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「――ここに女の子は居なかったかな?」
[声がかかった。
とっさに、封書を再びポケットに押しこむ。]
おやおや、誰かと思えば――
[視線を上げた先に認めた姿。己の口もとには、微笑が*浮かんでいた*。]
──回想(ヒュプノス前後)/現世<Mundane> /西部・空中庭園──
[床に倒れた信者の1人が「目が見えない」と呟き、ひとりが「臓腑が冷たくなって来た」と悲鳴を上げ、やがて意識を失った。セシリアは彼等の手を握りしめながら、完全に昏倒した信者、倒れたものの意識がある信者、変わらず立っている2人を素早く見比べた。
財産がある信者は、自分自身の生身パーツを再生させたり、バンクに保管しておいた臓器を培養して、取り戻すものが多かったが、保存してない者、手続きの関係や病院・保険会社とのトラブルで中断せざるを得ない者も多い。また、資産の無い者はそもそもボディを保管していなかったり、再生の資金を得る事が出来ない。完全に生身の信者で、教団施設の外で活動出来る者は少ないのだった。
目が見えないと言った信者は義眼のままだった。
セシリアは教団内で担っている役割ゆえ、信者全員のボディの構成を把握していた。]
[数秒の沈黙ののち、]
…どうやら、完全生身の者だけが立っているようですね。
それも自己パーツの生体を持つものだけが。
でも、倒れている者も、意識は無いが死んでは居ない。
[横に首を振る。]
──今は、まだ。
[突如起きたメガロポリスの機能停止。
それが一時的なものなのか、事故、テロ、侵略行為。
今後何らかの展開が想定された作為的なものなのか、何も分からない。]
【私は今さっき、粛正の日ではないと断言したけれど。
Masterが──私を置いて、粛正をはじめないとは限らないとは、100%は言いきれない。】
【AIの私を置いて。】
【そもそも、生身の者だけが残ったならば、私は何故──、】
[セシリアには、つい先日にVIPサインを鳴らして教団本部に現れた、あの「訪問者」の事が思い出された。「訪問者」。
それに「訪問者」が差し出した「手紙」の事が──。]
[か細く白い少女のうなじには、桃のようにうっすらと淡い産毛が透けている。オーキッドパープルのやわらかな髪が、空中庭園の風にゆれた。
セシリアは、一見してはAIとは分からないほど外見は精緻に作り込まれて居り──また、外見だけではなく内部も専門家が解剖しても、人間と間違ってしまうほどに、作り込まれているのだった。]
【──知りたい】
【Master 私は知りたいです──】
[セシリアが、はかなげな表情を浮かべたのは一瞬の事。]
──回想(ヒュプノス前後)/現世<Mundane> /西部・空中庭園──
「セシリアさま」
「セシリアさま」
[空中庭園の通路にた人間の内、たった2人だけ。
少女の指示を仰ぐぎ待つように、セシリアを見つめながら、以前と変わらぬ姿で信者が立っている。]
【LEFT:最下層出身──34歳男性──
臓器・身体パーツ交換無し。
(極度の貧しさゆえ、工場機械で切断された腕の再生も無し。)】
【RIGHT:メガロポリス市民──16歳──男性。
教団育ちのため、交換した生体パーツを再生済の自パーツに交換済。
(すでに死亡した両親の希望により)】
──回想(ヒュプノス前後)/現世<Mundane> /西部・空中庭園──
私が残っているのも、貴方がたと同じく、宇宙の意思に選ばれての事でしょう。
この事態を乗り切れば、約束された場所は近い。
慌てず、おそれずに──。
教団本部、繭(コクーン)に還りましょう。
[セシリアは内心の動揺はあわらさず、不安を訴える信者に力強い言葉を与える。]
[巨大モニターは壊れてしまったのか、まだ同じ中央部のヴィジョンを繰り返していた。
セシリアは、空中回路だけではなく、公共交通がまだ動いている事を確認し、動ける信者たちに、昏倒した信者と収穫物抱えて、東部の電脳街の端にある教団本部のゲートへと戻るように指示した。]
貴方たちだけでお戻りなさい。
・・…大丈夫よ。
ゲートの開き方は、理解しているでしょう?
私は、この先の電脳街にある協力施設でUtopiaにアクセスし、教団本部のセキュリティを強化する作業を行い、それから戻ります。
──回想(ヒュプノス前後)/現世<Mundane> /西部・空中庭園──
──回想*終了*──
――Mundane/upperlayer (現実世界/上層区画)――
[人影もまばらな辺縁区画。
小さな駆動音と共に、四角い建物の口が開いた。ゲートを抜けて姿を現したのは、スーツケースを引いた男が一人。インディゴブルーのケースは旅行者と見まがうばかりに大きく、だが彼は見知った様子で周囲を見回した]
さて、と。ひとまず落ち着く先を探さなけりゃあ、な。しかし……?
[独りごちつつ、いぶかしげに濃茶色の瞳が細められる]
随分と。閑散とした様子、だ。
静か過ぎる―午前四時の墓場でもこうはいかないってくらいに。
……これに似た光景を見たことがある。
現実世界でなく、電脳空間でだが。
実際に起こしたのではなく、シミュレーションとして。
静寂と平穏の支配する都市の風景。
あの時のテストベースになったのは――
[記憶をまさぐり、辿り着く。いつからか電脳上に現れた致命因子の呼称]
[歩きながら男は、しかし、と首を振った。心の中に推測を呟く]
それでも結局、あれは使われることなく凍結された筈だ。
【Inc.】の保管庫(データベース)の奥深くに。
亜種か? あるいは別系で製作された類似効果の?
だが、これだけの規模の電脳兵器。開発し、行使できる人間が居るとしたら。それは――
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