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く、ふふふっ。
[耐え切れず、震えるように笑う。
こんな大きな力を前にしているのに、全然、面白くねぇ…。]
遠いな…。
[そのまま、立ち尽くす。
とくとく、と、自分から血が流れていく。
このままだと、この戦いが――戦いと呼べるなら、だが――終わったら、「彼」がまた現れるのだろう。
今だけは、それでもいい気がした。]
[ランサーは消えゆく体と意識の中、
アーチャーの動きを見つめている。
黒き棺桶は遥か虚空から
強き意思と共に渦巻き現れ
完璧な形をしていた。
背景の空は、夕暮れでもないのに、朱い。]
…弱まってきている。
つまり…ランサーが倒れた?
[流星は光を失い始めている。
しかし、それでも地上にぶつかるまでに消え去るのには少し遅い。]
【どっちにしろ行くしかないな!】
[そう言ってマリアと共に駆け出そうとした時である。
突如流星の前に巨大な刃が姿を現し、流星を斬り裂いた。]
…ヤツか。
[その様子に思わず足を止めて呟く。
そう、あそこまでの威力の強化…令呪によるブーストによるものだろう。
ならば、あのランサーのマスターがソレを行う相手は誰かと言えば、一人しか居ない。]
[視線の先、流星を下から押し上げるかのような強大な魔力が、公園から展開されている。
降りかかる雹のような異物から身を庇いながら、咄嗟に神経を集中させた。]
マスター……
[ソフィーからの魔力供給は、継続して行われている事が確認された。]
[そのような地獄絵図が続いた後、剣と衝突していた巨大な火の玉は爆散し、同時に剣もその姿を急激に縮めていった。
巨大な剣に巻き込まれて宙に舞っていた沖田は、剣の収縮にあわせて地表に落下してきたが、かろうじて着地の態勢を取った]
はあっ、はあっ、はっ・・・・・・
[力を使いすぎた。生身の肉体が悲鳴を上げる]
[トリシューラに向かって、新たな巨大な魔力が放たれた。斬撃皇帝にガトリング。手押し車に陣取りながら宗冬はその様を感じ記憶することに努めていた。]
−噴水付近−
[地響きを立てて地面が揺れる。流星はその存在を次第に希薄にしていったが、それでも町が無事ですむわけがない。
噴水へと走り、その水の出口を壊し、辺りへと飛散させ]
La chose que toutes les choses retournent, et retourne.
Que soit relie tendrement d'apporter-en haut de la vie, toutes les sources, les temps anciens, et le fait; un tourbillon du pouvoir.
Donnez-moi le pouvoir.
''Devenez le bouclier''
[飛び散った水に手を当て、呪を唱える。辺りに薄く水のカーテンが広がり、噴水周辺へと集まっていた人々を包み込む。
降ってきた破片は、それにはじかれて宙へと舞った]
[ばらばらと、地面が「降って」くる。
強大な力。
沖田敬一郎。
彼の方を向く。
さすがに、消耗しているようだ。]
なぁ、おい。
ちょっと小耳に挟んだんだけどよ。
お前ら、人類を滅ぼしたいそうじゃねぇか。
別に、お前らが世界を滅ぼしたいとして、俺はそれを止めたいとか、別に思わねぇんだよ。
…大いに結構じゃねぇか。
俺が代わりに滅ぼしてやりたいくらいだよ。
[大気の振動が止む……随分長い時間に感じていたそれが止んだ後も魔力は供給されている、マスターには異変が無かったようだ。
周囲を見渡すと、川原には一面におびただしい数の月面のクレーターのような跡が無残に残っていた。]
……ランサーが消滅したのですか?
[先ほどここに立っていた男の姿を思い出し、キャスターの言葉を、確認して呟いた。]
[眼前に現われた巨大な剣、深々とえぐられた大地…巨大な方針、散らばる薬莢。
ランサーの放った一撃は到達せず、彼女は生きていた。
しかし、ランサーはすでに消滅し自分はもう目の前に立つ沖田敬一郎にとってなんの利用価値の人間だった。]
私の負けみたいだね…
くっ・・・・・・
[最悪の状況。ここでアーチャーと対峙するのはあまりに不利。
手元には既に剣種が戻っている。どちらにしろ撤退を行うにも戦闘を全く行わないのは不可能と判断し、再度剣種を成長させる。
体内の魔力が一気に吸い上げられていく。トリシューラの威力をその手に実感した事もあり、この場を自分だけで切り抜けなければいけない状況に対してランサーを失ったことを激しく後悔した]
[流れ続ける水と、自分の魔力。破片にあたった部分から、水は蒸発していく。いつまで体力が持つかわからなかったが、その手を止めるわけにはいかなかった]
この程度で済んだのだから、よかったというべきか。
[どこかで水道管が外れたのか、次第に水の勢いが弱まってくる。そして同じように空から降る破片も収まってきていた]
そろそろ、大丈夫だろうか。噴水もなおさないと。
…ああ。
魔力切れか、もしくは宝具を放つ直前に致命傷を負ったのかは分からないが…。
[流星と巨大な刃が消えた空を見詰めながらマリアの問いに答える。]
……威力が弱まっていたとはいえ、アレを切り裂くか。
面倒な相手だ。
・・・・・・
[アーチャーの動向を気にしつつ、久子の言葉を受けた]
負け、か。これが君の望んだ決着か。
仮にも魂で繋がったマスターであっただろうに、ランサーはさぞ無念だっただろうな。
君はランサーを裏切った。それも最も酷い方法で。
[呼吸を整えながら]
確かに、あまり君の事をいう権利は僕には無いだろう。だが、君は僕の破壊に対してさらなる破壊で報復しようとした。
恥じることは無い、きっと人間はそういう生き方しか出来ない生き物なのだろう。
[ゆっくりと、ガトリング砲が掻き消える。
…なんだ、自分も、消耗しているのか。
それとも、こんなもの戦闘じゃないと、自分が認識しているからか。
何もしていないも同然だと言うのに。]
く、く。
[自嘲する。]
あぁ、ランサーよ。
すまなかった…楽しませられなくて。
お前を、殺せなくて。
ヴァイナさん、今のは……?
[面倒な相手、という言葉に自然にそんな疑問が口から出た。
キャスターは知っているのだろうか。
あの技の主を。]
[全てがおさまった後、魔術を解き、自分で壊した噴水へと歩いていく。周りの人々を見回す。今起こったことをうまく理解していないのか、おさまってから方々へと逃げるように散っていく。
辺りに散らばった破片を見つめ、手をかざした]
Revenez a la place originale.
[破片が消え、噴水が元の姿へと戻る。
辺りをもう一度見回し、公園の方へと歩き始めた]
裏切り?
そんな奇麗事、あなたがいうなんて。
私とランサーは敵同士なんだ。
裏切るも裏切られるもありはしないよ。
私は私の使える力を使って事をなそうとしただけ。
そういえば力のうちの一つはあなたがくれたものだったね。
[久子は避けようのない彼女にとっての世界の終わりが近づいていることを感じつつ話していた。]
…話したい事があるって言ってただろ?
ヤツ…あの刃の持ち主は、この聖杯戦争における"八騎目"のサーヴァント。
セイバーを吸収し、その力を得たマスターでありサーヴァントでもある存在。
世界の滅亡を願う…俺の敵だな。
[マリアに歩み寄りながら、ゆっくりと説明する。]
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