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そう、もう一人の僕は僕じゃない…もう一人の僕って言うよりは、身体を共有する別人って言った方が正しいんだけど。
「彼」は、君と戦えて、すごく嬉しそうだったよ。
すごく楽しんでいた。
[さすがに礼を言う気には、なれないが…。
宗冬のマスターは、苦労をしているのではないだろうか。
…だがまぁ、露葉も苦労しているのだから、皆何なりと苦労はあるのかもしれない。
…などと考えているうちに、酒場に着いたようだった。
さて。]
…戦闘、開始か。
[右手の中指で、*眼鏡をつり上げた。*]
La chose que toutes les choses retournent, et retourne.
Priere de l'eau.
[流れ出る血に手を当て、呪を唱える。けれど、血は止まりそうになかった]
この傷では、痛みが長引くでしょう。
せめて痛みを感じさせないように出来たらいいのですが。
[自分の治癒術が、この傷にどこまで効くのか、わからなかった]
ぴぎゃ。
[ ぴぎゃ? 自分の挙げた声に驚く。濡れた感覚に下を見ると、腹から突き出ている…紅くぬらりと光るもの。
ず、という感触と共にそれが腹へと沈んでいけば、ようやく、背後から貫かれていることに気がついた。]
う、うわ、うわぁああぁあぅあああぁあ!!!!!
[ 驚絶の叫び声。腹に開いた穴を両手で押さえながら、逃げようとするも足がもつれて無様に転ぶ。右手を地面につき、もがくようにして進む。と、目の前に佇む人影がふたつ。]
あ…?
[ 大丈夫ですか、という声に見上げると、見覚えのある人物がいた。そしてその背後には、昼に自分を殺そうとした、シャルロット・コルデ。]
流、、、空穂?
[ 理解する。嫉ましくて仕方がなかった本家の娘も、この戦争に参加しているのだと。]
なん、だよ。本家の恵まれている奴が、なんで、いるんだよ。
[ 心配し、治癒呪文を唱えるソフィーに悪態をつく。久仁彦には、もはやなにも聞こえていない。]
必要ないだろ、お前には、願いなんて。最初から叶っているじゃないか、最初から、、、。
[ 悔しげに、唇を歪めて呟く。右手を、ソフィーへと伸ばそうとして。]
あ゛………、、、
[ 白目を剥き、地面へと突っ伏す。伸ばした右手も、力なく*落ちた*]
[眉間に皺を寄せ、立ち上がる。
蹲る久子を前に、かける言葉はない。]
…。
[為すべき事は為した。
既に死にかけの久仁彦。目の前の女性は……?
ランサーは、すっとその場から身を引いた。]
[古い記憶だった。祖父に連れられて商店街へと向かった。その途中、祖父に対し、頭を下げてくる家族。
そのとき、一緒にいた、少年の顔。自分から見れば、彼も十分に大人に見えたのだが、今見ればさほど歳が違うようにも見えなかった。
その後も幾度か会った様な気はした。だが、特に会話をした憶えもなく、次第に、記憶から薄れていく]
ああ。貴方も、マスターだったのですか。
−噴水−
[どうやら特に問題なく事は済んだようだ。予想外の戦闘で消耗したが心配するような事は無かった。
遠目で見守っていたが、噴水前の惨劇の場所へ、少しずつ近づいていく]
[最後に告げられた言葉が、耳に残る]
願いが、叶っていると。
それは、誰の願いなのでしょう。願いは、個人が願うもの。
私には、その願いもない。
……貴方には、どんな願いがあったのでしょう、ね。
[何の感慨もなく。目の前で絶命しつつある久仁彦を見下ろした]
貴方に。
次の生が安らかであることを。
[白目をむいたままの瞼を手で下ろし、黙祷する]
このまま放置はまずいでしょうから、救急車を呼びましょうか。後は……。
[うずくまったままの、ランサーのマスターの方をじっと見つめた]
彼女も、一人にしていては危険なようです。ランサーとは決裂したようですから、一言声をかけて起きましょうか。
どうやら目的は果たせたようだな。ご苦労。
[そういうと、ランサーに手をかざす。ランサーの魔力が回復していく]
少し休んだら次に移るぞ。
そうだな・・・・・・
[昼間激突したキャスターが思い浮かぶ。だがあれで宝具を出していないなら、次にキャスターを狙うのは早急かも知れない]
バーサーカーか、アーチャーだ。
ランサー、どちらが希望だ?
マリア、引きましょう。
彼は危険です。
[何を話しているのかまでは聞き取れない。けれど、その異質すぎる雰囲気は、彼が以前の敬一郎でないことをあらわしていた]
マスターか。
[人形のように表情変わらぬ女性に、ぽつりと。
「沖田敬一郎」に魔力を回復させてもらった事に、微笑み、感謝の言葉を述べた。]
ありがとう。
…ああ。
ぼくはバーサーカーに出会っていないので、どういったサーヴァントか未だ知らない。
接触したのはアーチャーだけだ。
……。
[暫し、思案するように。と、「沖田敬一郎」の視線が先程居た噴水の方向に注がれている事に気づいた。]
そうか。
[アンリ・マユの記憶を引き出しながら]
バーサーカーとは既に俺が接触している。
つまらんこだわりさえ無ければ取るに足らない相手だ。
だが俺とは相性が若干悪い。宝具の真の姿も見てないのも気になる。
アーチャーに分があると思うならアーチャーを、そうでないならバーサーカーだ。
[そういいながら、空穂の方を見ている]
[残される久子が気になったが、ランサーがいる以上彼女が殺されることはない、そう踏んでその場から後退する]
La chose que toutes les choses retournent, et retourne.
Donnez-moi le pouvoir.
Dispersion.
[唱え終わると同時に、その場の空気が白くにごり、視界を曇らせた。
同時に懐から紙片を数枚取り出し]
Un chuchotement sans etre sur.
[手でなぞり、その紙片が四方に散らばっていく。それは、式神のように術者のダミーと化し。その上で気配遮断を行ったシャルロットとも分かれて走り出した]
・・・・・・ 行ったか。
だが、お茶を奢る約束をしたままだったな。
また明日にでも会ってみよう。
[消えていった空穂を冷静に見つめる]
ぼくの希望はアーチャーだったが。
彼の直情的な動きは、見切り易い。
冷静に行動すれば、宝具を使わずとも殺す事が出来ると思う。
しかし、きみの方はバーサーカーと相性が悪いのか。
[話しながら、「沖田」の視線の先を眺めた。]
・・・・・・ いや、なんでもない。以前金を借りた事があっただけだ。
とりあえず、今日はマスターを回収して安め。
[そういうと、久仁彦のほうへ歩いていき十字を切る]
−キリエ・エレイソン(主よ、憐れみたまえ)
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