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物事の多面性――
[空のカップに視線を落とし、ぽつりと反復を。]
買われた時点で一般的には異端かもしれないけれど、
ここにおいてはそれが普通。
[ほんと、面白いわね――と*笑う*]
人殺しですら正当化される世界も、ある。
[空になったカップを厨房へと片付けて。
すっかり闇に包まれた窓へと視線を移せば皮肉気な笑みを浮かべた自分の顔。
溜息一つで表情を戻すと、腕を組んで天井を見上げ。]
[――人殺しという言葉が、談笑するどちらかの口から洩れ聞こえたかもしれない。
広間を通って厨房へ向かう途中、どきりと足を止めて会話する二人の顔を窺う。
…ローズマリーはいつもの様子で朗らかに笑っているし、牧師の方も窓に映る自分相手に皮肉な笑みを浮かべた後、天井を見上げているだけ]
(別段、物騒な話をしていたわけじゃ無さそう…か)
[無意識にポケットの上からナイフに触れ、テーブルの上を見ればティーポットが見つかる]
飲んでもいいんだよな。
[二人へ確認というよりは宣言のように呟いて、ポットの中身が熱くはなく既にぬるいことを確かめると、カップに移し変えずに直接空に注いだ紅茶を口で受け止めて飲んでいる]
[中身をすっかり飲み干し、口の端から零れた分は着替えたばかりの服の袖で拭き取る]
冷たい水の方が良かったなこりゃ。
…カップなんてどこあんだよ。
[不快そうに舌で頬の内側を舐めながら、既に厨房へと片付けられたカップがあったであろテーブルを顎で指す]
厨房に行けば幾らでもありますよ。
まさか誰かに取ってもらわなきゃカップも使えない歳でもないでしょうに。
[呆れ気味の視線は厨房の方へと一旦向いて。
再びナサニエルに戻される。]
[遠まわしに行儀の悪さを咎められている形に、居心地の悪そうな顔で呆れ気味の視線を受け止めながら]
放っておけ、オレの親父であるまいし。
使わなくても飲めるんだからどこに問題がある。
貴方のような息子はこちらから願い下げですよ。
[肩を竦める。
やれやれ、と首を振って]
……そういう発想にいたること自体が問題ですよ。
無防備にそうやって喉元晒してお茶飲んでる間に
首を掻っ切られないと良いですね。
お前みたいなのが親父だったら、生まれた瞬間から絶望して、次の瞬間には悟りが開けてるだろうよ。
[負けじと言い返すも、ぎょっと喉元に手を当てて]
そういう発想にいたること自体が問題、だ?
…どっちが。
首を掻っ切られないと良いとか…それが坊主の発想かよ。
そりゃいいことじゃないですか。
お釈迦様も真っ青の悟りの早さですよ。
[くつくつと喉の奥で笑って。
喉に手を当てる様子になお笑いながら。]
……おや、人を呪わば穴2つ。
人を殺せばまた……恨みを買うことになる。
貴方のことを心配してますのに。
[す、と細めた目は全く心配しているようには見えず。]
ネリー・カリウ
Nellie Carew
20歳前後
身長153cmくらい 細め
心を患った両親をもち、苦労して育つ。
この辺から肉付けしていきましょう。
[――人を殺せばまた……恨みを買うことになる。
貴方のことを心配してますのに。
彼はあの時起きていたのだと思い出し、言わんとする事に気付く]
言っとくがな…
[喉から手を外した代わりに、握りしめた。
言葉とは裏腹に心配している目とは思えない細められたそれを、握り締めた拳が白くなるほどの間見返して]
恨みを買うような事を…殺されて当然なことをしたのは相手の方だ。
奴のための墓穴なら、いくつ掘ったって構わない。
…足りないくらいだ!
オレは今でも、同じ牧師だからって理由で…全くの別人を殺すのも厭わないくらい、憎んでる。
[次第に見返す瞳に、人間味の見えない寒々しさでルーサーを映しながら、声は静かに響かせる]
[薬を探してどれくらい歩き回ったか、結局は薬箱や薬剤があったのは使用人室と思しき部屋で、数種の傷薬を部屋にあった箱に積めて広間に戻れば目的の少女の姿は無く、牧師と男の親子喧嘩の様な一席に入り口で立ち止まりきょとんと瞬き、気を取り直せば部屋へと足を踏み入れ其処に居る人たちに軽く頭を下げる]
……物騒なことですね。
[緩やかに動く手元は何時の間にか聖書の表紙を撫で。]
憎むのは結構ですけど、八つ当たりは格好悪いですよ。
――人に刃を向けるときは自分が刺されることも覚悟せよ。
[肩を竦めるとこつこつと2,3回聖書の表紙を叩き。]
それは無論私に対しても同じことが言えますが。
[人が入ってきた気配に、険しい顔のまま振り向けば]
…ナイジェル。
[とたんに緊張が切れたように力の抜けた体は、椅子に腰を落とさせる。
少女に向き直った頃には表情はむしろ穏やかなものに戻っていた。
彼女が手にした箱を指しながら]
よ。
何だ?その箱…
[声をかけられても一拍は男を気遣う様に見詰め、其の表情や雰囲気が柔らかく成ればふわと微笑み、差し出した蓋の無い箱からは見るからに薬品らしき瓶の数々を覗かせ]
「ネリーの、薬」
[牧師に声をかけられ其方へと向き直り再び軽く頭を下げ]
「殴られたら、逆の、頬を、差し出すのが、教えでは、無いの」
[首を傾げ牧師へと問うは男にかけた言葉からか]
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