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ぁあっ!! 畜生!!
[私は叫んでいた]
ぁあ、そうさ!
どうすることもできない――
娘の命が奪われた、その事実は変わらない!
――だが――
──分からないのか?
俺はアンタの娘を一度も見たことがない……。
嘘は、つかない。
[その眼差しは底に黄金の光を湛えて、厳かにヒューバートを射た。]
ネリー!!
[私は精一杯の意志を込めて、彼女の名を呼ぶ。]
本当に間違えてはいないのか!?
君の――
君の居るべき場所を――!!
遺す――
――まさか……?
[一つの予感があった。――“同族”
その予感が正しかったかどうかは、知る由もなかったが]
――ばかな……
じゃあ……
……娘は……
…………いったい……誰……が……
[その答えは、私の魂が既に知っていたはずのことではなかったか?]
……うそ……だ……
そんな……
う、うそ……だ――
………俺ね。
あんたに聞きたいことがあったんだ。
『何故あんたは、妻を奪われたことを怒らなかった?』
そして―――………
『何故俺の身に、あんたの愛娘を見た?』
ぅあああぁああ!!!
[感情が現実を拒むように、軋みを上げ、魂の咆吼が喉から迸り出た]
畜生ォおおおぉおお!!
うそだ、うそだ、嘘だァアアァア!!!!!
ハァアアアアァアアヴ!!!!
[鋭利な爪がガラスに当たり、不快な音を立てる。
天井の切れかけた蛍光灯の周囲を蛾が飛んでいる。
血痕の付着が激しいが酷い胸部にホースを当てると、下着の線を浮立たせながら、薄赤い水が面白いように足元に流れていった。
靴擦れした踵がむずがゆい。私は少し考えた末に、繊細な流線型のカーヴを描く、華奢な白いヒールをその場に乱暴に脱ぎ捨てた。汚れかけた白いヒールが水に濡れて変色していく。]
[宙吊りになる苦痛から解放された足の筋肉のかたちを確かめるように、私はシルクのストッキング越しにゆっくりと両脚をなぞる。
ああ、それにしても。
下着の内側まで洗い流すべきだろうか。
──私の躯にはパパの匂いが染み付いている。
安置所での濃密な交わりのあの時間を思い出すだけで、私の躯は熱くなり薄い快感のベールが皮膚を覆うような感覚に襲われる。禁忌を超えているのと言うのに…私は。]
[ニーナとラルフの関係を知っていた叔母さんの私を見る悲しげな顔。あたたかい気配が甦る。
私はパパに会えたとして、どんな顔をすればいいのだろう。
私を殺したハーヴを許せないけれども、彼への気持ちは変わらないように。]
──私はパパを。
[地獄だった。もう、何も見たくなかった。一刻も早く、この場から走り出したかった。
ネリーの指先が包みにかかる、その前に。]
[遠くて声が聞こえたような気がした。
私は水栓を閉じ、鏡の前に置いたナイフを握りしめると、既に人間では無いやり方で、闇の中を──*声の聞こえた方角へ走り出していった*。]
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