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[キャスターの視線の先を見る。
明らかに周辺と異なる空気。
沖田とはあれほどまでに禍々しい存在なのか。]
また、……もう。
[三度サーヴァントを追いかけて走る。]
−本堂−
くっ・・・・・・
[聖杯が決着の時が近づいている事を告げる。それ程の魔力の躍動を感じる。
あと一体。最後の戦いを迎えるも、その体は限界に近い]
−境内−
[無意識に、ここが自分の望んだ戦いの地になる事を理解している。その為にマスターの元に戻ってきた。
キャスターの気配が近づいている。うっすらと蘇る記憶]
キャスターが、来るのか。
[令呪による拘束だけではない、自身の決着をつける。その喜びに浸っていた]
-寺・境内-
[異変の下…そこにあったのは寺院だった。
教会はあの有様だ、沖田が恐らくここを新しい拠点にしたのだと思い迷わず中に入る。
そこに居たのは――。]
セイバー……。
何で……お前が……。
そんなにショックを受けなくても。
私は単に見ていないだけですしね。
そのフレーズが有名なことも知っておりますけど。
と、そろそろ開始されたようですので、私も空穂を動かそうと思います。
キャスター、か。久しぶりだ。
所詮、あの小物がこの私の力なく勝ち抜くのは無理だったのだ。だからここにいる。
あの聖杯も、そしてこの世界も。所詮は我が手中。貴様程度のマイナーな創造主にどうこう出来るものではない。
さて。約束どおり、決着をつけようか。
[右手には偽刀・菊一文字。キャスターが出会ったときの異形の剣ではない、禍々しい光を放つ日本刀]
[息を切らせながらキャスターを追いかけて境内に着いた。]
っはぁ、はぁっ、……あれは、……?
[キャスターの前に立ちはだかる“セイバー”と呼ばれた存在。]
[後ろに追いついてきた美貴を手で押しとどめ、キャスターは笑った。
ああ、やはりセイバーはセイバーだ。
この俺様野郎があんな奴に飲み込まれるなんて納得できなかったのだ。
そして今、俺の前にこいつが立っている…約束と言う言葉を持って。
それが……とてつもなく嬉しく、そして愉しく感じる。]
……やっぱりお前はそうでなきゃな。
一応聞いておくぞ。
――力は万全か?
[そういって、キャスターが手に持つ物は蒼き宝玉の如き世界の卵。]
−病院・集中治療室−
[何度生死をさ迷ったのか。医者が既に付き添い、状態をずっと見守っている。
電気ショックによる心肺蘇生も数回行われたようだった。
出血多量による危険は一旦回避された。それでも脈が弱く、いつ心臓が止まってもおかしくはない状況だった]
「あとは本人の気力でしょう。身内の方は見つかりましたか」
[担当の看護師に告げる。彼女は首を振った]
「身分証明書で身元はわかったのですが、ご家族はいらっしゃらないようです」
[何度目かの、心肺停止]
ふん。むしろこれが本来の姿だ。
悪いが貴様に勝機など微塵も無いぞ。
せいぜい、後ろの女が巻き添えを喰らって死なぬよう大人しくこの俺に殺されるがいい。
[剣を構える]
[連れて行って欲しかった]
[いなくなるのならば。何故、自分は残されてしまったのか。
その答えも、もうわかっている]
「最後は、ソフィーの幸せを願うよ」
[聖杯戦争に参加したなら、父が願うといった言葉]
そうか…なら約束通り見せてやるよ。
俺の……"本来の姿"をな。
[今の言葉で確信する。
恐らく奥に居るであろう沖田に、サーヴァントとしての力はもはや無い。
吸収した力をこうやって解放しているのだ、元の人間かそれに近い物に戻っているだろう。
ならば…目の前のセイバーこそ宝具を使うに相応しい唯一の相手だ。]
(世界の扉は開かれる)
" patoluukku -lta maailma " on sailykerasian avaaja
(内に広がるは果てし無き原初の蒼)
alkuperaiskappale edella aallokko levittaa rikki.
[キャスターの口から、詩が紡がれる。
それに呼応するように……蒼き宝玉はゆっくりと光を放ち罅割れていく。]
「ソフィー、パパとの最後の約束だ。いいね? いい子に育つんだよ。決して、教えた魔術で人を傷つけることのないように」
「Sophie, un papa et la maman ne vous oublient pas.Prenez le soin.」
[父母が、最後に残した言葉]
[腕の令呪痕から、聖杯の魔力の影響を受ける。魔術回路へと直接、響いてくる]
(私は、ようやくお父様とお母様に会えるのだろうか。会ったら、なんと言おう)
[ぼんやりと頭に浮かぶ]
・・・・・・
[水の世界。キャスターが生まれた世界が広がっていく]
成る程、そういう事か。
貴様の宝具は創世具だったという事か。
この地ではこの程度だろうが、それでもこの私と決着をつけるフィールドとしては充分だ。
よかろう!貴様の全力、この私がねじ伏せてくれよう!!
(受け売りの正義など捨ててしまえ)
Heitto pois oikeus.
(そこで必要なのは己の決意)
Anomus itDecision
(偽りの信仰など砕いてしまえ)
Erottaa luulo jne.
(そこで求められるのは己の信念)
Anomus itBelief
(世界はお前を試している)
maailma on haastava te.
(「我に従え、さもなくば抗え」と)
Obey we , eli haastaa me”
[詩の詠唱が進むにつれ、卵は眩しいばかりの光を生み出す。
魔力はもはや嵐の様なうねりとなり、キャスターとセイバーのみを包み込んでゆく。そして――。]
(世界の扉は開かれた…蒼世器・深蒼世海)
Vaina-Ilmatar
[最後の言葉と共に、卵は割れ……
――世界が生まれた。]
[セイバーとキャスター、2人だけを飲み込んだ世界。
それこそがキャスターの持つ宝具…「蒼世器・深蒼世海(ワイナ・イルマタル)」の能力。
固有結界でもなく、空想具現化すら超える"世界創世"を行う…。
そしてそれによって構築された世界こそ……、ワイナミョイネンが"世界創造"を行う以前の原初の世界。
ワイナミョイネンの深層心理に刻まれた、彼が始めてみた世界の姿である。]
さぁ、セイバー……約束を果たそう。
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