情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 8日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
[さすがに本職と言うべきか、仕事は早い。古ぼけた掃除機も器用に使う。ごみや埃はあっと言う間に減っていく。
ネリーは床に落ちている様々なものを拾い集める。その中に一つの紙――紙切れが。]
オリバー・メラーズ。「契約」…?
ナサニエルさんの名字は…確か私が子供の時に見た時はサイソンだったような…
少しいろいろ聞いてみたいわ。知ってみたい事がたくさん。
[一段落したらネリーはナサニエルに質問してみようと*思った*]
[落ち着かない様子のナサニエルをじっと冷静に観察していたが、ややあってブルーグリーンの瞳が真っ直ぐにこちらに向けられるのを見て、]
──ああ…。
なんだ。そのことか。
[得心がいったというように頷いた。]
最初に言ったろ。
俺がアンタに支払うものは、“もっともっとスゴい「取り返しのつかないモノ」”だって。
今になってビビったか? ……もう手遅れだがな。
……いったい、何があったんだ……
[ぼそりとひとつ呟くと、ナサニエルは震える声でギルバートに問う。]
思えばあの時からおかしかったんだ……。お前にこの家に連れて来られた時……いや、お前が俺に触れた瞬間、俺の頭ン中に、何もしてねぇのに「この世に無いもの」が……見えたんだ。ああ、そうだ。アスピリン――頭痛薬とアルコールだけで、「あんな幻覚」は見たりしない……!
最初は、朧気に誰かがぼんやりと見えただけなんだ。顔も分からねえし、まして誰だかなんて……。ただ、クスリきめた時みたいな……いや、それなんか比較にならない程に強烈なモンを見たんだ……
そしてギルバート……
お前とヤッた時に、俺は五感が狂うような……全てのことが、強烈にデカく響くようになった……。聴覚も、触覚も、全てだ。
[ナサニエルの瞳に、仄かに哀願の色が宿る。]
そして………
俺ン中で見えた「幻覚」は、日に日に強烈で、具体的になってンだよ……。昨日は、幻覚にボブみてぇなヤツが現れて、そいつが食い殺された。そして俺が、黒い影に……レイプ、された。
そいつ………ずっと、「ロティ」、って………!
[膝をついて床に落ちたナサニエルは、首を左右に振る。]
………いや。
[顔を上げ、安楽椅子の上で冷たい笑みを浮かべるギルバートを、前髪に半分隠された瞳で見つめる。]
後悔は、無い。
売れない三流小説家の俺が、芸術家よろしくクスリきめて追い求めていた「幻覚」が、容易く俺の手に入った。それは俺は構わねぇ……。
ただ………
俺は、この「幻覚」の正体が知りたいんだ。
[笑みは掌の上の雪片のようにすぐさま解け去り、冷徹な観察者の目に戻った。]
なるほど。そいつは大変だったな。
それでアンタは真実が知りたい、って訳か。
……アンタになら教えてやってもいい。
ただし、先にハーヴェイがここに来た時のことを教えてくれ。
アンタに何かしようとしなかったか?
ハー……ヴェイ?
[キョトンとした表情で、ギルバートの言葉を受け止める。]
ハーヴェイ……は。
俺に、あいつの兄がどうたらって話をして……。ヤッたかどうかっていう話をして……。
そして、俺の喉狙って鍵を突き付けてきた。
多分……殺そうとしたんだと思う。
結局あっちがブッ倒れて、何も怪我無かったけれど……。
…行こう、先生が心配する…
[何かを振り切るように首を振ると、そのまま自宅を出る。バンクロフト邸は少し遠い。近道を…昼でもやや薄暗い道であったが、そこを通ればやや時間は短くなるはず。恐らく、*夜までには──*]
ハーヴェイの兄ってのは自殺した双子の兄貴か。
アンタ、そいつとも契約してたのか。
ハーヴェイがブッ倒れたのは運が良かったな。でなきゃアンタ確実にオダブツだ。
[それがあの殺意か…と独りごちた。]
ま、ユーインも「契約」相手の一人だったけど……
[ギルバートの言葉に、小さく眉をしかめた。]
………って、「確実にオダブツ」?
あのひ弱そうなヤツに、俺が……殺される?
で、ハーヴェイの兄とどんな契約してたんだ。
いや、そもそもその兄貴ってどんなヤツだったんだ。
[胸ポケットから封を切ったばかりのマールボロを取り出すと、一本口に咥えた。]
ハーヴェイの兄……ユーインか。
あいつは、外ヅラは優秀だの何だのって評判だったけれど、中身は完全にセックスマシーン。自分の身体も他人の身体も、あいつにとっては「玩具」に過ぎねぇよ。
なにせ、「身体を使って俺と遊んで」って「契約」結んでたくらいだからなァ……。
[再びベッドの上に座り、頭を掻く。]
……だから、あいつが自殺した時には、「ああ、こいつまた『身体で遊んだ』んだな」……としか思えなかった。
──ありがとよ。
アンタのお陰でだいぶ欠けたパズルのピースが嵌まったよ。
で。
何でアンタがこうなったのか知りたいんだっけな。
説明してやるけど、今から話すことは他の人間には絶対に他言無用だ。
アンタが喋ったと分かったら、俺はアンタを殺す。
いいな?
[深く吸った煙を、軽く開いた唇から細く吐き出して、]
アンタが見たのは「幻覚」じゃなくて多分「事実」だな。
俺と寝たことでアンタの感覚は、以前とは比べ物にならないくらい鋭くなった。
お陰で、普通の人間には見えないモンまで見えるようになった……
まあそんなとこだ。
じ、じつ……?
アレがか?
……にしちゃあ、随分とファンタジックな……。
[ギルバートの唇の動きを見つめ、その言葉を捕らえようとしている。]
なんでそんな妙ちくりんな夢になったのは俺も知らん。
だが、その能力は恐らく前からアンタにあったモンだ。これまでは表に出なかっただけでな。
ところが俺とヤったせいで、それが急激に高まった。俺にはそういう相手の血に潜むものを引き出す……能力?がある。
──これで納得したか?
前から、俺に、あった……もの。
お前が、それを、引き出す……
[ギルバートの瞳孔に、自分の焦点を当てて呟く。]
お前………何者だ………?
俺が何者かって?
それ訊いていいのか?ナサニエル。
それこそ、取り返しがつかなくなるぜ……?
[ニィと唇の両端が吊り上がり、歪んだ嗤いを形作った。
琥珀の瞳の奥には──金色の光が瞬いている。]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 8日目 エピローグ 終了 / 最新