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[エリザは足早に再び厨房の方へと戻っていった。
私は、シャーロットに今日一日あったことを聞いた。エリザが母屋ではなくアトリエで仕事をしていたというのは珍しい話だった。]
いつもどんな話をするんだい?
[二人だけの時にどんな話をするものか、ふと興味が湧いたのだ。]
[小さく唇を尖らせてから笑う。]
…あは。
やだパパったら、ママが居眠りなんかするわけないじゃない。
すごくキチンキチンとしてるもの。
夜眠る時間だって…──。
[ヒューバートに肩に触れられて、無意識に安堵したのか軽く首を傾ける。母親が出てきたので、彼女に関する話題はそこで止めた。]
…ダンボールの中身って。
パパ、何か新しくちがうものを作る──の?
[首を傾ける。]
[話題が少し変化したため、実はシャーロットは昨夜上手く眠れなかった事は説明しなかった。
ネリーが道端で暴漢に遭ったことなど知るよしもなかったが、災害に間連して、町がヘイヴンの町外の人間が少数ながらウロウロしている。州の調査の人が一度、災害救助関係者らしき人達が何度か(町外の人間の立ち入りを好まないヘイヴン独特の土地柄があるため、アーヴァインが中心となりあまり町内に入れないように動いているらしいが)、暴風雨の最中にテレビの取材が来た事にはシャーロットも驚いた。
そう言った情報は母親から。あるいは、シャーロット自身が目撃したりして知った。日頃、内心はヘイヴンの町に飽き飽きしているシャーロットだったが、学校や役場、色々なものが壊れた事も含めて──なんだか、落ち着かないのだった。]
今日、お昼間ママと話してた事は……。
こういう時だから仕方ないけど、町に知らない人が来るのは落ち着かないって話とか、アーヴァインさんのお仕事の話。
レベッカおばさんのお店が心配だから、顔を出した方がいいんじゃないかとか。
もうすぐ、先生が家庭訪問に来るって話と。
ママは予定もちゃんとしておきたいのね。
後は、いつもと一緒よ。
…おばあさまの容態の話とか。
[母屋の建物は、古く廊下の装飾等を見るとヘイヴンの図書館と共通の意匠をみとめることも出来る。モダンで開放的なアトリエとは異なった空間だった。
シャーロット自身はこの母屋をあまり好んではいない。何処か避けている節もある。けれども、異質な二つの空間の往復が日常でもあった。
祖母は、今日は夕食に二階から降りて来るのだろうか。]
わからないぜ。
ママは目を開けたまま居眠りできるかもしれないんだ。
[私は笑いながら、冗談を言った。
シャーロットがダンボールの中身についてぽろりと言った言葉は、核心をついていたことだろう。だが、16の娘にそれがどんなものかを説明することはひどく不穏当なことに思われ、私はやや赤くなりながら“しーっ”と口元で指をたて、ウインクをした。
秘密を隠し、あるいは披露する前の道化師のように。]
[シャーロットの話に耳を傾けていて、ふと引っかかる事柄があった。]
家庭訪問に来る先生って……イザベラ先生かい?
[母屋の家屋は手入れが行き届いていれば、古風で趣のある建物に見えたことだろう。建物に比して著しく住人が少なくなったその建物は妻エリザや数少ない使用人の手では毎日の掃除など行き届かぬものだった。高い天井の暗がりには、蜘蛛の巣が張っている箇所さえある。
エリザはそれでも、自分が主に使用する事務室と食堂、厨房に関してだけは几帳面すぎるほどに整頓していたのだが。
バンクロフト家の住人で私の父は怪我をして後、脚が不自由となり介添え人がいなくては移動が覚束ない。祖母は耄碌し、年々意味のわからない言葉を呟くようになっていた。
そして、やや頭の弱かった叔父は暴風雨のさなか養鶏場の様子を見に行き泥流に呑まれ帰らぬ人となった。]
[家庭訪問に家を訪れるのがステラだと知り、私は内心少なからず動揺していた。
彼女はシャーロットとどんな風に接するのだろう。あるいは妻は彼女と会うことがあるのだろうか。
僅かな葛藤を心の奥底に押しやり、話題を切り替えた。]
……しかし、折角の夏休みだというのに、災難だね。
嵐の日が続いた時にはろくに外に出られなかったし、嵐が去った後も復旧で色々バタバタしてたからなあ。
[家の中に閉じこもらざるを得なかった数日を私はシャーロットの型取りのために使い、有意義な時間とすることができた。だが、シャーロットにとっては閉じこもり、また制約のある時間は退屈なものだったのではないか。そんな思いが口をついて出ていた。]
落ち着いたら、遊びに行こう。
だが、できたらもう少しつきあって欲しいんだ。
[荒々しい暴風雨の惨禍は目を覆うばかりだったが、身の回りの変化からは同時に創造のための意欲もかき立てられていた。年に一度の周期になる型取りを終え、作品を生み出すための気持ちの準備も整いつつある。
旧友ホレスの残していった言葉もその意欲を後押ししていた。]
そろそろ、次の作品の制作に入ろうと思う。
その予定で考えておいてくれないか?
