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[それらは計測不可能です――と双子は突き放したように言う。]
とりあえず、ピロスエの話はもういいの。古典の勉強はおしまい。
色々考え出すと軸がブレるべ。
俺たちは未来をつくるんだぜ。
[話がややこしい方向にいかないうちに、俺は双子の集めてきたデータをゴミ箱へとドラッグした。
コールサインと共に、ようやくアンドリュー・マーシュの端末に繋がる。なぜかsound onlyとだけしか表示されず、ウィンドウには彼の姿は映されてはいない。
マーシュさん、何があったんですか?と俺は訊ねた。
アンドリュー・マーシュのような人種は用心深く、決してネットワークを信用したりはしない。徹底した安全管理と検証の元、不死技術の導入は行いながらも、スタンドアローンの状態を保持していた。また、充分な資産がそれを可能としていたのだった。]
「……少々……まずいことになった。残念ながら今……っ…自宅に動ける者が……居な……い。
…君に繋がってなにより……だ。
どうやら……君の他にはこのトラブルに……対処できる人間がいないようなんだ。」
[動作の信頼性を最優先にした、一世代前の端末からのアクセス。声は、端末についているマイクが拾っているのだろう。物理的に苦しい状態にあるのか、その声はなにかをこらえるように時々詰まる。]
具体的になにがあったんです?
[少しの間、回線の向こうが沈黙で閉ざされる。
ためらいの後、マーシュは息を切らしながら話し出した。]
「先日、君から買った新型のガイノイドについてだ。
…………。
…プラグをガイノイドのソケットに差し込んで情報を送信しようとしていたところ……異常動作が発生した。…プラグが抜けなくて……困っている。」
[プラグ?と俺は問い直す。抜けなくてもしばらく放っておいてコールセンターの復旧まで待てばよいのではないか。それが緊急事態とは到底思えなかった。]
「プラグは……情報伝達のためタンパク質を媒介する――と言えば状況はわかってもらえるだろうか。」
[それで、彼の置かれた状態がようやく呑み込めた。
しかし、と少し黙考する。彼の手元に売り渡した時点では、まだ“それ”は合法品だったのだ。販売時の状態ではその種の“接続”ができないようにプロテクトがかけられているというのがKosha Cybernetics側の建前だ。
そのトラブルが表沙汰になることは、俺にとっても少々面倒なことになる。
博物館脇のジャンクションから上層デッキへと向かうオーバーパスを昇り、3番のカーリフトに乗る。電磁アクチュエータの小さな唸りを遠い意識で耳にしながら、あるいは“コンダクター”にちょっとした借りを作ることになるかもしれない――と考えていた。]
― 現実世界<Mundane>/西部区域:超高層住宅群 ―
[博物館や美術館に近接し、空中庭園へとひらけた眺望を有する一群の高層住宅棟では富裕層が生活している。
俺たちはUGVから降り立つと、全面ガラス張りのエレベーターで最上層へと向かった。複数階を占有するその場所は集合住宅の閉塞感は微塵もなく、屋敷と呼ぶ方が実情に近い。
エレベーターの扉が開くと、豊かに木々の生い茂る庭園が眼前に姿を現した。エレベーターの配されたガラスの塔から中央の住宅棟へは、空中に透明の橋がかかっている。庭園を流れるせせらぎが硝子の懸け橋のたもとで滝となり、燦然と光を散らしながら下界へと落ちてゆく。
複雑な立体構造になった外周の庭園をいくつもの流れが滝となっては別れ、また一つの流れとなっては遥か下方へと消えていった。
いくつかの滝や空中に浮かぶ植物、群れ飛ぶ小鳥などの小動物は立体映像によるものもあったのだろう。だが、それらは極めて精緻なもので、実像とほとんど区別がつかなかった。]
[透明の橋は強化アクリル製で剛性に問題がないとはいえ、目が眩むような高さだ。へそがもちあがるようなゾワゾワとした感覚を感じながら、足早に橋を渡った。
このような場所に住むというのはどのような感覚がするものだろう、とこの場所を訪れるたびに感じる。家を買ったマーシュは別として、その家族はどう感じていただろうか。
マーシュの娘は――……。]
[雲の上の人物、という修辞的な表現は、ここでは字義通りの意味となるだろう。
