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[宗冬は刀の指し示すまま当て所なくさすらっていた。宗冬は考えていた。この杖とも鋸ともなる万能の宝具、すなわち三池典太は一体なんなのかということである。
宗冬は三池典太の真の所有者ではない。従って三池典太の力を引き出すことは出来ない。三池典太の了解を得た時にしか力を得られなかった。]
剣士の魂である刀を兄上がくれたというのもまた複雑怪奇よ。
[宗冬は刀の赴くまま歩いていた。いつの間にか商店街に来ていたようだ。前には見覚えのある顔が見える。刀が連れて来たのだから刀の意思に従うが筋。刀を抜いたが刀に切れは無かった。ならば、]
これも縁なるかな!さて久しぶりの出会いを祝しての酒と行きたいがどうかな!
……マスター、私はとあるチームのマスターと接触していました。今までの情報を精査すると、私がクラスを確信出来ていないサーヴァントはライダー。
そのマスターが単身で歩いていたので、そのまま殺害する事を試みました。
申し訳ありませんが、ライダーに阻まれ、それは失敗に終わりましたが。
その後、ライダーは槍を持つサーヴァントと戦い始めましたわ。
わたしが死んだらあなただって現界できないのわかってて楯にするつもり?
負けてもいいから時間くらい稼ぎなさいよ。
[どちらを前にするかで騒いでいたところ
男がこちらに気付いたようだった。]
え? ……って、酒?
……。
ごめんなさい。わたしはお酒はちょっと。
リチャード、敵意ないみたいだから。
いっしょに飲んであげたら。
そう、ですか。
[マスターを殺害しようとした、と言うシャルロットに目を伏せる]
ライダーが槍を持つものと戦い始めた、と言うことは、相手はランサーでしょう。
どちらかが散るか、それとも引き分けて双方撤退か。わかりませんが、このままここで立っていても仕方がありません。
マリア、せめて戦いがどうなったのか見届けなくてはいけません。
貴方がいれば心強い。傍までとは言いません、戦いが見える位置まで行きましょう。
やや酒は皆で飲んだ方が楽しかろう。
[宗冬はそう言うと女性を手押し車に放り投げた。]
貴女は私の友人のマスターであらせられるかな。
[露葉の後ろから様子を伺う。
確かに、敵意はない…ように見えるが、正直分からない。
刀を抜いたかと思うと、すぐに収めてしまったようだ。]
酒って…。
いや、酒は嫌いではないけど。
その逃げ方はどうなんだい。
君も来いよ。
もう店は閉めてきたんだろう?
いざ逃げるとなれば、君も連れて逃げられる方がいいし…。
[またぐだぐだと言い争う。]
承知しましたわ。
では、こちらへ……先ほどまで私が、戦いを見ていた場所があります。
[そのままソフィーを、戦闘が行われている噴水から丁度死角となる場所へ連れていく。]
ここならば、安全ですわ。
マスターは私が護ります。
[ソフィーの横に佇んで、2騎のサーヴァントの戦いを*見ていた*]
[相手はサーヴァントだから多少おかしいところはあるのかもしれない。
そうは思っても見た目はどう考えても変質者でしかなく、
さすがに露葉でも背につめたい汗が伝う。]
っきゃ。
[リチャードの腕をがっしり掴んだままだったのに
手押し車に乗せられてしまう。
どうにか降りたいのだが変にはまってしまったらしく
もがいても抜けられない。]
ゆ、友人?
って、これ?
[もがきながらリチャードを指差した。]
[と、露葉が手押し車の中に放り込まれる。
あっという間の出来事。
身構える間もない。
神業。
そんな言葉が、頭の中を駆け巡る。
この男と互角以上に戦ったのだから、やはり「彼」は凄い。
…が、露葉が逃げるなよとばかりにがっしと握っていた自分の腕を離さなかったため、自分も引っ張られることになった。]
おぉっ!?
