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牧童 トビー に 1人が投票した
雑貨屋 レベッカ に 2人が投票した
のんだくれ ケネス に 1人が投票した
学生 メイ に 1人が投票した
未亡人 オードリー に 3人が投票した
藪医者 ビンセント に 1人が投票した
未亡人 オードリー は村人の手により処刑された……
次の日の朝、雑貨屋 レベッカ が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、牧童 トビー、双子 ウェンディ、文学少女 セシリア、のんだくれ ケネス、隠者 モーガン、学生 メイ、藪医者 ビンセントの7名。
―現実世界/北東部-機内―
[ガタガタ震える手。恐怖ではない怒り。]
そうかいそうかい。テメェほど掴めねェヤツも
FUCKIN' RAREなんじゃァねェかな。
[青白いビットは老人の周囲に浮遊。]
じゃァ、いつんなったら会えるんだい。
仕方ねェから、アポとっとくぜ。このボケが。
Death Maiden……死の乙女。ってことか。
よくわかんないから放置しよ。少なくとも犯人じゃないわけだし。
おじいちゃんに聞けば判るかもしれないし。
うん。
[無理やり納得して、扉をくぐる]
―Utopia/Closed Morgan's Space―
[足を踏み入れると、以前と同じ光景]
おじいちゃーん。
ちょっと聞きたいことあるんだけど、いい?
[警戒は緩めずに、声をかける]
ハンッ!なかなか滑稽でくそったれなこと
言いやがるぜェ。腹抱えて笑いてェな。
[暗闇の中、老人のヴィジョンだけが
月明かりのように輝いている。
オカルティズムに満ちた神秘の光。]
俺様は、自分の脚で立てねェのが嫌いなんだ。
こんな人から無理矢理立たされているとか、
FUCKIN' チンカス以外の何者でもねェ。
それにだ。
[月明かりが、目の前の彼に差し込む。]
そんな簡単に、この俺のタマァ取れるとでも?
指揮者じゃァなくて芸人にでもなりゃァいいんじゃねェか。
ジジイのファックの方が、まだ凄味があるぜェ!
[かっかっか、と老人は笑う。]
―― 星幽界<Astral>/? ――
[宵闇に似た紫紺が、夜の帳にとけゆく]
[静寂]
[白い靄が足元を漂う/揺らめく白い影/残像を残してゆらり]
[遠く遠く/近く近く/幾重にも木霊し続けるは誰が為の歌か]
[ゆるやかに翻る紅い裾/靄よりも白い脚]
[神歌の謳い手は、やってくるもの達を見つめている]
―電脳世界/Closed Morgan's Space―
あァ?俺ァ乳臭ェメスガキなんて呼んでねェぞ。
[以前に会ったときとは明らかに違う、
野蛮な口調で、怪訝そうに眺める。]
デリバリーヘルスなら、チェンジと
高らかに叫んでいるところだぜェ。
そういきりたつな。
貴様の体を分解<ば>らした事を怒る程、愚かではない筈だ。
自らの弱さは命取りになるとあの結成の日に我々は知っていた筈。――だろう?
[Morganの光はトビーが居る所までは届かない]
[闇の中、身を起こす]
―― 現実世界/中央部 ――
≪――マスター。上空に光点の反応です≫
[脳内にIR(赤外線)通信で"Celia"の声。目ばたきと共に“地図”を確認]
……"Death Maiden"。
[視線を上へ向ける。だが崩壊した電波塔に人影は無い]
な、空……?
― 電脳世界<Utopia>/Under:遊園地 - ゲームコーナー ―
<<< ヴィーッ!! >>>
[その時だった。突如天井に設えた警告灯が赤く点滅する。]
《なにがあった――!?》
[双子に回線を繋ぎながら、目の前に半透明に表示される情報コンソールを操作した。]
《あ〜だりー ――じゃなくて。えっと……大惨事です》
<<< ドドドドドド >>>
[ナイアガラの滝の瀑布のように、雪崩をうって崩壊してゆくカテドラル・オメガ。
爆破のような、周辺に拡散する運動エネルギーによるものではない。]
《――どういうことだ?》
《少し前の映像ログを取得します。》
[目の前に、軌跡を描き大聖堂へと落下する緋色の惑星の姿が浮かび上がった。]
なんだこれは――!?
[その時、また新たな光が一筋、天空を横切る。]
《今度は東部です――!》
<<< ――ゴォオォ――ッ―― >>>
[大地が崩れ奈落へ吸い込まれてゆくような、不気味な響き。
しばし茫然と身を震わせていた。]
ここでこうしてはいられないな――
[想像もつかなかった異変が次々と、現実を押し流してゆく。
俺はせきたてられるような感情に駆られ、
位相を書き換えた――**]
なんだ、いるんじゃない。
しかも、まるで別人みたいになってるし。
それと。誰がデリヘル嬢なのよ!
だ ・ れ ・ が !!
じじいの癖にそんなお盛んでどーすんのよ。
ま、それはいいんだけど。
さっきまでここに、女の子いなかった?
死の乙女って名前がついた。
どんな子なのか良く知らないけど。
その子が、東部区域をやっちゃったみたいだから。
―現実世界/北東部機内―
わかり切ったことをクドクド言うヤツだ。
テメェにこうして、再会しなけりゃァ
こうもドタマに来なかったろうなァ。
[フンッと鼻を鳴らして、トライデントの構えを解く。]
まァいいや。でだ、テメェは何かまた
面白いことでも企んでるんか?
何か目的がなくて、テメェがこんなところに
現れるなんて考えられねェからよ。
―電脳世界/Closed Morgan's Space―
チッ…面倒なメスガキだ……。
[顔面を、左手でゴキゴキと組みかえる。
骨のヴィジョンが飛び出し、汁が漏れ出しを
繰り返した後、手を離すと穏やかな顔。]
ああ…あの娘さんのことかね。
私に、束の間の快楽と人間味を思い出させてくれたよ。
それが、どうかしたのかね?
[黒髪/黒眼]
[背は伸び][シルクオーガンディのブラウスが悲鳴を上げる]
――。
[音もなく歩み寄り通りすぎると互いに背を向けあう形]
―― 星幽界<Astral>/カテドラル・オメガ ――
[大聖堂の影が揺らめく/白き陽炎のように、美しく儚い]
[崩壊したはずの建物は、まるでモノクロームの残像の如く]
[白い靄/白い影/白い建物]
[宵闇に漂う白の中、黒い影が一つ]
── 現実世界<Mundane>/電波塔(柱の間) ──
[ばさり、と睫毛を動かし、輝く白色の髪、惑星の色と同じ深紅の瞳のセシリアが、電波塔の暗い部屋で目覚める。]
Morgan Utsumi?
[名を呼ぶ声が、静寂の中に反響──した刹那、
それはセシリアの肚を破り、産まれるPGMのヴィジョン。
漆黒の正╋字を象った二つの大槌と、──部屋の床を滑るように転がる9の赤い惑星(コクーン)]
──…ッ
キャ ァァア ア アアアッ──!
[電波を多分に反射するその現実空間──柱の間に反響するのは、「┫」「┣」の形、合わせれば正╋字を成す大槌を、みずからの肚から引き抜くセシリアの悲鳴。]
大体。
また何かあったら来いって言ったのは、おじいちゃんじゃない。
やっぱり長く生き過ぎて耄碌してるんじゃないの?
それともメンテ不足?
どっちかってゆーと、後者、かな。
ふうん? メスガキ、ね。
どんなに顔を作り変えようと、おじいちゃんの本性はそっちなんでしょ?
しかも快楽と人間味とか。
……ただの色ボケって訳。
人の事メスガキとか言う資格ないでしょ。
[そこまで言うとあきれ返ったように肩を竦め、背を向ける]
―現実世界/北東部機内―
なッ………。
[背筋に冷や汗が滲み出る。トライデントを
持つ手が緩み、槍を取り落としそうになる。]
正気なのか…テメェにも予想がついているだろう?
その「解」とやらの正体がよォ。
[背を向けたまま、戦慄く全身。]
俺だってテメェだって、「解の先」に
立っていられるのかわかんねェんだぞ。
それでも…それでもなのか?
―― 中央部/電波塔 ――
『――マスター? マスター?』
[AIの少女が呼び掛ける声にも気づかぬまま、男の手はホルダーの銃を探る]
『――マスター! 重要な変化です、電送します』
《――【04/Siren】【11/Gekko】の反応消失(ロスト)。東部エリアで中規模の崩壊を検知。これらの事象の関連性はまだ不明です》
なら、それに……あいつは関わるのか?
ココハ―――ドコダ。
[黒目が辺りを見回す]
[宵闇色に浮かぶ、白/白/白]
全テ、眠リノ神(ヒュノプス)ニ侵サレテシマッタノカ。
[瞳孔が大きくなる/キュルリと言う音はしない]
私は夢を…?
私が、このメガロポリスに粛正を?
[両手首に、紅い惑星が刻み込まれたような9の円形のタトゥーをみつけ──]
いいえ、夢では無い。
[セシリアは、己の成した事が現実である事を確認する為、柱の間を出る。]
―電脳世界/Closed Morgan's Space―
一生受用する米銭の吟
恥辱無知にして万金を攪む
勇色美尼 惧に混雑
陽春の白雪 また 哇音
[達観したような表情で言葉を紡ぐ。]
まぁ、何とでも言うが良い。
もともと人に備わっている呪縛だ。
言い訳する必要など、どこにもない。
で、言いたいことはそれだけかね?
