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隠者 モーガン に 1人が投票した
藪医者 ビンセント に 4人が投票した
藪医者 ビンセント は村人の手により処刑された……
次の日の朝、隠者 モーガン が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、牧童 トビー、双子 ウェンディ、文学少女 セシリア、のんだくれ ケネス、学生 メイの5名。
―― Closed/Central Tower (専用領域/電波塔) ──
[没入(ダイヴ)と同時に肉体の感覚は消え、ツールとプログラムがそれらに置き換えられる。塔内の壁に凭れて座り込んだ自身の姿を一瞥し、視野を塞ぐ防壁を見上げた]
"Through the Looking-Glass."
[名を呼び、コード群を呼び出す]
―― Closed/Central Tower (専用領域/電波塔) ──
[男の前に六角水晶が浮かび、周囲の様相が一瞬揺らいだ。
波紋のように伝わる波が静まり、彼は歩を進める。隙間ひとつ無いかに見えた防壁は、何らの抵抗もなく男の身体(アヴァター)を通過させた]
……ここじゃない。もっと奥の――そう、あの通廊の先。
……あそこに。居る。
[巨大なデータ構造体をぐるりと見回し、対象となるべき座標を確認する。手付かずの情報群には目もくれず、ただ奥底へと進んでいった]
―→ Closed/Morgan´s Space (専用領域/老人の部屋) ──
痛み/刺激/電気信号/疑似信号
創造/維持/破壊 次なる世界へ明け渡す為の 再度/新しく来たる世界を齎す為の神の槍を、何故あなたが選んだのか。
[向かい来る槍.歪んだcodeは殺意.素直に読み取らせてはくれない。φを減速し破壊し、Möbius Ringを縦方向から切り裂いてゆく]
Blue in Blue ...... 凍り漬けの司書
[蒼黒の布で覆われた巨塊]
[四方下部に相似/同型の氷の破片が浮かんでいる]
『Morgan Ustumi = S∴T∴ Iesod 』
[蒼黒の布が真ん中からゆるりと僅か開き]
[1.2.3.4.]
[4色の表紙の色が褪せたグリモワールが四角形をえがき、Morganに示された]
――Mundane/中央部・あるビルの一室――
[栄養補給を終えて、ゴーグルを嵌める。片目は開けたまま、単なる端末としてPGMを構築する]
あのPGMの構成とかわかれば手のうちようもあるんだけど。全くわかんないし。
Utopiaで戦闘にならないようにしないと。
仕掛けるなら不意を付きたいけど、地図だってあるし無理だろうなぁ。
[4冊の本の交差点から現れ出だすのは蒼き女神]
[相貌/妖艶さを漂わす美女、紅は差していない]
一つ 謝らなくていけない事がある。
[そう言うと、蒼き女神によって受け止められた槍に皹が入った。Morgan's Spaceにnoiseが走る]
[呻き声とも歓喜の声ともつかぬ叫びをあげるMorgan]
[黒いグリモワールからは瘴気染みた靄が発生]
[Spaceを覆い、破壊してゆく]
[同様][3つのグリモワールが夫々の効果を齎す]
[澄んだ音を立て、偽りの空間は罅割れてゆく]
[空に浮かぶ赤い月][漆黒の森]
[周辺のClosed領域へも皹が走る]
[硝子が砕ける音][月は雫に][流される血の涙]
[奈落へ落ちてゆく――虚無へ還る隠者の空間/無]
―― Closed/Morgan´s Space ──
[そこに見えたのは怒れる老人と、二人の子供]
≪――そうだな。君は加わらないのか?≫
[ウェンディに応えと問いを送信。己の存在に要する領域を確保しようと、周辺のモジュールを押し退けた。その間にも飛び交うコマンドの群。戦闘の様子を観察しようと見つめる]
[蒼い女神が刃なき鎌を掲げMorganの胸へ]
[水の中に入るようにすっと抉りこむ]
[停止][微笑むMorgan]
[グリモワールが追加で3冊]
[槍を掲げた3体の王/Androgynous]
[双方の脇腹][――そして][脳]
[地図を切り替えて、Utopiaの様子を映し出す。場所を正確には映し出さず、光点が3つ、一箇所に集まっている。Mundaneの方には未だ光点は7つ。いや、もう7つしかないのだと思った]
……今までの情報から、7つの点が誰だかはもうわかった。
この3つは、おじいちゃんとKot、それにとビー……。
仲良く歓談とか。
あのおじいちゃんじゃしそうにないんだよね。
これじゃあ手の出しようがないもの。
それに自分がどちらの立場につけば良いのか、わからないのよ。
[視線の先では、"師"が"怪物"は愚か空間までも巻き込んだ破壊を]
[S2.彼が守護し彼が得た/過去の産物と言えなくもないData.内包され続ける秘密は今、蒼き女神によって奪われ――]
[斬]
[Morganの体が斬られる]
[その体は/意識は/魂は→何処に送られゆくのか]
[Morgan's Spaceは、砕けてゆく]
[砕けて砕けて][夢のように消えてゆく]
[0ではなく無に還ってゆき続ける]
[落ちてゆく][Blankとして][落ちてゆく]
[黒き肢体を持つMorganは落ちてゆく]
[鈍い筈はないのに][その姿は緩慢に緩慢に遠ざかり]
[その間も皹割れ、罅割れ――]
[いくつかのPGMを構築しては破棄、を繰り返す]
やーめた。
PGMでAIに勝とうって方が間違ってる。別の方法考えよ。
[キーボードを打っていた手を止めて、力を抜く。左手の指の動きが悪い、と思いながら、二、三度指を折り]
戦闘用の義体なら、もっとうまく動けるんだろうな。九ノ一の名に恥じないくらい。
[ゴーグルを額へとずらし、ビルの薄暗い天井を眺めた。ビルの中にも人が倒れていて、恐らくは小さなオフィスの集合ビルだったのだろう、たくさんの端末だけが光っていて、そこ前に人が臥していた]
不可侵領域、か。どんな所なのか、興味は尽きないんだけどね。
『Morgan Ustumi = S∴T∴ Iesod 』
謝らなければならないね、Iesod.
ボクはHodではない。
[崩壊]
[崩れゆくClosed Space. 3体の王は消える]
[伸びをして目を閉じようとしたとき、ゴーグルがずれ落ちる。地図の記録が、映し出されていた。時間は過去。場所は、Closed]
……おじい、ちゃん。
[09の光点が、じわりと消えていく。傍に、3つの光点があった]
おじいちゃん、メガロポリスを護ろうとしてた。二つはKotとおいちゃんだから、違う。おいちゃん信じすぎるのもどうかと思うけど。
この状況を作り出したのは、トビー?
