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−Date:3 黄昏前:噴水−
[燃えるように赤い空]
[誰もいない夕暮れの公園]
[対峙する、二つの影]
…吾は騎兵。
幾千の騎馬、幾億の戦車を操る、至上の御者。
[コートを脱ぎ捨て、白いセーターと白いシャツ。
腰の裏には皮ベルトで吊るされた懐剣。
スラリ、引き抜いて]
吾の前、立ちふさがるものはすべて───薙ぎ倒す…!
[そのまま走り出す。
疾駆する細く小さな体はいつ風に煽られてもおかしくないほどだったのにそれこそ文字どおり風のような速さで槍兵へと肉薄する]
−『魔女の館』−
……。
食べながらしゃべらないでちょうだい。
行儀悪いわよ。
[ケーキがなくなったのをみて、
お茶のおかわりを注ぎ、
プラムとミントのゼリーを差し出す。]
……ふぅん。
役に立つような立たないような話ね。
― battle field:噴水 ―
[黄昏]
[世界を支配するは朱色]
[伸びる影は長く]
[普段の気だるい気配の中、違和のある二者]
[殺意]
[対照的。黒いセーターから始まり、黒一色の装い。]
[白刃。夕闇に照らされ、血に見えても良かっただろうに、その輝きは、朝日を反射するように、清い。]
来るがいい。ライダーよ。
嘗て携えた武器はなけれど、この身は武器を選ばず!
[ランサーの一撃をあえて、
致命的にならぬ箇所に、 受ける。]
さすが、アーチャーだな。
うんうん。
[一人でうなづき、茶とゼリーに手を伸ばす。
まずは新たに注がれた茶をすする。]
ずずっ…
あちっ!
[またやった。
…。僕って…。こ、懲りないなぁ…。]
ついでに、最初に戦った刀の男のことも思い出しておこうかな…。
[情報が整理されれば、「彼」だって少しは気にするかもしれないじゃないか。
…という、限りなくゼロに近い望み。]
えーと…。
[高く上に飛び上がることはなく、ぐんと近づいてまずはその初撃は二の腕を切りつける程度。
本人としても当てる場所はぎりぎりまで迷ったような気配が若干あった。
速さは同じ、斬りつける刃を受け止める様子に相手の能力値は日中嗾けてきた暗殺女とそれほど変わらないように思える。
いくらか間合いを計りながら次の撃のために刃を煌かせる。
狙うは傷をつけた二の腕と反対側の腕]
[あ、駄目だ、よく思い出せない。
あの時は「彼」も久々で大興奮だったしな…。
いや、昨日もあまり変わらなかった気はするが…。]
とにかく、一撃が重かったな。
浴びた攻撃の回数は多くなく、「彼」も急所を外すだけの動きはしていたけど、治療にはえらく時間を要した。
あとは、あのサーヴァントも、楽しそうだったなー。
攻撃はあっちからだったっけ。
結構「彼」と似ているのかもしれない。
それと、マスターにも攻撃能力があったみたいだったな。
大した威力ではなかったけど…。
[ま、ま、まぁ。
そのくらいか。
こっちのが役に立たないかも…。
とりあえず、ゼリーをぱくつく。]
うん。
んまい。
…。
[少し、黙る。]
あとは、聖杯を求める理由、か…。
それは、
[「彼」には、知られたくないな。
「彼」には、酷な望みだ。
「彼」も、薄々感づいては、いるようなのだが。
…自分の尻拭いでも、ある。]
生き残れば…勝てば、分かると思うよ。
それじゃ、駄目かな?
大した、願いじゃない。
小さなことだ。
でも、それが積み重なれば、違う歴史も、あったかもしれない。
これで…
[ぱた] [ぱた] [ぱた]
[血が地面に吸い込まれる]
[ぱた] [ぱた] [ぱた]
……同盟は破棄された。
[傷つけられた二の腕の傷を見、槍を具現化させた。先程までの無抵抗な様子は既にない。
背程もある槍の柄を、トン、と地面に叩きつけた。]
来い、ライダーよ。
貴方がどこの英霊であろうが、
本気を出さねば、私は殺せん!!!
[一喝し、瞬時、肉薄。そのリーチを生かし、少女の胸元向けて鋭く一撃を突き出した。]
思い出しても仕方がないと思うけど。
だって、また会ったとして
あの人突っ込んでいって
刀と接近戦をしちゃうだけでしょう?
……わたしも正直あのときのことよく覚えてないし。
魔力使われすぎでね。
結局サーヴァントってみんな戦うのが楽しいものみたいだ。
ということ以外、情報はないに等しいんじゃない?
[使えないわね、と小さく呟く。
そして続く理由を語る言葉は
とても曖昧なものだったが露葉は素直に頷いた。]
ふぅん。
よくわからないけど。
……それは聖杯でなければ叶わないことなのね。
…。
[ちょっと傷付く。
いや、自分を無能と散々言ってきたのは自分なのだが。
だが、特に返す言葉も思い浮かばない。
ゼリーを口に運ぶ。]
…まぁ。
誰も、過去を変えることはできない。
過去へ遡ることも。
でも、聖杯はそれを、あるいはそれに似たことを実現できる。
それだけのことだけどね。
[*「僕」にとっては。*]
………くっ…!
