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ト リ シ ュ ー ラ
還れ 我らが世界
[ランサーは放つ宝具の真名。それは、世界を滅ぼすシヴァの槍の名だった。刹那、川は深く抉れ、蒸発した。]
ああもういいよ! 幾らサーヴァントでも弱っているところなら僕でも倒せるだろう。ふん、嫌ならいいさ、僕独りで行って、、、。
[ 思い返してしまった、天災の如き先程の戦闘。]
………うん、やめよう。やっぱ戦いにもマナーはあるよな。
今日のところはいいだろう。またチャンスはあるさ。
[ 結論を出した時には、既にジャンヌの姿はなかった。]
ああーっ
完全に置いていったー!!!!
[名を紡がれた槍が水の城壁に触れた瞬間、その周辺が瞬時に蒸発する。
その威力に、防ぐ事など到底無理だと悟る。
だったらとる手段は一つ。
足元の渦がキャスターの足元を包む。
城壁を広げたのは、どんな速度の攻撃にも反応するセンサーの役割を持たせるため。
足元に展開する渦は安全なる逃走経路。]
迂闊だなランサー!空間転移の術がある事は目の前で見せたはずだぞ?
[曰く、不滅の賢者は最後に大渦へと消え去った。
彼の伝承でもあるカレワラの最後の一節である。
そう、水による身を包むほどの渦が発生させられる状況ならば、彼は瞬時に転移することが出来る。
近くで水の城壁で守っていたマスターも、同時に水で包み込み渦の中へと引き入れる。
そして着弾する槍、それは全てを消し去る破壊の象徴…だが、その場には既にキャスターの姿は無かった。]
[戦闘場所から離れた川の上流、キャスターとそのマスターは水の中から姿を現した。]
ま、ある程度ストレス発散できたしあんなもんだろー。
[大暴れして幾許かの気は晴れていたキャスターだった。
地の利があったにも拘らず仕留められなかったのが心残りだが、まぁ相手にだけ宝具を使わせたのだから収穫は大きかったといえる。
むしろ、今日戦った2人と川原以外で戦闘になっていたならば、正直負けていた可能性が高い。]
てかもうホント勘弁して欲しいねー。
え、なにがって男を女と思ったことに決まってるじゃないか。
[横でフラフラになっているマスターに普段の調子で話しかけるキャスター。
まぁ、マスターから吸い上げる魔力を抑えていたとは言え、もう魔力はスッカラカンだろう。
それはキャスター自身にも言える事ではあったが…。]
あー…もう全部使い切った。
とりあえず帰って寝させてくれ…このままじゃぶっ倒れちまう。
[魔力量がケタ外れに高いとはいえ、全力での二連戦は流石に無理があったのだろう。
てかセイバーと戦った後さっさと帰ればよかったなーなんて思いながら、キャスターは*帰路へとついた*]
[地形は更に変わっていた。川の流れは寸断され、もうもうと周囲からは蒸気があがっていた。クレーターの中心に、先端と柄が視えない槍が突き刺さっている。
今のランサーに、キャスターの声は聞こえない。目の前の敵を殺戮するサーヴァント。それが今のランサーだ。
キャスターの目が節穴でなければ、ランサーの表情は歓喜に満ちていたのが見えた事だ。
ランサーは、槍を引き抜くため、*熱砂の大地を歩いてゆく。*]
[槍を引き抜き、どれくらいの時間が経ったか。ランサーは我にかえると、久子の姿を探し始めた。]
居ない。
魔力は流れてきているし危険な目に合ってもいないのは分かるけれど、何処に行ったんだろう。
[ランサーは、己が破壊の爪痕を振り返った。心を痛める。この一帯に、正常に水が流れ始めるのには時間がかかるだろう。神々に祈りを捧げる。この地が、より早く回復する事を。
ランサーは、商店街に向かう事にした。]
― 樹那商店街 ―
[午後、有閑マダムがお喋りをしていたり、学校をずる休みした学生が居る他は、夕食の買出しをする人間も居らず、混んでいなかった。
ランサーは、物珍しげに、ウィンドウに飾られている「NEW」という文字で引き立てられた冬のブランド服を眺めたり、花屋の前で足を止めたりしていた。
と、横断歩道で道を渡れずに困っている様子のお婆ちゃんに気づき、向こう側まで背におぶる。大袈裟に感謝するお婆ちゃんと別れると、*また歩き始めた。*]
−ランサーとキャスターの戦闘中 樹那町西ブロック−
[川原を戦闘方向とは逆に走り土手を駆け上り道路に出てしばらく走ると、何かを情けなく叫ぶ男の姿が目に入る。
先程分かれたライダーのマスターだ。ライダーらしきサーヴァントに気配は大分離れたところに感じる。
先ほどの態度から恐怖心は感じない。立ち止まり話かける。]
ちょっとあんた、こんなとこで一人何してるの?