[誰に聞くわけでもなく、口に出す]
嘗て、Underの遥か底/最底辺で人間を見つけた。
それが、Hodだ――。
ボクは単なる緑の獅子。
かといって、Hod/Alchemistでない訳ではない。
『実行しますか?』
[頷く]
あたしひょっとして、馬鹿にされてたのかなー?
これでも、人を見る目はあるつもりだったんだけど。人生経験には敵わないってやつなのかも。
トビーがそうなら、あたしを殺しにくる?
不可侵領域に行く為に。
[ぼんやりと表情は消えて、暗がりの中、僅かな眠りへと、*落ちた*]
[現実世界/電波塔を中心とし――蒼き女神がその上空に現れた。その体/Dataは爆燦/拡散。満ちてゆき、描かれゆくのは、蒼き01とPGM構文で構成された円形なる多重/多層陣。羽毛のように/毀れる粒子は都市に落ち。空に浮かぶその光は未だ弱く、心許ない。]
―― Closed/....Space...
[暗い][此処は暗い]
[地も空も割れ、消失してゆくのみ]
[Kotを見やると、壊れゆくData群の欠片の中、NOEを展開しているようだった]
―― Closed/Morgan´s Space ──
[分解されていく空間]
[グリッドの格子が薄れ、融け、消えていく]
【消えた……あの老人、は】
【守護する者? この塔――いや、この都市そのものを?】
[思考と分析に囚われて男は崩壊に気づかない]
【"Alchemist"――】
【『神の槍を持つ老人』から奪ったのは。鍵の欠片か?】
[攻撃PGMを起動させようと、命令を脳裏に思い浮かべる]
[補佐AIは周囲の者へも聞こえるように冷たく澄んだ音声情報を流す]
『Keneth J Wolford.』
『貴方が一番に見い出した男性です。』
『――緑の獅子/Alchemist≠TrickSter』
[左目は灰青に。静かに問いかけた。]
答えは見つかったかい?
否。
探していたもの。
これ以後掴むもの。
求め続けたものへの覚悟は決めたかい。
【Inc.】から齎される権利。
それを剥奪されてまで求めたかったもの。
……俺のことを知っているのか。
……だが、『一番に見出した』? 一体何をだ?
[肩を竦め、首を傾げる。
領域の崩壊は進行を止めることなく続いていた]
ボクは知っている。
あなたの過去を。
[ゆっくりとその足が踏み出される]
[奈落の底の上を歩く]
客人よ。
ここはボクが膝を折ろう。
[両手を広げ、膝を折る]
――“終わりの後に来るもの”/“始まりの前に在るもの”。
"Alchemist"。
アンタが幾ら凄腕の熟達者(ウィザード)だとしても。
生命の根源、そのものにまでは辿り着けていないだろう。
S級の奥底にはある筈だ。
禁断の果実――知恵の木の実と、生命の木の実。
≪ザザザ、ザ――≫
[空白に侵食された空間にノイズが疾る]
[その間隙に憑かれたような視線を送り、言葉に乗せる]
不可侵領域への鍵は完成していない。まだ足りない。
あの先に、果ての先に、その更に先に。
辿り着くにはまだ足りない。
[恭しい礼を取った少年のアイコンへとゆっくりと顔を向けた]
――アンタが、か? 協力する、と?
第九/輪廻/Morgan Ustumiが守護していたData.
そしてボクが持っていた不可侵とされる領域への鍵は開放した。現実世界でもその階層へ至る為の【道】が視える事だろう。
始動鍵となる存在は――
[Kotを見やる]
── 理想郷<Utopia>/Closed:Morgan's Space - 車内 ──
[セシリアがバスに乗り込んだ時、バスの外には、生命の火花が飛び散る音────そして、指揮者が導く音楽が響いていた。まるでカーニバルに取り残された様なマイクロバス。バスは「sentimental」だった。
今は動き出す事も無いハリボテのようなキャストPGM達。彼等に囲まれ、座席で眠るヴィンセントの姿が、セシリアに過去の記憶を想起させた。]
【夏が終わる──】
[むせ返る緑 草いきれの向こう 掛けて行く足音]
[笑い声][蝉時雨に溶け込む 確かな体温]
[視点は空へ 森が地上が遠ざかる]
[海岸線が沈む以前の旧世界──人の営み][更に高みへ]
[水平線がゆるいカーヴを描いて見えるほど遠ざかり]
[その場所から][飛び立つ 今はコピーしか存在しない鳥達の群れを]
[かつてのセシリアが“スクール”巨大なスクリーンで繰り返し見た、滅亡した世界のヴィジョン。]
[穏やかな声で語られる──環境改善/改変前の世界の歴史]
[スクリーン上の砂漠に雨が降ると、何故か何時も涙が流れた]
── 理想郷<Utopia>/Closed:Morgan's Space - 車内 ──
[セシリアが、人間として一度死ぬ前の記憶──。
エモーションに突き動かされた記憶が、二つのPGMを核とするAIの中で、何度も再生されるのだ。]
「悪夢ならば。」
[セシリアは、そう答えた。
繰り返す、少女が生きていたと言う証拠を示す夢は、今のセシリアにとっては、苦痛でしかない。
問い掛けの主は、寂寥感に溺れているのか。男の影は薄く、それはセシリアが見慣れた、不老不死のデストピアに有りながら心中何処かで密やかに死を望む──市民の姿にも似て見えた。]
── 理想郷<Utopia>/Closed:Morgan's Space - 車内 ──
あなたは、何処かに還りたいのですか?
[けれども、問いながらも感じる違和感──。
バスの外で、その時、澄んだ美しい音を奏で88の鍵盤が呆気なく崩壊した。音楽が途切れ、沈黙がおちる。セシリアは窓の外を見遣り、瞬きをする。]
【もうすぐ、この場所も崩壊する】【おそらく】
[輪廻] [愛] [結合] [命が爆ぜる]
[Morganの 真実の終焉を望んだ 魂が 行く場所は──]
── 理想郷<Utopia>/Closed:Morgan's Space - 車内 ──
【本当は、私は──】
【PGMに制御/支配されない──かつて人間だった私は】
【Masterも、Morganも 生きていて欲しい と願っている。】
【けれども、A girlが、名もなき市民のかりそめの死を悼むように、私はその感情が絶対不可侵の己自身である事を確信する事等、出来ない。
PGMと人格が衝突する事の無い、平凡な人間である彼女が羨ましい。マインドコントロール等を受けた事も無く、断絶の後、再生される事も無い(バックアップの無い)下層民である彼女に──羨望か。】
[しばらくの間をおいて口を開く]
つまり、俺にあの“手紙”を送って寄越したのも、アンタだ、と。
そして、その言葉――『今回の計画』という事は。
全体の企図を明かすつもりになったと考えて良いのかな。
[もはや殆どの対象物(オブジェクト)が消滅した空間に、
"Blue Water"からの検疫結果を表示した]
【01/Conductor】 ――positive.
