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[表情は少し遠いけれど柔らかな青に返す砂糖菓子の微笑み]
…え?
[倣うよう時計を見上げぱちりと瞬いて向き直り小首を傾げ]
手も治って無いし、今日は休んでも怒られないよ。
少しだけ、雪像作りに行って来るね。
[連れて行って呉れると言われたかも知れないけど首を振り
ケープを羽織り大体の方向を指し示して貰いこくりと頷いて
温かくしててとふんわり微笑んでもう直ぐ暮れる*銀世界へ*]
元気なクインジーの顔を見れば其の罪悪感も少しは和らぐかもよ?
[くすくす笑って]
カミーラだって慰められたら、少し悔しくて、でもこそばゆくて、茶化すんじゃないの?
クインジーはカミーラと似てるよ。
素直じゃないしシャイだし。
[歩きながら小首を傾げ]
慰め方は判らないや…判ればそうしてる…
温かい手は必要だけど抱き締めるだけでも足りないんだろうね。
[続く問いに視線は銀世界へと戻り]
誰しも自己中心的だと思うけどな。
自分が大事な人だから大事にしたいとか、身勝手な話だし。
[最後の言葉にはほんとにね、と囁くように返して]
[天に向かって雪切りを突き上げると、一拍の後、目の前をざざりと白い塊が落ちてゆく。それを何度も繰り返す。
つらら交じりの雪を落とし終えると、屋根に上って積もった雪を下ろし始める。
下ろした雪を寄せると、玄関口からの道を作って仕上げる。
汗が水蒸気となって全身から立ち上り、雪雲の空へと吸い込まれてゆく…。
冬の季節はほぼこの仕事で生活の糧を得ている。雪下ろし、雪かき、雪の季節の日常だ。
老人世帯や、手の足りない家庭からは引っ張りだこ。終われば茶と茶菓子くらいは出るし、暇なおばちゃんの家だと夕食まで食っていけと引き止められる。
途中で吹雪いてきたときなど、そのままひと晩厄介になる事もある。
ここも、そんな家のひとつ]
『あら、終わったわね。入ってらっしゃい』
[一通り終えてシャベルを雪に付き立て、そこに手と顎を乗せて一息ついているときに、ちょうどいいタイミングで声がかかった。
簡単に道具を片付けると、遠慮なしに室内に入る。
テーブルにつくと、熱い紅茶と手作りの焼き菓子が運ばれた]
相変わらず手の込んだ菓子を作るな。
[ひとつ摘まむと、珍しそうにひっくり返したりして眺め、ぽいと口の中に放り込む。ぼりぼりと咀嚼して]
旨いね。
[極簡潔に感想を述べた。相手は...の真向かいに座ると、少し肩をすくめ]
『クインが来るから腕を揮ってるんでしょ?あなたこそ、相変わらず素っ気無い感想ね』
[美味しいものを作るかいがないわと苦笑いをして]
[そして目ざとく、...の様子が沈みがちなのを見取って]
『…そろそろいつもの冬の病気?いいわよ、泊まって行く?』
[ご馳走も作るわよと言いつつ、まるで女医が投薬でもするかのように聞いてくる相手を、しばらくじっと見詰めると]
オードリーさんって、再婚相手とか、いねーの?
[ぽつりと聞く。
それを聞いたオードリーは、ぽかんと呆れたように...を見て、次いで大きく溜め息を零しすっと立ち上がると、手元のトレイを持って...の横に行き、何事かと行動を見守るその後ろ頭をすぱんと軽く一閃した]
えっ?あ?何だ?聞いちゃわりぃことだったか?
