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……ッ。
[あまり背が高くない為に、その高さに届くことはなく]
…なんですって。
[悔しさに唇をかんだところで自分の失態は今更どうにも出来ず。
じぃと覗き込んでくる自分と同じような目の色に僅かにきつい視線が消えて]
…何を。
何を、馬鹿な。
私は、寂しくなんか──
[ない、と言い切るはずの言葉が、出てこなくて]
[肌をすべるヒューバートの指先。
ただ皮膚をなぞるのではなく、骨格の造形を確かめながら、その意志がシャーロットの内側に浸透していくような感覚を与える。
乳房のまるいフォルムをなぞられた瞬間、心地良さが更に身体のじわりと広がった。心臓がドクンドクンとあたたかく強く脈打つ。]
…あぁ。
[思わず言葉が漏れた。それはとても珍しいことだった。
フラと吸い寄せられるように、ヒューバートの胸元に寄りかかりそうになる。]
[掌の中の乳房はもぎたての果実のように瑞々しく、その先端へと掌が辿るたびに柔らかく弾む。指先で桜色の先端が震えた。
彼女の熱い息が首筋にかかり、かっと頬に血が巡る。いつしか、躰の中心に位置する熱の塊は石のように堅く痛いほどにコットンパンツを押し上げていた。傾いたシャーロットを支えた刹那、滑らかな内腿にその強張りが触れた。]
ロティ……
[昂ぶり続ける衝動を抑えきることができるだろうか。私にとって、それは常にギリギリの試練だった。]
[司書の顔を覗き込むナサニエルの表情が、僅かに緩んだ。]
………やっぱり。
まあ、俺の提案はこうだ。
あんたの寂しさを埋め合わせるために、俺があんたと関係を結ぶ「契約」をするって寸法だ。
……どうだ、単純な話だろ?
俺の身体を切ったり貼ったりしなけりゃ、あとはあんたの望むままに。俺のことをブン殴ったり屈辱を与えたりするのはOK。勿論、その逆も応じるが。
……もし「俺」に抱かれるのが不満だってんなら、俺じゃない別の人間の名前を呼んでも一向に構わない。なんなら、俺がそいつになりきってもいいぜ。むしろその方が一興だな。
それから、この「契約」に賃金は要らねえ。金を払いたいってんなら別だがな。タダ働きでも文句は言わねえよ。何故なら俺は、『天使』だからな。
勿論、「契約」相手の秘密は厳守。何事も信頼第一なんでね。
………さァて、どうする?
[シャーロットの内腿に触れた熱の源を遠ざけるために、隙間に掌を滑り込ませる。指先はシャーロットの内腿をなぞり、手の甲は彼女の鼠蹊部にかすかに触れた。]
ああ……
[そっと引き出す手は名残惜しそうにその感触を求めたのだろうか。手の甲に浮かび上がる節と指の背がわずかに折り重なる花片をかすめていた。]
[ボブとの会話はローズマリーに任せ、適当に言い訳して2階に上がった。
客室のドアノブの手を掛けたところで、ローズマリーの部屋の扉が開いてステラが廊下に出てきた。]
[ふ、とステラに笑いかける。
しかしそれは、いつも口の端に浮かんでいる陽気な笑みではなく、どこか何かを見透かしたような訳知りの微笑だった。
琥珀色の瞳は、明らかに彼女を揶揄するような輝きを帯びて、一瞬光った。]
…馬鹿な…。
[ぎゅう、と強く唇をかみ締めて相手を睨みつけて]
そんなことして、何になるというのよ。
大体、天使ですって?そんなもの存在するはずもないのに。
私は、そんな契約──
[のらない、といいかけて後ろへと一歩下がる。
後ろには閲覧テーブル、あと二歩も下がればぶつかるかもしれなくて。
はっきりと返答ができなかったのは、きっと、彼の瞳が深い色をしていたからで。
僅かに唇が助けを求めるように『にいさん』と描くように震えた]
[一瞬、無防備な素肌に触れるコットンの生地越しの熱。
ハッとして口を薄く開きかけ、止まる。その熱がとても自然な事のように思えた自分にシャーロットは驚く。咄嗟のその考えを打ち消すように、]
──ごめんなさい、パパ。
今、少し、足元が…。
[言葉を紡ごうとした瞬間、触れた──ゆび。
あたたく濡れていることが、分かってしまったかもしれない。動揺を隠すように、早口になりながら言葉を続ける。]
脚に来ちゃうほど、そんなにもう時間──経ったかしら。
何時も時間がわからなくなっちゃうから…。
あァ、『天使』って言っても、キリストやら何やらの使いっぱしりの奴等のことじゃないぜ?
それに……
『天使』が存在するかどうかは、試してみりゃァいいだけのこと。もし俺で不満なら、それで「契約」を打ち切ってもいいしな。……ま、要するに「モノは試し」っつーやつだな。
ニーナ・オルステッド……今、唇が動いた理由は何だい?
………『求めるもの』が、あるンだな?
大丈夫かい。
少し、疲れたのかもしれないね。
[シャーロットを抱き起こす。]
モデルになってくれてありがとう。
イメージを掴むことができたから、制作にかかることができそうだ。
[そう言うと、その場に脱がれた彼女のサマーワンピースを取り上げ、*肩からかけた*。]
…求めるものなんて、何も…ッ、何も、ありはしないわ!