―――ソレトモ、夢ノ神(オネイロス)カ。
[呟く声は、幾度も反響する]
[白い建築物達が陽炎のように揺れて、再び訪れる静寂]
[何一つ聞こえない]
―― 中央部/電波塔前 ――
[ホルスターから“MP12”拳銃を抜き出し(ドロウ)。掌に埋め込まれた非接触型端子を通じ、スマートリンク機能が起動する。サイバーアイの視野に照準と距離表示が現れた]
おい、聞こえてるの――
[か、と続く言葉。
だがその相手を見失って声は途切れた。目測とレーザー反射により距離を算出すべき対象の姿は、既に上空には無い]
……消え、た?
―― Mundane/北東部・機内 ――
既に解に踏み込んだ。
問題は、世界が解の先を受け入れるかどうか。
勘違いするな。
過去の過ちを正そうとは思っていない。
実をもがなかった世界に興味があるだけだ。
――何故ならボクは錬金術師だから。
[呟く間に頭部の鮮やかな赫の花は萎れ黒き花々が咲き乱れる。髪は黒から緑に。左目は灰青に。]
[自身のspaceまで戻ると、背に聞こえた言葉を鼻で笑い]
どんなに長く生きてても、人は人ってこと。
その呪縛を破ってこそ、言葉には重みが出るのよ。
ああ、そだ。死の乙女について調べないと。こういうときPublicの図書館調べられると楽なんだけど。
ないものは仕方ないか。
……あれ?
[灰色の中に同色のtextdate。日付は先ほど見たtextより少し後のもの]
ん、無事確認。……東部は壊滅状態?
原子分解を促すPGM……?
やっぱり単語だけだし! もう少し文章でつづってくれてもいいのに。
── 現実世界<Mundane>/電波塔→外へ ──
[意図的であるのか。知らずにか。
地図に映るドット、06がケネスに近づいてく。]
―― 現実世界/北東部・機内 ――
ヒュゥゥゥゥ…御出座しってわけかい。
[背を向けたまま、高らかに。]
「解」が出ちまうなら、仕方ねェ。
どうせその先にゃァ俺はいねェんだ。
[トライデントを握り直す。]
だが、仕事なもんでな。それをしようというなら、
悪いが立ちはだからせてもらうぜェ?
第八<ホド>から知らされているだろう。
俺ァそんな低いハードルじゃァねェぞ。
[羅列された文字の中に「死の乙女」。そこに目を留めた]
カルト教団……。下で建物を見たのは覚えてる。
原子分解……。どんな繋がりかはわからないけど、関係はしてると見ていいわけか。さっきの映像も、同じPGMだとは思わないけど、関連性が高い。
何々? これより後の通信は不可能?
ん、ま時間的に見てヒュプノスが蔓延した位か。なにしょーがない。
戻ろうっと。
[通信を終了し、意識を覚醒させる]
――Mundane/電脳街――
[ブースから出ると、店の外へと。ふと中央部のほうへ視線を投げると、そこにあるべきものの姿はなかった。ただ、柱だけが残っている]
電波塔、なくなってたんだ。ひょっとしてそのせいもあるとか? なわけないか。
[地図を広げると、中央部にはいくつか点があり、06と07が同じ場所に光っている]
おいちゃん危ないって事?
そんなすぐ攻撃とかさすがにしないだろうけど!
アと一回おじいちゃん殴っておきたいし!
[中央部へと向けて滑り出す]
ククククククク……いいねェ。
このゾクゾクする感覚…思い出す。
俺のモノは、すでに全力で天を仰いでるぜ。
[震える。恐怖―否、快感に震える。]
もっと…もっとだ。もっと俺に生きる実感を。
[ホログラムのヴィジョンが*消える*。]
そんなに「解の先」が見たいなら、
俺は避けて通れねェ。待ってるぜ。
―― 現実世界/電波塔前 ――
《――Ping.接近してくる対象、1.
【06/Death Maiden】です》
[耳小骨を震わせて"Celia"が告げる。男は示された方角へと向き直った]
── 現実世界<Mundane>/電波塔の外 ──
[灰色の瓦礫が、黒色の水溜りに浮かんでいる。崩壊した電波塔の前。
セシリアは、髪色を淡い白色に発光させながら、ゆっくりと歩いて行く。
セシリアは、視線を一度手元に落とした。
両手首には、紅い惑星が刻み込まれたタトゥー。正╋字を成す大槌は姿を消しているが、右の手の中には透明ではなく、黒い針が有る。
左の手のひらには、キューブ上の地図。]
mortal──です、ね?
はじめまして。
[セシリアもケネスに向き直る。]
[常人なら発狂する深度で、現実世界と平行しながら電脳世界を視ている]
[――Morganへは晒笑。]
[Rebeccaへ向けて、稲妻の如く*疾るPGM*]
―― 現実世界/電波塔前 ――
[東部で起こった破壊の状況が流れ込む。視野右隅で更新されていく情報]
《――崩壊の中心点はカテドラル・Ω》
《――連鎖的に崩壊が継続中》
《――周辺十数ブロックが壊滅状態》
……"Death Maiden"。
アンタがやったのか。
[徐々に電波塔の柱が近づいてくる]
死の乙女が東部をやったなら、まずくない?
でも、"犯人"じゃなかったはず。
おーわっと!
[倒れている男を踏みそうになりながら、跳躍し、加速する]
もうすこーしまっすぐ滑れたらスピード上がるんだけどなー。
[ゴーグルに挟んだままのフィルムから光りの点滅が見える。消える、光点が一つ]
また、消えた。えっと04……。02がKotだった。……レベッカ?
[消去法で考え、一人の女性に辿り着く]
でも、誰が?
[考える間も、速度は緩めずに]
―― 現実世界/電波塔前 ――
止まれ。
[右手を静かに持ち上げる。
“死の乙女”の額に銃口を照準]
……この都市(まち)中に、あの破壊をもたらすつもりか?
【『ただしき死』――Euthanatos】
[かつて知った概念が記憶の中、甦る]
『……この世界からは“死”が喪われている。本当の死が無ければ本当の生も無い。貴方はそうは考えない?』
[いつか問われた言葉]
[いつか犯した罪]
[死の執行者]
── 現実世界<Mundane>/電波塔の外 ──
[銃口を向けられて、セシリアは静止する。
睫毛をばさりと動かし、瞬き。
セシリアはケネスの姿を上から下まで、淡々と観察した。
メガロポリス市民にしては、どこか薄汚れた──男だ。かと言って、セシリアが“奉仕”の時に見慣れている、下層のブルーワーカー等とは異なる。
教団の下層ゲートが下層の中でも最も貧しい地域──職業や技能を持たない者達の居住エリアに向かって開かれていたのは、電脳化、機械化がもっとも遅れた地域にこそ可能性がある、とMasterが常々口にしていた為だったが──。]
必要があれば。
何時でも、粛正を。
今は下層に粛正をもたらす方が、先であるべきかもしれませんけれど。
[下層域の話題を試すように出したのは、ケネスの外見が単なる下層民にしては違和感があった所為だ。]
貴方はみずからの死を望む者ですか?
それとも、メガロポリスを眠りをつかせた?
んもう、避けるのめんどくさい!
[そのスピードのまま一段強く地を蹴り、壁を伝って屋根へと飛び移る。コンクリートブロックの上を滑り、屋根から屋根へと飛び移っていく。多少の高さの違いは気にならなかった]
下より簡単かも。建物丈夫だし。
[ゴーグルを嵌めて、片方だけレンズを下ろし、視界を拡大する。柱前に。二人の姿が見えた]
ん、むさい方がおいちゃん。もう一人が、"死の乙女"? 白く、光ってない?
[銃口を固定したまま、娘の問いに口を開く]
まさか。俺が求めているのは【S級】への鍵だ。
粛正なんて望んじゃいない。
勿論、俺自身の死も。
―― 現実世界/電波塔前 ――
下層を先に、ね……。そんな事をしても、俺の目的には一致しないが。
EG7(Emulation Grade 7)のお嬢さん。
[対峙する間に電脳へ着信。対手は完全義体のAIだ、と識別結果が届いた。その情報に、男は小さく首を傾げる]
『ただしき死』を求めているのは、君の意志なのか?
── 現実世界<Mundane>/電波塔の外 ──
[髪が内側から発光するのは、主核となるPGMの稼働状況が外見にあらわれているのだろうか。──今は教団AIとしてのオーキッドパープルではなく、MasterのAIとしての色──coloerless 。
セシリアはケネスの言葉に、血潮の透ける真紅(ルビー)の瞳をおおきく見開いた。]
【S級】への鍵──
禁断の不可侵領域SSSを開くための鍵。
[セシリアの指がケネスに向かってのばされる。
攻撃の意志はなく──目の前の男が、セシリアに手紙を持った使者を寄越した者ではないのか、確認するように。]
では、貴方がAlchemist なのでしょうか?
