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>>85
あぁ、いいよ。…もう俺には必要ない本だし。
俺さ、ただ終わったり分かれたりした後の虚しさを感じたくなかっただけなんだよね。
お前らと思い出共有するのを逃げたかっただけだったんだ。
こんなんだったから、人も好きになれなかったけど…人って変わるもんだな。
あんなキスでコロっとかわっちまう。
[ふとギルを見やり]
なんでこんなに好きになれるんだろうな。
なんで今まで知らなかったんだろうな。
[最後はやや自嘲気味だったけれども。向き合い、背伸びして口元へキスを送る。しっかりと目を合わせて、今度こそちゃんと伝えた]
好きだ。ずっと、そばにいてくれな。
あ、大丈夫、です。今は。
[自らを支えるラッセルに、ぺこりと頭を下げて。
最初は遠慮していたものの、好意に甘えることにして]
……い、いや、おれはなんにも!
[耳に入ったクインジーの言葉に、慌てる]
[体が享楽を求めるのは自分も同じで]
[だからと言ってこの場所に留まるつもりは更々無いのだけれども」
脱出…でしょうね。ナサニエルさんとギルバートさんが…頑張ってくれたのでしょね、きっと。
[離れる体には僅かに名残惜しさを]
[そして求められる約束には、一つ頷き]
出来るだけ…近い内に…
[手渡された服に身を通して。]
[怠さを押し殺して立ち上がり――]
さぁ、広間へ向かいますか?
[ふわりと微笑む]
[...はギルとともに広間へ。ここにくればあの2人ともきっと落ち合えるはず。
使用人とはすれ違わなかったが、おそらく気取られている。急ぐ必要がありそうだ。少し苛苛とはき捨てる]
2人とも…どこで何をしてやがる…
[無言でナサニエルの話を聞きながら広間へと歩き。
不意に受けた口付けと、言葉。
暫く悩んだ末に、漸く口を開いた]
…俺は、さ。傭兵だから何もかもが金次第なんだよ。
んでもって、遂行の為なら結構何だってやることになる。
ついこないだまで仲間だったヤツだろうが、殺すことになったりもした。躊躇う暇もねぇ。
躊躇ったら俺が殺される…仲間だったヤツに。
だから…特別な感情全部、捨てようとしてた。
実際捨て切ってたよ、ここに来るまでは、さ。
[浮かぶ笑みは苦笑のような、自嘲の色]
不覚だぜ、こんなに大切になっちまうなんて。
全員無事にここから出たいとか思っちまうなんて。
…ずっと、一緒に居たいって思うヤツが出来ちまうなんて。
[此方を見るナサニエルの頬に口付けを返して]
…嫌だって言ってももう離れてやんねぇよ。
覚悟しろよな?
[くく、と笑う。楽しげに]
……ラッセルは若しかして、連れて行かれてたか?
[首を傾げ]
そうだな。
じゃあ……行こうか。
[服を着て、立ち上がった彼の手を取る]
……無理せず、つかまってろ。
[...は広間へ入ってきた2人を確認し、更にハーヴェイの首筋に目立つ紅を見つけると何かいいたそうにため息をついたが]
…わかってると思うが…脱出口を見つけた。
気を使われたら…逆にこっちが恐縮しちゃいます。
それに…求めることも出来なくなるでしょう?
[そっと囁いて]
[広間の中へと足を運んだ。]
[何時も使用人や召使の一人は居るだろう広間。
何故か今日は一人もおらず]
待つしかねぇ、か。
[誰か居れば居所も聞けただろうに、とぼやいて]
[其処へ、聞き覚えのある声]
よっす。
何だ、二人一緒だったのかよ?
[ケネスとハーヴェイの様子に小さく笑った]
正確には見合い会場までの隠し扉だな。
実は屋敷以降の逃げ道はクインジーと協力することになっているが、バラバラになると面倒だし途中に仕掛けもかなりある。
どうも使用人どもには感づかれてるようだから、早々にお暇することにしようぜ?
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