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――廊下――
[広間を出て、広い廊下をただひたすら玄関を目指して歩く。歩く、歩く…が、何時まで経ってもそれらしき場所に辿り着けなく]
あれ…これって軽く屋敷内遭難…?
[小首を傾げながら、廊下で*途方に暮れている*]
[あんまりびっくりしていないハーヴェイに、意外と落ち着いていて大物だなぁという顔をしながら]
あ・・・、そっか、帰るんだ。
書庫は見つからなかったんだね。・・・わかるよ。
広すぎるもん、ここ。
明日は見つかるといいねぇ。
お休みなさいハーヴェイさん。
>>361
しょっ・・・招待状!貰ったの!?
・・・ぼ、僕はラッセル=リネカー。お嬢さんに選ばれて屋敷の主になるためにやってきた、お見合いパーティー参加者にして、花婿候補です・・・!
[ついにライバル現る!
しかもこの少年ときたら、自分と違って招待状まで持参していると言う。ふつふつと湧き上がる敵愾心。
――だが。
グレンさんときたら、自分とそう変わらない年でもう一人前に働いているのだ。貧乏生活から抜け出したいという気持ちは、同じなのかもしれない。苦労人としての彼の生活を妄想し、思わず目が潤む]
お互いに・・・がんばろうね。
・・・じゃなくて!まっ・・・、負けないからね僕は!!
[あるいは失礼な事に「同じ苦労人同士」などと親近感など抱いてしまいながら、それでも戦う意思を奮い立たせてその場を立ち去るのだった]
・・・あ。肉美味しかったよ。ハーヴェイさんの分あげるね。
[扉から出る前にくるりと振り向いてそう一言。うまく奮い立たせられているかどうかは*定かではない*]
ラッセル=リネカーさん、……ですか。
……あ、ええと、そっか、その、……候補で……
[自分以外にも参加者いる事は知っていたが、面と向かって言われたのは初めてで。
気合の入った赤毛の少年の自己紹介に圧倒され、なんとなく、こくこく、頷く。
しかし、何故だかこちらを見る彼はいきなり目を潤め始め、頑張ろうとまで言われ]
え? あ、は、はい……?
[きょとんとしているうちに、立ち去っていくラッセル]
…………肉?
[訳が解らないままに、それを見送る少年だった]
そっかぁ。
他にも候補の人、いるんだよなあ……
[今更のように、呟き]
[恐る恐る席に近付けば、漂う香ばしい匂い。
確かにラッセルの言った通り、卓上には肉]
豪華っすね。何か、変わった匂いもするけど……
[アルコールに免疫はないらしく、不思議そうに鼻をひくつかせる]
でも、おれは、野菜のがいいなあ。
[言いつつ目を閉じ、瞼の裏に浮かぶのは農場の光景。
まだ一日足らずしか経っていないのに、既に懐かしい]
強盗はさすがにやってねぇなぁ。
[そうラッセルに返しつつも。
ナサニエルの言葉からは軽く目を逸らして。
いきなりとんでもない登場をしたグレンに意識を奪われる]
[何処をどう散歩したらそんなとこから出てくるんだろう。
疑問はとりあえず飲み込んで]
アンタも肉より野菜ってタイプかね?
あ、ちなみにソレ、兎な。
[なんとなく忠告もつけた]
自分で精魂込めて育てた野菜は、んまいんですよ。
[別に運ばれて来た、グリーンサラダをシャリシャリ]
…………兎。
[言われて、皿の上の肉を見遣る。
既にこんり焼かれ、塩と胡椒で味付けられたそれ。
しかしそう言われると、脳裏に子兎がつぶらな瞳でこちらを見詰める様子が浮かぶ]
……おおおおぉぉぉぉ……っ
[フォークを握り締めたまま、何だか悶絶]
へぇ。俺はそういうんやったことないからわからんなぁ。
一所に留まらないから無理っちゃ無理なんだけどな。
[サラダを食べているのを何とも無しに眺めつつ]
……あー、アンタそういうタイプね。
そりゃ肉はあんまり食う気にならんだろうな。
[悶絶してる様子に息を吐いて。
躊躇う様子を微塵も見せず、肉をもぐり]
[...は何時の間にか外にいたらしい。月の光が影ができるほど眩しく、それをぼんやりと眺めている。スキットルは空になり、...の顔もわずかに朱が差し]
やっぱ豪勢な所にはにあわねぇよな、俺は。
さて、どうしたもんかねぇ。
[...の手には一冊の古ぼけた本。気持ちを向けるには月明かりは頼りなく、ただ*弄んでいる*]
[ぜーはー、深呼吸]
……あー、留まらない、って……
んっと、ギルバートさん……は、旅人なん……ですか?
