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[羅列された文字の中に「死の乙女」。そこに目を留めた]
カルト教団……。下で建物を見たのは覚えてる。
原子分解……。どんな繋がりかはわからないけど、関係はしてると見ていいわけか。さっきの映像も、同じPGMだとは思わないけど、関連性が高い。
何々? これより後の通信は不可能?
ん、ま時間的に見てヒュプノスが蔓延した位か。なにしょーがない。
戻ろうっと。
[通信を終了し、意識を覚醒させる]
――Mundane/電脳街――
[ブースから出ると、店の外へと。ふと中央部のほうへ視線を投げると、そこにあるべきものの姿はなかった。ただ、柱だけが残っている]
電波塔、なくなってたんだ。ひょっとしてそのせいもあるとか? なわけないか。
[地図を広げると、中央部にはいくつか点があり、06と07が同じ場所に光っている]
おいちゃん危ないって事?
そんなすぐ攻撃とかさすがにしないだろうけど!
アと一回おじいちゃん殴っておきたいし!
[中央部へと向けて滑り出す]
ククククククク……いいねェ。
このゾクゾクする感覚…思い出す。
俺のモノは、すでに全力で天を仰いでるぜ。
[震える。恐怖―否、快感に震える。]
もっと…もっとだ。もっと俺に生きる実感を。
[ホログラムのヴィジョンが*消える*。]
そんなに「解の先」が見たいなら、
俺は避けて通れねェ。待ってるぜ。
―― 現実世界/電波塔前 ――
《――Ping.接近してくる対象、1.
【06/Death Maiden】です》
[耳小骨を震わせて"Celia"が告げる。男は示された方角へと向き直った]
── 現実世界<Mundane>/電波塔の外 ──
[灰色の瓦礫が、黒色の水溜りに浮かんでいる。崩壊した電波塔の前。
セシリアは、髪色を淡い白色に発光させながら、ゆっくりと歩いて行く。
セシリアは、視線を一度手元に落とした。
両手首には、紅い惑星が刻み込まれたタトゥー。正╋字を成す大槌は姿を消しているが、右の手の中には透明ではなく、黒い針が有る。
左の手のひらには、キューブ上の地図。]
mortal──です、ね?
はじめまして。
[セシリアもケネスに向き直る。]
[常人なら発狂する深度で、現実世界と平行しながら電脳世界を視ている]
[――Morganへは晒笑。]
[Rebeccaへ向けて、稲妻の如く*疾るPGM*]
―― 現実世界/電波塔前 ――
[東部で起こった破壊の状況が流れ込む。視野右隅で更新されていく情報]
《――崩壊の中心点はカテドラル・Ω》
《――連鎖的に崩壊が継続中》
《――周辺十数ブロックが壊滅状態》
……"Death Maiden"。
アンタがやったのか。
[徐々に電波塔の柱が近づいてくる]
死の乙女が東部をやったなら、まずくない?
でも、"犯人"じゃなかったはず。
おーわっと!
[倒れている男を踏みそうになりながら、跳躍し、加速する]
もうすこーしまっすぐ滑れたらスピード上がるんだけどなー。
[ゴーグルに挟んだままのフィルムから光りの点滅が見える。消える、光点が一つ]
また、消えた。えっと04……。02がKotだった。……レベッカ?
[消去法で考え、一人の女性に辿り着く]
でも、誰が?
[考える間も、速度は緩めずに]
―― 現実世界/電波塔前 ――
止まれ。
[右手を静かに持ち上げる。
“死の乙女”の額に銃口を照準]
……この都市(まち)中に、あの破壊をもたらすつもりか?
【『ただしき死』――Euthanatos】
[かつて知った概念が記憶の中、甦る]
『……この世界からは“死”が喪われている。本当の死が無ければ本当の生も無い。貴方はそうは考えない?』
[いつか問われた言葉]
[いつか犯した罪]
[死の執行者]
── 現実世界<Mundane>/電波塔の外 ──
[銃口を向けられて、セシリアは静止する。
睫毛をばさりと動かし、瞬き。
セシリアはケネスの姿を上から下まで、淡々と観察した。
メガロポリス市民にしては、どこか薄汚れた──男だ。かと言って、セシリアが“奉仕”の時に見慣れている、下層のブルーワーカー等とは異なる。
教団の下層ゲートが下層の中でも最も貧しい地域──職業や技能を持たない者達の居住エリアに向かって開かれていたのは、電脳化、機械化がもっとも遅れた地域にこそ可能性がある、とMasterが常々口にしていた為だったが──。]
必要があれば。
何時でも、粛正を。
今は下層に粛正をもたらす方が、先であるべきかもしれませんけれど。
[下層域の話題を試すように出したのは、ケネスの外見が単なる下層民にしては違和感があった所為だ。]
貴方はみずからの死を望む者ですか?
それとも、メガロポリスを眠りをつかせた?
んもう、避けるのめんどくさい!
[そのスピードのまま一段強く地を蹴り、壁を伝って屋根へと飛び移る。コンクリートブロックの上を滑り、屋根から屋根へと飛び移っていく。多少の高さの違いは気にならなかった]
下より簡単かも。建物丈夫だし。
[ゴーグルを嵌めて、片方だけレンズを下ろし、視界を拡大する。柱前に。二人の姿が見えた]
ん、むさい方がおいちゃん。もう一人が、"死の乙女"? 白く、光ってない?
[銃口を固定したまま、娘の問いに口を開く]
まさか。俺が求めているのは【S級】への鍵だ。
粛正なんて望んじゃいない。
勿論、俺自身の死も。
―― 現実世界/電波塔前 ――
下層を先に、ね……。そんな事をしても、俺の目的には一致しないが。
EG7(Emulation Grade 7)のお嬢さん。
[対峙する間に電脳へ着信。対手は完全義体のAIだ、と識別結果が届いた。その情報に、男は小さく首を傾げる]
『ただしき死』を求めているのは、君の意志なのか?
── 現実世界<Mundane>/電波塔の外 ──
[髪が内側から発光するのは、主核となるPGMの稼働状況が外見にあらわれているのだろうか。──今は教団AIとしてのオーキッドパープルではなく、MasterのAIとしての色──coloerless 。
セシリアはケネスの言葉に、血潮の透ける真紅(ルビー)の瞳をおおきく見開いた。]
【S級】への鍵──
禁断の不可侵領域SSSを開くための鍵。
[セシリアの指がケネスに向かってのばされる。
攻撃の意志はなく──目の前の男が、セシリアに手紙を持った使者を寄越した者ではないのか、確認するように。]
では、貴方がAlchemist なのでしょうか?
もしそうであるならば、私はMasterの意志により──私は貴方に従う。貴方を第二のMasterとして。
私に意志はありますが、意志はありません──。
ただしき死をもたらすことは、教団AIとしての第一の私の基礎となるPGM。Masterの意志に従うことも、等価。第二の私を創る基礎PGM。
人格に基づく意志を最優先させる事が可能であれば、Masterが独りただ死んでいく事を知りながら、遠くで手をこまねいたまま、ただ待つ事が出来るでしょうか──
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