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よぅ、マリアちゃん。
[片手を挙げながらその場に近寄る。
なるべく川の近くへと移動し、その場で立ち止まった。]
それに誰かと思えばランサーか。
マスター裏切ってまでヤツに付いたお前がココで何してんだ?
[俺でも狙いに来たか?おどけた感じで言葉を投げた。]
― 商店街・カフェ ―
[ケネスは香野も帰り、少し時間が経った後、久子の言っていたランサーの真名を調べてみようと思い立つ。]
おい、宗冬。図書館行くんで着いて来てくれや。
[そう声をかけた。]
チャンドラさん。
今回、何故英霊の座から、貴方は召還されたのか、教えていただける?
[アサシンではないか、という相手の推測を否定はしなかった。今戦闘になれば、確実にキャスターとの共闘が組める。
それはアサシンにとって、単独でサーヴァントと対峙するのとは雲泥の差となる。]
あら、ごきげんよう。
[キャスターに声をかけられ、ふわりと微笑を返す。敢えて呼び名は口にしなかった。
続いた"マスターを裏切ってヤツについた"と言う言葉を受け、自然と視線は目の前のチャンドラに戻る。]
……奴?
キャスターか。
最初から、私の使命だっただけの事。
私のマスターと分かり合えずとも、優先するは使命。
それだけの話。
[キャスターに告げ、アサシンの問いに答える。]
これも今、キャスターに話した内容と同様。
「人類の滅び」を聖杯に願うがために。
私は召喚された。
ほー、なるほどなるほど。
いやーご立派だ!
自分の意見関係な使命優先なんて、俺には"絶対"に真似できないね。
[手を叩いて皮肉げに褒めるキャスター。
そして、手を止めると吐き捨てる様に言葉を続けた。]
ハッ…そりゃ自分の妻も追放できるわなぁ?
なぁ、ラーマさんよ?
図書館なら先程行ったではござらんか。
それがしはここでしばらく美貴殿と愛を育むことに致す。
如何にマスターと言えどそれがしと美貴殿の仲は引き裂けませんぞ!
[宗冬は野良犬に対するかのようにしっしっと手を振った。]
[ランサーの言葉、人類の滅び。
そして、キャスターの態度。
彼に該当する存在。
マスターから先ほど聞いた話。
全てのピースが、組み合わさるような、そんな感覚……。
暫く黙って二人のやり取りを見守ろう、そう決めた。]
何いぃ?何だその仕草は?
何を色気づいてやがる!
お前、愛を育むってそいつは……
[キャスターのマスターだぞ、と言いかけてやめる。]
まあ、停戦て話もあったばかりだし、いいか。
とりあえず、いいから来いよ。
[ケネスは宗冬を無理矢理引っ張るが、梃子でも動きそうに無い様子だ。]
ああ、時間の無駄だ!もういい!
[図書館まで人通りも多いし、大丈夫だろうとケネスはたかをくくる。]
じゃあ、後でちゃんと来るんだぞ、いいな?
[伝票分の代金を宗冬に渡すと、*ケネスは外に出ていった。*]
追放?
ああ――
叙事詩に書かれた話はそうなっているのだったな。
[キャスターを見る。周囲の景色を全て反射する双眸。]
私の妻は、神から与えられたものだった。
妻は、私自身がおかしたある過ちによって投げつけられた呪詛により、私の目の前では決して笑わぬ人形と化した。
そして、もう一度の過ちで、
彼女は神々の元に戻された。殺されてね。
私が、敵の手より助け出した彼女を、
疑いさえしなければ、そんな事にはならなかったろう。
神の意思を疑わなければ。
[久子がキャスターのマスターと接触していた事から、自分の事は知られていると思っていたランサーは驚く事なく、キャスターへ淡々と対応した。]
神の意思ねぇ…。
[詰まらなさそうに呟く。
正直、そんな物に対して意味を見出せない。]
それで?ご大層な言葉を並べてるけどよ。
結局はお前が自分の女を疑って死なせたんだろ?
…気に入らないねー、自分の女を信じる事に"神の意思"なんて大層な御題目掲げる奴は。
伝承では、お前に疑われた事を嘆いて目の前で大地に飲み込まれたんだっけな?
そうだ。
私が疑い、それによって彼女は死んだ。
[ランサーは肯定した。]
…一瞬だったよ。
私が疑った、その一瞬に。
彼女は驚きすらしない。嘆きすらしない。
ただ、地が割れて閉じた。
体を濡らした鮮血の迸りの感触を、今も忘れる事はない。
[目の前で語るランサー。チャンドラと名乗った男。
淡々とした語り口で妻の死を語る様子。
ふと、己のマスターを思い出した。
ランサーの表情に感情が見えないだろうか。そう考えながら*表情を見つめた*]
−教会−
[空穂との会話を追え、教会に戻ってくる。
夜通しの作業だった為、少し横になり休憩と取る]
・・・・・
[そして、例に違わず彼は生前の記憶という名の悪夢にうなされた]
− 教会前 −
[店を出たあと、ランサーの気配に気づき後を追ったが結局戦闘にならなかったのを見届けて公園に向かって歩きだす。
考えながら、沖田敬一郎と昨日教会に行く約束をしていたことを思い出す。
別に約束を守る義理もないし遅すぎると思いながら、人類の滅亡のために動いているランサーの目が時折悲しい色をみせていることを思い出す。
なぜ、彼らは人類の滅亡を望むのか。
お互い妥協することはないように思うがそれを知ることは意義があるような気がして、久子は教会の前に来ていた。]
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