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[よく覚えている。雑貨屋でシャーロットが衣服をたくさんつまんだし、自分も身に纏ったので体型もはっきりと判る。一方の短い癖毛の子とは違う、もう一方の流れるブロンドの子だ。ネリーは駆け足になっていた。]
待って、ウェンディ…!
[ウェンディと目があったような気がした。彼女は不気味に恍惚の笑みを振り撒いているようでネリーはドキッとした。思わず2歩3歩後ずさる。彼女はこんな子だったか。
いやリック、対して彼には生気は感じられない。これでは逆ではないか。
いつだってリックがウェンディを抱えているような双子だったではなかったか。]
リック……どうしたの?
[双子の兄を悠々と抱える少女まであと数歩の所まで近づいた。相変わらずリックはぐったりしている。ネリーはリックに視線を移した。
外傷はなさ……と思ったが一転、彼の首に数本の痣のような跡が…まさか…もしや…
そんなはずはない。ウェンディはリックを愛しているし、そもそも腕力の差が不可能を物語っている。だが……]
ウェンディ、リックをどうするつもりなの…
[荒れた地の上で対峙する二人。先に動いたのはウェンディだった。]
[ネリーはリックを抱えるウェンディを追いかけた。走った。靴がずれるのも構わずに追った。
しかしどうしてだ。追いつくどころか……]
どうして… リックを抱いてるのに、離される……!
ウェンディどうして!
[やがてウェンディの姿はみるみる小さくなり、終に見失ってしまった。おそらくもう息をしていないリックと共に――]
はあっ、はあっ……リック…ウェンディ…!!
[ネリーは膝をつき、へたり込んだ。息が大きく乱れて、
あまりの混乱振りに思考が止まっていた。]
リック――!
[何分、いや何十分かかったであろうか。半ば動けなくなっていたネリー。
呼吸が元に戻るのと同時に、思考力も落ち着いてきた。
その落ち着きが、ひとつの言葉を生んだ。]
しまった――ここはどこ――?
ステラ、いいわよ。
でも、どこに触れたいの?
わたしの顔?
わたしの胸?
わたしの背中?
それとも、わたしがいま触れているここと同じところかしら?
[ローズマリーはステラに向かって少し意地悪く微笑んだ]
[やがて。
内部を抉るナサニエルの動きがより一層余裕のない、素早いものに変わっていき。
遂に、その欲望の色をギルバートの体内に注ぎ込んだ時。
彼もまた、同じ灼熱の白を激しく迸らせて*果てた。*]
[そしてその夜。
アーヴァインが、ここ、ユージーンのいる事務所(兼作業場兼住居)に担ぎ込まれてきた。
彼とは今日の午後会ったばかりだというのに、すっかり変わり果てた姿になっていた。
たまたま彼を訪れた町民が、二階の一室から煙が出ているのを発見して、慌てて何とか火を消し止めたところ、焼け焦げた死体が転がっているのが見つかったのだと言う。
しかし、この遺体が本当にアーヴァインであるのか、それは分からない。遺体はすっかり皮膚が焼け焦げていただけでなく、バラバラに解体されていたからである。単に屋敷内で見つかったから、そうと推測できるだけだ。]
[彼はそのバラバラのアーヴァインをそれなりの形に調えて安置所に収容した。
安置所を出る間際に、入口近くの壁に記された文字に目を走らせる。]
As o’er the cold sepulcher stone
Some name arrests the passer-by;
Thus, when thou view’st this page alone,
May mine attract thy pensive eye!
...
[ユージーンはその詩句を呟きながら、安置所の扉を閉ざし鍵を閉めた。]
――酒場アンゼリカ 地下――
[わたしは右目が見せる過去の映像に戸惑いつつも、しかし拒む事無くその事実を受け入れていた。いや、受け入れるしかなかったというべきだろうか。]
[ローズがわたしに熱い吐息越しに何かを囁く。その声は左耳では彼女の声と認識するも、右耳ではバートの声に変換される。
彼女がわたしの肉厚の素肌をなぞる感触は、半分は彼女の指であり、半分はバートの指に変わった。実際彼がこのような愛撫を行っていたかはもう記憶には無かったけれど、しかしわたしの躰はあったものと認識する。半分ずつ味わう快楽。同性として。異性として。感じ方は同じ。しかし心は真逆に揺れ動き、やがて挟間が生じる。]
[わたしは挟間を埋めようと、再びローズに快感をせがむ。しかし求めれば求めるだけ溝が深まっていきそうで軽い混乱を覚える。
さぁ、わたしは今、男と女どちらに抱かれているの?]