川原の方は今ランサーとキャスターのお爺ちゃんがデート中だよ。
いかない方がいいと思うよ。
あ、もしかしてライダーを呼び戻して残った方をやっつけようとか考えてない?
そんな野暮な真似するもんじゃないよ。
しばらく見張らせてもらおうかな。
[アレから家に着くと倒れこむように眠った。
なんかマスターがフラフラしながら何か言ってた気がしないでもないが無視。
魔力的にもいっぱいいっぱいなのは元より、精神的にもなんかいっぱいいっぱいだった。
睡魔に負けながらキャスターは心の底から思う"真面目なのは疲れるんだよ…"と。]
[そして翌朝、起きてからゆっくりと昨日の事…というか、戦った相手の事を考えていた。
しかし、幾ら考えても答えが出ない…あのセイバーだ。炎と消滅の力を操る騎士…考え付くのは太陽の騎士と言われたガウェインあたりだろうが、どうもイメージに合わない。
最もイメージに合う武器といえば、世界を終焉に導いた炎の剣、炎神の王スルトが持つレーヴァテインであろうか。
だが、あれは人として語られた自分と違い正真正銘の神だ。サーヴァントとして呼ばれる可能性は無いだろう。]
[次にランサーだ、此方は宝具の名前から答えは簡単に出る…筈なのだが、こちらも腑に落ちない。
何せ宝具の名がトリシューラだ。
これはヒンドゥー教の神、シヴァが持つ槍の名前に他ならない。
しかし、彼もまた起源を遡っても紛う事無き神である。
元の起源はヴェダ神話の神ルドラであり、彼の槍を持つ可能性が少なからずあるものとしても、キャスターの知識の中ではシヴァの子である歓喜天と韋駄天ぐらいだ。もちろん両名とも有名なほど有名すぎる神である。
となると…友好のあった者か?と思いシヴァと同列の神を思い浮かべる。
となると、三神一体として名を連ねるブラフマンとヴィシュヌぐらいであろう。
しかし、この両名ももちろん上級神であるし、この2人がもし該当するクラスとなればライダーに他ならない。ガルダとハンサという神格すら持つ幻獣を従えているのだから。
結局、キャスターはヴィシュヌの四つの分身の1人であるラーマが、シヴァの槍の名を持つ宝具を持っているという答えには行き着かなかった。]
…大体、本当にそこらの神が召喚されたなら流石に今の俺じゃ太刀打ちできねーっての。
[スルトにシヴァ、前者はまだしも後者なんぞだれでも知っている名であろう。
そんな神と"戦い"という"形"になっていた時点で、あの2人の真名がソレであるとはありえない。]
……まーいっか。
[キャスターが深く考えるのを放棄すると、その場に寝転がった。]
ああもう、なんで勝手に行くんだこの街のこと判ってんのかなんて愚かなんだあのおえらぇをゎあっ?!