いるんなら俺の存在はさすがにマズいだろうし…。
[なぜ叩かれるのか分からない...が不思議な顔をするのを見て]
『誰かさんが乳離れしたら、考えるわ』
[そうよ、こういう男だわ。仕方ないわね…と微笑んで]
[...は仏頂面をしながらも、バツが悪そうに横を向いて]
悪かったな…俺の都合だけで…。
『はいはい、ストップ』
[...が言うのを制して]
『きっかけ作ったのはこっちのほうなんだから、それ以上は言わないのがルールよ』
[しばし、沈黙が流れる。暖炉で薪がはぜる音だけがいやに大きく耳に響き、眩暈がしそうなくらいの静寂に焦れて]
…今日は、とんこつラーメンの日なんだ…。
[ゆるりと立ち上がると、帰り支度を始める]
また積もったら、呼んでくれ。
[そう言ってソリを曳きながら去っていく後姿に、もうひとつ溜め息を吐きかけて]
『トラウマにつけこんだあげく、相手も最初っから私に「申し訳ない」って思ってちゃ、そりゃどうにもならないわよね。こっちもつい、気にしないようにってシステマチックに付き合っちゃったし。育て方間違っちゃったわね…。
それにしても、私の手料理よりもラーメンなの?あーあ』
[そんなさばさばとした苦笑いの言葉は、...には届かないまま]
[ぽつぽつと歩く道すがら、手の付いてない新雪を見つけ、思わず仰向けに倒れこむ。
ただそのまま、じっと空を見上げて]
俺って、ダメなヤツ…。
[何となくぼんやりと、そのまま雪に体温を譲りつづけて]
……別に元気な顔みたいわけじゃないし。
メイとか、キャロルに慰められたら素直に受け入れるぞ、私は。
クインジーに慰められたら、怒るだろうけどな。
[ざくざくと雪を踏みしめて。
想像すれば苛立ちはすぐ行動となって現れて、ジーンズにつつまれた足が
雪を高く舞い上げる。]
……自分が慰めなんか必要としてないから、わかんないんだろうな。
慰めるより、一人にしてほしいタイプだ、私は。
そりゃー自分可愛くない人間なんかいないだろうし。
私も自分が可愛いよ。
他人傷つけてでも、自分は傷つきたくない。
「人間に恋をしてはいけないよ。」
[鼓膜を震わせるは風の音か]
…恋って何だろう?
ナサニエルは好きだけど、コレは恋?
[小首を傾げ]
良く…判らない…
[呟きは銀世界に溶ける]
[其れ以上は勧めるでもなくそっか、と呟いて]
キャロルとクインジーの違いは何だろうね?
カミーラはクインジーの何がそんなに気に入らないのかな。
[トランシーバーの向こうから雪の音]
一人は好き?
辛い時や哀しい時の顔は誰にも見せたくないのかな…
誰かが傷つく事に依って自分が傷つくのが厭なだけだよ。
だから誰も傷つけたくないし何時だってモアベターを探してる。
[何故か鍋片手にさくさくと雪を踏みしめて。
時々思いっきり雪を蹴り上げながら、嗚呼、と溜息を一つ]
……。
おばちゃんってのは参るな。
何で二言目にはうちの息子の嫁に、なんだよ。
もうちょっとマシなのを選べっての……
[はぁ、と溜息をもう一つ。]
……母親ってああいうもんなのかな。
[わかんねー、ともう一度、思い切り雪を蹴り上げて。
結構な固まりの量が、新雪の上にどさどさと落ちて跡をつけていく]
……二言目には人をからかうし。
顔もムカツクし。
態度も何かムカツクし。
何言いてぇのかわかんねーし。
[雪の塊を手の平で丸く丸めながら]
……好きだよ。
見られたくないのもあるし、慰められても、困るんだよな。
相手に悪いから立ち直りたいけど、でもそうできないときってあるだろ?
慰められて余計気ぃ使うのって馬鹿みたいじゃん。
……more betterじゃなくて、逃げ道、だろうな。
私が探してんのは。
[つぶやきながら、雪を固めて]
…っぷぁ…!
[雪に沈み込んだ身体の上に雪の塊が降りかかる。顔も雪で覆われ、思わず頭を振って雪を振り払うも、起き上がる気になれずそのまま]
……ったく。
この冬はどうかしてる。
早く春こねぇかな……
腑に落ちないことだらけだぜ。
[鍋を雪の上に置くと、手の平で雪球を丸めて。
新雪の中に人影があるとも知らず、思いっきり腕を振りかぶって]
この馬鹿野郎ーーーーーーーーーーっ!!
[絶叫しながら新雪の中へ全力投球。]
[くすくす笑って]
からかうのは照れ隠しじゃないのかな。
気になる子にちょっかいかける男の子みたいだと思ってた。
だって本当に如何でも良い相手なら、何もせず遠くに置いてしまえば良いんだから。
[キュ、キュ、と雪を踏み締め歩みはのんびりと]
カミーラの辞書に「甘え」の二文字はないんだね。
哀しければ逞しい胸に顔を埋めて泣いたって良いんじゃないの?
…逃げ道…逃げ出したいんだ?
前を向いてるのは、辛い?
[せっかく振り払った顔の上に、次々と雪の球が降り注ぐ。いや降り注ぐというより、突入してくる。
さすがに息苦しくなり、上半身を起き上がらせると、その顔にも雪球がぶつかって弾けとんだ]
……ああ、こういう乱暴なことをしでかすのはお前さんしかいねーよな……。
[カミーラの姿を認めて、億劫そうに雪を払うこともせずに、納得したように溜め息をつく]
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