[具現化された槍に小さく舌打ち、胸を貫こうとするその穂先はすんででしゃがんだ事で胸ではなく肩先をいくらか抉る。
ギリと歯軋りひとつ、白いセーターもシャツも次第にじわと赤に染まれり]
…どこの、だって?そんなに聞きたきゃ、教えてやる……!
[具現化された槍に敬意を示すかのように懐剣の握りを持ち直せばその剣すらりと伸びて現れる突剣]
…我名はジャンヌ。
(オルレアンの聖少女)
La Pucelle Jehanne D`Arc……!
[先ほどより間合いの伸びた突剣、フルール・ド・リスの飾られた手で握り]
俺の本気を望むなら、自らが本気になればいい!
[槍の間合い、逆に大きくうちに踏み込んで繰り出される人にあらざると思わせるような速さの突撃、大きく斬り付けにかかる]
― 噴水 ―
ああもう、いったいなんだっていうんだよこれはっ
[ 二人のサーヴァントが交錯する。その光景を少し離れた場所から見ながら久仁彦は声を荒げる。
自分を殺そうとしたサーヴァント――シャルロット・コルデと名乗った女――をライダーが追い払った。そこまではいい。
その後、そのシャルロット・コルデという名前がどこの誰なのかを考え込んでいる間にライダーが突然戦い始めたのだ。相手は、非戦協定を結んでいたはずのランサー。
なにが起こっているのか、理解できない。]
ええい、先に手を出したのはどっちなんだよ。もしかしてライダー、協定のことちゃんと判ってなかったのか?! てか、向こうのマスターはどこでなにやってんだよ。
[ 戦闘に巻き込まれないようにしつつ、協定を結んだ相手の姿を*捜した*]
[刹那。ランサーの体は、地面すれすれに四つんばいに近い格好に低められた。
ランサーの体が回転する。槍も同様。止めた一撃から、突剣を巻き込むように、上方へ円…螺旋を描きながら、更に突き出される。
一回転した後、反転させた槍の石突でライダーの頭を砕かんとばかり、狙う。]
聖なる乙女……ジャンヌ・ダルク。
[攻撃の合間、ランサーは呟く。剣戟の音を無数に響かせながら、睨みつけた。]
[初撃で傷がついたのは肩。
次の攻撃では頬を掠めた穂先が赤い雫を落とさせる。
暗殺女との戦闘は苦ではなかったもののそれは確かに英霊の体内に疲労を蓄積させていた。
石突の攻撃を横に避けると、英霊は小さく舌打ちをし、後方に大きく下がる]
…負けない。負けて、たまるか…!!
[柄を強く握る手、指輪がかみ合ってギリと鈍い音を立てながら白銀に輝くレイピアで相手の胴を狙う]
くっ――!
[ランサーは距離をとり、双眸を半眼に細めた。柔らかな微笑みは、この場にふさわしいものだったのか?
じわり。黒色で分からないが、胴に血がわずかに滲む。]
勝気な性格だ。
私は、ラーマ・チャンドラ。
古代インドに存在したアヨーディヤ国の王。
だがこの身は、人でありながら神の力を振るうがためだけの器。……それほどまでに望むなら、見せよう。
ジャンヌ。貴方が闇の力と感じた、光の力を。
[双眸は赤く、肌はシャクティ(魔力)で青く。それは、人間とは言いがたい容姿だ。]
……滅びの力を。
…性分だ。
[空を切り裂いた剣振りぬき、そして目の前の男の片言に僅かに目を見張る。
赤は、とても美しい色をしていた。
丁度、そう。薔薇のような深く尊い赤]
────!!
[鋭い突きに抗うように全身は白銀の甲冑を纏う。
がぁん、と重たく腕を麻痺させるには十分な重みを支える力。
響くは白馬の嘶き、手には白き戦槍。
共に百合舞う戦場を駆け抜けた白き馬、その存在がゆえに英霊は騎兵であった]
[――ガァン]
[――ガァン]
[――ガァン]
[ガガァーン]
[何度、その鎧の強度が持つのかを試すように、幾度も槍で攻撃が与えられる。"待つ"という行為を知らないように。間断なく攻撃を続ける。]
[音は、衝撃は、鎧を伝って全身に響く。
防ぐのが精一杯、鎧の強度と戦槍で幾度か防ぎきらなければ、すでに自分など無くなってしまっていただろう。
攻撃を防ぐさなか、唇が揺れる]
フランベルジュ グラドゥアーレ
─── 天 使 わ す 白 百 合 の 細 剣 昇 階 唱
[瞬間、槍が炎を纏う。
揺らめく炎すら、英霊を取り巻く色は────白。
炎は揺らめき、熱を発し、槍兵の攻撃を妨げるように彼の槍すら伝い]
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