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もちろん、鍵は忘れてないだろうね。
[当然だ、というように彼は肯く。私は彼から鍵を受け取った。グッと握りしめる。その鍵は死そのものを司るように重く感じられた。安置所の錠に鍵を差し込む。微かに金属の擦過音が響き、錠が開いた。
私はユージーンに鍵を返した。
娘一人なら抱きかかえて運び入れるのに私一人でも不足はなかったが、彼女は透明の柩に横たえられている。トランクの台車を用いるよりは手伝ってもらった方が話が早かった。
ユージーンにその旨を頼むと、快く片側に手を携えてくれた。]
[どうしてここに来てしまったのだろうか。
あんな人間に興味などはないのに]
ここ……
[見上げた古臭い二階建ての─ナサニエルの─家。
つきん、と軽い頭痛が走ったが、それ以上に二日酔いの頭痛にかき消され、それは感じることはなかった。
自分は何故ここがナサニエルの家だと知っているのだろう。
何よりどうしてここに来てしまったのだろう。
本来ならば気が付く疑問だったが、今脳はその機能の半分を放棄していた]
[彼にしては珍しく、肉欲の宴に後ろ髪を引かれる思いを引摺っていた。もし可能ならば、このままもう一度、あの夜を思い出し、自身の手で――とも思ったのだが、虚しくなるだけだと感じ、止めた。]
[彼が後ろ髪を引かれた理由は、単純にギルバートの肉体の魅力というだけではない。あの夜、ギルバートに触れただけで鋭敏になった五感。そして、幻覚や幻聴――アルコールとアスピリンだけでは絶対に見られるはずもないそれを、ギルバートの身体に触れ、交わるだけで、いとも容易く「視る」ことができたのだ。しかも、クスリよりも遥かに極上のそれを。]
[シャワーを浴びる。
水滴の動きが、いつもよりスローモーションに見える。もしかしたら、ギルバートが彼に与えた「幻覚」はまだ残っているのかもしれない。]
[服を着込み、寝室を片付けると、ナサニエルは再び書斎へと戻っていった。]
……?
[知っている。この家を。何故?分からない。
記憶のもやが邪魔をしている。
何か、見たくないものだったのだろうか?
別に大した接点もなかったナサニエル。
近づいたものの、どうすることもなく通り過ぎようと振り向きかける。
その瞬間、目の端に何かが写った]
[書斎の簡易ベッドの上に座り、いつものようにメンソールの煙草を咥える。紫煙の向こう側を覗き込むように、男の瞳孔はぼんやりと開いている。]
[煙の中には、鏡の前に立つ金髪の少年が居た。鏡の中に手を伸ばし、優しく触れ、鏡像の身体を撫で回している。
――が、次の瞬間、鏡の中の人間が突如「獣」に変化し、金髪の少年の身体に牙を突き立てる。背中から、腹から、血を噴き出して悶える生身の少年。服はみるみる血の色に染まり、四肢は何かを掴もうとして空中を虚しく動いている。]
[鏡の向こう側の「少年」は、恍惚の笑みを浮かべながら少年の肉を食らい、血を啜っている。口許を真っ赤に染め、ニヤリと笑うそれは、化け物と言う以外には無いだろう――]
[ナサニエルは、鏡の中の「少年」に食われる少年の顔を注視した。苦悶するような、極上の笑みのような――とてもではないが、区別はつきそうに無かった。
やがて鏡は少年を飲み込み、極彩色の光を放って何処かへと消えていった。]
…………………。
[ナサニエルはぼんやりとした表情で、幻覚に魅入られている。いつの間にか彼の男性器からは、白濁した液体が静かに流れ落ちて居た。]
[白濁した液体をズボンの中にだらしなく零しながら、ナサニエルは焦点の合わぬ目を窓の外に向ける。]
…………………?
