【あの籬が島の松蔭に 明月に舟を浮かめ
月宮殿乃白衣の袖も 三五夜中の新月の色
千重ふるや 雪を廻らす雲の袖】
[広げた扇を持つ手、要を返す時の指の動き、扇から覗く瞳の色さえも、完全に舞唄に集中したそれ。
深く意識の中にまで影の手を伸ばし魂を縛るイメージ。
美しい蝶達に囲まれ唄が始まると、ラッセルの影が奇妙に伸び、イボ蛙の影を捉え、彼は指を三つ立てた]
【さすや桂の枝々に 光を花と散らすよそほひ
此処にも名に立つ白河の波の
あら面白や曲水の盃 受けたり受けたり遊舞の袖】
[一呼吸つくと、扇を持たぬ手でたてた指を一つ折る。
――残りは二本。
二呼吸終わる頃には敵はまた動き出すという意味だ。それまでに皆の攻撃でイボ蛙を倒す事を願う目]