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>>42
よくあること…貴族の、お遊び…
[――まさか、他人に買われてから、これを強制されるとはね……
ローズマリーの呟きが、俄かに現実味を伴って耳から入り込んでくる。
大金でもって貴族に買われていき、気狂いじみた仕打ちに耐えられず死を選んだ身寄りのないナイジェル]
ばか、な…
[呟いた声は掠れていたのかもしれない。
自分の耳すらうまく届かなかったから]
[その耳が、今まで聞くことのなかった鈴の音のような声を捉える。
主を探して恐る恐る、目を彷徨わせれば――]
ナイ、ジェル?今のはおまえが…?
[だが少女は頭を抱えてしゃがみ込み、華奢な肩を震わせているだけ]
[緑の少女に名を呼ばれるも其れはまるで自身を確認されている様で脅え紫水晶は揺れ]
「私は、セシリアじゃ、無い
誰も、傷つけたり、しない」
[男の声に泣き出しそうな顔のまま振り返り首を振り]
「違う、私じゃ、無い
私は、セシリアじゃ、無い
誰も、傷つけたり、しない」
[繰り返して蹲り]
[ローズマリーの言うとおり、これはゲームなのだろうか。 私は無理矢理にも舞台に上がらされてしまったのだろうか。ネリーは自問自答する。]
>>48
私はこれを、――やってきた?
[視線を釘で打ち付けられたように、平然と甘い息でそう言ってのけたローズマリーから目を離せずに]
あんたは今まで、何度も似たようなことに巻き込まれて…
…そして、生き延びてきたって?
[彼女が声に出す3つの言葉は、身を竦ませるには十分なもの。
――今にも侵食してこようとする、狂った現実]
褒められたことじゃない…どころか、それどころか…
許されるもんか、こんなことが、許されてたまるか!
[吐き捨てるように言いぶんぶんと首を横に振って、それでもやはり叫び出したくなるのを堪えながら、頭を抱えて震え続けるナイジェルを見る。泣き出しそうな顔で振り返り首を振る少女に、悲痛な声で]
わかってる…わかってるよ、おまえが誰かを傷つけたりするもんか
……――
貴女は傷つけない。大丈夫。――大丈夫。
[わからなくて
呪文のように。たいせつなことばを。
ナイジェルの傍に歩み寄り、しゃがみこむ。]
だいじょうぶ。だいじょうぶだよ。
[――繰り返す。]
[視線をナサニエルに戻せば、ええそうよ、と平然と。]
こんなに大規模なことはしてないけどね。
全てを2つのサイコロが決める、盤上の遊戯――。
[巻き込まれた、という言葉にはゆるゆると首を振り]
自らやってきた、と言えば――あなたは信じるかしら?
[趣味嗜好の話のをした日の1コマ。紅茶とお酒と……毒が好きだ言ったときと、同じトーンで問いかける。]
――ほら、菫の姫君が震えてるわよ。
[とりあえず落ち着いたら?と足を組んで。]
[残された紙切れ。それを読めば読むほど気分は悪くなり。これは現実ではないと言うようにふるふると頭を振り。周囲に視線を向ければ混乱と恐怖が場を支配していて。自身ももはや何が何だか分からない状態になる]
[この場に居ても何も出来ない自分が歯がゆく、情けなく。何より自分のことで手一杯になりそうな自分が居て。この場に居て他に手を煩わせては、とソファーから立ち上がり、何も言わず、何も言えず、黙って広間を後にする]
[くすくすと嗤い声は男に対してか青の少女に対してか]
…本当にそう思う?
此処に居る亜種――人狼を殺さなければ、出れないのに、誰も殺さないと?
大人しく、殺されると?
[立ち上がりぐるりと広間に居る者達を見て]
冗談じゃ無い!
[吐き捨てる様に囁く声すら愛らしく]
私がどれだけ望んでも掴めなかったものを、ナイジェルはやっと手に入れたの。
人狼も被害者だし、気の毒だとは思うけど――
――殺すわ。
仮令、其れが、ナサニエルであろうと、シャーロットであろうと。
[男を、少女を、名を紡ぎながら見詰め、嫣然と微笑む]
…っは…。
[自室に駆け込めば扉を背に座り込み]
ここに集められたのは……こんなことをするために……。
[膝を抱え込めば顔を埋めて。きつく目を瞑り、込み上げる不快感を無言で*耐え始めた*]
[ネリーは誰にと言うこともなく、ひとりごちた。]
私はいつも殺されそうだった。殺されるぐらいならいっそ――とも考えた。でもそれは出来なかった。
ううん、殺すくらいならいっそ――と言うのかしら。 …こう考えてしまうのって、間違ってるのかしら。正しいのかしら?
[女へと視線を移し]
お生憎様、私ならこの通りよ?
[小首を傾げ]
愉しそうね、ローズマリー。
命を賭けなければ生きてる実感すら持てないの?
[緑の少女の言葉ににっこり微笑んで]
じゃあ――ナイジェルの変わりに死んで?