[視界に、栗色の髪をした青年の姿が入ってきた。]
―安置所・内部―
[闇に慣れぬ私の目に、中の様子は判然とはしなかった。勝手の知らぬ私にはどこが安置すべき場所なのかも定かではない。
躊躇いを察したかのようにユージーンが柩の向きを示し、彼の導きによって柩を置くべき場所を察した。
そこに新たな神像を据え置くように、恭しく柩は所定の場所に安置された。
私は、上蓋を仮留めしてあったテープを叮嚀に剥がした。]
…っ!
[視界に入るのはナサニエル。見てもすぐに見なかったことにすればよかったのに、何故か目が離せなかった。
彼の行為に見入ってたのではない。
当然、まさか人目に付くような所でそんな行為をするとは思わなかったという驚きもあったが
─以前にも同じようなものを見たことがある─
デジャヴュが目の前に閃いた。]
ユージーン。
頼みがある。
しばらくこの場所に居させてくれないか。
[ユージーンの瞳が揺れた。あまり例のない要請だったに違いない。
長く渋っていた彼だったが、懇願に近い語勢の強さに、漸く肯いた。ただし、いくつか手順を守るようにと言い置いて。
まず、鍵は貸すことができないこと。そして、私がここに残る間も外側から鍵はかけていくということ。
気が済むだけ別れを済ませたなら、扉を開け呼ぶように。その時近くに居るなら、戻ってきて元のように鍵をかける。
扉の開け方がわからない場合、長い時間がかかった場合、いずれも一定の時間が経てばこの場所に戻ってきて私の所在と鍵の状態を確認する。]
[私はユージーンに礼を言った。
彼はその場に残る私から遠ざかり、扉の方へと向かってゆく。
やがて扉が閉まり、錠が下りる金属音が響いた。
私は闇の中に取り残された。]
[窓の外からこちらを見ている青年は、ひどく怯えた様子で居た。他人の家を覗き見しながら怯えるとは珍妙な話だが、ナサニエル自身もカーテンを開け放したままでそのような「行為」に耽ってしまったのだから、致し方の無い話である(つまり、彼はあの夜から続いている余韻を振り切ることができなかったのだ)。]
………誰だ?
[ナサニエルは窓を開け、目を細めて外にいる青年を見やった。上から下まで、舐めるような視線を這わせる。]
お前……は………!
[姿形に見覚えがあるな…と思いながら、ナサニエルは頭の中の記憶の引き出しを*漁り始めた*]
―安置所内―
ロティ……
[ガラスの柩に横たわる眠り姫を王はゆっくりと抱き起こす。
各地に伝播する眠り姫の類型譚を思い浮かべた。
老婆の紡錘に刺され眠りの呪いに落ちた眠り姫。彼女を再び目覚めさせるのは、男の深い情愛と婚姻の証だった。
ニーベルンゲンの指輪――父ヴォータンに炎の垣に閉ざされ眠りの呪いに囚われたブリュンヒルデ。ジークフリートは彼女の桎梏となる甲冑を脱がせ、口吻で眠りより目覚めさせる。
父親としてシャーロットを守ることができなかった私だった。父親としての枷を越えて、一人の男、一個の魂として彼女を求めていた。]
[柩を床に置き、抱き上げたシャーロットをゆっくりと台座に横たわらせる]
ロティ……目を……
目を開けてくれ――
[再生の祈りと共に、唇を重ねた。
どれほどの思いをこの一瞬までに重ねてきたことだろう。
永劫とも思えるほどの日々を経て幾層も積み重ねられた、胸苦しいほどの愛情がその口吻に注ぎ込まれた。]
私を置いて行ってはいけない。
君が居なければ生きていけないんだ。
ロティ……
そばに…
いつまでもそばに居てくれ――