[ 毒づいている最中に話しかけられたどころかまくしたてられ、狼狽えまくる。]
な、なんだ君は突然なにを…て。
[ 慌てふためき振り返ればつい先程に見た顔。誰だ? とりあえず落ち着け。素数を数えろ、13579…。]
なんだ、ランサーと一緒にいた子か。ええと、つまりランサーのサーヴァントなのか?
安心しなよ、わざわざ戻る気はないし、そんな度胸もない。
で?
君は僕になんの用なんだい?
[しばらく、考えていたが]
今考えても仕方ないことだ。
何より、私がシャルロットを信頼しないでどうする。
その辺りも、話し合ったほうがいいだろうし、今はキャスターたちと協力関係にあるのだから、戦い方も変わってくるだろう。
[頭を振り、シャルロットを探しに地下へと向かった]
[書庫まで足を運び、扉をノックした]
シャルロット?
その、これからの作戦を考えませんか。
私はあなたがどれだけ強いのかをよく知らない。けれど、敵の強さがどれだけあるのかは感じ取ったつもりです。
どうやって戦っていくのか、作戦しだいで運び方がだいぶ変わってくると思うのですが。
[相手の狼狽ぶりに思わず笑みがこぼれる。
自分が優位に立っていると考えるとどんどん言動が図々しくなる。]
しばらく一緒に行動させてもらうって言ってるの。
お互いわからないこともたくさんあるでから不利にならない程度に情報交換しよう。
サーヴァント同士の会話とかわかった?
こんなとこで立ち話も変だし、どこか店でも入ろう。
あんたこの街の人間?だったらどっか案内してよ。
[男を追い立てるように歩き始める]
― 自室 ―
[ケネスは宗冬と共に、自室にいた。
宗冬は相変わらずテレビに見入っているようだ。]
やれやれ、昨日は散々だった……
[質屋に入れられた宝具を取り戻し、教会に行って挨拶が出来たのは良かったものの、質屋では刀に値打ちありと見た店主から、ゆずってくれないかと散々ごねられ、無駄な時間を過ごしてしまった。]
だいたい、自分の宝具を質に入れちまうサーヴァントなんているのかよ……つか、過去に1人でもいたのかよ。
[何かテレビに気に入った番組でも映っているのだろうか、膝を打って嬉しそうにしている宗冬を見ながら]
絶対こいつだけだろうな……
[と、すぐに確信できた。]
おい、居候。俺も無為に時間を使いたくないんだ、町を回るんでちょっと着いて来てくれや。
[番組を見るのを中断され、不服そうな宗冬を無視するとコートを羽織り、外へと出る。
とりあえず人通りの多い商店街へと*出ることにした。*]
うわ、ちょ、おい、なんか勝手に話進めてないかっ?!
[ いきなりな相手のペースに惑わせられる。が、すぐに平静を取り戻し。]
まあいいよ。情報がほしいのはこちらも一緒。願ってもない申し出だ。
オーケイ了解した。それとこの街の案内ね、まあそれなりに長く住んでいるから色々知っているよ。食事にはちょっと早いけどまあいいか。ついてきなよ。
駅前…よりはこっちの方が近いかな。
[ ぶっきらぼうに言って、商店街の方へと歩き始めた。]
[ノックとソフィーの声に応じ、ゆっくりと扉を開けマスターを招き入れる。]
すみません。本来であればここは貴女の鍛錬場でしょうに。
気を使わせました、マスター。
作戦ですか。
ご存知のように私は、戦場で武器を手に戦ってきた英霊ではありません。
その事を、不安に感じているのでしょう?
私が戦いで勝利する為には、3つの条件が必要です。
ひとつ、奇襲を行う。これは私のクラスに於いて最もオーソドックスな手でしょう。
ふたつ、魅了を完全なものにする。特に対男性に於いては、洗脳レベルの魅了を発動する事が出来ます。但し、魅了している状態でも、戦いが成立する事は忘れてはなりません。
みっつ、徐々に相手を弱らせる。これは、私の最後の奥義に関るものですが。
マスター、貴女はどのような戦いを好みますか?
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