【07/mortal】 ――positive.
"Ο ν ε ι ρ ο ς (オネイロス)"を俺に組み込んだ理由も?
── 理想郷<Utopia>/Closed:Morgan's Space - 車内 ──
「俺が犯人だよ――。」
[ヴィンセントの言葉にセシリアは笑いを止める。]
…貴方が犯人ならば、A girlの魂を奪って欲しかった。
永遠に──。私の前に二度とあの眩しい姿を現す事が無いように。
そもそも、犯人の意味が分からないわ。
アンドリュー・マーシュの娘の魂を奪った犯人なのか。この手紙を出した主なのか、あなたがAlchemistなのか。
それとも──また別の…
[セシリアは、睫毛を伏せ、首を横に振った。眼球が濡れている。]
貴方の事が知りたいと言った事は変わらない。
でも、ごめんなさい。
私は、このバスの中に満ちている“もの”に耐えられそうに無い──
もしあなたがボクの事を知っているなら分かる筈だ。
舞台を整え、結実する果実をもぐ浅ましき役柄を。
農夫であり観察者である事を。
破壊(タナトス)と創造(エロス)の天秤を揺らす者である事を。
[双眸を閉じ高々と]
ボクにとっては『計画』の全体像こそが主眼。
問うテーマは何だって良い。
ボク個人の欲求と欲望と計画はあれど焦ってはいない。
もたらされる再度/過去の世界に興味はあれども。
[黒/灰青の眸が男を貫く]
だがあなたは現世におき有限の存在となり果てた。
── 理想郷<Utopia>/Closed:Morgan's Space - 車内 ──
…滅びればいい。
すべての感傷(センチメンタル)
すべてのうつくしき悪夢──
[Morganの断片はすでに飛散してそこには無く]
[グラリ][センチメンタルを乗せたバスが、空間の崩壊に車輪を落として傾く]
[バスの横転に合わせて。
セシリアの腕が、後ろからヴィンセントの首に回される。
しろく細い指先は、現実のヴィンセントと僅差無いアバターの気管、頸動脈を引き絞る。ヴィンセントがその指先から逃れようとするのか、セシリアに何か言葉を返すのか──。]
Masterも…あなたも 大嫌い。
──人形なんて、つくらなければいいのにッ
[AIではなく、まるでただの思春期の少女のように、縋り泣き叫ぶ、セシリアの髪色は、白色ではなく淡いライトブラウン。涙で濡れた瞳の色もまた──。ゴーストになる前にスクールから盗みだされ、死んだ少女の姿に変化している。
ヴィンセントがその姿の変容に気付く事が出来るのか。]
【絶対に許せない。】
【誰も許さない 私がこうやって存在している事も──】
【ゆるさない】
[バスの内部は、何時の間にか蜘蛛の巣が張ったように、無数の漆黒の正╋字の群れ] [黒][黒][黒] [無機質な漆黒000000が、感傷を──破壊する。]
[バスは真っ二つに裂け、砕け──乗り込んでいたキャスト達が、こぼれ落ちるように空間の裂け目から──センチメンタルとは言い難い旅(ジャーニー)へ向かう。]
───…
[黒十字に縛られた仲良く座席に座ったまま墜ちていく 双子の少女たちは、何処へ辿り着くのか。崩壊した世界の光線はF/あるいは絶対零度の無機質なブルー。]
[冷たい光の中、すべてのセンチメンタルが飛散した事を確認してから、セシリアは、ヴィンセントの背に回した腕に握った「┣」「┫」の形、両手を交差させ、合わせれば正╋字を成す大槌を──ヴィンセントに強く、強く突き立てた。]
──さようなら。
ヴィンセント・キャロ。
[ヴィンセントの活動が完全に停止した事を確認してから、セシリアは╋字を引き抜く。そして、解散させられたキャスト達とも、ヴィンセントとも違う場所──何処かの空白地帯へ。
セシリア自身も漂流し墜ちて行く──。
天とおぼしきオブジェクト不在の空間に、"Blue Water"からの検疫結果が、*光って見えた*。【01/Conductor】 ――positive. 【07/mortal】 ――positive.]
