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アーハァ?
何のことだか……
[ニッと微笑む顔はとぼけているのか、ふざけているだけなのか。]
それより。ローズが死んだぜ。ステラに殺されてな。
アンタは古い友達だそうだから、一応教えとく。
とぼけるのか?
写真だって、あるんだぜ?
君が少し下がって、私を自由にしてくれたなら、見せることができるんだがなァ
[そんな誘い水に応じてくれそうな相手にも思えなかったが、挑戦的な眼差しを投げて云う。
だが、ギルバートから次に聞こえた言葉は、私に少なからぬ動揺を与えた]
ステラがローズを――!?
バカな……
……いや……
[ステラの自宅の冷凍庫にあった心臓。あれはまさかローズのものだったとでも云うのだろうか。嘔吐感が甦り、胃がヒリついた]
要らんよ、そんな写真。見たところで俺には何の得もない。
[ナイフを突きつけたまま、器用に肩を竦めて見せた。少し刃が皮膚の表面ををぞりぞりと擦っていったかも知れない。]
最初に会った時の疑問は今も疑問のままだ。
この町になにをしに来た?
ここは、なにもない町だぜ。
ちんけな――
女の数だって、そんなに多くはない。
遊ぶところだってほとんどない。
遊び相手は――あっという間に居なくなっちまった。
そんくらいの規模のちっぽけな町だ。
[だが、それは愛すべき人たちだ。嫌悪し、遠ざかりたいと感じながらも愛着を感じていた町だ。
その崩壊をもたらしたこの男に、憎悪の眼差しを投げる]
人を探しに来たのさ──それと町を見に。
だが、もう用は終わった。後は立ち去るだけだ。
[口の端に浮かんだ薄い微笑はそのままに、憎悪の眼差しを涼しい風とばかりに受け流す。──そんなものにはもうとっくに慣れきっている。
ふっと思いついたように、]
──ああ。そうだ。アンタに聞きたいことがなくもなかった。
退屈しのぎくらいにはなったかい?
なにかおもしろいものがあったというなら――
きいてみたいものだ。
――君の話を。
[ギルバートに挑戦的な言葉をかけた]
探し人――見つかったのか?
それが誰なのか、聞いてみたいものだが……
[そして、ギルバートの問いかけに]
話せそうなことなら、なんでも――
[と云った]
君から話を聞ける程度のものになりうるかはわからないが。
見つかったが……もう居ない。
それはもういい。
この町は変わってるな? ずっと──こんなふうに……閉鎖的だったのか?
その、色んな変わった風習がある理由が何故だか分かるか?
[この町にこんなに「血族」が多かった理由を聞こうとすると、自然人狼の話をせざるを得ず、それを避けるとなると非常にぼかした問い方にならざるを得なかった。]
[シーツを背もたれに掛け、ナサニエルは2人の様子を観察している。]
んー………
俺もヒューバートには話したいことあるんだけど、それは後でいいや。
[露になった性器を気に留めることなく、そのままの姿で居る。]
“人狼”の血脈――
[ギルバートを見据えながら、図書館で知った事実、バンクロフト家に伝わる奇習を思い浮かべながら言葉を紡ぐ。]
その力は、時に鋭敏な感覚や常人には持つことのできない身体能力となって発現される。
完全な人狼ならずとも、それは一族の者に力を与え、家の繁栄をもたらしてきた。
だが、完全な人狼になり、更にその力を律しきれない場合は破滅がもたらされる。私はそう聞いてきた。
だから一族は、その血を飼い慣らすよう努めてきたんだ。
閉鎖的、と云えば閉鎖的なんだろうな。
たとえば、ボブのような黒人が住むことは、これまではありえなかった。
彼の母親が土着の者で、外部の者に身ごもらされたのでなかったなら。
[目線をギルバートから外さないまま、口の端でナサニエルに笑いかける]
ナッシュ。
君の友達はなかなか荒っぽい歓待をしてくれるようだ。
私も、心当たりがないではないが、ちょっと落ち着くように云ってはもらえないかな?
[その時、僅かに眉根を寄せて、ちらりとナサニエルを見た。
一瞬その面を何かに気付いたような色が走ったが、]
──────。
[ほんの一瞬でそれは消えて、すぐに視線をヒューバートに戻した。]
足はひっぱらないようにしないと駄目、ネリー。
[ネリーは包みを家宝のように大事に両手に持ち、3人がいる部屋へ近づき始めた。]
[ヒューバートの答えに、笑みが崩れた。]
人狼──か。
なるほどね。そうか。アンタのご先祖様は同族のことを少しは知ってたんだな。
血の源となった、大元の同族が誰かは知らんが……
これ程大規模な「血族」のコミュニティが今まで知られなかったことの方が奇跡みたいなもんだ。
ギルバート。
“お友達”が居るなら答えづらいなら――
いや、そもそも答えてもらえるとしたら望外のことなんだろうが……
私は真実が知りたい。
君は、この町で“なにをした”んだ?
そして、とどのつまり――
なにを“糧”としたのか
[『誰と誰を手にかけたのか』とその問いに言外の意味を載せる。]
その答えが聞かせてもらえるなら、君の指定するどこへでも赴くよ。
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