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……ぶっ!
[叩かれた拍子に紅茶を噴き出した。]
ちょっと!レディの頭をはたいちゃダメって言ったでしょ!!
……もう、何をそんなに興奮してるのよ。
[あくまでもマイペース。]
誰がレディだ!お前なんぞフレディで十分だ!
あああぁああぁああ!もう!
[怒りすぎてもはや言葉が意味不明。
そんなに興奮すると頭の血管が切れるぞ。
肉体はあくまでも老人である。]
お前が!正座するまで!溺れさすのをやめない!
[その瞬間、水が美貴の顔に巻き付く。]
お前どんだけ令呪が大事かわかってんのか!?
しかも敵の本拠地に単身で行って?
そこでは俺を呼ぶために令呪を使わずに?
掃除の為に令呪を使った?
……脳味噌腐ってんのかワレェェェ!!!!
ふふ、うふふ、は、あは、あは、あはは!
[速い。
想像よりも、ずっと。
以前戦った刀の男と比べても、スピードそのものは圧倒的に速い。
撃ち出された銃弾に対し攻撃するとは、信じられない概念である。
かの男ほどには、「一撃」に対する脅威は感じない。
だが、強引に奥深い淵に引きずり込まれていくかのような、危険な感覚を覚える。]
…いいねぇ。
すごくいいよぉ!
それだけ動けたら、楽しいんだろうなァ?
[狙いを修正し、右手の銃を撃つ。
相手の射程距離に自分が入るまで、大した時間はない。
狙いは、相手の肉体ではなく、槍の柄。
あれだけ長大な武器の重心が狂えば、動きも同様に鈍るはずだ。
右手の反動を逃すと同時に、左に持った銃の撃鉄を起こす。]
−教会・墓場−
[沖田敬一郎がドアを開けた頃、墓場に足を踏み入れていた。その中のひとつの前に佇んでいる]
……ナガレ、アキラ1955-1983……イレーヌ・ソフィー・ルブラン1956-1983……。
これは、まさか。
[墓標に刻まれた文字を指でなぞる。古びてはいたが、手入れはされているようだった]
両親の、お墓。でも、どうしてこんなところに。
[考えてみても、答えが出るはずもなく]
フレディって誰ごがぼ……。
[またもや水攻めをされる。
美しい空気が恋しくなる。
水の壁に阻まれてキャスターの声も届かない。
そのうち美貴は考えるのをやめた。
ばたり、と掛けていたソファに倒れこむ。]
[祖父は仏教徒で、教会に来ることなどなかった。両親の墓がどこにあるかなど、考えたこともなかった。いや、正確には、代々伝わっている墓に入っているのだとばかり思っていた。
決められた日に祖父とお墓参りはしていたが、ここに連れて来て貰ったことなどなく]
16年前、私が4歳……。
両親が亡くなったことを憶えてないなんて、どういうことだろう。小さかった、から……?
[後ろに払った槍が、即座に手元に戻る。
まるでビリヤードの突き棒を受けるように、左手を添えて、掴む。
銃弾という一直線の点の攻撃に対し、此方も点(ピンポイント)の攻撃をなす。
――カシュ。
放たれた弾丸が、また二つに割れた。
突きは流星の如く、速い。
地面に、嘗て銃弾だった、同形の成れの果てが同時に跳ね、転がる前に、ランサーの左足が踏み出される。]
[相手が気絶したことで多少落ち着き…もとい気が晴れたようだ。
若干清清しい顔を浮かべるが、まだ怒りは収まってない。
しかし…。]
あーくそ、体が上手く動かなくてうっとおしい!
[部屋に帰ってからどうも動きづらい。
令呪の効果だろう、掃除と言う行動を開始するまでずっとこの調子のようだ。]
…説教の続きは掃除が終わってからだな。
"Tyoskentely keijukainen"
[詠唱をすると同時に、水の人形は何匹もの小人へと姿を変える。
そして、それぞれが俊敏な動きで掃除を始めた。]
…やっぱ、俺自身も動かなきゃダメか。
[動きづらいのは治らない、渋々キャスター自身も掃除を始めた。]
[後で花でも持ってこよう、と思い直し、再び教会の入り口のほうへと歩き出す]
ここにきた理由を忘れるところだった。
セイバー周りのことを調べに着たのに。
ん、……うーん。
[意識を取り戻すと、部屋が綺麗に片付いていた。]
よしよし、お爺ちゃん、ちゃんとお掃除したのね。
[うんうん、と満足げに頷く。]
[ぞく、ぞく、ぞく。
最早自分を射程距離に捉える寸前に迫り、まさに足を踏み込まんとする敵の姿が、フラッシュのように脳髄に焼き付く。
一つ前の動きによって発せられる風を切る音が自分の耳に届くよりも速く動いているのではないかと思わせるほど、その槍は速い。
華奢な体で繰る動きにも、まるでその重みを感じさせない。
あれだけ速ければ、一直線に動くことが分かっている銃撃を防ぐことは、そこまで難しいこととは言えないだろう。]
こうじゃねぇと、いけねぇよ。
なァ?