マーシュのように上層住民の中でも更に上位に位置する人間は、電脳世界で他人と接触はしない。とりわけ注意深く、性的接触を避ける。
ヴァーチャル・リアリティが実現した時、最も初期に登場したサービスは性的娯楽だった。だが、それらの持つ危険性はすぐに多くの人にとって常識的なことと認知されるようになった。
旧世界のポルノサイトが大量のポップアップ広告、ブラウザクラッシャー、ウィルスの温床だった歴史を繰り返すように、電脳でのヴァーチャルセックスには常に危険が伴った。
暴力を弄ぶ遊技に対して数年前、“memento mori”という陥穽が用意されていたように。それと同種の罠は、対になる娯楽にも負の一面として存在する。]
[無料を謳ったセックスプログラムがウイルスまみれだったのは当然のこと。
有料のオンライン娼館には、ウイルスとは別種の危険が潜んでいた。顧客の性的嗜好、相手の肉体のどの部位にどの程度の頻度触れたか。性行為の持続力や頻度等々ありとあらゆる情報が消し去ることのできないデジタルデータとして記録された。
たった一度でも快楽を購った者は、統計的データによって好みを見透かしたように次の相手を紹介されることになる。
大企業傘下のサービスであれば、それらは、POSシステムを更に改良させた統合的な顧客管理システムを形成する情報として組み込まれた。情報管理の行き届かない小規模の会社の運営によるものであればさらに悪く、そうした情報が転売されることや、時に非合法組織の恐喝の手段として用いられることさえ覚悟しなければならなかった。]
[それ故にこそ、金銭的に余裕があり、かつ社会的地位の保全を重視する富裕層向けの安全な性的サービスの需要は脹らんでいった。ヒューマノイド(売買されるのは男女を問わない)の売買はその最も有力な解決方法であり、今や大きな産業へと成長しつつある。
現代に甦った奴隷制度と言う者もいる。
単価が高く収益性に優れたビジネスでありながら、社会的な風当たりもまた強かった。
宗教法人に人権組織。フェミニスト団体。保守的な右翼にマフィア。圧力団体の働きかけは新たな法案の成立や不買運動やテロまがいの示威行動などさまざまなかたちで現れた。
義体メーカー各社は、そうした圧力と新たな法規制に対して一定の自制を必要とするようになった。その過渡期において、様々な模索がはかられているのが現状だった――。]
― 現実世界<Mundane>/西部区域:マーシュ邸 ―
[Kosha Cybernetics 本社に押しかけてきて、要望書を受諾しない限り帰らないと言ったあの女はなんという名前だったか……。
苦い思い出がよみがえる。]
さて……
どうしたものかねェ。
[俺は、屋敷の呼び鈴を鳴らした。個人認証キーを送ればマーシュの応答があり、ロックが解除される。
慎重に周囲を見渡しながら、屋内へと足を踏み入れた。あってはならない物をどう扱うべきか思案しながら**。]
――南部境・カフェ――
[トビーに聞かれると一瞬迷い]
あたしは下で色々情報を集めて、それを売ったりして生計たててるんだけどさ。
Utopiaにおける知的好奇心を刺激されたような内容かかかれてたの。
詳しくは言えないけど。
その情報を仕入れて、実際に財産に出来るかどうかわからないし、するつもりもあんまりないんだけどね。
あたしについてくるのはいいけど、情報を得るあてがある訳じゃないよ。こっちに知り合いなんて皆無だしね。
Utopiaでなら、あたしの名前を知ってる人がいるかもしれないけど。
いたとしてもこの状況じゃね。
とりあえずは、ここが今どんな状況に陥ってるのか、他の地区を見に行くのもいいかなって。
まだ動いてるけど会ってない人もいるみたいだし。
[立ち上がって、フィルムをゴーグルへと貼り付ける]
とりあえずは、中央部分は行っちゃったし、西、かな。
[カフェから通りへと降りると、*西の方を眺めた*]
── 現世<Mundane> / 西南部・フェミニスト団体事務所 ──
[ガーゴイルの牙は、セシリアの喉元数センチの所で停止した。
理に該当するかの判断の為の静止──通常の人間であれば、背筋に冷たい物が走るシーンだろう。
時間稼ぎの質問は効果があったようだ。わずかの空白。
その貴重な数秒間で、セシリアは傍にあったコートハンガーを掴み、窓を叩き割った。キュィイイインッ と、特殊ガラスは割れる時に奇妙な音を立てて割れる。]
「オ前ハ、持ッテイナイノカ?」
──…持って?
