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『──ぐるる』
[ドレスの内で、獣が唸る]
……ディー?
[訝しげにドレスの裾を見遣り、撫でる]
『ぐるる』
[それでも獣の唸りは留まらず]
[一際高く鳴り響く警告と同時]
──SYSTEM:Servant Fang was started automatically.
[黒い獣が彼女を護るように現れた]
『ぐるる』
[獣は大通りの一点──彼女の背後に唸る]
[指先が動く]
──COMMAND>Absolute A/B /activate /mode -B
[獣の唸る先に視線を投げつつ、コマンドを打つ]
[狭い裏通りから大通りへと走り出る人影]
────何よあれ!?
["それ"を表現するならば、腐食したクラスタで出来ている人間、とでも言えばいいのか]
[どちらにせよ、通常"ここ"で行われる戦闘で負う負傷の類では無いように見える]
『ぐるる』
[獣は依然警戒の唸りを止めない]
[Harveyの上空の屋上に着地した瞬間に、クピドが二人へ焔を放った。Irvineのdate(Lutherには人間用視覚ソフトがない)は激しく波打っているように視えた。文字列はAttackした時やウィルスに侵された時とは違う崩壊の仕方を視せている。]
くっ、問答無用か!
[その上空に突如現れた男性が焔を放つのを確認した瞬間に、回避行動へとスイッチする。意識内では素早くT09およびT22を発動し、高速回避行動を実行する]
−くっ。
[行動が遅れているその女性も視界に捕らえている。t-22を発動したときに軌道上にその女性PCを捕らえ、同時に吹き飛ばすようt-09のマクロアクションをセットする。こうすれば人間でありながらも高度な高速行動は可能になる。勿論、その反動はherveyの中の人間に重くのしかかることになるが]
あまり疲れることはさせてくれるなよ!
[その軌道に残像を残しながら、高速移動を慣行する]
[頭上から放たれた焔は、彼女に到達する手前で透明な障壁に弾かれ、四散する]
──うるさいわね、今度は何。
[見上げると、はためくストラが認められ]
──COMMAND>Grid Jammer /activate /Scale -s
[仕返しとばかりにタスクからGrid JAMを呼び出して投げ、視線を"それ"に戻す]
『『Sanctus Sanctus Sanctus』』
[合わせて謳うTwinsを従えて、二人を無表情に見下ろしている。Irvineの動きを計算して、一つと二つ、焔がIrvineへ向けて放たれた。]
!?
[開始する直前に、その女性にフィールドが発生しているのを確認し、あわててt-09を解除し高速移動のみにシフトする。軌道もそらし、とりあえず自分の回避に全てを傾ける]
・・・・・・
[高速移動を済ませ、先ほどまで居た場所を焔が貫くのを確認すると同時に、その後空中に浮かぶ男性のPCから放たれた先に、明らかに不自然な破壊をされたキャラクターを確認した]
くっ、尋常じゃないな。一体どんなプログラムを使用しているんだ。
[起動中のAbsolute A/Bは傍らの男のマクロも同時に弾き返し彼女のアドレスは一定]
[歌う双子の放つ焔が腐食したクラスタを灼く様を眺め]
──COMMAND>Absolute A/B /modechange -A
[プログラムの絶対領域が"それ"から流れ出るコードを拾う]
[Lutherは睛を瞬かせた。]
Kyrie, eleison.
Entry Name:Irvineは、会話内容の対象と判別は不可能ですがmemento moriと洩らしていました。
[彼女はストラを揺らめかせて降り立った男へ向き直り]
随分なご挨拶ね。
育ちの良いプログラムだこと。
[Grid JAMに意識の指をかけつつ言う]
──memento mori?
[彼の言葉に、コードをシールしたアーカイブを見る]
[傍目には、水晶に閉じ込められた01の羅列]
[帽子を引き下げ目元を隠す]
その通りです。尤も、このゲームにmemento moriが感染したか、それとも参加者に感染者がいるかは知りません。要領を得ない会話内容でした。
──いいえ、あれは警告だった。
memento mori だと。
参ったな、そういうフィールドだったのか。
[それよりも厄介なのは目の前の男性PCだ。口調からするに、中身が人間だとは思いがたい。コードまでは確認していないが、このままだと無作為に攻撃を始めかねない。
女性の出方も見たい所だが、あまり余裕はなさそうではある。t-22とzeerofieldを準備し、様子を見る ]
memento moriにゲームか、もしくは参加者が感染した、と言うわけね?
……詳しく、話していただける?
実は、ここからのLogoffすら出来なくなっているのだけれど、貴方のデータには何かあるかしら。
――Under/Boulevard (廃棄領域/大通り) ――
[狭い路地を黒風が駆け抜けた。石畳から天蓋までを埋め尽くしていた網目模様の防壁は侵食され腐敗して崩れ落ち、その奥に潜む主を浮き立たせた。右手を下ろすと同時に対象の正確な座標を検出、最短距離を疾駆する]
チェックメイト、だよ。spider。
[八本の節足を持ったアイコンが危機を悟り転移の処理を開始する。だが其れよりも早く、短く跳躍して真紅の刃を突き立てた]
――17体。大体片付いたかな。
私の本質と逆らいますが…。
[手袋の間から睛を覗かせる]
私の目の前に唐突に現れたので、内容は先程聞いた通りのものです。私が、Irvineの会話内容memenot moriの対象はゲームか参加者に絞られると判断しただけなので…
【この人はAI製作者だろうか?】
今の話から判断すると、少なくともルール変更されていない限りはゲーム自体が変質してしまったようですね。
・・・・・・
[刹那、行動を停止しぼうっとしているように見えたがすぐ戻り]
本当だ、確かにlogoff出来なくなっている。
これはとんでもないパーティに招待されてしまったな。
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