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そのタネを明かす為にも、どうにかしなくてはいけないな。さしあたって、Irvineが最後に地図上に記された場所に行くつもりだけれど。
[すぅっと顎に手をあて]
そーねそーね。
トンビちゃんも気をつけるのよ。
[襲いかかってくる殺気のような気配は今は遠のいているように感じられた。]
俺っちはアレがでっかいじっさまのところにでも行ってみようかとね。気になってンのよ。アレが。
[にっこりと微笑む。
となれば、長居は無用だった。
そろそろ接続を切っていいかとかれに問う。]
≪ 仮にもしも ≫
≪ 僕が犯人だとしたら? ≫
[耳にあてた左手とヴェールの影から覗く眸。]
≪ 汝が内に秘めるもの。 ≫
≪ 汝、熟せし果実をもぎ取りたい。 ≫
[手は下に。影は消え、にこやかな視線が注がれる。]
― 電脳世界<Utopia>/closed:tower garden ―
《 なになに? 》
《 トンビちゃんは果物がいるって? 》
[うーんと少し考え込む。
まあいいか、とごそごそと懐から金色に輝く林檎を取り出した。]
《 かじったら血が出たらいやぁよ。しそーのーろーなんつて 》
[ぽーいと彼に林檎を放り投げる。]
ご忠告ありがとン――
[そうして、うやうやしく一揖した。]
― 電脳世界<Utopia>/closed:tower garden ―
トンビちゃんも気をつけてねン。バイバイキーン♪
[大きく手を振る。接続が切れ、視界はブラックアウトした。]
── 現実世界<Mundane>/西部区域:マーシュ邸 ──
[セシリアはマーシュ邸の意匠を凝らした建築には感興をおぼえないのか、淡々とした様子でいる。持って来たシャロンの手帳をパラリ──。]
Eris. _____ 黄金の林檎とは洒落ているね。
[双眸を細め、受け取った林檎を一度宙に放り投げた。その向こう側で、一瞬にしてヴィンセント達の姿が消える。]
メイ、この林檎食べるかい?
[トビーはメイへと林檎を*差し出した。*]
― 現実世界<Mundane>/西部区域:マーシュ邸 ―
ふひ〜
びっくりしたわァ。トンビちゃん、情緒不安定なのかすィら。
ケサラセラ。
あやうくジャイアンリサイタルってところだったァのよ。
[不穏な気配の漂う先ほどのやりとりを思い出しながら肩を竦め、ベッドから降りた。]
そんなわけでマーシュさん。
俺は長居無用の長井無用。まちがいない!っつってそろそろとんずらのおさらばって寸法? いい?
[マーシュはああ……と頷いた。]
マノン、カノン!
[名を呼べば、戸口に双子が姿を現す。]
「屋敷に他に活動中の人間、ヒューマノイド、」
「――AIは存在しません。」
[二人から、屋敷の状況について簡単に報告を受ける。]
そういえば――
お嬢さんはまだ……戻ってませんか?
[さりげなさを装ってマーシュになされた問いかけ。だが無意識的にか、その声はひそめられていた。
ああ……と掠れた声を漏らし頷くマーシュ。横顔は憔悴しきっている。]
「公共警察があてにならんから、探偵や調査会社にも頼んだのだがな――」
[彼の娘、エミリー・マーシュは七ヶ月前に行方不明になった。正確には、“魂”をどこかに奪い去られたのだ。
麓の電脳街のネットカフェで電脳に接続し、アンダーでのゲームに興じていたことが残されたログからは判明している。彼女の“魂”はその時から現実世界に戻ってこれなくなった。代わりに電脳に侵入した単純なルーチンPGMが、彼女の日常生活をトレースし続けた。
マーシュが異変に気づいたのは、四ヶ月前のこと。
実に、三ヶ月ほども娘の異変に気づかなかったことになる。
まったく同じ日常を反復し、簡単な挨拶程度のことしか話さない“人形”と化した彼女に――。]
[マーシュは、彼女が自分に断りなくネットワークにアカウントを取得しアンダーでのゲームに参加していたことを後から知り、激怒したという。
――もはや後の祭りだったが。
マーシュはどこかで手がかりを見つけたなら連絡を頼むと言い、俺は無言で頷いた。
気をつけた方がいい――という先ほどのトビーの言葉を思い出し、マーシュから護身用のハンドガンを一挺借り受けることにする。双子はそれを書斎から持ってきた。ジャケットの内側にしまう。]
ねえ、マーシュさん――
[部屋を出る時、戸口で立ち止まった。
一瞬の逡巡のあと、口を開く。]
――案外……お嬢さんはすぐそばに戻ってきていたりするかも知れませんよ?
