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学生 ラッセル は 吟遊詩人 コーネリアス に投票した。
酒場の看板娘 ローズマリー は 吟遊詩人 コーネリアス に投票した。
吟遊詩人 コーネリアス は 学生 ラッセル に投票した。
冒険家 ナサニエル は 吟遊詩人 コーネリアス に投票した。
書生 ハーヴェイ は 吟遊詩人 コーネリアス に投票した。
吟遊詩人 コーネリアス は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、学生 ラッセル が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、酒場の看板娘 ローズマリー、冒険家 ナサニエル、書生 ハーヴェイ の 3 名。
[胸ポケットに入れた煙草を一本。
口にくわえて火をつける。
ゆるく吸い込みふぅーと吐き出せば]
思い出、か。
死神と遊びでもしたか。
[何事もなかったかのように会話の続き。
返り血を気にした風もなく。]
暫くはだれも殺さずに済みそうか?
[平静を装うけど、耳にはコーネの最期の声がまわる。]
〔細い煙は、菫の香りする紫煙でなく――ナサニエルが身に纏いつかせる硝煙とコーネリアスの左眼から立ち上る白煙。〕
――…矜持か。
〔痛みは確かに少なかっただろうが、精神的なそれに耐えた彼の気概らしきへは低く呟いた。残る右目に宿るものは故も解らないままで。
言葉をつぐ気もなく、逆手に持ち替えかけていたレーザーメスの出力を最低レベルまで下げる。手にした器具が馴染む故にか、手応えに嫌悪感はなく〕
[煙草一本が終わりに近づき、漸く遺体に目を向ける。]
つきあいが長い割に――
コーネの髪は、触ったことなかったな。
[ぽつり、呟く]
あいつが先に撫でるから、何だかんだと……いつも。
[小さくなった煙草の火を消す場所はギルバートの部屋にはなくて、そのまま手のひらで握りつぶす。]
――コーネの髪、少しもらうわ。
[ギルバートの瞳の傍に、と何となく思い。]
…Nathaniel,――
〔常にない気配を何時の間にか治めたナサニエルの名を呼びかけて留め…撃ち抜かれ事切れたコーネリアスの傍へ膝をつく。閉じさせる瞳は泣き濡れた後を残し〕
……
――あれは其処彼処で遊びたがる。
またにしてくれとお帰り戴くのが、
僕の仕事なんだがな…
〔自らが口にする"死神"について零す。〕
わからん。
…僕は生きるために喰うが、逆の者がいたら――
触ると何かいいことでもあるのか。
〔妙な趣味だとは人のことも言えず語尾を下げた問いを向ける。その他愛無さが非日常に麻痺した神経を和ませる錯覚を齎し〕
………。よくわからんな。
〔光条が灼き切る一房の銀髪を手に去るナサニエルの背に呟きを落とす。ふたつの屍。*瞳はひとつきり*。〕
[痩せ細った指をコンソールの上に滑らせる。
脱出した者の追跡は不可能のようで――]
――……ハーヴェイ。
[インカムのスイッチを入れる。
掠れがちの声で相手へ伝言を。]
誰か脱出した形跡はある。
だがそれが誰かは私には判らん。
[スイッチを切って一つ嘆息。うーくんを抱き上げる。]
少なくとも脱出したのはハーヴェイではない、か。
――……ギルバートで無ければいいんだがな。
ハーヴェイでなかったのは僥倖というべきか……――
[ウサギの鼻先を擽ると、コンソールの前に座り込む。]
食べられるモノが逃げるのは、よろしくない。
[死んだギルバートは、誰か食べたのだろうか。
そんなこと確認する気もなく。]
状況から考えて、逃げたのは十中八九無くなった端末の主だろうな……
アレが喰えるかどうかは知らんが……
――……否、知ったところでどうなんだ。
[殺すのだろうか。
それとも死ぬのを待つのだろうか。]
[去り際、ハーヴェイの言葉に振り返り]
……それって俺に似てるの?