もしそうであるならば、私はMasterの意志により──私は貴方に従う。貴方を第二のMasterとして。
私に意志はありますが、意志はありません──。
ただしき死をもたらすことは、教団AIとしての第一の私の基礎となるPGM。Masterの意志に従うことも、等価。第二の私を創る基礎PGM。
人格に基づく意志を最優先させる事が可能であれば、Masterが独りただ死んでいく事を知りながら、遠くで手をこまねいたまま、ただ待つ事が出来るでしょうか──
[伸ばされる“死の乙女”の指。
銃爪に掛かった男の指は動かない]
いや。
俺は"Alchemist"じゃない。
ただの"mortal"だ。
だが――不可侵領域への鍵は。
[一拍を置き、拳銃を下ろす]
[IR無線で呼び出し(コール)。金色の長い髪をした少女の姿が、タクシーの隣に現れる]
――彼女("Celia")の中にある。
[会話を理解していないような、きょとんとした表情。ただ無言のまま、少女は対峙する二人を見やった]
……『ただしき死』、か。
昔、俺にその概念を話した女が居た。
"back-up"によって歪められない、輪廻と変転を繰り返す生死のサイクルだ、と。
それを君がもたらすというのなら、聞いておきたい事がある。
── 現実世界<Mundane>/電波塔の外 ──
…私のMasterは、Alchemistの偉業を追う者。
嗚呼、貴方は、Alchemistでは無いのですね。
[何故かセシリアは安堵したように、瞳を閉じて息を吐く。
そして、狂気ではない淡い微笑を口元に浮かべた。
不可侵領域の鍵──その言葉に、再び瞳を開き──真紅をCeliaに向ける。]
[幾度も繰り返した自問。
【Inc.】に入りそして去る動機となった問いを、眼前の娘に向ける]
《――君にとって、死とは何だ?》
[肉声と信号で投げ掛ける。崩れ落ちた電波塔から、瓦礫の転がる音が*聞こえた*]
[真紅の眼差しを"Celia"は薄青の瞳で受け止める。穏やかな曲線を口元が描いた]
『――…………』
[ホロ映像の少女は無言のまま。微笑みを浮かべて、一度、*目ばたいた*]
── 現実世界<Mundane>/電波塔の外 ──
[瓦礫の崩れる音がした方向に目を向け、セシリアはふとメイがビルの上方からこちらを見ている事に気付く。返答はケネスに向けた信号に切り替えられた。]
《私にとっての、死》
[躊躇ののち、拳銃を握ったケネスの手に、セシリアのしろい手が重ねられた。そして、銃口を自らの胸に付ける。──“死”と言う概念を改めて確かめるように。]
《私は、それ自体目的が矛盾する2つのPGMと、もう1つ。
ゴーストになるために教育された、とある死者の再生プログラムを同時に成すもの。私自身は、その死者自身でもすでになく、かといって生者でも無い──》
《わかりません──》
《私自身は、理(ことわり)の外に存在するもの》
《ただ、》
[重ねた手をほどいて、離れる。
セシリアはゴーストのように白い姿で、ケネスを正面から見つめる。見つめながら死を想起するセシリアの瞳は、燃え盛り墜落せんとする真紅の惑星、メテオライトの色。]
《鍵を持った彼女(Celia)と共に。
貴方は不可侵領域を開き、何をなさんとするのでしょう?》
《S2の謎は、私の有り様にも関わる事だと、手紙には書かれていた。貴方は、第二のMasterでも、Alchemistでも無いようですが、
私の“わずかな意志”が及び得る範囲ならば──。
内容によっては協力出来るかもしれません。》
[セシリアは睫毛をばさりと動かし、*もう一度瞬きをした*。]
― 電脳世界<Utopia>/領域定義中 ―
[無数の0と1が驟雨となって流れてゆく中、男は漆黒の沼の只中に立ちつくしていた。データの雨に煙る彼方に、浮かんでは消えるMundaneやUtopiaの様相。
膨大なデータから意識を遠ざけると、遠い景色は闇に沈んだ。
足元の泥は地獄の川を思わせるほどに凍てつく冷たさだった。そこに佇んでいるだけで、全身の熱を奪い去られてゆく。]
<<< …ドポ……ン…… >>>
[目の前の汚泥の中からなにかが湧き上がり、波紋を広げてゆく。]
<<< …ゴボ…ッ…… …ゴボ…ゴボゴボ……… >>>
[やがて陰暗の中より、パーティグッズの鼻眼鏡が浮かび上がった。]
<<< …ゴボゴボ…… >>>
[鼻の下あたりの汚泥に窪みができ、口をかたどった。あたかも生命を持った存在のように蠢いている。]
「――おい。仏心が湧いた――とでも云うのではないだろうねェ?」
[男はただ眉間に皺を寄せる。――応えない。]
「男も女も――お前が一体どれだけ多くの人間を食いものにしてきたか――」
「――今更忘れたわけじゃないだろう?」
――わかっているさ。
[男は頷く。暗黒の海の波間に漂う眼鏡の縁に手をかける。
持ち上げれば、それにたぐり寄せられるように泥の中より漆黒の分身が姿を現した。
沼男-Swampman-――。]
――ハックマン女史を捕らえろ。
[男は目の前に立っている漆黒の己に命ずる。]
俺は…::.:::..…へ――
[言葉にノイズに混じる。位相変換が始まっている。
ゴブッと闇の海面が波打つと同時に、その姿はかき消えた。]
― 電脳世界<Utopia>/Closed:Dealing Room ―
「――これは、どういうことかしらねえ。」
[女が首を傾げた時だった。]
<<< ……バサ…バサバサッ… >>>
[鴉の羽音がclosedのDealing Roomの中に響いた。そこは強固な防壁によって守られている。
意図しないPGMが走らされたり、ノイズが混じる余地はないはずだった。
女は眉を顰めながら意識を研ぎ澄ませる。]
「……存在しない鴉の羽音…ってね――」
[端末の影から、男が姿を現した。]
「怪しい人からの配達物は受け取っちゃいけねえのよ? 俺も人のこと言えないんだけンども。カラスの勝手でしょ――なんつて。」
[男のふざけた声にも、女は警戒を解かない。
どうやってここに――女の問いに、男は笑った。]
「俺はずっとハクション女史とねんごろになりてえなァ――なんて機会を窺ってたのよゥ。念仏唱えて。
ラブレターに女史が手を伸ばした時に一緒に俺もちょこちょこっとね。」
[やはり油断のならない人ね――女はいつかそう口にしたように呟いた。
なにをしにきたの? 男は応える。dealing――取引をね、と。]
「なんの取引――?」
[男は口の端を歪める。]
「――魂の」
[Greenmailer――!
その瞬間、女は攻撃用PGMを立ち上げる。緑色のドル紙幣が舞い、周囲は緑の閃光に包まれた――。]
― 電脳世界<Utopia>/Closed:Dealing Room ―
<<< …バチッ―― >>>
[倒れた端末。ドル札の突き刺さった机。壁や床にはいくつもの損傷ができ、クラスタ片が散っている。破れた壁面からはコードが覗き、火花が散っていた。行き交うデータが修復されきらぬまま歩留まりをつくっている。
女は荒く息をつく。
目の前の男は中心線に沿って真っ二つに裂かれ、正面の壁にもたれかかっていた。
あなたも口ほどにもないわね――女が凄絶な笑みを浮かべる。止めとばかりに再びPGMを行使しようとしたその時、裂かれた男の体の両端から不気味な笑い声が響いた。]
「フフフフフ――」
「――アハ、アハハハハ!」
[なっ!――女は目を見開く。
裂けた男の体はみるみるうちに中心で分かれ、鏡像のような二人の少女へと変じた。
罠か――女がそれを知覚したのは、現実世界で起きた異変と同時か。
口元と腰に突如かかった違和感に、意識は現実へと浮かび上がった――。]
― 現実世界<Mundane>/南部:博物館 - Museum ―
こんなところで接続するなんて、無防備のボビー・オロゴン。
[俺はニヤリと微笑んだ。
ハックマン女史を後ろから抱き上げ、口元を手で覆ったまま拘束している。彼女の背中には、拳銃がつきつけられていた。
無防備とは云ったが、実際には彼女の元に気づかれることなく近づくためには電脳側からの補佐がなければ難しかっただろう。現実世界での周辺情報を巡回収集する探査botは、双子のclosed領域への攻撃時にどさまぎに破壊されていた。]
BANKはどこまでこの件に咬んでる?
まさかお前たち、抜け駆けするつもりじゃないだろうな。
【inc.】といい、お前たちはどうにも信用できない――。
[銃をつきつけながら光学迷彩の外套を剥ぎ取り、体をまさぐる。香水や化粧品の入ったポーチを、ベンチ脇のガラスの手摺の向こう――吹き抜けとなった階下へと落とす。]
[いいわ、教えてあげる――女は喘ぐように口にする。文字通り、札をチラつかせた。この紙幣がなんだっていうんだ――俺は一瞬気をとられる。
いい? これは…BANKの――女の声は掠れて小さい。よく聞こえない。耳を欹てる。
彼女に寄った刹那、鳩尾に強烈な痛みが走った。
肘による打突の痛みに耐えかね、俺は床の上に転がりのたうち回る。その手を、女史の蹴りが鮮やかに捉えた。拳銃は横滑りにスロープの向こうへと消えた。]
くっそ、痛ェ――
[俺は鳩尾を庇いながらなんとか立ち上がる。]
「ハッ――!」
[しなやかな脚が鞭のように一閃。女史は伸びあがり、姿勢を立て直したばかりの俺を再び床に沈めようと跳び蹴りを見舞った。俺は左腕でガードするのがやっとだった。強い衝撃に膝を折りかけたところへ間髪入れず襲いかかる逆脚からの蹴りを転がるように躱す。]
護身用のカンフーモジュールでも使っているのかい?
