―― 一階 酒場内――
[階段を下りて店内へと進むとそこにはボフがピアノの前に座り、ローズに向かって何かを申し出ていた。内容はよく解らなかったし客と店主の会話に部外者が入るべきではないと思い、気にも留めなかった。]
ねぇローズ、わたし一旦家へ帰ってもいいかしら?暴風雨で家の中の事も気になるし…。
[会話が途切れたタイミングを見計らって、わたしは上でのやり取りを手短に話し、嘘の帰宅の旨を伝えた。ソフィーが父親の面倒を見るといっている以上、わたしが居ても彼女達の邪魔になるだけに思えたし、第一わたし自身が一人になりたかった。]
うん、家の物を片したらすぐ帰って来るから…。あ、そう…これ良かったら飲んで?町の外に買い物へ言った際、手に入れたの…。茶葉に蜂蜜パウダーが振り掛けられている…珍しい紅茶なの。
[そう言ってわたしは彼女にこの町ではなかなか手に入らない嗜好品を手渡し――]
じゃぁ、暗くならない内に戻ってくるわ…。
[道路封鎖の情報を携えてやってきたアーヴァインとすれ違うように、わたしは酒場を後にし自宅への道を辿った。]