― 理想郷<Utopia>/Closed:Morgan's Space - 車内 ─
[Under領域に存在していた遊園地はタイムアウトによってサスペンドモードへと移行しClosed領域へと退避しつつあった。バスの中に乗り込んでいたキャストたちは活動を停止し、虚ろな身をシートに横たえている。
――炎天下の夢――
バスの中に夏の名残の熱を感じる。
芝生の上を転がる白球を追い、駈ける――
それはきっと、俺の記憶ではない。気候がコントロールされ、また空調の行き届いた都市では、“季節”を強く感じる時はない。俺の意識がどこかで、遠い誰かの失われた夢へと繋がっているのだ。]
還りたい――……? どうだろうな……。
[セシリアの言葉を反芻する。俺はただ光に焦がれ、手を伸ばす。その強い熱を追い求めてきただけなのだ。
だがそれは、遠い日に己の中にも強く存在した光の明滅を甦らせたかったからなのかもしれない。]
――今はね。
[そう呟いた。
夢に誘われている。
話をしているのだから、意識をはっきりさせておきたいと思う。けれど、ひどく眠い。意識が蝕まれている。――夢の中へと。
霞みのように幻が浮かび上がっては、知覚している現実を薄い膜で覆っていく。]
[話をしていたセシリアが睫毛を震わせる。眦に涙が浮かぶ。
感傷は滅びればいいという。俺はその言葉に寂しく微笑む。]
「人形なんて、つくらなければいい――」
[涙に暮れる少女を俺はなんとか力づけたいと思う。彼女の背中に手をまわし、しっかりと抱きしめる。
世を儚んじゃいけねえよ。お前の中にはキラキラのピカピカがいっぱい詰まっている。俺にはそれがわかる。きっと信じてみなって――。
けれど、それを口にできたかはわからない。白い光が繭のように心を包んで、どこか遠くへ奪い去ろうとしている。ふわりと遊離した感覚に全身が持ち上がる。
言葉になったとしても、その光はセシリアが求めていないものなのかもしれない。彼女のMasterが集めた光……。
セシリアの心に俺の声は届かない。
強い熱が深々と突き立てられ、内側からいっぱいに広がってゆく。
やがて、俺の意識は消失した――**。]
──Mundane/中央部・あるビルの一室──
[瞼の裏で踊るような光。目を覚ますと、好転が一つ、消えていくところだった。否、記録画像が繰り返し流れているだけで、それはつまり過去を示す。
時刻を確認すると、眠っていた時間はほんの数分だったらしい]
光点が、5つになってる。
[地図をみて、そして記録画像へと視線を移し、光点をポイントする。番号は、12。近くにある光点の数字を確認して、自嘲気味に笑みを浮かべた]
おじさんも、いなくなったんだ。あたしがあそこで、死の乙女を停めていたら、おじさんは助かったのかな。
──ううん。それはない。あの時点で突っ込んでも、自滅しただけだし。
おじさんが、彼女を壊そうとしたのかもしれないし。
……。遊園地も、なくなったのかな。この事件が片づいたら、他のアトラクションとか、劇場とか、見てみたかったんだけど。
バックアップが生きてるなら、それだって可能、だよね。
ならやっぱり、止めに行かなきゃ。
[光点の動きを見て、Utopia上に活動を移していることを確認する]
今なら、こっちからやっちまえば簡単そうだけど。そんな簡単にはいかないか。
[立ち上がり、手足の具合をもう一度確かめて、*ビルを後にした*]
―― 星幽界<Astral>/カテドラル・オメガ ――
[白い陽炎の如き建物の間を反響する音声]
[問いか/答えか]
[伏せられた漆黒の睫毛は動かない]
―――…
生ガアルカラ死ガアリ/死ガアルカラ生ガアル――…
[響き渡る情報を読み上げる声へと、抑揚のない音声が重なる]
[情報(データ)を読み上げるように/達観しているかのように*]
―― Utopia/Closed・Space Unknown ――
Kot.
『Lyudmila=C=Wendy as Kot pereulka sharlakha. 特S級及び人類災害指定を受けたテロリスト、Harmless Queen/Audrey.Hの愛孫。』
[補佐AI/洞穴の中で水晶(クリスタル)が冷たく光るような音声情報]
郷愁を――感じているのかい。
[Kot/動かぬまま。ただ暗闇に立ち尽くす少女に問いかけるように囁く。口元に苦笑を浮かべ、虚空に立ち上がる。]
ボクは嘗てこう言った。
『まだ知るべき時ではなく、
いずれ来たる時に目は開くだろう。』
[補佐AI/その時の”指揮者”の音声を構築/再生]
こんな時に何だが。
ボクが何故、"あなた"を引き取ったのかを教えよう。
信じないかもしれないが――
Audrey.Hが好きだったからだ。
指輪を渡したのも。
――嗚呼。蛇の形は嫌いだと煩く騒いだのがまるで昨日の事のようだ。――。あなたなら。――Wendy.
その指輪で、鎖された扉を開く事が出来ると思った。
朽ち落ちゆく"彼女"が眠りし扉を。
探し、白日の下に曝す事がね。
[過去を思い出すように双眸を細めると笑みを消し、Kotから向き直る。"扉"、それは此度の不可侵領域の事ではないが、仮にKotが勘違いしようと知った事ではない]
── 理想郷<Utopia>/ 空白地帯──
[世界の終わりのように何もない。質感の無い黒い闇──虚無が覆う。
何処から流れ着いたのか分からぬクラスタ断片が、ヴィンセントを破壊する際に、セシリアのボディに開いた風穴を通り過ぎ、虚無に飲み込まれるように消えて行く。]
【嗚呼、このまま何処にも転移しなければ、私も──】
【だが、自殺は禁じられている。】
[透明の糸を通した針をセシリアは投げた。
糸は何処か、機能停止していないクローズドの空間へ繋がり、内側から──montage、空間を一時的に変容させ/再構成することで、PASSを解放し、セシリアをその空間に運ぶ。]
── 現実世界<Mundane>/北部・大型企業の制御ルーム ──
[そこは、大型企業の制御ルーム。無数の青い光が脈動するように点滅する球形の壁面。その部屋の中央、螺旋を描くねじれた流線型の椅子に横たわるのは、メイよりも頭半分ほど背の低いひとりの少女。
背中から首筋に掛けて複数のプラグをつなぎ、Utopiaにダイヴしているセシリアの身体が、苦痛に呻くように一度大きく揺れた。]
《──真実の終焉を》
[セシリアは目蓋を閉じたまま、何かを否定するように激しく首を横に振る。セシリアの髪色が、平凡なライトブラウンから、輝くホワイト、そしてオーキッドパープルに変化した。]
── 現実世界<Mundane>/北部・大型企業の制御ルーム ──
《ただしき、死を──》
[セシリアの髪色の変化に合わせ、ルーム自体がゆっくりと自転をはじめ、壁面にはメガロポリスの立体地図が投影される。
セシリアが目を閉じたまま、右腕を上げると、二つの座標軸が正確に浮かび上がって拡大された──。
二つのポイント。
第一のポイントは、“電波塔跡/宇宙樹──柱の間”
セシリアは、柱の間を破壊するため、ただしき死をもたらすため、右手で握りしめた無機質な漆黒の黒十字の片割れを振るった。]
[黎明を迎えんとする──メガロポリスの菫色の空。
紅い惑星が巨大な隕石となり、電波塔跡に飛来する──。
真紅に燃え盛る惑星が、半壊した中央部、電波塔付近を──空白地帯へと変えた。]
今回の計画――か。
それは嘗て見つけたHodというS∴T∴ Memberの話から始めなければならないだろう。冗長な話になるのでボクとしては割愛したいが――。
[演技ががかった皮肉げな笑みを浮かべ両手をあげた]
協力者としては何らかの情報提供を行うべきだろうね。
[そう、言った瞬間だった――]
―― mortal
―― Kot
[電波塔が消失し現世より存在を抹消されるにあたって、嘗てMorgan's SpaceでもあったこのBlank Spaceは、]
退避を!
[叫び] [and so] [暗転]
――Mundane/中央部――
[人の倒れた道路を滑り、北へと向かう。走り始めてまだそれほど時間はたっていない。けれど]
……やな予感がする。
[刹那。背筋に緊張の糸が走り、蟀谷を汗が流れた]
な、に?