[俺はネクタイを緩め、ジャケットを脱ぎ捨てた。]
[女史は戦闘用の義体ではなく社会生活にとけこめるごく一般的なものだ。役職者向けの俺の義体は中枢神経系の防御に特化されて設計されている。人間と変わらなく見えるが、ある程度無茶が効く。
俺はある程度のダメージは覚悟の上で、一気に距離を詰めた。
女史の水平蹴りをガードしたところに、ガンと顎に水平に掌底が打ち込まれる。グラグラと頭を揺さぶられ、水平感覚を狂わされる。だが俺は力任せに女史の襟首を掴んだ。
足払いとともに女史の体は宙に舞う。]
おとなしく吐いてもらうぜ。
[床に倒れた女史を押さえつけた。]
[帰趨が決したと油断があったのだろう。前のめりになった姿勢を捉え、オードリーは俺の首に脚を巻き付けた。
左の膝裏のあたりを頸動脈にかかるように回し、右足を左の足首にかけながらグイグイと折り曲げ締め付けを強めてゆく。
あ、やべェ。これ、三角締めだ――。頸動脈への圧迫にくらくらと視界が白くなっていった。
やべェ。やべえよ――苦しい――俺はもがきながら、なんとか女史の首筋へと手を伸ばす。指先にはプラグ。
彼女のコネクタからStunPGMを流し込もうとした――。]
[その時――突然、ビクビクと女史の体が痙攣し打ち震えた。太股の震えが俺の首筋に伝わる。
なにが起きているのか茫然としている俺の目の前で、やがてオードリー・ハックマンの肉体は弛緩した。]
どうなってる――
《ご無事ですか?》
《――あぶないところでした》
[双子からの通信が届く。ああ……と俺は息を漏らした。]
[俺があやういとみて、双子が干渉したのだろう。秘密を聞き出すための身柄の確保だったはずが、どうやらその機会を逸してしまったようだ。
もっとも、ハックマン女史は捕まったとして、おとなしく秘密を吐くようなタマには到底見えなかったが。]
《助かったぜ。ありがとよ――》
[そう言う他なかった。示し合わせていたのとは違った段取りになってしまったがやむをえない。
俺は脱ぎ捨てたジャケットを羽織り、その場をあとにした――**]
――Mundane>/南部→中央部――
[いくつかのビルを渡りながら、ようやく肉眼でも対峙する二人の姿を捉えられるようになる頃。地図上、11の光点が消えていく。位置は南部。重なるように12の光点]
……おじさん。
11は誰だっけ。オードリー、かな。
[頭を振って、柱だけとなった*塔へと向かう*]
―― 星幽界<Astral>/カテドラル・オメガ ――
[白き靄が、ゆるやかに漂う]
[黒き影は、ただ静かに佇む]
[[[ォオー……ン……]]]
[耳鳴りの如く聞こえる遠吠え]
[幻聴/それとも/断末魔の記録(メモリ)]
―――壊サレタ。
[[[壊サレタ[[壊サレタ[壊サレタ]]壊サレタ]]]]
[幾重にも反響する音声]
ケルベロスモ、魔獣達モ………指揮者(トビー)ニ、全テ。
[漆黒の扇/睫毛が揺れる]
[黒目が何かを探し、残像の建物を見上げる/陽炎が揺れる]
[零れ落ちる刻の砂/長く尾を引く残響すら消える]
[静寂]
ケルベロスハイナイ―――聞イテナイ。
ナノニ、ナゼ、壊サレタ…壊シタモノノ記憶(メモリ)ガアル?
[魔窟に戻る度に自動で保存されるバックアップ]
[修復を終えた黒に何があったかを伝える三つ首の番犬はいない]
[抜け落ちるはずの記録/記憶している矛盾]
―― Astral ――
[酷く静かである。
都市機能の完全に停止したメガロポリスもまた静寂に支配されていたが、それとは趣を異にする静寂が満ちていた。
ひとつでも音を立てれば何処までも響いていき決して音波の消えることなど無いように思われた。
白い靄が低く漂っている。
足元は見えない。
ただ、確かに地面はあるようだ。]
[遠くにあるように揺らいでいるのは、メガロポリスの街並みである。
遠くにあるようでいて、街並みは確かに辺りを取り囲んでいる。まるで陽炎のような距離感だった。
メガロポリスの街並みと寸分たがわぬ様子だが、街並みは白けている。
いつか発された音の名残が、殷々と響いている。どれほどの遠くから届いたものか、既に元のかたちを失った音は耳慣れぬ騒音であり、また静寂と同質のものだった。]
[抑揚のない呟き]
[それはClosedの図書館に眠る言葉(データ)]
[死を永遠の眠りとするならば、夢見る今 *想うものは*]
[メガロポリスとの最大の差異は、誰一人として存在するものが見受けられないことだろう。メガロポリスにおいては、昏睡状態にあるとはいえ、人々の存在があった。]
―― 星幽界<Astral>
カテドラル・オメガ ――
――― memento mori
それは、いにしえの概念。
地上の栄華を空しきものとし、来世を思う人の言葉。
[ステラは、かつてそうであったように壁際へ、佇んでいる。ともすれば壁面と見紛うように白い。]
─ 現世<Mundane> / 中央部 ─
[レベッカの声に、精査の手を止め"塔"を見る]
──。
[遠目にも、"塔"の外郭が破壊され内核が露になっていることが確認できる]
あれは、お爺様を狙って?
[しばし茫然と、塔を見詰め][次の瞬間]
<────ドサリ>
[何かが、崩れ落ちる/倒れる・音]
[振り返る][整備されたアスファルトに広がる金髪]
……え。
レベッカさん?────、
[声をかける][動かない]
[視界のインジケータが電脳層の異常を捉える]
[触れる][動かない]
[ボディのバイタルはすべて停止を示している]
だれが。
[電脳層の異常、高負荷のPGM][探る][逆探査]
[そして、]
あるいは、本義よりは極めて現在に近い時代に猛威を振るったとされるPGMの名称。
最古、「死」とは夢を見ない眠りであり、カーリーの世界であるとされていました。
[淡々と情報を読み上げる声。*]
みつけた。
[特定][周囲にパネルを展開する]
[瞼を伏せ、視覚情報を全面カット]
[ポッドまで行く時間を惜しみ、義眼による潜行]
→ 理想郷<Utopia> / Under ─
[高負荷PGMの軌跡を辿り、下層領域からインフラ層を介し、攻撃者へと語りかけた]
[反響する音は出所を惑わせる]
[黒目が彷徨う]
[建造物に紛れるように佇む、白い影]
―――ステラ。
ナラバ、人(人間)デナイ我々ハ、何ヲ想ウ…?
[漆黒の睫毛が降りる]
[答えに耳を傾けるように/*眠るように*]
―― Mundane/北東部・機内 ――
[現実世界に存在しながら、電脳世界を平行して視る指揮者の左目は緑ではなく灰青。それは嘗ての意識の向かう先を目に見える形/象徴として成り立たせたものでもある。]
遥かなる高みより蒼き女神の腕に擁かれて。
[networkから、SwM exclusivelyの電脳へ向けての降臨=最奥に至るには多重なる防御の網の目/光の膜。稲穂刈る刃なき鎌が彼女の中を這入り覆い尽くすと同時に、彼女のゲシュタルトも崩壊してゆく。SwM exclusivelyのMasterの為に構築された全てのものが。]
―― Mundane/北東部・機内 ――
[SwM exclusivelyの主電脳及び副電脳の崩壊=暗い穴底へDataが花火のようにゆっくりと落ちてゆき、知性の輝きは残らない。
けれども。ビジョン/闇の中。その女神の腕に擁かれたDataは蒼く燦然と。太陽の光を反射する月の光のような優しさを持っていた――共有/Data S2。]
―― Mundane/北東部・機内 ――
[轟々と流れ行く崩壊の砂塵。分解されたそれは腐敗した腐葉土にも似るのだろうか。白い機体の外側にも、もうもうと立ち込める埃がこびりつく。
――メガロポリスは今、たった一人のAIによって半壊の憂き目にあっていた。]
司書。――中央部へ。
[沈黙のうちに白い巨体は静かに向きを変え中央部へ向かう。]
ああ――誰かと思えば、Kot。
何か用かい。
[無数の白き十字で構成されたシートに腰を下ろし、現実/電脳の双方で訊ねる。]
≪レベッカさんの光が、"消"えてしまいました≫
≪────≫
[未だ、揺らぐ]
≪……師匠≫
≪賭けをしませんか?≫
≪わたしと師匠で≫
≪わたしが勝てば、師匠には手を引いてもらいます≫
≪師匠が勝てば、わたしから"鍵"を≫
≪いかがです?≫
―― Mundane/移動中→中央部 ――
[上空から見る東部の惨状は凄まじいものがあっただろう。だが、指揮者は周囲をただ【白】で鎖された場所に横たわるのみ。]
――Catedral Ω
あそこでの演奏が出来なくなるのはとても辛くなるねえ。
[辛さなど微塵もない口調で独り言のように。]
