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プログラムは、触れない。
[言及しないと云う言葉に其れ以上は将棋の話をするでもなく、セシリアの小さく唸る間も静かに彼女の言葉を待ち、投げ掛けられる問いに緩やかに瞬く。
自身に呆れた様子で溜息まで零すセシリアに、開きかけた口を噤み続く言葉を紡ぐ彼女を黙って見詰め、結局は思うところを口にする事は無く]
おやすみ。
[部屋へと戻って行く彼女の背が見えなくなるまで見届け、踵を返し夢遊病者の如き足取りで歩き始める]
面倒さ加減についての考察は、個別に加えるとしよう。
…お前はいつも某かに面白味を見出しているな。
〔如何にも今はその対象が自分であるらしいことが気に入らない、と言いたげに鼻の頭にごく浅く皺を寄せる。煙草を吹かすに似る相手の仕草に、暫し記憶を検索し〕
僕の専門は獣医学だが――
ニコチンガム位は処方するさ。
…自分の腕なり脚なり喰いたくなったら言ってこい。
なるべく苦痛のないように切ってやる。
[周囲の気配を窺うもウサギの主は近くに居ないらしく、何かを探しているらしきウサギの此方へ向かって――通路の向かいから来るだけで、別段に自身に向かって来ている訳ではないかも知れないが――来る様子を見詰め思案気に瞬く。
床に片膝をつきウサギへと手を伸ばすと、意図を読み取り今度こそ此方へ向かって来るウサギをひょいと捕まえ、ウサギの身体をくまなく撫ぜ――仮にウサギが暴れてもさして気にも止めず、外部からの接続方法を探し――て、将棋のプログラムをインストールし終えると解放し]
崩し将棋は、別物。
ローズマリーに伝えて。
[ウサギが言付を届けられるのかも判らないけれど、貌を覗いて言葉を添えてから立ち上がる]
矛盾というやつはいつだって興味をひく。
一見矛盾に見えて本当にそうなのか実は違うのか。
その先にあるものを知りたいのかもしれないけど――
ま、くだらないことだ。
[言葉を無理矢理終わらせて]
ニコチンガムじゃ満足出来ないかも、なんて言ってみたりな。
禁煙なんざ考えたこともないから実際は知らないけど。
[瞳は中空を彷徨い、紡がれた言葉に相手の瞳をとらえて]
――そう?
じゃあ、その時はお願いしようか。
[明らかに冗談めいたのは口調だけで。]
――少なくとも、記憶の持続に
興味が深く関わることは確かだ。
お前についての記録に、その言葉は足しておこう。
〔下らなくはないと言外に含ませながら、胸ポケットからボイスレコーダーを半分引き出す。マーカー代わりの信号音を入れると、また元に戻し〕
…喫煙者の10人が10人、そう言うだろうな…
ストックがなくなるまで生きていられたら考えろ。
〔此方の眼差しは、ナサニエルの其れが映す生気を測るように絶えず注がれている。手探りにラッセルやギルバートへ渡したのと同じブドウ糖のタブレットを彼に投げ渡し〕
了解した。では僕は――
自分の腕を落とすのは暫く我慢しておくとする。
記憶の持続、ね。
[自分の記録に足されているのを目線に捉えつつ]
ストックがなくなったら、そうさせてもらう。
[それも恐らくもうすぐなれど。
投げ渡されたタブレットを受け取り笑み一つで礼を返せば、紡がれた言葉に相手を見る目はいささか複雑な色を含んで]
……腕のない医師に苦痛への配慮は望めないし、
我慢出来るんならそうしてくれ。
[そう言ってタブレットを胸ポケットに*しまった*]
[ウサギを解放して後は自室を目指し、通路の幾らか広く成っているスペースでまた足を止め、良くそうしている様に――自覚があるかは不明だが、半ば癖か習慣なのかも知れず――透明な板の向こう側に広がる闇と、点在する数多の光を瞬きもせずに見詰め]
――…
[骨ばった手を透明な板に――其処に在る板に遮ら其れ以上は伸ばせないから、板に手を置いたと云った様子で――つき、暫くはそうしていたけれど俯き加減に額も板に押し当て、ゆっくりと目蓋を下ろす。
指先は開かぬ扉に爪を立てる獣の様に、透明な板を引っ掻き脇に落ちて、吐息を零す如く震える口唇は音も無く何事かを囁く]
[極彩色の家具に囲まれる室内をゆっくりと見回してからベットに腰を下ろし、寝る前にハーヴェイに貰い受けたタブレットを胸ポケットから取り出し、先程と同じ様にまた手の中の其れを暫く見詰める。
ハーヴェイの一連の動作――目許に触れ健康状態を確認していたらしい――も相俟って、処方された薬の様にも見えるタブレットを、栄養が足りないと自覚している割には摂取するでもなく、ナサニエルより貰い受けた煙草の傍らに――骨ばった指先に歪むホログラム時計の文字は矢張りなんの感触も無い――置く]
――…
[水と塩を摂取しベットに横たわると、重力装置のスイッチを切り、毛布を掴んで目蓋を下ろし意図的に作り出した独りきりの闇に*蕩揺たう*]
―バウアーには関係無い事かもしれないけど…。
[健康の害なんて人間じゃない彼には無縁なのかもしれないけど、詳しくない自分には分からなくて、だから―]
…自分は嫌。
酒場の看板娘 ローズマリーが「時間を進める」を選択しました。
―メンテナンスルーム→通路―
[戻りの遅いウサギを迎えにいこうと億劫そうに起き上がる。
通路へ出ると奥からぴょこぴょこと戻ってくる白い姿。]
……遅いから心配した。
何か見つけた?
[持ち歩いてる携帯端末にLINKするとギルバートとの接触記録。
将棋のプログラムをインストールされた形跡。]
将棋を覚えたのか。良かった。
後で遊ぼう?
[ウサギは一つ首肯。
ホログラムの盤面を展開しようとするのを指先で留めて。]
後で、といった。……ところで崩し将棋とは何だ?
[記録に残るギルバートからの伝言に少し首を傾げる。]
……まぁいい。それにしても。
[携帯端末をポケットに仕舞いこみ、ウサギを抱き上げる。
ふわふわした毛並みに顔を埋めながら]
見つけるのがコレとは。
コレを食えとでもいうのか君は。
[別にウサギが見つけてきたわけではないけれど。
軽くウサギの鼻先をつついて。]
素体分析にでもかけてみるか?
食えるか食えんかくらいは判別できるかもしれん。
[ギルバートを捕食する様でも想像したのか。
堪えきれないように笑みが漏れ。]
……ナンセンスだがな。暇つぶしにはいい。
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さりげなく占い師CO。
というわけで占いウサギです。
ウサギのぬいぐるみだったのが本当にウサギになりつつあります。
[ラッセルの問いかけにチラりと視線を投げ]
どうかな?
食べたことないからわからない。
[真面目に答えてはみたらしく]
確実に不味そうだけど。
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