[近いうちにモデルになってくれるようシャーロットに頼んだ頃、食堂の入り口についた。私はその話を終え、*扉を開いた*]
双子 リック が参加しました。
――雑貨店――
[十何回目かになった呼び出し音を数えて、僕は受話器を置いた。チリンと小さく鳴った音に、ウェンディが身を竦ませたのが見えた]
『――あれから、いつもこうだな』
[思いながら僕は振り向き、結果を口にした]
……ダメだ。繋がらない。
事務所に誰も居ないのか、あるいは。
[言外に置き去った可能性を判じかねたように、ウェンディは小首をかしげた。僕はかすかに嘆息する。どうやら見た目通り、彼女はただ漠然と座っていただけにすぎなかったようだ]
……つまり、さ。あの暴風雨で、電話線が切れてるかもしれないってこと。そりゃ、確かに、ノーマン――父さんが不在ってことは良くあるけど。事務員まで連れて“出かけてる”とかね。
[以前見た情景を連想する。都市に出した事務所に顔を出した時のこと。若い女性を伴って出て行くノーマンの後ろ姿。あれは――誰だったろうか]
でも、幾らなんでもさ。
電話ひとつ、電報ひとつ寄越さないってのは、ちょっと、ね。
[幾らなんでも。その言葉が示す事柄に触れないようにうやむやに濁し、僕は今後の方針を述べた]
……まあ。あいつならそれも有り得るか……。
とりあえず、町の様子、見てくるよ。
店番は任せたから、ね。ウェンディ。
[ローズはブランダーの店に電話をしている]
ええ、食料品を適当にみつくろってください。
はい、お時間は何時でも。
よろしくお願いしますね。
[電話を切って]
これでもうちょっとマシなものを作れるかしら。
─酒場「アンゼリカ」─
今帰りましたよ。
煙草買いがてらちょっと町見てこようと思ったら結構時間掛かっちゃって。
[ドアから入ってきて開口一番がそれであった。この男は常に何処となく楽しげに見える。
帽子を取ってカウンターに置き、ローズマリーに微笑みかける。]
何か、手伝いましょうか?
[まだお客も居ないから大丈夫、とローズマリーに言われ、あてがわれた2階の客室に戻った。
帽子を椅子の背にかけ、ベッドに腰掛けてブーツを脱ぐ。身体を屈めるとどうしてもシャツの脇の辺りが引き攣れて、今にも布地が悲鳴を上げてそうな気配だ。
ついでとばかり借りていた衣服も全部脱ぎ捨て、ベッド脇の椅子に無造作に積み上げた。ポケットのなかの、煙草やライターや、細々としたものは皆サイドテーブルの上にぶちまけた。]
[ギルバートはどちらかと言うと着痩せする方で、筋肉の付き方も厚みを増すよりは締まっていくタイプだが、それでも裸になると縄の捩れのような隆起は目立つ。
室内に他に誰も居ない所為もあるのだろうが、それにしても裸身を晒した人間にまま見られるそこはかとない気恥ずかしさや弱々しさは感じられない。誰かの視線を……自分自身のそれも含めて……まるで意識していないか、或いは見られることに慣れているのか。
カーテンを閉めると、明かりをつけない室内は闇に包まれた。外はもう夕暮れなのだ。
腰周りにシーツだけかけて、頭の後ろで手を組んで横になった。
しばらく闇の中で目を見開いて何か考えていたようであったが、*やがて目蓋を閉じた。*]
[『お前はこれくらいのこともできねぇのか!?
何で俺からお前見たいなカスが生まれやがる。いつもナメクジみたいな目で見やがって、薄気味悪い!』
『あぁ、ユーインと同じ顔でなければこんな子100人から死んだとて痛くもないのに。何故あの子と双子で生まれたの?
お前なんて生まなければよかった…!』
『また痛い目にあったの?ハーヴ?仕方ないよね、ハーヴは一人じゃ何もできないんだから。
大丈夫だよ、俺がずっと一緒にいてあげるから。
俺はちゃんとハーヴを愛してあげる』
父さん、俺何もしてない、してないよ?なんで殴るの?
母さん、俺だってあんたたちを親に選んで生まれたくなかったよ
兄さん、いつになったら俺を一人にしてくれるの?
迷惑はかけないよ
見えるような所にもいない。
ちゃんと『愛してる』というから
…だから…』]
…っ!
[浅い眠りの中、昔の記憶の一部が交差する。
飛び起きた自分の体は酷い寝汗。
暫くこんな夢は見なかったのに。
叔父の家に行ってから長く使っていなかった睡眠薬、少しばかり持ってきて正解だった。多分今夜から世話にならないといけないかもしれない。
窓の外は月が覗く。あの災害の後とは思えないほど綺麗な月。
明かりを付け、ベッドルームから抜け出すと水を一杯、取りに行く]
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