生存者探査用のセンサーを?
【それはどういう──】
[セシリアは、AIであるはずの自分や目の前のドリスが動いている事に改めて、激しい違和感と疑問を感じた。
が、停止する事無く、魔獣が飛びかかってくるであろう軌道を予測して、足止めのPGMの効果を付与した針を投げる。片手のみなので、きっかり5本。洗脳にも用いられるその透明の針は、当たればボディにめり込み──魔獣の動きをしばらくの間、制限する効果があるだろう。]
―― 現実<Mundane>/西南部・フェミニスト団体事務所 ――
[少女の喉元で止まる牙]
[微塵もぶれる事なくガーゴイルは動きを止める/ロスタイム]
[奇妙な音を立てて窓ガラスが砕け散る]
問イニ問イ返ス。
ソレガ、オ前ノ答エカ。
[眠りの地で動く者が必ず持っていた手紙/地図]
[それを知らぬ様子で問い返す少女に、持っていないのだと判断]
[一時停止していたガーゴイルが再生された動きをトレース]
[少女の喉があるべき場所を牙が襲う]
[風で弾くには距離が近すぎる/演算は一瞬]
守レ!
[ガーゴイルが反応し、皮膜を模した金属が大きく身を包む]
[背後にいる黒を庇い盾となるように]
[代わりに視覚(センサー)は塞がれ、逃げる姿を見失う]
[ギギィ]
[翼に刺さった針を羽ばたきで振り落とした向こう、少女はいない]
追エ―――イヤ、待テ。
[黒目が見つめる先、水晶の中を急ぎ移動する光点一つ]
[地図に映るなら追跡は無用/追撃には準備が必要]
[透明な針は七色の光を受け、妖しげにきらめく]
[側に膝をつき、チョコレートブラウンの指が針に/触れない]
[3Dホログラムは指先の重なる位置にある針を突き抜ける]
[掬い上げた指先には針に付与されたPGMの残滓]
要注意人物ダ。
記録(覚エ)テオケ。
[ギギィ][ガシャン]
[ガーゴイルの鳴らす音を背に指先を口元へ運ぶ]
[漆赤の裂け目から舌が伸び、残滓を絡め取る/奥で弾ける煌き]
―――フゥン、足止メ用PGMカ。
[瞳孔がキュルリ絞られ、割られた窓に黒目を向ける]
[漆赤の裂け目はまるで笑みを象るかのように*薄く開いたまま*]
―現世/南部近辺・カフェ―
いってらっしゃいませ。
[カフェから去る人たちに、レベッカは告げた。]
[出した食器を片付ける。]
[空になった器/まったく減っていない器。]
―― …… La
[歌ではなく、音。]
[輪のように回る思考/演算の負荷を軽くするために、440Hzの基準音が、かすかに(だが長く)*響いた。*]
―― 現実<Mundane>/西南部 ――
[ガーゴイルの動きが元に戻るのを待ち、乱雑な場を後にする]
[外に出るとレインボーライトが割れた窓から漏れ光っていた]
[黒目を興味なく逸らし、髑髏へ向ける]
[集まっていた点は解散していた]
動イタナ。
ソウデナイ者モ、イルガ。
[ガシャリ]
[魔獣(ロボット)を連れ、大通りへと出る]
[髑髏の中、赤い点の動きはバラバラだ]
[移動点に遭遇する確率を計測/固定点を目指しルートを選出]
地上ルート、南ノ固定点ヲ目指ス。
[集まっていた場所の確認も兼ねて南へのルートを選択]
[場合によっては東への移動も計算しつつ、魔獣に合わせ*進む*]
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