[グラスに注がれた水を呷り、一息。
続いた言葉には、情けない表情になり、へんにゃり]
生きる以上、他の生き物を糧にしている、
……って理屈は、解ってるつもり、なんすけど。
ついつい。
[やっぱり野菜をしゃぐしゃぐ]
そ。風の吹くまま気の向くまま。
行きたい方へ行く根無し草ってヤツ。
[フォークを片手でくるんと回して。
残されたままの肉に突き立てる]
俺みたいな生活してるとんなこと言ってらんねぇけどな。
ま、こうなった以上は食ってやるのが責任っつか。
これで残して捨てるハメになっちまえば、それこそこの兎に申し訳がないやな。
[また一口、もぐり]
なるほどー。おれには、真似出来ない生活ですね……
どっかで野垂れ死にそうだ。
[しゃぐり、サラダを片付ければ、食べる様子をじっと見]
……うん。
自分の都合で命奪って、んで、棄てるなんて、傲慢もいいとこですよね。
[こくんと頷き]
人間がえらいわけじゃねえ、ですし。
意外と何とかなるもんだぜ?
[くく、と笑って、いつの間にか最後の一口]
肉だろうが魚だろうが野菜だろうが、生命っつーのは皆ある。
奪う以上は責任を持って……なんて、ナサニエルが言ってたのとあんま変わんねぇな。
[一口分、突き刺したままのフォークをグレンへ向けて]
どうする?
アンタが食うかい?
[笑う様子にも、ううん、と悩んで眉を顰め]
……うん、その通りです。
自分で手塩かけた癖に、あっさり奪っちまうんだもんなあ。
酷い話、だよなあ。
[独り言のように。続きには、神妙な顔で頷く]
う、……ええと、……その……
[向けられた肉を見れば、小さく唸るも]
…………いただき、ます。
もしアンタが何も考えずに育てて刈り取ってんだったら確かに単なる酷い話だろうがよ。
アンタはそういうの、わかってんじゃねぇか。
その分、アンタに育てられたり、食われたヤツらは幸せだったんじゃないかね?
ま、食ってる側の勝手な言い分ってヤツだけどな。
[唸る後に続いた言葉に、フォークの持ち手をグレンに向けた]
どうぞ?
んー……そう、すかね。だと、いいなあ。
[視線を虚空へと逸らし、小さく息を吐き。
再び、フォークを見遣れば、両の手で其れを受け取り]
……
[数拍の間を置いて、ぱくり。……もぐもぐ、ごくん]
…………はああぁあぁぁぁ。
ご、ごちそうさま……でした。
[盛大に溜息]
[咀嚼、嚥下の行程を見届けて。
盛大な溜息に少し笑った]
御馳走様でした。
[ぱん、と両手を合わせる。
それに給仕担当の召使たちはテーブルの上を片付けていく]
さて、と。
腹もいっぱいになったし、一旦俺は部屋に行こうかね。
アンタはどうするんだ?
……美味しかった、です。
[兎への感謝の言葉(?)も忘れない]
[召使達が傍を通っていくのには、やけに緊張した様子で。
皆が片付けを終え離れていった後、ほっとした表情になる]
あ。おれも、部屋、戻ります。
……落ち着けるか、わかんねえですけど……
[普段自分の寝る場所より、数倍広い部屋。柔らかすぎる程、柔らかな寝台。
そして豪奢な装飾と、休むというより、緊張の度合いが増してしまう部屋な訳だが。
それでも、広間にずっといては邪魔になるだろうと、椅子から立ち上がる]
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