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深酒をしたようね。
無理も無いでしょうけど…。
…牧師様は、やはり手を染めるつもりはない?
[昨日彼が紡いだ言葉。
──殺すのも殺されるのも、どちらも御免だ──
今でもそうか、と訊ねる]
[ポケットから聖書を取り出す。
表紙を撫で、開けばそこには聖句は一つもなく。
ただ無機質な鉄の固まりが一つ。]
……こんな形で出番が来るとは、ね。
[薬室に弾が入っていることを確認するとそれをズボンのベルトに捻じ込み。
上着で隠すようにすると昨日の紙を確認しようと広間へと降りた。]
[ローズマリーから掛けられた言葉にぱちり瞬き]
え?あ……
はい、幾分良くはなりました。
いつ出るか解らないから、安心は出来ないんですけど
今は大丈夫です。
[そう受け答えた後、じっとローズマリーを見つめ]
……もう、楽しくない、んですか?
[昨日とは様子の違う彼女に、そんな問いを返していた]
シャーロットの昨日の発作。
精神わずらっているようにも見えたけれど――。
人狼になる薬の拒絶反応だとしたら簡単でいいんだけど、ね。
[服の上からポケットを触り、中に入っている硬いものをいじりながら、そんなことを考えて。]
[シャーロットに微笑んで紅茶をカップに注ぎ、目の前に差し出して。ローズマリーの返答を聞いて不安げな表情を浮かべる]
外へ…。
警備兵が何人いるのかも分からないのに、何て無謀なことを…。
[不安げな表情のままナサニエルに視線を戻し]
[空気には細い細い緊張の糸が張り巡らされているかの様で、蜘蛛の糸より細い其れは「何か」を切欠に容易く切れてしまいそうな気配を孕み、少女の手をきゅうと握り、修道女の指し示す方へと視線を移し一つ頷き]
「ありがとう、丁度、御飯、食べに、来た」
[女の手が男から離れるのに小さく息を零し、続く言葉を紡ぐ様子に瞬き]
「ローズマリーは、具合、如何
ナサニエルは、莫迦じゃ、無い」
[――今でも変わらないはずだった。
何千何万の民を虐殺して、殺し飽きたはずなのに。]
……主が殺せとおっしゃるなら、殺しますよ。
[片付けようと持っていた瓶を、ばきり、と握りつぶす。]
――本当に人ではなくなってしまったようですし。
[何処かぎこちない空気はあるものの、争いには発展してないようで。
ソファーで寝ているナサニエルを見れば何をしたか一目瞭然。]
……こんにちは。
何事も起こってない――わけじゃないですね。
[若さとは時に無茶をさせる、とナサニエルの様子を覗き]
[ルーサーの姿を見れば「こんにちは」と会釈して。ナイジェルの口元を読めば]
ご飯?
そこまでは用意してませんでしたわ…。
昨日のロールケーキは残ってないかしら。
[立ち上がって厨房へ探しに行こうとして、またナイジェルに視線を向ける]
無かったら、パンケーキでもよろしいかしら?
――そう。
[聞くだけ聞いて、良かったわね、とか言うでもなく。
続く言葉に昨日の自分を振り返り、]
愉しい――とは、違う……のかしら。
何ていうか、ただひたすら可笑しかったのよ。
嗚呼、これは運命なんだって。
[命を奪う死のゲーム。自らそんなことをして過ごした日々。
けれど今は、それを"やらなければならない"現状。
やはり自分は誰かと命を競り合わなければならないのだと。
それが自分に似合う生き方なのだと思って。]
今は――そうね、とりあえず紅茶がほしくなっただけだから。
パンケーキ。
[おいしそう。と表情を緩ませつつも
ナイジェルが握る手がほんの少し、力を込めたことに気づく。
だいじょうぶ。そう返すように軽く握りなおして、
テーブルセットの椅子へ促した。]
[周囲の視線が集まる傷だらけの男を見詰め、紫水晶の瞳は揺れるも、修道女の言葉に振り返ればまた一つ頷き、首を傾げ]
「ありがとう、手伝える事、ある」
[ナイジェルの言葉に目を細めるも、すぐにいつもの笑みを称え]
具合?私の?
……特に変わりはないわ。
[敏感な子だから、幾度か調子が悪かったのに感づかれていたかもしれないと思うも、今は調子が悪い理由もなく。]
そうね。
あなたがそう思うんなら莫迦ではないのかもね。
[小首を傾げ、そう口にする。
ルーサーの姿が見えれば こんにちわ、と手をあげて。]
そう…良かった。
貴方がやらなくても、私一人で──なんて考えてたけど、その心配が無くなったかしら。
…神は、もう居ないのでは無かったの?
[瓶を握りつぶす様子には目を瞬かせ。己もそうなのかと手を見つめた]
[広間を出る前にナイジェルとルーサーにも紅茶を差し出し]
手伝いは、大丈夫だと思いますわ。
皆さんの紅茶が無くなったら、注いであげて下さい。
[お願いしますね、と微笑むと厨房へと向かう]
[ローズマリーの、素っ気無い――否、興味のないような物言いは、彼女の性格なのだろうと、今更なのかもしれないが察した。]
……運命。
あの紙に書いてあった、殺しあうようなことが、運命?
ローズマリーさんは既に、あのゲームに乗っているんですね。いえ、あの紙の内容が真実ならば既に全員が乗っているの、だろう、けど。
……ゲームだとしたら。
……やっぱり、勝ちに行く?
[ゆるり。小首を傾げて問うた。
最後の、紅茶、の一節には弱い笑みを。]
人間的なのか、なんだかよくわからない、や。
居ませんよ。
けれどこんな馬鹿げた事態――
居もしないもののせいにしなければやってられません。
[強化された肉体――それは力だけではなく。]
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