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──バンクロフト家──
[ハーヴェイを最初に迎え入れたのはマーティンだった。
旦那様は半時間ほど前に慌ててお出掛けになりました。と言って、エリザの事も含め、ハーヴェイにもアーヴァインが告げて行った内容を告げた。シャーロットは自室で眠っているようだったので、ヒューバートを追って出掛けないかが心配でまだ起こしていないのだとも。
ハーヴェイさまがいらしたのなら、お嬢様を起こすよい頃合いかもしれません。エリザさまがおいたわしい。
と、ハーヴェイと共にアトリエへ向かってマーティンは歩き始めた。]
――自宅――
[沈黙の儀式は、その後どれ位の時間を掛けて行っただろう。
薄いカーテン越しに感じる外の明るさが、先程よりも明るくなったように思え、わたしは視線だけ覗けるような隙間を開け様子を伺う。
雨は小降りになったようだ。]
この調子だと…もうすぐ止みそうね…。雨――
[すっかり落ち着きを払った左腕の子は、わたしの呟きに一つ欠伸をして大人しく蹲っている。それは背中の子達も同様に――]
そういえば…アーヴァインさんの話だと、道路封鎖とか言っていたわね。大丈夫なのかしら…。
[わたしは気を紛らわすかのように、酒場近くで得た情報を口にする。そうする事で自分の次の行動を決めてしまい、この子達を眠らせてしまいたかった。]
──アトリエ・自室(回想)──
[シャーロットは、何か別の事をイメージしようとする。
と言っても、ヘイヴンに住み、テレビのチャンネルはエリザが管理している、雑誌を買うにも叔母の店しかない、そんな環境にあるシャーロットに保健の時間に習った以上の知識は無い。
指先でその場所に触れる事をおぼえたのは何時、何がきっかけだったのだろう。家にあったダヴィンチの解剖デッサンのみを集めた画集を見た後、好奇心から浴室でこっそりと鏡で自分の性器をはじめて見た後だっただろうか。それとも、今日のようにモデルを勤めた後、身体の熱を感じて知らずに手を伸ばしたのだったろうか──。]
[書斎にある画集や作品集の中には、美術として当然のようにエロティックなものも含まれていた。シャーロットが気に入ってる作家『通称:大ガラス』正式名称『彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも』を作った作家の作品に、確か妹の結婚祝いに送ったと言う『貞操栓』あり…──、その立体のカーウ゛を思い出しながら、いつか、私にも誰かを…──身体の内側に招き入れる事があるのだろうかと、思い。同時に、そのような事が永遠にあり得ないような気がして、快楽の中で苦い溜め息を漏らす。
今はまだ16歳。もしボーイフレンドが出来たとしても、両親とも健全な交際を望むだろう。外部の学校へ通っていた時、すでにロストヴァージンを終えたと自慢している少女も居たけれど。普通、かたい家庭の娘は、ボーイフレンドを自宅に招いて両親に紹介しても18歳まではそういった行為はしないものだと、シャーロットは信じていた。]
[リックの、ネリーにとって最も恐れる表情が、そこにあるとは露知らず、ネリーはもうたくさんよ、と言わんばかりに受話器を置いた。]
やっぱり駄目だわ。せっかくアーヴァインさんが町中走り回っているというのに。
神様というものはかく残酷なものを与えると言うのかしら?
[冷たい石膏のオブジェが熱い肉に変化し、シャーロットは自分自身がその塊を受け入れるところをイメージする。自分自身でもまだ、その入口にしか触れた事の無い内側へ──。]
…あぁ、だめ。
[二度目の否定の言葉。
シャーロットはそこで何を想像してしまったのか。想像に罪悪感をおぼえ、今度は一転してお仕置きを受けた幼い頃の記憶を甦らせる。振り下ろされるバドル、けれども少女の尻をそれで打つ事に抵抗があるのか、打つ度にやさしく撫でる父の掌…──痛みと、くすぐったいような優しい感触が交互に……。
三度目の否定の言葉を口にする前に、眉を小さくよせたまま*シャーロットは落ちた*。]
[客室に入り扉を閉める。独りきりになった彼の顔からは、漂う軽薄さが綺麗に消え失せ、引き締まった表情に取って代わる。
先程シャワーを浴びた時に、椅子の上に置き捨てたカウボーイハットを手に取る。雨に打たれたためにしっとりと湿っていたが、気にせずに頭に被った。
ポケットから出した細々としたものがまだサイドテーブルに置いてあったが、彼はその中からライターだけを選んで持った。]
[そして、あともう一つだけ。
バックパックの中に、毛布に包んで仕舞っておいた物を取り出した。
皮製のシースに包まれたハンティングナイフ。
鞘から抜き放ち、刃の具合を見たあと、もう一度鞘に収める。
それを、腰の後ろに来るようにベルトに取り付けた後に、隠すようにゆったりとしたレインコートを羽織った。]
[行かねばならぬ時だった。]
ぐあぁぁぁぁぁぁぁ…ま、眩しい…眩しい!!
