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[背後から首に巻きつく感触。
その冷たさにわたしはびくりと身を震わせた。
身の危険を察知した身体と、伸びてきた手がわたしの身体を引寄せようとしたのとではどちらが早かったか――]
…っ――
[わたしはくるりと身体を回転させ、目の前にいるであろう人影に小さな鉄の塊を向けた。]
[首に絡む腕と摑まれた右手の痛みに、わたしは顔を歪める。
と、同時に口許に笑みが込上げてきた。]
[ゴトリ――]
[重々しい金属の音が床に叩きつけられる。それでも尚右手の痛みは治まる気配は無い。]
…もしかして…あなたがわたしを…殺してくれるというの?
――神が我が身の許へと…導きたくは無いと願う、穢れたわたしに…安らぎを…与えてくれると…言うのかしら…
[呼吸が苦しくなる。じわじわと體を蝕む死の予感に、それでも尚嗤いが止まらない。]
「殺してくれる」、ねえ……。
確かにお前を殺しに来た。だから、死んでもらう。
だが、それはお前を楽にしてやる為じゃない。
[冷厳な声音が耳に吹き込まれた。]
[と、ふと緩んだ首許。體は生きる為に呼吸を繰り返す。その自分の行動と醜いと思っていると、耳許で囁かれたテノールが空気を緩く振るわせる。]
随分遅い挨拶ではなくて…?ギルバートさん…?
それとも…あなたにはもっと相応しい名前があるのかしら?
[くすり――]
[零れた笑みから聖水の甘い香りが零れる。宗教観で清めた躰が弛緩する。]
楽にするためじゃなかったら、一体どうしてくれるのかしら?
言っておくけど…ちょっとやそっとの事では苦痛には思わないわよ?
[冷やかにささやかれた言葉に、わたしはますます可笑しくなりくつくつと小さな声を上げる。]
[死を宣告された前で、わたしは自分でも驚くほど冷静に居られた。もしかすれば今までの人生の中で一番と言っていいほど冷静を保っているかも知れない。それはわたしが死を恐れていないからだろうか?
別にわたしは常に死を望んで生きてきたわけではなかった。もし死を切望していたなら、あの日シンシアの命を奪い神父達の寝首を掻いて逃げ出した道中、幾らでも自害して居ただろう。でもそうしなかったのは…。]
『誰かに…裁いてもらいたかったのかもしれないわね』
[もし、ギルバートという男が普通の人間ではなく化物と呼ばれる類の人間だとしたら。わたしは喜んでこの體を差し出してもいいと思う。
彼はわたしの命を奪う為だけに、それ以上もそれ以下も無くこの場所へ足を運んでいるだろうが、その彼こそがわたしには救いに思えた。悪魔の使いでも何でもいい。神が命を奪いたくはないというのなら、思う存分奪って欲しいと――]
―客間/ハーヴェイ―
[ニーナの遺体の処置を済ませた私は、事態の面妖さに表情を曇らせたまま、ハーヴェイの眠る居室の扉をノックしていた]
ハーヴ、もう起きれるか?
ちょっと気になることがあるんだが……
……………
[昨日は確か、バンクロフト邸に向かおうとして、鍵をなくして…それを探し…どうしただろうか?
何か甲高い悲鳴が聞こえてからよく覚えていない。
外で記憶喪失になっても帰巣本能が働くのなら何故自宅に行かないのかとどうでもいいことも考えてみたがまぁ置いておく。
ドアのノックの音が意識をはっきりさせた。
横になったまま、頭だけ回してドアを見た。
ヒューバートなのは容易に想像できる。
しかし寝起きで上手く声が出せなかった]
[ずっと傷を撫でていたけれど、やがてその手は引き戻される。
もしも外からいつやってくるかわからない気配を懸念してシャーロットが棺の蓋を閉めてしまったら透明なアクリル越しに、その光景を頬杖をつきながら覗き込むだろうか]
…ねぇ、ニナの声はお姉さんに聞こえるのかな。
ニナね、きっとお姉さんのこと知ってるんだ。
……お姉さんは、ニナのこと知ってるのかな。
[首を傾げれば青い仄かな光が少しだけ揺れるのと一緒に胸元までの髪がさらりと揺れる。
けれど音はない]
別にお前が何を感じようと、それもどうでもいい。
[ステラを腕で拘束したまま、引き摺るように階段に向かって歩き出す。]
それとも。苦痛を与えて欲しいのか。
…せん…せい……
[僅かに視線だけをヒューバートに送る。
小さな声はヒューバートに届いただろうか。
しかし、まだ起き上がる気力はないようで]
大丈夫かよ……
[線の細すぎるハーヴェイの声音に心配混じりの苦笑が漏れる。
ベットに腰を下ろし、ハーヴェイの背中に手を添え抱き起こす。
片手でミネラルウォーターのキャップを器用に外し、少しだけ呑ませた。]
死体見ただけで卒倒してちゃ、彼女ができても守れないぜ?
かわいこちゃん。
[そう言って少しだけ笑い、髪をそっと撫でた]
[密着したステラの身体から芳香が漂う。
脳の芯を痺れさす、えも言われぬ甘美な香り。]
[だが、それは彼女が「聖水」と思っている水などではなく、彼女自身の肉体と血流から発し、オーラとなって漂うものだった。
それは現実のにおいだけでなく、体温の温み、肌触り、呼吸音などの五感の全てを刺激した。]
[ヒューバートに助けられ、何とか身を起こし数口程度の水を飲む。命の水とはよく言ったもの、水分が体に入るといつも安心できる]
…慢性的貧血なんですよ…。
俺、ホントにデリケートなんで…。
彼女作るなら…死体見ても卒倒せずに俺を守ってくれる人にしないと…
[何となく冗談をいう余裕も出てきたようで。
子供へするように髪に触れる手には抵抗しなかった]
どうでもいい…。確かにそうね。
あなたが何者であっても。わたしには関係ないことだもの…。
[回された腕の力強さにわたしは目を細める。圧倒的な強さを誇る男の肉体。わたしは女性として女を愛しながらその一方で男の肉体も愛していた。
布越しに感じる男の体温、そして密着する躰から仄かに立ち昇る独特の体臭に鼻腔を振るわせ――]
そうねぇ、与えられる苦痛は悦んで受けたいわ?
[くつくつと再び喉の奥で笑みを弾けさせる。]
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