗できない。ネリーを覆う薄く白い下着があっという間に取り払われた。]
ンン…まあ焦らしといえば焦らしだが…。
[蜂蜜に指を突っ込みたっぷり掬い上げると、露わになったネリーの秘所に塗りつけた。
指が敏感な部分をまさぐり、満遍なく蜜を塗り込めていく。]
ほい終わり。最後にメインゲストを呼ばないと……
[部屋の入口でびびったように固まっている小型犬に近付き、暴れるのも構わず抱きかかえ、ネリーの側に連れてきた。
床に下ろされた途端、犬は一目散に家具の陰に逃げ込んだが、それ以上逃亡も出来ず、じっとこちらを見ている。]
上手く行くかどうか分かんないけど、まあ首尾よく行ったら精々楽しんでくれ。
[立ち上がり、ネリーと部屋の隅で震える犬の両方に向かってウィンクした。]
ワン公、お姉さんに遊んで貰いなさい。
あ…あ…駄目よ。アインシュタインちゃん…!
[あまりにも見慣れた小型犬が連れられてきた。
普段はよくネリーに懐く子だ。ネリーの少し違う様子にか、ギルバートがいるからか、少し警戒感をもっているが、同時に興味も強くもっていそうだ。]
いい子だからこっち来ないで…あ、あ、ン、ン、
や、んぁ、ダメ………ひぁ、ひぅ、ああっ!
[あとはお好きなように、と去っていくギルバート。だがネリーはそれ所ではなかった。
小型犬は濃厚な匂いを発するネリーの秘部へ鼻を嗅ぎながら近づき、舌を出し始めた。
ねっとりとした、ざりざりとした舌がネリーを刺激する。雪解けのような音が部屋を支配する。クレヴァスを虐め倒され、下肢は閉じる事ができず、ただ悶えるネリー。発作的に太ももが痙攣しそうだ。]
それ……だめ……ンンっ!
[ネリーは切なそうに*顔が歪んだ*]
――回想 昨夜酒場地下にて――
[果て行くローズを恍惚の先で捉えた後、静かに寝息を立てる彼女をそのままに、わたしはそっとベッドを抜け出し乱された着衣を急いで整えその場を後にする。
女は余韻を愉しむ生き物だと男達は言うけれど、私にとっていかなる相手との行為でも、達してしまえばそこで終わり。それがたとえどんなに愛しい相手であろうとも、後戯を与え合ったり温もりにまどろむという、甘ったるい物を望むことは有り得なかった。]
おやすみ、ローズ…いい夢を――
[彼女によって剥ぎ取られた汚れた下着を身に着ける気にはなれず、スカートのポケットに捻じ込み一階へと駆け上がる。そして人影が居ない事を確かめて、わたしは酒場の入り口から外へと身を滑らせた。
その時振り返ったのは単なる偶然だったのだろうか?]
[不意に目に止まったCLOSEDの文字――
そのプレートの文字になぜかわたしは違和感を感じる。]
『あら…?あのプレート…。わたしが来た時にもclosedだったかしら…』
[半分以上が一時的に滅してしまった記憶を辿る。訪れた際、わたしはひどく混乱していた。しかし店が開いているか閉まっているか位は無意識で確認していただろう。
あばずれと名高いローズが、昼間から店で情事に励んでいる事は知り得た事実。だからわたしは常にプレートを確認し、尚且つノックまでして店の主である彼女自身にドアを開けさせていた。それは自己防衛の為でもあり、自らが被っている仮面を暴かれないようにでも有った。きっとわたしがローズが他の男と目合う姿を目撃したら――]
[様々な懸念から身を守るように、幾重にも防御策を張っていたわたしが幾ら慌てていたとはいえそこまで見落とすほど乱れていたとは思えない。]
だとすれば…誰かが変えて行った…。でも誰が?何の為に…?
