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暗算をするサーヴァントとはまた恐ろしい。
ただ暗算ならば桁数の多い計算は難しいはず。算盤を持ってすれば勝利は間違いないであろう。
[宗冬は両手で美貴の手を優しく包み込む。]
たとえ人類が滅亡しても美貴殿だけは守りましょうぞ。
されば美貴殿を守る為、公園に行きましょうぞ。攻めるが勝ちであります。
[こう言うと宗冬も少し、ほんの少し手に力を込めた。その嫋やかなる美しい指が壊れないように、深く感じ合えるように。]
宗冬様……、相手の弱点を即座に見抜いて対策を思い付くなんて、さすがですわ。
[感心しつつ、続く言葉にうっとりと聞き惚れる。]
宗冬様、アタシ嬉しい……。
ええ、参りましょう。
二人の輝かしい未来のために。
[目をキラキラとさせて立ち上がった。]
いやいや、敵の宝具を暗算と見抜いた美貴殿こそが称賛されるべきもの。その知性たるや金剛石の如く煌めいております。
では、算盤を買ってから参りましょう。二人の栄光の未来のために。
[宗冬もあらん限りの輝きをもって立ち上がった。支払いを済ませ美貴の手を引いて店から出ていった。]
宗冬様、こちらですわ。
[宗冬の手を引いて文房具屋に入る。
気分は新婚の家具選び。
――二人で一つの算盤を弾く甘い一時を夢見る。]
−商店街−
[歩きながら、目的の場所がないことに気づく。伝えに着たけれど、どこにいるのかがわからない]
あのマンションに行けば、会えるのだろうか。
[宗冬は算盤を手に入れた。それは美貴の選んだ算盤である。その事実は宗冬にとっては愛そのものである。つまり今の宗冬の歩みを止められるものは何もないということ。こうして宗冬と美貴は公園に向かったのだった。]
だから、何と言おうと、俺は俺がやりたいようにしかやらない。
さぁ、行こうぜ?
公園に行けば、俺は戦えるのか?
俺に撃たせろよ。
それが俺の存在意義だ。
そのために、俺はここにこうしている。
それさえ貫けるなら、結果がどうなろうと、構わねぇ。
「彼」がどうかは、知らんがな。
クハッ。
[笑う。
俺は俺の、意思を貫き通して見せる。]
− 樹那森林公園 テント前 −
[アーチャーかバーサーカーが尋ねてくるのを待ちながら、少し不安になり始めていた。
バーサーカーというクラスは狂化によって戦闘が始まると敵味方区別つかなく暴れ出すだろう。
さらに自分が目にしたアーチャーも戦闘中正気を保っているように見えなかった。]
アーチャーとバーサーカーが同時にこの場に来たらまずいかも…
― 樹那森林公園 ―
[ランサーは公園内に入ると、レイラインを辿りながら、久子の元に歩いてゆく。もう一度だけ話をしてみるつもり、だった。
程なく、見慣れたテントが視界に入った。]
全くだよ。
アーチャーとバーサーカー。
どちらかといえば、バーサーカーの方が理性はあると思えるのが興味深いというか厄介というか……
此処に未だ居たとはね。
さっさと逃げた方が安全だよ、ヒサコ。
[商店街から駅前、噴水付近までを捜して歩く。都合よく見つかる、と言うわけもなく、やがて噴水傍のベンチへと腰を下ろした]
今の時間、マンションにいるとは考えにくい。彼らは情報を欲していた。なら、情報がつかめるように動くだろう。
他のマスターやサーヴァントに接触するか、それとも……。
来たね。
いわれなくても危なくなったら逃げるよ。
さっき沖田敬一郎と話した。
彼とあなたの望み…気持…理解できないものじゃない。
でも、私はあなた達の望みを実現させるわけにいかない。
―公園へ向かう道―
[気持ちが逸る。]
あぁ、おい。
最高じゃねぇか。
[歩くにつれ、両腕の震えを抑えられなくなっていく。
戦いへ向かう、引き金を引ける場所へ向かう感覚。]
あぁ、もう、おれ、なにもかんがえられねぇよぉ。
[露葉の先導に任せて歩く。
ろくに前も見ていない。
このクソ女までが戦闘を許すなら、きっと存分に楽しめる。
そう思うと、もう、]
望みか……。
[久子を突き抜けて、遥か遠くを見るように。]
良いだろう。ヒサコ。
生きるものとして、それは必然の望みだ。
[ランサーは槍を具現化させると、石突を久子に向けた。]
少しの間、眠っていてもらう。
[ランサーは、久子に向かって疾駆した!
久子が"避けよう"とするには、間に合わない距離。]
あぁあああ。
まだかよ。
まだなのかよ。
はやく、してくれよぉ。
[露葉の言葉は、もう聞こえていない。
脳髄が、引き金を引く快楽への期待感に、支配されている。]
[身をかわすリアクションを取りながら、令呪に意識を集中する。
ランサーの突然の行動にも咄嗟に行動できたのは、あらかじめそのように令呪を使用するつもりだったからだ。
令呪に向かって強く意識を集中して命じた。]
「マスターの許可なく攻撃することを禁じる!」
[令呪が光りその一画が消える。]
―公園、入り口前―
さぁて。
どうすりゃ、いいんだ?
ここなんだろ?
[少し、戦闘の空気を感じる。]
あぁ、もう。
[がまんできそうに、ねぇ。
左手を上げ、中指で眼鏡をつり上げて、降ろす。
次の瞬間には、両手に銃が握られている。]
さぁ、楽しもうぜ。
俺の愛すべき同類達よ。
[ランサーは笑う]
予想通りか――。
それで次は、協力者からの攻撃と言う事かな。
――ヒサコ。
[悔しがる素振りすらなく、爽やかに問う。
繰り出された動きは途中より失速。久子の鳩尾に命中する筈だった石突は、軽やかにかわされた。
体が重くて仕方ない。予想外だったのは、令呪の威力だった。]
[情報を得ようとして彼らは人に頼ろうとした。けれど、自分たちでも調べているはず。その上でわからない部分を聞こうとしていたはずだ]
ということは、人でなければ、書物?
[自分がどうやって情報を得ようとしたか、それを考えると答えは明白だった]
本屋か、図書館、かな。
でも、本屋も覗いてみたけど、姿は見えなかった。
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