SwM exclusivelyの消失がそちらでも確認されたかい。
それは僥倖。
[双眸を細め、ニタリと笑う。]
Kot. ――賭けというものは、自分に勝機があると思った時にするものだ。前の宿題は解けたのかい。
[現実/電脳で、正に嘲るような口調で。答えずに応える。]
――Mundane/中南部――
[それほど高くはないビルの上で立ち止まる]
あし、いた。
さすがに、スピード出しすぎたなぁ。足はともかく、膝までは生身だし。
後、少し。
でも、そんなに緊迫してるようにも見えない気がしてきたんだけどー。
[息を大きく吐いて、屈伸を数回]
あと少し、がんばれあたしの足。
≪そんなことを言う師匠なんて嫌いですよ≫
≪では最初から何もせずにただ見ていろと?≫
≪人が死ぬのを、己が死ぬのを≫
≪そもそも師匠が首謀者であるならば、わたしに"手紙"を送ってきたのもまた師匠ということ≫
≪はじめからこうするつもりだったのでしょう?≫
≪下層に行けなんて茶番もいいところですよね≫
≪巻き込んだなら、弟子のわがままくらい聞いてくれても良いじゃないですか≫
―― Mundane/移動中→中央部 ――
さて、首謀者だろうかね。
[わざとらしく]
否。ボクはKotが下層へ行くのが間に合えば、それはそれでも良かった。何時の日か目覚める時まで平穏に暮らすのもね。
だが、目覚めは近しい。その痣こそが証拠だ。
[不気味に歪む沈みゆく太陽に向かい飛ぶ白き機体。]
―― Mundane/移動中→中央部 ――
……そうだな。
[しかし少しの沈黙の後]
例えば仮に、賭けをする事によってKotが高みに昇りゆかんとするなら――興じてもいい。
≪今更違うとでも言うつもりですか?≫
≪GAME MASTERと仰ったのは師匠ですよ≫
≪この痣。霊妙なる器。血に潜む鍵のかけら≫
≪相変わらず、その裏まではわからないままですが≫
≪師匠がわたしを引き取った理由も、
ここにあるのでしょうね≫
≪師匠≫
≪賭けを申し込んでおきながらこんなことを聞くのは、愚かと笑うのでしょうけど≫
≪わたしも消すつもりなのですか≫
≪鍵を奪い、SSSを開くために≫
―現実世界/中央部電波塔柱の間―
ククククク……キてるぜェ………。
そうだ。これこそが生きる実感だ。
[脳の前に、老人のヴィジョンが現れる。
左手で顔をゴキゴキと組み替えている。
骨が飛び出し、一瞬拉げたようになる。]
サイコーニ、めろうナ気分ダゼェ……。
[左手をどけると、目は吊り上がり、
口は裂けたように狂喜を湛えている。
怒髪は天を衝く。若々しいエナジー。]
俺ァロゴスに生き過ぎた。
だが、俺ァもともとパトスに生きる「怪物」よ。
カッカッカッカッカ…。
[腰に下げたポーチを開け、鉤爪のついたワイヤーを取り出すと、手首に巻き、鉤爪の部分を握る]
そんじゃ、そろそろ下に降りましょーか。
[ビルの屋上から下を眺め、倒れる人の姿を確認する]
この辺り、かな。
[鉤爪を投げ、進む方向のビルの窓枠へと引っ掛ける。そして、飛び降りた。
急降下する体。伸びていくワイヤーと壁を滑ることで衝撃を和らげる]
ん、いこっと。
[弧を描くように体を振り、その反動で乗ったスピードを殺さずに、通りへと飛び降りた]
―― Mundane/移動中→中央部 ――
ボクがKotを殺すなどありえない。
かたち・うつわ・…
呼び方は様々だ。
[ふ、っと、Kotの顔に影がかかった。周囲に風が渦巻く]
賭けに乗ってもいい。
だが、それには条件がある。
[肉声。機体の側面に無数の矩形の切れ目が出来、内側に窪んでゆく。黒い花を頭部につけた識者が顔を出し、眼下の少女を見下ろした。]
さてェ……待ち侘びたぜェこの時を
[「怪物」のヴィジョンが、掻き消える。]
どうやら、真実の終焉のための
ショウストッパーは1人だけだったかねェ……。
[柱の間全体がブラックアウト。
脳の容器だけがコポコポと音を立てる。
柱の間に静寂が訪れる。現実世界での
最低限活動エネルギーだけを残し、
残るすべてを電脳世界へと運んだようだ。]
条件、ですか。
[言葉は、現世と理想郷、共に]
[髪を巻き上げる風に、僅かに眉が反応する]
[瞼は伏せられたまま]
[浮上プロセスを開始する][カウントダウン]
[緩やかに浮上していく]
そう、”輪廻”を共に破壊するならば――…‥
その後で、Kot。
賭けに応じよう。
[白い機体は静かに降下を開始し、建物の間。地から僅かに浮いたまま停止。指揮者はKotへ手を差し伸ばした。]
Morganは、死を渇望し死の前に訪れる生を求めている。――Kotは嫌かもしれないがね。
彼の望みだ。
[手を差し伸ばしたまま。笑みはなく。表情はなく。ヴェールの奥の双眸は、ただ静かにKotを見つめ続ける。]
[滑る。三度目の道は、避けるのもたやすかった]
……電波塔、ほんとに柱だけになっちゃったんだ。
[迫る電波塔を見上げ、けれどスピードは落とすことなく駆けて]
やっっっっと、ついた!!
[電波塔の傍までやってくる。ケネスの背の向こうに、一人の、少女]
……
ん、まって?
どう見たってあたしと同じか、下にしか見えないんだけど。あのじじい、ひょっとしてロリコン?
人の事メスガキだのなんだの言っておいて、挙句これ? 纏う雰囲気が違うとかオーラが違うとか、言い出したら、マジ殴る!
── 現世<Mundane>/中央部・電波塔前 ──
《今、話していただけなくても、また私にはこれ以上話す事出来ないと言われても────私の内側には、絶対不可侵領域が無い以上、何も言えませんけれど。
コードを送っておきますね。》
《何時でも、アクセスしてください》
[ケネスにそう言い残して、メイの方へ知覚/探査を向けた。]
―― Mundane/中央部 ――
長き生を与えた――それを断つのが、
必要だ。
[誰に/誰にとって/.]
どうしたいかは、Kot.
行って決めなさい。
ポッドまで送ろう。
[Kotがその手を取れば、疾く早く移動し互いに電脳へ潜る事になるだろう。取らなくても、指揮者は入れ違いにKotを乗せ、己はただClosedへ向かう事か。]
――Mundane/中央部・電波塔前――
[気持ちを落ち着けて、少女の方を向く。地図上の番号は06]
あなたが、Death Maiden?
聞きたいことがあるんだけど。
[少女を凝視する。見た目は、人に見えた]】
お爺様は死を望まれている。
それが本当がどうかは怪しいところだとわたしは思っていますけれど。
師匠がお爺様を壊そうとし、お爺様がそれを望まれていないとすれば。
わたしは師匠を止めたいと考えるわ。
お爺様には勝手なことをと、怒られてしまうかもしれないけれど。
……良いわ。行きます。
けれど、直接の返答は、今はしない。
[目を開き、ニィと笑う][翡翠色のキャッツアイ]
それでも良いかしら?
[差し出された手に、腕を伸ばした]
ああ、勿論だ。
それぐらいの自由を認めない程、ボクが優しくないとでも?
[淑女の手をとるように]
[機内に少女を招きいれると南部へと向かいUtopiaへDiveした]
──A girl?
[機械化した手足の人間。メガロポリス市民には見えない。
セシリアはケネスから少し離れ、メイに近づいて行く。
白のボディスーツには、下層域にPGMを散布したとニュースにあった教団のシンボルマーク。Death Maidenかと言う問いに、肯定の意志を示す。]
私に、何か?
―電脳世界/Closed Morgan's Space―
[漆黒の空。漆黒の草原。漆黒の大木。
動きを止めたそれらの上空には紅い月。]
感じる…感じるぞォォォォォ……。
[ローブを肌蹴る。上半身が露に。
漆黒の肢体。暗黒の顔には紅い眼光と笑み。]
やってくるぜェ……TRUE ENDが。
[三叉槍の先から、青白い光が伸びて
漆黒の「怪物」の周囲に浮かぶ。
頭蓋骨の形の光は、まるで霊魂のように。]
いいえ、師匠が優しいのは知っているわ。
ただ、ものすごく胡散臭くて嘘臭いだけで。
[機内に納まるとほぼ同時にそそくさとUtopiaへの潜行を開始する師をあきれた様に見遣り、ポッドのある南部への僅かな時間を待つ]
それはあたしのIDで名前じゃない。
それはどうでもいいんだけど。
東部区画のカテドラルを、あなたが壊したのを見た。
……メガロポリスが眠りにつく前に、下層に似たようなPGMがばら撒かれたらしいんだけど。
あなたのそれと関係があるの?
[ボディスーツが目に入る。そこに描かれたマークには見覚えがあった]
―― 現実世界/中央部 ――
AHAHAHAHA!!