[そこまで呟いてわたしはいくつかの仮説を組み立てる。店にはソフィーが居た事。彼女が何らかの理由で降りてきた際にわたし達の行為を覗いてしまい、思わず外に出た際プレートを変えて行った。或いはギルバートという男が――]
でもその二人が変えて行ったというのには、今ひとつしっくり来ないけど…。でも解っているのは酒場でのやり取りを誰かが確実に見ていた…ということかしら――…
[確認するように一人語ちながら、わたしは頭を抱えた。何故これ程までに頑なに隠してきた思いを、あんな無防備な状況で晒してしまったのだろうか。幾らリックの事で混乱していたとはいえ、わたしがこの地から迫害を受け追い出されたらもう二度と身を寄せる場所など無いというのに]
[常軌を逸脱してはならない。それは痛いほど解りきっていた事実。だからローズへの思いも三年以上の間押し殺してきたのに。湧き上がる欲望は契約で宥めても彼女への思いは誰にも打ち明けずに過ごしてきたのに――]
迂闊…だったわ――
やっぱりパンドラの箱は開けてはいけないものだったのに…。
[わたしは口惜しさを紛わすかのようにきつく唇を噛んだ。そして逆恨みのようにあのギルバートという男の、人懐こい笑顔と何処か見透かしたような眼差しを思い出し――]
あの男に会ってから…わたしの歯車は狂って行ったわ……一体何者なのよ…あの人――
[忌々しく吐き捨てた。そしてローズが彼に首ったけになっていた事実をも思い出したわたしは、今し方まで彼女が触れていた部分が間接的にあの男に穢されたような気がして]
気持ち悪いわ…ローズも…彼女に触れられたこの體も全部…。早く洗い流してしまわないと…
[気が触れそうな感覚に陥りながら、わたしは自宅への道を急ぎ室内に入るなり着ていた衣類を全てゴミ箱へと投げ捨て、熱いシャワーで全身を隈なく洗い流した。]
[赤く染まるまで擦り流した膚に描かれた罪達は、滴るような色艶を纏って。
主と共に柔らかいベッド、深い眠りへと落ちていく――]
──町に隣接する森の中──
[男は何かから逃げるように森を走っていた。
靴を履いていない疵だらけの素足には乾きかけた泥がこびり付き、何処かにひっかけでもしたのか、汗と泥で薄汚れたシャツは継ぎ目が裂けて肩が露出したりしていた。]
[艶の褪せた茶髪に木の葉を絡め、今も腕や顔に小さな擦過傷を増やしながらも、男は痛みを感じないかのように、ひたすら前だけを見据えて薄暗い森を駆けて行く。]
[強いメンソールの香りを纏ったナサニエルが近づいてくる。
鏡を見るのは嫌いだった。
自分の姿は兄そっくりだったから。
だから自宅には鏡がなかった。
アンゼリカでもバンクロフト邸でも、鏡は決して見なかった。
だが、自分を見つめてくるナサニエルの瞳を見てしまった。
そこに写るのは、何に見えたのだろうか]
…兄さん…あぁ、ここに…いたんだ…
[表情のない顔、虚ろな目で答えを返す。
ナサニエルの髪に触れた手は冷たかった]
ハッ……ハッ……ハッ……。
[男の線の細い痩せた身体からは肉が削げ落ち、一見すると急な斜面や起伏の激しい地形を有する森を駆ける体力など残ってはいないかに見えたが、不思議と息を乱す事もなく、獣のように浅い呼吸を繰り返し、奥へ奥へと進んで行く。]
[やがて一本の巨大な楡の木の根元にぽっかりと空いたうろを発見すると、足を休める事無くちらりと後ろを振り返り、誰も追って来ていないと知るや、転げるように中へと駆け込んだ。]
[光の届かない暗い穴の中で、男は膝を抱えて震えていた。
真っ赤に充血した眼は辺りを窺うように闇の中でぎょろぎょろと動き、時折聞こえる鳥の羽ばたきに一々びくりと肩が跳ねた。]
── 回想 ──
ギシギシと鳴るベッドの上でユーインは自分のペニスを俺の中に突っ込んだまま、面白そうに笑っていた。
お互い溶け合ってから既に数度絶頂を迎えていたがそれでも離してくれなかった。
確か、シャーロットと一緒にいた所を見つかったか何かで彼は異常な程しつこく俺を求めていた。
俺を見下ろすユーインの手には安全ピン。
何をされるか分からず、懸命に抵抗したが、数度に及ぶ行為の後で力は入らなかった。
「ねぇ、ハーヴ。俺達、ずっと一緒だよね?」
うっとりしながら呟くユーイン。
そういいながら、安全ピンを俺の耳に当てた。
「…俺以外を見るのは許さないから」
ととても綺麗に笑い、針で俺の耳を貫いた。
涙を流す目の前は真白に、それを見る目の裏は真赤に染まった]
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