いじわる…触れたい場所なんて…あなたが一番よく解っているくせに――
[わたしは見透かしたような笑みを浮かべるローズに、唇を軽く尖らせて文句を言った。
彼女が触れて欲しい所は解っているつもりだった。でもそれを避けて通るのもまた面白いかと思い――]
じゃぁ…まずはあなたの顔に触れさせて?
あなただと…わたしに確認させて?
『そうしないと、わたしは一体どちらに抱かれているか解らなくなるから…』
[言えない言葉は口内で弾ける]
[ローズマリーはステラの顔に自分の顔を寄せた]
ふふっ、これでいいかしら?
[ローズマリーの右手はステラの下腹部の柔らかな草原をさまよっている]
[混乱を覚える頭の中で、私は左目を使って必死に現実を把握しようとする。
しかし右目を使おうとすると同じように左目も動き出し、わたしは夢と現の区別がつかなくなる。]
『一体どっちなの…教えて?ローズ…、バート――』
[わたしの口内は言えない独り言で膨れ上がる。息苦しさを感じる。でも今口を開いたらわたし、何を言い出すか判らない]
えぇ、そう――
だからもっと触れさせて…綺麗な肌を――
そしてわたしに触れて、刻んで?あなたの歩く道筋を…
[近付いてきた顔に啄ばむような口付けを。でも唇へは触れない。それは娼婦としては禁忌だから]
ステラ、かわいいわ。
でも、なんでそう苦しそうにしているのかしら?
[ローズマリーは一瞬、眉をひそめ、優しくその唇を吸う]
なにか、辛いのかしら、ステラ?
[ローズマリーの指先はステラの茂みをかきわけ、ステラの敏感な突起にたどりついた]
―アトリエ・作業場―
[冷媒の敷き詰められた透明の柩の中にシャーロットを横たえ、彼女をどうすべきかしばしの間肺肝を砕き熟考した。
私には脈拍が既に停止している彼女を、医学的に蘇生させる技術がない。
だが、放っておけば腐敗し朽ち果ててしまうことだけは確かだった。
アトリエと倉庫には、造型に用いる接着剤や樹脂といったありとあらゆる素材が揃っている。彼女の体組織の一部をこれらによって置き換えることで、半永久的に遺体を保つことは不可能ではなかった。
だが、私はその手法にも躊躇いがあった。
私は彼女を“型取り”したいわけではない。生きていた時には及ばぬ状態を半永久的なものとしたところで、どれだけの価値があるだろう。私はそうすることでシャーロットを“殺して”しまいたくはなかった]
[思わず開いてしまった唇は、しかし相手を特定する言葉は紡ぐことなく。わたしはひとまずほっと胸を撫で下ろす]
『でもこの感覚は一体いつまで続くの…?』
[試しに目を閉じてみても結果は同じことで。わたしは半分ずつに分かれた体を何とか繋ぎとめている状態で与えられる快感に酔いしれていた。]
[私はひとまずラング牧師邸まで車を飛ばし、様々な医療品を持ち帰った。
その足で墓地を管理するユージーン・アンダーソンの元を訪ねる。そして、娘の死の事実とその安置に関する要望を伝えた。彼は、指定の時間に安置所前で待っていると約束した。
作業場に戻り再びシャーロットを柩から出すと、持ち帰った極細の糸で創傷を縫合する。傷が目立たなくなった彼女は、今はただ眠っているだけのように見えた。
ミント、立麝香草のエキス、ミルラの香油を肌に振り掛け、まんべんなく塗り広げていく。潤いが長く持続するように。そして祈りを込めた儀式であるかのように。]
―アトリエ・シャーロット自室―
これは……
エリザ…の……?
[なぜここにあるのだろうか。見慣れぬものがそこにあり、私は微かに首を傾げた。シャーロットの服を取りに彼女の部屋に足を踏み入れた時、それは彼女の机の上に広げられていた。
どこへ置いたのか、その存在すらも失念しかけていたエリザの黒表紙の手帳だった。
近づき、インクで綴られた文字を指先でなぞる。所々不自然な滲みがあった。眼裏に焼きついて離れない、シャーロットの儚げな泪に濡れた表情が重なった]
ロティ……。エリザ…
[手帳と共に机の上には、町内の地図]
……ナッシュ。
ナサニエル・サイソン――
[地図の印が示す家。私は呟いていた。
私は地図を折りたたみ、手帳と共に持って行くことにした。後でその内容を吟味するために]
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