[そのまま、引きずられていく]
彼とは一緒に血を流した仲でござる。
お、名乗り忘れておりましたな。私は柳生宗冬。柳生新陰流の当主などをやっておりもうした。
[激突する二種の力。
大気震え、眩い光が視界を奪った。
視力が戻ってくると、そこは普段の噴水広場。空はいつの間にか、菫と紺色に染まっていた。]
[倒れた二者。先に動きがあったのは、ランサーの方だった。立ち上がるまではふらふらとしていたが、相手も立ち上がろうとしているのに気づくと、その動きは素早かった。]
[シャルロットに連れられて行った場所で、前方に見える戦いを見る]
J'agrandis la vue.
[わずかに唱えると、自身にだけ前方の様子が、双眼鏡で見たように拡大される]
……白い甲冑……に白馬、そして少年。
[声が聞こえないため、正体はわからなかったが、その容姿には心当たりがあった。だが、それでは少年ではなく少女になる]
おいおい。
「これ」って言い方はないだろう、「これ」って言い方は。
[一応、露葉に文句をつけておく。
そして、宗冬の方を向く。]
あ、あのさ。
その、君と戦ったの、実は僕じゃないんだよ。
僕の中にもう一人いてさ、そいつなんだ。
いや、血を流したのは、確かに僕でもあるわけだけど…。
[…なんと言うか、こういう状況だと随分説明しづらいんだな、僕と「彼」の関係ってのは、実は…。
…。
なんか、周囲の視線が痛い気がする。
気のせいではないだろう。
すごく見られている。]
[―――ぐりゅ]
[ジャンヌの傍に突き刺さっていた槍を引き抜き、皹が入っていた白銀の鎧を砕き、心臓を――霊核を貫いた。]
あれだけ戦っておいて敵じゃなくて、友人なのね。
[感心するしかなかった。
もぞもぞと抜け出そうともがきながら
このサーヴァントのマスターは
さぞかし苦労しているのだろうと心から同情した。]
女性を楯にするような人は「これ」で十分でしょう。
ちょっと、助けてちょうだい。
でられないのよ。
[そしてリチャードに向かってもがきながら彼の腕を
つかんでいない方の手を伸ばす。
周りの視線が痛い。
夕暮れ時の商店街近く。買い物帰りの主婦が大勢いる。]
[密着した体を離し、槍を引き抜く。
一歩後ろに跳びながら、ジャンヌの首を刎ねようとし]
[全てが終わる。
ランサーは久仁彦を真っ直ぐ見つめた。]
わぷッ
[ 激しい衝突の衝撃に、一瞬視界を奪われる。]
は、また派手だねライダーも…て、、、。
[ 視界が戻った久仁彦の目に映ったものは、胸を貫かれた、ライダーの姿だった。
それを成したランサーは一度後方へと跳び、そしてライダー…ジャンヌの首を刎ねようと。]
、、、ぁ。
[ ランサーと、目が合う。
勝ちを確信していたはずが、一転してのこの状況。久仁彦は、呆然とただ、ランサーがしようとする動きを見つめるだけだった。]
良く分からなぬな。
しかし細かな話は座って飲みながらでいいであろう。
早く行きやしょうぞ。
[宗冬は刀お勧めのお店に行くことに決めた。もがくも構わず手押し車を押し始めた。]
[勝負があったらしい。少年が倒れ、青年が立っていた。恐らくはランサー。そして、その近くにいる、マスターらしき男]
……勝負あり、か。
これでライターがいなくなった。
僕の力で引っ張り上げるなんてできると思うのかい。
この状態じゃ踏ん張りもきかないし。
はっはっは。
[左腕もまだ完治したわけじゃないし…。]
諦めてこのまま酒場まで辿り着いてみるってのはどうだい。
[もはや全てを通り越して周囲の視線が気持ちよくなってきた。
宗冬の方を見る。]
いやぁ…。
その、君と戦ったもう一人の方はさ。
君みたいな人、好きだと思うよ…。
あ、そうだ。
僕の名前は、リチャードっていうんだ。
もう一人の方に、名前はない。
[なんか、普通に名乗ってしまった。]
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