[振り返ると、紅い、惑星が見えた。電波塔のほうへと、堕ちる。
その光景は、同じものを画像で見てから、それほど時間は経っていない。
あの辺りには、まだ人が倒れていたことを思い出し、そして]
待って、確か――。
── 現実世界<Mundane>/北部・大型企業の制御ルーム ──
[二つ目のポイントは、ヴィンセントを乗せた車が自動制御で走り続けている──その光点。
セシリアが、今度は左腕を持ち上げ、無機質な漆黒の黒十字の片割れを振るおうとしたその時、東部に向かって走っていたヴィンセントの生存を示すポイントが──消滅した。]
《──…消えた?》
《自動車事故か何か──? 東部には誰もいない。》
[ルームに表示している地図を、最大限に拡大したリアルタイム3Dのグリッドモードに切り替える。
最後にヴィンセントが存在していた地点で取得する事にあったのは、壊れた車とおぼしき、立体。人体とおぼしき──3体のボディ。
完全な形を残して転がっているのは、Aラインのワンピースを着た長い髪の少女の造形だった。]
《マノン? それともカノン?》
[沈黙]
[セシリアは、首を横に振り、上げた左腕を下ろす。]
[防御体勢をとり、衝撃に備える。フィルムをしっかり握って、電波塔辺りを映す]
……やっぱり、07……! おいちゃんが、ケネスが、あそこにいる、のに!!
[言う間にも、惑星は柱を、大地を飲み込んでいく。そして、始めからそうであったかのように、白く、無の空間が広がっていた]
―― 現実世界/南部電脳街 "戎克" ――
――全く。
[薄暗い室内。眼光鋭く呟く。]
やってくれるね。
[傍らのポッドを眺める]
[先程のショックの所為か、一時的にKotの意識が喪われているようだ]
[ポッドの傍の計器/矩形ウィンドウが半透明で幾つも浮かんでいるのを銀色のタクトで触れる→無数に分かたれる=vital check]
状況を。
[補佐AIは静かに答える]
── 現実世界<Mundane>/北部・大型企業の制御ルーム ──
──…ッ。
【不思議な事。
痛みを感じるとき、私のような者でも生きているような心地がする。】
[白いボディスーツに傷や沁みなどは無い。
だが、Utopiaでの損傷が現実にも作用していた。
セシリアは、脇腹をおさえ、眉を顰めながら椅子から降りた。]
── 現実世界<Mundane>/北部・大型企業の制御ルーム ──
【死が必要なのは、あの──彼のボディではない。】
【ボディを破壊して、死が齎されるのならば、教団が生まれる必然性など何処にもなかった。】
【都市機能が停止している以上、ヴィンセント・キャロのバックアップの削除申請をつくる事も、申請をする事も出来ない。】
…………。
【安堵を感じるのは、何故だろう か】
[電源を落とされ、灯りの消えた制御ルーム。
同期を解除し、元のキューブ上に戻った地図を持ち、セシリアはルームを立ち去る。]
[風が、頬を撫でる。光点はもうなくなっていた]
……あれは、「死の乙女」のと同じものだった。
おじいちゃんのバックアップも、なくなったのかな。
「ただしき死」なんて。死んだら、全部終わりなのに。死ぬことに正しいも何もないのに。
おじいちゃんは、死ぬことを願ってたみたいだけど。
おじいちゃんにはもう、誰も死を悼んでくれる人とか、いなかったのかな。
[もう一度地図を見る。Mundaneでの位置。北に、06の光点]
── 現実世界<Mundane>/北部→車で移動 ──
[電脳で受けたダメージを緩和するために、車のシートを倒し非常用の栄養剤を投与しながら、セシリアは移動する。
目指す先は、Alchemist──。]
A girl?
【近い。】
[指定した車の移動ルート上にある光点。]
[06の光点が移動をし始める。南へと向かっているらしく、近づいてくる]
くる。
――でも、言う言葉とか、もう見つからない。
電脳化されてるだけで、人を簡単に殺せる人と、価値観が合うとは思わない。
[報復、仇、という言葉が頭にちらついた]
誰の仇? おじさん? おじいちゃん? それともおいちゃんとか、その辺で倒れてる人?
あたしいつから、そんな正義感たっぷりになったのよ。
[自嘲。緩く笑む。動かずに、近づいてくる光点を待った]
[右手を握りこんで、開く。親指を捻ると、手のひらに薄く光りが浮かぶ。パチりと、電気が走った]
これじゃ役にはたたなそうだけど。
ま、声をかけるとこから始めてみましょーか。
『中央部:Area Zeroを始めとする周辺Lineが壊滅しました。都市地下部における非常Lineの駆動を確認しましたが、5時間以内に都市そのものの崩壊・外部介入が予想されます。』
[パネルの枠をコツコツとタクトで叩く]
『Morgan Ustumi = S∴T∴ Iesodの予備B/U消失を確認しました。都市基幹Systemの一部とし利用される事は今後ないでしょう。』
── 現実世界<Mundane>/北部→車で移動 ──
シャロン、この栄養剤はいけてないわ。
こんな甘ったるいフレイバーは“無い”。
[横たわったままセシリアは、呟く。
シャロンは、セシリアに対し、セクサロイド保護活動も兼ねて、教団を去り、自分たちの事務所に来るように、粘り強く話しを続けていた。教団の危険性もある程度は把握した上で──。
けれども、今、シャロンが目覚めたらなんと言い、どう行動するだろうか。]
Alchemist──Masterが追い続けていた伝説上の人物。
モーガンが全力で止めようとした?
第二のMasterと成り得る──者。
私は、彼が望めば、私が持ち得るデータを差し出す。
[何かをおそれるように、言葉を止めた。
流れる白い髪、真紅の瞳。]
[止まった車から白い髪の少女が降りてくるのを、半眼のまま見つめ]
それが、本体?
本体って聞くのも変だね。ステラの本体は、なかったから。在るのかも知れないけど、AIはUtopiaが生きる場所のようだし。
あなたが、どうして電波塔の辺りをあんなにしたのかとか、それは聞かないけど、一つ教えて欲しいな。
名前、あるんでしょ?
