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ま、こんな真っ昼間からこんなところで派手にやり合いたがるサーヴァントなんて、そんなに…いや、いるか。
「彼」ならむしろ、その方が喜びそうだ。
…さて。
[とりあえず、この格好をどうするか。
…体に付いた血は拭き取ったが、服に血の跡が残っている。]
元々真っ黒だし、気にはならないかもしれない。
糸を生成して縫ってしまうだけでも構わん気もするがな…。
「彼」は、ああいう戦い方をする割には、格好をつけるからな。
[少々躊躇ったが、自室にあったクローゼットを開けた。
何か違和感なく着られるものがあるかもしれない。
…と、並んでいたのは、男物の服だった。]
…?
彼女の他に、ここに誰か住んでいるのか、いたのか…?
家族か、それとも…いやいや、まぁ。
[深読みはするまい。]
― 午前 ビジネスホテル 508号室 ―
[遮光性の高いホテルのカーテンの隙間から日差しが差し込む、その角度と高度は朝が終わりかけていることを示している。
寝返りを打ちながら目を少し開ける]
うーん…
!!
うわあっ!!ヤバイ!!
[寝る前に護符をはり忘れていたことに気づき、自分に入ったまたは入ろうとする存在に、抵抗するため魔力を高める。
どうやら憑かれてはいないようだ。]
ふむ・・・・・・ 成る程、これは中々だ。
マスターに用意させよう。
[紅茶はどうやら敬一郎の淹れたものの方が口に合っているようだが、ともかくこの茶色の洋菓子は甘い。誘惑という名の罪に味があればこのようなものなのだろうなと考える]
私に何かを感じ取り反応したのであれば、とりあえず君は優秀と言えるだろう。
どれ、一つ礼として何か君の願いを聞いてやろうではないか。言ってみろ。
もう、お爺ちゃんは心配性ねぇ。
大丈夫、タロはあれで結構頼りになるんだよ。
[キャスターの不安に胸を張って応える。]
それに、いざとなったらこれを使えばいいでしょ?
[右の袖を捲り上げ、3画の痣を見せた。]
― ビジネスホテル 508号室 ―
[ランサーはベッドの上で結跏趺坐をしていたが、久子が目覚めると対面から微笑む。]
おはようございます。
ヒサコ。夢見が悪かったのですか?
[慌てた様子の久子に声をかける。]
そうでしたか。
好みを聞いてお出しすればよかったですね。
[少しだけ残念そうな顔をする。
が、また来たいという言葉に微笑んで頷く。]
えぇ、いつでもいらしてください。
次のときはお友達もごいっしょに。
[深い意味はなく、一人でお茶を飲むよりは楽しく過ごせるだろうという気持ちで、そう付け加えた。]
ふぅ…
[安堵の溜息をつき時計を見ると9時を回っている。]
え?朝?
[彼女のような体質の人間が無防備に寝ていて、何もなく朝まで眠り続けられるということはどう考えても不自然である。
その空間内が何かに守られている事に気づく。]
これは…ランサーの結界?
さて、僕が話せるうちに、マスターと少し話せるといいかな。
今、下の方に行ってもいいもんかな?
[クローゼットの中にあった服は、サイズもピッタリとはいかなかったが、違和感なく着られた。]
…ま、傷は隠れているし、いいよな。
怒られると、後で「彼」がうるさいかもしれないが…。
[く、と眼鏡を右手の中指でつり上げて、部屋を出る。
迷惑にならないよう、静かに1階へ降りていく。]
[やっぱりな、うん予想通りだ!さすが俺!
ああ、なんだか悲しくなってきた。
ガッチガチのお堅い奴もまっぴらだが、ここまで呑気な奴も勘弁願いたかった…しかも女だから強くいえない俺自身が更にダメすぎる。
もう召喚されて何度目になるだろう溜息をつく、このままじゃ精神まで年寄りになってしまいかねないほどだ。]
…わかった。
ただし、何かあったら躊躇せずに余分だぞ?
