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[オープンカフェの奥、スタッフらしき男の倒れた厨房で、食べられるものを探す]
パンと、後ハム、くらいかなぁ。食べられそうなの。
野菜は野菜ジュースでいいじゃない。
[ミキサーに数種類の野菜を放り込む。完全につぶれて液状となったそれをコップに入れると、ハムサンドと共にトレイに乗せて]
[元のテーブルに戻ると、少女の姿はなかった。代わりに、少年――に見える――がそこに立っていて]
うーんと。もう一人登場ってとこ?
さっきの女の子が実はホログラムで男の子になった、とかじゃないわよね。
[椅子に腰掛けると、先程は気づかなかった紅茶が入れてあるのを見る]
あ、入れてくれてたんだ。ありがと。そっちの二人のどちらか、かな?
[双子を見比べてにこりと笑う]
――Mundane/underlayer (現実世界/下層区画) ――
[時制は現在より数時間を遡る。
ぱちり、と音を立て、インディゴブルーの蓋が閉められた。必要な機材を詰め込んだケースを手に、男は中空へ声を掛ける]
さて、それじゃ行くからな、"Celia"。
落ち合う先は上層(アパー)【電脳街】のどこか、って事になるだろ。それまでは好きにしててくれればいい。何か聞く事は?
[問いかけとともに、空中でホロが結像。金色の長い髪の少女が姿を現した。小首をかしげて唇に指を当てる]
――ううん、と。どうやってあれだけの時間で此処を片付けたんですか?過去の実績から算出された所要時間は、最短で5時間52分という値だったのですが。一体どんな魔法を使ったんです、マスター?
……お前、な。見てただろうが、一切合財放り棄てるところ。
――冗談です。聞きたいのは、ええと、ですね。
[AIとしては珍しくも、"Celia"は口ごもった。
彼女の内部で行われた価値評価の基準式が複数のステイタスを示しているのだろう、と彼は推測する]
【まあ、そうだろうな――今の時期にわざわざ下層(アンダー)を引き払って、上層(アパー)に行くべき理由がない、と。彼女がそう考えても不思議はない】
[数瞬のためらいの後、ようやく"Celia"は口を開く。]
――本気、なんですか。ずっと、口癖みたいに言ってるだけだと思ってました。……本当に、マスター?
――Mundane/underlayer (現実世界/下層区画) ――
ああ。
俺は行かなきゃならないし、決着をつけなきゃならない。
[答えながらスーツケースを手に取り、部屋の扉へ向かった]
……それが俺のけじめだからだ。あの“罪(sin)”に対する。ま、お前はそんなこと気に掛けなくても良いけどな。いつも通りに俺をサポートしてくれれば。
[はい、と小さく答えるAIの少女に頷き、男は軽く手を上げた]
それじゃあ、またな。今度はもっと上等な部屋で会うとしよう。
――いってらっしゃい、マスター。道中、気をつけて。
―― 現実世界/南部 オープンカフェ 周辺 ――
[オードリーは、遠巻きに注意深くその人々を観察していた。]
キャロ、それに ... 一人、二人 ...... 罠かしら、それとも ...
それにしても、この非常事態にのんびりとお茶とは、優雅な身分ね、フフフ。
何をしている ... ヤツら ...
[オードリーは、多対一になることを恐れて、カフェに近づこうとしない。]
少し、様子を見ましょうか、ね。
[オードリーを覆う外套が少し光ったかと思うと、周囲に溶け込むように変化し、彼女の姿は * 見えなくなった *]
―現世/南部・カフェ―
夢が崩れている?
劇場……あなたのお仕事ですか?
[そう言いながら、番組を確かめる。]
[チューニング/結果:ZA...noise]
[切断]
――……あと、ええと。女史の方、でしたっけ?
それと
[情報を持っていると予想される/動いているという人を考える。]
[声が聞こえたのはその時だった。]
――女の子ですか?
【彼の様子から導き出される結論/知り合いと予想できる。
今はいない女の子/コット。
∴コットの知り合いで、コットが動いていることを知る人物。】
もしかして、あなたが、お師匠様ですか?
