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[老人の突如の変貌に、俺はぽかんと口を開けていた。
ちょ、なにが起こったんだ!? この爺様はなにを見ている――?]
あるえー
ちょっとたんまたんま、なにすんのよゥ。
[白兵戦のスキルなんて持っていやしない。あわあわと狼狽えている間に、老人の顔が目の前にあった。]
「あっ――」
「――ずるいです」
[双子が文句を言う。それどころじゃないだろう、この状況ってものはさ――]
どうして心配するかって言うと、どうしてだろ?
見知った人が、誰かに狙われてるなら、それはやっぱり心配だよ。
バックアップはあるんだろうし、何かあったとしても、今は無理でもまたここが元に戻れば、トビーは元に戻るんだろうけど。
ああ、でも、待って?
[立ち止まり、考え込む]
今、ここって孤立してるのよね。多分、だけど。普通バックアップって常時とるものでしょ?
常時でなくても一定期間ごとに。
今孤立してるここで動いてる人の、バックアップって今取られてるのかな。
おじいちゃんくらいなら自分で取ってそうだけど。
[顔を上げてのろのろと滑り出した]
ローズマリー
先ほど、消えた――
[すぐ前の記録を反復する。]
――破壊。残滓。
[答えのわかる問い/誰がしたかは問わない。]
犯人ではない。
[幾度かの反復の後に、ノイズを除去する。]
「―ネイ―ス― 扱 ハ ナカッ 」
――残念な、事です……
バックアップが取られて無いなら、消えた光点みたいに、ここでやられちゃった人たちは、あたしのことは忘れてしまうんだ。
[寂しそうにぽつりと]
それはそれでちょっと寂しいなぁ。うん。
ならなおさら、心配する気持ちは強くなると思う。
[気を取り直したように明るく振舞って、地図を確かめる]
そろそろこの点の近くに来たつもりだけど。ごちゃごちゃしてて良くわかんない。
[辺りを見回した]
― 理想郷<Utopia> / Closed:Morgan's Space ─
ぴょーっ!!!
[叫びが谺する。槍は深々と俺の体を刺し貫いていた。]
ぅうぅぅうぅ――
[その声は、回転数の落ちたレコードのように、澱んだ唸りへと変じてゆく。]
忘れられたくないのですね?
[優しげな風情の音声。
その後に、やはり平板な音声。]
再生<リロード>によって現在活動中のすべての存在から
事件に関する記録が失われた場合、事件の存在自体を抹消することも可能でしょう。
[メイにならって辺りを見回した。
人で言うところの視界とステラのMAPは連動している。光点が存在/示す位置で首を止め、
メイに先んじて一軒の店舗の入り口へ。
"Brute Force"と掲げられている。]
私の槍は「優しい」…。叩き折るは、貴様の心よ。
君は次第に減衰していき、最後には活動をやめる。
[男に向かって、さらに槍を突き出す。]
Brahmaは「誕生」を齎す……。
その体たらくで、我が槍を避けられるか?
―現世/中央部・外―
オネイロスを扱う人。
破壊したのならば、対/ヒュプノスを使うことが可能に?
―― 見つけたならば ……
[右の手首を握った。]
[違うかそうか、判断する術はないが。]
―――― 破壊。
[音階を取らない音を*作った*]
忘れられるのは、あんまりいい気分じゃ、ない。
[双眸が翳ったのは一瞬。すぐに元の明るさを取り戻し]
だよねー。この件そのものをなくしてしまえる存在って、やっぱり一個人じゃ無理そうな気がしてくるんだけど。
あっ――。
[ステラの行動を一瞬見失い、探すと、一軒の店先にその姿]
あ、そこか。
[地図を拡大すれば、確かにそこに光点があり。ステラの後を追って"Brute Force"の中へと]
― 理想郷<Utopia> / Closed:Morgan's Space ─
[新たな槍の一突きが深々と男の肉体に食いこんでゆく。]
うぅぅぅ…ぅ……がぁぁぁぁ……ぁぁぁ…ァ……
[再び喉の奥から迸り出た叫びは長く長く尾を引いた。
老人の変貌に一瞬だけ驚きを見せたはずの双子は、主を襲った異変になぜか動じる気配もない。二人から背を向けたまま、文字通りマネキンのように佇むばかりだった。]
私はメガロポリス。君のような者が、
いいように利用していい代物ではない。
[「誕生」の槍で突いた男を睨み据え、
戦闘の構えを解き、厳しく。]
男も「妊娠」する体験をしてもよかろう。
それは、私に生半可な気持ちで近づいたツケと思え。
仕上げだ。何が生まれるかのう。
[最後に男に突き出すのは、「繁栄」の槍。
すべてのパフォーマンスは暴走するほど向上。
「誕生」までの時間までも。]
― 理想郷<Utopia> / Closed:Morgan's Space ─
あぁあぁああああ――
[のけぞりながら、“男”は繁栄の槍を受け入れた。
半開きになった口から喘ぐように息が漏れる。
その顔はみるみるうちに、少女のものへと変じてゆく。]
くく……くふ……
くくくくく……くく……
[どこからか、笑い声が漏れた。]
ご老体――老いたりといえど、意気盛んなのは素晴らしい。
その猛き巨鉾のように――。
[ゆっくりとマノンが振り返る。その顔にはいつしか鼻眼鏡が張りついている。]
ファンタァースティック!!
[両手をいっぱいに広げる。虚空から浮かび上がったインバネスが闇の中大きく膨らんではためいた。]
貴方は人を驚かせるのが好きな方だ……
なにが起こるのかと、本当に驚いたよォゥ――
―― South/Webcafe"BruteForce"
(南部/電脳喫茶) ――
[受付では、女性型の――ものが倒れていた。
BGMが静かに流れている。
入り口付近に備えてあったドリンクサーバーへ干渉すると、orangeの液体が流れた。]
メイ。
忘れられるということは、
つながりを失うということですね。
なるほど……これは一杯食わされたな。
[槍を握り直し、再び体勢を低く。]
やっと「君」のお出ましか。
やはり、私の睨んだ通り「君」には、
見せていない底があったようだな。
今度は「君」の番だ。私に終焉を。
― 理想郷<Utopia> / Closed:Morgan's Space ─
貴方の矛先が選んだのは、“マノン”だったようだねェい――
[老人の足元に、銀髪の少女が崩れ落ちる。
深々と貫かれた少女は、息も絶え絶えにその場にしどけなく身を横たえた。だらしなく投げ出された内腿がかすかに痙攣している。
ミラーリング修復機能を備えた身代わり防壁――Biscuit。
だが老人の槍は、破壊ではなく期待していた効果をもたらしてくれそうだと男はほくそ笑んだ。]
― 理想郷<Utopia> / Closed:Morgan's Space ─
ご老体――。
私は貴方に聞きたいことがあるのだよゥ。
私に終焉をもたらす力などないね――。
せいぜいできるのは――死に水をとるくらいのこと……。
貴方の役割は、メガロポリスを護ることだと――。
それはどういうことなのだァい?
そして、不可侵領域――
貴方は本当にそこを守護している?
そこになにが――
なにがあるのだぁあぁああぁい!?
くっくっく………気に入った。
君の心を折るつもりが、別の女子を孕ませるとは。
孕ませた以上、「認知」しないとな。責任とらないとな。
[戦闘体勢を解除]
何かね?
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