[いつしか双眸からは泪が滾々と溢れていた。頬に、額に、唇に。口吻を重ねてゆく。熱い泪の伝う頬がシャーロットの肌に触れた。
唇は奇跡のように美しくカーブを描く耳朶を辿り、儚く撓る首筋を舌が伝った。]
[指先は探るようにブラウスの釦を辿り、一つずつゆっくりと外してゆく。鳩尾がくっきりと窪み、臍にかけて柔らかな溝となって落ち行く腹部が曝け出された。
ピンと張り詰め弾力のある手触りを愛おしむように掌が辿る。
脇腹からなぞった指がレースのブラジャーに触れると、隙間から滑り込むように柔らかな双球を揉みしだいた。ずり上がったブラから瑞々しい果実が零れ落ちた。淡く色づく先端を唇が吸い寄せ、味わい尽くすように舌が這う。]
美味しいよ。ロティ
ああ……綺麗だ……
[闇に微かに順応した瞳には、彼女の肌がぬらぬらとぬめりを帯び淫らな輝きを帯びて映った。]
[いくつもの襞となり折り重なったスカートは、前人未踏の密林のように行く手を阻んでいる。
愛おしむように膝の内側に口づけると、指で優しく撫でさすりながら奥へと目指した。サラリとしたシルクのストッキング越しに、きゅっと締まり張り詰めながらも柔らかな曲線を描く腿の感触を堪能する。
ストッキングの縁に辿り着き、しっとりと吸い付くような柔肌に触れた刹那、戦慄と高揚が背筋を突き抜けた。
シャーロットの神秘の泉を秘めやかに覆う薄いレースのショーツを静かに下ろしてゆく。そっと片足から抜き取ると、もう片側にかかったままに跪き、谷間に咲く花弁に唇を這わせた。]
ぴちゃ……
……くちゅ……
[粘りを帯びた水音が深閑とした晦冥の中に響いてゆく。
謎めいたリドルを一つ一つ解き明かしていくように、舌先は密やかな花片の襞の一つ一つを丹念に辿った。
怺えきれずに零れた熱い吐息が花冠をそよがせ、鼻先は襞の重なりの収斂する包皮を押し上げる。外気に触れた小さな宝玉を唇が吸い、舌先がふるふると震わせた。
私の昂ぶりはというと限界にまで張り詰めていた。ジッパーを引き下ろしボクサーパンツの開放部から引き出すと、トラウザーズの中で出口を求め喘いでいたそれは勢いよく外に飛び出した。]
[ポケットから先程バックの化粧ポーチから出しておいた香油を取りだし、脈打つ屹立に塗り広げる。彼女の鼠蹊部に導かれた淫欲の哮りの先端は妖美を湛え吸い付くような秘唇を割り開いた。]
ロティ。ひどく痛かったら済まない。
[むしろ、シャーロットが痛みを感じてくれれば、目を開けてくれればと願いさえしながら。ゆっくりと強張りを沈めてゆく。先端に触れた純潔の証の抵抗に背筋が震え唇が戦慄く。
目を閉じ、両腕の中にしっかりとシャーロットを抱きしめるとゆっくりと押し進めた。]
[シャーロットの中に熱を収めながら、私はしばらくの間動かぬままでいた。何度も彼女の唇に口付け、腕の中の彼女を撫でさすった。
そうすれば私の持つ熱が伝わるとでもいうように。]
愛してる。ロティ……
目を醒ましてくれ。
私の元に戻ってきてくれよ
[言の葉が零れると耐えきれなくなり、私は嗚咽を漏らしていた。泪が溢れ、慟哭が喉から迸る。
私はシャーロットに縋り付き、大声で泣いていた。]
[ひとしきり泣き終え悲歎の波が遠のくと、ゆっくり腰を動かした。
髪を優しく撫で、抱き寄せる腕が背中をなぞる。
何度も訪れた波のような欲情の昂ぶりが一際高く登り詰めた頃。シャーロットの首筋に噛みつくようなキスをしながら、深い泉の内奥へと生命の息吹を注ぎ込んでいた。]
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