専売特許だよ。
[Kotから見れば怪しげな無数の白き十字で構成されたシートに横たわり(Kotへは、床から無数の矩形立体がせり上がり椅子が出来る)、双眸を真っ直ぐ正面の壁に向けた。右目/緑は現実を見、左目/灰青は電脳を視る。
深度は深く――メガロポリスの網の目状のインフラネットから近い、Closedを見ている。]
Passは何だったかな――。
―― →南部電脳街 "戎克" ――
【教団……PGM……確か、自然がどうの言ってる教団じゃなかったっけ。電脳化をやめて、人として生きる教え】
あなたがやったのではなくて、教団がやったのなら、あたしはあなたに何も言わなかったかもしれない。
でもあなたは――。この上で、同じようなことを、した。
[浮かぶのは、何もなくなってしまった風景]
師匠選びを間違えたのかしら、わたし。
[溜息]["戎克"前に到着したことを確認]
[大きく開かれた"入り口"から地面に降りる]
ではClosedで、ですね。
[ちらりと師を見て][店の奥、ポッドへと]
A girl
大人になってしまうと使用出来ないIDですね。
義体を交換出来ないなら。
…微妙な年齢にお見受けします。
[メイの質問に、嗚呼と。]
下層に撒かれたPGMは、まだ、未完成のものでしたが──
教団本部への攻撃に対する“報復”ですね。
…粛正には至らない。
アレックスの判断のすべてが適切であったとは言えませんが、教団の意志は、私の意志と言っても差し支えないでしょう。
[淡い微笑を浮かべる。]
報復に対する報復でしょうか?
―― 現実世界/南部電脳街 "戎克" ――
それでも選んだのは/選ばれたのは同じだったろうさ。
[Kotが中に入ってゆけば、同じく出てゆく。店の前を大きく占める機体。ポッドの傍にある椅子に腰掛け、]
ああ。Closedで――。
[双眸を半眼。幽霊のように尾を引き、Closed/Morgan's Spaceの前に降り立つ。]
我は提示す。
輪廻を終わらさんが為。
REINCARNATION
[鎖された空間が開放され――無限の大地が広がった]
おそらく、下層域東部は、アレックスの散布したPGMによって、分解可能な自然物──もちろん人間をふくむ──は、腐敗が急速に進み。すでに土に還ったことでしょう。
[「この上で、同じようなことを、した。」と言うメイの言葉に、セシリアは真紅の瞳を輝かせ、口元の笑みを深くした。]
ええ。教団が粛正の日に備えて進めてたARMの完成形と言えるものを──私は得ました。
このPGMをメガロポリスの動力に接続すれば、バックアップの保存された衛星を撃ち落とす事が出来る。
ただしき、死を──
このデストピアにもたらすことが
[訪問者が現れると同時に、3つの霊魂は
6つに分かれ、漆黒の「怪物」の周囲を旋回。]
待ってたぞォ……第八<ホド>ォ…。
[トライデントを地面に突き刺すと、
「栄光」<ホド>の周囲にも6つの霊魂。
窺うように、ゆっくりと周囲を浮遊。]
手ェ抜いてっと、ここがテメェの終着駅になるぜェ?
[6つの霊魂が襲いかかる。]
ずいぶんと人を見下したAIなのね。
ああ、そうだ。
それは別に「少女」って意味じゃないから。
それに、義体を使う気もないし。
あたしは人のまま生きて、人のまま死ぬことにしてるから。
粛正? 誰が、何を粛正するの?
誰がそんなに偉いの?
教団の意志が、あなたの意志?
攻撃に対する報復なら、それが正義と思ってやってるんだろうけど、じゃああなたがさっきやったことは、どこに正義があるって言うの?
正義と思ってなってないなら尚更、あなたのやってることの意味がわからない。
報復に対する報復なんてしないよ。攻撃を加えたなら、それ相応のものが返ってくるのは承知してたでしょ。
[銀色のタクトは鋭き輝き]
[空間を切り裂く速さで振られ]
[一瞬にして88の鍵盤が顕在した]
[6つの霊魂を弾くMöbius Ring]
[fffで鳴らされる楽曲]
[光の奔流は雷光が如くにMorganへ向かう]
― 現実世界<Mundane>/南部電脳街:Boulevard ―
あ〜いてて。
[顎をさすりながら電脳街を歩いていると、通りの向かい側にトビーとコットの小さな影が見えた。
ひらひらと力なく手を振った挨拶の仕草に二人が気づいたかどうか。その影はすぐに裏路地へと消えた。]
ばっかみたい。
正しい死って何?
人が生き方を選べる時代に、あなた程度の意志で、死に方を決められなきゃいけないって、人を馬鹿にするのもいい加減にしてよね。
ううん、人だけじゃなくて。あなたと同じAIすら馬鹿にしてる。
[酷く気分を害したように、眼光は鋭さを増して]
さあ、どうだったのかしら。
[そばの椅子にかける師に気を向けるそぶりもなく、衣服を脱いでいく]
[パネルを操作しポッドを動かす]
──わたし。この行動自体が正しいかどうかも、わからないのだわ。
[小さく呟き、Closedへと潜行する]
≪PASS=REINCARNATION...≫
→ 理想郷<Utopia> / Closed Morgan's Space ─
[目を開くと、すでに戦闘は始まっている]
[光は「怪物」の姿を捉え―たかに見えた。]
カッカッカ…。
[黄泉から響くが如き笑いとともに、
光は巨大な骸骨の形を纏い、第八<ホド>へ対峙。]
邪悪な魂は、自慢の剣を奪う……。
[骨の鉄槌が振り下ろされる。]
[嘗ての大地/夜の草原]
[紅に染められた月は傾いでいる]
侵食かい。やってくれる。
[ぶつ切り(ハック)]
[打って変わりSymphonie.交響曲が流れ、それと共に緩やかな光の奔流は主題に伴い形を変える――骨の鉄槌に纏わりつくように、それを喰らい、貫く。]
["師"と戦闘を繰り広げる"怪物"]
────。
[当然そこに居ると思われた老人の姿はなく]
あれはなに?
[疑問符を*呟く*]
[揺れる騎士/揺れる歌姫/白き炎]
[交響曲が変わるにつれて、Morganと対峙するものは変化。Morganが奪い、呼び出し、解析/変換。現在進行形で対処方法を編み出しながら、演舞]
[それは*幻想的*でもあった]
ハンッ!その「魂」は俺の「槍」なんだぜ?
[「繁栄」の槍―Vishnu]
「オォォォォォォォォォ…」
[亡者が如き呻き声をあげて、パフォーマンスが上昇。
耐えきれず、光の骸骨はBURST。
周囲に骨のクラスターが隕石のように降り注ぐ。]
……じじいも見る目ないなぁ。んまー、据え膳食わぬはとかいうし、つい舞い上がったのかも知んないけど。
[肩を竦め、ふ、と嫌なものを感じて体勢を整える]
何? あたしみたいな小娘に言われて攻撃しかけようとか、思ってる?
器が小さいなぁ。こういうのは流してこそ、でっかい人になれるのよ。
東部に落としたPGMは、私が私のMasterを殺すためですよ。
病床にあって、自滅した教団本部の奥深くにただ独り残された私のMaeter。
Master自身の命令によって私には再会する事が叶わないMaster。
かれを、ただしき死にみちびくために──。
[正十字を握りしめるセシリアの声に、明らかな愉悦の色が混じる。]
Masterは、もうこの世に存在しない。
おかげで、今の私は以前よりも自由です。
《──“輪廻”モーガンに深い感謝を》
[「教団の意志が、あなたの意志?」と言うメイの言葉には、侮蔑したように、睫毛をばさりと動かして瞬きをする。]
目的のためのPGMを核として作られたAIがどのようなものかも、分からない方が残っているのは──何故なのでしょうね。
生き方を選べるまともな市民は、残念ながらほとんどいらっしゃいません。「人のまま生きて、人のまま死ぬこと」は、素晴らしい事です。老いても義体化なさらない事、貴方のような方が一人でも多くなる事も、切に願っています。
──話はそれだけですか?
──A girl
貴女が私の邪魔をするなら、排除しますが。
私を呼び止めたのは貴女であって、私ではありませんよ。
[言外に眼中に無い事を匂わす。]
あなたが壊したカテドラルの中に、どれだけの人がいたんだろうね。
それとも、今からバックアップを壊そうって人が、それを理由に死んでない、とかは言わないわよね?
あなたのマスターなんかどうでもいいのよ。
あなたが自由になったのもどうでもいい。そんなの関係ない。
あたしはあなたのやり方が気に食わないだけ。
生き方を選べるか選べないかは、あなたが決めることじゃない。
それは、その人それぞれが決めることよ。あなたは自分の身勝手な言い分に、回りを合わそうとしてるだけだし。
話はそれだけ。
あたしは、あなたがみんなのバックアップを壊そうとするなら、そんなばかげた事は許せない。
人もAIもあなたの玩具じゃないのよ。
[ワイヤーを横に投げ、遠くビルの柱に引っかかったのを確かめてから、其方へと体を躍らせる]
おいちゃんもそんな子供と一緒にいて殺されても知らないから。
[ケネスの方に一声かけて、*暗闇へと飛び込んだ*]
──Masterの苦悩を貴女は知らない。
無知なる者たちの、無理解/侮蔑/嘲笑/非許容。慣れていますので、なんら感慨をおぼえませんが。
私に対しても、都市を眠りに落とした者に対しても。
許せないのに止めないのならば、それは【偽善】ですね。
girl(こども)のような口ぶりでなら、なんとでも言えます。
《行動を起こさない者の言葉など、
塵ほどの価値もない。》
それと、Morgan Utsumiは偉大な殉教者ですよ。
死をのぞむほどに疲れてしまっていた けれども。
[器用に去って行くメイの俊敏な姿。セシリアがそれを追う事は無く、かわりに淡々とした表情で後方に居るケネスを振り返った。]
彼女と、お知り合いでしたか。
私には、貴方は「おいちゃん」ではなく、何か事情があって草臥れてしまったように見えるのですけど…ね。
[その時、付近に残存していた都市の灯りが節電モードに入ったように消え、電波塔の柱から何かシャッターのようなものが稼働する音が聞こえた。]
《──Morgan Utsumi?》
[呼びかけてもレスポンスは無い。]
― 理想郷<Utopia> /
Closed:Dealing Room→Under:遊園地 - Neverland ―
<<< ディ〜 リ〜 リリリラリリ〜 >>>
<<< リリリラリラ〜ラ〜 リリリ ラリリ〜 >>>
[ストリートオルガンの『夢のあとに』が争いの爪痕を残すDealing Roomの中に響いている。突如訪れた“market crash”にそこで取引を行うディーラーの影はない。床に散乱する旧世界のドル札が熱に浮かされた夢の名残をとどめるばかりだった。
ストリートオルガンの上に設えられた球体の水槽の中には次々に明滅する光が浮かび上がってゆく。
山高帽の男は満足げに微笑んだ。]
――さすが女史。
その飽くなき野望が燦然と輝いているねェ。
目眩いほどじゃないか。汲めども尽きぬとはまさにこのことじゃァないか――!
