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申し訳ないが、事が済むまで君にはおとなしくしていてもらう。
しばらく黙っていてもらうことになる。
最後に、云っておきたいことがあるかい?
[目隠しをされたままの彼女の顔に、私は猿轡をかけようとしていた]
[顔も分からない男が上のほうで問いかけ…いや、何かを説いていた。しかし責め立てられた末に犯されて萎えた身体では一向に耳には入らなかった。
縛めに抵抗する力もなく、力無く息をするばかり。]
―ボブ邸・少し後―
[下着姿となり靴を履いていないネリーを抱き上げた。身を捩り逃れようとする彼女を物置に押し込める。]
できればすぐ開放できれば、と思うけどね。
それは、彼次第だ。
[そう云うと、扉を閉じた。ネリーの周囲は薄闇に包まれた]
ふ…んんっ!?
[下着と目隠し、猿轡に後ろ手に縛られただけの姿になったネリーは軽々と持ち上げられ、狭い空間に押し込められた。]
[──人が人を喰らう。
私は直感的にその言葉が出て来た事に驚く。例えば野犬が、あるいはペット屋敷で有名なボブ・ダンソックの飼い犬が身の毛もよだつような事をしでかした。そう考える方がよっぽど自然なのに。どうして?
私は直感が当たっている事を何故か確信している。
リックから漂う血の匂いに私の意識は吸い寄せられる。
……血が足りない。]
[ギザギザとしたリックの断面。
私は舌なめずりをして、従兄の死体を眺める。それはこの喉の飢(かつ)えを満たすにはあまりに質量が少な過ぎるのではないかと。
それに確かに、私は私を抱いてむせび泣くパパの背にこの手で触れた──…と信じてるけれど、この透明の柩の蓋を開き、リックの納められた台座まで近付くだけの力が今の私にあるのか。
けれども何故か、最初に目覚めた時よりは随分と状態はマシな気がするのだ。私はまず起き上がる事を試みようとする──。]
…あふっ。
[起き上がる為に力を入れた下腹部に違和感が走る。
それは甘い痺れ。
私の内側に何か温かい液体が──…まさかパパの。
それに、入口付近に何かが詰められているみたい。
身体を動かそうとすると、何度も私を持ち上げては攫って行く痛みと高揚の波に溺れたあの時間を体が思い出すのか、小さな挿入物を締め付けて私の内側が勝手に震えた。私の内側からも淫臭に混じって血の匂いが──。]
──…起き上がれないと「これ」も取れないわ。…あん。
[私は、何故自分が此処に居るのか理由がわからなかったし(記憶が途切れている)、これからどうなるのかも予想がつかなかったけれど。今まで知らなかった快感を身体が得ている事を、私自身の生存の根拠にしようとそう信じる事にした。それに、私の内側でパパが放ったものが揺れた、と言う事は私が体を動かす事が出来た証拠なのだと。
何故か栓をされてしまっているその場所はもどかしかったけれど、もう少し、リックの血の匂いに誘われて目覚めた、この餓えが我慢出来る間は、眠って体を休めようと。
…それにしても、この場所は暗く冷たくて寂しい。]
…リック。
ねえ、リック。
[リックが、ルーサー牧師のように魂だけでも目覚めないかどうか。私はリックの身体を喰うことを考えていると言うのに、試みに猫を撫でるような声でリックの名を*繰り返し呼んだ*。]
――――――
大音量で唸るカーラジオ。男は上機嫌で朝のハンティングの愉悦を反芻しながら、唄っている。隣の座席に置かれたケージを揺さぶると、中の愛犬も吠え声で唱和した。
不満はといえば、災害で足を運ぶことのできる町域が制限され、狩るべき獲物の数が減ったことだっただろうか。今日の獲物は随分小振りだったことを思い出す。車内には、返し忘れた“もの”があったが、大きな問題ではない。アーヴァインの屋敷も焼け落ちていたのだから。
ハピネス・ハンティング。愛犬との散歩。家には愛すべきネリーも待っている。
申し分のない一日の始まり。
愛する家族たちとの食事を楽しむために家に戻ってきた彼は、芝生の上に車を停めた。しかし、エンジンを止めるとなにかがいつもと違う。明確にそれがなにかはわからない。ただ、五感がピリピリと奇妙な気配を察し、肌が僅かに震えた。愛犬たちもケージの中でいつになく押し黙っている。彼にはそれらが気に入らなかった。幸福な一日の始まりであるはずなのに。
『ああ……』
自宅に足を踏み入れ、違和感の正体にはすぐに気がついた。音響セットのスイッチが入ったままだったのだろうか。それとも、ペットがスイッチをひっかけてしまったのだろうか。ステレオセットが大音量で音を奏でているのだ。
奥の部屋にある筈のそれが、腹に響く重低音で微かに玄関先のガラスをも震わせている。
「ネリー、なにしてんの。止めないとダメでしょ」
男は家族同然に可愛がっている使用人の姿を探す。
いつもなら、すぐ返ってくるはずの華やいだ声が今日は聞こえて来ない。
キッチンや居間、裏手を覗く。
彼女は自分の部屋に居るのだろうか? だが、そこにも見あたらない。
ひとまずステレオの電源を落とすべく、開けっ放しにされたスタジオのステレオセットに足が向かう。
――――
――――――
男が車から降り家に入ってすぐ。玄関から死角になる壁際から一つの影が車に向かう。
ブツッ。
破裂音に近い音と共に、アルファのタイヤからシューシューと空気が漏れ出す。
開いたままの窓から手が差し入れられ、車中に落ちていた小さな釦を拾う。指が座席の隅に転がっている小さな布地を広げ、それが何かを知る。
離れた手は、ゆっくりと力を込めて握りしめられる。
立ち上る感情を凝縮させるかのように。
――――
――――――
家の中。娘を探す男の眼差しが、ステレオに張られた一枚の紙に引きつけられる。
よい使用人だ。来客をもてなすすべを心得ている。
たっぷりと味わわせてもらった。
彼女はどこかって? 客間で待ってるよ。
男の血が瞬時に沸き立った。怒りに打ち震える彼の喉から咆哮が迸り出る。
扉を蹴破らんばかりの勢いで、客間に踏み込む。
異様なほどに静かなその部屋に、その娘の姿はない。
――否。半ば閉じられたクローゼットの扉の隙間から、ブルーのワンピースの裾がはみ出ていた。足下には、ほんのわずかに靴が覗いている。
「ネリー……」
厭な予感が男の心を侵食してゆく。震える手でゆっくりとクローゼットを開く。
――――
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