俺は適当に歩いてくる…だからとりあえず金をくれ。
[というわけで、とりあえず深く考えるのをやめて金を要求することにした。
だってほら、何をするにも金が要るみたいだしこの時代。]
いいえ、お代を支払えない私にお茶を出して下さったご好意は忘れませんわ。
[残念そうな表情に、慌てて片手を左右に振った。]
所で、このお店は1人で切り盛りされていらっしゃるの?
[キョロキョロと辺りを見渡した。その行為が不自然ではない言葉を添えて。店の奥に、住居と思しき場所へ繋がる扉が見える。]
[ケーキを食べ終わり、残った紅茶を飲みながら、沖田を観察する。優秀だといわれ、困惑の表情を作る]
魔術学校では、特別いい成績、というわけでもありませんけどね。
願い、ですか。
[言われて思案する。シャルロットにも聞かれたが、いまだ答えは出ない]
私には、願いというべき物が見つからない。
人が何かを願うときには、そこに対して何かしらの執着や希望があるのでしょう。
次にお会いするときまでに、願いが何か、考えていても良いですか?
今の私には、まだ決められそうにありません。
― ビジネスホテル 508号室 ―
もう、朝だよ。
[結跏趺坐を解くと、ランサーは立ち上がり、久子の問いに頷いた。]
キンキニーという、簡単な結界です。
この国では、強い結界ではありませんが、他のサーヴァントからの目隠しぐらいにはなると思ってかけました。
はい、じゃあこれ今日のお小遣いね。
[財布から結構な金額を取り出してキャスターに渡す。]
大丈夫よ、アタシだってまだ死にたくないもん。
もしもの時は飛んできてね。
それじゃ、またねー。
[ぶんぶんと手を振ってキャスターと別れた。]
ならばまだその魔術回路の扱いが未熟なだけだろう。
どんな学問を学んできたかは知らんが、自分に合わない施術では何も改善しないことも中にはあるだろうな。
[紅茶をすすり]
成る程、ならばまた次の機会に願いを聞かせてもらおう。
[そう言うと、席から立ち上がり]
どちらにしろ、今度は私が茶をご馳走しよう。
行ったか…。
[去っていくマスターを見送りながら感慨深げに呟く。
そう、今自分は一人なのだ。つまり…。]
やっと羽根が伸ばせるぞぉぉぉぉ!
[どっかのボケの手綱を握らなくても大丈夫と言うことである。]
さーて、どこにいこうかな!
うん、とりあえず女のいるところだろ!
[金をポケットに入れ、キャスターは楽しそうに歩き始めた。]
[店に繋がっているらしいドアを少し開いて様子を伺うと、
茶を飲ませるような類の大きいとは言えない店のようだった。
客も少ない。
…やっていけているのだろうか。]
…おはよう、何か手伝えることでも、ないかな?
[不審にならないよう、にっこりと笑い、ゆっくりと入っていく。
…と。
何故かこちらを見ていたらしい、見目麗しい客らしき女性と、バッチリ目が合った。]
[立ち上がった沖田を見て自分も立ち上がる]
では、次の機会があればそのときに。
次におごって貰うのなら、あまり「お礼」はいただけない気はしますけど。
[レジでお金を払い終わり、喫茶店の外へと出る]
―昼・住宅街―
[キャスターと別れて自宅に帰り、愛犬を連れて再び外出した。]
タロ、待たせてごめんね。
今日はどこいこっか。
「バフワフ!」
[ハーネスを握り、愛犬が引っ張るままに住宅街を練り歩いている。]
えぇ、店をやっているのはわたし一人です。
誰か雇えればいいんですけど
それほど余裕もありませんし……。
[そう応えた時、住居に繋がるドアが開いた。]
……起きたのね、リチャード。
すみません、お客様。
彼は居候で……。
[言い訳しようとしたが、リチャードの様子がおかしいのに気付いた。]
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