いちいち死の乙女って呼ぶのめんどくさいじゃない。
[左手首をくるくると回し、右手は握ったまま]
それからもう一つ。あなたはあたしを「偽善」だといったけど、あたしはいい事をしてるつもりなんてないし、それに、やられるのを承知で突っ込むのは、ただ愚かなだけだよ。
逃げるのだって、立派な作戦の一つなんだしね。
あなたの口から間違いだったなんて言わせるつもりもないし、あなたも言わないでしょうけど。
そこは認識の違いとして言っておくから。
[コツ] [コツ] [コツ] [コツ] [コツ] [コツ] [コツ]
【バイタルは正常。だが意識閾下が――】
【閾値崩壊は起こっていないようだが】
[双眸は薄暗闇の中で冷たく光っている]
Multi-Sapport:Prof_A_LD1330.1550内の生体保護装置で可能か...。
[何事かぶつぶつと呟く]
[ポッドの中ではWendyが眠るように丸まり浮かぶ]
[―――コツ]
[ポッドに充填された触媒が下から抜けてゆく]
[ブラウスを腕捲りし、Wendyの体をポッドから引き出すと、布でWendyの裸体を覆い服をその上に置いて、店前の白き機体へ歩いてゆく]
ロボット型AIは、電脳<Utopia>ではなく、現世<Mundane>に存在するものです。また、私のボディはこれひとつのみ。
人間と同じように、破壊可能ですが──
[「STELLA」それは、都市/電脳空間内で同型/近似型のものを多数見ることが出来る、世界宗教の設置する有名なAIだ。
下層民であるメイには、すべての宗教AIはあのようなもの、あるいはUtopiaで見かけるものが、多く有る姿だと思っているのかもしれなかった。確かに、レベッカのような特定人物の世話用AIは、ある程度の富裕層か、特殊な機関と接点がなければ、日常的に接する事はないだろう。当然、かつてセシリアが所属していたスクールの存在等、想像もし得ないだろう。
また、健全な少女ならば、セクサロイドの類いと接点を持つとも思えなかった。メイとセシリアは存在する世界が違う──。]
【残酷劇(グランギニョル)が何かも想像しえないのだろうな。】
【ヴィンセントが、何を行っていたかも。】
[ヴィンセントの犠牲者に自分自身がメイを望んだ事を思い出しながら、セシリアはメイを見つめ瞬きをする。]
私の名はセシリアです、A girl。
バックアップがある人間が、一時的に破壊された事に、貴女は何を感じているのでしょう。あなたが破壊された場合とは異なり、【Inc.】が再生を行うと思いますが。
[モーガンを例外とし、ケネスやヴィンセントの事、あるいは巻き添えをくった市民達の事をしめしているようだった。]
ああ。そういう意味じゃないよ。
色んなロボットAIがいるのも知ってる。
そういう意味じゃなくて。AIが無事なら「本体」は替えがきくんだなと思ってね。
ステラは特殊みたいだったけど。
今は、人間だってそうだけど、ネ。
……セシリアには、わからないよ。
それに、その用意してあるバックアップを、なくそうとしてる人が、また復活できるなんて言っちゃダメなんじゃない?
あたしが下の人間だから、何も知らないと思ってる? 下だって色んな人間がいてね。いい人なんて本の一握りしかいないし。
バックアップがあるから、また生き返ることが出来る、ていうけど、実際にそうだとしても、倒れてた人の中には自分の生身を持ってた人もいるだろうし、それを大事にしてた人だっている。
そんな一人一人の哀しみとかはどうでもいいんだけどさ。
おじさんも、おいちゃんも、バックアップがあったとしても、ここで起きたことはもう覚えていない。
それが、あたしには悲しいだけ。
[白の胎内の中心には平たい台が顕現する]
[Wendyをそこに横たえる]
[無数のケーブルが床から持ち上がり台に接続された]
――都市内に仕掛けたAI達と装置が泡と消えたか。
眠るといい。Wendy.
眠っている間に全ては終わる。
[Wendyの体を隠してゆく白]
[台から迫り上がり覆い被さってゆく=カプセル型]
[Copy............]
夢の中でAudrey.Hに会ったら。――宜しく。
[静かに白い機体は舞い上がる]
人は経験を積むことが出来る。失敗を成功に変える力がある。
それは記憶がないとダメだし。
あたしがここで死んだら。
例えセシリアがバックアップを破壊するのを止められたとしても、あたしの事をおぼえてる人がいなくなってしまう。
それは、死ぬことより寂しいよ。
それが、本当に死ぬってことだよ。
他のボディにPGMのみを移動させても、セシリアは再現出来ないと思いますが、再現の必然性は──、
[軽く首を傾ける。
──教団本部を破壊した以上、バックアップや蓄積されたデータはもう無い。また、セシリアを再現出来るMasterも居ない。]
【Inc.】の衛星を撃ち落とすのは、現在私が所有するARMを持ってしたとしても、困難だと思います。
…忘れられる事が、あなたにとっての“真実の死”ですか?
……矛盾してるね。
セシリアは再現できないって自分で言ってるのに。
他の人は再現できるの?
それとも自分だけが特別だと思ってる?
あなたがどんな力を持ってるんだとしても、PGMを持ってるのだとしても関係ないよ。
「セシリア」は再現できないんでしょ?
他の人も一緒だよ。
体も心も全部含めて人だもの。
ここにいた「おじさん」は同じボディを持ってきてバックアップで再生しても、それはもうあたしの知ってる「おじさん」じゃない。
忘れられるだけなら、また知ってもらえばいい。
でも、あたしが死んだら、もう知ってもらえることは出来ない。あたしがここで死んだら、あたしがここに生きていたことを知ってる人は、いなくなる。
生きた証が、何もなくなってしまう。
それが「真実の死」だと思う。人にとってのね。
ばー様は死んだけど、あたしの中で、その言葉は生きてる。
[都市崩壊による汚れ有/機体:Prof_A_LD1330.1550]
[丸みを帯び、幾つもの楕円を重ね合わせて構成されたような機体。飛ぶにつれて、翼がスライド]
[幾つもの流線型の翼/burst]
――ラ。
[軽く口ずさむのは子守唄のようなMelody]
[古い歌]
[嘗て]
[不老不死などという時代とは縁遠い時代の歌]
[親が子に歌う歌は]
[その想いは]
[世界は記憶し続けるのだろうか]
バックアップを破壊できないとわかってるなら、あたしがセシリアに仕掛ける理由はなくなっちゃうな。
セシリアがあたしに仕掛けてくるなら、それはそれで応戦するけど。
[調子が狂う、というように頭を掻いた]
── 現実世界<Mundane>/北部と中央部の境界付近 ──
…面倒な方ですね。
私は、一度死んだもの──と言っても差し支えありませんし、また、如何なる再現を望みません。
Masterを殺しても、教団AIとしてのPGMが機能する限りは、貴女の言う「バックアップで再生した、以前のその人物とは異なる死者」で構成された、このデストピアを破壊し、死者を真実の死者に変えようと働き続けるでしょう。
A girl、いいえ。
名前をお聞きした方が、貴女には望ましいのかしら。
少し勘違いをされているようです。
私が、私自身の手で。積極的に、貴女を破壊する/殺す事はありません。
貴女は、不死者ではありませんから…ね。
[メイが戸惑う様子に、]
バックアップの削除は、何らかの手段で行いますよ?