[同じ思いを起こさせると言っていたのを思いだし、
不服気に――じゃれあいの範疇で――呟く。
生きるために喰う――瞬き一つ返してまた前を見、]
――触れてたいだけなのかもしれない。
[問いへの正確な答えではないけれど、
最期のつぶやきは歩き出した彼には届いていない。]
――医務室――
〔長い黙祷は、躊躇の表われかもしれなかった。〕
〔扱いなれていない人体を、顔見知りを、立続けに〕
――…
〔冷たい刃を潜らせる。食肉にする為の…血抜き。〕
〔ギルバートの身体からは、特に慎重に。〕
〔吸引機から響く、気泡交じりの排水音。〕
記録は…いらんのだったな。
〔沈紫色の内臓へ染み出す、鮮紅色の血。
繋がる管を切って、"ぷつり"鈍く跳ねる飛沫。〕
……可能な限り君と居たい。
そうするのは簡単だ。
残っている者を全て殺して全て私が喰らえばいい。
――……だが、未だそうしないでいる。
都合良く誰かが死んでくれるのを待っている。
[独白めいた言葉を受け止めるウサギはじぃと主の顔を見ている。
その背中に手を伸ばして優しく撫ぜる。]
君は私を卑怯だと思う?
生きるのも死ぬのも他人任せだ。
――……だから死んだフリかね?
[ギルバートに言われた言葉は、当たらずとも遠からない言葉だったのだろう。
引き攣ったような笑みは、すぐに解けて消えた。]
[一度自室に戻り、銀の髪を紫苑の瞳の隣へと。
今は何もせず、また部屋を出る。
ラッセルを拾って目的地へと到達すれば
座り込む常葉色の髪が見えて。]
……ローズマリー。
どうした、気分でも悪くなったか?
[そも、何故ここにいるのかはわからず彼女にもラッセルと来てる理由は謎めいたものに違いなく。]
[掛けられる言葉にゆっくりと顔を上げる。
表情の落ちた顔はナサニエルと――そしてラッセルの顔を捉えて。]
……。
気分ならもとより最悪だ。
それより……此処に何をしに?
二人揃って逃げる気?
[だが逃げたところで止める気はないのか、座り込んだまま。
ただウサギの黒い瞳がナサニエルをじぃと捕らえている。]
〔猫の子を取り上げるように心臓を持ち上げれば、
薄い手袋越しに五指へ埋まる。ぬたり。重い。〕
〔花につく虫をそっと払うように扱ってきた死の息吹を、
自らの間近にも感じる。…先刻のナサニエルの言葉。
……それって俺に似てるの?〕
羨ましいのかもしれん。…
〔鈍感故に自らを保っていられるだけの自分を省みて、彼にもそう伝えていたのだった。〕
〔マスクの中で生欠伸が出そうになるのを噛み殺す。
研修医時代ですら経験したことのない、吐気の前兆。〕
っ…
〔どうにか堪え切ってトレイへ器具を置くと、がしゃんと神経質な音が鳴る。常になく毒づきかけたところで、ローズマリーから通信が入り…手首でインカムのマイクを引き寄せ〕
……
そう、か…。
消去法の手助けをするならば、Nathaniel Regelは居る。
Cornellius Northanlightsは、
〔作業台を見下ろす。剥出しの赤。皮を剥がれた〕
――解体済みだ。
[気分が最悪だと言う彼女に瞬き]
そういえば、そうだった。
[表情は笑っていたけど感情はなく]
……少し違う。
俺は預かったものがあるから、降りないよ。
[言いつつ、動く様子のないのに歩を進め、
通りしなには硝煙の臭いがしたかもしれず
コントロールパネルを触り始め]
――……解体。
[インカム越しのハーヴェイの声に暫し目を閉じる。
漂う硝煙の臭い。推測が正しければ。
――インカムのスイッチを切る。]
……そう。
君のことはわかった。
だが……
[ソレは?と問う視線はラッセルに向けられている。]
……食べられるかもしれないものを逃がすの?
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