―天賀谷私室―「望月さま、ありがとうございました。」[望月はぴくりと肩を震わせた。夜桜の声であった。しばらく息を詰めていたが、やがて、ほう、と吐き出す。 そのとき、確かに『荷は軽くなった』と感じたのだ][藤峰を慰めるように言葉をかける夜桜を見ている。そして、その腕の中から身を引き剥がそうとする藤峰を見ている][何一つ語るべき言葉を持たないままで]『……俺は、何をしている』