第二のMaster──都市を眠りに落としたAlchemistが、私に停止を組み込まない限り。
[セシリアを見る表情に大きな変化はない]
そう。
セシリアはPGMにそって生きてるんだ。生きてる、とも言わないのかな。
それじゃ話がかみ合うはずもないね。
でも。
バックアップを取っただけで、人は死者になるの? そういう意味じゃないよね。
セシリアは「死」がどうの言ってるけど、それ以前に「生」についてはどう思ってるのか判らない。
あなたにとって、生きるってどういうこと?
「ARMでは壊せない」「でも何らかの方法で削除する」。結局、人が再生できないようにすることには変わりないんじゃない。
[セシリアの指し示した方を振り返る。見覚えのある色の機体が、目に映った]
…──メイ。
そう、もしも破滅だけを望むのではなく
世界を変えたいと願うならば。
死だけでは足りません。
死と対になる生が存在しなくては──
私が殺したMasterは、人間として生きて死んだ事になるのかもしれませんが。破壊の後の再生には、辿り着く事が出来なかった。
再生の鍵とも成り得るS2の謎にも到達する事も無く。
生きていないかもしれない者に、“生”が何かを尋ねるのですか?
[睫毛を伏せて、淡く微笑む。]
生きてるかどうかは、本人が決めることだよ。
体が生きてても、本人に生きる気力がなければそれは行きてるとはいえない。
それと、何を持って「生」とするのかを尋ねてるだけだから、少なくとも今「動いてる」セシリアはそれを答えられるはずだし。
それすらもプログラムされてるの?
[少しだけ寂しそうに、視線が翳り]
[降りてきた機体から、姿を現した彼へと視線を移した]
「生」と「死」の概念をPGMどおりにしかとらえられないのなら、それは確かに生きてるとは思えないのかもしれない。
新しい命令が下ってそれに従うのもプログラムされたことなら尚更。
それでも、「生きていないかもしれない者」と自分を評することが出来るなら、それはあなたの考えなんじゃないの?
そしてそれは、生きてるってことだと、あたしは思う。
自殺は複数ある禁止事項の1つ、ですね。
意志はありますが、意志はない、とも言える。
──メイ。
生きると言うのは。
魂の内側に、何者にも作用されない不可侵領域を持つ事のように思えます。
じゃあ、とってはあるけど一度もバックアップを利用したことなくて、頭全部電脳化してるような人じゃなければ、セシリアの「生きる」にも当てはまると思うんだけど。
でもね、電脳化されてても、バックアップから再生されたのだとしても。「魂の内側に、何者にも作用されない不可侵領域」ってのは、あると思うよ。
だから人は悩んだり、怒ったり、笑ったり、泣いたり、プログラムされてないものがあるんだもん。
それは、誰かに言われてやってることじゃないから。
セシリアには、ないの? プログラムされている以外の感情は。
[セシリアの問いには、曖昧に笑んだまま]
あたしは生きてると思うけど、セシリアが納得したいなら、自分で答え見つけないと、ダメだと思う。
── 現実世界<Mundane>/北部と中央部の境界付近 ──
…メイ。
あなたは、マインドコントロールと言う言葉を知っていますか?
かつての私の事も含みますが、洗脳され変質してしまった者には、もはや不可侵領域は残されていません。
[メイを見つめるセシリアの瞳が、一瞬蛍光オレンジに染まる。
けれども、Orange Fluorescentとして効果を発揮する前に、その色は消えた。もっとも継続させたとして、そのPGMは電脳化されていないメイには効果がなかっただろうが。]
不可侵領域を失った残骸であれ、今、生きているのならば、変わる事が出来るのではないか、可能性があるのではないか?
と、私がすでに(メイの価値観では)立派な大量殺人者である事すら気にもとめず、メイならば言いそうですね──。
── 現実世界<Mundane>/北部と中央部の境界付近 ──
感傷の澱のプレッシャーに耐えかねて、衝動的にヴィンセント・キャロを破壊してしまう前に。あるいは、私がMasterを破壊してしまう前に。メイと話が出来れば良かったのかもしれません。
ヴィンセント・キャロと、私のMasterには何処か似たところがあった…。もし、彼を理解する事が出来れば、何かが変化したかもしれない。
DREAMS COME TRUE
とはまったく思いませんが。
私に、絶対不可侵領域を持ちたい──“心を持って生きたい”と言う望みや、意志が無いわけではないのです。むしろ、切望し過ぎて発狂しそうです。
[セシリアの髪色瞳の色が、メイの目の前で、徐々にアルビノから平凡なライトブラウンに変化して行く。
それは、彼女のMasterがスクールから盗みださなければ、ゴーストとなり、何処かの公共機関を支える人柱となったはずの少女の色。スクールで“良いMamの娘”だったセシリアの色。]
── 現実世界<Mundane>/北部と中央部の境界付近 ──
嗚呼、私のMasterは、理想の人間を創りたかったのですよ。
私は、彼の理想とする──ただしき死がもたらされた後に生きる人間になる為に創られた人形。
[メイが見せる感情や熱心さに対する、戸惑いや憂いと言った表情は失せ、まるで何か楽しい出来事があったかのようにセシリアは笑い出す。]
──…アハハハハッ!
あまりにも、愚かです。
私は生きる為に、第二のMasterと成り得る人物(Alchemist)を何らかの形で克服する/破壊する/制御されないようになる──必要があります。
もっとも、Masterを克服しても、メイの言う大量殺人者で有り、破壊者である過去は変わらず、未来も同じかもしれませんけれど ね。
[セシリアの笑みは、ベールを被った不思議な造形の人型(トビー)を認め、アルカイックスマイルの形で*硬直した*。]
──…メイ。
あなたが、他の者たちのように消滅したくないのならば──勝算が低くとも、逃げる以外の行動を起こさなくてはならない時が来たのかもしれません?