あなたはネットワークを忌避しているが――それはどこにでも繋がっている――。
[肩越しに振り返れば、細い首筋をのけぞらせたまま横たわるseries Matildaの虚ろな瞳が目に入った。なにものをも捉えていない筈のその眼差しから逃れるように、その場を*あとにした*。]
―― 電脳世界<Utopia>/Closed・Tower Garden ――
[辿り着いた先にはヴィンセントとモザイクのかかった何か、がいて手を振る。
意図的にそこの画像処理が止められているのだということに気づき]
何をしてるのかは予想つくけどー?
腹上死は男の浪漫とか言わない?
ま、いっか。
[それに興味は失ってしまったのか、辺りを検分でもするかの様に歩き始める]
[第三者の声。モザイク部分から発せられたのには僅かに眉を顰める。
ヴィンセントから投げられた問いには首を振る]
Underでゲームはするなって、止められたからね。そういうのには手を出してないよ。
PublicでのMMOくらいなら、少しやったこともあるけどね。
[仕事の話をすると聞くと、ならば自分は立ち入らない方がいいだろうと、辺りを探ることに集中する。
広げられた地図。UtopiaではなくMundaneのものを拡大する]
[Mundaneでのここに、近づく点があることに気づく。先程はもっと南部よりにあった点が消えていて記録画像とあわせれば、同一のものであることが知れる]
誰?
まだ、会ってない誰か――。
[「林檎はいるかい?」名を呼ばれて振り向くと、ヴィンセントの姿はなく、代わりにとビーが林檎を差し出していて]
いらなーい。
食べるなら、現実での林檎がいい。
[地図に映る点を指差し]
"ここ"に誰かが着たみたいだけど。接触してみる?
空中庭園はまた後でも来られるし、今は情報集めの方が先よね、やっぱり。
[トビーへと笑みを浮かべて*尋ねた*]
―― 現実世界<Mundane>/南部・大通り ――
[紫の少女AIの名を黒は知らない]
[地図上の女性名をピックアップする]
[製作者の趣味により、かのAIが男性/中性の可能性もあるが]
一番近イノハ、ステラダナ。
[電脳世界<Utopia>側のみの魔獣、グリフォンの首に手を回す]
[バサリ[ギィィ]]
[グリフォンの上昇と共に黒の虚像は空へ/ガーゴイルが続く]
―― 現実世界<Mundane>/南部・電脳街 ――
[髑髏の地図と同じ座標/電脳街の一角白黒の女性AIが佇む]
フゥン。オ前ガ、ステラ。
地図ノ意味ハ、ワカッタノカ?
[黒の声に女性AIは応えない/街角建造物のように]
[伏せられた瞼の裏に映るものを黒は知らない]
[ストレス値が上昇/人間ならば苛立ちに相当する反応が起こる]
マアイイ。用ガアルノハ、オ前デハナイ。
[次の光点―――ウェンディに電脳側から座標をあわせる]
[グリフォンとホログラムは消え、瞬時に小さな少女の元へ向かう]
[ガーゴイルが唸りながらステラを見、遅れて空へ*飛び立った*]
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