[もう聞きたくないという感情から生まれるのはヒステリックな叫び。
両の手で耳をふさぎ、彼から逃げたいと思って後ずされば後ろのテーブルへとぶつかり]
…求めるものなんて何もない、在りはしない。
……もう、望んだって手に、入らないのよ……っ。
[微かに声は震え、涙が頬を伝って]
…もう、私を放っておいてよ…っ。
[モデルとしての集中からも上手く戻り切っておらず、動揺も手伝い、どこかまだ夢の中にいるかのような動作で、のろのろとワンピースを受け止める。]
ジンジャーミルクティを作って飲んでから休むわ。
制作が進んだら何時ものように見せてね。
[壁面にある鏡の中の自分は至って普通に振る舞っているように見えなくもなかった。何処かフワフワとした感覚を身体の内側に感じたまま、シャーロットは衣服を整え、*作業場を後にした*。]
求めても届かないンなら、尚更だ。
あんたのそれが「癒える」か、或いは「忘れる」かぐらいまで、俺が付き合ってやっても構わねぇって話だ。
ああ、泣くほどの悲しみは、いきなり消えたりはしねぇのが普通だ。「喪」の儀式ってヤツが必要になる。
[司書の頬を流れる涙を、指先でそっと拭う。]
………ちゃんと「弔って」やらなくちゃな、あんたの「悲しみ」の原因を。
……忘れようって、もう笑えるようになろうって、そう思ったのに、どうしようもなくて…っ…。
[悲しいのは自分だけでないのはわかっていたけれど、その術がわからないまま五年もたって、今更与えられた救いの手にもどう縋っていいのかわからなくて、そのまま床の上に崩れ落ちて]
…私に、どうしろって言うの…。
……わたしは、どうしたらいいの…?
[頬の上を滑る指に、わずかに戸惑いながら訪ねる声は助けを求める声に似て]
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Diary of Eliza
──────────一体、あなたの何が天使なのか?
私はナサニエルに質問をした。
明確な答えは無く、私は彼のいまいち感情の読めない瞳が澄んでいることに驚き、そこからどういった流れになったのか、「天使として思い浮かぶもの」を何故か<私>が答えることになっていた。「天使」と言う馴染まない単語に向かったあの一瞬の好奇心が、間違いだったと今なら断言出来る。
『ネイ』だと私は言った。
その日まで『ネイ』の事なんてすっかり忘れていたのに。
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ナサニエルがネイの事をおぼえているのかは良く分からない。ゆりかごから墓場まで同年代であれば、ずっと顔を突き合わせ続けるヘイヴン。すくなくともジュニアハイまで、ナサニエルと彼女こそが同級生同士だったこと、ネイが12歳を待たずに死んだこと、学校中の子どもが泣いたこと。これらを合わせるとナサニエルに『ネイ』の記憶があって当然だと思うのだが。契約したその日から『ネイ』になったこの男に、記憶や感情と言った人間として当たり前のものあるのか、私はいぶかしく思う。
契約を持ち掛けた彼。私には、それは知識で得ただけの実感の無い言葉を彼に合わせて使うなら「天使」と言うより「悪魔」に思える。だが、今は彼が何者でも構わない。
[インクの掠れ。] ……問題は『ネイ』だ。
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Memories
──────ネイの思い出。
ネイは甘ったるい匂いのする、いわゆるブリッコの少女だった。
カールした亜麻色の髪には、ピンク色のリボン。母親の作ったコットンレースの付いたワンピースに、同じく母親が作ったパッチワークで出来たポシェットを下げていた。
私がバートがロティを事あるごとに飾り立てようとする(私にはそう見える)事に、質素に清楚にと口をすっぱくして育てられた私が私なりに寛容なのは、ネイの事があるからではないかと思う。
ネイの甘い香りは菓子の匂い。
当時は、まだ町に彼女の母親が経営するケーキショップが存在した。彼女のしゃべり方もまた菓子のように甘く、こわがりで泣き虫だった。
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仲の良かった子ども達数人の間で、ネイを泣かせる事が流行っていた。あれは今考えれば、好意や子どもなりの性的な意識の裏返しなのだろうか。例えば、ネイがこわがりそうな場所でわざとかくれんぼをしたり、木の上や塀の上に全員で登るとかそう言った方法でネイを泣かせた。少しノロマな彼女がスカートを破いたりして困るのを楽しんだ。
しかも、私は常に泣いたネイを慰める役目だった。
今でも、私は人を慰める事が得意とは言い難い。愛する娘や今は居ないレベッカに対してもそうなのに。ネイが私とは真逆の存在だったからだろうか。
私はネイと違って、子どもたち遊びの中では一度も泣かなかった。
いいえ、それは嘘。
一度だけ泣いた。
ネイが二度と帰って来ないのでは無いかと思ったあの時…──。暗くなり始めた共同墓地の入口で、なかなか戻らないネイを待ちながら。
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安置所に死体を見に行こうと言いだしたのは誰だったか。
ネイが色々な事を怖がらなくなって来たので、私達の行動がエスカレートしたのは確かだ。
当時の墓守ダニエル・アンダーソンに、だみ声でこっぴどく叱られた。両親にもばれてしまい、私はめずらしくお仕置きに納屋に閉じ込められた。「あれは生者が入る場所では無い」と言うのが両親の言葉だった。
それよりも、ダニエル・アンダーソンの言葉が忘れられない。
死体が生き返って噛み付かれたらどうする気だ。
結局、ネイが死んだのは「あの日」では無く、その三日後だった。
細い少女の首が獣に喰いちぎられたかのような断面で、胴体から離れた場所に落ちていたのだと言う。
「天使」はネイだ。彼女が人を恨む所を見たことがない。
もし、彼女が生き返って噛み付かれるのならば──私はどうしただろう?
今は、ネイに対して何の感情も沸かない。
次は、欲望の話を書かなくてはならない。
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