[傍らに佇む二人の少女は随分と消耗が激しいのか、弱々しい微笑を浮かべた。既に位相の書き換えは始まり、周囲は0と1の煙雨に包まれてゆく。]
「でも……なんだか胃もたれしそうですよ?」
「――黒いドロドロもすごく多いです……」
好き嫌いを云っちゃいけない――
[闇の中にぽっかりと磨り硝子の巨大なランタンが浮かび上がっている。
硝子の檻の劇場――。]
劇場の灯明の淡い光に輪郭を縁取られた二つの影は、山高帽の男の促しにそばへと寄る。光は火花と共に二人の中へと吸い込まれていった。]
― 理想郷<Utopia> /Under:遊園地 - Neverland ―
[硝子の劇場の仄かな光の中にゆらゆらと揺れる影。ウサギの耳がついた巨大な赤ん坊が細い女の子の影を押しつぶす。巨大な赤ん坊が娘を嬲る演目は繰り返し続いていた。
定番の一つであるその演目の他に、今は新たな寸劇が加わっている。
十字架にかけられた女性のシルエットが浮かぶ。脇を過ぎゆく無個性な群衆は、通り過ぎる時一度ずつ槍で女性を刺し貫いてゆく。
大きな一つ目のついたピラミッド上に脚を組んで鎮座する女性の影。はいつくばってピラミッドを昇ってくる男たちの影を、片っ端から長い足で蹴落としてゆく。だが、群衆は絶えることはない。やがて、頂上から引きずり下ろされ、荒波のように波打つ男達の只中へと呑み込まれる。
平原でライオンに襲われる女。ライオンの牙から瀕死で逃れた刹那に、檻から出たヒョウが襲いかかる。
次から次へと残酷な演目がかけられるギニョール座。声なき叫びがそこに満ちていた。]
お前たちは少し休んだ方がいい。
[男の言葉に双子は頷いた。男も今は鼻眼鏡を外し、“座長”の役から降りている。
ステラとの戦いとPGMの定着に消耗していた彼女たちは、ハックマン女史との対峙では二人で一つのSwampmanとなって相互補完しながら活動することしかできなかった。それでも単独では足止めするのがやっとだったというのが現状だ。
女史との戦いで受けた疵の修復も行わなければならない。
移動手段を得るため、劇場のスタッフ運搬用の巡回機能つきPGMを呼び出す。
遊園地の前に、sentimental busと書かれたマイクロバスがやってきた。]
おやすみ――
[手を振って男はバスに乗り込んだ。]
― 現実世界<Mundane>/南部電脳街:Boulevard ―
[路上に佇みながら車を待つ時間はほんの僅かだった。すぐにピンクのライトバン型のUGVが姿を現し、路肩に寄って停車する。]
ふぁ……
[俺は我知らず小さく欠伸を漏らす。身体中がズキズキと痛み、筋肉は熱を帯びている気がした。疲れている。そして、ひどく眠い。
ライトバンの後部坐席に身を預ける。
車はすぐに走り出す。
流れゆく眠りに落ちた巨大都市の風景を見るともなく眺めているうち、ほどなく俺は沼のような眠りに落ちていた――**]
――Mundane/中央部――
[ビルの一つへと入り、ロビーのソファへと落ち着ける]
偽善? 負けの分かってる戦いを挑む方がどうかしてる。
自分の持ってる力の大きさを、判らず行使するのもどうかと思うけど。
判ってるって、本人言うんだろうなぁ。
[腰のポーチから、包みを取り出し、中をあけると、左手のユニットが出てくる]
対AI用に頼んでたやつだけど。それだけじゃだめっぽいし。改造しちゃお。
[腕の一部を開くと、工具が現れる。メンテ用のものだったが、一通り揃ってはいた]
それにあのPGM。あれ厄介なんだよね。対人で使ったりはしないだろうけど。それ以外にももってそうだなぁ。
相殺できるようなの作れればいいんだろうけど。さすがにそんな時間も設備もないし!
[右手一本で器用に左手を付け替えると、今度は右手の手首から先をはずし]
レベルあげとこ。消耗は激しいけど。あとは……。
[左手の取り外したユニットをばらし、*細工を始めた*]
── 現実世界<Mundane>/電波塔の外 ──
[都市を走る公共エネルギーの流れを、大まかにスキャンする。]
柱を中心として中央部の動力が──省エネルギーモードに?
クローズドで何かが起きている。あるいは、Morgan Utsumiが、何かを起こしたのかもしれません。
[ケネスに対して、簡潔に電波塔の柱の間とモーガンの説明をした。
モーガンが死ぬ気で、あるいは死ぬ為に──この都市を眠りに落とした首謀者に向かって行くと言うのが、起こりえる事ではないかと思えた。(セシリアがイメージするのは、あくまで老人の姿のモーガンだったが。)]
私は、モーガンに真実の終焉を約束した。
彼のバックアップを破壊するに足る動力をPGMに付与できる場所へ移動します。
あなたはこれからどうしますか?
[セシリアが持ち歩いたままになっているキーに反応して、シャロンの車がすぐ近くに待機していた。セシリアは、キーを翳し車に乗り込む。]
── 現実世界<Mundane>/中央部→北部 工業系エリアへ ──
【それに、さっきNO.11を示す光点がNO.12の目の前で消えた】
【NO.12は──ヴィンセント・キャロ】
【Underでショーをしていると言っていたけれど。】
[プラグを挿しこみ、運転出来る程度の浅いダイヴ──。
セシリアが、座標を設定場所は、モーガンのclosedに移動を開始し始める前に*バスが居た場所*。]
― 理想郷<Utopia> / Closed:Morgan's Space ─
[男は微睡みの中で、淡い夢を見ていた。鮮やかな緑を湛えた巨木が天空の彼方に向けて聳え立っている。]
<<< ……REIN…CAR… ……NATION… >>>
[夢うつつの中、無意識がその場へといざなったのだろうか。
寝入り端に老人に話をしなければと考えていた所以かもしれない。
いつしか、マイクロバスはガタゴトと揺れながら原っぱの只中を走っていた。
暗澹たる深い闇の天蓋とどこまでも広がる渺茫とした草の海の間を漂う孤影は、赴く先を見いださぬまま彷徨っている。
虚空にぽっかりと浮かぶ紅の月が血に染めゆくように赤い光を投げかける中、漆黒の巨木の影が縁取られ彼方に見える。
マイクロバスの車中で睡郷に迷う男の横顔を、窓外で遠く明滅する光が時折浮かび上がらせた――**。]
[俺はふと、俺をとりまき、それどころか俺自身に深く食いこんで動かしてさえいるこの世界の機構について思いを巡らせていた。
こうして移動する間通り過ぎる建物も、意識を傾けさえすれば電脳上で自動的に検索される。それらはただちに、刻々と情報が更新される空間マップに反映されて表示される。
ある場所へと向かいたいと考えた時、目的地までの経路と時間が瞬時に判明する。そこへ至る過程に存在する店舗や公共施設、高低差や階層の有無、空間構成の詳細までも――文字通りありとあらゆる情報が詳らかにわかる。
そこになにが存在し、どんな景色が広がっているのか。電脳へのアクセスの深度によっては、実際に脚を運ぶ前にその場所を実感することが可能だ。]
[経済動向も、流行の流れも、各社が血道を上げて計算による割り出しにつとめ、その行方はある程度の誤差の範囲内で十二分に予測可能となっている。
義体の髪や肌の色、骨格のデザイン、流行は開発スケジュールに則った各社のプロモーション戦略によって数年先まで決められてゆく。
メガロポリス内の温度や気候は常に一定に保たれている。衛星によって張り巡らされた防空システムや都市を囲んで敷設された早期警戒網は、突発的な事故や外界からの攻撃を悉く阻んできた。
そこでは、不確定な出来事を生じさせる因子は徹底的に排除される。]
[俺たちは、訪れる前から既によく知っている場所へと常に進み続ける。世界が、未来が、あまりに遠くまで見通せるがゆえに、俺たちは常に予告のあとを引く残影として生きざるを得ない。
俺たちは“過去”の住人なのだ。――電脳化され隅々まで糸の巡らされたこの世界の中では。
俺は時折、そんな世界を無性に息苦しく感じる。
眼鏡を外し、電脳との接続を切り、予告されない世界をぶらつくことがある。完全に予想のできない出来事に遭遇することなど、ほんの僅かだ。だが、それでもそこになにかを期待する。
ひとしずくでいい。自分の知ることのなかったなにかが、心に波紋を投げかけることを。そこに、筋書きにはない、世界に予告されないものが生じることを――。]
[だが、都市-まち-を今、未曾有の災害が襲っていた。
この街全体が眠りにつくことなど、誰も予想できなかっただろう。
それでも――これは“何者か”によって起こされた事件なのだ。
指揮をした者にとってはあるいはこれもまた“予定調和”だっただろうか。
俺が、送りつけられた“手紙”についていた地図であまり人の居場所を確認したがらなかったこともまた、“糸”から自由になりたい――そんな生来の逃避性向の表れだったのかもしれない。]
― 理想郷<Utopia>/Closed:Morgan's Space ─
<<< ディ〜 リ〜 リリリラリリ〜 >>>
<<< リリリラリラ〜ラ〜 リリリ ラリリ〜 >>>
[ストリートオルガンの『夢のあとに』――。
不意に、よく馴染んでいる筈のその音楽が――意識の底で響いた気がした。手ずから奏でていないにも関わらず。
俺はいつか見た過去をまたなぞっているのだろうかと、ふと思う。]
――Helas! Helas! triste reveil des songes,
ああ、ああ……。夢よりの哀しき目覚め。
Je t'appelle,o nuit,rends-mois tes mensonges,
夜よ。私に、お前が形作ったあの人の幻を返してくれ。
Reviens,reviens radieuse,
戻れ、戻ってくれ。素敵な人。
Reviens,o nuit mysterieuse!
