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[ケネスはゆっくりと手押し車から降り、目の前にいる若い女性に声をかける。
今ならチャンスだとか、どこにサーヴァントがとか言うような気持ちは、こんな状態では思い浮かばない。
ケネスはただ「やあ……」とだけ言った。]
[相手のサーヴァントの目は明らかな狂気の色を称えている。
魔力の消費を考えないような銃弾の乱射、近づいていくランサーに対し離れるどころか近づいてくる。
対するランサーも、自分の傷、魔力の消費、どちらも考えていないかのような気づかないかのように戦闘をやめる気配がない。
戦闘に我を忘れているように見える。
このまま戦い続ければ既に傷を負ったランサーが先に力尽きるだろう。
相手サーヴァントからの攻撃を警戒しつつ罠の森から這い出し声を上げる。]
ランサーその怪我じゃ不利だよ!!
ここは引こう!!
だから叩いちゃダメなんだってば!
[キャスターの暴挙に抗議する。]
危険を感じたら令呪でお爺ちゃんを呼ぶつもりだったわよ!
でも、全然そんな雰囲気じゃなかったんだもん!
それに、散らかしておいて掃除しないお爺ちゃんが悪いんじゃない!!
もう、お爺ちゃんなんて知らないっ!!!
[不貞腐れて会話を打ち切り、寝室に向かった*]
[真の耳元で宗冬は囁く。]
ほうほう、あの女性に懸想したでござるか。美人でおられるな。真殿も運がいい。日に2度も美人と出会うとは!
今度こそはきちんと押し倒すのですぞ!
宗冬は見守っております!
[腕の令呪がちくりと痛み。その男がマスターであることを告げる]
これは、どういう状況なのか。
[つかつかと歩き、柳生のほうを見る]
ひとつ、お聞きしてよろしいですか、お侍の方。
これは、何の真似でしょう?
確かに、貴方が押すことで彼の体力は温存されるでしょう。ですが、精神的にはかなりまずいかと思うのですが。
[ひどく真面目な口調で尋ねた。ケネスに対しては会釈を軽く返し。
少なくとも、「普通」でないことはわかったが、可笑しいとは思わないのか、どう反応していいのか迷っているようだった]
文句言う前に最低限マスターとしての知識覚えとかんかー!
というかそもそもマスターの勝手な一人歩きの時点でおかしいだろ!?
せめて書置きぐらいしていけぇぇぇ!
[逆ギレして寝室へと向かうマスターに文句を言うキャスター。
叫び終わった後、息切れしていたのは当然だろう。]
あー…疲れた。
俺も寝ようかな、だりぃ…。
[あまりのことに、一瞬思考回路が停止しかけた、が、バーサーカーとそのマスターだということを改めて思い出し、少し距離をとる]
そちらの方はバーサーカーですね? そして貴方がそのマスター。
昨日、商店街での騒動に居合わせましたので、お二人の関係は予想がつきます。
令呪でお気づきだと思いますが、私も聖杯戦争に参加するマスターの一人です。
マスターの方のお名前をお聞きしてもよろしいですか?
私は、……ソフィーと申します。
[一瞬迷って、名前を告げる。今度はちゃんとケネスのほうを見た]
これはこれは美しい娘さん。いえいえ違うのです。精神的ダメージどころか精力漲っているはずです。
こやつは真というのだが、子連れ狼が非常に好きでな。
是非とも大五朗のコスプレをしたかったらしい。3歳児のコスプレとは恥ずかしいが、親友の頼みだから私も付き合って侍の姿をさせられていたところよ。
さて、娘さん、こんな馬鹿はほっておいてどこかお茶でも飲みに行きませんか。
[と、宗冬はさりげなく目の前の娘の手をとった。]
−教会・礼拝堂入り口−
[扉を開けると、令呪の気配が強まる]
一人、ではないのか・・・・・・?
[教会に張られている結界によって反応があやふやになっている。僅かに警戒しながらも敷地の入り口へと歩いていく]
[ケネスは宗冬を見て叫ぶ。]
つーか、大五朗なんてしらねぇ!!
てか、手とか取ってんじゃねぇ!
全く恥、かかせやがって!!
[続けて、ケネスは口を開く。]
ああ、確かに俺はバーサーカーのマスターでここにいるのは、見ての通り頭のおかしい俺のサーヴァントだ。
バーサーカーとか関係なく、はっきりいって狂っている。
今はお前さんをどうにかする気は毛頭ねぇよ。
こんな状況で、しかも人通りのある教会の前だしな。
てか、どうにも今手詰まりでよ、誰かと組みてぇとか思ってたとこなんだが……
お前さんは何のマスターなんだ?
まあ、差し支えがあるなら言わなくても良いけど、改めてどこかで会いたい所だが、どうよ?
いずれ、わかることかと思いますが、私はアサシンのマスターです。
そうです、ね。こちらにも少し事情がありますので、手を組む、ことに関しては少しアサシンと話してみることにいたします。
明日、よろしければ駅前でいかがでしょうか。時間はそちらのよいように。
真殿!今のうちに殺してしまいましょう!
殺せるうちに殺しておくが勝利の条件ですぞ!
デートの約束などしてはいけません!女は魔物ですぞ!
[ケネスはサンダルで宗冬の頭を叩く。]
てめぇがでくの坊のせいで、こっちの情報がいまいちなんだろうが!!
アサシンが暗殺狙うならアサシンだって言うわけねぇだろうが!!
まあ、こちらもアサシンのマスターなら願ってもねぇ事だ。
よし、話は決まり。
昼12時頃うろついててたぶん目立つからよ、声掛けてくれや。
…おぉ?
[声を上げる。]
成程ねぇ。
こんな芸当ができるのか。
…つまらねぇな、おい。
[右腕に、力を込める。
まだ残っている。
ほんの少しの、稼動範囲。]
クハッ。
[その腕で、自らの左腕を撃つ。
血飛沫が飛ぶ。
同時に、縄も。
…だが、再び縄は絡み付いてくる]
…っちぃ。
じゃあ、行くぞ、宗冬。
すまんな、ソフィー、訳わからんワールドに巻き込んじまってよ。
それに俺は「真」でなく、「ケネス」と呼んでくれや。
そっちが今の本名だ。
[そう言うと、ケネスは宗冬を連れて教会に背を向けた。]
[急変した柳生の態度にはにこり、と微笑む]
私も、魔術師の端くれですから、倒せないまでも逃げ切ることは出来ます。その為に日々鍛錬を欠かさないのですから。
ですが、それは真理ですね。殺せるうちに殺しておく。さすがはバーサーカー、といったところでしょうか。
ですけど、それでよいときと、悪いときとあると思います。
今は、悪いときだと受け取ってもらえれば。
[寝首をかかれる、といわれると柳生を静かににらむ]
アサシンはアサシンですが、少なくとも協力を持ちかけてきた相手に、その様な事をする性格ではありません。
それに、私からも卑怯なことはしたくない、と伝えて有りますから。
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