[相手は強大であれば強大であるほど、いい。
それでなくては、砕き甲斐がないではないか。]
あぁ、もう。
細かいことを、考えるような、無粋なことは、やめだ。
あー、掃除した。
だから今度はお説教だ。
[美貴の前で腕を組み仁王立ちをしているキャスター。
コメカミがピクピクしているのは見間違いじゃないだろう。]
とにかく座れ…正座!
[有無を言わさない勢いで指示をするキャスター。
静かな分先ほどより迫力があるかもしれない。]
まず、なんで敵の本拠地に行ったのに俺を呼ばなかった?
そこから説明してもらおうか。
[両腕を、真っ直ぐ前に突き出す。
交互に、両手に持った銃を撃つ。
撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。撃つ。
その最たる基礎に、彼の嫌う魔力を置くからこそ、できる芸当。]
くは、ははははは!うはは!あーははははっ!
[ぐらりと視界が揺れ、シンクに手を突く。
ぱりん、と音が響く。
2枚目のお皿を割ってしまった。]
あんのバカ……。
一体何やってんのよ。
[そのまま座り込みそうになりながら皿の破片を片付ける。]
……だめだわ。
そりゃ確かに戦いに行けばっていったのはわたしだけど
これじゃ仕事にならないじゃない。
帰ってきたらちゃんと言わないと。
[再びぶつぶつ文句をいっている。]
[哄笑する男。漆黒の悪魔の両腕より放たれ続ける、
横殴りの鉄の雨。否、――嵐。
その悉くを、ランサーは突きだけでいなす。
煌き、残像すら視えない。
甲高い音が途切れない。
ランサーの歩みが止まり、両側には、割れた弾丸が積まれ始める。
二つの山。
じゃらじゃらと耳障りの良い音が鳴り響く。]
― 西ブロック・マンション ―
[ひと通り食事を終え、しばし時間を潰していたケネスは立ち上がってテレビに向かう宗冬に声をかける。]
何だ酔いは覚めたのか?なら少し付き合ってくれや。つけたお嬢さんの足取りが途絶えた、教会付近をうろついてみたいからよ。
[ケネスは宗冬を連れて部屋の外へと出る。]
……ハ?
[え、なにこいつ。
もしかして敵の本拠地に行ったのにそれに気付いてなかったのか?
もう呆れて物も言えないキャスター。
だが、ここで言葉を止めたら意味がない、なんとか気力を振り絞り口を開いた。]
あのな、マリアちゃんから聞いたんだよ。
昨日敵の本拠地を見つけたんだが、そこに何故かお前がいたって。
マリアちゃんはお前も気付いてるだろうから話も聞けるんじゃないかって言ってたけど…心当たりはないか?
[―――が。
歩みが止まったかのように見えてそれは、
先程と比較しての事。気づかないほどゆっくりと、じりじりと近づいている。
ランサーの顔には、笑み。
一直線の攻撃…放たれるもの。
アーチャー。
嘗て、弓の名手だったからこそ分かる。
狙いをつける集中力。
番え引き絞る力。
その間だけは周囲の細かい分析は不能。
目の前のアーチャーの武器は、番え引き絞る力が省かれ、狙うよりも放つという行為でしかないものの、視点は固定。周囲の状況を細かく判断する事など出来ないだろう。第三者たる分析者が居ない。
一歩、足が踏み出された。どちらかの銃を取り下げる、または後方に移動しようとする。その瞬間、ランサーは距離を詰めるだろう。]
[破片を集め終えると今日は仕事にならないと
あきらめて早めに店じまいをする。]
もう出かける気力はないし、
彼のところに行ったって
わたしの言うこと聞くわけないものね。
……動けるうちに休みましょう。
[外に泥棒よけの香りを撒き、
勝手口の鍵を開けて置く。
住居スペースの台所に
夜食用にハーブチキンのサンドイッチをおいて
重い身体を引きずって自室に*引き上げた。*]
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