[首をかしげ、メイが先程までいた*厨房を見る。*]
何かお飲みになるのでしたら、お作りいたします。
生憎と、さほど得意にしてはおりませんが。
―― 現実世界/中央⇔南部境・オープンカフェ ――
おや。Mr.__V.C.じゃありませんか。
[驚いたように双眸を開き、パイプを仕舞う。]
ああ……こんな時でなかったなら、良い話が出来たでしょうに。V.Cも無事だったとは!
失礼――僕と彼はちょっとした知り合いでしてね。
[少女に向けて言ったが、少女の言葉を聞き、]
外見はほぼ性を廃したfemale型bodyではあるのだけれど、面白い観察眼だね。それとも、直感というものかな?
[トレイを持った少女が元気よくパンをぱくつくのを双眸を細め、くすくすと笑う。まるで猫のようだ。]
ふぅん……。
[品定めするようにレベッカを見つめ、]
”問いに問いを返せ”と調整されているのかね?
僕がお茶を飲みに来たと判断出来る要素でも?
失礼。どうもなっていないAIを見ると気になってしまう。
[V.Cに顔を向け、苦笑混じりで*呟いた。*]
―現世/南部近辺・カフェ―
わたくしは、"主"の望むままに出来ています。
"調整"と呼ぶかどうかは、あなた様のお気に召すようになさってください。
["主"以外である"他者"から向けられる感情は、何であろうとレベッカに影響を与えるものではない。]
――お嬢様は、Utopiaへ向かわれました。"映像"にかかわりのある場所へ。
そしてここはティースペースです。お茶をお勧めするのは当然ですわ。
まして、あなたがお師匠様であらせられるのでしたら、お気に召す珈琲豆があるかとお嬢様が気にされておりましたし。
珈琲がお好きなのだと予測いたしました。
[そして、封筒を再び*しまう。*]
お好きなものを口に出来ないのは、望ましいことではないと思いますが。
たとえこのような異常事態の中であるとしても。
―― 現実世界<Mundane>/西部・空中庭園 ――
[Closedの個人空間――魔窟を経て向かったのは西部エリア]
[倒れ伏す人々避けもせず進み/漆黒の爪先は通り過ぎていく]
[電脳<Utopia>を重ね見ても、そこにあるのは黒の姿一つ]
フゥン、彼等モ眠リニツイタカ。
好都合ダ。
[黒目が見るのはスカイブルーの制服の向こう、幻想の動物達]
[遺伝子の螺旋を組み替えたモノ]
[立ち上がった彼は手帳サイズの端末を懐から取り出し、開く。空中に現れるレーザースクリーン。
だがそこに表示されたのは――]
地図?
三軸座標まで付いてやがる。
それにこの光点(ポインタ)は。どういう事だ、一体……。
[展開されたファイルは、いつの間にか幾つかの光点を灯す地図へと変化していた――]
[長く楽しめるように/世話が楽なように作られた愛玩動物]
[人間を襲わぬようバイオチップを埋め込まれ、牙を抜かれた獣]
――ダガ用ガアルノハ、オ前達デハナイ。
[黒が目指す先には、動きを止めた楽園のガーディアン達]
["見世物"が暴走した時に人間を守る為の、動物型AIロボット]
[彫像の如く動かない獣の側、漆黒のボディースーツがうねる]
"主"――予想通りとは言え、
その言葉は"主"の無能を意味するよ。
状況解析能力と潤滑な対話能力が充分ではない事から推測し、公共の場ではなく私的な関係に偏って調整されているようだとはいえ。それでは完璧ではない。
コーティングをしているが、地球規格ではなさそうな義体といい、人への命令を許可されているような態度といい、"主"は何処かのお金持ちなのだろうね。いやはや、お近づきになりたいものだよ。
[奇しくもウェンディが座っていた席に腰を降ろす。くすくす笑い、]
いや結構。今はAIのルーチンの犠牲になりたくない。
[がぼり]
[突き出たのは3本目の腕/0と1の光砂が複雑な魔法陣を描く]
――――サモン、ガーゴイル
[指先まで漆黒に包まれた掌が、ロボットの頭へと]
[腕に刻まれた魔法陣が煌き、渦巻く螺旋が吸い込まれていく]
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