[牧師に続いて部屋を後にする修道女を横目で見、今更食欲が出てきたのか半分ほど残っていたロールケーキを一口含む。]
――それが姫君の本性?
あなたが、ナイジェルが否定し続けた"セシリア"――?
二重人格――というヤツなのかしら。
実際に見るのは初めてだけど。
[感情が昂ぶっているものには嫌味なくらい冷静な声で。]
>>63
[しかし慈しんだ少女は――
――いや少女とは違う何かが、嗤い声をあげて吐き捨てる]
ナイ……
…いや、おまえが「セシリア」なのか?
おまえがどういう存在だろうと、愛らしくその口で語る声すら本当は、ナイジェルのものじゃないのか…
…同じことだよ。
おまえが死ねばナイジェルも死に、おまえが殺すことがナイジェルの手を汚すことに繋がるなら…
オレはおまえを殺さないし、殺させもしない!
人狼を殺さなければ出られないだって?
わからないだろう…
[...の声は静かで、決意を込めた目は周りの人間でも、嫣然と微笑むナイジェルの姿をした存在ですらなく、屋敷の窓へと向けられた]
……ナイ、ジェ、ル……
[嗚呼。目の前で豹変した彼女は一体、誰?
何処かで見たことがある。
あの白い病院だ。
複数の性格を持った人。――解離性同一性障害]
殺すなんて、
そんなの、
否
貴女が殺されるなんて
わたしは、厭。
―――ナイジェル?それとも、セシリア?
何が憎いの?
気安く私の名前を呼ばないで、呉れる?
[溜息にも似た吐息を零し、女がロールケーキを食べるのに机へと視線を落とし、傷だらけの手はロールケーキへと伸び、其のクリームを指先が掬いゆっくりと口許へ運び、あかいしたが舐めとる]
そうなるかな。
私は死んでいるつもりだったから、本来は入れ替わるだけの予定だったけど。
[つまらなそうに呟き、男の言葉に肩眉を上げるも瞬き]
そう?じゃあ、精々確りと護って?
けれど、殺さなければ如何なるかは、判るの、ナサニエル。
ローズマリーの言う通り、私達は今ゲーム盤の駒でしかない。
金持ちの、権力者の、酔狂は、何時だって同じ。
そして、力無い人間は、抗いたくても抗えず、弄ばれるだけ。
若し本当にナイジェルを護りたいなら、其の手を血で染めるのね。
私、腹をくくらないといけないのかしら。
ううん、それならば――
[ネリーは口元を結びながらゆっくりとした歩調でドアに向かい、セシリアとすれ違う時にふわりと声を発した。]
ナイジェル。あとであなたの話を聞きたいわ。
私も…隠している傷は1つ2つはあるから。
死にたくない――と、言える人は少し羨ましいわね。
[ナサニエルの言葉に一拍目を伏せて。
開いた瞳は背筋も凍るような冷たい色の笑みを含み、
ナイジェル――否、セシリアを見つめる。]
良かったわね。
勇敢なランスロットがギネヴィアを護ってくれるそうよ。
[語る声は笑みを深くし、口元のクリームを舐め取る。]
[青の少女へと向き直り見詰める甘く冷たい紫水晶は揺れる]
シャーロット、私は何かが憎いんじゃない。
只、もう、傷つきたく無いだけ。
殴られるのも、切られるのも、犯されるのも、愛されるのも、もう厭。
愛憎に溺れて自分さえ見失い、全てを壊したく無いの。
仮令厭おうとも、この屋敷に死は降り注ぐでしょう。
ナイジェルを壊される前に、私が殺すわ。
[女の声に男を一瞥してすぃと冷たい笑みを浮かべる女へと視線を移し]
さぁ、如何かしら?
都合の悪い事には答えず揶揄だけするくらいなら、大人しくし殺されて呉れない?
[あどけない少女の笑み]
>>71
[無遠慮にロールケーキへと伸びる少女の傷だらけの手は今、スープの飲み方を教えておずおずと自分の手に添えられてなどいない。
嫣然とクリームを掬う細い指先は、子どもに対するような優しさで食べ零しを拭って唇の横をなぞってなどいない。
それでも口許から覗く、あのあかい舌は同じ。――同じだ。
...はぞくりと震える自分の身から手を離し、ナイジェルは決してしなかった方眉を上げる少女の表情に対峙する]
…ゲーム盤の駒は、黙って使われるだけ。
でもオレたちはそうじゃない。
人間だろう。
金も、権力もなくたって…
酔狂な糞どもに、抗いもせず弄ばれるのを待つより他に、できることがあるはずだ。
[冷たい笑みで一瞥したまま、後はもう女へと向き直りあどけない少女の笑みでローズマリーの死を求めるナイジェルの姿をした者に、それでも信じる目を向けると、一際大きな声を出して]
ナイジェル…ナイジェル!
おまえはローズマリーを殺したくなんかないよな。そうだろう?
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