――Mundane/中央部と北部の境界付近――
[トビーから視線ははずさずに]
マインドコントロールなんて、小学生でも知ってる単語。
あたし行った事ないけど。
多分ね、セシリアとあたしの考え方そのものが違うんだと思うよ。
人それぞれが違う価値観を持つようにね。
人の頭は、それほどやわでもないし、「心」は魂に染み込むもの。
電脳化も洗脳も、それは「脳」に刻まれるものだから。
あたしが、仮に明日電脳化を受けたら、そしたらあたしはその時点で洗脳されてるの?
あたしはそれくらいじゃ変わらないし、今現に電脳化されてる人も、人であった時と大きく変わったかどうかなんて、その人じゃなきゃ判らない。
それすら、セシリアが「洗脳」されたのだと認定してもね。
あたしも、その人たちも、別に関係ないのよ。それで殺されたり壊されたりするのは勘弁して欲しいけど。
だって、セシリアは誰かに「あなたはドジでのろまなカメです」って言われて、はいそうですねって納得できる?
この質問をばかばかしいと思う?
セシリアが洗脳だのなんだの言ってるのは、そういうことだよ。
セシリア自身のことならそれはあたしにも、他の人にも何も言えないけど。
それと、簡単に再生って言うけどね、義体って結構高いんだよ。企業も慈善事業じゃないからさ。
体が残ってるなら、修理すればいいだろうけど。
最初からだとか、取替えだとか。
成長しきった後なら、もしくは全部義体なら、最初だけで済むんだろうけど。
それであたしは下に置き去りにされたから、そんな簡単に言わないで。
あたしが今手足機械なのは、義体だと高くつくからだしネ。
[トビーの笑みに眉を顰める]
逃げるのは、逃げ続ける為じゃない。
次の機会を窺う為の、「逃げ」だから。
でも、トビーに勝てる気はしないなぁ。絶対強いもん。
世界に絶対などという言葉はないさ。May。
[歌うように笑い告げる]
[さながら対峙する二人の少女は、背中合わせに立つ存在のように見えなくもない]
【人とAI】
【生と死】
【希望と絶望】
【今更にボクは結合を望んでいるとでも?】
[内心で自らを嘲笑う]
先程ぶり。
或いは初めましてというべきかな。
ボクはAlchemist。
今回のGameの主催者であるのだけれど挨拶が遅れに遅れてしまった事を詫びよう。全Playerにね。
May、今日の事を誇って良いよ。
ボクが自らの事を挨拶するなんて何十年に一回あるかないかって所なのだから。
あたしよりは、絶対強いってことよ。
Alchemist……。それがトビーの本当の名前?
名前、じゃないか。錬金術師なんて。
誇るって言うのは、自分がそのことに価値を持つかどうかによっても違うと思うけど。
少なくともあたしは、そんなことに価値は見出せない。
こんな趣味の悪いゲームの、主催者なんて、特にね。
こんなことをして、「不可侵領域」にそうまでしていきたいの?
ゲームと称して、人を陥れて。
誰かを利用することを、悪いと思ってないなら、「それがどうかしたか」と言われそうだけど。
褒め言葉をありがとう。
喩えば――
[真っ直ぐに銀のタクトをMayへ向ける]
そこに居る、死の乙女、或いはCeciliaというAIを味方につける事が可能なれば、この場の窮地も脱せようさ。それに”下”の人間は存外にしぶとい。
[演技がかった仕草で両手を広げる]
真の名と呼ばれる本名に何の意味があるかな。AHAHA。でも、このトビーという名の人物は本当に存在はしているけれども、ボクの名前ではない。
利用できるものは、ある程度利用してもいいとは思ってるけど。
でも、うん。
――やっぱり信じられるのは自分だけってことかな。
[俯いて小さく呟く。けれどすぐに顔を上げて]
これでもあたし、結構トビーのこと、気に入ってたんだけど、ネ。
[けれども、メイには反論はせず、
──改めて、Alchemistに向き直る。]
貴方が“Alchemist”……
私のMasterは、貴方が起こした──とある、ひとつの事件の解析から、雲を掴むような正体不明の貴方の偉業を追い続けてた。
想像していたものを裏切ります──ね。
私は、セシリアです。
ミッキー・J・ローグのつくりしAI、あるいは……
そう、おっしゃるように“Alchemist”が望むならば、貴方を第二のMasterと仰ぐ事となる──。
セシリアと共闘って言ってもね。
それでもあたしには、トビーを攻撃する理由がない。誰かを奪われたから、と言うなら、セシリアだってそうだし。
この事態を許せないと思うけど、それを起こした人に裁きを下せるほど、あたしは自分の考えを正しいとは思ってない。
でも、そだね。
今のトビーの態度は、あんまり気持ちいいもんじゃないかな。
[セシリアの方を見て、肩を竦めた]
ほら、共闘どころじゃないみたい。
セシリアが組み込まれたPGMに逆らえないなら、あたしには打つ手ないよ。
元々ない気はしてたけど。
Game。
Gameが嫌いかい?
ボクは好きだ。大好きだ。
人を騙し、人を陥れ、人を欺き裏切り、勝利す。
こんなに素晴らしい遊びというものはこの世にはない。
Mayもあるだろう?
何かの為に、何かを得る為に、何かを犠牲にする事。それは例えば、裏切りなんかでなくても良い。
自分が望みを叶える為に、好奇心を満たす為に、
複数の道の中の一つを選択し、その選択の影でデメリットを負うものやその道に進めないものを作ったという事が。ほんの些細な事であっても、ボクがやっている事と本質的には何が違うというのだろうか。
[流れるように話し、]
不可侵領域――か。
今行かずとも良いと言えば良いが、
そろそろ刈り入れ時なのだよ。長きに渡って撒き続けた種の収穫を得る。"人"としては、簡単な道理とは思わないかい?
[ベールを被り、瑞々しい花々を頭上にいただく神秘的なAlchemistの姿。それは、セシリアのMaster──ミッキー・J・ローグの、義体を解除してからの病んだ象のような皮膚、不自然にブヨブヨと膨らみ、最後は立ち上がる事も出来なかった肉体とは、随分な差があった。
そうでなかったとしても、セシリアは、もっと厳格な男性的な風貌を想像していた。]
──……
[そこで言葉を止めたのは、メイの反応が気になったからだった。
セシリアが、メイをAlchemistに差し出したならば。
あるいは、そうでなくとも、セシリア自身の鍵をたやすくAlchemistに差し出してしまったならば、メイは──。]
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