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[自分が、異常だと知ったのはいつのことだったか。人や動植物の生き死にに対し、何の感情の揺れもない。
星がいつか死ぬのだとしても、人がいつかいなくなるのだとしても、そこには何も思わない。
けれど、彼の手によって人類が滅亡してしまうのは、何かがおかしいと、心が告げる。
彼自身は、本当に滅亡を願っているのか。地球や同じ時代に生きたものの考えなど別として、彼自身は。
自分たちの「過去」「今」を葬ることになったとしても、「地球」を救いたいと、彼は願うのか]
よりにもよって……アーチャーに話しかけるなんて。
なんて馬鹿な。
[罠が立て続けに発動する中、ランサーは思わず口にしていた。罠の発動が終わり、無残に荒れ果てた林の中を、ゆっくりと入り口の方へ歩く。]
止めておけ。
ヒサコに手を出しても、
死んだ後の葬式代を請求されるのが落ちだ。アーチャー。
[二丁拳銃の男は、今日も愉しげに笑っている。]
[ランサーの姿を、林の中に認める。
全身が、悦びに震える。]
よぉ。
今日は、前よりももっと、俺を楽しませてくれるんだろう?
く、く。
あぁ、そうだ。
言っとくがな。
[ランサーのマスターらしき少女へ、向き直る。]
俺とあいつの戦いの、邪魔はするんじゃねぇぞ。
そんな真似しやがったら、機会があったらと言わず、すぐに穴だらけにしてやる。
葬式の出席者も、皆殺しだ。
― 図書館前 ―
後から来いって言ったのに、あの野郎、ちっとも来やがらねぇじゃねぇか!
[ランサーの真名を調べ終えたケネスは、図書館の前で不満の声をあげる。
ランサーの真名に関しては、それほど情報を得られたわけでは無い。リチャードの時と違い、酷く曖昧な情報ばかりだった。]
どこで油売ってんのかね。一度カフェに戻って、その後公園行ってみるか。
[そう思い、急ぎ足で歩き出す。]
[アーチャーの問いに言葉を詰まらせる。]
そんなこと…
[既に攻撃を禁止をしていることは言わない。]
逆に死ぬまで楽しめるように協力してあげるのよ。
[再び令呪に意識を集中して命じる。]
「この戦闘からの離脱を禁ずる!!」
さあ、どうだろうな?
それよりも、さっさと私に倒されてはどうだ。
[攻撃にあたっては致命傷となる所を狙うしかない。
攻撃時の速度も威力も、数ランク下がっている。
攻撃する瞬間は、相手が大きな隙を見せた時だけ。
それまでは、回避し続けるしかない。]
的確で良い令だ、ヒサコ。
[ランサーは称賛した。
この戦闘から逃亡出来ないという不可視の束縛。]
くは、あはは!あはははははっ!
[その言葉を聞くと、身体を折るようにして大笑いした。]
そりゃ、いい。
そりゃあいいわ。
あぁ、こういういい仕事するマスターもいるんだな。
おいランサーよ、お前、幸せだぜ?
く、く。
さて。
[右腕を、ゆっくりと上げる。]
面倒臭ぇな。
早く、ここまで来い。
[一発、林の中へ向けて放つ。
当たることを期待しているわけではない。
それは、合図だ。
さぁ、思う存分、楽しもうぜ。
衝撃が、全身に伝わる。
脳髄を、快感が駆け巡る。]
ははは!あはは!ふは、あふ。く、うは、ひ、ひ。
−公園−
・・・・・・
[それにしても残酷な行為だ。ランサーを完全に令呪で束縛し相手のサーヴァントへと差し出すとは。
これはまるで拷問だ。
昼間の押し問答の回答がこれだというのならばナンセンスだが、逆にそこまでの決意をしたというのであればその意思を高く評価すべきだろう]
だがこの行動はあまりに非効率だ。令呪を3つ使い切ればランサーは短時間で消滅する。こんな行動を取る必要はない筈。
ならば、目的は別にあるという事か。
[図書館へ向かって程なくすると、前方から見知った顔が歩いてくるのが見え]
図書館からの、帰り道、だろうか。
ケネスさん、大事なお話があるのですが。
[声が届く範囲まで来てから、声をかける。そして回りを見渡した]
バーサーカーとは、別行動なのですね。
[戦闘の気配を感じ、アーチャーと一緒にいた露葉と手近な木の陰に隠れる。
露葉の心配する言葉に答える。]
大丈夫、さっき令呪でマスターの許可なく攻撃をしないようにって命令してある。
ランサーはまともに攻撃をできやしない。
全くだ。
では、アーチャー。
疾く逝け。
[引き金の合図でアーチャーに接近した。
ランサーの動きを追うように、狙いをつけてくる銃口。
アーチャーから見て、右側からランサーは走りこんで来た。]
− 公園、入り口 −
[歩く速さというものは、歩く人数が多くなる程遅くなるものである。ましてや宗冬と美貴は幸せな二人である。
カフェから公園まで大分時間が掛かったと宗冬は感じたが、一瞬一歩全てが素晴らしいものであったから仕方なかった。]
銃声であるか。アーチャーが来ているということか。
さて、どうしたらいいかのう。
[宗冬は美貴の顔をちらりと見た。]
[蜜より甘く濃い時を経て公園に辿り着いた。]
銃声だけで相手の特性を理解するとは、さすが宗冬様ですわ。
アタシなどでは遠く及ばないその状況判断能力も素敵。
……全ては宗冬様の御心のままに。
[潤んだ瞳で宗冬を見つめる。]
早く?
それじゃ、つまんねぇじゃねぇか。
楽しもうぜ?
お前も…
笑えよ!
[叫ぶと同時に、どこを狙うともなく、相変わらずの圧倒的スピードで走り込もうとするランサーへ向け、左、右と交互に引き金を引く。
あのままのスピードで突っ込まれたら、その言葉の通りにあっという間に逝ってしまいかねない。]
無用心なのですね、割と。
といっても、私も今はマリアを連れていませんから同じようなものですが。
今から何処かに?
本当でしたら、バーサーカーにも聞いて頂きたかったのですが。
[近くに隠れているのだろうか、と思い注意深く探してみたが、やはり見当たらず]
[――チッ]
[少しでも戦意を見せると速度が落ちる。
頬、耳、を掠る銃弾。血の粒が空に跳ぶ。]
笑え?
ハ、――きみは何を言っている。
[そして、ふと双眸を細める。]
殺人狂か?
[「へ」を鏡で反転させた軌道で跳躍、アーチャーの左斜め後ろ側から銃を狙い、槍を払う。その速度は鈍い。]
おう、ソフィーか。いや、用心したいんだけどよ。あいつがどうも言う事を聞きやがらなくてな……。
今日も美貴と愛を育むとか言って、それきりさ。
まあ、今探しているからその辺にいるのかもしれないがな。
今から、公園に行って見ようかと思っている。
ああ、そうだ、この前頼んでたセイバーの情報な、必要なくなったわ。
沖田敬一郎の事と、そいつがいかれてる事は既に聞いた。
今知りたいのは、まだ見たことねぇライダーのマスターの事かな。
[潤んだ瞳に見つめられていると状況なんてどうでも良くなってくるのも事実だった。頭が緩くなっていく。しかし状況判断を怠っては美貴を守れないと知る宗冬であった。]
サーヴァントの気配が3つあるような。インド人やアーチャーの他にもう一人居られるようでござる。
美貴殿のサーヴァントであるなら、ご挨拶に伺わなければなりませぬな。
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