[微弱な光でも、彼の濁った水晶体の中で跳ねまわるのは
十分過ぎるほど、十分なものであった。
遮るものなしに、世界は眩し過ぎるものだった。]
ネ、ネリーィィィィィィィ………。
[こんな時、ネリーがいないのが不幸だと思った。
いや、ネリーだけではない。この状況で、
彼に気付いてくれる者を、期待してはいなかった。
日が暮れるまで、光との格闘をしなければならない。
そう思うと、苦しみが倍増するような心地がした。]
──アトリエ・自室(現在)──
[マーティンのノックで目を開く。
お嬢さま、落ち着いて下さいね、と言ってから手渡される手帳。…そして。
シャーロットは続いたマーティンの言葉に「嘘…」と小さく呟く。伝えられた言葉を否定するように首を小さく横に振り、]
リビングでハーヴが待ってるのよね。
待たせちゃいけないわ。
[廊下に出る直前、誰かが階段を駆け上がる軽快な足音が聞こえたが、それはすぐに部屋の前を通り過ぎ、奥の部屋へと消えた。]
『今のは──…。』
[ソフィーは一瞬部屋へ戻ろうかと考えたが、今戻ったらそのまま倒れてしまう気がして、そのまま1階へと向かう事にした。]
[マーティンに案内されながらも、慣れた足取りでアトリエへと向かう。
以前の休暇の時、この隅を借りて課題をさせてもらっていたのだが]
先生まだ戻ってきてないんですか…って…エリザさん…先生の奥さん…ですよ…ね?
[聞いた事実にしばし呆然と。信じられないというように聞き返す。
この災害の後、先生はともかくあの小さな少女はどれだけ不安だろうかと思うと、少しだけ胸が痛んだ]
――――――――――――――――
エリザとの関係は、パウダースノーの雪崩に巻き込まれてしばし遭難した瀕死のドーナツにも似た、甘い甘い、砂糖まみれの世界。どこまでも幻想的で、夢見がちで――永遠の「乙女」だけが、永遠の「処女」だけが、立ち入れることのできる世界なのだ。
失った「処女」性を取り戻す――というよりはむしろ、自身が「処女」だと信じて疑わない姿勢が、そこにはあった。
そして、一般的に「不倫」をする妻とは決定的に違う点がある。それは、《夫に対する申し訳無さ》というものがまるで無いのだ。
浮気相手に嬉々として夫や子どもの話をする人間はあまり居ないとは思うが。しかし彼女には、よくありがちな「夫への不満、愚痴」といった類のものを語ることも無ければ、「夫への申し訳無さを振り払う」様子さえも見えないのだ。――まるで、最初から「夫」や「娘」など居なかったかのように。最初から今まで、彼女が「乙女の園」の住人であったかのように。
――いや、同様の印象は、夫であるヒューバートからも感じてはいたのだが。
幾ら雨が上がりそうとは言え、彼方此方出回るのは危険かしら?でも――…
[わたしは出掛ける理由を作り上げたくて、辺りを見渡す。何か足りない物は…ない?]
あ…蝋燭が無いかも…。またさっきみたいに雷が鳴らないとも限らないし…。あった方が何かと便利よね。うん、ブランダー家の雑貨屋へ行ってみようかしら?
久し振りにリック達の姿も…見てみたいし…。
それに…――別な所も見ておいた方が良いでしょう?
[まるでこじつけとも思える理由付けを自分に課して。わたしは洗面台で左腕を綺麗に流し洗う。そしてきつくきつく包帯を巻き、いつもの野暮ったい服に着替えると。]
――おやすみなさい…invidia…
[泥濘の激しい表へと足を踏み出した。]
[手摺に縋り、一段一段足元を確かめながら階段を下りる。
注意していないと踏み外してしまいそうだった。
ぐらつく視界を堪えて階段を降り切ると、自然と苦笑が漏れた。]
『こんな時に風邪なんて……。』
[体調は自分が思っているより思わしくないようだ。]
[一般的なヘイヴンの住人よろしく、ネリーは特に信仰心は持ち合わせておらず、半ば『振り』で神様という言葉を口にはするが…
それでも。
10年前。奪う者。奪われる者。
これらのフレーズに一致性がある。何か嫌な部分でピースがカチリと填る。 …じゃなければいいのだが。]
そうって。何がそうなの?
[差し出されたので手を出す、といった具合に手がフォトアルバムへ伸びる。]
──アトリエ・リビング──
ハーヴ!
[リビングのソファで待っているハーヴェイの姿を見つけると、シャーロットは彼に駆け寄る。
細くとも自分より背の高いハーヴェイにシャーロットはためらいもなく、抱きついた。]
ハーヴ、ハーヴ。
さっきの大雨でママが、ママが…──。
パパは現場へ出掛けてまだ戻らないの……。
[不安げな細い声。
大きな窓ガラスに映る外の景色。
すでに雨は見えないほどの小雨に変化していた。遠くの方で、雲の切れ目にわずかな光が見える。ヒューバートが出掛けた時はまだレインコートが必要な雨量だったと言うのに。
窓を開けて手を伸ばしマーティンが雨量を確認する。
その時、その開かれた窓の向う側から──激しい車のスリップ音が聞こえた。]
[少しだけ、という言葉は誤解を招くかもしれない。
しかし実を言えば肉親を失った悲しみというものが分からないのだ。
常に自分に暴力を振るい続けた両親へは常に死を願った。
自分を苛んだ兄が死んだ時、初めて笑った。
今は叔父が自分を養っているが、もし死んだからとて涙も出まい。
そんな自分が、どうして母を失ったシャーロットの心境がわかろうか。
胸が痛んだ理由など些細なこと。
泣きすぎて、あの綺麗な顔が、目が。
翌日赤く腫れてしまうのはさぞ心配ではないだろうか、と。
そんな、ことだった]
[階下に着くと、影から店内を覗き込んだ。]
『良かった、誰もいない──。』
[客の姿が無い事に安心し、襟元を手でかき合わせながらローズマリーに声を掛けると、ローズマリーは駆け寄って来てソフィーに手を貸し、店内の椅子へと導いてくれた。]
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