何故なら、現実世界では、ぼくの肉体は重く醜く不快に生々しかった。
似通って美しい女の子たちばかりのスクール。抱擁するMamの腕の温かさと拘束。そして、自分が人と直接的に触れ合う事もなく、清らかなまま、Mamと同じ産むための器官になると言う恐怖。それがぼくの所属する現実世界。
同級生のS──とのシンクロも、繰り返すUnderへのダイビングも。さみしさや、苦痛、恐怖を一時しのぎ以上に和らげる事は無く。
だから、ハーヴェイも。
元の肉体へと戻るのでは無いかと、期待する。
いつか何処かで、mement moriに侵されたのではない、ぼくの知らない彼と──逢ってみたい。