[闇に沈んだ森から発せられた遠吠えは、高く高く尾を引いて、瀕死の町を懐に抱く谷間に谺した。][夜鳥が甲高い声で啼きながら、梢を大きく揺らして相次いで飛び立つ。虫の声がピタリと沈黙した。闇の懐のどこかでは、獣たちが顔を挙げ、気配に耳をそばだてる。]