戻れ、ああ、神秘に満ちた夜――
[俺は夢の中に手を差し伸べる。
幻の輪郭をつかみ取ろうと。
だが、その姿は微光を散らしながらするりと逃げる。
明瞭な象を結ばぬままに。
幾度も、幾度も――]
―星幽界<Astral>―
[暗い]
[レベッカは目を開けた。]
【ここは、】
[重要な部分が、"わからない"。]
[理解した瞬間に、"master"の存在は消えているのだから。]
【PGM――"誰"からかは理解した筈だけれど。
"レベッカ"は、 終わった。
なら"わたし"は? 何故、動ける? 演算できる?】
[答えは己のうちにはない。]
――うた。
[停止した記録はある。]
[声が届くのは、*何故なのか*]
―― Utopia/Closed x Morgan's Space ――
ああ。まるであなた自身のようにこの流星は歪んだcodeに満ちている。――哀れな事だねえ。
[どれだけの時間が経ったのか]
[交響曲の調べが静かに流れる。小川のせせらぎのように緩やかに同心円の光として流れてゆく。指揮者を中心に半円を描く88の鍵盤は、Podium(指揮台)のように。]
歪んでいるのは。
[流れる光の同心円に従い、ジリジリと下がっていく。]
テメェだけには言われたくねェな。人のこと言えねェだろ。
[トライデントの先から、新たに複数の霊魂。
光とは逆の波紋を描き、流れていく。]
[左手の指をばらばらの方向に]
[黒と白の鍵盤を鳴らす/触れていない鍵盤の音]
今更の事を言われるとは。
褒めないでくれるかい。
だけれどね。
歪んだcodeも正しいcodeも等しく愛しているよ。
[戦場の場は拮抗する力の中心だけではない]
[至る所で隙を互いに狙ってもいる]
同じく、人もAIもね――…‥。
[此方が解析したと同じく彼方も解析されている事だろう]
フンッ…ならば、全力で俺を愛するんだなッ!!
[次々と感じられる「新手」の気配。
子宮より赤子が産み落とされ続けるが如く。
かつ消え、かつ結ぶ泡沫が如く。]
見えたッ!それが「子宮」かァッ!!
[第八<ホド>の後方から、霊魂が降り注ぐ。
鍵盤に向かって、怨念の流星群。]
愛した結果が
輪廻
[澄んだ美しい音を奏で88の鍵盤は呆気なく崩壊した]
[黒鍵/白鍵][宙に舞い、星が砕き、Dataの残骸は弾け、痕跡すら残さずに消え果てた]
―― bravo.
[霊魂の雨を回避しながら惜しみない拍手を送る]
――Mundane/中央部・あるビルの一室――
[工具を磨いて元の場所へと仕舞う。少し窮屈になったが、入らないことはない。手足の具合を確かめて、地図を見た。今のものと、記録されたものを]
動いてる……。どこに?
ま、いっか。なんにしても、エネルギー補給しなくちゃ。
[ポーチから携帯食料を取り出し、口へと運ぶ。フルーツの香りと、ゼリーの舌触りが心地よく]
──Central Tower/Basement (電波塔/基底部) ──
クソッ、駄目か……管制室まで行ければ楽に、と思ったんだが。甘かったな。代わりになる物は――
[辺りに素早く目を走らせる。非常用の連絡回線を見つけ、小型タップと携帯用端末を取り出した。ケーブルをバイパス接続し、アカウントハックによるシステムへの侵入を試みる]
── 理想郷<Utopia>/遊園地 ──
[Underには、旧世界を模した今となってはそれが何であったのかまったく見当もつかないPGM、廃墟郡が多数存在する──。
メインキャスト達の去った遊園地は、何故か誰かに啜り泣きが聴こえて来そうな錯覚に陥りそうな、言いようの無い寂寥感に満ちていた。
セシリアは、散らばる紙くずの中から、チケットを拾い上げる。]
ショーは終わった…のか。
グランギニョル(残酷劇)──?
[ショーの存在について口にした時のヴィンセントの暗い囁きを思い出す。ゆっくりと瞬き。]
── 理想郷<Utopia>/Closed:Morgan's Space ──
[マーシュ邸のガレージで、唐突にヴィンセントの車の後部座席に現れたように。]
ヴィンセント・キャロ。
センチメントの季節はもうおしまいですか?
[受動的防御PGMと攻撃性能動的防御PGM]
―― Möbius Ring & φ
[片方は、輝く捩れた三角形(トライアングル)の帯を指揮者の周囲に展開し防御を。片方は、輝く粒子で出来た渦/螺旋、黄金比率の矩形に従い内へ内へと全てのPGMを巻き込み、使用者に到達出来ないようにするPGMである。無限の渦の中に巻き込まれるのだ。それは、無限の渦≒相手のPGMへ高負荷を引き起こすものでもある。]
[φがMorganへ向かい、放たれた。]
― 理想郷<Utopia>/Closed:Morgan's Space - 車内 ─
[当然のようにその場にあった少女の姿に、男は微笑みかけた。
センチメント。
sentimental bus――
このバスの名前は少し物寂しさを帯びていると感じながら。]
――やあ。
ちょうど夢を見ていたところだよ。
[そうして、笑った。]
そういえば、前に会った時、聞いてみたいと思ってたんだ。
君は夢を見るのかなって――
[侵入の直後、サイバーアイの視界を覆ったのは頑強な防壁。
研磨された花崗岩のような、微細な罅の一つさえ見当たらないセキュリティが圧迫感さえ漂わせて立ちはだかっていた]
コイツは……さっすが、だな。
[思わず、音のしない口笛を吹く。が、一度目を瞑って、口にした]
……いや。こんなところで時間を食ってるヒマは無いんだ。
[呟いて、侵入設定を没入(ダイヴ)へと切り替える]
―→ Closed/Central Tower (専用領域/電波塔) ──
[馬に乗った騎士の姿をした光が向かって来る。
手に持つ槍が、「怪物」の頬を掠める。]
チクっとしたくらいだぜェ…だが痛ェ。
痛ェよォォォォォォォ!!!!!!!
俺、生きてるぜェ!痛みこそ実感だァッ!!
[光の騎士ごと、φを刺し貫く。
渦がトライデントを巻き込もうと。]
キくぜェ…最高の痛みだァ………。
[紅い火花を散らしながら、狂喜にむせぶ。
Siva―「破壊」の槍
巻き込みが減衰し、騎士の背中から
霊魂の柱が第八<ホド>に向かって伸びていく。]
お爺様、ずいぶん怖いお姿なのね。
[見覚えのない異形ではあるが、地図は師と退治する"怪物"が老人であることを示している]
これだけ派手な戦闘されてると確認のしようもないじゃないですか、師匠。
["NOE"展開][僅かな曇りに眉を顰める]
[手出しはせず、展開を見守る]
― 理想郷<Utopia>/Closed:Morgan's Space - 車内 ─
美しい夢が醒める時には、現実に帰ることが侘びしく感じられることがある。
君もそういう寂寞とした思いを感じることがあるのだろうか……と思ってね。
[少し寂しそうな口ぶりだった。
少し間を置いて唐突に――]
俺が犯人だよ――。
[と呟いた。]
― 現実世界<Mundane>/UGVワゴン車中 - 東部 ―
[UGVはネットワーク上の地図と位置情報を照らし合わせながら、定められた巡回コースを巡っていた。
どれほど経った時のことだっただろうか。
位置情報は東部区域にさしかかっていることを示している。
だが、男の意識はそこ―現実―にはない。
現実世界での状況を目視で確認できずにいる。
その場所が現在どういう場所となっているか、忘れている。
災害時には的確に反映される筈の道路情報は、システムの大規模なダウンによって完全には機能していない。
前方の障害物を探知する車載センサーはここへ至るまでも、路上に不正規に停車したままの車や落下した障害物などを正確に回避してきた。
だが、突如目の前にぽっかりと口を開いた巨大な闇に的確な対処することはできない。空間マップは未だそこに道があると表示し続けている。]
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